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『Minit』紹介/白黒の世界を冒険する、お手軽『ゼルダ』!

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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
世界を構成するのは白と黒の二色
「1分で死ぬ」ということは、「どのイベントも1分で終わるくらいテンポが良い」ということ
しかし、中身はしっかりアクションアドベンチャー!探索と成長を楽しもう!


『Minit』
・開発者:Jan Willem Nijman、Kitty Calis、Jukio Kallio、Dominik Johann
・パブリッシャー:Devolver Digital
・日本語ローカライズなど:架け橋ゲームズ
 Steam版:2018年4月3日発売、980円
  ※ 日本語化は近日アップデートで公式に対応予定
 プレイステーション4版:2018年8月9日発売、1000円
 Nintendo Switch版:2018年8月9日発売、1000円
  ※ スクリーンショット撮影可能、動画撮影可能
・見下ろし視点のアクションアドベンチャー
・セーブスロット数:3


<PVはNintendo Switch版のもので、期間限定公開だそうです>
 私の1周クリア時間は約03時間でした
 謎解きに相当詰まったので、サクサク進んだ人はこの半分くらいでクリアできるかも
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


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◇ 世界を構成するのは白と黒の二色
 このゲームは4人のゲーム開発者が集まって作ったインディーゲームで、今年の4月に海外版がSteamなどで発売されていました。有志による日本語化パッチはありましたが、この8月にめでたく公式に日本語化がされて日本国内でもプレイステーション4版とNintendo Switch版が発売されました。

 SteamなどのPC版も近日アップデートで日本語化に対応するみたいですね。
 「プレイステーション4版は日本語化されていなくて、こちらもPC版と同様に近日アップデートで日本語化に対応する」というプレスリリースも見たんですけど、PS4の公式サイトには「本タイトルは日本語対応済みです。」と書かれているんですよね……間違っているのはどちらなのか、誰かPS4版を買ったという人はいませんかね?

 私がプレイしたのはNintendo Switch版ですが、こちらも初期設定では「ENGLISH」になっているので「SETTINGS」で「JAPANESE」に直してプレイする必要があります。

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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 設定変更は「画面の濃さ」や「コントローラ設定」など細かく変えられます。私は「自殺してセーブポイントからやり直す」のがBボタンなのは間違えて押しやすそうだとXボタンに変えてプレイしていました。
 聞き慣れない「VEGAN」は「菜食主義者」という意味だそうで、このモードを「ON」にすると一部のシーンが変更になるみたいです。何その手の込みよう!



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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 このゲーム最大の特徴は、なんと言ってもこのグラフィックです!
 「白」と「黒」しかありません。

 しかもですよ、「白」と「黒」しかない画面を使った謎解きゲームの『Shift』とか、「白」と「黒」の陣取り合戦の『INVERSUS』とかとはちがって。このゲームの場合、「白」と「黒」なことを活かしたゲームではありません。ただ、グラフィックが「白黒」なだけなんです。ゲームとしては別に「カラー」でも成立するゲームです。


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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 例えば、こことか特にすごいですよ。
 「地面の粒々」と「砂ぼこり」と「サボテン」、これだけで“ここは砂漠です”と言い張っているという。


 特に「白黒」なことを使ったゲームにはなっていないものの、「白黒」なことを使ったグラフィック表現はセンスにあふれるもので……この絵作りを「面白い!」と思えるか、「手抜きやん」と思ってしまうかで、このゲームへの評価は180度変わってしまうかなと思います。

 私は「面白い!」と思ったからこのゲームを買ったのだけど、流石に全部のゲームがこのグラフィックになられても困るので他のゲームはマネしないでください(笑)。



 難があるのは「BGM」です。
 「BGM」自体はしっかりしたメロディだったり環境音を聞かせるとこだったりで申し分ないのですが、どうも遊び続けていると「BGM」が消えたままになるという不具合があるみたいで……私はクリアまでに3回ほど喰らいました。ソフトを再起動すると直るので、「狙ってそういう仕様にしている」のではないと思うんですけど(Steam版のレビューでも見かけたので、Nintendo Switch版だけの不具合ではないと思います)。

 元々「白と黒しかないグラフィック」な上に、「いつの間にか消えているBGM」で無音のままプレイしていると……ゲーム&ウォッチか!とツッコミたくなりました。今は本当に2018年なのか!?


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◇ 「1分で死ぬ」ということは、「どのイベントも1分で終わるくらいテンポが良い」ということ
 このゲームのタイトルの『Minit』とは、「呪われた剣を拾ったことで1分間で死んでしまう主人公」のことを指しています。プロモーションなどでもここを「このゲームの特徴」としてすごく推しているのですが……個人的には、ここは「なんか思ったのとちがうな……」と思いました。


 「1分間で死ぬ」からと言って、『Celeste』みたいにガンガン死んで覚えるゲームというワケではないし、開発者が想定していた「死ぬたびに新しい冒険が楽しめるゲーム」ともちょっとちがう気がします。



↑ このゲームの特徴を捉えた「パラパラ漫画」のPV。


 このゲームの場合、死んでも拠点に戻らされるだけですぐ復活になりますし、難しさも悲壮感も特にないです。慣れてくると「もう時間がないからさっさと死んで拠点からリスタートしよう」と自分から自殺ボタンを押すようになっていきます。

 「1分間で主人公が死ぬゲーム」というより、
 「門限がめっちゃ早いので、昼の間にやれることをしっかり考えて行動するゲーム」というカンジで、全然ゲームのジャンルはちがうんですけど『牧場物語』とか『ルーンファクトリー』とか『Stardew Valley』で効率の良い動きを目指していくのに似ていると思いました。あれの「1日」がめっちゃ短いバージョン。


 ということで、「1分で死んじゃうなんてものすごく難しいゲームなんじゃないの?」ということは全くないのです。
 すべてのイベントや次の拠点までの道が「1分以内に終わる」ようになっているので、とにかくテンポが良いゲームになっています。クリアまでの総プレイ時間は短いのですが、逆に言えばそのくらい「テンポがむちゃくちゃ良いゲーム」なんですよ。

 また、「なんだよー、『Celeste』みたいに死んで覚える激ムズゲームを期待してたのにー」という人のために、クリア後には「ハードモード」が解禁されます。こちらは「一撃でも喰らったら死亡」「行動時間が1分→40秒へと変更」「謎解きの配置が変わってる」ため、ガチで何度も死んで1秒も無駄にしない動きを指に教えこませていかないと間に合いません。私は砂漠で挫折しました。



 「1分で死ぬ主人公」という設定のおかげで、この手のゲームに慣れていない人でも手軽に楽しめるように、コンパクトでテンポの良い構成になっていて。
 それでいて、そんなヌルイのでは満足できないという人のために「40秒で死ぬハードモード」が用意してあって、アクションアドベンチャー上級者にはこちらをやりこんでねとしてあるという。



 ただ、個人的にはもうちょっと「1分で死ぬ」という設定を活かしたイベントとかも欲しかったなーとは思いました。本当にただ「プレイヤーの枷」となる時間制限にしかなっていなくて、例えば逆にこの呪いがかかったからこそ有利に進める展開みたいなのも見たかったなと思いました。
(例えば、敵の罠にかかって地下に閉じ込められる→ 敵のボス「ふっふっふ!オマエは一生そこから出られないぞ!」→ 1分経ったら普通に死んで自宅から復活する主人公→ 敵のボス「あれ!?捕まえたはずなのに、いない!」―――みたいなのとか、色んなネタが出来ると思うんだけど、そういうのはないんですよねぇ)


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◇ しかし、中身はしっかりアクションアドベンチャー!探索と成長を楽しもう!
 ゲームのジャンルは、「見下ろし視点のアクションアドベンチャー」です。

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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 主人公は最初は能力が低くて「行ける場所」も狭いのだけど、ゲームを進めてアイテムが手に入ったり成長したりすることで「行ける場所」も広がっていき、ラスボスまでたどり着いて倒せばクリア―――というタイプのゲームです。
 「探索をする」→ 「成長をする」→ 「探索できるエリアが広がる」というこのサイクルは、王道の面白さですね。


 記事タイトルには『ゼルダ』と書いたんですけど、自分が今まで遊んだゲームの中では『フェアルーン』が一番近かったかなと思いました。
 「アクションゲームの腕前」よりも「パズルゲームの発想力」よりも、「アドベンチャーゲームのフラグ立て」が重要なゲームということで。あと、「アクションゲームが苦手な人にもオススメできるかなぁ」と思ってプレイしていると、終盤「あかんわ。アクションゲームが苦手な人にはちっともオススメできねえ」というガチアクションゲームになるところとかも(笑)。



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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 インディーのアクションアドベンチャーゲームをそこそこ遊んでいる身からすると、このゲームの“アクションアドベンチャーとしての特徴”を挙げるなら「一本道感が薄い」ことです。
 クリアには必要ないコレクションアイテムややりこみ要素があるだけでなく、クリアに必要な要素も「どこどこに行け」と言われることなく自分でフィールドを探索して見つけなくてはなりません。苦労してたどり着いたけど、クリアには特に必要のない場所も結構あります。

 そのため、海外のガチ勢の間では「クリアに関係のないことは一切しないタイムアタック」が流行っているらしく、最速クリアは7分を切っているとか……(2周目ハードモードなら4分を切っている人もいる)。同じゲームを遊んでいるとは思えない。



 逆に、「一本道ではない」ことで、終盤は「どこに行けばイイのか分からなくなる」ところがあるかも知れませんね。私はそれで1時間くらいさまよっていました。ゲーム内にヒントがないワケではないので難易度としては絶妙だったと思いますが「どこに行けばイイのか分からなくなる」ことを楽しめない人にはちょっとキツイかも知れませんね。アクションアドベンチャーってそういうゲームですけど。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『Minit』より引用>

 「思ったより普通のアクションアドベンチャーだな……」という感想で、手軽なお値段で楽しめるアクションアドベンチャーを求めている人にオススメと言いたいところなんですけど。インディーゲームだとこのジャンルは激戦区なんですよねぇ。

 私の推しで言うと、戦闘のない『PAN-PAN~ちっちゃな大冒険~』とか、可愛らしいキャラクターで社会を風刺している『Yono (ヨノ)』とか、Nintendo Switchでは出ていないけどダンジョンのパズル攻略部分がむちゃくちゃ楽しい『イトルデューの伝説 失われた島と謎の城』とか……

 そういった“他のインディー系アクションアドベンチャー”と比べた際のこの作品の魅力を考えたなら、やはり「白黒のグラフィック」に魅力を感じる人にはオススメですし、タイムアタックやハードモードやアイテムコンプなどのやりこみ要素にハマれる人にはオススメかなと思います。


 あと、私はタコの脚がまだ1つ見つかっていないので、誰か最後の1本の場所を教えてください!Miiverseカムバック!

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『バイオハザード』紹介/あの時代が生んだサバイバルホラーの完成形!

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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「固定カメラ」に「ラジコン操作」に「銃攻撃」が、三位一体となって恐怖を作る!
遊びやすさを追求したRPGが失った、「限られたリソースのやりくり」の緊張感
「探索」と「謎解き」の要素がギュギュっと詰め込まれた密度の濃い洋館



『バイオハザード』
 プレイステーション用/サバイバルホラー、アクションアドベンチャー
 カプコン
 1996年3月22日発売
 セーブスロット数:5

バイオ・ハザード ディレクターズカットバイオ・ハザード ディレクターズカット

カプコン 1997-09-25
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 私の1周クリア時間は約12時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


↓ここから1↓
◇ 「固定カメラ」に「ラジコン操作」に「銃攻撃」が、三位一体となって恐怖を作る!
 このゲームは1996年にカプコンからプレイステーション用ソフトとして発売された「サバイバルホラー」ゲームです。
 「プレイステーション用の実験作」のつもりで、どちらかというとマニア向けに作られたらしいのですが、口コミで広がって大ヒットしました。この1作目が様々な機種に移植されただけでなく、現在でも続編が作り続けられていて、世界中で大人気のシリーズとなっています。

 私がプレイしたのは1997年に発売された『ディレクターズカット』で、こちらにはアクションゲームが苦手な人のための「ビギナーモード」とアクションゲームが得意な人のための「アレンジモード」が追加されているのですが、私は「オリジナルモード」をプレイしたので初代とほぼ変わらないんじゃないかなと思います。

 また、2002年にはゲームキューブ用ソフトとしてリメイク版が作られ、このリメイク版をHDリマスターしたものがPS4、Xbox One、PCといった現行機で配信されているので現在ではこちらが遊びやすいかも知れませんね。
 このリメイク版は部屋が増えていたり、敵が増えていたり、仕掛けがオリジナル版とちがっていたりするのですが、ゲームの骨格部分は受け継がれていて強化されているそうです。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 さて、このゲームの特徴は、監視カメラで見ているかのような「固定カメラ」式のアングルです。プレイヤーがカメラを操作できるのでもなければ、カメラがプレイヤーを追いかけてくれるワケでもありません。主人公の位置によって、使われるカメラが切り替わっていくというスタイルなんですね。


 2018年にこれを読んでいる若い人なんかだと「どうしてそんな仕様にしたんだ?」と思われるかも知れませんが、1996年というプレイステーション初期の時代では仕方のないことだったのだと思います。

