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『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』1stインプレッション/ゲームパッドを活かしたWii Uならではのパズルアクション!

 タイトル長いので『U-EXPLORE』と略すのがイイみたいです。Miiverseのコミュニティも「U-EXPLOREコミュニティ」ってなっていますし。

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 3時間半ほどプレイ。ステージ18までクリアしました。
 この記事を書くために、「プロフェッショナル」と「カジュアル」の二つの難易度を試したり、複数人プレイを(1人で)試したりしているのでプレイ時間の割りに進行は遅めだと思います。



 『U-EXPLORE』は2015年11月18日に配信開始されたWii Uダウンロード専売ソフトです。価格は1700円。
 海外では『Affordable Space Adventures』というタイトルでWii Uダウンロードソフトとして発売されていたもので、日本版のローカライズはレイニーフロッグが行っています。日本版(↑)と海外版(↓)のPVは方向性が全然違うのが面白いですし、日本版は独自に日本語吹き替えのナレーションを入れるなどしていて、かなり気合の入ったローカライズなのが分かります。日本版のPVはこの声だからこそ「不気味」なんですよねぇ。



 開発はデンマークのKnapNok Gamesと、スウェーデンのNifflas’ Games。
 海外でのパブリッシャーはKnapNok Gamesが行っているみたいですね。

 KnapNok GamesはWii Uダウンロードソフト『わいわい!みんなでチャレンジ』などで知られる開発会社です。WiiリモコンとWii Uゲームパッドを活かしたイカれたゲームを次々と遊ばせるパーティゲームですね。
 日本で受けたインタビューもあるので読んでみると、KnapNok Gamesは会社の方針として「小さな会社なのでアイディアで勝負したいと思い、コントローラの変わった機能を活かしたパーティゲームに力を入れている」みたいですね。
 過去にはWiiリモコンやPS Moveを二人で向き合って振って擬似セックスをするというゲームを作ったこともあるそうです(笑)。なるほど、それをちゃんと商品として売れるものに仕立て上げたのが、『わいわい!みんなでチャレンジ』なのか……

 Nifflas’ Gamesは、日本ではWii Uダウンロードソフトとして発売された『クニットアンダーグラウンド』を始めとするインディーズゲームを開発したNicklas Nygrenさんのハンドルネーム「Nifflas」の会社です。『クニットアンダーグラウンド』は独特の絵と音が美しい、哲学的な探索&パズルアクションのゲームでした。
 上述のKnapNok Gamesのインタビューを読む限り……「Nifflas」は現在はKnapNok Gamesに所属していて、KnapNok Gamesに入社してからはこの『U-EXPLORE(海外名は『Affordable Space Adventures』)』の開発を行っていたみたいですね。

(関連記事:とうとう見えたMiiverseの真価。『クニットアンダーグラウンド 』紹介


 横文字が多くてワケわかんねえやー!
 もうこんな記事は読むのやめる!!と、途中で投げ出す人が続出しそうなので……日本語を読む根気のない人達にも分かるように、噛み砕いて説明しますと……


 「コントローラの変わった機能を活かしたゲーム」を作っている会社に、
 「探索&パズルアクション」を作ることが得意な開発者が参加したら―――
 「Wii Uゲームパッドの機能を活かしたパズルアクションゲーム」が出来上がりましたよ
ってことなんです。


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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 ジャンルとしては「2Dのパズルアクション」だと思います。
 安い宇宙船をつかまされて未知の惑星を探索し始めたら、この惑星がどうもヤバイものだらけで、何とか脱出を目指すぞ―――的な始まりです。『knytt』シリーズっぽい始まり方ですね!

 操作は、
・左スティックで宇宙船の「移動」
・右スティックで「ライト(スキャナー)」の方向を変える


 最初はこれだけ。
 『クニットアンダーグラウンド』のように「さあ!どこにでも行くがよい!」と投げ出される探索ゲームではなく、各ステージがエリアに区切られていて、ゴールにたどり着くと次のステージが始まるってカンジの「ステージクリア型のパズルアクション」と言えます。


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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 クリアしたステージは、いつでも「ステージの選択」で戻って遊べます。


 最初は機能の少ない宇宙船ですが、ステージが進むごとに徐々に使える機能が増えていきます。序盤は一ステージごとに一つ機能が増えて、その機能の使い方を理解しないと先に進めなくなっているので……「こんなにたくさんの機能があっても覚えられない!」みたいなことにはならないと思います。

・ZRボタンで「照明弾」を発射
 (敵を倒すのではなく、スイッチを押すことくらいしか出来ない)
・ZLボタンで「敵のスキャン」
・ゲームパッドの傾きで、宇宙船の「傾き」をコントロール



 しかし、何と言ってもこのゲームは「Wii Uゲームパッドの画面」を使ったコンソールパネルの機能が特徴です。

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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 これがスタート直後のゲームパッドの画面です。
 「エンジンをかける」「スキャナを付ける」というスイッチがゲームパッドの画面に表示されていて、敵にやられた後などはこのボタンを押してわざわざエンジンをかけ直さなくてはなりません。どことない『鉄騎』感。


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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 ステージ10まで行くと、ゲームパッドの画面はこうなっています。
 「こんなにたくさんの機能を使いこなさなければいけないのか!」と思われるかもですが、同時に使うワケではありません。「燃料エンジン」と「電気エンジン」はどちらか片方しか使えませんし、使う必要はありません。


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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 これが敵。
 ZLボタンで敵を「スキャン」すると、この敵が何に反応するのかが分かります。それが表示されるのがゲームパッドの画面のセンサー機器のところ。さっきの画像から、センサーのところだけ切り取って見せましょうか。

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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』のスクリーンショットから一部を切り取ったものです>

 赤い部分が「この敵」が感知するものです。
 この敵は「電気」には敏感に反応するけど、「熱」は反応が鈍いことが分かります。なので、ここでは「電気エンジン」を切って、「燃料エンジン」に切り替えて、電気を消費するスキャナ(ライト)も切って、電気の消費量を抑えて突破していきましょう。


 「スラスター」は出力を上げると重いものも押し込めますし、「安定装置」を三段階くらい付けると慣性が抑え目になってとても操作しやすくなります。しかし、そうした便利な機能は「音」や「熱」や「電気」を多く消費するので敵に見つかってしまいます。敵に見つからないように、使う宇宙船の機能を切り替えながら進むパズルゲームなんですね。

 また、ゲームパッドの画面をポチポチ押して宇宙船の機能を切り替えている間もゲームは止まらないので、「敵に見つからないようにスラスターの出力を0にする」→ 落下する→ 「敵の捕捉範囲を超えたら地面に激突する前にスラスターの出力を上げて激突を防ぐ」といった二つの画面を見ながら俊敏に動く必要もあります。
 コンソールパネルの操作はボタン操作で代用することも出来るのですが、ボタン操作の方が早いときもあれば、タッチパネルの方が早いときもあるので、それも見極めて使い分けなくてはなりません。

 「テレビの画面だけ観ていてもダメ」「ゲームパッドの画面だけ観ていてもダメ」
 Wii Uの特徴とも言える二つの画面を両方使いこなさなくてはならないゲームということで、『ゾンビU』に近いゲーム性と言えるかも知れませんね。

 そのため、「テレビ画面をオフにしてゲームパッドの画面だけで遊ぶ」ことは出来ません。あくまでWii Uの「二画面を活かしたゲーム」なのです。




 『クニットアンダーグラウンド』はおしゃべりな妖精二匹を引き連れた探索だったのでニギヤカでしたが、こちらはガチで孤独に見知らぬ惑星を彷徨うゲームです。決して倒せない無機質な敵と、なんかうようよしていて気持ち悪い触手に囲まれていて、画面も暗いし、「恐怖」と「孤独」をずっと感じながらのプレイになります。
 だから、プレイに緊張感があるんです。二画面に注意を払いながら、敵に見つからないように上手くやりすごさなくてはならない心細さは半端ないです。

 それでいて、実際に敵に見つかって攻撃されてゲームオーバーになったとしても、すぐ手前のポイントからのやり直しになるので実はそれほどのストレスはありません。この辺は『クニットアンダーグラウンド』もそうでしたね。
 だからすごく遊びやすいのだけれど、『クニットアンダーグラウンド』は隠しステージはそうではなかったな……こっちのゲームはどうだろう……


◇ 難易度変更
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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 難易度は「プロフェッショナル」と「カジュアル」から選べます。
 デフォルトは「プロフェッショナル」になっていたので私は「プロフェッショナル」で始めましたが、「カジュアル」も試したところ……正直、違いが分かりませんでした。序盤だからなのかな。後半になるとまた違うのかも知れません。

 難易度変更は途中からでも出来るみたい。


◇ 複数人プレイ
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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 また、KnapNok Gamesは『わいわい!みんなでチャレンジ』などのパーティゲームを手がけている会社なので、このゲームも三人までの協力プレイに対応しています。海外版のトレーラーもこの「三人プレイ」を推していましたもんね。

 使えるコントローラは、一人は必ず「Wii Uゲームパッド」。
 後は「Wiiリモコン」、「Wiiリモコン+ヌンチャク」、「PROコントローラ」の三種類です。「クラシックコントローラ」は使えません。

 協力プレイでやることは、「役割分担」です。
 この画像で言えば、「航海士」が宇宙船の操縦です。Wiiリモコンを横持ちにして十字キーで宇宙船を動かします。「科学調査員」がスキャナー(ライト)です。ヌンチャクのアナログスティックでライトを照らす方向を定めます。この役割はあんまり面白くなくないか?(笑)
 そして、「Wii Uゲームパッド」の人はオペレーターとしてコンソールパネルを操作します。

 本来なら一人で操作することを、みんなでワイワイ言いながらプレイしてね―――という協力プレイなんですね。これはこれで面白そうです。私は家に友達を呼べるような状況ではないので試せませんが。


◇ どんなに人にオススメ?
・Wii Uゲームパッドを活かした「Wii Uならではのゲーム」を求めている人
・コンソールパネルをポチポチいじってメカを動かすのに燃える人
・アクションパズルゲームが好きな人
・おどろおどろしい雰囲気のゲームが好きな人


 1700円という価格はWii Uダウンロードソフトとしては高めの価格ですし、ゲームの雰囲気は「気軽に遊ぼうぜ!」と言えるものではありませんが、『クニットアンダーグラウンド』の作者が「Wii Uのためのゲーム」として考えてくれたゲームだけあって、このゲームにしかないこのゲームだけの魅力を持ったゲームになっていると思います。

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<画像はWii Uダウンロードソフト『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』より引用>

 ロード画面で表示される画像なんかも種類が豊富な上、HD画質で細かく描かれているだけでなく、日本語の部分はしっかりローカライズされているんですよね。日本語吹き替えのナレーションも入っているし、自分はまだそこまで到達していませんがMiiverseを使った仕掛けもあるみたい。

 「Wii Uのゲームパッドを活かしたダウンロードソフト」なんて恐ろしくニッチな市場だと思うのに、どうしてこんなに気合入れて開発してくれた&ローカライズしてくれたのかと思ってしまったほどです。
 サードがこんなソフトを作って出してくれているんだから、任天堂もニンテンドーダイレクトなんかで紹介してあげたらイイのに。貴重な「Wii Uだけのゲーム」ですよ!

 まだ私は序盤だと思うので、今ならまだ追いつけます!是非一緒にプレイしましょう!
 そして、Miiverseに私が「ここの突破方法が分からない……ボス、助けて」と書き込んだら優しくヒントを教えてください!お願いします!!

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ストーリーが面白いんだから、それでイイじゃないか!『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』紹介(9.5点)

【三つのオススメポイント】
・低予算とは言え、ノベルゲームとして必要最低限の機能はある
・ベタだけど、だからこそ飛びっきりに魅力的なキャラクター達
・ストーリーを語るには、どうしたってネタバレ抜きでは難しい!


