やまなしなひび-Diary SIDE-

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VHSテープまだ使っていますか?

 赤江珠緒さんのラジオ番組『たまむすび』で、今週水曜日のアンケートコーナー「たまむすびアンケート だいたい2:8 知らんけど」のテーマが「VHSテープまだ使ってる?」だったため――――
 普段ラジオは聴く専門だけど、これはメールを送らなければならない!と思って、思っただけで一週間過ぎてしまって放送が終わっていたので。「これはメールを送らなければならない!」と思ったほどの気持ちの行き場がなくなってしまったため、ここに書くことにします。


 「たまむすびアンケート だいたい2:8 知らんけど」というコーナーは、身近なテーマを題材にしたアンケートをリスナー(ラジオを聴いている人)に取って、比率が「2:8」になることを目指しているコーナーです。
 今週の「VHSテープまだ使ってる?」は、「VHSテープを再生する機械が家にまだある」が2割、「VHSテープを再生する機械はもう家にはない」が8割になるであろうとアンケートを取ったのだけど―――その結果は、1週間限定でポッドキャスト配信されているのでそちらをどうぞ(「1月13日(水)アンケート大体2:8」です)。



 「VHSテープって何?」という人もいるかも知れないので説明しますと……

vhs.png
 これです!

 テレビ番組などの“映像”を録画できるテープで、デッキが発売されたのは1970年代、1980年代には各家庭に普及して2000年代の前半くらいまでは大活躍していたと思います。
 2000年代に入ってからは「DVD」の普及によってそのポジションを奪われた形なので、若い人に説明するのなら「DVDの前はコレをみんな使ってたんだよ」と言えば分かりやすいですかね(※1)。ベータの話はややこしくなるので省きます。ベータ派の人はゴメンなさい。

(※1:最近2001年の雑誌を自炊して読み返していたら広告に「DVDレコーダーの定価が198000円」と書かれてて飛び上がりました。2000年代に入ったばかりの時期だとDVDってそれくらい高価なものだったんですね。)



 さて、私は私の話がしたいからこの記事を書いているのです。
 我が家には「VHSテープを再生する機械」がまだあります。
 2009年にそれまで頑固に使い続けていたVHSデッキが壊れてしまい、VHSとDVDとHDDが使えるレコーダーを買いました。ブルーレイが使えるバージョンも出ていたのですが価格差が3万円くらいあったので、「こっちでイイや」とVHSとDVDとHDDが使えるレコーダーを買ったのです。

 「VHS」が使える機種を買った理由は、それまで「VHS」を使い続けていたため、当時の我が家には大量の「VHSテープ」があったからです。この大量の「VHSテープ」を「DVD」に移そうと考えたのです。
 恐らく「VHS」が使えるレコーダーは今後生産されなくなるだろうし、そもそも「VHSテープ」自体がカビなどでダメになる可能性は高い、今の内に「VHS」を「DVD」に移さねば!と思ってそれを選びました。



 さて、それから6年が経ちました。
 昨年末の大掃除で「もう使わないもの」を大量に捨てた私は、残っていた大量の「VHSテープ」も一斉に処分しました。「DVD」にはほぼ移していません。6年前の決断は何だったのでしょう(※2)

 レコーダーを買った2009年の時点では、『ガンダム』のようなアニメ作品を録画してある「VHSテープ」を片っ端から「DVD」に移していかなければと思っていたのですが……「VHSテープ」から「DVD」へのダビングは実際に再生しなければならないからものすごい時間がかかってしまいます。
 時間がかかるからと放っておいた間に、世の中は「映像はストリーミングで観る」「月額会員は見放題」という時代になっていって……私が録画していたようなメジャーなアニメ作品は、バンダイチャンネルかdアニメストアの月額会員になれば全話観られてしまうようになっていたのです。しかも、「VHS」よりも画質はイイです。

(※2:正確には、現在進行形で処分しているところです。ウチの地域だとVHSテープは燃えるゴミなのだけど、何十本も一度に出すとテープが絡まって大変になるから1回に2~3本ずつ出せと言われ、これから捨てるVHSテープが山のように積まれている状況です。上の画像はその内の1本。)


 ということで、我が家には「VHSテープを再生できる機械はある」けれど、「VHSテープはない」という妙な状態になります。
 お小遣い貯めてスーパーファミコンの本体を買ったけど、そこで予算が尽きてしまってソフトは1本も持っていない……みたいなコいたよね!




 しかし、この話……なかなか寓話的だなぁと思うことに。
 私が「これは保存しておかなければ!」と思って保存していたような「作品」は、「商品」として高いコンテンツ力を持っているため、DVDだったりブルーレイだったりで再販されたりストリーミングサービスで「見放題」になっていたりして、むしろ今日でも気軽に視聴できるのです。

 まぁ……『ガンダム』とか『スターウォーズ』くらいに超人気作になると、リマスターされて「音が変わった」とか「絵が変わった」みたいなこともあるんですけど(笑)。基本的には人気作になればなるほど、時間が経っても気軽に観られるから保存しておく必要もなかったと思うのです。

 逆に、「保存しておかなければ失われるもの」は、そうした「商品」としてのコンテンツ力を持たないもので……「子どもの成長を記録したホームビデオ」とか、「DVD化されないようなバラエティ番組」とか、、「再販しようもないエロビデオ」とか、「TVCM」とかを記録したVHSテープの方が貴重だったりするんですよね。


 例えば、ゲームの世界だと、過去の名作は移植されたり、リメイクされたり、バーチャルコンソールやゲームアーカイブスやスマホ等でデジタル配信されたりすることが多いので、名作は名作であるほど今でも気軽に遊べるものだったりします。リメイクされたものはオリジナルと違うだろって話もあるでしょうが、そこは置いといて。そもそも人気作ほど市場に出ている数は多いのだから、中古などで手に入れやすいという考えも出来ますしね。
 でも、マイナーな作品とかの方が移植もリメイクもデジタル配信もなかなかしてもらえないと考えるのなら……今、私達が遊ぶべきは「世間で流行っている超人気作」なんかではなく「誰も知らないようなマイナーな作品」ではなかろうか!「超人気作」なんて20年後でもきっと遊ぼうと思えば遊べますよ!ソーシャルゲームとかもきっと20年後にはリメイクされてるんじゃないですかね!知らんけど!!