 『バイオハザード』より1年前の1995年の『Dの食卓』は「一人称視点で館を探索して歩き回る3Dアドベンチャー」でしたが、静止画とムービーを組み合わせることであたかも館を歩き回っているように見せかけていただけなので。歩くのはむっちゃ遅いし、敵との戦闘もQTEにしか出来ませんでした。
 『バイオハザード』より1年後の1997年に発売された『ファイナルファンタジーVII』や、その続編となる『VIII』『IX』も、街やダンジョンの中は『バイオハザード』同様に「フィールドは静止画のレンダリングCG」で「キャラクターは3Dポリゴン」という組み合わせでした。
 更に時代を進んだ2000年の『ぼくのなつやすみ』でも、『バイオハザード』とほぼ同じような「固定カメラ」「ラジコン操作」だったので、初代プレイステーションのソフトでは「動かせないカメラ」というのは別に珍しいことではなかったのです(その分、グラフィックを描き込めますしね)。

 『バイオハザード』より3か月後の1996年6月に発売の『スーパーマリオ64』が、3D空間をカメラも動かしながら(ジュゲムがカメラを撮りながらマリオを追いかけているという設定の)自由自在に動き回れるゲームで、これが後の3Dアクションのスタンダードになっていくのですが……それが可能だったのは3Dに特化したNINTENDO64という新しいゲーム機の力ですし、逆に言うとそれ以前には「カメラを自在に操って3D空間を動き回れる3Dアクションゲーム」というのは難しかったんですね(プレステでも『トゥーム・レイダース』のようなゲームが後々出るので、完全に不可能だったワケではないのですが)



 しかし、じゃあ『バイオハザード』の「固定カメラ」が『スーパーマリオ64』の「ジュゲムカメラ」より劣っているかというと、そうではありません。『バイオハザード』は「固定カメラ」なことを最大限に活かしたゲームになっていたのです。

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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 例えば、こういう何気ない場面……
 ただ道を歩いているだけなのですが。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 (固定カメラでは見えない)曲がり角の向こうにゾンビが潜んでいる!みたいなことが頻繁に起こります。

 もちろんこれはゲームを作る側が、「カメラアングル」と「ゾンビの位置」をちゃんと計算してプレイヤーからギリギリ見えないようにしてあるのです。
 もしこれがプレイヤーが自在にカメラを動かせる最近の3Dアクションゲームのようなアングルだったり、逆にスーパーファミコン時代の見下ろし型2Dアクションゲームのアングルだったりしたら、曲がり角の向こうにゾンビがいることが分かってしまうから驚きはしないですよね。

 『バイオハザード』は、当時の技術では標準的だった「固定カメラ」式のアングルを見事に活かしたゲームだったんです。それ故にプレイステーションの時代を象徴するゲームになったのかなぁと思います。



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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』説明書より引用>

 そして、『バイオハザード』と言えば……で有名な「ラジコン操作」も、この「固定カメラ」式のアングルと密接な関係にあります。このゲームは、方向キーの上を押すとキャラクターが前に進み、左右で向きを変えて、下を押すと後退します。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 例えば、この場面だと……
 主人公(ジル)は手前を向いているので、上ボタンを押すと手前に進み、下ボタンを押すと奥に進みます。非常にややこしくて、とっさにワケが分からなくなります。実際、最後まで私はこの操作に慣れず、ラスボスから距離を取ろうとしたのに間違えて敵に突進してボコボコにされたりもしていました(笑)。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 どうしてそんな操作にしているのかというと……
 例えば、上の2枚の画像は「同じ部屋」なんですけど……部屋の真ん中から向こうでは手前に進み、真ん中からこちらでは奥に進みます。唐突にカメラの「手前/奥」が逆転するんです。
 こういう状況で、他のゲームのように「上ボタンを押すと上に進む」「下ボタンを押すと下に進む」操作方法だと、カメラが切り替わったら逆のボタンを押さなくちゃならなくなるんですね。ゆったりとした場面なら構いませんが、敵から急いで逃げようとする場面でそうなってしまったら大混乱です。

 「画面に関係なく、キャラクターが向いている方向に前進する」というラジコン操作は、細かくカメラアングルが切り替わる(プレイヤーの意志では操作できない)「固定カメラ」式のアングルを活かすための操作方式なんですね。

 また、そういった機敏な動きができないラジコン操作だからこそゾンビを怖く感じるという副作用もあります。もしこのゲームのキャラを『ブレス オブ ザ ワイルド』のリンクとか、『Splatoon』のイカちゃんみたいに、直感的に気持ちよく動かせちゃったなら、ゾンビなんか全然怖くなかったでしょうしね。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 そして、このゲームがどうして「敵を銃で攻撃するゲーム」なのかというのも、「固定カメラ」式のアングルとラジコン操作に直結する話です。

 一応このゲームにも近接武器として「コンバットナイフ」があるんですが、間合いがつかみづらい「固定カメラ」式のアングルで、機敏に動けないラジコン操作では、近接武器のヒット&アウェイはほぼ不可能なんですね(世の中にはナイフのみでクリアする変人もいるみたいですが……)。
 そのため、遠距離から攻撃できて、こちらは動かなくてイイ「銃による攻撃」がメインとなるのです。「銃による攻撃」はオート照準なので軸合わせもしなくてイイですし、現在のFPSやTPSみたいなエイムも必要ありません(しかし、海外版は難易度を上げるために、このオート照準がなくて自分で向きを合わせなくちゃならないんですって。これが銃国家ってやつか……)。

 卵が先か、鶏が先かは分かりませんが……「敵がゾンビ」というのも、ゲームデザイン的に「銃で攻撃する相手」として相応しいと思えますね。なかなか死なない頑丈なヤツで、つかまれると怖いので近寄りたくないのだけど、動きはノロノロしていて飛び道具を持たないから遠距離から銃で撃てば倒すことはさほど難しくない相手――――


 「固定カメラ」、「ラジコン操作」、「銃による攻撃」。
 この3つの要素がガッツリ噛み合わさっているからこそ、『バイオハザード』は「サバイバルホラー」として完成されているのです!


 ……と、言いたいのですが。
 これらの要素は、実は『バイオハザード』がオリジナルではなくて、1992年にフランスのインフォグラムという会社が発売したPCゲーム『アローン・イン・ザ・ダーク』を参考にしたと言われています。私は『アローン・イン・ザ・ダーク』はプレイしたことがないんですけど、ネットで検索して動画を見たところ「固定カメラ」「ラジコン操作」はそのまんまですし、「銃による攻撃」も一応ありました(『アローン・イン・ザ・ダーク』はアイテムがなくなっても肉弾戦ができますが)。

 そのため「バイオハザードなんてアローン・イン・ザ・ダークのパクリじゃん」みたいに言う人もいるのですが、ゲームに限らず作品というのは「先行作品の土壌」があってこそ生まれるものなので、「その作品独自の魅力」があればそれでイイじゃんと私は思います。

 ということで、「固定カメラ」や「ラジコン操作」だけではない、『バイオハザード』独自の魅力を次の項目では語っていきましょう。


↓ここから2↓
◇ 遊びやすさを追求したRPGが失った、「限られたリソースのやりくり」の緊張感
 私は今回この『バイオハザード』を生配信の実況プレイで初めてプレイしたんですけど、始める前はちょっと不安がありました。ホラーゲームの実況を観に来るような人は、私が怖がる様を期待していると思うのですが、ホラーゲームだからと言って私は特別に怖がれないんじゃないかと思っていたんですね。


 だって私、「敵が出るゲーム」は全部怖いんですもの。
 みなさんよく考えてくださいよ。日常生活で、次から次へと「自分を殺そうとする敵」が現れたりしますか?少なくとも私は「自分を殺そうとする人」なんてブログのコメント欄以外では遭遇したことがありません。しかし、次から次へと「自分を殺そうとする敵」が現れるのがゲームなのです。

 だから私、ホラーゲームを実況しても、今までに実況してきた『マリオ』や『ゼルダ』や『ロマサガ』と大して変わらない配信になるんじゃないかと不安でした。私にとってはゾンビよりジュゲムの方が「空中からマリオめがけてトゲのついた球をぶん投げてくる、しかも笑顔で」という理由で怖いですもの。


 しかし、です。
 実際に『バイオハザード』をプレイしてみて、その認識が完全に間違っていたことが分かりました。『バイオハザード』ってゾンビが怖いゲームではないんですよ。ゾンビ自体は先ほどの項目で書いたように、遠距離から銃で撃てば簡単に殺せるので怖くありません。怖いのは、その銃の弾が尽きることなんです。

 先ほども書いたように、『バイオハザード』は「固定カメラ」の「ラジコン操作」なので敵との間合いが非常につかみづらいです。唯一無制限に使えるコンバットナイフで戦いぬくのは難しいのです。
 だから、攻撃は基本的に「銃」に頼るのですが……「銃」というのはもちろん「弾」を必要としていて、「弾」は現地にあるものを拾って使うしかないから有限です。それを使い切ってしまったらゾンビへの攻撃手段が(間合いがつかめないコンバットナイフ以外)なくなってしまうのです。

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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>


 また、このゲームには「宿屋のような回復ポイント」もありません。
 敵から攻撃を受けたダメージは、これまた現地に落ちているハーブなどのアイテムで回復するしかありません。もちろんこちらも数に限りがあります。

 更に、セーブをするにも「インクリボン」というアイテムを消費して、こちらも現地で手に入る数が限られているので、頻繁にセーブして「ゲームオーバーになったらすぐ手前から」というワケにもいきません。セーブアイテムを使うのをケチっていたらウッカリ死んでしまって随分前からやり直しというのを何度喰らったことか……

 更に更に、そうしたアイテムを持ち運べる数にも厳しい制限があります。自キャラにクリスを選んだ場合は6つ、ジルを選んだ場合は8つしかアイテムを持ち運べません。アイテムボックスにはハーブをたくさん入れてあるのに、手持ちの回復アイテムを使い切ってしまって死んでしまったということも頻繁に起こります。


 このゲームで「ゾンビ出ないでくれー」と願うのは、ゾンビが怖いというより、ゾンビに遭遇してしまうと「攻撃アイテム」や「回復アイテム」を使わなくちゃいけないのがイヤだからで―――そうしたアイテムを消費していくことで、最終的にアイテムが足りなくなってしまうんじゃないかという不安が常につきまとってくるからなんですね。

 これはファミコン時代くらいのRPGが、「持てるアイテムの数が限られている」「MP回復アイテムなどめったに手に入らない」「洞窟の中にセーブポイントなどない」ために、ダンジョン探索の緊張感が半端なくて雑魚敵との1回の戦闘が重かったことを思い出させられます。まぁ、RPGとちがうのは、『バイオハザード』にはピンチになっても帰って全回復してくれる場所がないということなんですけど……
 しかし、そういったRPGもスーファミ時代になると「アイテム持ち放題」「MP回復アイテムもバンバン手に入る」「洞窟の中にもセーブポイントが出来て、中ボス前には必ず設置してくれる」「何ならそこで全回復までできる」と……緊張感よりも、安心して気楽に遊べる作品がスタンダードになっていきます。

(関連記事:「ダンジョンの奥に中ボスがいない」ことによる面白さ

 『ファイナルファンタジー』シリーズで「デブチョコボ」が廃止された(=アイテムが持ち放題になった)のは1992年の『V』からで、『ドラゴンクエスト』シリーズで「ふくろ」が採用された(=アイテムが持ち放題になった)のは1995年の『VI』からで―――この時期にはもう、RPGのスタンダードは「回復アイテムやMPが足りるのか」というヒリヒリするような緊張感でダンジョンを探索するゲームではなくなっていたと思うんですが。

 1996年に出てきた『バイオハザード』が、「銃弾や回復アイテムが足りるのか」というヒリヒリするような緊張感で洋館を探索するゲームで、それが大ヒットしたというのもRPGが失ってしまったものを『バイオハザード』が持っていたというのが大きいのかなと思うんです。


 この“『バイオハザード』の源流はファミコン時代のRPG”説を裏付けるものとして、実は『アローン・イン・ザ・ダーク』よりも更に昔の1989年にカプコン自身が出したファミコンの『スウィートホーム』というRPGがあります。
 こちらは伊丹十三さんが総指揮をとって、黒沢清さんが監督した日本のホラー映画を原作としたゲームなのですが……RPGなのに「宿屋」がなく、回復は限られた数のアイテムでやりくりしなくてはならず、敵が落としてくれたりもしません。アイテムを持てる数も厳しいので、「誰に何を持たせるのか」と「持てないアイテムはそこに置く」といったことを考えなくちゃなりません。

 文章で説明すると、まんま『バイオハザード』ですよね(笑)。
 キャラクターを切り替えて進むのは『バイオハザード0』っぽい。

 この他、仲間のキャラが死亡するとか、生存人数でエンディングが分岐するとか、部屋を切り替える際のドアが開くアニメーションが怖いとか、効果音で恐怖を煽るところとか、『バイオハザード』に影響を与えたと思われる部分が数多くあります。もちろん同じカプコンのゲームです。



 そう考えると、ファミコン時代のRPG『スウィートホーム』を骨格にして、初代プレステでできる表現方法として『アローン・イン・ザ・ダーク』の「固定カメラ」と「ラジコン操作」で肉付けして出来上がったのが『バイオハザード』と言えると思いますし――――「バイオハザードなんてアローン・イン・ザ・ダークのパクリじゃん」なんて言い草は、ゲームの骨格部分を理解できず、表面に見える肉の部分でしか物事を見られない偏った視点でしかないと言わざるを得ません!