『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』
 Wii U用/ノベルアドベンチャー
 ケムコ
 2014年4月9日発売
 1080円(税込)
 セーブデータ数:30(※ユーザーごとに作成可能)
 公式サイト

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 プレイ時間は約22時間
 全エンディングをコンプリート、追加シナリオも全て読みました
 やりこみ要素などを無視したTRUEエンドまでのプレイ時間は16時間でした
 ※ ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
・シリアス展開:◎(中盤からはかなりのシリアスなストーリーが続きます)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:△?(文字だけならそう誤解させるシーンはある)
・人が食われるグロ描写:△(文字だけだけどバッドエンドの中にはある)
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:○(美弥様はもちろん、るみ子さんもそこそこ)
・BL要素:△(BL要素はないけど、BL好きなキャラが出てくる・笑)
・ラッキースケベ:△(公式にはないということだけど、中盤のアレは男子の夢だと思う)
・セックスシーン:×
※ ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

 この記事に書いたNG項目の有無を、実験的にリスト化しました。みなさんそれぞれ気になるところだけ反転させて読んでくださればありがたいです。今後、ストーリー性の強い作品を紹介する際には使っていこうと思います。

 記号は「◎」が一番強くて、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。


◇ 低予算とは言え、ノベルゲームとして必要最低限の機能はある
 このゲームは元々、2013年4月にAndroid用として、2013年10月にiOS用として配信開始されたスマートフォン向けアドベンチャーゲームです。そちらの価格は500円~540円で、更に追加シナリオが1つ120円(多分)で5本販売されているみたいです(そちらの公式サイト)。

 私がプレイしたのは、2014年4月に配信開始されたWii Uのダウンロードソフト版です。追加シナリオ5本を全て含んだ状態で1080円なので、若干お得なのかな……?Wii U版は「テレビ画面でのプレイ」はもちろん、「ゲームパッドの画面だけでのプレイ」も可能です。私は最近小さい文字を読むと目が疲れるようになってきたので、「テレビ画面でのプレイ」が中心でした。

 内容自体に差はないみたいなので、みなさんお好きな機種でどうぞ。


 さて、ケムコのアドベンチャーゲームです。
 「ケムコ」という会社についてどういうイメージを抱いているかは世代によって違うと思うのですが、ファミコン・スーファミ世代の中には「ケムコってまだあったのか!」と驚く人もいるかも知れません。失礼な話ですが、私もWiiウェアにケムコのソフトが出た時「ケムコってまだあったのか!」と驚きましたから。

 ケムコは元々コトブキシステムという会社のゲームブランドで、海外ゲームのローカライズなどを中心に、ファミコンの時代からPS2やXboxの時代までパッケージソフトを出していたそうですね。ファミコン・スーファミ世代のゲーム好きには「ケムコ」の名前は知れ渡っていると思うのですが、「ケムコの代表作は?」と訊かれると答えられない人が多いんじゃないかと思います。
 任天堂なら『マリオ』とか、ナムコなら『ファミスタ』とか、コナミなら『グラディウス』とか、カプコンなら『ロックマン』とか、ポンポン代表作が出てくるのに比べると「ケムコって何を出してたっけ……」とイマイチ地味な印象があります。

 強いて挙げるなら『シャドウゲイト』ですかね。
 しかし、アレも「ローカライズの文章が変」みたいな理由で有名なので、「ケムコ=変なゲーム」というイメージもあるんじゃないかと思います。


 さて、ファミコン時代から生き続けてきたゲーム会社達は、その後みんな激動な人生を進んでいます。スクウェアとエニックスが合併したり、タイトーがそこに吸収されたり、バンダイとナムコが合併したり、ハドソンがコナミに吸収されて名前が消えたり、テクノスジャパンもデータイーストもなくなったり、テクモはコーエーと一緒になってついでにガストも一緒になったり、アトラスはなんかもうすごいことになっていたり。

 ケムコも、寿グループの再編により2004年からコトブキシステム→コトブキソリューションへとブランドが受け継がれ、以後は携帯電話やスマートフォン向けのソフトを手がけていくことになります。そして、この『デスマッチラブコメ』もそうですけど、たまーにそうしたソフトをゲーム機用のダウンロード専売ゲームとして移植してくれるのです。

 ゲーム機がハイスペックになってソフトの開発費が高騰しまくっている中で、(それぞれ事情は違いますけど)大手の会社が他の会社と合併したり、他の会社を吸収したりしつつも、なかなか新作を作れないという現状を尻目に……大作路線に早い段階から見切りを付けたケムコは、比較的小規模な開発で完成させられる携帯電話やスマホアプリやダウンロード専売ゲームに昔ながらのRPGやらアドベンチャーゲームやらを多数展開しているというのは面白い話だなぁと思うのです。


 さて、そんな事情なので……
 この作品も「低予算だなぁ」と思うところは正直あります。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 ゲームは、こんなカンジに「登場人物の立ち絵」+「台詞もしくはモノローグ」+「背景絵」で構成されていて。「立ち絵」のポーズは各キャラ一つずつで、「表情差分」でキャラクターの感情を表現しています。ストーリーが進むと「一枚絵」が出てくることもあるのですが、それも数えるほど。「背景絵」も限られていて、「背景絵を描く余裕がないから不思議空間で誤魔化しています」というのが分かってしまうシーンも目立ちました。

 まぁ……元々は500円前後のスマホ用アプリですからね。
 フルプライスのパッケージソフトでのノベルゲームなんかに比べると、低予算で、作りがチープなところはどうしても目に付いてしまいます。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 システム面も、「フローチャート」のようなものがないのは別にイイとして(さほど複雑な分岐をするゲームではないので)も。「前の選択肢に戻る」のような操作が出来ない上に、「読んだところを少しだけ読み直すことが出来る機能=バックログ」の範囲が短いのがちょっとつらいです。
 「ん?さっき何て言ってたっけ……?」と思って読み返したくても、「バックログ」の範囲を超えちゃっていて、仕方がないから前のセーブデータから読み直したこともあります。「縦読み」のくだりとかな!



 なので、不満点のないゲームではないです。
 元が500円前後のスマホアプリとは言え、1000円前後のダウンロード専売ゲームとして考えるのならもうちょっと何とかしてくれないかなと思うところもあります。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 追加シナリオも、スマホ版なら1本120円とかしたものなのだから頑張って「1枚絵」くらい入れてくれたって良いじゃないかと思わなくもない。お風呂のシーンとかお風呂のシーンとかお風呂のシーンとか。



 でも、「ノベルゲーム」で一番大事なところは「そこか?」って話ですよね。
 「ノベルゲーム」なんだから、「ストーリーが面白い」のならばそれでイイじゃないかとも思うんですね。


 「ストーリーが面白いかどうか」は人それぞれ好みが分かれてしまうので「オススメできるかどうか」を語るのは難しいのですが、私にはこのゲームのストーリーは面白かったし、大好きなストーリーでした。追加シナリオも含めるとプレイ時間が20時間を超えていて、退屈な作業的な時間は皆無でしたし、1000円のダウンロードソフトと考えるとボリュームも申し分ないでしょう。



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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 「低予算」感が溢れているとは言え、必要最低限の機能はちゃんとあります。
 「オート」機能や、高速で進む「スキップ」機能。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 オプションで「文字スピード」や「オートでのスピード」も変更可能。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 「セーブ」&「ロード」もいつでも可能。
 Wii U版は全ての操作が「ボタンだけ」でも、「タッチ操作だけ」でも可能というのも悪くないです。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 ゲームとしては、時折出てくる「二択」を選ぶだけ。
 しかし、このゲーム「主人公が愛を告白されると爆発して死ぬ」という特徴があります。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 これをゲームの構造として分析すると、「正しい方を選べばストーリーが進む」「間違った方を選べば即死亡でバッドエンド」という分かりやすいゲームブックになっていると言えます。ただし、プレイヤーがそれに慣れてきた後半になるとフラグ管理が必要になってきて、最終的にエンディングも複数あります。なので、選択肢の場面ごとにセーブデータを保存しておくことをオススメします。セーブデータも「オートセーブが1つ」+「任意セーブが29箇所」も保存しておけますしね。

 よくよく考えてみると、このゲームの選択肢が基本的に「二択」なのって「るみ子さんを選ぶか乙羽を選ぶか」の二択にかけているのかな。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 「フラグ管理が必要ならゲームとして難しいんじゃ……」と思われるかも知れませんが、バッドエンドになると「どうしてこんな結末になったのか」を解説してくれるキャラが現れます。
 上昇した難易度の救済措置にもなっていますし、今の爆発で巻き込まれた被害規模を教えてくれるなど読み物としても面白いし、バッドエンドを集めるというやりこみ要素にもなっています。ゲーム好きだったら「バッドエンドをコンプリートしたい!」と思う人も多いでしょうし、バッドエンドにこういう遊び心があるところもイイですね。


 なので、「低予算」なことは目に見えてしまうゲームではあるのですが、その制約の中で必要なものをちゃんと揃えてプレイヤーが遊びやすいように考えて作ってあるゲームなので……印象としては、「とても頑張っているゲーム」という印象を持ちます。ダウンロードソフトなんだから、これでイイじゃないか!



◇ ベタだけど、だからこそ飛びっきりに魅力的なキャラクター達
 このゲームの魅力が何なのかを考えると……奇抜な設定や、ノリの良いテキスト、ストーリーの意外性など多々あるんですけど。やっぱり私はこのゲーム最大の魅力は「キャラクター」だと思うんですね。ということで、シンプルにメインキャラ達を紹介していこうと思います。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 まずは、主人公:矢木景。
 高校入学早々、「愛を告白されると爆発して死ぬ」体になってしまいます。頭は悪いけれど、主人公の視点で語られる台詞やモノローグは切れ味があって面白いし読みやすいです。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 次に、Wヒロインの一人:津野るみ子。
 黒髪ロングのお嬢様で、この地域一体では超有名な神社の娘です。近寄りがたくて神々しい典型的なお嬢様キャラですけど、このゲームの場合「彼女が景に告白しようとする」ところから始まるので、お嬢様キャラなんだけど放っておけない気持ちになってくるのが上手いです。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 Wヒロインのもう一人:白詰乙羽。
 主人公:景の幼馴染で、小学生の頃に景がスカートめくりをして以降は景をぶん殴るようになった暴力キャラです。背も胸も小さくて、ジト目が多めの暴力系ツンデレキャラ―――なんだけど、このゲームの場合「彼女が景に告白しようとする」ところから始まるので、るみ子さん同様にその行動が憎めないんですよねぇ。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 主人公の悪友:平木場亜須賀。
 長身金髪ロン毛で、実は成績も優秀なのだけど、景と一緒におっぱい論争に熱くなったりするノリの良いキャラです。るみ子と乙羽という美少女二人に告白されそうになる景に悪態をつきながら、何だかんだ景を助けてくれる熱いキャラです。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 クラスの中心的女子:九段志乃歌。
 亜須賀とは小学生の頃から、るみ子とは中学生の頃からの付き合いで、面倒見がよくて困っている人がいるとついつい助けたくなる姉御肌なキャラです。デスマッチラブコメに巻き込まれた景のことも助けてくれようとします。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 大人しいクラスメイト:東護美弥。
 おっとりとした性格のせいか厄介な友人ができることが多く、友人の少ない乙羽が親しくしている数少ないクラスメイトです。既にこのゲームをプレイした人ならば何となく分かるでしょうが、私がこのゲームのキャラで一番好きなキャラは彼女です。9.5点を付けたこのゲームの魅力の5点分くらいは美弥様の魅力だったと言っても過言ではないほどに。結婚して欲しい(誰ととは言わない)。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 厳格なクラスメイト:有栖隆斗。
 「馬鹿馬鹿しい」が口癖の学級委員で、クールなキャラのように思えて、デスマッチラブコメに巻き込まれた景を助けてくれるキャラです。すっごい面倒くさい性格をしているのだけど、それ故にみんなが見ないように誤魔化している問題点に切り込むようなところもあります。



 この7人がメインキャラです。
 学園ラブコメというか、ライトノベルというかハーレムアニメというか、この手の作品に詳しい人ならばものすごくベタなキャラが揃っているという印象を覚えたかも知れません。「黒髪ロングのお嬢様」「背の小さい暴力ツンデレ娘」「主人公と馬鹿話で盛り上がれる悪友」「面倒見の良いクラスメイト」「おっとりおっぱい」「クールメガネ」……どこにでもいそうなキャラが揃っている、どこにでもありそうな作品と思われたかも知れません。


 でも、この作品はそれでイイんです。
 この作品はラブコメでありながら「主人公が愛を告白されると爆発して死ぬ」という奇抜な設定の作品です。言ってしまえば、「よくあるラブコメ」のパロディのような側面を持った作品なんです。
 「よくあるラブコメ」と同じようなキャラが揃っていて、同じように女のコが主人公を大好きで、同じように羨ましいことこの上ないのに、告白されたら爆発して死ぬんです。だから、キャラクターは「よくあるラブコメ」で良いんです。「よくあるラブコメのキャラクター」達が、「主人公が愛を告白されると爆発して死ぬ」という奇抜な設定の中でどう動くのかというところに独自性があるのですからね。



◇ ストーリーを語るには、どうしたってネタバレ抜きでは難しい!
 さて……
 ここまで「ネタバレにならないように」気を遣って書いてきたこの記事ですが、ストーリーが魅力の作品をオススメするのに全くネタバレしないように紹介記事を書くのは難しいです。なので、ここからは多少のネタバレを含んだ話を書こうと思います。

 「最後はどうなる」みたいなネタバレを書くつもりはありません。
 ただ、この作品がどういう構造の話なのかは語るつもりです。

 なので、私は「なるべくならゲームをやる前には、ここからの話を読まないで欲しい」と思っています。まっさらな状態でゲームをプレイして、TRUE ENDまで進めた上で、ここからの話を読んで欲しいと思っています。
 しかし、こうした紹介記事は「既にゲームを遊び終えた人」も読むでしょうし、ここまでの紹介を読んでも「さほど興味が湧かないなー」と思いながら読んでいる人もいると思うんです。私もそう思いますもの。ここまでの紹介文でこのゲームの魅力を何割伝えられたかといったら1割くらいだと思っています。ネタバレなしで伝えられるのはそんなもんだろうと。



 だから、ここから先は多少のネタバレがあります。
 ここまでの話を読んでも興味が湧かなかった人に興味を持ってもらうために、この作品がどういう作品なのかを語ってしまおうと思います。




 OKですか?