 そうだ……思い出した話がありました。
 10年くらい前に放送していた日本のとあるテレビドラマを私は毎週楽しみに観ていたのですが、最終回のみ録画に失敗して観ることが出来なかったドラマがありました。あの頃はVHSテープを使っていましたから、HDDレコーダーみたいに毎週予約にして放っておいても録画してくれるワケじゃなかったんですね。「VHSテープをセットせずに出かけてしまった」のです。

 その頃は「レンタルビデオ屋で最終巻だけ借りて観ればイイかな」と思っていました。当時はまだ「テレビ番組を公式にインターネット配信する」ということが整備されていなかったので、観逃した番組を観るには「再放送を期待する」か「DVDなどで商品化されるのを待つ」しかなかったのです。
 しかし、そのテレビドラマは正直あまり人気作というワケでもなかったので、私の知る限り「再放送」はされませんでしたし、近所のレンタルビデオ屋に並ぶことはありませんでした。

 ふと、最近そのことを思い出した私は……「今ならネット配信で観られたりしないのかな?」と検索してみることにしました。Huluにはない、Netflixには検索機能がなかったのでファンページを調べてみたのだけどない、DMMではネット配信はない(DVDレンタルはあった)、U-NEXTもない、楽天ショウタイムにもない、dビデオにもない、GyaOストアにもない、Amazonインスタントビデオにももちろんない、そもそもTBSのドラマだったのにTBSオンデマンドにもない!どこにもない!どこでもネット配信していないのです!


 マイナーなもの、人気があまりないものほど……後から楽しむのは難しくなってしまう。
 そういうものこそ保存しておくべきなのかも知れませんね。



 いや、ホント真面目な話なので真面目に読んで欲しいんですけど……
 10代の頃に読んでいたエロ本を、取っておけば良かったなぁって今でも後悔していますもの。当時は保管場所がなかったから捨てるしかなかったのですが、今なら自炊してデジタルデータ化することも出来ますし、「修学旅行」とか「体育祭」とかの写真よりも何度も何度も見返しているので、よっぽど私の青春が詰まっていたと思いますもの。エロイ目的ではなくて、自分を形作ったものの記録としてもう一度読みたいなぁと夢見ています。


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アニヲタがみんな美少女に萌えていると思うなよ!

 何故かふと突然思い出した話。

 自分が大好きで毎週欠かさずラジオを聴いている伊集院光さんが、後輩芸人に勧められて『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメを全話観たという話があったんです。
 その後輩芸人というのが昨年秋にKOCで優勝したバイきんぐの小峠さんで、その小峠さんがまだまだ無名だった頃の話だから、多分昨年の夏くらいの話だと思うんですが……ずーっと引っかかっていることがあったんです。



 このブログを読んでいる人の中には、伊集院さんがどういう人かよく分からない人もいらっしゃると思うので軽く説明をしますと……現在は45歳、既婚、子どもはなし、趣味が多彩で野球が好きでAV機器にもAVにも詳しくて、漫画は野球漫画中心に読むけど深夜アニメの類は一切観ないという人です。

 普段は深夜アニメを観ない人が、深夜アニメを観たらどう思うのか――――
 自分の中で「命題」としている話でもありますし。
 それが比較的アニヲタ以外にも視聴に耐えられそうな『あの花』だということが気になるし、伊集院さんは高校時代にじんたんと同じように引きこもり経験があるし、あのアニメを観てどう思ったのかが気になる話だったんです。



 結果。
 基本的には「すごくいいものを見せてもらった」という絶賛で、その一方で「自分はこの作品のメインターゲットではないんだろうな」という羨ましさというか妬ましさみたいなものも仰っていて――――
 例えば「じんたんとあなるが繋がる思い出のゲーム」がゲームボーイアドバンス版『ポケモン』で、オッサンからすると「そんなの最近のゲームじゃねえかよ!」と思っちゃうとか(※1)

(※1:もちろん現在高校生のじんたん達にとってゲームボーイアドバンスが「懐かしアイテム」なのはリアルな設定なんですけどね。)


 あと、もう一つ。こっちが今日の主題なんですが。
 当時44歳の伊集院さんからすると、女のコ(多分めんまのこと)のあざとい可愛さというのは照れるというか恥ずかしいというか。「このコを素直に“萌え”って言える人達が一番このアニメを楽しめるんだろうな」感というか。そこが引っかかったと仰っていたんです。

 文章にしてしまうと「伊集院光がアニヲタをバカにした!」みたいに読めてしまうかも知れないんで、誤解しないで欲しいんですけど……
 どんな分野だって、「詳しくない人」が「詳しくない分野」に手を出した時、「詳しい人はもっと楽しめるんだろうなー」と思うことがあるじゃないですか。例えば、何となく日本代表のサッカーを観て、何となく楽しんでいるけど、「ルールとかフォーメーションとか分かっている人はもっと楽しいんだろうな」みたいな。



 「アニメに詳しい人(アニヲタ)」と「アニメに詳しくない人」を分けるラインは―――
 「可愛い女のコ」を受け入れられるかどうかにあって、「アニメに詳しくない伊集院さん」はどうしてもそこに照れを感じてしまったんだと。



 これは前々からちょっと思うところがあって……
 昔に書いたバナナマンの設楽さんが『涼宮ハルヒ』を観て「出てくる女のコがみんな可愛いんだよ」と紹介した話だとか、『けいおん!』を「可愛い女のコしか出てこない」と評する人がいたとか―――「アニメに詳しくない人」にとっては、深夜アニメってそこが一番“異質”に思えるらしいんですね。


 例えば、「アニメに詳しくない人」でも観る『サザエさん』とか、ジブリのアニメとか、『ルパン』とかはそうではないと認識されているらしいです。「可愛くない女のコも出ている」と(笑)。
 自分なんかは「ジブリの女のコキャラってむしろあざとくない?」と思うのだけど、「アニメに詳しくない人」にとってはそうではない――――可愛い女のコがいっぱい出てきて、目が大きくて、声が高くて、キラキラしているのが「ヲタク向けアニメ」で、そういうのが大好きな人が「アニメヲタク」という認識なんだなと。


 まぁ……他の分野で考えると、自分もそう思っちゃうことありますもんね。
 ゲームでも「ゲーム内容」よりも「美少女キャラクター」を推して宣伝するようなゲームは、「あ、ヲタク向けのゲームだ」と私でも思っちゃいますし(※2)。テレビ番組でもアイドルちゃんがいっぱい出てきてあれこれしている番組をたまたま付けたとしたら、内容観ずに「あ、アイドルヲタク向けの番組だ」と思っちゃいますもの。