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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>



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◇ 「探索」と「謎解き」の要素がギュギュっと詰め込まれた密度の濃い洋館
 そう言えば、少し前に『とある魔術の禁書目録』の鎌池和馬さんが電ファミニコゲーマーのインタビューにて「プレステ世代の世界の捉え方」について語られている記事がありました。

 「とある魔術の禁書目録」は”格ゲー”世代? 鎌池和馬が語るゲーム史がラノベ作家に与えた影響【ゲーム世代の作家たち】(引用部分は2ページ目)

<ここから引用>
鎌池氏:
 ただ、少し話を戻すと、世代によってゲームの影響のあり方は変わると思うんです。例えば、私より前の作品で影響が大きいのは、たぶんTRPG、もしくは『ドラゴンクエスト』辺りのRPGなんですよ。それこそ私達が出てくる前、ファンタジーが主流だった富士見ファンタジア文庫の初期とかは、その影響が強いのかもしれないな、と。

-中略-
 
 彼らの特徴は、世界全体を作ったり、その世界全体に飛び込んでいくイメージがあるんです。ところが、私たち「プレステ」世代は、なんて言うのかな……もっと想像力が「箱庭」的なんですよ。

 だって、プレステのゲームがそもそもそうだったでしょう。ホラーゲームで霧に包まれた館一個が舞台とか、せいぜい街一個が舞台で、でもそこにはしっかりとルールがある……みたいな。どうも私達の世代は、イメージできる世界の限界が国や大陸よりも、街や学校、あるいは館のような場所に縮小しているように思いますね。

-中略-

 そのイメージの変遷は、ハードの発展が大きいと思うんです。最初の頃はハードのスペックが弱くて解像度が低かったから、逆に大胆に『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』のようにドットで世界全体を表現できていた。でも、やがてハードのスペックが上がっていくにつれて解像度も上がり、ディテールが求められるようになり、ディスクの容量が足りなくなると、想像力が街一個分だとかに縮小化されていったんだと思います。

</ここまで>
※ 省略や強調など、一部引用者が手を加えています

 ファミコン・スーファミ時代に生まれた『マリオ』や『FF』や『ゼルダ』や『ドラクエ』は、3Dになったとしても世界中を冒険するゲームのままでしたが。『Dの食卓』は「一つの古城」が舞台ですし、『バイオハザード』は「一つの洋館」が舞台ですし、『メタルギアソリッド』は「一つの基地」が舞台ですし、舞台が縮小化された時代なのかなと思うのです(『メタルギア』は元々MSXのゲームですけど)。

 だからといってゲームとしてのボリュームが少なくなったワケでもなく、私の『バイオハザード』の1周プレイ時間はファミコンやスーファミの『ゼルダの伝説』を最初から最後までプレイしたのとほぼ同じくらいの時間がかかりました。舞台は縮小化されたけど、遊びの密度はギュギュっと凝縮されているというかね。


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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 洋館と言っても、単なる民家とは思えないくらいにたくさんの部屋がある上に、鍵がないと開かない扉や仕掛けを解かないと開かない扉がたくさんあるので、すべてを探索するのは結構な時間がかかるのです。
 今となっては「そんなゲームは山ほどあるやん」って話になっちゃうかも知れませんが、当時は3Dのアドベンチャーゲームというジャンルがまだまだ物珍しかった時代なので、「こっちの部屋でこのアイテムを取って、それをここまで持ってきて使うと鍵が入手出来て――――」みたいに謎解きしていくゲームを『バイオハザード』で初めて遊んだって人も多かったのかも知れませんね。


 また、ゲームのクリアのためには「洋館の一つ一つの部屋を探索しなくてはならない」のですが、この「探索しなくてはならない」のと「そこにゾンビがいるかも知れない」というホラーゲームの要素の相性が憎らしいくらいにピッタシなのです。
 例えば、スーファミ時代のホラーゲームと言えば『弟切草』のようなノベルゲームが多かったですが、ノベルゲームの場合プレイヤーが出来ることはページをめくることとたまに選択肢を選ぶことくらいで、能動的に何かをしなくてはならないワケではありませんでした。しかし、『バイオハザード』は!自分の手で操作して、わざわざゾンビがいそうな部屋を!探索しに行かなくてはならないのです!



 こうした緊張感とか不安を100%堪能するためには、「この先に何があるのか」が分からないファーストプレイの体験こそが至宝なので、初見で攻略本とか攻略サイトとかを見ちゃうと全然面白くないゲームになってもおかしくないと思うんですが……
 「初見でなければ怖くない」というのを逆手にとって、クリア時間を計測していて、何時間以内にクリアできれば御褒美がもらえる―――と、2周目以降や攻略本などを読んじゃう人にはタイムアタックゲームになるというのもすごいですね。

 この辺は2Dと3Dで全然ちがうゲームですけど、「探索」を楽しむゲームという点では一緒の『メトロイド』に似ています。一度しか楽しめないはずの「探索ゲーム」に、「タイムアタック」の要素を加えると何周も何周も遊んでもらえるようになる―――という。

 また、舞台は同じですけど主人公は2人の内のどちらを選ぶかで若干ストーリーが変わりますし、どういうルートを進むかでもストーリーが分岐するなど、何周も遊びたくなる要素を入れているのもすごいところです。
 こう見ると、「開発中は社内ではあまり期待されていなかった実験作」とは思えないくらい1作目からすごい完成度のゲームのように思えてきますね。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>

 あの時代のゲーム機のスペックだからこそ、その制約を見事に活かし。
 あの時代に忘れられかけていた古きゲームの緊張感を蘇らせ。
 あの時代を象徴する「縮小化された世界の凝縮した面白さ」を持った作品で―――

 色んな意味で、初代プレイステーションを代表するゲームですよね。
 そう考えると「現在ではあまりないタイプのゲーム」だとも思いますし、当時を知らない人が遊ぶと逆に新鮮な驚きがあるかも知れませんね。

 「ゲームには緊張感が欠かせない」という人には是非オススメです!
 アクション要素がないワケではないので「アクションゲームがまったくダメです」という人にはオススメしませんが、重要なのはリソース管理なので、求められるのは「アクションの腕前」というよりかは「判断力」とか「計画性」とかかなと思います。


 まぁ……私はもう疲れちゃったんで、1作やればイイかなってカンジですけど(笑)。
 生配信中に「『1』をクリアしたら、次は『2』『3』とシリーズをやっていくんですか?」って聞かれましたが、『1』を1周やっただけでお腹いっぱいです!
 もうゾンビに襲われるゲームはイヤだ!かわいい猫と戯れるだけのゲームを遊びたい!―――という風潮から、2000年代前後に「敵と戦わないゲーム」の大ブームが来るのかなと思うのですが、それはまた今度。


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『Dの食卓』紹介/“不自由”を遊びにした唯一無二のゲームデザイン!

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「映画のようなゲーム」というより「映画の主人公になれるゲーム」
普段ゲームを遊ばない人のために、アクション要素もゲームオーバーも(ほぼ)ない
遊べば遊ぶほど前回の経験が活きる死に戻りゲー

『Dの食卓』
 3DO用・セガサターン用・プレイステーション用/3Dアドベンチャーゲーム
 三栄書房(3DO版)・アクレイム(SS版・PS版)/開発:ワープ
 1995年4月1日発売(3DO版)、7月28日発売(SS版)、12月1日発売(PS版)
 セーブ不可能

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 現実時間で2時間が経過すると強制終了で最初からやり直し
 私のクリア時間は約 4時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(父親が大量殺人事件を起こしたというスタートですから)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:◎(死体がそこら中に転がってるし……)
・人が食われるグロ描写:○(もいだ人間の肉を……というシーンもある)
・グロ表現としての虫:△(虫を見つけると発生するイベントがある)
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

↓ここから1↓

◇ 「映画のようなゲーム」というより「映画の主人公になれるゲーム」
 このゲームは1995年に3DO、セガサターン、プレイステーションで発売されたアドベンチャーゲームです。全機種&全世界累計で100万本を売り上げ、「マルチメディアグランプリ'95 通産大臣賞」を受賞、ディレクターである飯野賢治さんは“時代の寵児”としてテレビやラジオにも出たりしたので「ゲームは遊んだことないけど名前だけは知っている」という人も多いんじゃないかと思います。

 若い人にはこの時期のゲーム業界がどんなだったか分からないと思うので簡単に説明しますと、1994年3月に3DO REAL、1994年11月にセガサターン、1994年12月にプレイステーションの本体が発売された―――第5世代と呼ばれる「次世代ゲーム機戦争」の幕が上がった時期なんです。

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 要は、「次世代機が出てきて1年の間に発売された“次世代機であることを活かしたゲーム”」だったということなんですね。

 また、この第5世代の据置ゲーム機というのは「次世代ゲーム機戦争」の中でも特殊な世代でした。第4世代と呼ばれるスーパーファミコン・メガドライブ・PCエンジンなどの時代はドット絵による2Dゲームの成熟期でしたが、その時期にもアーケードでは3Dを活かしたレースゲーム『リッジレーサー』や3Dを活かした格闘ゲーム『バーチャファイター』、スーパーファミコンでありながら特殊チップを積んで3D空間で戦うシューティングゲーム『スターフォックス』が出てきました。これが1993年です。
 2Dのドット絵のゲームが成熟期にあたる一方で、3Dのポリゴンによるゲームのヒット作が出始めて「これからのゲームは3Dが主流になっていくのかも知れない」「ホントに?マリオとかドラクエとかFFも3Dになっちゃうの?」と言われていた時期なんですね。

 そうしたタイミングで出てきた第5世代の据置ゲーム機は、3Dグラフィックス機能を本格的に取り入れたものが多く……1993年のアーケードゲームのヒット作『リッジレーサー』『バーチャファイター』も、その移植作が1994年に発売されたプレイステーション・セガサターンのそれぞれ同時発売ソフトになっていました。
 この第5世代の「次世代ゲーム機戦争」は、3Dのゲームがキラータイトルになっていたんですね。

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 『Dの食卓』はそういった時代に現れ、そんな3Dを活かして「3D空間を探索して城内を歩き回る」「3Dポリゴンで描かれたキャラクターが様々な感情を表情で表現する」というゲームでした。
 つまり、『Dの食卓』というゲームは、3DO・サターン・プレステといった次世代機初期に出てきた「次世代機の機能を活かしたゲーム」というだけに収まらず、ゲームが2Dから3Dへと切り替わる過渡期に出てきた「3Dを活かしたゲーム」だったんですね。



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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 ゲームジャンルとして一番近いのは今で言う「脱出ゲーム」です。
 扉が閉ざされているのでそのままでは先には進めないのだけど、部屋を調べてアイテムを見つけたり、仕掛けを解いたりすると、その扉を開ける方法が分かる―――といったカンジに、次の部屋・次の部屋へと進んでいってゴールを目指すのが目的です。


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 しかし、「脱出ゲーム」として考えると独特なのが、左を向いたり、右を向いたり、前に進んだりといった一つ一つの行動が主人公目線で動くためあたかも3D空間を探索しているかのように遊べるところです。
 一般的な脱出ゲームは、例えば↓の『慟哭 そして…』のように一枚の背景画の中から「調べる場所」や「アイテムを使う場所」をクリックするものが多いと思うのですが……『Dの食卓』はキャラクター(カメラ)を移動させて「調べる場所」や「アイテムを使う場所」のところまで動かしていくんですね。

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<画像はセガサターン版『慟哭 そして…』より引用>


 だから、ハッキリ言って面倒くさいです(笑)。
 後に出てくる3Dゼルダなどのバリバリの3Dアクションアドベンチャーみたいにリアルタイムに3D空間を生成してその中を自在に歩き回れるワケではなく、「脱出ゲーム」の“背景画”と移動シーンの“ムービー”をつなぎ合わせることであたかも3D空間を探索しているかのように思わせているらしいんですね。だから、移動はイチイチ遅いし、移動シーンにムービーを使っているからか容量食いまくりでディスク3枚組なんかに分割されているという。

 今の感覚で言えば、ものすごく「非効率」ですし「不自由」です。
 単純に「面白い脱出ゲーム」を作るだけなら、1枚の背景画をクリックさせる方が遊びやすいと思います。



 しかし、このゲームはその「非効率」や「不自由」こそを楽しむゲームなんです。
 何故なら、このゲームは「映画の主人公になるという疑似体験」を楽しむゲームなのですから。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 このゲームの画面は、基本的に「一人称視点」=「主人公とプレイヤーの目線が同じ」です。方向キーの上を押すと前に進み、方向キーの左を押すと左に旋回、右を押すと右に旋回します。


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 そして、特定の場所などに進むとカメラが「一人称視点」から離れ、主人公のローラを客観的に映すムービーが流れます。つまりこのゲーム……「映画の主人公=ローラ」を操作して目的を達成することによって、「映画のストーリー」を進めていくゲームなんですね。


 「そんなのどのゲームもそうじゃないの?」と思った人もいらっしゃるかと思います。「一人称視点」かどうかとか「ムービーが流れる」かどうかは置いといて、ストーリーのあるゲームは基本的に「キャラを操作して目的を達成する」→「ストーリーが進む」→「キャラを操作して目的を達成する」→「ストーリーが進む」→の繰り返しですからね。
 しかし、『Dの食卓』が独特なのは、この映画の上映時間が「2時間」と決まっていて、ゲーム開始から現実時間で「2時間」が経過すると問答無料にゲームが終了して最初に戻されるというところです。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 ゲームスタート時から持っているアイテム「懐中時計」です。
 「3時」から「5時」までがこのゲームの制限時間で、もし「5時」までにクリア出来なかった場合は……


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 謎空間に真っ逆さまに落ちて、最初からやり直さなくてはなりません。
 この2時間という時間制限は、ポーズも出来ませんし途中セーブも出来ません。