 そろそろ核心部分に触れた話を書きますよ。


 うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ!



 ………そろそろマジメに書きますね。



 このゲームって、本質的には「デス・ゲーム」ものなんですよ。

 タイトルに「ラブコメ」と付いているし、ストーリーが美少女二人から告白されるスタートだし、「愛を告白されたら爆発して死ぬ」なんてコメディにしか思えないし……まだプレイしていない人にとっては、ものすごく馬鹿馬鹿しい明るくライトな話のように思えるかも知れませんが。私は、この作品の本質は「ラブコメ」ではなく「デス・ゲーム」だと思っています。

 「デス・ゲーム」ものとは……
 なんらかの理由で集められた登場人物達が、そこから逃げ出すことは出来ない「死のゲーム」に参加させられて、その恐怖の中で真実にたどり着こうとするジャンルの作品です。有名どころで言えば、『バトル・ロワイアル』とか『SAW』とか、ゲームで言えば『ダンガンロンパ』とか『極限脱出 9時間9人9の扉』とかがありますね。

 同じケムコのアドベンチャーゲーム『トガビトノセンリツ』もそうです。
 というか……恐らくですけど、『トガビトノセンリツ』などの「デス・ゲーム」を題材にしたアドベンチャーゲームを作ってきたスタッフが、もっとライトに誰にでも楽しめる作品を作ろうと考えて、「デス・ゲーム」を題材にしたアドベンチャーゲームのシステムに「学園ラブコメ」の設定やキャラクターをはめこんで出来上がったのがこの『デスマッチラブコメ』じゃないかなぁと思います。


 『デスマッチラブコメ』のストーリーは、「何故、景は愛を告白されたら爆発して死ぬ体になってしまったのか」というところがポイントになってきます。ストーリーが進むと少しずつ真相が見えてくるのですが、どうやら景には学園に伝わる「呪い」がかけられているのではないかという話になって―――誰か「呪い」をかけた“黒幕”がいることが分かるんですね。

 そう。つまり……
 二つ目のオススメポイントで書いた「魅力的なキャラクター」が、全員「容疑者」になるんです。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>


 なので、この作品のストーリーを引っ張る推進力は「この状況を生み出した“黒幕”は誰か」「“黒幕”の狙いは何だ」「主人公はこの状況から抜け出せるのか」という要素になっていて、それでいて「死が隣にある恐怖」が緊張感を生み、その過程で「容疑者となっているキャラクターや主人公の内面が掘り下げられる」ことで物語に多面性が生まれる――――といったカンジで、やっていることは完全に「デス・ゲーム」ものなんですね。

 だから、この作品のキャラクター達は、みんな内面にものすごく暗いものを抱えているのです。じゃないと、「このキャラが黒幕か…?」と疑えませんからね。


 『デスマッチラブコメ』という作品をネタバレなしに説明するのは難しいので、「よくあるラブコメのようでちょっと違う」とか「よくあるラブコメのアンチテーゼ」とか「よくあるラブコメのパロディ」という表現を使う人が多いです。というか、私もついさっき使いました。ただ、私はこの作品は「よくあるラブコメを否定するもの」ではないと思うんですね。

 どっちかと言うと、「デス・ゲーム」というシリアスで重たいジャンルに、「よくあるラブコメ」という明るくて前向きで憎めないテイストを持ち込んだ作品だと思うのです。その結果、「デス・ゲーム」もののシリアスさと緊張感と謎解き要素と、「よくあるラブコメ」の明るさと魅力的なキャラクターと恋愛模様とが融合された作品になったのだろうと思います。


 最初はよく分からない「謎」だらけの話で、「理不尽」にしか思えないのに、そこから徐々に話が見えてきて最終的には「一本の線」に繋がる―――この気持ち良さは「デス・ゲーム」ものの特権だと思いますし、自分がこの作品を大好きな理由でした。「ただのラブコメ」でも、「ただのデス・ゲーム」でも自分はここまで好きにはならなかったと思います。


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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 ヤバイぜ、『デスマッチラブコメ』!



◇ 総括
 ということで、是非オススメです!
 「シリアスな話は苦手」「突然うんこうんこ言い出す主人公は苦手」という人には流石にオススメしづらいですが、「主人公が愛を告白されると爆発して死ぬ」というただキャッチーな一発ネタで惹きつけるだけではなく、この手のジャンルのアドベンチャーゲームを作り続けてきたスタッフだからこそ「この作品にしかない魅力を持った1本」を作り上げることが出来たのだと思います。


 「続編」を求めるファンも多いらしいし、メーカー側も「売れたらその可能性も……」と示唆しているみたいなんですが、個人的にはこの「1作目の衝撃」はどう足掻いても超えられないと思うので……純粋な続編よりも、この魅力的なキャラクター達を使ったスピンオフ作品が見たいかなぁって思います。極論を言うと、このキャラ達を使ったパズルゲームとかでも構わないと思っているくらいです(笑)。

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>

 美弥様、可愛いよ美弥様。
 美弥様が主人公のスピンオフ作品でもイイですよ。


 ケムコ、凄いね。
 「ケムコの代表作は?」と訊かれたら、これからは即答で「デスマッチラブコメ!」と答えると思いますよ!面白かったー!

| ゲーム紹介 | 00:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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何でも燃やして壊せる気持ち良さ!『Little Inferno』紹介(8点)

【三つのオススメポイント】
・戦略性もなく、ただただ燃やして壊す快感だけが楽しめる
・セットで壊すと更に気持ち良いコンボ集め
・シニカルなテキスト、凝っているギミック


『Little Inferno(リトル インフェルノ)』
 Wii U用/パズル(←?)
 任天堂/開発:Tomorrow Corporation
 2015年4月2日発売
 900円(税別)※Wii U eShop専売
 セーブデータ数:3
 公式サイト

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◇ 戦略性もなく、ただただ燃やして壊す快感だけが楽しめる
 この4月に任天堂がWii Uダウンロード専用ソフトとして発売した本作。
 元々はWiiウェア等で展開されて好評を博した『グーの惑星』の作者が開発したソフトで、海外ではWii U初期のダウンロードソフトとして展開されただけでなく、スマホ&タブレット用だったりPC用だったりと幅広い展開がされています(海外の公式サイト)。

 日本語版は恐らく今回のWii U版が初で、任天堂がローカライズすることによって元々は約100種類だったコンボを約300種類に増やしてあるとのことです。これは後述しますが、わざわざニンテンドーダイレクトでこれを強調していたのは「同じ日本語版はWii U以外の機種では出ないよ」ってことなのかなと思います。実際に時期が経てばどうなるかは分かりませんが。


WiiU_screenshot_GamePad_01763.jpg
<画像はWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 ゲームとしては、テレビ画面もしくはWii Uゲームパッドの画面を暖炉に見立てて、Wiiリモコンもしくはタッチペンでアイテムを暖炉に投げ込み→火をつけて→燃やす→出てきたお金を回収する→そのお金で新たなアイテムを購入する→そのアイテムを暖炉に投げ込む、という繰り返しになります。
 文章にすると、「何という作業感」って気になりますね(笑)。


 このゲームが開き直っているところは、プレイヤーに“リスク”とか“戦略性”のようなことを考えさせることなく純粋に暖炉でアイテムを燃やすことを楽しませようとしているところです。

 お金は「カタログでアイテムを注文した時にかかる金額」よりも「そのアイテムを燃やした後に手に入るお金」の方が大きいので、燃やせば燃やすほどお金が増えていきますし……待っていれば虫が暖炉に迷い込んでくるので、その虫を燃やして資金を稼ぐことも出来ます。

 また、バーベキューなどで実際に火を付けたことのある人なら知っていると思いますが、リアルな火は「マッチ→新聞紙のような燃えやすいもの→小枝などの小さなもの→薪の破片→薪」といったカンジに段階を踏んで大きくしていく必要がありますが……このゲームの場合は、マッチからどんなものにでも一発で火が付いてあっという間に燃え広がります。テレビだろうが、目覚まし時計だろうが、一瞬で燃やすマッチ。怖い。


 なので、「効率良くお金を稼げるように燃やさないと」と考えたり、「燃やす順番」を気にしたりする必要はないのです。ただ、闇雲にアイテムを買う!燃やす!お金が出てくる!キモチイイ!というゲームなのです。戦略性は薄いですが、そのおかげで「頭空っぽでもヒャッハー!」と気持ち良さだけを味わえるので自分はこの仕様はとても正しいと思います。


 また、アイテムを燃やして壊した後に出てくるお金は自分で回収しなければなりません。大きなアイテムがあっという間に燃えて朽ちていく爽快感と虚無感の後に、タッチペン(もしくはWiiリモコン)で1つ1つお金を回収して所持金がガンガン増えていくキモチヨサは格別で――――この感覚は、荷物を詰める際に使う梱包材をプチプチ潰しているような爽快感だなと思いました。

 すごく手の込んだ『∞プチプチ』というか。

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<画像はWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>



◇ セットで壊すと更に気持ち良いコンボ集め
 「え?ただ単にアイテムを燃やすだけのゲームじゃ、すぐに飽きちゃわない?」という疑問を持った人もいるかと思います。「お金のやりくり」だったり「燃やす順番」だったりを気にする必要はありませんが、このゲームで唯一気にしなければならないのは「何と何を一緒に燃やすか」というコンボです。


 一例を挙げるとネタバレになってしまいますが、序盤のものなのでどうか御勘弁を。


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<画像はWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 これは「目覚まし時計」と「他人のクレジットカード」を一緒に燃やした時に起こる「時は金なり」というコンボです。


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<画像はWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 コンボはこのようにリストという形で提示されるので、このコンボ名から「カタログに入っているアレとアレを一緒に燃やすとこのコンボじゃないのか……?」と推測して実際に燃やしてみるのがこのゲームの分かりやすい目的になります。正解のコンボを達成すると、どこから聴こえるのか歓声と先ほどの表示と「お急ぎ便のチケット」がもらえます。


 ゲームの進行としては、「このコンボを幾つか達成する」+「所持しているカタログの全商品を1回は注文する」+「郵便で届く頼まれごとをちゃんとこなす」と次のカタログが買えるようになって、新しいカタログを手に入れるたびにストーリーが進むというカンジです。

 最初の内は持っているカタログが少ないので、アイテムの数も限られていて推測も簡単なのですが、後半に行くとカタログの数も増えるのでアイテムの組み合わせも無限大に増えていきます―――しかし、私が2周プレイして確認したところ「理不尽なコンボ」はなく「ちゃんと推理すれば分かるコンボ」ばかりで、ここを考えるのはとても楽しかったです。
 任天堂公式のジャンルだとこのゲームは「パズル」になっていて、「パズル……はて……?」というのが正直なところなんですが、ここを推理させるのが主なゲーム性だと考えると「パズルゲーム」という分類も間違ってはいないのかなぁ。個人的には「パズルゲーム」よりももっと幅広い人に魅力を感じてもらえる「ただキモチイイだけのゲーム」だと思うんですけど。



 ただ、このコンボの仕組みについて納得がいかないところが一つあります。
 ニンテンドーダイレクトの説明でも、紹介映像でも、このコンボが「300種類くらいある」という説明がされています。しかし、1周のプレイで出てくるのは99種類+1だけなんです。公式サイトによると「300種類以上の中から99種類が選ばれる」とのことです。

 単純に計算しても、全部のコンボを体験するには最低でも「4周」はプレイする必要があります。選ばれるのは恐らくランダムですから、実際にはもっと必要かも知れません。しかし、セーブデータは「3つまで」しか作れません。「コンボは300種類くらいある」と言われても、実際にユーザーはそこまで体験できないんです。

 この仕様は「何周も遊ばせたかったから」なのか、「人によってプレイ内容が違うことを楽しんで欲しかったから」なのか、「元々のプログラム上100種類までのコンボしか認識できないから、ローカライズで300種類に増やしてもその内の99種類を選ぶしかなかったから」なのかは分かりませんが――――任天堂がローカライズした版の魅力として大々的に挙げられた「300種類以上のコンボ」が、実際には「その内の99種類が選ばれるだけです」というのは拍子抜けでした。


 こういうコンボって「意図しなかったコンボを達成して高得点が起こった!」みたいのが楽しいんであって、プレイごとに選ばれるコンボが変わりますよって言われてもそれでゲームが面白くはならないと思うんですけどね。
 なので、別に「任天堂がローカライズした版」だからこその魅力は薄いと思いますし、英語が読める人だったら他機種で英語版をプレイしても全然問題はないかなと思います。



◇ シニカルなテキスト、凝っているギミック
 とは言え、英語が読めない人にとっては、日本語で書かれている「毒っけたっぷりのテキスト」は魅力的かなとも思います。これは任天堂のローカライズの力というより、元々の海外版の持っている魅力だと思いますが。

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 やみつきサプリメント「国際的に使用が禁止された薬ですが、本当は安全です!」


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 弁護士のブリーフケース「正義の味方 弁護士を装う時に効果絶大。」

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<画像は全てWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 火の車の地球「本当はそんなことはありません。すべてあなたの空想です。」



 また、アイテム一つ一つの「燃やされた時のギミック」がすごく凝っているのもこのゲームの魅力の一つです。紹介映像で出てきたので言えば、「とうもろこし」を燃やすと「ポップコーンになる」とか、「他人のクレジットカード」を燃やすと「お金が湧き出て燃える」とか。
 そのギミックのブラックさも面白ければ、コンボ目当てに複数のアイテムを一緒に燃やしていると、そこに相乗効果が生まれてトンでもないカオスなことになります。ただ単に「アイテムがある、燃える、なくなる」だけじゃなくて、様々なことが起こるからこそ面白いのです。



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<画像は全てWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 ん……?
 ドット絵の木……?