(※2:ゲームの話でいうと、「万人向け」「子どもでも女性でも楽しめる健全なゲーム」というイメージの『どうぶつの森』の方が、「美少女キャラクター」を推して宣伝するようなゲームよりもよっぽどあざといと私は思うんですけど(笑)。この辺は、ジブリアニメは何故か一般的にはあざといと思われないのに通じる話なのかもですね。)



 「可愛い女のコがいっぱい出てくる」だけで、「そこに群がる男ヲタク」のイメージと、「ヲタク向け作品」という印象が付いてしまうんだと思います。これはアニメにも限らず、二次元にも限らず。





 んで、なんですけど……
 私は典型的な「アニヲタ」だと思いますけど、
 『あの花』のめんまを「可愛い」と思っては観ていませんでした。


 当たり前なことですが、「アニヲタ」がみんな「女性キャラクター」目当てに観ているワケではありません。「ストーリー」目当てとか、「映像の気持ち良さ」目当てとか、「みんなで話題を共有するの」目当てとかの人もたくさんいます。Twitterで深夜アニメ実況している人を見れば、「ストーリー」について語っている人が如何に多いかって分かりますよ。


 しかし、恐らく一般的な「アニヲタ」のイメージは違うんです。
 「アニヲタは三ヶ月ごとに“俺の嫁”を変える」みたいな言説がまかり通るくらい、「アニヲタ=女性キャラ目当てで観ている=萌えがどうこうにしか興味ない=しかも性的な目で見ているのでエロ同人誌が大好き」みたいな偏見が通ってしまっていて。あちらとこちらは違う、みたいな線引きがなされている。


 でも、そうでないアニヲタもたくさんいますよね。
 極端な話、「女性のアニヲタ」で『あの花』観ていた人だってたくさんいますしね。


 例えば「鉄道ヲタク」をイメージする際に「写真を撮るのが好きな人達(撮り鉄)」をイメージしてしまい、「鉄道ヲタク=撮り鉄」と勘違いしてしまうようなことで。たくさんある“楽しみ方”の中から「一番目立つ“楽しみ方”をしている人達」を、全体だと勘違いしてしまう傾向があるのかなと思うのです。


 「サッカーファン=W杯で勝つと路上に集まってバカ騒ぎする人」と思っている人がいる、とかもそうですよ。ああいう人達はきっと普段Jリーグとか観てねえから!アレをサッカーファンの典型例だと思われても困るわ!



 自分が『とある科学の超電磁砲』が大好きなのは、別にあのアニメに出てくる女性キャラクター達にハァハァしているから大好きなのではないです。
 少女達の成長物語として、レベル0の佐天さんの境遇に自分を重ね合わせて、それでも頑張る佐天さんに勇気をもらえるから大好きなのです。佐天さんのことも大好きだけど、佐天さんのエロ同人誌が読みたいワケではなくて、「佐天さん頑張ってくれー」的な大好きなのです。ライオンズファンとして「菊池雄星、頑張ってくれー」と思う的な大好きなのです。菊池雄星のエロ同人誌が読みたいワケではないのです!



 まぁ……『たまこまーけっと』の時には、「たまことあんこの姉妹がイチャイチャしてくれたから神アニメ!」と言っていたのですけど(笑)。
 「女性キャラクター目当てに深夜アニメを観ているアニヲタ」と「女性キャラクター目当てに深夜アニメを観ていないアニヲタ」に分かれる、というよりは……一人一人のアニヲタにもそれぞれ「女性キャラクターを目当てに観ている作品」と「女性キャラクター以外のストーリーとか映像とかを目当てに観ている作品」があるってカンジだと思います。



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猿はどうすれば蟹に勝てたのか

※ この記事は『さるかに合戦』のネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。



 先週のTBSラジオ『バナナマンのバナナムーンGOLD』で読まれたメールで、「「さるかに合戦」というタイトルの昔話があるけど、猿は事態を飲み込めずに一方的に袋叩きにあって殺されてしまうのでちっとも“合戦”という印象はしない。タイトルを「蟹の敵討ち」とかにするべきだ」といったカンジのメールがあって。

 すごく膝を打ったとともに、自分がどうしてこの『さるかに合戦』という話が苦手だったのかが分かりました。そうなのです。これは“合戦”ではないんです。“リンチ”なんです。


【合戦(かっせん)】
 敵味方が出会って戦うこと。戦い。 「関ヶ原の-」

【リンチ〔lynch〕】
 法律によらないで,民衆や団体内において行われる暴力的な私的制裁。私刑。 「 -を加える」

excite辞書より引用


 『さるかに合戦』の話を知らない人もいるでしょうから、簡単にあらすじをまとめます。
 時代や地域によって登場人物や結末が違うなんて話もありますが、私が知っているのは以下の通り。

 蟹がおにぎりを持って歩いていると、猿が「この柿の種とそのおにぎりを交換してくれ」と頼んでくる。「おにぎりは食べたらすぐなくなってしまうが、柿の種は大切に育てればたくさんの柿の実を付けるので将来的には得だぞ」と。
 言われた通り、蟹は柿の種と交換してこれを大切に育てた。やがて柿の木は育ちたくさんの実を付けたのだが、蟹は木に登れないので食べられない。木登りが得意な猿に頼んで獲ってもらおうとするが、猿は自分で柿を食べてしまい、ちっとも蟹に渡してくれない。それどころかまだ熟していない青くて堅い柿を蟹に投げつけてきた。

 蟹は死んでしまった。

 そのことを恨んだ蟹の子どもは仲間を集めて、猿に復讐をすることにした。
 栗、臼、蜂、うんこの4人である。
 ある夜、彼らは復讐を果たすために猿の家に忍び込む。罠が仕掛けられているとも知らずに帰ってきた猿は、まず囲炉裏で暖まろうとするが飛び出してきた栗の攻撃を受けて火傷を負ってしまう。慌てて水で冷やそうとするが、今度は桶から蜂が出てきて猿は刺されてしまう。異変に気付いて外に逃げようとした猿の足元をうんこが襲い、猿は転倒してしまう。そこに臼が落ちてきて、猿は殺されてしまうのであった。

 めでたしめでたし。







 歴史というのは、「勝者が語るもの」です。
 ある権力者をある者が倒し、新たな権力者になった場合―――新たな権力者は「アイツはこんな横暴なことをしていたんだ」「だから私が倒したんだ」「私は正しい」と歴史を作り上げるのです。歴史というのは必ずしも真実を指すとは限らないのです。