 だってほら、映画館に行って、映画の途中で「今日はここまで観たから明日はこの続きから観ます」なんて言っても許されないでしょ。2時間という設定は一般的な映画の上映時間だと考えられますし、「一人称視点」「ポーズ出来ない」「途中セーブ出来ない」という仕様も「映画の主人公になるゲーム」だと考えると腑に落ちる仕様です。

 つまり、このゲームは「映画の主人公」になりきって「2時間という上映時間」の間に「映画のエンディング」を目指すというゲームなんですね。その“リアルな映画っぽさ”を表現するために、最先端の3D技術を駆使しして「3D空間」だったり「3Dで表現された表情のあるキャラクター」だったりが使われているのです。

 だから、「移動がイチイチ遅い!」とか「途中セーブが出来ないだなんてクソゲーだ!」といった批判をする人は、このゲームの楽しみ方が分かっていないと思うんですね。カレーを食べて「辛い!」と怒るようなものです。そうした不自由さを「本当に映画の主人公を操作しているようだ」と思える人が、このゲームを楽しめる人達なのです。


 あと、これはあの当時ではイマイチ分かっていなかったことなんですけど……
 当時の飯野賢治さんは25歳、高校中退で仲間達と下請け会社を作って様々な仕事をして、というエリート街道とは程遠い経歴の若者だったんですね。そんな若者集団が、ナムコだとかセガだとか任天堂だとかの大企業の後ろ盾もなく、最新技術を駆使した斬新なゲームを作って大ヒットを飛ばしたという。
 飯野さんはそうした活動を後に「バンドのようだった」と仰ったらしいんですけど、今で言うインディーゲームのノリでの成功と考えるなら、早すぎた『マインクラフト』みたいな位置づけだったのかも知れません。も、もちろん『Dの食卓』と『マインクラフト』ではジャンルも売上も全然ちがうんですけど。



 ただ、『Dの食卓』が斬新だった時代はあっという間に過ぎ去ります。
 「3Dを活かしたゲーム」も「3Dのアドベンチャーゲーム」も世にあふれていき、1996年3月には同じように「館の中を探索するホラー要素の強いアドベンチャーゲーム」でありながら「ゾンビと戦うアクションゲーム」の側面も持つ『バイオハザード』が、1996年6月には「リアルタイムに3D空間を生成してその中を自在に走り回れるアクションゲーム」である『スーパーマリオ64』とNINTENDO64が、1997年1月にはRPGとムービーを融合させてドラマチックなストーリーを描いた『ファイナルファンタジーVII』が発売されました。

 「3Dを活かしたゲーム」でありながら、「ちゃんとゲームとして面白く」、「長く遊べるゲーム」が次々と発売され―――たった1~2年で『Dの食卓』は、「3D黎明期の古臭いゲーム」になってしまったのです。
 なので、名前はムチャクチャ有名なのに実際に遊んだことがないという人が多いのだと思います。私もそうでした。セガサターンやプレイステーションを買ったのは本体発売から数年後だったため、もうその時期には『Dの食卓』は「古臭いゲーム」だったんですね。

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 しかし、バレンタインのプレゼントでもらったことで、私はこの2018年に初めて『Dの食卓』を遊んだのですがビックリしました。今やもう、もちろん「3Dを活かしたゲーム」なんて珍しくありません。3Dの空間を探索するゲームも、3Dのキャラクターが映画のように表情を変えるゲームも、これまでに数えきれないほど遊んできました。そういう側面だけ見れば『Dの食卓』は23年前のクオリティでしかないゲームなんですけど……
 でも、こんなゲーム、今まで遊んだことないぞ!という新鮮な気持ちですごく楽しみました。「3Dを活かしたゲーム」というだけでない、このゲームにしかない魅力を持ったゲームになっていたのです。そこを今日は語りたくて、わざわざ2018年に『Dの食卓』について語ろうと思ったのです。

↓ここから2↓

◇ 普段ゲームを遊ばない人のために、アクション要素もゲームオーバーも(ほぼ)ない
 先ほども書いたように、このゲームが一番近いジャンルは「脱出ゲーム」だと思います。館を探索して、アイテムを探して、その使い方を考えて、そこから脱出する―――という部分だけに注目すれば『バイオハザード』とか『ゼルダの伝説』などのアクションアドベンチャーに近いと思われるかも知れませんが、『Dの食卓』には敵との戦闘は(ほぼ)ありません。

 アクション要素も(ほぼ)ありません。
 “2時間”という制限時間内ならば、ゲームオーバーにも(ほぼ)なりません。
 謎解きの難易度も、正直それほど高くありません。
 「どこに行けばイイのか分からない」という時には救済アイテムがあります。


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 突然、トゲの壁が動き出してこちらに迫ってくる!!


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 危ないっ!ローラアアアアアア!!


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 すんでのところで止まるトゲ。
 ふぅ~、助かったぜー。


 と、こんなカンジに「普通のアドベンチャーゲームなら主人公が死にそうな場面」であっても、ゲームオーバーには(ほぼ)なりません。アクション要素がないだけならアドベンチャーゲームとしては「元々はそういうジャンルだろう」という話なんですが、ゲームオーバーが(ほぼ)ないというのは変わっているんじゃないかと思います。『シャドウゲイト』なら何回死んでいたことでしょう。

 まぁ、「セーブすることが出来ない」「2時間ぶっ続けで遊ぶゲーム」で、そんなに頻繁にゲームオーバーになられても「また最初からやり直しかよ!」となってしまいますからね(笑)。意外とその辺はよく考えられています。
 あと、もう一つ。このゲームは多分、「普段からゲームばっかりやっているバリバリのゲーマー」というより「普段はゲームを遊ばないけど斬新なものには興味を示す人」に向けた作品だったと思うんですね。

 そういう人が、週末に2時間「映画を観る」みたいな感覚で遊べるゲーム―――そう考えて、ゲームに慣れていない人が敬遠しそうなアクション要素とかゲームオーバーとかは入れなかったのかなと思います。
 謎解きの難易度も、この手のジャンルに慣れた人からすれば低い方でしょうし。回数制限付きですが、救済アイテムもあります。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 主人公が最初から持っているアイテム「コンパクト」を使うと――――


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 次に行くべき場所が表示されます。
 「そこで何をすればイイのか」は教えてくれませんし、使えるのは3回までで3回使用するとコンパクトは粉々に砕けてしまいます。その制限も「そればっかりに頼るワケにはいかない」ようになっていて丁度イイと思います。



 しかし、アクション要素も(ほぼ)ない&謎解きの難易度もさほど高くないとなると、「ゲームとしては単調なんじゃないのか?」と思われるかも知れません。そうならないために、色んな仕掛けだったりギミックだったりが次から次へとやってくるのがこの作品の魅力と言えるのですが……


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 その一つがコレ!
 突然始まる「QTE」だっ!

 「QTE」とは?
 「クイック タイム イベント」の略で、画面に「このボタンを押せ!」と表示されたボタンを即座に押さなくてはならないイベントのことです。元々は1980年代のLDゲームが元祖らしいのですが、1996年の『ダイナマイト刑事』、1999年の『シェンムー』とセガが採用してこの名前を付けたらしいです。

 私は「ボタンをしょっちゅう押し間違える」「押したはずなのに押していないと判定される理不尽さ」ゆえに、この「QTE」という文化が大嫌いで、「ステルスアクション」と並んで「あると知っていたらそのゲームは買いたくない」「入れるなら苦手な人のために難易度を出来る限り抑えてほしい」と思っているんですけど……

 『Dの食卓』は1995年のゲームなので、『ダイナマイト刑事』や『シェンムー』よりも前の「(QTEと名付けられる前の)QTE」ってことですね。諸悪の根源はキサマかーーーーーーーーーー!


 ただ、まぁ……このゲームに「QTE」が入っているのは分からなくはないんですね。
 先ほども書いたように、恐らくこのゲームは「普段はゲームを遊ばないけど斬新なものには興味を示す人」に向けた作品なのでアクションゲームの要素は入れたくない、でもずっと探索とムービーだけ続くとゲームが単調になってしまう、それではどうしたらイイだろうかという折衷案で「1つのボタンを押すだけのQTEが入った」のかなぁと思います。

 つまり、アクションゲームが苦手な人にもアクションゲームの緊張感を味わってもらうための「QTE」ということで、後のアクションゲームに取り込まれる「QTE」とはまたちょっとちがうと思うんですね。まぁ、それでもタイミングがシビアすぎてイライラするのは否定できませんけど。


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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 失敗しても井戸に落とされてやり直しになるだけで、相変わらずゲームオーバーにはなりませんし。



 ということで、このゲームは「普段はゲームを遊ばない人」に向けたゲームデザインになっていて、それってこの10年後くらいに流行語のように繰り返し言われた「ゲームの定義を広げる」「ゲーム人口の拡大」の先取りだったんじゃないかって思うんですね。
 それが何故『エネミーゼロ』では……というのは置いといて、このライトユーザー向け路線を継続して「普段はゲーム遊ばないけど飯野さんの作品だけは遊ぶよ」という人を増やしていけたなら、彼が後に作ろうとして頓挫した『300万本売れるRPG(仮)』も本当に300万本売ることが出来たのではと思わなくもないです。

↓ここから3↓

◇ 遊べば遊ぶほど前回の経験が活きる死に戻りゲー
 さてさて。
 ここまでの話は「3D黎明期の技術で作った、映画の主人公になれるゲーム」「ゲームを遊ばない人に向けてアクション要素やゲームオーバーが(ほぼ)ない」といった内容でしたが、それだけなら2018年を生きている皆様にはフツーのゲームのように思えちゃうことでしょう。

 「映画の主人公になれるゲーム」なんて、今日日ごまんとありますし。
 「アクション要素やゲームオーバーがないゲーム」も、たくさんあります。


 私がこのゲームを「こんなゲーム、今まで遊んだことないぞ!」と思ったのは、「ゲームオーバーには(ほぼ)ならない」のだけど「2時間経つと強制終了する」という仕様に合わせたゲームデザインです。
 この仕様……ハッキリ言ってボリューム不足を逆手にとった苦肉の策だと思うんですよ。このゲームがもし「2時間経つと強制終了する」仕様じゃなかったら、恐らく大体2時間半くらいで終わってしまいます。当時の技術や、彼らの制作規模で考えたらこれ以上のボリュームにはできなかったのでしょうけど、2時間半で終わってしまうゲームをパッケージソフトとして売るのは厳しい。

 だから、「2時間経つと強制終了する」ようにして、何度でもやり直させるリプレイ性を取り入れ、「2時間以内にゴールにたどり着けるか」というゲームにしてしまったんだと思うんですね。そのために、このゲーム「やり直せばやり直すほど有利に立ち回れる」ようになっているのです。


 例えば、これ……序盤のネタバレになっちゃいますけど。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 階段をのぼるー。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 引き出しを開けると、そこに1枚の紙があるー。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 それを持って、階段を下るー。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 洗面器の中に入れると文字が現れるー。


 といったカンジに、あっちに行ったりこっちに来たりして謎を解いていくのがこのゲームなんですが、2周目以降は「ヒントの文字」を覚えておけば、階段をのぼって紙を取って階段を下りて洗面器に入れるという過程を全てすっとばすことが出来ます。1周目でのプレイが、2周目に活きてくるゲームなんですね。

 些細なショートカットのように思えるかもですが、移動の遅いこのゲームだと過程を幾つか飛ばせるだけで数分の短縮になりますし。1周目は仕掛けがなかなか分からなかったギミックも2周目は分かった状態で解けるとか、3回しか使えないヒント機能ももちろん復活するとか、QTEのコマンドも予め何が来るか分かるとか―――このゲーム、周回すればするほど有利になっていくところが多いんです。

 アクションゲームなんかだと「同じ面を何度もプレイして上手くなっていく」ことは当たり前のことですけど、この『Dの食卓』はアクション要素が(ほぼ)ないアドベンチャーゲームでありながら何度もやり直すことで「自分の上達」を実感できるゲームになっているんです。

 この感覚は他のゲームではあまり味わったことがありません。
 『Re:ゼロから始める異世界生活』でスバルくんが何度も死に戻って、「前回の経験」を活かして絶体絶命の状況を突破する―――みたいなタイムリープものの主人公になった気分を味わえます。


 だからこのゲーム……「何度もやり直す時間がもったいないから、攻略サイトを見ながら1周でクリアしよう」みたいな遊び方をしちゃう人にとっては全然面白くないと思います。
 手探りで1周目を遊んで、ヒントとか、ギミックの謎とかをメモに取りながら進めて、それで2時間が経過してしまってクリアできなかったとしても、そのメモを活かして2周目は1周目より効率的に進める――――そういう成長の過程を楽しめる人にとっては面白いゲームとなるでしょう。

 「移動速度の遅さ」とか「3回しか使えないヒント機能」とか「やたらタイミングがシビアなQTE」とかも、この“2周目は1周目より効率的に進める”ことを実感させるためにそういった仕様になっているのかと思ってしまうほどです。
 「リメイクしてほしい」とか「VRで遊びたい」といったコメントもあったんですけど、快適に遊べるように現代風にリメイクして移動速度を速くしたら誰でも1発で2時間以内にクリア出来ちゃうでしょうし、やり直した際のショートカットに感動できないでしょうし。やっぱりこのゲームは現代風には直せないゲームじゃないかなぁと思いますね。飯野さんが亡くなっているということを差し引いても。



 ただ、「じゃあ、完璧に効率的なプレイを覚えたらそのままそれを繰り返すだけになっちゃうのか」というと、実はショートカットできないランダム要素もほんの少しだけあります。

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 それが「玉虫イベント」です。
 これはクリアには必須ではないのですが、館のどこかに玉虫が数匹いて、それを見つけるとローラの断片的な記憶が再生される→ 全て集めた状態でクリアすると「真のエンディング」にたどり着くのですが。この玉虫のいる場所は毎回固定ではなく、ランダムで変化するみたいなんですね。なので、全てをショートカットして効率よく進もうとすると、「前回はここに玉虫がいたのにいなくなってる!」ということになるという。



 ただまぁ、それでもある程度は「玉虫が出る場所」は決まっているみたいですし、そもそも「普通のエンディング」も「真のエンディング」もほとんど変わらないのでやり直すほどではないです(笑)。
 これも多分、「クリアしたらすぐに中古ゲーム屋に売っちゃう人」対策として「まだまだやり残したことがありますよ!」と周回プレイをさせるための工夫だと思うので……2018年の今これを遊ぶなら無視しちゃってイイんじゃないかと思います、虫だけにね!