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<画像は全てWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 『ダックハント』じゃないか!!



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<画像は全てWii U DLソフト『Little Inferno』より引用>

 横に一列揃うと……



◇ 総括
 コンボの仕様に関しては手放しには誉められないし、1周のプレイ時間は短めでそんなに何周も遊んで楽しいものではないと思うんですが―――プレイヤーにどういう体験を味わって欲しいのかを考えて、その邪魔になるような成分は省き、魅力を増すような成分だけを加えた割り切った仕様は最高でした。


 個人差はあると思いますが、1周のコンボのコンプリートまで5~6時間くらいですかね(←ネタバレ防止のため、反転してください)。セールが終わった現在の価格だと高く感じる人もいるかなぁとは思います。
 海外版各機種の価格を見ると、Steamでは980円とのことですが、iOSのHD版が600円iOSの通常版が360円Androidの通常版が359円とのことで……日本語ローカライズしてくれているとは言え、Wii U版の現在の972円は割高に思えてしまうかも。

| ゲーム紹介 | 17:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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Wii U向けに手堅く再利用。『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』紹介(5点)

【三つのオススメポイント】
・DSソフトを、しっかりとWii U用ソフトに再調整
・定番から奇抜まで楽しめる多彩なステージ
・Miiverseの可能性を感じる「みんなの手がかり」機能



『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』
 Wii U用/脱出
 ディースリー・パブリッシャー/開発:インテンス
 2014年8月6日発売
 1000円(税込)※Wii U eShop専売
 セーブデータ数:1(ユーザーごとに作成できます)
 公式サイト

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◇ DSソフトを、しっかりとWii U用ソフトに再調整
 まさか自分がこの説明を書く日が来るとは思いませんでしたが……

 SIMPLEシリーズとは、1998年10月から続いているディースリー・パブリッシャーの低価格ソフトのシリーズです。フルプライスで発売したソフトを安くして再発売するのではなく、最初から定価1500円や定価2000円といった低価格で発売していくシリーズなのです。

 SIMPLEシリーズが始まった頃の日本のゲーム業界と言えば、NINTENDO64で言えば『ゼルダの伝説 時のオカリナ』とか、プレイステーションで言えば『ファイナルファンタジーVIII』といった超大作のソフトが発売される一方で、開発期間の長期化で斬新なアイディアの提供が難しくなっていると言われていた時期です。
 SIMPLEシリーズはその時代において、「何でも詰め込んだ超大作」ではなく、『THE麻雀』のように一つのアイディアをシンプルに仕上げて低価格で提供という逆方向の路線に進んだんですね。その結果、『THE麻雀』のような定番ソフトや、『THE 地球防衛軍』のようなアイディア溢れるソフトが生まれたのです。


 この路線は時代を先取りしていたとも言えて、例えば2005年の『脳トレ』や2006年の『Wii Sports』のような任天堂の「大作ではないアイディア勝負のソフトを低価格で提供」路線に通じていますし。現在のダウンロード専売ソフトで各社が提供しているアイディア勝負の路線を、パッケージソフトしかなかった時代からやっていたのがSIMPLEシリーズだったとも言えますね。

(関連記事:Wiiが成し得なかった“革命”~その1.アイディア勝負のWiiウェア


 SIMPLEシリーズは1998年にプレイステーション用ソフトで始まり、ドリームキャスト、プレイステーション2やゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDS、PSPなどなど、多機種に展開していて、今でもパッケージソフトで出ていないこともないのですが……先ほど書いたように現在だと「一つのアイディアをシンプルに仕上げて低価格で提供する」路線は各社がダウンロード専売ソフトで展開しているため、SIMPLEシリーズもダウンロード専売ソフトが主流になっています。

 特に3DSのダウンロード専売ソフトでは、SIMPLEシリーズというか「密室からの脱出」シリーズじゃねえのかこれというくらいに「密室からの脱出」を展開していて、それなりの人気になっているみたいですね。


 ようやく本作の話に入ります。
 このゲームは、2008年にニンテンドーDS用のパッケージソフトとして発売された『SIMPLE DSシリーズ Vol.45 THE 密室からの脱出2』公式サイト※音が出ます)をWii U用のダウンロード専売ソフトとして移植したものです。
 言ってしまえば、「元々ダウンロード専売ソフトっぽいパッケージソフトだったSIMPLEシリーズ」の中でも「近年ダウンロード専売ソフトで人気の脱出ゲーム」を、ダウンロード専売ソフトとして再利用したというカンジなんですね。



 自分はDS版は未プレイなのですが、DS版の攻略サイトなんかを見る限りゲーム自体は大きく変わっていないみたいですね。公式サイトのスクリーンショットと見比べてもらえば分かりますが、グラフィックや文字などはWii U向けに見やすくなっています。

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<画像はWii U版『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』より引用>


 Wii Uなので、-ボタンを押すと「ゲームパッドの画面のみでのプレイ」に切り返ることが可能ですし、テレビ画面との二画面で遊びたい時もYボタンで表示される画面を入れ替えることが可能です。操作はタッチペンでもアナログスティックでも可能で、コントローラが二つあれば2人同時プレイも可能です。

 この手のゲームで「2人同時プレイ」を活用する人がいるのかは分かりませんが……
 バーチャルコンソールのような「そのままの移植」ではなく、しっかりとWii U用に再調整している辺りは好感が持てます。



 ただ、ゲームを起動した直後の「ステージ選択画面」でやたら「ステージ1:改札」を選ばせたがる仕様は閉口ものでした。

WiiU_screenshot_GamePad_015ED.jpg
 MiiverseをONにして、

WiiU_screenshot_GamePad_015ED_20150311203340bf9.jpg
 通信中にもカーソル(オレンジ色の枠)が動かせるのですが……

WiiU_screenshot_GamePad_015ED_20150311203429d5e.jpg
 カーソルは動いているのに画面は切り替わっていないので、このままAボタンを押すと「ステージ1:改札」が始まるという謎仕様!よりによって「ステージ1:改札」は冒頭の長い主人公のモノローグを読まないとメニューに切り替えられないので、間違えて「ステージ1:改札」を選ぶと死んだ目でモノローグが終わるのを待たねばなりません。


WiiU_screenshot_GamePad_015ED_20150311204121dfe.jpg
<ここまでの画像はWii U版『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』より引用>

 また、他のステージのセーブデータがある場合、「ステージ1:改札」を始めてしまうと他のステージのセーブデータが削除されてしまうのですが……「あ!間違えた!このままじゃセーブデータが消えちゃう!」と気付いて反射的にBボタンを押すと、セーブデータが消えて「ステージ1:改札」が始まるという。ここ、AボタンとBボタンが逆じゃないの……?


 私はセーブデータを間違えて消してしまったことは1度だけでしたが、他のステージを始めたいのに「ステージ1:改札」を始めてしまったことは6~7度ありました。その度に、死んだ目で主人公の長いモノローグをスキップし続ける日々でした。


◇ 定番から奇抜まで楽しめる多彩なステージ
 「そもそも脱出ゲームって何?」という人もいると思うので、そこから説明します。
 恐らく、ジャンルの系譜としては『ポートピア連続殺人事件』とか『逆転裁判』といったテキスト型アドベンチャーゲームの一種だと思います。プレイヤーが何もしないと状況は変わらないのだけど、“正解の行動”を取ることで状況が変わってストーリーが進むというゲームです。

 『逆転裁判』なんかは特に「ストーリーを楽しむ」部分に比重が置かれていてそのためのテンポや演出が考え抜かれているため、“正解の行動”を考える難易度はそれほど高くないですが……
 脱出ゲームは、ストーリー部分はそれほど重視されていなくて、“正解の行動”を考える部分に比重が置かれているのが特徴だと思います。テキスト型アドベンチャーゲームの中から、ストーリー面を強化したのが『逆転裁判』で、ゲーム面に特化したのが脱出ゲームというカンジですかね。なので、難易度はかなり高いです。


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<ここまでの画像はWii U版『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』より引用>

 特定の場所に閉じこめられてしまった主人公を、そこにあるアイテムを使ったり、対象物を動かしたりして脱出させるとステージクリアです。


 「コマンド総当り」でクリア出来たかつてのテキスト型アドベンチャーゲームと違い、タッチできる場所は多く、アイテムを組み合わせたり、タッチペンをスライドさせて対象を動かしたりする必要もあるのでしっかり考えなくてはなりません。DS版発売当時の開発者のコメントによると「誰でもクリア出来るような難易度にはしない」という思いで作られたゲームだそうなので、難易度は相当高いです。

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<ここまでの画像はWii U版『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』より引用>


 閉じ込められる場所は、「飛行機」や「電車」など身近な場所から、こんなとこまでというトンデモないところまであるし、シチュエーションも凝っています。ゲームとしてもただ単に同じことを続けさせるだけでなく、アクション要素とかスライドパズルとかシミュレーションっぽいところなんかもあって盛りだくさん。

 まぁ、そこはね……賛否両論あるかなとは思いますけど。
 色んな要素を詰め込むと「こんなに色んなことが出来て嬉しい!」とは思われず、「これだけはやりたくなかったのに!」と思われてしまうものですから。かくいう私もシミュレーションっぽいところは大好きでしたが、スライドパズルが大嫌いなので、パズルが何度も出てきたのは本当に辛かった……何十回やっても上手く行かなかったので、結局攻略サイトに頼ることになりました。

(関連記事:「アクションゲームが苦手な人でも安心して楽しめます!」の裏表



 あと……ホントもうこれは「個人の好み」だからどうしようもないですし。
 「みんなもそうでしょ?」なんて言う気はなくて、あくまで「私の好み」でしかない話を書くんですけど。

 私は、脱出ゲームが嫌いなんだとつくづく痛感しました。

 これまでも何本か脱出ゲームをプレイしてあまり楽しめなかったのですが、それらのゲームは脱出ゲームとしても評判が良くないものだったのでそのゲームの責任だと思っていたんですね。しかし、このゲームは元のDS版は相当の評判の高さだったゲームです。
 脱出ゲームの決定版とも言えるこの作品ですら、私は楽しめなかったのです。それはもうこのゲームの責任じゃなくて、「脱出ゲーム」というジャンルそのものが私に合っていないだけだと思うんです。



 例えば、『ゼルダの伝説』シリーズとか『ラビ×ラビ』シリーズのようなアクションパズルゲームも「正解の行動を取らなければ先に進めないゲーム」です。私はそちらは大好きなので、この脱出ゲームも楽しめるかなと思っていたのですが……この二つのジャンルは似たジャンルどころか、むしろ正反対のジャンルなんだと今回思い知りました。

 アクションパズルの場合、基本的にどのステージでも「キャラクターの出来ること」は共通です。どのアイテムを使うのかとか、どのアクションを使うのかという選択肢は決まっていて、その選択肢の中からどうやってステージを解いていくのかを“思いつく”ゲームだと思うのです。
 なので、「正解が分からない」場面に遭遇してゲームが進まなくなったとしても、ゲームを起動していない時も一日中「アレをこうすれば……」「ひょっとしてこっちを使うのか?」と考えることが出来ますし。寝ようと思って布団に入った瞬間に「閃いた!」となったりします。


 一方の脱出ゲームはというと、アイテムは基本的に現地調達ですし、状況によって「キャラクターの出来ること」は違います。キャラクターに何をさせるのかというよりかは、そのステージに隠されている正解を“見つける”ゲームだと思うのです。
 なので、ゲームを起動していない時に正解を思いつくのは難しいですし、どうしても「開発者の考えた正解ルートを探すだけ」のゲームに思えてしまったのです。


 もちろんこれは「二つのジャンルは正反対だ」というだけの話です。
 どちらが優れているという話ではなく、私はアクションパズルが大好きだけど脱出ゲームが好きになれないし、逆に脱出ゲームが大好きだけどアクションパズルが嫌いな人もいるだろうし、両方好きな人もいるだろうし、両方嫌いな人もいるだろうって思います。

 ただ、同じような「正解の行動を取らなければ先に進めないゲーム」であっても楽しみ方は正反対なことを書いておきたかったのです。



 そもそも、ここをツッコんだらキリがないじゃんって話なのかも知れませんが……あと、どうしても気になってしまうことがありまして。

 ネタバレにならないように、なんかそれっぽいものを考えて例として書くんですけど。
 「金庫のキーナンバーが分からない!」→「車輪に書かれている数字と、雑誌にはさまっているメモに書かれた数字と、黒板に書かれた記号を鏡に反射させて見えた数字を合わせたものがキーナンバーだ!」みたいなことが脱出ゲームではよくあります。

 どうして?