 蟹もそうです。
 「横暴だった猿」も「それに困っていたみんなで団結したこと」も「それによって猿を打倒して村が平和になったこと」も、真実かどうかは分かりません。蟹が自身の行ったリンチを正当化するために、「猿はこんな横暴なことをしていたんだ」というストーリーを作り上げただけかも知れませんし、タイトルに『合戦』と付けて誤魔化しているところなんて怪しさ満点です。

 『合戦』という言葉の響きでは、正々堂々と向き合って「いざ!尋常に勝負!」と戦いを挑んだかのように思えますが。実際には、猿の家に不法侵入して待ち伏せ、何も知らずに帰ってきた猿に総攻撃をしかけて殺すという残虐極まりない卑怯で姑息な敵討ちでしかありません。


 そうした真実に気付いた司法権力によって子蟹達は裁かれた―――なんて説もありますが、子蟹がその後どうなろうが、亡くなった猿の命は戻ってきません。彼は何故自分が殺されたかも分からず死んでいったのです。何たる無念。



 自分がこの『さるかに合戦』という話が好きになれないのは、毎回「何も知らずに殺されてしまう猿」の方に感情移入してしまうからです。仕事から帰ってきて、一日の疲れを癒そうと暖を取ろうとした瞬間という“最も安心しきっている”状態で突如殺されてしまう……こんな悲惨な最期がありますか。

 その上、それが「因果応報」「悪いことをした者は成敗されて当然だ」「めでたしめでたし」みたいな美談として語り継がれていくんです。それが、私には口惜しかったのです。


 だから、考えたいのです。
 猿はどうすれば蟹に勝てたのか?


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 ほら、このアフィリエイト画像↑を見てくださいよ!
 蟹はファンシーで可愛らしい絵で描かれているのに、猿は如何にも意地悪そうな凶悪な人相で描かれていますよ。これが“印象操作”でなくて何だと言うのですか!




 さて、本題です。
 猿が「子蟹連合軍」に勝つためにはどうすれば良かったのか―――まずは戦力のおさらいから入りましょう。

【猿軍】
・猿

【子蟹連合軍】
・子蟹
・栗
・蜂
・臼
・うんこ


 一見すると「多勢に無勢」ですが、戦闘能力の高さだけで考えれば「猿」がダントツで高いとも言えます。

 猿には手足があり、高いところにも登れ、柿を持って投げつけられるだけの器用さがあります。
 それに引き換え、子蟹連合軍の寄せ集め感といったらないでしょう。子蟹の戦闘能力を親蟹と同じだと仮定すると、子蟹は木に登れませんから、猿が木に登れば子蟹は手も足も出なくなるんですね。それどころか、栗と臼とうんこにはそもそも手足がありません。彼らは武器を持つことが出来ないんですね。じゃあどうやって移動してんだよというのは一先ず置いておく!

 猿の戦法としては、臼がいる屋根より高い木に陣取って敵の頭上から何かを投げつけるというのが一番でしょう。また、移動の際にもなるべく地上に降りず、木から木へと飛び移るように移動するべきです。
 唯一、猿にとって脅威になりそうなのは蜂ですが、蜂の攻撃力では猿に致命傷を与えることは出来ません。

 なので、子蟹連合軍の戦略としては、蜂は「猿の冷静さを欠く」ことに使うんですね。トドメを刺すほどの攻撃力はないので、最も小回りが必要な「二撃目」として配置してあるのです。



 一方的な「リンチ」であった『さるかに合戦』ですが、子蟹連合軍側の視点で考えると「圧倒的な戦力を誇る敵に向かってそれぞれの長所を活かした戦略を練って綱渡りの勝利をする」ストーリーと言えるんですね。『ドラゴンボール』で大猿べジータにクリリン達が立ち向かったのとか、『ハンター×ハンター』の爆弾魔戦に近いのかも知れません。





 こう考えれば、「どうすれば猿は勝てたのか?」は簡単ですね。
 “密告者”がいれば良かったんです。

 用意周到に準備された奇襲を受けたからこそ子蟹連合軍に敗れただけなので、「アイツら何か企んでいるらしいぞ」という情報さえあれば猿は負けることはなかったんです。
 「子蟹」「栗」「蜂」「臼」「うんこ」の5人の内の誰かを内通者に出来ればベストですが、子蟹が狡猾で姑息なヤツだということは先ほど散々書いていたので、恐らく「この5人」をセレクトした時点で絶対に裏切り者が出ない5人にしてあると思います。

 とすると、この5人が集まって密会をしている段階で、「オマエに恨みのある者達で集まっているらしいぞ」と教えてくれる人が必要だったワケです。猿からしても、つい先日親蟹を殺してしまったワケで、何事もなくその後に平穏な日々を送るんじゃなくて、警戒しておく必要があったと思うのです。
 そもそも親蟹を殺してしまった罪を子ども達に償わなきゃならないし、近所の人達にもあれが不慮の事故だったことをちゃんと説明しなければならなかったと思うんです。でなければ、猿は村の中で孤立してしまい、何かの時に助けてくれる人がいなくなってしまうんです。それが“人間社会”なんです。


 親の蟹を殺してしまったことは仕方がないことだと思います。
 これは私達にも当てはまる話なのですが、私達はいつ加害者になるか分からずに生きているのです。何かの拍子で、当たり所が悪くて、人の命を殺めてしまうことがあるかも知れません。そうならないのが一番ですが、そうなってしまった時にどうするべきかを猿は考えなさすぎたと思うのです。




 例えばです。
 猿が所帯を持っていたとすれば、子蟹連合軍の家への不法侵入など防げたでしょう。

 しかし、猿も私と同様にモテナイ男だったとすれば、「結婚が出来なかったから殺されたんだ」ということになってしまい、それではあまりに救いがありません。モテナイ男だから不幸になってイイなんて物語を私は認めるワケにはいかないんです。

 なら、やはり「近所の人」達と連絡を蜜にとることで、夜襲されにくいセーフティネットワークを作っておくべきだったと思うのです。子蟹連合軍が侵入した段階で近所の人が気付いたかも知れませんし、子蟹連合軍の心理としても「近所の人達がすぐに駆けつけてくる」と分かっていたらこんな計画は立てられなかったでしょう。



 結論:「ご近所づきあい」をちゃんとしていれば猿は蟹に勝てた


 人と人との繋がりって大事なんですね!