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 ……

 流石に2018年にこのゲームを遊ぶには、「3D黎明期のゲームを遊んでみたい!」「名前は聞いたことある名作は触れておきたい!」といったゲームの歴史を紐解くモチベーションがなければなかなか厳しいです。そもそも現代だと「2時間ぶっ続けでゲームをやる(途中中断も途中セーブもできない)」なんてゲームは受け入れられないでしょうし、移動の遅さにイライラしてしまう人も多いでしょう。

 そうした「不自由さ」も含めてゲームデザインになっているということを楽しめる人にしかオススメ出来ませんし、逆に言うとそれを「面白そう!」と思える人にはオススメです!


 生配信でワイワイ言いながら遊んだこともあって、私はすごく楽しみました。
 「ホラー映画のDVDを借りてみんなで一緒に観る」みたいに、友達同士で集まってみんなで一緒にあーだこーだ言いながら遊ぶのもイイかも知れませんね。そして、みんなで一緒にQTEにぶちぎれよう!


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『鈍色のバタフライ』紹介/傑作KEMCOノベルアドベンチャーの原点!

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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

【三つのオススメポイント】
1作目だからこそ、オーソドックスに「首謀者は誰だ?」と推理を楽しめる
以降の作品達とは一線を画す“ギャルゲー”風のキャラクター達
『トガビトノセンリツ』につながるシステムとストーリーの原点


『鈍色のバタフライ』
 スマートデバイス用/サスペンス&スリラー・ノベルアドベンチャー
 ケムコ
 2012年発売(ガラケー版は2010年発売)
 iOS版は500円、AndroidOS版は540円
 セーブデータ数:5
 公式サイト


 プレイ時間は1周目エンディングまでで約 7時間でした
 2周目の隠しモードまで全て読んで約16時間
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(『トガビト』ほど暗くはないけど、ガンガン仲間が死ぬので)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×(『トガビト』とちがって死体はキレイに死ぬ)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:△(恩恵を受けるのは主人公じゃないけど…w)
・セックスシーン:×(イチャイチャするシーンはあります)
↓ここから1番↓
◇ 1作目だからこそ、オーソドックスに「首謀者は誰だ?」と推理を楽しめる
 KEMCOという会社名はファミコン・スーファミ時代を知っている人達には、「なんか変なゲームを出していた会社」という印象で覚えられているんじゃないかと思われます。
 『ダウボーイ』『スパイvsスパイ』『シャドウゲイト』『ドラッケン』などなど……しかし、これらのソフトは海外のPCゲームのローカライズなので、今にして思うと「変なゲームを作る会社」というよりかは「海外から変なゲームを拾ってくる会社」だったんですよね。そういう意味では、今でいうテヨンジャパンとかレイニーフロッグみたいな立ち位置の会社だったのかもって思います。



 元々KEMCOとは「コトブキシステム」という会社のブランド名で、当時の親会社コトブキ技研工業株式会社「Kotobuki Engineering & Manufacturing Co., Ltd.」の頭文字をとったものでした。そこから、2004年の寿グループ再編によってゲーム事業が「コトブキソリューション」に分社化し、KEMCOというブランド名を引き継いだ形になります。

 この2000年代前半という時期のゲーム業界は、開発費が高騰していてかなり厳しい時期でした。大手ソフトメーカーでも合併だったり消滅だったりが続いていましたからね。

 スクウェアとエニックスは2003年に合併。
 タイトーは2005年からそのスクエニの子会社に(連結子会社→完全子会社)。
 ナムコは2005年にバンダイと経営統合。
 ハドソンは2001年からコナミの資本下に入って後に完全子会社→ブランド消滅。
 セガは2004年にセガサミーのグループの一員になり。
 SNKは2001年に倒産、その後は1行で書ききれないくらいいろんなことになってて。
 データイーストは2003年に自己破産。
 コンパイルも2003年に破産。
 ヒューマンは2000年に破産。
 テクノスジャパンにいたっては1996年に倒産。


 ファミコン・スーファミ時代に大人気だったテクノスジャパンやデータイーストすら潰れていく中、分社化したKEMCOがどうやって生き延びていったかというと「携帯電話用のゲームアプリ」の道でした。2000年代前半にはもちろんスマホはまだありませんから、今でいうガラケーです。
 スーファミ時代のような2DコマンドRPGを特に多く出していて、それらは後に3DSのようなゲーム機にも移植されているので「やたらたくさんRPGを出すKEMCO」というのはゲーム機でゲームを遊ぶ人達にも知られているんじゃないかなと思います。


 つまり、開発費が高騰して小さなメーカーではパッケージソフトを出せなくなっていく時期にいちはやく「ダウンロード販売」の道に舵を向けようとして、その当時の「ゲームのダウンロード販売」の選択肢はまだ携帯電話一択しかなかったということなんですね。この路線は成功を収め、メインのプラットフォームを携帯電話からスマホ(後にゲーム機への移植)に変えて今でも続いています。

 これ……あと数年ズレていたらちがった展開をしたかも知れませんよね。2005年くらいから『脳トレ』などによるDSブーム、2008年からはWiiウェアがスタート……と、選択肢が増えていたワケですからね。事実、KEMCOは2008年に『ソーサリーブレイド』というWiiウェアオリジナルの3DRPGを出しています(2010年に2D化して携帯電話版も発売)。


 アレだけのハイペースで「コマンドRPG」を発売するのだから、当然自社ですべてを作っているワケではなくて、「コマンドRPG」についてのノウハウのある開発会社にKEMCOからディレクターを付けて共同制作をしているそうです。

 お待たせしました。ようやくこのゲーム『鈍色のバタフライ』の話にまでたどり着きました。
 実はこの『鈍色のバタフライ』というゲーム、KEMCOの「デスゲームもの」「ノベルアドベンチャー」1作目という立ち位置の作品ながら、そうした「コマンドRPG」などの開発を行っていた会社(恐らくマジテックという会社)から出てきた企画なんですね。その時にディレクターの下の手伝いのような形でKEMCO側から入った野吹氏が「人狼ゲーム」に詳しかったため、入社2年目の若手ながらamphibianというペンネームでシナリオを全部書くことになったという……

 そうした経緯で作られた『鈍色のバタフライ』が好評だったため、今度はamphibian氏が企画から立てたのが『トガビトノセンリツ』で、そこから『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』や『レイジングループ』といったKEMCOノベルアドベンチャーにつながっていくのです(こうした事情は電ファミのインタビューで書かれているので、どうぞ)


・『鈍色のバタフライ』(2010年)
 <ガラケースマホ
・『トガビトノセンリツ』(2011年)
 <ガラケースマホWii U
・『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』(2013年)
 <スマホWii U
・『黒のコマンドメント』(2014年)
 <スマホ
・『レイジングループ』(2015年)
 <スマホPS Vita&PS4Nintendo SwitchPC

 『鈍色のバタフライ』が、『トガビトノセンリツ』や『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』とちがってゲーム機に移植されなかったのはこの辺の権利的な事情があったんですかねぇ。『トガビトノセンリツ』や『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』が遊べるWii Uももはや現役機ではないので、『レイジングループ』以前の4作品をまとめてNintendo Switchあたりに移植してくれたら嬉しいのになあなんて思ったりもします。


 私がKEMCOのアドベンチャーゲームにハマるきっかけになったのは『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』からで、後に『トガビトノセンリツ』を遊んで「今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番」というくらいにハマり、『レイジングループ』は既に購入しているのだけどその前に『鈍色のバタフライ』と『黒のコマンドメント』も遊んでおこうと思って今回『鈍色のバタフライ』をプレイしました。
 
 リリース順と逆の順番でプレイしたことになり、大体のゲームはこうやって遡る形でプレイしていくと「昔の作品ほどしょぼく見える」とか「昔の作品は遊びづらく感じる」ことが多いので……『鈍色のバタフライ』も、正直言って『トガビトノセンリツ』と比べれば見劣りするところはありました。なんせあっちは「今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番」「すべてのゲームの中でも人生ベスト10に入る」というくらいに大好きなゲームですからね。

 ただ、逆に言うと……私が大好きな『トガビトノセンリツ』が生まれるにあたって、その原型はここにあるのかと思わされる作品になっていました。
 『トガビトノセンリツ』って「デスゲームもの」としてはかなりひねくれたストーリー展開をしていくんですけど、それはいきなり突拍子もないものが生まれたのではなく、比較的オーソドックスな『鈍色のバタフライ』があって、そこからの意外性&差別化を図るためだったんですね。



 このゲームの主人公達は、とある高校に通う仲の良い9人組―――
 彼らが突如「拉致」をされて連れていかれたのは『バタフライゲーム』という閉鎖空間での「デスゲーム」でした。

 この『バタフライゲーム』では9人それぞれに「○○者」という役割が与えられ、「首謀者」は自分以外の全員を皆殺しにしなければならず、「首謀者」以外は殺される前に「首謀者」を告発して殺さなければなりません。しかし、告発した相手が「首謀者」でなかったら、間違った相手を告発したペナルティで自分が死んでしまいます。

◇ 首謀者
 8本の毒入り注射を与えられる。
 一晩に1人ずつターゲットを選んで殺しに行かなくてはならない。

 「造反者」に5つまで絶対遵守の命令を出すことができる。

◇ 共有者
 この役割だけ2人いて、もう1人の「共有者」が誰だかを知ることができる。
 自室の鍵がかかった時のみ、ノートPCのチャットで情報交換ができる。

◇ 診断者
 ゲーム中に1回だけ、生存しているプレイヤー1人の「役割」を調べられる。

◇ 守護者
 一晩に1人、「首謀者に殺されない人」を選ぶことができる。

◇ 交換者
 「首謀者のターゲットを強制的に自分に変更できる」or「自分が首謀者のターゲットになった際、指定したプレイヤーにそのターゲットを押しつけることができる」という能力を、一晩に1回ずつ使える。

◇ 造反者
 「首謀者」からの命令を5つまで守らなければならない。その命令は1日効果を発する。
 守れなかった場合は「造反者」は死ぬ。
 自分が「造反者」であることを名乗っても死ぬ。

 造反者には首謀者を「告発」する権利がない。

◇ 隠遁者
 首謀者が持つのと同じ毒入り注射を1本、それを打たれても無効化できる薬入り注射を1本与えられる。そのどちらかを使った状態で生存者4人まで生き延びていれば、「隠遁者」だけゲームから抜けることができる。

 ゲーム中1回のみ「首謀者がターゲットに選んだ部屋」に、代わりに行くことができる。

◇ 犠牲者
 1日目の夜に、「首謀者によって殺されることが決まっている」役。
 その様子は他プレイヤーのPCに中継される。


 大まかに説明するとこんなカンジ。
 細かい部分はちがいますが、『人狼ゲーム』にものすごく似たルールですよね。作品内でも「バタフライゲームに似たゲームを知っている」と『人狼ゲーム』が紹介されて、そのちがいが説明される場面があります。

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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>


 学園ラブコメの皮をかぶっていた『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』や、「看守」と「囚人」に分けられる『トガビトノセンリツ』の「プリズナーゲーム」に比べるとシンプルで分かりやすいルールだと言えます。
 そのため、ストーリーも「誰が首謀者なのか」「誰が嘘をついているのか」という部分に集中できて、「デスゲームもの」に慣れていない人にも分かりやすい話になっているんじゃないかなと思います。


 『鈍色のバタフライ』と『トガビトノセンリツ』のスマートデバイス版が発売される際に公開されたWEBスペシャルコンテンツによれば――――『鈍色のバタフライ』のストーリーは「バタフライゲームをどう攻略していくのか」という“知略やダマシ、ロジック、交渉、プレイヤー同士の駆け引き”の部分が主で、『トガビトノセンリツ』のストーリーはゆがんだ登場人物の二面性を描くことで「仲間達との真の人間関係の構築」が主だといった風に書かれています。

 そのため“『鈍色』は明るくて『トガビト』は暗い”みたいに言われることもあるんですけど、ライトに&オーソドックスに「デスゲームもの」を楽しみたい人には『鈍色のバタフライ』の方が向いているという考え方も出来るんですね。
 まぁ、それでも『トガビトノセンリツ』が大好きだった私としては、「『鈍色』が面白かったら『トガビト』もやろう!」と言いたくなっちゃうのですが(笑)。



↓ここから2番↓

◇ 以降の作品達とは一線を画す“ギャルゲー”風のキャラクター達
 さてさて、「オススメ作品」として紹介してきたこの作品ですが……実は、ある一点だけどうしても私には乗り切れない箇所がありました。みなさんにオススメするにあたって、ここはやはり触れておかないといけないかなと思ったので書いておきます。気にしない人は気にしないんでしょうけどね。


 ……


 ………その乗り切れない箇所とは!