 なんでそんなとこにナンバーが書かれているの?誰が書いたの?何のために書いたの?
 状況の不自然さに納得がいかないんですね。出題者の意図に合わせた回答をしなければ正解にならないので、自分で脱出方法を考えるんじゃなくて、出題者の意図を探すゲームになっていて……自分はこれが好きになれませんでした。脱出ゲームが好きな人には申し訳ないですけど、自分の肌には合いませんでした。
 

◇ Miiverseの可能性を感じる「みんなの手がかり」機能
 とは言え、自分には何にも響くところがなかったゲームかというとそうでもなくて……
 Wii U版で新たに追加された「みんなの手がかり」機能はすごく面白くて、色んなゲームもこれを応用していけばイイのにと思ったほどでした。言ってしまえば、Miiverseを利用したヒント機能です。


WiiU_screenshot_GamePad_015ED_20150312155345538.jpg
 メニュー画面左端の、「?」マークが「みんなのヒントを表示」で、「豆電球」マークが「自分でヒントを投稿」です。

WiiU_screenshot_GamePad_015ED_20150312155458f5b.jpg
 投稿できるのは20文字だけと短く、イラストの投稿は出来ません。

misshitsu.jpeg
<ここまでの画像はWii U版『@SIMPLE DLシリーズ for WiiU Vol.2 THE 密室からの脱出2 ~消された19の記憶~』より引用>


 Twitterに「この機能は面白い!」と書いたところ、「自力で解く気のないヤツは嬉しい機能だろうな」と皮肉を言われたんですけど……この機能、ただのヒント機能ではないんです。ただヒントが欲しければ攻略サイトを見ればイイだけです。この機能の面白いところは、ヒントが欲しいのに「ノイズ」に邪魔されてしまうところなのです。

 この投稿は各ステージごとに紐付けされて、一度に表示されるのは4つだけ。しかも表示される時間は短いです。「自分は既に通過してしまったところ」のヒントが書き込まれていたり、逆にまだ「自分はそこまで到達していないところ」のヒントが表示されたりするので、絶妙に自分の欲しいヒントがなかなか出ないもどかしさもあります。


 また、上のスクリーンショットを見れば分かるように、ヒントを書き込む欄だというのに「ここが分からない!教えて!」と質問する人が多いのです。更に、それを注意するように「ここは質問を書き込むところじゃない!ヒントを書き込むところだ!」的な投稿も多く、上のスクリーンショットの場合は4つの投稿の内2つがヒントでも何でもない「ノイズ」だという。

 その上……こういう有志のヒント機能だから、面白がって敢えて“嘘”を書き込む人もいるんですね。
 自分が経験したことがあるワケじゃなくて、どこかで聞いた話ですけど……推理小説を古本で買ったら、前の持ち主が序盤に「コイツが犯人です」と書きこんでやがって、うわー台無しだよーと思って読んでたのだけど。中盤辺りからどうも様子がおかしくて、実は犯人は別な人で、前の持ち主が面白がって“嘘”を書き込んでいただけ―――という話があります。

 この「みんなの手がかり」はそれに似た面白さがあります。


 『クニットアンダーグラウンド』の紹介記事には、Miiverseが「冒険者達の情報交換の酒場」みたいだったと書きました。Miiverseの特性上、相手のアカウントの顔が見えるので顔を突き合わせて情報交換している感覚があったのですね。
 こちらは逆に、アカウント名も相手の顔も分かりません(※1)。たった数秒、20文字の4つの投稿が表示されるだけですから……擬似的な匿名性の感覚があって、便所のラクガキのように敢えて“嘘”を書く人が出てくるというのが面白かったです。

(※1:Miiverseのコミュニティで過去の投稿を探していけば分かりますけどね)


 脱出ゲームを“「開発者の考えた正解ルートを探すだけ」のゲーム”と書いた私ですけど、Miiverseのヒント機能がこんな風に使われるのは想定していなかったでしょうし、大量のノイズの中から自分の欲しいヒントを厳選するという新感覚の楽しさが味わえました。

 また、ステージが後半になればなるほど投稿する人も減っていって、自力で解かなくちゃならなくなっていくのも、ストーリー展開とも相まって盛り上がっていく要素にもなっていました。



 これは過去に発売したソフトの再利用だから許された仕様なのかも知れないし、今のままだと問題もあるのかも知れませんが、こういうSNSを活用したアドベンチャーゲームはまだまだ新たな可能性があるなぁと思いました。


◇ 総評
 私自身が脱出ゲームというジャンルが好きではなかっただけなので、ちゃんとした評価みたいなことが出来なくて申し訳ないのですが……
 1000円のダウンロード専売ソフトとして考えると、元々がパッケージソフトなだけあって大ボリュームで色んな遊びを詰め込んでいて、Miiverseを利用した新感覚の遊びも生まれていて、脱出ゲームが好きな人にはオススメできる一本なんじゃないかなと思います。ただし、難易度はかなりのものなので覚悟はしてください。



 「好きではないジャンルのゲームに手を出して、好きじゃないからというだけで酷評をする」のは誰も喜ばない行為だというのは分かっています。ただ、このゲームをプレイするまで自分は脱出ゲームが嫌いだということを自覚していなかったんですね。アクションパズルが大好きだし、『逆転裁判』のようなアドベンチャーゲームも大好きだし、嫌いになる要素なんてないと思っていたんです。

 「じゃあ紹介記事を書かないという手はどうだ」とも考えましたけど、昨年散々書いたように「どうしても好きになれなかった」経験も書いていかないと自分の好みが伝わらないなと思うのです。
 好きな人には申し訳ないし、作った人達にも申し訳ないですが、このブログはあくまで私個人の好みを書く場所なので「コメント欄が炎上するのがイヤだから、本当は5点だけど7点を付ける!」とかやっちゃいけないと思います。御理解いただけたらありがたいですし、いただけなくても今後もこういうスタンスでいくつもりです。

(関連記事:レビューに点数を表示したくなる気持ち……分かります!
(関連記事:レビューの点数は「絶対評価」ではない
(関連記事:面白くなかったゲームにも、「レビュー」を書くべきか

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とうとう見えたMiiverseの真価。『クニットアンダーグラウンド 』紹介

【三つのオススメポイント】
・広大なマップに「さぁ!どこにでも行けばイイさ!」と投げ出される自由さ
・操作してキモチイイ、そして歯ごたえ十分の「アクションパズル」
・「宗教観」「恋愛観」「文明観」「人生観」……パズルのピースから何を想う?


『クニットアンダーグラウンド 』
 Wii U用/地底探索摩訶不思議アクション
 フライハイワークス/開発:Nifflas' Games.
 2014年8月20日発売
 1200円(税込)※Wii U eShop専売
 セーブデータ数:1
 公式サイト

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任天堂 2014-11-13
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 本体のリンク貼ったら、マリオカートの紹介記事みたいになっちゃったな……
◇ 広大なマップに「さぁ!どこにでも行けばイイさ!」と投げ出される自由さ
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<画像はWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>

 実績コンプして、2周目もクリアしたのでようやく紹介記事が書けます!


 『クニットアンダーグラウンド』は元々スウェーデン人の開発者が作ったPC用のインディーゲーム『Knytt Underground』のローカライズ作品です。この作者による『Knytt』シリーズは3作目。前の2作はローカライズされていませんが、PC用のフリーゲームとして日本からでもダウンロードして遊べるのでついでに紹介します。
 しかし、前2作を遊んでいないと楽しめないなんてことはなく、『クニットアンダーグラウンド』から遊んでも問題なく楽しめることは最初に書いておきます。


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<画像はPCゲーム『Knytt』より引用>

 『Knytt』公式サイト
 シリーズ1作目。
 おサルのクニットがUFOにさらわれたのだけど、そのUFOが見知らぬ惑星に不時着して壊れてしまいます。
 プレイヤーはクニットを操作して、見知らぬ惑星に散らばった「UFOの部品」全て探し出してUFOを修理することが目的のゲームです。細かい差はあるけれど、クニットの操作感覚と操作性能は『クニットアンダーグラウンド』のミィとほぼ一緒です。

 日本語ローカライズはされていませんが、ほとんど台詞はないのでローカライズのしようもないかも。ゲームコントローラには対応していないみたいですが、私はJoyToKeyを使ってコントローラでプレイしました。フリーゲームなので、興味のある人は気軽にどうぞ。


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<画像はPCゲーム『Knytt Stories』より引用>

 『Knytt Stories』公式サイト
 シリーズ2作目。
 少女ユニを操作して、滅び始めている世界を食い止めることが目的のゲームです。前作のクニットが「最初から全ての能力が備わっている」マリオタイプのゲームだったのに比べて、今作のユニは「見つけたアイテムによって能力が増えて探索できるエリアが広がっていく」ゼルダやメトロイドタイプのゲームになっているのが特徴です。
 「行かなければならない場所」は最初から分かっているのですが、そこに行くだけの能力が最初はないので、世界を探索してユニの行動範囲を広げていく必要があるんですね。最終的にユニは、『クニットアンダーグラウンド』でも出来ない「二段ジャンプ」や「傘をパラシュートのように使ってゆっくり落下」ということまで出来るようになって楽しかったです。

 こちらもPC用のフリーゲームとして公開中。英語の台詞は前作より増えているけど、翻訳サイトがあれば何とかなるレベルかな……
 ちなみにこのゲーム、自分だったり他人だったりが作った「自作ステージ」を追加出来ます。なので「Stories」というタイトル。永遠に遊び終わりそうにないので、自分は最初から入っているのだけクリアしたところで引き上げました(笑)。
 ユニの名前は『クニットアンダーグラウンド』でも「語り継がれる物語の主人公」として、チョコチョコと登場します。でもまぁ、知らなくても『クニットアンダーグラウンド』は楽しめるとは思います。


 前2作とも「アクションパズル」の要素は弱め、ストーリーも「英語が読めなくても問題ない」と言われるレベルですが、「探索」の楽しさと、BGMを含めて雰囲気が素晴らしいとフリーゲーム愛好者の間ではそれなりに有名なゲームだったそうですね。
 また、自分はクリアしてから知ったんですけど……「クリア」だけではない「隠し要素」も多いソフトだったそうです。


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<画像はWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>

 ということで、『Knytt Underground』。
 シリーズ3作目にして初の有料ソフトです。海外ではPCゲームだけじゃなくて、PS3やVitaでも発売しているみたいですね。日本ではフライハイワークスさんがローカライズしたWii U版だけが発売されています。

 有料ソフトなので……

・画面サイズが大きくなって、背景もHDグラフィックに
・マップがとてつもなく広大になり、自由度も跳ね上がる
・「人間形態」と「ボール形態」を使い分けることで、アクションも多彩に
・アクションパズルの要素が強まった分、「死んでもその場で復活」するように
・住人との会話の要素が加わり、世界観の描写が細かくなる
・住人からの依頼「クエスト」の要素なども追加


 ……といったカンジに、ありとあらゆる部分がパワーアップしています。
 しかし、このシリーズの根っこにあるのは“「探索」の楽しさと、BGMを含めて雰囲気が素晴らしい”ってとこだと思うんですね。そこは3作目でも変わっていないどころか、とてつもなく強化されています。


 ネタバレになってはいけないので、全て埋まっているものではなく、プレイ途中のマップを貼り付けておきます。「こんなにマップ広いの!?」と呆れてもらいたいので。

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<画像はWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>