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| ひび雑記 | 17:53 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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自分がTBSラジオ『LINDA!』を大好きな理由

 たまにはこういう記事も。
 自分はラジオが大好きで、もっともっと「ラジオを聴く人」が増えればイイのになーと思っていて、「超初心者のためのラジオ入門」なんて記事も書いたことがあるくらいなんですが―――

 御託を並べるよりも、「俺はこのラジオ番組が好きなんだーーーーー!!」と熱く語ることでその番組に興味を持ってくれる人もいるだろうし、そこからラジオそのものに興味を持ってくれる人もいるだろうと思ったので。今日は「ぼくのだいすきならじおばんぐみ」の話を書きます。




 しかし、予め断っておきます。
 この番組は、基本的に「関東(TBSラジオが聴ける地域)」と「沖縄(琉球放送が聴ける地域)」でしか聴けません。2ヶ月に1度の「聴取率調査週間」の時のみインターネットによる放送も行っていて、世界中のどこででも聴けるらしいですが。レギュラー放送は関東と沖縄の人以外は聴けません。

 また、番組ポッドキャストも配信しているのですが、これは「本放送終了後の別録り」なので本放送とは内容は違います。こっちはこっちで凄く面白いんですが、本放送とは別物なんで。




 LINDA!~今夜はあなたをねらい撃ち~

 TBSラジオにて、月曜日~木曜日の深夜24時から1時間の放送です。
 パーソナリティはアンタッチャブルの柴田さん。

 自分はアンタッチャブルの漫才とラジオが大好きで、同じくTBSラジオで放送されていた『シカゴマンゴ』が大好きだったので、その番組を終わらせるきっかけを作った柴田さんには正直思うところもあるんですが。まぁ、柴田さんがいようがいまいが『シカゴマンゴ』は改編期に終了していた可能性も高いよなと最近になって考え直したので、ソレはソレとする!





 どういう番組かというと―――
 その日にあったニュースを題材にして、番組開始の24時00分から「○○な人を募集!」と発表→24時30分頃まではダラダラと色んな話をして(実はこのダラダラ話こそが面白いとも思うのだけど)、24時30分頃から「テーマにあった人」と電話で喋るという番組です。

 一例を挙げると……
 「今日、松井秀喜選手が○○に移籍しました」というニュースがあったら、「松井秀喜選手と対戦して打ち取ったことがある人を募集!」みたいなカンジ。当然、こういう“そんな人いるの?”というテーマの時が、ワクワクドキドキ出来て面白いです。




好きな理由1つ目:実はみんな「その人にしか出来ない体験をしている」
 この番組で電話を繋ぐのは、基本的には“素人”です。
 言っちゃえば“その辺にいる人”で、有名な人でも喋りが面白い人でもありません。当人も御自身のことを「自分は特別な人間だ」なんて考えもせずに生きている人達ばかりでしょう。でも、そういう人の話こそが面白いってこの番組は教えてくれるんです。


 「松井秀喜選手と対戦して打ち取ったことがある人を募集!」の時は、確か該当者なしで「惜しい!」人が繋がっただけだったんですが―――「子どもが松井選手と一緒に野球をする」みたいなファンイベントで対戦したことのある人が電話で出たんでした。

 その人は全然特別な人ではないし、松井選手が子どもと一緒に野球をするイベントなんてこれまでにも何十回と行われてきたことでしょう。特別ニュースになるようなイベントでもありません。
 でも、そこで“普通の子ども”が松井選手と対戦してビビッてちっともストライクが入らないとか、それでも気を使って松井選手はボール玉をファウルしてくれたとか、最終的に松井選手が空振りしたんだけどキャッチャーも取れなくて振り逃げになったとか。

 そこで語られる“その人しかしていない体験”の話が凄く面白いんです。



 当たり前だけど、誰にでも“人生”があって、その人それぞれ“その人しかしていない体験”をしているんですよね。改めてそれを思わせてくれるこの番組を、やっぱり自分は好きなのです。



好きな理由2つ目:リアルタイムだからこその一丸感
 「超初心者のためのラジオ入門」の時にも書いたんですが、最近は「リアルタイムで聴くラジオ」を聴く人よりも「アーカイヴスとして残るポッドキャスト」を聴く人が増えてきたみたいで。ラジオ番組の中にも「ポッドキャストありき」という番組が増えていたんですね。

 リアルタイムにラジオを放送しているけど、その放送の模様はポッドキャストで後でも聴ける―――自分も聴き逃してしまった番組を後から追いかけるのに重宝していたりするんですが。


 でも、この番組は徹底して「リアルタイム感」を大事にしているんです。
 24時00分でテーマを募集して、1時間の放送の間にどれだけ該当する人が集まるか―――をヨーイドンでやるので、この面白さはポッドキャストにアーカイヴス化して数ヵ月後に聴いたって面白くないんですよ。夏にやった「今まさに海にいる人を募集!」とか、iPhone5発売前夜にやった「iPhone5の行列に今並んでいる人を募集!」とか、今聴いても多分当時の面白さでは味わえないんです。

 こないだの『ドルアーガの塔』の話にも通じますけど、
 冷凍保存して持ち越せない「リアルタイムならではの面白さ」ってあると思いますし、ラジオの面白さって実はそういうとこだったよねと思い出させてくれました。



 また、この番組は「リスナーが一丸となって該当者を探す」ので、リスナーがわざわざ友達や家族に電話したり、TwitterやFACEBOOKで「今日のテーマは○○だぞ!」と広めたりして、「該当者を探す」ことに一丸となれるのも面白いところ。
 「iPhone5の行列に今並んでいる人を募集!」の時は、「今日のテーマがコレだったんで今急いで地元のビッグカメラに来ました!今僕並んでます!」って人が出たっけ。


 この「1日の終わりに知らない人同士が一緒になって何かを成し遂げようとする」のがイイんです。SNSどころかインターネットもなかった時代から、そういえばラジオというのはそういう場所だったんです。
 ただ、最近はちょっとヌルイテーマが多くて、電話に繋がる人も多くて、「こんな人、いるのか?」というドキドキ感も、「やったーーー!一人いたぞーーー!」という成し遂げた感も若干薄いのが残念。個人的にはもっと攻めたテーマの方が好きだったんですけどね。