 バン!


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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

 メインヒロインの名前が俺と一緒ーーーーー!

 あ……いや、別に普段はまったく気にしないし漫画とかアニメで同じ名前が出てきてもそれにすら気づかないんですが、このペンネームを自分につけてからゲームを遊ぶ際には「やまなし」か「レイ」を主人公の名前につけることが多いので、どうしても「レイ」というキャラのセリフは主人公のセリフだと思って読んでしまうんですよ(笑)。でも、実際には主人公は大介で、ヒロインがレイだという。

 みなさん的には全然関係ないことかと思われるかも知れませんが、「レイ」という名前に黒髪ロングのセーラー服がよく似合う年下美少女の印象を持ってしまうと、今後私のことを黒髪ロングのセーラー服がよく似合う年下美少女と思ってしまうかも知れないじゃないですか!本当の私は黒髪ショートのセーラー服がよく似合う年下美少女なのに!!!



 ということで、ここからはキャラ紹介です。
 画像はすべてiPad版『鈍色のバタフライ』より引用です。

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 まずはWヒロインの一角:鷹瀬レイ
 主人公が死に別れた妹に似た、1つ下の後輩です。
 とある事情で声を発することができず、会話はスケッチブックに筆談することで行います。

 KEMCOのノベルアドベンチャーでは「ヒンヌーのコが人気になる」とか「読みが二文字の女子が人気になる」というジンクスがあるそうなんですが、その原点にあたる人気キャラです。私もこのゲームで一番好きなのはこのコです!同じ名前だけど!


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 Wヒロインのもう一角:鷺ノ宮桜
 主人公にとって幼馴染の一人で、資産家の家で育ったお嬢様です。
 金髪・ツインテール・お嬢様・そしてツンデレ……!清々しいまでの数え役満じゃないですか!

 知的ゲームに強く、メンバーの中で唯一『人狼ゲーム』を知っていました。


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 筋肉バカ:清原祐二
 主人公と桜の幼馴染で、運動神経抜群でスポーツ万能です。その分だけ考えるのが苦手なので、仲間からは「脳まで筋肉でできている」なんて言われたりするほど。


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 軽薄バカ:桐生つばさ
 バカ・スケベ・成金―――と、ギャルゲーにおける親友ポジションにあたるキャラです(実際の親友は付き合いの長さで祐二だろうけど)。セクハラ発言で女子をドン引きさせたりもするけど、場の雰囲気をしっかり見ているムードメーカーです。


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 もう一人のムードメーカー:水無瀬まい
 ショートカットの元気っ娘で、他の仲間を独特なニックネームで呼びます。このコが喋るとどうしてもCV.吉田有里さんで脳内再生されるのは、きっと同じオレンジ色のショートカットで仲間を独特なニックネームで呼ぶ元気っ娘なこのコのせいだな……!


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 巨乳:森野璃々子
 おっとりしていて、家事全般をこなして、タレ目で、おっぱいが大きくて、いわゆる「おっとりおっぱい」ポジションですね。KEMCOノベルアドベンチャー歴代キャラのおっぱいランキングで、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』の美弥様を差し置いて1位になったこともあるたわわなおっぱいです。おっぱいおっぱい。


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 天才飛び級ロリクオーター病弱帰国子女ぼくっこ:ルナ・エカルラート・月島
 ちょっと設定を盛りすぎなのでは……と言いたくなるロリ担当です。海外で飛び級をしていたため、日本では小学校6年生に籍を置きながら、主人公達と同じ高校2年生として通っています。難病を患っているのだけど、海外では治療費が払えずに日本にやってきたとか。


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 姉御肌:神崎巴
 姉妹のように、かいがいしくルナの世話をやいているコです。厳しい口調な時もあるけれど、冷静に状況を見て判断できる頼れる存在と言えます。『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』の志乃歌さんの原型なのかなぁと思わなくもないです。同じポニーテールだし。


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 主人公:鳴河大介
 小さいころに両親と妹を続けて亡くしている苦労人で、そのせいか仲間のことを第一に守ろうとしてしまう主人公です。桜曰く「熱血バカ」。プレイヤーが自己を投影させる鏡像型主人公なため、立ち絵がありません。



 以上の9人です。
 amphibian氏の作品は「キャラが魅力的」というより「キャラ同士の関係性が魅力的」だと私は思っていて、それはこの1作目から発揮されています。わちゃわちゃした会話が楽しいので「誰も死ななければイイのに……」とついつい思ってしまうんですよね。


 さてさて……『トガビトノセンリツ』の紹介記事にも各キャラクターの紹介をしているので見比べてもらうと分かりやすいのですが、『鈍色のバタフライ』のキャラクター達ってとても「ギャルゲーのテンプレらしいキャラクター」達なんですね。

 「(妹属性の)後輩」「ツンデレお嬢様」「悪友(筋肉)」「悪友(女好き)」「元気っ娘」「おっとりおっぱい」「天才ロリ」「姉御肌」……髪の毛の色がそれぞれちがってカラフルなのも、現実にありそうな髪色に収まっていた『トガビトノセンリツ』とは対照的です。

 また、主人公の鳴河大介が没個性的で「ギャルゲーの主人公っぽい主人公」なんです。
 例えば、『トガビトノセンリツ』の主人公:竹井和馬にも同じように立ち絵は用意されていませんでしたが、「顔が怖い」といった外面的な特徴が描写されていました。『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』になると主人公にもイラストが用意されていて……主人公の立ち位置が、後の作品になるほど「プレイヤーが自己を投影する先」から「一人のキャラクターとしてしっかりと立たせていく」と変化していることが分かります。

 そういう意味で『鈍色のバタフライ』は、ノベルアドベンチャー1作目だからなのか、マジテックからの企画だからなのかは分かりませんが……KEMCOのノベルアドベンチャーの中ではオンリーワンな作品になっていると思うんですね。オーソドックスなギャルゲーのテンプレで「デスゲーム」をやるというか。
 逆に考えると、これが「始まりの1作」だったからこそ、そこからの差別化で『トガビトノセンリツ』や『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』がひねくれた作品になったと言えるし、それが「世界中のどこにもない、その作品だからこその魅力を持った傑作」になっていった要因なのかなぁとも思うんですね。


 なので、KEMCOのノベルアドベンチャーが好きな人は是非「その原点」を見てください!

↓ここから3番↓

◇ 『トガビトノセンリツ』につながるシステムとストーリーの原点
 ゲームのシステムは『トガビトノセンリツ』とほぼ一緒です。
 基本は一本道のストーリーが展開して、たまに「二択」を選ぶ場面が出てきます。正解を選べばそのまま話が進み、不正解を選べばバッドエンドでタイトル画面に戻されます。なので、「二択」が出るところでセーブしておくのが良いでしょう。

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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

 「『トガビトノセンリツ』と見比べて見劣りするところがあった」一つはここで、『鈍色のバタフライ』はこの「二択」を選ぶ場面があまり多くないんですね。主人公:大介が決断をする場面でも、プレイヤーが選ぶことなく大介が勝手に判断して選んでしまうところが多々ありました。単なる「二択」であっても、選ぶことで「主人公への没入度」が変わるのは『ドラゴンクエスト』でも使われている手法なのでちょっともったいないかなーと思いました。

 逆に考えると、「選択肢など要らない」「ストーリーだけ読めればイイ」という人にとってはこれで構わないとは思うんですけど。


 『トガビトノセンリツ』や『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』にあった「バッドエンドを選んだら連れていかれる説教部屋」や「バッドエンド収集」はありません。そもそも「二択」が少ないので、バッドエンド自体が少ないですからね。
 後の作品では有料DLCで販売された「各キャラクターの過去エピソード」もこの頃にはまだなく、恐らくあまりバックボーンが描かれずに死んでいってしまったキャラ達をもっと見たかったという要望が『鈍色のバタフライ』では多かったため、『トガビトノセンリツ』や『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』では「各キャラクターの過去エピソード」が販売されたのかなぁと思います。

 個人的には「各キャラクターの過去エピソード」はそこまで好きじゃなかったので別にイイんですけど、『トガビトノセンリツ』の有料DLCであった「彼らがプリズナーゲームに巻き込まれなかったifの世界」は、『鈍色のバタフライ』のWEBスペシャルコンテンツが元になっているのかなぁと思います。「後日行く予定だったプールなのか」という表現があるので。


 『鈍色のバタフライ』のWEBスペシャルコンテンツ

 『トガビトノセンリツ』にもあった、各キャラクターの座談会です。決定的なネタバレはしないように気を付けられてはいますが、本編を2周クリアした上で読むことをオススメします。本編での結末がにおわされている表現も多いので。

 わちゃわちゃした会話がすごく楽しいのですが、その中でも特に初期プロットを蔵出しして各キャラが「なんじゃこりゃあ!」と言い合う回がムチャクチャ面白いです。ストーリーが全くの別物だったとか、鷹瀬さんの設定がギリギリのところで変更したことに鷹瀬さん自身が叫ぶとか、大介は初期プロットからは変更されていないところがほとんどなく唯一残ったのが「あっちぃな」というセリフだけとか(何故それは残った!?)、必ず本編をクリアした後に読むべきですが、クリアした人は必読の面白さです。
 ここを読むと「あー、この没案が後の作品で使われたアレかなー」と思えるところもありますね。


 『トガビトノセンリツ』webスペシャルコンテンツ 第三回(&『鈍色』第四回)

 そしてそして、ガラケーのゲームだった『鈍色のバタフライ』と『トガビトノセンリツ』がめでたくスマホ用に移植された2012年に、各作品の人気投票上位5人ずつ計10人で行われた座談会がこちら。これは販促の意味も強いので、『トガビト』のキャラが『鈍色』を紹介したり、『鈍色』のキャラが『トガビト』を紹介したり。各作品の人気投票上位5人が意外だったり納得だったり。こう見ると、ガラケーアプリの市場の特性なのか「女性比率も低くない」って分かりますね。

 こちらもすごく面白いので、両作品をクリアした人は是非お読みください。



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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

 さてさて、「システム」については一つ大きなことを説明していないのですが、その前に「ストーリー」についても語っておこうと思います。『鈍色のバタフライ』というゲーム、アドベンチャーゲームでありながら「主人公:大介の目線で進む一人称の物語」ではありません。時折「大介以外の目線に切り替わって進行するシーン」が出てきます。

 特に『トガビトノセンリツ』と比較すると分かりやすいと思うのですが、あちらはほぼ「主人公:和馬の目線で進む一人称の物語」となっています。例外のシーンはなくはないですけどね。
 ただし、それは「1周目」の話であって、「1周目」をクリアすると解禁される「隠しモードをONにした2周目」だと「和馬以外のキャラクターが何を考えて行動していたのか」が分かる群像劇に変わるのです。「1周目」では和馬目線ゆえにどうしてこうなったのかさっぱり分からなかったことが、「2周目」ではみんなの思惑が分かるので「こういうことだったのか!」が見えてくるのが面白くて。これこそが、私が『トガビトノセンリツ』を「今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番」「すべてのゲームの中でも人生ベスト10に入る」というくらいに好きになった理由なのですが……


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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

 先ほど説明していなかった「システム」とは、この「2周目」についてです。
 『鈍色のバタフライ』にも同様の「隠しモード」があります。「隠しモード」をONにすると、1周目にはなかった赤いセリフやモノローグが追加されて各キャラの思惑が分かるようになっているのですが。

 実はこのシステム、『鈍色のバタフライ』の制作が始まってから出てきたものらしくて、『鈍色のバタフライ』ではあくまでオマケモードの範疇なんですね。「1周目」の時点で「大介以外の目線で進行するシーン」が読めるので、「1周目」を遊べばどういう話だか大体は分かるようになっているんですね。

 『トガビトノセンリツ』はその反省からか、プロットの段階から「2周目を遊んでようやくすべての真実が分かる」ことを目指して作っていて、1周目は「主人公:和馬の目線で進む一人称の物語」となっているのです。


 文章では上手く説明できたか分からなかったので、まとめてみました。

【鈍色のバタフライ 1周目】
・基本は主人公:大介の一人称視点で進む
・が、ところどころで他のキャラの目線にも切り替わる

・ので、1周遊べば大体の真実は分かる

【鈍色のバタフライ 2周目】
・主人公:大介の一人称視点に、他のキャラのモノローグが追加される
・1周目では切り替わらなかった犯人視点の目線にも切り替わる

・でも、あくまでオマケ程度で2周目で明らかになる真実はあまり多くない


【トガビトノセンリツ 1周目】
・主人公:和馬の一人称視点で進む
・他のキャラの考えや思惑は分からない

・ので、1周遊んでも「どうしてこうなったのか」が分からない

【トガビトノセンリツ 2周目】
・主人公:和馬の一人称視点に、他のキャラのモノローグが追加される
・1周目では切り替わらなかった残り全員の目線にも切り替わる

・2周目で明らかになる真実が多い



 なので、私は“『トガビトノセンリツ』と比べれば見劣りする”と書いたのですが……
 『鈍色のバタフライ』1周目の「他のキャラの目線にも切り替わる」仕様が、『トガビトノセンリツ』2周目の「他のキャラの視点で明らかになる真実が多い」仕様につながったと思いますし。
 2周プレイしないとその真価が分からない『トガビトノセンリツ』に比べて、1周で面白さが十分にわかる『鈍色のバタフライ』はこれはこれで「ライトにオーソドックスに楽しめるデスゲームもの」としてしっかりとした価値があるのかなぁと思うのです。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はiPad版『鈍色のバタフライ』より引用>

 買ったゲームが「最低のゲーム」だったときに使えるスクショが撮れました。
 これは多用できそうだぜ!