 しかし、ただ広大な世界に放り投げるだけではありません。
 第1章、第2章はチュートリアル&プロローグみたいなものなので、第3章の話をしますが……主人公は「世界を救うために6つの鐘を鳴らして来い」という冒険に出ることになります。マップには6つの鐘の場所が最初から描かれているので、そこに行けばイイ。
 ただ、その鐘の前にはゲートを作って通せんぼをしている人がいるので、ゲートを開けてもらいたいのだけど「アイテムかコインを幾つよこせ!」と言ってきます。なので……『Knytt』では「UFOの部品」を集めたように、『Knytt Stories』では「ユニのパワーアップアイテム」を集めたように、『クニットアンダーグラウンド』では「ゲートを開けてもらうアイテムかコイン」を探索して集めるゲームなんですね。

 でも、全部を集める必要はありません。
 最低限の数だけ取ればイイし、マップも行きたくなければ行かなくてイイ場所ばかりです。
 なのに、アイテムは全部集めたくなるし、マップも全部埋めたくなりますよね(笑)。そういうゲームなのです。

 行った場所にアイテムがあれば「i」のマークが付くし、クエストを言ってくる住人がいたら「Q」のマークが付き、クエストで頼まれた場所は光って教えてくれます。
 Wii Uなので、テレビ画面をメインモニターにしていると、ゲームパッドの画面で常にマップの確認をしながらプレイ出来ますし。テレビ画面を使わずに、ゲームパッドの画面をメインモニターにしている時は、Xボタンで即座にマップが表示されます。

 広大なマップに放り投げられるゲームなんですけど、プレイヤーを放置させるんじゃなくて、しっかり「親切」に「遊びやすい」んですね。



 また……こんなにマップが広大なのに、クリアとは関係のない「マップにはない隠し要素」も無茶苦茶多いこのゲーム。ハッキリ言って自力では見つけられなかった要素もたくさんありました。そしてこのゲーム、以前にも書いたようにマイナーすぎて攻略サイトがありませんでした!

 だから……ものすごくMiiverseに一体感があったのです。
 攻略サイトがないことで、逆に「そこはどうやって行ったの!?」「実績がどうしても見つからない!」とMiiverseで情報を交換する文化が出来ていて―――
 あの当時、一緒にこのゲームを遊んでいた人達は「一緒にこの未開の地を冒険した仲間」という感覚がしましたし、Miiverseは「冒険者達の情報交換の酒場」みたいでした。最近このゲームを始めたという人も、Miiverseの書き込みを辿って「先人達が遺した宝の地図」を頼りに進めているという話で。

 このゲームの持つ「探索要素」と、このゲームがマイナーなことによる「攻略サイトがない問題」と、なのに自力で見つけるのは果てしなく難しい「隠し要素」と、Miiverseによる「情報共有の楽しさ」が奇跡的にマッチして……多分、1980年代の『ドルアーガの塔』をアーケードで遊んでいた人達はこんなカンジだったのかなぁと思う貴重な体験が出来ました。

 ホント……一生忘れないMiiverseの思い出だと思いますよ。
 元々はPC用のゲームで「Wii Uのために作られたゲーム」ではないんですけど、こんなにMiiverseが真価を発揮したゲームはなかったというくらい「Miiverseでゲームが面白くなった」体験でした。

(関連記事:Miiverseを実装した任天堂の未来は
(関連記事:昔の名作ゲームを今遊んでも100%の面白さを味わえるワケがない



◇ 操作してキモチイイ、そして歯ごたえ十分の「アクションパズル」
 前2作にもそういう要素がなかったワケではないのですが、今作は「探索」に加えて「アクションパズル」の要素が強くなっています。アイテムのある場所に行くには、「アクション」の腕と「パズル」のアイディアがなければたどり着けない――――というカンジに。

 私は2Dの「アクションパズル」が大好きなのですが、「アクションパズル」というジャンルのゲームはどこが一番大事なのかを考えると「操作してキモチイイ」ことだと思うのです。自キャラの動きに、それだけの魅力がないとダメだろうと。
 ボタンを押した時のレスポンス、難所を越えた時の爽快感、そして何より「このゲームでしか味わえないキモチヨサ」が「アクションパズル」には必要だと思うのです。

 (人によってはアクションパズルだとは思っていないでしょうが)2D『ゼルダ』シリーズにおける、「ダッシュ」のスピード感と、草を次々と刈っていく感触。
 『ラビ×ラビ』におけるアリスとリリの「二段ジャンプ」の浮遊感、『ラビラビ外伝』のサンダーやメテオの爽快感……「アクションパズル」の肝は、私はこうした操作のキモチヨサだと思っています。


 さて、『クニットアンダーグラウンド』。
 第1章は「人間形態」のミィを操作して、第2章は「ボール形態」のボブを操作します。第1章と第2章はチュートリアル&プロローグみたいなものなので、第3章からが本番。「人間形態」と「ボール形態」を切り替えながら遊ぶ骨太アクションパズルとなっています。

 操作方法は……
 「移動」が、十字キーか左アナログスティック。
 「ジャンプ」が、Bボタン。
 ボール形態の時のみ、Yボタンでバウンドを抑えることが出来ます。
 「形態の切り替え」は、RボタンかZRボタン。
 「特殊技」が、LボタンかZLボタン。
 人間形態の場合は「光の力」を使い、ボール形態の場合は「サンダーロープ」を使います。これはどちらも「その場所にあるギミック」を使うのであって、常に使えるワケではありません。

 アクション操作はこれだけ。
 Aボタンで「話す」「調べる」、Xボタンで「マップ画面に切り替え」、-ボタンで「アイテム画面」、+ボタンで「ポーズ」なんかもありますが……アクションで使うボタンは上に書いたものだけなんですね。これでアレだけの多彩なアクションをするんだからなぁ……


 「人間形態」の時は、緻密な操作が出来ますし、壁に張り付くことが出来るのですが……ジャンプ力が低いです。
 「ボール形態」の時は、勝手にバウンドされたり大変なのですが、バウンドを活かせば高いジャンプが出来ます。

 この2つを切り替えて……例えば、
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 「人間形態」のジャンプでは届かないところも……

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 「ボール形態」でバウンドして……

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 空中で「人間形態」に戻って、壁に張り付く!!

<画像は全てWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>


 「ボール形態」のバウンドの浮遊感と、「人間形態」に戻って壁にピタリと張り付く感覚がキモチイイのです。また、これを応用して、「高いところからボール形態で落ちて高くバウンドして、空中で人間形態に戻って反対側の壁に張り付く」などの多彩なアクションが可能です。
 自分は「実績コンプリート」+「2周目クリア」のために2ヶ月間ずっとこのゲームを遊んでいましたが、「自分の手足のようにキャラが動く」ことと「手足以上の動きが出来る」ことの両方があったからこそ、60時間以上遊んでも全く飽きることなく遊べたんだと思います。



 アクションパズルとしては……マップに表示される「通常ステージ」は、どうやって突破するかというアイディアが重要な「パズル」要素が強めで。
 マップに表示されない「隠しステージ」は、通常ステージで使ったアイディアをフル動員して腕で勝負する「アクション」要素が強めかなーと思います。

 特に「隠しステージ」は鬼のような難しさで「ふざけんじゃねえぞこんにゃろう!」という冒険者達の悲鳴がMiiverseに投稿されまくっていたのですが……自分も含めて「こんなんクリア出来るかボケエ!」と言っていた人が、その後に「クリア出来たーーーー!」と言っているのを何度も見たので、難易度調整としてはひょっとして絶妙なのかもと思いました。

 「これ、俺はクリア出来たけど、みんなはクリア出来ないんじゃないの?」と全員に思わせるゲームこそが、最良の難易度調整だって言われますもんねー。



 数少ない不満点を挙げるなら、「キーコンフィグできるようにして欲しかったなー」とは思いました。
 先ほども書いたように、アクション操作は「移動」+「Bボタン」「Lボタン(ZLボタン)」「Rボタン(ZRボタン)」と3つのボタンを使います。私……「Lボタン」と「Rボタン」がしょっちゅうごっちゃになっちゃうんですね……

 また、ゲームパッドを太ももの上に置いて操作していると、夢中になった時に「ZLボタン」「ZRボタン」に触れちゃって暴発してしまうことが何度かありましたし……そもそも「Lボタン」「Rボタン」を一瞬のタイミングで押すみたいなことに(3Dシューティングやらない人は特に)慣れていないので、人差し指が釣りそうになりながらプレイしていました。

 この辺を自由に設定出来たり、「ZLボタン」「ZRボタン」をオフに出来たりすれば良かったのになーとは思いました。



◇ 「宗教観」「恋愛観」「文明観」「人生観」……パズルのピースから何を想う?
 元々、この『Knytt』シリーズは「雰囲気が素晴らしい」と言われるゲームでしたが、この『クニットアンダーグラウンド』もBGMを含めた世界観の描写が独特の作品でした。ともすると、“難解”とも“投げっぱなし”とも言われてしまうストーリーでしたが、自分はとても楽しめました。

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<画像はWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>


 このゲームの主人公は「小人」で、お供をしてくれる「妖精」二人は更に小さい。
 かつては「小人」も「妖精」も、「人間」と一緒に地表で暮らしていたのだけど……500年前に「何か」があって地表には住めなくなり、「人間」は姿を消して、「小人」と「妖精」は地下に逃げてきてそこで暮らしている―――恐らくそういう設定の話だったと思います。

 地下に逃げてきた「小人」や「妖精」も文化を持ち……「人間」の遺した機械を分析・解明しようとしているインテリ集団:インタネットと、「人間」の機械文明を否定するミリアディスト教の対立を始めとして。非常にたくさんのキャラクターが、色んな立場を持ってて、色んな物語を抱えています。

 プレイヤーはミィという主人公を操作して、広大なマップを自由に「探索」出来るのだけど、住人に話しかけたりクエストを受けたりすることで“断片的に”この世界のことやキャラクター達のことを知ることが出来るのです。
 それらはあくまで「パズルのピース」のようで、分かりやすい物語としては語られないのだけど、それぞれのピースからプレイヤーが何を考えるかを委ねる物語にしたかったのだと作者は語っていました。


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 例えば、ミリアディスト教では「人間が地表から消えた理由」を「戦争によって滅んだ」と語られているのだけど……

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 インタネットの人達は、人間は優れた文化を築いていたのだから「人間が地表から消えた理由」を「宇宙に上がっていった」と語っているのです。

<画像は全てWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>


 異なる意見を持つキャラクター達から何を想うかはプレイヤー次第。
 私も正直1周目はピンと来なかったのですけど……キャラクター達をMiiverseにメモ取りながら2周目をプレイしたところ、確かに“難解”かも知れないし“投げっぱなし”かも知れないのだけど、一つ一つのピースを組み合わせることで初めて見えてくるもののある見事なストーリーだったと思います。

 キャラクターの中には「主人公を騙してくる」イヤな奴もいる、分かり合えないキャラクターもいる、取り返しの付かないこともしてしまう……でも、そこから何を想うかはプレイヤー次第ですし、私はこのゲーム全体から「人間賛歌」というか「人生賛歌」のような暖かいものを感じました。
 シリヤとハンナの話はとても良かったけど、何故それを描いたのかという作者のコメントがまたグッと来るんだ……


 第3章になると、ミィという「小人」と、ドーラとイリヤという「妖精」の3人旅になるんだけど……このドーラとシリヤの正反対コンビもイイキャラをしているんです。
 「とにかくポジティブ」なドーラと、「とにかくネガティブ」なシリヤで、住人との会話で「はい/いいえ」を選ぶのではなく「ドーラ/シリヤ」を選ぶところが頻繁に出てきます。「とにかくポジティブ」なドーラと「とにかくネガティブ」なシリヤのどちらを住人と話させるかで会話内容が変わるという。

 元々はスウェーデン人の作った英語のゲームで、テキスト量も半端ないと思うのですが、フライハイワークスによるローカライズも丁寧で違和感がなかったです。キャラデザは置いといて(笑)、遊んでいる最中は「海外のゲーム」であることを忘れていたくらい。
 フライハイワークスの社長さんは、10歳まで日本で育った台湾人で、その後は台湾に戻るのですが子どもの頃のファミコンの思い出を捨てられずに日本に戻り、現在は日本国籍も取得された方だそうです。「日本の中から見た日本」と「日本の外から見た日本」を知っているからこその丁寧なローカライズなのかなーと思いました。台詞によるキャラ付けとかもすごく丁寧なんですよ。



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 これは汎用性の高い台詞なので、保存しておこう。

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 これは腹の立つコメントをもらった時に役立ちそうなので、保存しておこう。