好きな理由3つ目:不景気な時代だからこそのアイディア勝負の番組
 ラジオの製作現場のことはよく分かりませんが、「深夜の生放送はお金がかかる」というのは聞いたことがあります。
 10年前だったら、テレフォンアポインターを何人も配置して電話をかけてきたリスナーの中から良さげな人を番組に繋ぐ……みたいな番組もありましたが、テレフォンアポインターの人数分深夜の人件費がかかるので、不景気の今そういう番組は難しいんだろうなぁと思います。


 また、2003年から2008年まで『LINDA!』と同じ時間帯で放送されていた『バツラジ』という番組が自分は大好きだったんですが……『LINDA!』と同じように「その日に起こったニュースを題材にした番組」で、放送作家やディレクターの人が物凄く作りこんだ原稿だったり、中継で外に出たり、電話で誰かに繋いだり、物凄く手のかかった番組だったんですね。



 そこからすると『LINDA!』は凄いです。
 電話でリスナーと喋る番組なのに、電話での受付はしていません。
 電話をかけてくれる人をメールで募集して、その中から「該当者」や「惜しい人」をスタッフが選別して、その人にスタッフが折り返しの電話をかけるという形なので。生放送でリスナーと電話で喋る番組なのに、数人のスタッフで作れちゃう番組なんですよね。

 また、『LINDA!』にも『バツラジ』同様に「今日こんなニュースがあったよ」と紹介するコーナーがあるのですが、それを書くのはリスナーという。放送作家でもディレクターでもなくて、ネタコーナーとしてリスナーが「今日のテーマ予想」という形で送ってくるのです。


 番組の後半に電話で喋るのもリスナーですし。
 この番組、ものすごく「省エネ」感があるんですよね。

 もちろん「ラジオ業界」の中ではそれでもお金も人数もかけた番組だとは思うんですが、10年前と比べればどんどん予算は減っているんじゃないかと推測できます。でも、面白い番組は作れる――――携帯電話とメールの普及と、SNSの台頭と、しっかり活かして“コンセプトから番組を作る”ことをした成果だと思います。


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 「こんな面白いラジオ番組があるんだよ!」と書いても、ラジオに興味がない人は記事自体を禄に読んでくれないものです。だから自分は、あまりブログに「ラジオ番組単体」の話を書いてこなかったんですが……


 この『LINDA!』の例って、今の時勢を反映していると思いますし、他の業界にも通じるものがあると思うんです。「時代が変わって昔ながらのものが出来なくなっちゃったよね」と嘆くのではなく、「ラジオの良さ」を残しつつ「今の時代に即したもの」を取り入れて、新しいものを作る――――

 学ぶものがあるなぁと思います。




 柴田さんに対しても思うところのあった自分ですが、『LINDA!』始まって「この番組は柴田さん以外には出来ないな」と思ったので今では「結果オーライ!」と言えます。
 「ものごとを深く考えず」「明るく誰とでもツッコんだ話が出来て」「シカコマンゴ時代からリスナーに愛されてて」「適度にチャラくて」「かつては漫才で日本一になったツッコミのキレがあるにも関わらず」「謹慎期間があったので仕事がなくて暇!」という、これ以上ない人材が余っていたという(笑)。





 『シカゴマンゴ』が放送されていた頃。2008年だったか。
 27時間テレビで明石屋さんまさんと大竹しのぶさんが共演したことに興奮したアンタッチャブル山崎さんが、「俺達も1回解散して何年も会わないようにして27時間テレビみたいなデカイ場所で共演したらすげー盛り上がるんじゃないの?」と笑いながら喋っていたのを覚えています。

 アンタッチャブルの漫才が見られないのは寂しい。
 でも、今、あの時冗談で言っていたようにコンビは別々の道を進んでいる。


 ならば、二人とも別々の道で活躍して、いつか27時間テレビくらいのデカイ場所で復活漫才をしてくれることを私は夢見ています。


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娯楽を楽しめる能力と労力

 中学生の頃、クラスメイト(♂)に言われて衝撃だった言葉があります。
 「俺は頭が悪いから小説を読んでも面白くないんだよ」

 当時の自分は「自分が面白いものはきっとみんなが面白いと思ってくれるはずだ」と思っていて、自分の大好きな漫画を友達に「○○面白いよ!」と教えたり、好きなゲームを「やってみなよ!」と貸したりしていて、その一つとして自分が好きな小説を彼に薦めたんだったと記憶しています。


 ここで彼の言った返答がもし「俺、あんま小説を好きじゃないんだよ」とか「面倒くさいから遠慮しておくよ」とかだったら、恐らく自分は「コイツは分からないヤツなんだ」「食わず嫌いをしているだけだ」くらいにしか思わなかったでしょう。
 そういう意味では、自分の考えが変わるきっかけをくれたのは彼だったのかも知れないと今更ながらに感謝の気持ちが出てくるんですが……



 彼は「自分には小説を楽しむ能力がないんだ」と言ったのです。
 「本来ならそれは面白いはずなのに」「自分の頭が悪いせいでそれが分からないんだ」と。



 「頭が良いから小説を楽しめる」「頭が悪いから小説を楽しめない」
 ここには私は異論があります。頭というのは単純に「良い←→悪い」で語られるものではないと思うからです。向いているもの・興味があるものがそれぞれ違うだけだと思うのです。

 しかし、「小説を楽しむには能力が必要だ」というのには同意です。
 文章から風景を思い浮かべる力だったり、単純に言葉をどれだけ知っているかだったり、登場人物にどれだけ感情移入できるかだったり。「たかが文字の羅列」からストーリーを読み取るのにはそれなりの能力が必要だと思うのです。

 当然、自分にだって「難しくて面白さが理解できない小説」はたくさんあります。
 だから、彼が言ったことは他人事ではないのです。


 もう一つ。
 これは現在の自分だから言えることなのですが、「能力」の他に「労力」をかけられるかということも、それを楽しむためには必要なのだと私は思っています。
 例えば自分が小説を読む場合、結構ガッツリ「脳を使う」感覚があるんです。文章からストーリーを読み解くために。だから「ちょっと5分の休憩」とかでは読めません。最低でも20~30分、本と向き合って「さぁ!読むぞ!」と気合を入れて読む時間が必要なんです。

 そして、前まで読んでいたことを忘れない内に(2~3日中に)続きを読める環境でもないとダメだし、これを生活サイクルの中に入れ込んでいる人は何の問題もないのだけど、そういう習慣がない人がいきなりやるのは難しいだろうなとも思うのです。