 という戯言はさておき。
 KEMCOのノベルアドベンチャー1作目として、粗さだったり未完成な部分だったりはあるのだけど、2作目以降にはない魅力を持った作品なのは間違いないし、後にこのジャンルで花開いていくのも納得な光る部分も多い作品でした。

 他作品でKEMCOのノベルアドベンチャーのファンになっている人には、是非「その原点をどうぞ!」とオススメしたいですし。
 話題になっているからこれからKEMCOのノベルアドベンチャー全作プレイしようかと悩んでいるという人にも、「1作目から遊ぶと進化していく様が分かりますよ!」とオススメしたいです。


 権利的な問題で「非公式」ということなんですが、『鈍色のバタフライ』→『トガビトノセンリツ』には実はつながっているところもあるみたいですからね。逆の順番でプレイした自分はもちろん気づきませんでしたが、あーまた『トガビトノセンリツ』をやり直したくなってくる。


 個人的にも、夢中になって遊んで満足の作品でした。
 例によって「デスゲームもの」をプレイし終えるとものすごく消耗してしまうんで、次は『黒のコマンドメント』ですけど、これもプレイするのは半年後くらいにしますかねぇ。なかなか最新作に追いつきません(笑)。

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≫ EDIT

『トガビトノセンリツ』紹介/ゲームの腕は要らない、必要なのは“覚悟”だ!

【三つのオススメポイント】
「誰が嘘をついているのか分からない」“人狼”風ゲーム
愛すべき仲間たちと、主人公へのシンクロ率の高さ
「一人称の物語」が「群像劇」に変わる極上の2周目


『トガビトノセンリツ』
 Wii U用/サイコサスペンス・ノベルアドベンチャー
 ケムコ
 2013年10月2日発売
 1028円(税込)
 セーブデータ数:6(※ユーザーごとに作成可能)
 公式サイト


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 プレイ時間は約19時間
 全エンディングをコンプリート、追加シナリオも全て読みました
 やりこみ要素などを無視した1周目TRUEエンドまでのプレイ時間は6.5時間でした
 ※ ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎◎◎(容赦なくキャラが死ぬし、どのキャラも過去&家庭環境が壮絶)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(仲間内での笑い合いみたいなのだけど)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:△(蔑視ではないけど、生理の話題は批判されることも)
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:○(文字だけだけどバラバラ死体になったりする)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:△(文字だけ&ギャグシーンだけど)
・百合要素:△(文字だけだけど女のコ同士の人工呼吸にドキドキするシーンはある)
・BL要素:△(BL要素はないけど、BL妄想するキャラは出てくる)
・ラッキースケベ:△(文字だけだし、エロさの欠片もないけど)
・セックスシーン:△(直接的な描写はないけど、……)
↓ここから1つめ↓

◇ 「誰が嘘をついているのか分からない」“人狼”風ゲーム
 このゲームは、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』や『レイジングループ』で知られるケムコのノベルアドベンチャーゲームです。各地で話題沸騰中&大絶賛されている『レイジングループ』を私もNintendo Switch版の配信開始日に購入しているのですが、「最新作の前に積んでいる過去作をやらなければ!」と随分前に買っていたこちらを起動することにしました。


 ケムコの近年のアドベンチャーゲームはそれぞれの作品で展開されている機種がちがうので、分かりやすくなるようまとめてみました。年は一番最初の機種で発売された年、「ガラケー」はスマートフォンではない携帯電話のことでフィーチャーフォンとも言いますね、「スマホ」はどれもAndroidOS・iOS向けのアプリで正確にはタブレット端末などでも遊べます。

・『鈍色のバタフライ』(2010年)
 <ガラケースマホ
・『トガビトノセンリツ』(2011年)
 <ガラケースマホWii U
・『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』(2013年)
 <スマホWii U
・『黒のコマンドメント』(2014年)
 <スマホ
・『レイジングループ』(2015年)
 <スマホPS Vita&PS4Nintendo SwitchPC


 この中で、『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』は以前ウチのブログでも紹介記事を書いていますね。

(関連記事:ストーリーが面白いんだから、それでイイじゃないか!『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』紹介(9.5点)


 今日の記事で紹介する『トガビトノセンリツ』は言ってしまえばその前作です。ストーリーに繋がりなどは一切ありませんが、システムやUIはほぼ一緒です。私がプレイしたのはWii U版で、ガラケー版やスマホ版に比べて定価1028円と高価ですが、ガラケー版で有料追加コンテンツとして販売された3編と、スマホ版で新たに追加された有料追加コンテンツ2編が全て収録されています。

 逆に言えば、「有料追加コンテンツが最初から入っているかどうか」以外には差はなくて内容は一緒みたいなんで、お好きな機種でどうぞ。ガラケー版は画質・音質が若干落ちるのと、追加コンテンツ2編買えないっぽいので、他の選択肢があるならそっちの方がイイかもですが。Wii U坂は「テレビ画面」「ゲームパッドの画面」両方に同じ画面が表示されます。



 さて、ようやくゲーム内容の説明に入れます。
 このゲームは、高校の管弦部(ただし楽器は弾かない)全員がキャンプに向かう道中で何者かに拉致されてしまい、閉鎖空間に監禁されて「プリズナー・ゲーム」という殺人ゲームへの参加を余儀なくされるというストーリーです。言ってしまえば“デスゲームもの”というジャンルですね。

 「プリズナー・ゲーム」のルールを、なるべく簡単に説明するとこんなカンジです。

・10人の参加者を、くじ引きで5人の「看守」と5人の「囚人」に分ける
・5人の「囚人」には一人一人に別の“罪種”という能力や制限が与えられ、これは他人に明かしてはならない
・唯一全員に判明している罪種“殺人鬼”が誰なのかを探し出すのがゲームの目的

・“殺人鬼”が死亡すると、残った全員が勝利&脱出可能に
・「看守」が全員死亡しても、残った全員が勝利&脱出可能に(残るのは「囚人」だけだけど)

・“殺人鬼”は毎晩一人、同室になった「看守」を殺すことができる
・「看守」は看守全員の同意の元で、一日一人「囚人」を処刑もしくは釈放できる
・誤って“殺人鬼”を釈放してしまうと、残った全員が敗北→ 処刑される



 『人狼』というゲームを知っている人ならば、『人狼』における「人狼」の役割が、こちらでは「殺人鬼」となっていると言えば分かりやすいですかね。
 『人狼』とちょっとちがうところを言うと、『人狼』における「占い師」とか「狩人」といった特殊な役職が、こちらではどんな能力を持った何という“罪種”なのか分からないというのがポイントです。

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<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>

 そこで重要なのは「夜間」の個室タイム。
 「22時~7時」は必ず一人ずつ個室に入って朝まで過ごさなくてはならず、そこでは「看守」と「囚人」が壁を隔てた同室になり、機械音声での会話が可能です。ここでのみ「囚人」は自分の“罪種”を明かしてもイイので、「看守」はここで「囚人」から出来るだけ情報を聞き出して「誰が何という“罪種”なのか」「誰が“殺人鬼”なのか」の判断材料にしていくという仕組みなのですが。

 一プレイヤーである主人公には、「誰と誰が同室になったのか」「みんなが本当のことを言っているのか」「みんなの目的が少しずつズレてきているんじゃないのか」が分からず、少しずつ少しずつ仲の良かった管弦部が歪んでいくのです。


 『人狼』というゲームは、基本的には「人狼が誰か」を当てるゲームですが。
 『トガビトノセンリツ』は、「殺人鬼が誰か」「他の囚人の“罪種”は何か」「昨晩は誰と誰が同室だったのか」「自分から見えているこのキャラは本当に真の姿なのか」……そして何より「どうしてこの主人公達はこのプリズナー・ゲームに巻き込まれているのか」と、推理すべきことが山ほどあるのです。



 「なんだか難しそう……自分にはクリア出来ないんじゃないかな」と思った人もいるかも知れませんが、この「プリズナー・ゲーム」を攻略するのはアナタではなく主人公達です。アナタが出来ることは、たまに出てくる二択に答えることくらいです。
 この二択も複雑な分岐をするところはほとんどなく、「間違った選択肢を選ぶとバッドエンド」「正しい選択肢を選び続ければTRUEエンド」というだけなので、選択肢が出てきたらセーブしておけばイイでしょう。バッドエンドを引いてもそこからやり直しできます。セーブは6つまでしか残せませんが、選択肢が出るポイントはさほど多くないし、「1日目」「2日目」と日にちの区切りから始めることも出来ますし、6つで事足りると思います(※1)

(※1:余談ですが、「バッドエンド」収集を目指すなら1周目でなく2周目にやった方がイイです。後述しますが、2周目なら「他のキャラの行動やモノローグ」が追加されるので、主人公が何故死ななければならなかったが分かるので)


 逆に言うと、『かまいたちの夜』みたいに「自分のプレイによって、これから起こる惨劇を未然に防ごう!」といったことは出来ません。ケムコのデス・ゲームものアドベンチャーゲームは「非マルチエンディング」―――つまりは「TRUEエンドは一つ」「それ以外はバッドエンド」というポリシーだそうで、惨劇は防げないんですね。

 だから、アナタに求められるのは「ゲームの腕」ではないのです。
 どんな惨劇があっても目を背けない「覚悟」です。管弦部の仲間たちが、少しずつ少しずつおかしくなっていって、犠牲者が出て、その犯人が誰なのか仲間を疑って、そうした惨劇の向こうにあるTRUEエンドまで挫けずに進む「覚悟」が必要なのです。


 その「覚悟」がある人にはとてもとてもオススメな作品です。
 私は『レイジングループ』の前に遊んで良かったと思いますし、あれだけ絶賛した『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』以上にこちらの作品が好きかも知れません。

↓ここから2つめ↓

◇ 愛すべき仲間たちと、主人公へのシンクロ率の高さ
 それではこの作品に登場するキャラクター達を紹介します。
 画像は全てWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用しています。

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 雪村 みこと。主人公と同学年の高2。
 Wヒロインの一人で、くるみ曰く「きれいな人」。容姿端麗で「学園のマドンナ」「高嶺の花」とも呼ばれる正統派美少女です。看護師志望で、人が傷つくのがイヤで、そしてどうやら主人公(和馬)のことが好きらしく蓮に張り合ってくるという、何ともまぁヒロインらしいヒロインです。


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 雄ヶ原 蓮。主人公の一つ下の高1。
 Wヒロインの一人で、くるみ曰く「悠のお姉さん」。管弦部の集まりに弟を連れてくる後輩キャラ&お姉ちゃんキャラです。母子家庭で育ったために家事全般をこなすけれど、モノを失くしたり忘れたりが日常茶飯事なドジっこヒロインでもあります。こちらのコも主人公(和馬)のことが好きらしく、ことあるごとに好き好きアピールしてきます。


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 城本 征史郎。主人公と同学年の高2。
 主人公(和馬)とは中学生の頃からの付き合いで、親友であり悪友です。くるみ曰く「メガネの人」。管弦部の部長は主人公(和馬)だけれど、状況を整理したり分析したりという参謀の役割は彼が担います。冷静すぎるがゆえに無神経なところもあるのが玉にキズですが。


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 井之上 亮也。主人公と同学年の高2。
 雪村みことが「学園のマドンナ」なら、こちらは「学園の神秘」です。くるみ曰く「かっこいい人」。学校中の女子から絶大な支持を受ける美男子で、スポーツ勉学ともに優秀なだけでなく、性格も温厚な完璧超人です。面倒見も良く、彩音先輩を介助したり悠の虫捕りに付き合ったりなんて一面も。


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 西城 彩音。主人公の一つ上の高3。
 管弦部の中で唯一の3年生で、唯一楽器を弾く人……というか、管弦部はこの人の居場所を作るために用意された部だったりします。くるみ曰く「変なお姉さん」。絶対的な記憶能力と、天才的な演奏技術を持つが、それ以外の能力が壊滅的に欠けています。一日の活動時間が極端に短かったり、マトモな発言をほとんどしなかったり。


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 萩尾 恵澪奈。主人公と同学年の高2。
 ギャル山の頂点に立つボスギャルで、くるみ曰く「けばい人」。軽薄な態度と、何言ってんだか分からない発言で、ステレオタイプなギャルキャラに見えるのだけど……意外に堅実で、周りのこともよく見ているコです。真面目なみことや蓮とは波長が合うみたいだけど、嘘つきのくるみとは合わないというのが分かりやすいですね。


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 向島 七緒。主人公の一つ下の高1。
 上級生の女子から何気に人気がある1年生のホープ。ですが、くるみ曰く「怖い方のメガネ」とのことで、クソ真面目で他人に対してトゲのある言い方をすることも多いです。そのため、主人公(和馬)や征史郎からイジられることも多く、管弦部一のイジられ役とも言えるかも。


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 雄ヶ原 悠。蓮の弟で、小4。
 雄ヶ原家は母子家庭のため、キャンプのような課外活動の際には蓮は弟を同行させます。人見知りではあるけれど、ドジっこの姉と比較するとしっかりしていて、管弦部のみんなに可愛がられています。主人公(和馬)のことを「お兄ちゃん」と呼ぶのは、蓮にそう言わされているからという説があるそうな。


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 並坂 千鶴。管弦部の顧問。
 教師でありながら“悪い子”が大好きで、彩音のための管弦部に“悪い子”を集めた張本人でもあります。専門は歴史なのだが、授業がいつの間にか保健体育に変わっていることもあるくらい生徒との距離が近い先生です。しかし、意外なことに護身術の使い手で、部の中で一番格闘能力が高いとか。