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 これも腹の立つコメントをもらった時に使おう。

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 これは一生懸命書いたブログの記事に腹の立つコメントが付いた時に使おう。

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 これは一生懸命書いたブログの記事がワケの分からない批判をされた時に使おう。

<画像は全てWii U版『クニットアンダーグランド』より引用>


◇ まとめ
 ということで、超楽しいゲームでした。
 「探索」好き+「アクションパズル」好きの私にとっては、トンカツにカレーかけてカツカレーにして食べているようなゲームでした。プレイヤーに考えさせるストーリーも好きだったので、2014年に遊んだゲームの中では今のところ一番のお気に入りです。

 そして、何より「Miiverseでこんなにゲームが楽しくなる」という見事なケースを見せつけられました。
 『ドルアーガの塔』ばりに「分かるかボケ」と言いたくなる隠し要素も、みんなで探して情報交換してって経験だったからこそ楽しかったし。
 「アクションパズル」なので「解き方が分からなくて詰まる」こともあるのですが、Miiverseで教えあって攻略出来たし。
 パズルのピースのようなストーリーも、みんなで覚えている情報を寄せ合って「ということはこうなんじゃない?」と考察していったのも楽しかったです。ホントさ……第2章のアイツに関しては、みんな「えええええ?」と思ったと思うよ。でも、ちゃんとそれもピースを揃えると答えが出るようになっていました。



 ただ、人によってはかなりの「マイナス点」になるとこもありました。
 1台のWii Uにつき、1つのセーブデータしか作れないことです。
 セーブデータが1つしか作れないどころか、アカウントを変えても1台のWii Uでは共有のセーブデータしか作れません。「セーブデータが1つしか作れない」のは、まぁ……このゲームを遊びに遊んだ自分にとっては「望ましくはないけど意図は分かる」んですけど。
 アカウントを変えてもセーブデータが共有なのは、正直……「どうしてこんな仕様なんだ……?」と疑問しかないです。分けるの難しいんですかねぇ。家族でこのゲームを遊びたいって人は、お兄ちゃんのデータを消さないと弟は遊べないワケで。うーん……ここはかなり残念かなぁ。


 ということで……惜しい点もあるので「ダメなところが全くないゲーム」とか「全ての人にオススメ!」とはなかなか言いづらいのは確かです。「探索」ゲームも、「アクションパズル」も、どっちかというと現在ではニッチなジャンルでしょうしね。
 でも、ハマる人には「このゲームにしかない魅力」がしっかりハマるし、私はこのゲームを遊んでようやく「Wii U買って良かったなー」「任天堂がMiiverseを始めたことは正しかったんだ」と思えました。

 それくらいの1本。
 「探索」ゲームや「アクションパズル」が好きな人は是非。

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≫ EDIT

「『○○』のようなゲーム」という紹介で伝わるのか

 誰よりも、自分に向けてこの記事を書きます。

 自分がここ最近にプレイしたゲームについて連続で起こっていたことですが―――『魔神少女』を説明する際に、「ロックマンのようなゲーム」「グラディウスのようなシステム」と紹介している人を多数見かけましたし。『クニットアンダーグラウンド』を説明する際に、「メトロイドのようなゲーム」と紹介している人を見かけました。


 それほど有名ではない作品を紹介する時にそういう表現をするのはよくあることなのですが、私はそうした説明にすごく違和感のようなものを覚えました。
 しかし、誤解して欲しくないのは、そうした紹介をしている人達に「その方法は間違っているからやめなさい!」と言いたいのではないのです。私は他人の文章に赤ペンを入れていくほどヒマじゃないですし、私が読む分には伝わっているのだから少なくとも私に対してはその説明で構わなかったという考え方も出来ます。

 私が思ったのは、「自分もこういう書き方をよくしている」ということと。
 果たして、この書き方で伝わっていたのだろうか―――ということでした。


 つまり、自分のため……というか、このブログのために「これでイイのだろうか」とふと考えてしまったのです。
 だから、今日は自分のためにこの記事を書きます。これから先、この記事を何度も読み返して、「あの時の自分の忠告を忘れないようにしなければ……」と思い返すためにも。



1.最近の若者が『ロックマン』や『グラディウス』や『メトロイド』を知っているのか
 ファミコンの時代、ファミコンのゲームを説明するにはファミコンのゲームを使って説明すれば良かったのです。「マリオのようなゲーム」「ドラクエのようなゲーム」「テトリスのようなゲーム」……たまにパソコンのゲームとか、アーケードのゲームとかで説明されて分からなかったこともありますけど、基本的には「ファミコンのゲーム」がみんなの共通言語になっていました。

 家庭用コンピューターゲームの歴史が短かった頃は、それで良かったんですね。

 しかし、それから何十年と経って……
 ファミコン世代、スーファミ世代、プレステ世代、PS2世代、DS世代、3DS世代……ゲームを遊ぶ世代も広がり、現在では「ファミコンのゲーム」を遊んだことがない人なんてたくさんいるワケです。「ファミコンのゲーム」はもうとっくにみんなの共通言語ではないと思うんですね。


【ロックマンシリーズ】
 ※ Wikipedia参照
・ロックマン(1987年)
・ロックマン2 Dr.ワイリーの謎(1988年)
・ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?(1990年)
・ロックマン4 新たなる野望!!(1991年)
・ロックマン5 ブルースの罠!?(1992年)
・ロックマン6 史上最大の戦い!!(1993年)
・ロックマン7 宿命の対決!(1995年)
・ロックマン8 メタルヒーローズ(1996年)
・ロックマン9 野望の復活!!(2008年)
・ロックマン10 宇宙からの脅威!!(2010年)

 もちろんナンバリングタイトル以外にも『ロックマン』は出ているし、バーチャルコンソールなどで過去作を遊ぶことも出来ます。しかし、現在『ロックマン』は新作が出ていない状況です。『ワールド』や『X』を含めても、『ロックマン』シリーズが定期的に出ていたのは90年代がほとんどで……

 現在の10代に「ロックマンみたいなゲームだよ」と説明して、果たして伝わるのか―――


【グラディウスシリーズ】
 ※ Wikipedia参照
・グラディウス(1985年)
・沙羅曼蛇(1986年)
・ライフフォース(1987年)
・グラディウス2(1987年)
・グラディウスII -GOFERの野望-(1988年)
・ゴーファーの野望 EPISODE II(1989年)
・コズミックウォーズ(1989年)
・グラディウスIII -伝説から神話へ-(1989年)
・ネメシス(1990年)
・ネメシスII(1991年)
・ネメシス'90改(1993年)
・沙羅曼蛇2(1996年)
・ソーラーアサルト(1997年)
・グラディウス外伝(1997年)
・ソーラーアサルト リバイズド(1997年)
・グラディウスIV -復活-(1999年)
・グラディウスジェネレーション(2001年)
・グラディウスNEO(2004年)
・グラディウスNEO -IMPERIAL-(2004年)
・グラディウスV(2004年)
・グラディウス リバース(2008年)
・グラディウス・アーク -銀翼の伝説-(2010年)

 こんなに出ていたのか『グラディウス』シリーズ!
 というか、これも『グラディウス』シリーズだったのか……というものも結構ありますね。

 大人気だったのは何といっても80年代後半ですが、90年代に入ってからも『パロディウス』のような作品で「グラディウスのようなゲーム」という認識は伝わっていたと思いますし……2000年代も『オトメディウス』などでまだ頑張っていたけど、2010年代に入ってからはシリーズは止まってしまっている状況で。

  現在の10代に「グラディウスみたいなパワーアップシステムと言えば分かりやすいですよね」と言って、分かってもらえるのだろうか―――


【メトロイドシリーズ】
 ※ Wikipedia参照
・メトロイド(1986年)
・メトロイドII RETURN OF SAMUS(1992年)
・スーパーメトロイド(1994年)
・メトロイドフュージョン(2003年)
・メトロイド ゼロミッション(2004年)
・メトロイド アザーエム(2010年)

 『メトロイドプライム』は、『クニットアンダーグラウンド』の説明として使われる「2D探索アクション」とは違うシリーズなので省きました。そうすると『アザーエム』も微妙じゃね、とは思うんですけど……

 『メトロイド』シリーズは何と言っても、80年代後半~90年代前半にかけて出された3作が一つの区切り。Wikipedia読んで初めて知ったんですが、『スーパーメトロイド』は当初シリーズ完結編だったんですってね。しかし、2000年代前半に「ゲームキューブでは3Dのメトロイドプライム」「ゲームボーイアドバンスでは2Dのメトロイド」という二つの路線で復活したという。

 そのシリーズも2010年の『アザーエム』以降は音沙汰がありません。
 ゲームボーイアドバンスで2Dメトロイドが展開されていたのも10年前。やはり今の10代の若者に「メトロイドのようなゲーム」と説明して分かるのかどうか―――



 もちろん「ファミコン世代に向けて」文章を書くのなら、こういう表現をしても問題はないと思います。世代がちがっても、ゲームに詳しい人ならば「ロックマンってやったことがないけどこういうゲームでしょ?」というイメージが出来るかも知れませんし、重ね重ねこういう表現が間違っているとは言いません。


 ただ、このブログは「常に初心者のためにあろう」というブログです。サッカーについてでも、アニメについてでも、電子書籍についてでも、詳しくない人でも楽しめる手伝いが出来たらという目的で書き続けてきました。ゲームについてだってそうだったはずです。
 ゲームに詳しくない人に向けた文章を目指すのならば、「ロックマンみたいなゲーム」「グラディウスみたいなシステム」「メトロイドみたいなゲーム」と表現してはいけないと思うのです。

 実際、私もゲームの紹介記事で「ゼルダみたいなゲーム」「テトリスに近い感覚」「ファイアーエムブレムとはここが違う」みたいな表現を使ったことがあります。それが一番伝わると思ったから、そういう表現を使いました。
 でも、そういう表現をしてしまえば「ゲームに詳しい人しか付いてこれなくなる」ことは忘れてはいけないと思い、ここに書いておくのです。



2.そもそも本当に「メトロイドのようなゲーム」か?
 私は『メトロイド』シリーズはバーチャルコンソールで『スーパーメトロイド』を遊んだだけなのですが、少なくとも『スーパーメトロイド』と『クニットアンダーグラウンド』は全然違うゲームだし、『クニットアンダーグラウンド』を「メトロイドのようなゲーム」と紹介するのは“正確ではない”んじゃないかと思います。


 確かに、どちらも「横視点の2Dアクション」で「探索」をするゲームではあるんですが……
 それは『ゼルダ』も『ドラクエ』も「上からの視点」で「冒険」をするゲームだ―――と説明するようなものじゃないかなと思います。


 この話……『クニットアンダーグラウンド』の紹介記事に書いた方がイイのかも知れませんが。「探索」をするアクションゲームって、大きく二つ分けられると思うんです。

 一つは「キャラクターが成長して探索範囲が広がる」タイプ。
 『ゼルダ』や『スーパーメトロイド』や『レゴシティアンダーカバー』はこのタイプ(※1)
 フィールドの中にはどんなに頑張ってもまだ行けない場所があって、ストーリーを進めたりその他の場所を探索したりすると新しいアイテムが手に入り、行けなかった場所に行けるようになるゲームです。同じエリアを再利用することが出来るし、何より「行動範囲が広がる」ことでプレイヤーに成長を感じさせることが出来ます。「頑張ってゲーム進めたから、行けなかったところに行けるようになった」!と。

 デメリットとしては、逆に序盤は「アイテムが揃っていないので行けないところばかり」という制約を感じさせてしまうことや「結局一本道」という指摘が出来てしまうところがありますし、「ここが行けないのはまだアイテムが揃っていないからか……?」というのがよく分からないのが困るというのがあります。

(※1:『ゼルダ』は、というのはスーファミの『神々のトライフォース』以降。これがシリーズの「慣例」すぎて、最近の『ゼルダ』はこのタイプからの脱却を目指しています。Wii U版がオープンワールド化すると言われて驚かれたのはそのため)


 もう一つは「腕前次第で最初からどこでも行ける」タイプ。
 『クニットアンダーグラウンド』は基本的にこちらですし、『マリオ64』なんかは顕著ですが『スーパーマリオ』シリーズはどの作品も(2Dでも3Dでも)この傾向があると私は考えています。

 『クニットアンダーグラウンド』は1章・2章はチュートリアルみたいなものなので制限はありますが、3章に入ると「さぁ!どこにでも行けるぞ!」と広大な地下空間を自由に探索できるようになります。地震によって解放される隠し通路もありますが、「行けそうだけど行けない場所」は基本的に「行き方を思いついていない」か「アクション操作が下手」かなのです。