 当然、これは「小説」以外にも言えることです。

 全ての「娯楽」を楽しむには、それぞれの娯楽に合った「能力」と「労力」が必要なんです。

 例えば「漫画」を楽しむ「能力」。
 読める人間にはそれが当然なことなのですが、「たかが絵を並べているだけ」の紙からストーリーを読み解くには「どういう順番で読めば良いのか」を知っていなければなりません。子どもの頃から漫画をほとんど読んだことがないまま大人になると、「どのコマから読めばイイの?」って人が実は結構いるんですよね。

 例えば「ラジオ」を楽しむ「能力」。
 ラジオで「○○に行ってきたんですよー」というフリートークを聴いて、「たかが言葉」から「どこに」「誰が」「何人で」「何をしに行っているのか」を正確に把握するのは慣れていない人には難しかったりします。それこそ「小説を読んでも情景が浮かばない」みたいな話で、他人のフリートークを楽しむにはある程度の「能力」が必要だと思うのです。


 じゃー、映像化されている「映画」とか「ドラマ」とか「アニメ」ならば誰にでも楽しめるかというと……確かに視覚化されることで「情景がイメージ出来ない」ことはなくなりますし、ボーっとしているだけでもストーリーは進むハードルの低さはあると思うんですけど、演出とか構成をちゃんと理解して楽しめるかどうかはまた別の話ですよね。


 『けいおん!』は“仲間”を描き、『かなめも』は“孤独”を描いた
 『けいおん!』&『けいおん!!』アニメで真鍋和に与えられていた役割を考える
 アムロ・レイは誰を殺すのか


 この辺はウチのブログで書いた「アニメの解説記事」で評判の良かったもので、「あの描写にはそんな深い意味があったんですか!」とか「このアニメがそんな深いアニメだとは思いませんでした!」といった感想をいただきました。
 それはとっても嬉しいことですし、それぞれの作品の魅力が少しでももっと伝わればなぁと思って書いているのだから、書いた甲斐があったというものなのですが―――逆に言うと、解説記事がないと伝わっていない人も結構いるってことなんですよね。


 それはね。
 別に「私がとても頭の良い人間だから作品を正確に理解できるしこんな解説記事が書けるんだ」なんてことではありません。謙遜でもなんでもなく。だって私、これらの記事を書くために1つの作品を何周も観ているんですもの。

 1回目はただ何となく楽しむ、2回目を観ると「あれ?このシーンってひょっとしてあのシーンと繋がる?」と思う、3回目でそれを確認して、4回目で「どういう順番で説明したらそれが伝わるか」を考えながら観る―――ただ単に「労力」をかけているだけなんです。




 私の大好きなラジオ番組のパーソナリティの一人に、ライムスターの宇多丸さんという人がいて。彼の「シネマハスラー」という映画評論コーナーは大人気なんですけど―――
 彼の評論を聴くと、昔からとてつもない量の映画を観ていたことはもちろん、評論する映画を3回観るのなんて普通、前作や原作がある場合はそれらも当然チェックして、同じ監督の今までの作品も観て、インタビュー記事とかにもなるべく目を通して、それだけの「労力」をかけて実際に喋るラジオのコーナーは30~40分ですよ。費用対効果とか、気にしたらやっていけない世界の話です(笑)。


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 中学時代のクラスメイトは、私にこんなことを言ったなんて覚えていないでしょう。
 しかし、私はこの言葉を忘れないように定期的に思い出すんです。

 「俺は頭が悪いから小説を読んでも面白くないんだよ」


 どんなに面白い作品を作っても、「知ってもらわなければ」伝わりません。
 知ってもらえたとしても、「その人の趣向に合わなければ」気に入ってもらえません。

 しかし、自分が「オマエはきっとコレを面白いと思うに違いない」と確信を持って薦めても、「能力」と「労力」がなければ楽しんでもらえないということがあるのです。それを忘れてはいけないと定期的に思い出すのです。



 色んな人間がいるから、一人一人「磨いてきた能力」と「かけられる労力」は違う。
 映画大好きな評論家の人が「どうしてあんな薄っぺらい映画が受けているんだ!」と言う度に、そりゃアナタは職業だから映画に労力をかけられるけど、大半の人はそんなに労力かけられないよ……と思ってしまうのです。

 私も、このブログを読んでいる皆さんに向かって「このアニメは面白いから4周は観なよ!」なんて言えません(笑)。
 それならば、やることは―――「1周だけ観た人」に向けて「4周観た自分」が解説記事を書くことだろうと思うのです。その作品の魅力が少しでももっと多くの人に伝わるように。

 当然、私だって全部のアニメを4周観る労力があるワケじゃありません。
 1周だけ観て「ちょっと……どこが面白いか分からなかったな」と思う作品はあります。そういう時は、他の「労力をかけている」人の解説記事を読めばイイだけなんです。そうして自分の足りない部分を補い合っていけばイイんです。
 それはもちろんアニメだけの話じゃなくて、ゲームなんかはまさにそうですよね。ただ一つ「ここはこうすればイイんだよ」と教えるだけで面白さが分かるのに、それを知らずに「自分には向いていない」と放り出されてしまうゲームがどれだけあったことか――――



 「この作品の良さが分からないなんて世の中はバカばっかだ!」とか、
 「あんなつまんない作品が売れるなんて碌なもんじゃない!」とか愚痴るよりも、よっぽど建設的で、誰かを敵に回して不快な思いをさせることもなく、幸せな人を増やす道だと思うのです。







 そういう意味ではやはり、中学時代のクラスメイト(♂)に感謝です。
 ちなみに、その彼とはその後色々あったので、彼は私の携帯電話の番号を着信拒否にしています。まー、そんなもんです(笑)。


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| ひび雑記 | 17:59 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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2012年12月のまとめ

 今年最後の更新です。
 みなさん、よいお年をー。



 さてと、単独記事にして書こうと思っていたんだけど、実際に書き始めてみたらあんまり面白い記事にならなかったんでボツにしていた話題を書きます。気になっている人も多いと思うんで。


 Wii Uゲームパッドの電波はどこまで届くのか?

 居間にWii U本体を置いて、ゲームパッドだけ持って、自室や風呂でゲームパッドの画面を見て遊べるのか―――みなさんが気にするところだと思いますし、こういうのは家の壁の厚さなどに依るのでメーカー公式には発表出来ませんから、「気になるけど公式の情報はない」もので。
 そういう情報こそ、個人ブログが「我が家の場合はこんな感じだったよ!」と書くべきだろうと。


 我が家の場合、「壁」や「天井」が3枚越えるとアウトでした。思ったより厳しい。
 あと、「玄関のドア」や「風呂場」は普通の「壁」以上に電波を通さずアウト率が高いです。柱の多い場所も厳しい―――――基本的にはこんなカンジ。無線LANルーターは「2階の自室」→「1階の居間」まで難なく電波を飛ばせますが、Wii Uゲームパッドの画面は「1階の居間」→「2階の自室」は厳しかったです。


 ただ、単独記事として書けなかった最大の理由は「映すもの」次第という点でした。
 Miiverseに書き込むとか、フレンドリストに登録するとか、インターネットブラウザでブログを読む、みたいな用途ならば「画面に動きが少ない」ので。自室でも大丈夫だったんですが。

 わらわら広場で多数のMiiを高速回転させるとか、『ニンテンドーランド』の「ピクミンアドベンチャー」とか、“多数のものがひっきりなしに動く”ものは「電波が不安定になっています」になってしまいました。結局「住んでいる家」と「遊んでいるソフト」次第という面白みのない結論になっちゃって。



 ということで、「家のどこででもWii Uゲームパッドの画面だけでゲームが遊べるぜ!」みたいにはならなかったことをしっかり書いておきます。



 ただ、逆に言うと「Wii Uありき」で部屋をレイアウトしていくとゲームパッドの電波が届く場所が広がるかなぁと思いました。極端な話、「風呂に入りながらドラクエ10やりたい」って人は、脱衣所にでもWii Uを置けばイイんじゃないでしょうか。湿気対策が命がけになるでしょうけど(笑)。


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 「2012年12月のまとめ」は私事・創作活動の報告などが大半なので、今月も読みたい人だけ「続きを読む」か「記事URL」をクリックして下さいな。

≫ 「続きを読む」

| ひび雑記 | 18:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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あなたの記事は「評論」ですか?「解説」ですか?

 何度かこのブログでも話題に出している伊集院さんの『週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』(@TBSラジオ)という番組で、先週のゲストが町山智浩さんだったのですが、これがまぁ面白いやり取りだったのでご紹介します。

 期間限定でポッドキャスト配信もされているので、興味がある方は是非。




 ちょっとバックボーンを。
 伊集院さんは尊敬する人の中の一人に「浅草キッドの水道橋博士」がいて、水道橋博士は町山さんのことをとても尊敬していて。伊集院さんにとっての町山さんは「尊敬している人が尊敬している人」という位置付けの人です。

 伊集院さんは町山さんに会う前に水道橋博士から「町山さんは映画を“正しく観なくてはいけない”と思っている人だ」と聞いていたので、その話を町山さん本人に聞くと、「そんなことはない。一般の人はそんなことを気にする必要はない。“正しく観なくてはいけない”のは、我々のような映画を解説する人のことだ」と仰ったんです。

 町山さんの思想全般に賛同するかは置いといて、この部分はものすごく同感しましたし、救われた気持ちにもなりました。
 今まで自分は「映画は“正しく観なくてはいけない”」という強迫観念に襲われながら観ていましたが、そんなことはない、映画は楽しめればイイんだと言ってもらえたような気がしたのです。自分は解説者でも何でもないのだから。



 町山さんはこうも仰っています。

 「自分がやっているのは“映画の解説”」
 「野球中継にだって“野球の解説者”がいるけど、本当は解説者なんかいなくたって楽しめる。でも、解説者が説明してくれることで初めて分かる面白さもあるから、解説者がそこにいる」
 「映画の解説者も同じ」



 これは以前チラッと書いた「アニメの攻略本」にも通じる話ですね。
 スポーツ中継の解説者は、そのスポーツに熟知している人にとっては全く要らないものですよね。評判の悪い解説者なんかは「いない方がマシ」「音声消して観ている」と言われるほど。映画やアニメの解説者もそうで、解説者がいなくても楽しめる人にとっては全く必要のない存在なんです。


 でも、そのスポーツに馴染みがない人にとっては解説者というのは命綱のような存在です。
 今のプレイが良かったのか悪かったのか、この選手はこれまでにどんな経歴があってこの試合にはどんな意味があるのか。オリンピックなどで普段観ない競技を観る際には特に重要なポジションですよね。
 映画やアニメの解説者もそうで。
 映画自体に詳しくない人、そのジャンルの映画に詳しくない人、映画は観ているけど役者の名前は覚えられない人、この映画がどういう文脈で生まれたのかまでは知らない人―――そういう人達に向けて、「より映画を楽しめるために」解説をしてあげるという存在なんですよね。



 まぁ、その割には町山さんって「あの映画はクソだ!」とか言っている気もするんですけど(笑)。



 「映画評論家」と「映画解説者」は別で。
 前者が「この映画は良いか悪いか」を論じるのに対して、後者は「この映画を楽しむにはこう観るとイイんだよ」と教えてくれるのだから役割が違うんですよね。前者は「どの映画を観ようか」と選別する際に役立って、後者は「その映画を観る直前・直後」に役立つ―――


 題材は映画でも漫画でもゲームでもイイですけど―――
 さて、あなたが書いている記事は、どちらのつもりで書いていますか?


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 インターネットが普及して、個人ホームページの時代があって、ブログの時代が来て、Twitter等のソーシャルメディアの時代になって。誰でも発言できるようになった分、誰でも「評論」「解説」が出来るようになった時代ですよね。


 一億総評論家時代。
 一億総解説者時代。

 みんな「面白さ」を分析するのに必死。
 主観を捨てて客観的な目で作品を観なくちゃならないとかうんぬんかんぬん。


 「評論」には評論の役割が、「解説」には解説の役割があります。
 どちらが優れているとか、どっちが増えればイイとか言う気はありません。

 しかし、どちらの意図で書いているのか―――は意識した方がイイかもなと思うのです。




 そしてもちろん、私は「評論」でも「解説」でもない――――“正しく観ている”かどうかも分からない、主観丸出しの「感想」の方が興味深かったりします。客観的な目で分析された「評論」でどんなに優れていると語られるよりも、「面白かったー!」というTwitterの一文の方が興味を惹かれたりします。


 だからみなさん、
 面白い作品に出会った場合、この作品の良かったところを「評論」しなきゃとか「解説」しなきゃとか思うのも立派ですけど、そんな高尚なことは出来ないって人も「面白かったー!」と一言書くだけで普及になるし、もしその声が作り手に届いたらすごく喜ばれると思うのですよ!




 だから、心を込めてタイピングします。


 『TARI TARI』面白かったぞーーーーー!![感想]

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