 アイテムによって探索範囲が広がるタイプと違い、最初からどこにでも行ける分「自分で好きなルートを進んでいる」感覚が味わえるのが長所ですが。
 そのままどこにでも行けてしまうとすぐにゲームが終わってしまうので、「頭を使う」か「腕を磨く」かしないとたどり着けない難易度の場所が多く、「探索範囲が広がるかどうか」はその人の力量次第なのがデメリットではありますね。アクションゲームが苦手な人は上達を感じられないという。



 私は「探索」をするゲームが好きなので、どちらのタイプのゲームも好きなのですが―――この二つのタイプは区別していて、例えば『ゼルダ』の後に『メトロイド』は似たようなゲームなのでやりたくないけど、『ゼルダ』の後に『クニットアンダーグラウンド』ならば出来る、と言ったカンジに。別のジャンルのゲームだと認識しているのです。

 『クニットアンダーグラウンド』を「メトロイドのようなゲーム」と紹介するのは別に構わないと思うんですけど、「メトロイドのようなゲームだけど、メトロイドと違うのはこことこことここ」という紹介をしなければ「じゃあメトロイドやるよ!」と思われかねませんしね。



 ついでに言っておくと、『メトロイド』は敵との「戦闘」がありますが。
 『クニットアンダーグラウンド』は「戦闘」はありません。障害物となるロボットはいますが、「倒す」のではなく「かわす」というカンジで、どちらかというと『スーパーマリオ』に近いゲームだと思います。

 と……ここで、『クニットアンダーグラウンド』は「『スーパーマリオ』のようなゲームだ!」と書くと元の木阿弥なので(笑)、「探索の要素を強めた『スーパーマリオ』」と書けばイイのかなぁ。しかし、何かしっくり来ない。やっぱり、ゲームを「他のゲーム」で説明すること自体が誤りなんじゃなかろうか。



 同様に、『魔神少女』だって「ロックマンとは違う部分」がたくさんあります。
 ゲームに詳しい人に向けて「ロックマンのようなゲーム」「メトロイドのようなゲーム」という表現をしたいのならば、それらのゲームとはどこが違うのかを書かないとならないと思うのです。



3.しかし、長々とした説明を読んでもらえるのか問題
 結局のところ、ここなんですけどね。
 今、必死に隠し面をプレイしている『クニットアンダーグラウンド』ですが、クリアしたら紹介記事を書こうと思っています。「○○のようなゲーム」で済ませるのではなく、このゲームの、このゲームだけの特徴を「ゲームに詳しくない人」にも伝わるように書けたらイイなと思っていますが……

 多分、誰も読みに来てくれないですよねー。

 人気シリーズでもなければ、話題性のあるゲームでもないし、Wii Uのしかもダウンロード専売ソフトの紹介記事を、事細かに書いたとしても、きっと誰も読みに来てはくれません。こういう紹介記事って「既にこのゲームを遊んでいる人」か「このゲームを遊んだことがないけど気になっている人」しか読んでくれないものですし。


 そういう説明を長々とするよりも。
 『クニットアンダーグラウンド』って『メトロイド』のようなゲームだよ!とTwitterに一行書いた方が、『メトロイド』を好きな人には「へぇ、じゃあやってみようかな」と思ってもらえるかも知れません。それが、正確な情報ではなかったとしても。その方がどういうゲームなのかイメージしやすいですし。



 「真実かどうか」よりも「分かりやすいかどうか」の方が突き刺さるからそっちの表現にしよう―――とした方が、宣伝にはなるのかも知れませんし。インターネットに限らず、メディアというのはそういうものなのかも知れませんが。無力感のようなものを感じてしまいます。


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【三行まとめ】
・「○○のようなゲーム」では、元のゲームを知らない人には伝わらない
・そもそも、元のゲームとの違いを書かなくては紹介にはならないだろう
・ただ、「○○のようなゲーム」と紹介すると短く済むので受け入れられやすいのも確か



 そう言えば、以前の記事で『クニットアンダーグラウンド』はマイナーすぎて攻略サイトがないという話を書きましたが。
 その結果、Miiverseに謎の結束力が生まれていて、隠し通路を見つけた人に「ありがとう!」「すごい!よく見つけた!」と感謝の言葉が集まったり、みんなでハザマの仕様や真のエンディングの有無を考察してみたり、どうやらまだ誰も残り1つの実績(隠しアイテムみたいなもの)を見つけていないみたいなのでみんなで探したり。

 「広大な地下空間を探索するゲーム」と「マイナー過ぎて攻略サイトすら存在しない」が合わさって途方もない心細さが生まれているところに、Miiverseにみんなの“知”を結集させて真実を突き止めようという空気があって―――Miiverseが始まって1年半が経過していますが、これまでで最も「Miiverseの楽しさ」を実感したゲームになっています。

 あぁ、Miiverseってこういうゲームでこそ真価を発揮するんだ―――と。



 ということは、アレか。
 Miiverseの凄さを実感したい人は、『クニットアンダーグラウンド』オススメ!と書けばイイのかな。

| ゲーム雑記 | 17:45 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

マイナーなゲームの「攻略サイトすらない」問題

 最初にことわっておきますけど、「マイナーなゲームばかりやっている俺かっけえ」みたいな話ではないですからね。ついこないだ「スーパーマリオブラザーズ面白い。オススメ!」って記事を書いたくらいですから、別に私はメジャーなゲームが嫌いなワケではありません。

 ただ、私が大好きな「2Dアクション」とか「アクションパズル」とか「プレイ時間は短いけどサクッと遊べるコンパクトなゲーム」はパッケージソフトとしてはほぼ絶滅危惧種になりつつあって。
 ダウンロード専売ソフトにはまだまだそういうソフトがあるし、値段も安いから、次第に私はダウンロード専売ソフトを好んで遊ぶようになっていったのですが。哀しいかな、どんなにブログで「楽しいよ!」と声高に叫んでもダウンロード専売ソフトはまだまだマイナーな立ち位置だという。

(関連記事:ダウンロード専用販売のゲームは、どうして軽視されてるん?




 さて、私は現在Wii Uダウンロード専売ソフト『クニットアンダーグラウンド』をプレイ中です。一応のクリアはしましたが、まだまだ行っていない部屋や集めていないアイテムがあるので現在もプレイしています。

 元々はスウェーデン人が作ったPC用のインディーズゲームだそうで、海外ではPS3やVitaでも出ているみたいですが……日本版のローカライズをしてくれたのは3DSで多くのソフトを出しているフライハイワークスだからか、現在のところ日本版はWii Uのみでの展開みたいですね。

 ゲームとしては、横視点の2Dアクションで広大な地下空間を探索しつつ、ところどころにアクションパズルの要素が入っている―――というカンジで、この辺は紹介記事を書いた時に説明します。



 えっと……恐らくこのゲーム、「マイナーなゲーム」ですよね。
 Wii Uのゲームというだけでもマイナー臭がするのに、そのダウンロード専売ソフトな上に、海外(しかもスウェーデン!)のローカライズなのに加えてインディーズゲームで、更に「探索」と「アクションパズル」と来ましたよ!

 ちなみに、実質ヒロインのキャラクターデザイン↓
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 とてもじゃないけど「メジャーなゲーム」とは言えないこのゲームなんですけど……
 面白いんですよ!すっげ面白いんですよ!「探索」と「アクションパズル」が好きな自分は、夢中になってプレイしています。クリア後も「マップ全部埋めるぞー!」とかやってるくらいですからね。


 「メジャーなゲーム」も「マイナーなゲーム」も、遊ぶ側からすれば大した話じゃないです。
 我々にとって重要なのは「面白いゲーム」かどうか、だ!

 だから、私は『スーパーマリオブラザーズ』も『クニットアンダーグラウンド』も同じように楽しんでいますし、どちらも「面白いゲーム」なのは間違いないのです。
 が……ただ、「マイナーなゲーム」には一つ大きな問題があるのだと、今、直面して思い知らされているのです。



 検索しても……どうやら『クニットアンダーグラウンド』には、攻略サイトがないみたいなんですね。

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 この話……何度か書いているかも知れませんが、私は攻略本とか攻略サイトを読むのが大好きなのです。
 もうこれ以上進めなくなったから攻略サイトに頼るしかない!という使い方をする時もありますが、基本的には私はゲーム自体は「攻略本や攻略サイトに頼らずクリア」までして、クリア後に答え合わせのようにそれらを読むのが大好きなのです。


 自分はこうプレイしたけど、他に方法があったのか。
 自分はこういう選択肢を選んだけど、その他を選ぶとどうなったのか。
 このアイテムは一体何の役に立ったのか。
 自分の気付かなかった隠し要素があったか。
 エンディング後にも遊べる隠し要素があるのか。

 RPGとかだと「あのアイテム、俺は全然使わなかったけど、使うとこんなに楽に進めるのか!」と驚けるし、モノによっては「え!俺の観たエンディングとは違う真のエンディングがあるの!?」ということもあるし。なので、クリア後のことまではあまり触れられていない攻略本よりも、有志による情報が幅広く揃う攻略サイトの方が好みではありますね。



 しかし、『クニットアンダーグラウンド』くらいの「マイナーなゲーム」だと、検索しても攻略サイトを作っている人はいないみたいなんですね。
 なので……例えば「あの選択肢のもう一つの方を選んでいたらどうなったのか」なんかがすごく気になってしまうのです。


アイツら本当にムカつくから、貯水池に毒を流して皆殺しにしてしまおう!
 はい
 いいえ


 本当にあった選択肢です。
 私は悩みに悩んで「いいえ」を選んだのですが、もし「はい」を選んでいたらどうなったのかすごく気になるのです。本当にヤツらを皆殺しに出来たのか、それともローラ姫のように「そんなひどい」と延々と言われ続けたのか、皆殺しにした場合は何らかのリスクはあるのか、メリットはあるのか……


 「もう一周プレイすればイイんでないの?」と思われるかも知れませんが、このゲームは1台のWii Uに1つしかセーブデータを作れないんですよ。もう二度とクリア出来ないであろう極悪難易度のステージも突破したコンプ目前のデータを消すか、もう1台のWii Uを買ってニンテンドーネットワークIDをもう1つ作って『クニットアンダーグラウンド』をもう1つ買うか、どちらかしか選択肢はありません。また選択肢か!


 Wii UにはMiiverseがあるので、「ここの解き方が分からない!」と聞くことも出来るし、他の人の書き込みを見て「こんな隠しステージあるの?」と知ることも出来てはいるので……今まで遊んだどのWii Uのゲームよりも「Miiverseがあって良かったあ!」と思えているのですが。
 発売からしばらく経って、コミュニティを見ている人が誰もいなくなったら……誰にも救いを求められないゲームになりそうな。そう考えると「攻略サイト」というのは、同時期にプレイしていない人でも先人達の痕跡を活用できるアーカイブなんだなぁと思わなくもないです。


 『クニットアンダーグラウンド』は隠し要素もいっぱいあるみたいで……紹介記事を書く際に、隠し要素を知らないまま書いてイイのかという不安もあります。「実績」はMiiverse見てもよく分からん。
 Miiverse上に「これって“真のエンディング”があるんじゃ?」という書き込みがあって、確かにエンディングは謎を残して終わったので“真のエンディング”があってもおかしくないと思うんですけど。もし“真のエンディング”が存在したのなら“真のエンディング”を観ずに紹介記事なんて書いてイイのか―――という葛藤もあって、クリアした後も紹介記事を書かずにやりこみ要素をやっているところもあります。実在するか分からない“真のエンディング”を延々と探し続ける作業。

 『428』の時に“真のエンディング”についての批判記事を書いたら、コメント欄に「攻略サイトを見れば“真のエンディング”が見られるんだからイイじゃないか」というコメントが付いて愕然としたことがあるんですけど。

 世の中には「攻略サイト」もないゲームもあるんですよ!!
 「攻略サイト」前提でゲームを作られても、誰も「攻略サイト」を作らなかったらどうなるんですか!




 あ、いや……『クニットアンダーグラウンド』は別に「攻略サイト前提」のゲームではないし、批判するつもりはありません。「攻略サイトがない」ことで、「探索」に“途方もない感”というか“先が見えない感”が生まれているのも確かですし。
 しかし、そのおかげで、私はいつ紹介記事を書けるのか!貯水池に毒を流していたらどうなっていたのか!すごく気になるのです。


 「もういっそのこと俺が攻略サイトを作るか」と考えなかったワケじゃないんですが、作れるセーブデータが1つなので、データを消さない限り攻略サイトを作るためもう1周プレイすることも出来ないし……うーむ。




 ということで、『クニットアンダーグラウンド』面白いよ!と口コミで広げて、このゲームを遊ぶ人を増やして、その内の誰かが攻略サイトを作ってくれやしないか―――と目論んで、この記事を書きました。
 いや、マジで、攻略サイトうんぬんは流石にリアリティがない話だと思うんですけど……「貯水池に毒を流すとどうなったのか」だけでも誰かプレイして教えてくれませんかね。気になって気になって。

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