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 鳩田 くるみ。主人公達が山の中で出会った少女。小5。
 両親とはぐれて遭難しかけていたところを、たまたま主人公達に見つけられて行動を共にする少女です。生意気で、嘘つきで、世の中から一歩引いたような性格をしているのだけど、頭の回転は非常に早くて順応性が高いです。和馬と悠以外の管弦部の名前を覚える気がないので、いつもみんなのことは特徴で読んでいます。


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 竹井 和馬。主人公。
 管弦部の部長だけれど、中学時代はそこそこ有名な非行少年で、顔の怖さと腕っぷしに定評があります。管弦部の中では七緒の次にイジられ役だけど、なんだかんだみんなに一目を置かれている中心人物です。『トガビトノセンリツ』はノベルアドベンチャーなので、基本的には彼の一人称でストーリーが語られます。


 という11人が、このゲームのキャラクターです。
 「あれ?プリズナー・ゲームは10人で行うんじゃ……?」と思った鋭い人もいるかも知れませんが、それはゲーム本編でお確かめください。


 11人もキャラがいると「覚えきれない」と思うかも知れませんが、非常に個性の強いメンバーなのでプロローグが終わった頃には大体は覚えられているし、愛着も生まれているんじゃないかと思います。
 プロローグの辺りだと「このまま何事も起こらず平和なまま終わればイイのに」と思ってしまうくらい、管弦部のわちゃわちゃしたカンジが楽しいんですね。このノリは『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』に通じるものがあります。


 しかし、それは「プリズナー・ゲーム」においては非常にマズイのです。
 登場人物がみんなイヤなヤツだったら、「さっさと殺人鬼を見つけてソイツ一人を殺して外に出るベー」ってゲームを遊んでいる私達も思うのでしょうが……登場人物みんな愛したくなるようなキャラなので、「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」って思っちゃうんですね。

 主人公の竹井和馬はまさにそういうスタンスで、誰のことも死なせず誰のことも疑わずにいようとするので……それがゲームを遊んでいる私達の気持ちと見事にシンクロしてくるのです。ただストーリーを読むだけのノベルアドベンチャーなんですが、プレイヤー=主人公の一体感がちゃんとあるんですね。



 ですが、「プリズナー・ゲーム」が進んでいくたびに状況は変わっていきます。
 非常に仲良しで、とても気のイイ管弦部の仲間たちですが……極限状態の中で少しずつ歪んでいき、みんな「今までは見せなかった一面」が見えてくるようになります。先ほどのキャラ紹介は敢えて表面的な部分だけを書きましたが、この作品のストーリーの肝は「こうなりたいと思った自分」と「こうではいたくなかった自分」という二面性を誰もが抱えているというものだと思うんですね。それは主人公も例外ではありません。

 その「キャラクターの二面性」と「誰が嘘をついているのか分からない人狼風ゲーム」の相性が抜群で、むちゃくちゃ面白いのです。

↓ここから3つめ↓

◇ 「一人称の物語」が「群像劇」に変わる極上の2周目
 先ほど私は“『トガビトノセンリツ』は、基本的には竹井和馬の一人称でストーリーが語られる”と書きました。が、それは1周目の話で、2周目をプレイするとガラリと変わります。


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<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>

 具体的に言うと、TRUEエンドに到達すると「オプション」にて「隠しモードのON/OFFの切り替え」ができるようになり、隠しモードをONにして最初からプレイすると「主人公:竹井和馬以外のモノローグや行動が追加される」のです。


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<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>

 赤いウインドウで表示されているのは、隠しモードでなければ表示されないシーンです。
 これにより1周目では分からなかった各キャラの本当の気持ち、それぞれのキャラの“罪種”、夜間で「誰と誰が同じ部屋だったのか」、誰が何を知っていたのか、どうしてあの時こんな行動をとったのか―――などが分かるようになります。1周目では何気なく主人公と廊下ですれちがっただけのキャラが、実はこんなことをしていたんだよ、みたいなね。



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<画像はWii U用ソフト『トガビトノセンリツ』より引用>

 そういうシリアスなところだけでなく、ラブコメシーンにおいても「主人公視点」と「主人公を好きなヒロイン視点」が同時に見られるのはニヤニヤポイントが高いですね。




 1周目は主人公:竹井和馬が「誰のことも死なせたくないし誰のことも疑いたくない」と行動していた話ですが、その他の9人はその他の9人でそれぞれちゃんと考えて「プリズナー・ゲームを攻略しようとしたり」「それぞれの目的を達成しようとしたり」していたというのが2周目では分かりますし、それらの思惑が複雑に交差した結果「ああいう結末になった」ことが分かっていくのが面白いのです。

 言ってしまえば、1周目は「一人称視点の物語」で。
 2周目は、全く同じ話を「群像劇」として読み直すってカンジなんですね。

 「群像劇」好きで、「推理小説」好きな自分には堪らない2周目でしたよ。



 また、「ノベルアドベンチャー」というジャンルとは言え、1周目は「たまに出てくる二択を選ぶ」だけで「不正解な方を選んだらバッドエンド」という単純な分岐しかしないため“これは果たしてゲームでやる必要があるのか?”と思うのですが。
 2周目でこのように「主人公以外のモノローグや行動が追加されて全く別の物語になる」というのは漫画でも小説でも映画でも難しい試みなので、2周目こそが“ゲームならではの体験”になっているとも思うんですね。

 1周目だけだとこのゲームの真価はまず分からないので、是非2周プレイすることをオススメします!


 ガラケー版・スマホ版では追加コンテンツとして発売されたEXTRAは(Wii U版は最初から全部収録されています)、各キャラの過去編が4つ―――こちらは本編で断片的に語られたことを整理して語りなおしたもので、まあファンサービスといったカンジの追加コンテンツだと思うのですが。
 5つ目の「彼らがプリズナー・ゲームに巻き込まれずに無事にキャンプ場に付いたお話」は、ものすごく面白かったです。ケムコのデス・ゲームものは「非マルチエンディング」というポリシーらしいのですが、追加コンテンツは例外だそうで、本編のTRUEエンドが「○○ルート」ならばこちらは「××ルート」といったカンジの別ルートになっています。追加コンテンツの中でも、これだけはマストで読んでほしいくらいにオススメです。




 ということで、ものすごく楽しませてもらいました。
 「今まで遊んだWii Uダウンロードソフトの中で一番」とか「今まで遊んだケムコのゲームの中で一番」とかのレベルじゃなくて、「私が今まで遊んだすべてのアドベンチャーゲームの中で一番面白かった」と思います。

 まぁ……題材が題材なんで、遊ぶのに「覚悟」は必要ですけどね。


 あまりに面白かったんで、『レイジングループ』の前に未プレイのあと2本(『鈍色のバタフライ』と『黒のコマンドメント』)も遊ぼうと思ったほどです。
 流石にデスゲームものを連続で遊ぶと精神がズタズタになりそうなんで、プレイするのは数ヶ月後になると思いますが……そうすると、既に積んでいる『レイジングループ』をプレイするのがどんどん後回しになっていきますね(笑)。


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≫ EDIT

『Splatoon2』紹介/前作の不満点を手堅くつぶして、新たな面白さを加えた進化作

【三つのオススメポイント】
ハードとコントローラは変わったけど、面白さは変わらない!
実は前作では不満だったところが改善された6つのポイント
前作にはなかった新たな面白さがちゃんとある!


『Splatoon2』
 Nintendo Switch用/アクションシューティング
 任天堂
 2017年7月21日発売
 5980円(税別)
 セーブデータ数:1(※ユーザーごとに作成可能)
 プレイ人数:1人/ローカル通信プレイ人数:2~8人/インターネット通信プレイ人数:8人
 公式サイト

Splatoon2 (スプラトゥーン2)|オンラインコード版Splatoon2 (スプラトゥーン2)|オンラインコード版

任天堂 2017-07-20
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↓ここから「変わらない部分」の説明↓

◇ ハードとコントローラは変わったけど、面白さは変わらない!
 『Splatoon』というゲームは、元々は2015年5月にWii U用ソフトとして第1作が発売されたオンライン対戦用アクションシューティングゲームです。Wii Uという当時すでに「負けが確定していたハード」での発売だったにも関わらず、日本国内で150万本以上・全世界で480万本以上を売り上げて、あっという間に“任天堂の顔”になりました。

(関連記事:これぞ任天堂の集大成であり新機軸!『Splatoon』紹介(10点)


 Wii Uでの『Splatoon』人気を経て、Nintendo Switchでは本体初公開映像のラストにこの『Splatoon2』の紹介を持ってきたほどなのですが……私はその映像が公開された頃には、まだ一抹の不安を感じていました。

 というのも、前作『Splatoon』は「Wii Uゲームパッドを活かしたゲーム」として開発されたのだから、Nintendo Switchに変わって「二画面」を失ってしまえば、その面白さも半減してしまうのではないか?と思ったんですね。では、実際にはどうだったのかという話はのちほど。



 「ゲームのモード」は大きく分けると3つです。

・1人用の「ヒーローモード」
 タコ軍団と戦うステージクリア型のモード
・4人vs.4人のオンライン対戦
 スタンダードな「ナワバリバトル」
 より殺し合いに特化した「ガチマッチ」が3種類
・最大4人までのオンライン協力プレイ「サーモンラン」
 サケ軍団と戦うランダム要素の強いモード



◆ ヒーローモード

 1人用専用モード。
 タコ軍団と、様々なギミックのステージで戦うステージクリア型のモードになっています。

 前作の「社長が訊く」で“昔のレコードで言う「B面」的なイメージ”言われていたように、メインはあくまでも「ナワバリバトル」や「ガチマッチ」だと思うのですが。
 「ヒーローモード」はチュートリアルも兼ねているので、オンライン対戦にいきなり挑むのはちょっとなぁという人や、とりあえず「ナワバリバトル」をやってみたら全然勝てなくてイヤになったという人は、まずは「ヒーローモード」から始めましょう。詳しくは後で書きますが、今作の「ヒーローモード」は色んなブキの色んな特性を学べるようになっていますよ。


◆ ナワバリバトル

 このゲームの「メインルール」とも言える、基本の遊びです。
 4人vs.4人のオンライン対戦で、「最終的にどちらのインクが多く床を塗っているのか」で競い合います。1試合の時間は3分。
 例えばサッカーやバスケは「ゴール」が各チーム一つずつですから、その「ゴール」を奪うor守るために両チームの選手はゴール前やゴール下に集まるものと思いますが……この「ナワバリバトル」は全ての床が「ゴール」にあたるため、両チームの選手は分散して、ステージのあらゆるところで局地点が行われるというのが特徴です。

 ちなみに「ナワバリバトル」は野良で集められた8人で対戦するだけでなく、現在「ナワバリバトル」を遊んでいるフレンドの部屋に合流して遊ぶことも出来ます。この、ふらっと友達が遊んでいるところに合流して、好きなタイミングで抜けられるという気軽さがイイですよね。

↓ここから「ガチマッチ」の説明↓

◆ ガチエリア

 「ナワバリバトル」のランクが10になると解禁される「ガチマッチ」の中の、ルールの一つです。
 先ほど“「ナワバリバトル」は全ての床が「ゴール」にあたるため、両チームの選手は分散して、ステージのあらゆるところで局地点が行われる”と書きましたが、「ガチマッチ」はその「ゴール」になるポイントを限定しているため両チームの選手が一か所に集まりやすく、そのため撃ち合いが苛酷になるというカンジですね。

 その中でも「ガチエリア」は、より分かりやすいルールです。
 ステージ中央に定められた「エリア」を、どちらのチームが長く保持できていたかを競い合います。先に100カウント(60秒)を取った方が勝ちで、100カウント行かなくても試合終了のタイミング(5分)でカウントを多く進めていた方の勝ち、試合終了時点で負けているチームがエリアを確保していた場合は逆転の可能性があるので延長戦になります。


◆ ガチヤグラ

 こちらも「ガチマッチ」のルールの一つです。「ガチマッチ」は時間帯によって「今遊べるルールとステージはこちら!」と切り替わるカンジですね。

 「ガチエリア」が奪い合う「エリア」がステージ中央に固定されていたのに対して、「ガチヤグラ」は奪い合う「ヤグラ」がレールに沿って移動するというのが特徴です。ヤグラがどこまで進んだかで、両チームの選手が集まって戦うポイントが移るんですね。そのため、より臨機応変な立ち回りが求められるという。
 試合は5分間で、どちらのチームがよりヤグラを敵陣に押し込めたかで勝敗が決まりますし、5分経たずとも最後まで押し込まれてしまったらそのチームのノックアウト負けです。


◆ ガチホコバトル

 最後の「ガチマッチ」のルールがこちら。

 「ナワバリバトル」は、「ステージの床全てがゴール」なので戦場が分散する―――
 「ガチエリア」は、「ステージ中央のエリアのみゴール」なので戦場が集結する―――
 「ガチヤグラ」は、「ステージ上のレールに沿って動くヤグラがゴール」なので戦場が移動する―――

 各ルールはこういう特徴でした。「ガチホコバトル」は前作で最後に追加されたルールだけあって、最も高度で、最も進化した遊びとも言えて……奪い合うガチホコをプレイヤーが持って運べるため、「ガチホコを持ったプレイヤー」が移動したところが戦場になるんですね。
 「ガチヤグラ」がレールに沿ってしか移動しなかったのに対して、「ガチホコバトル」はガチホコを持ったプレイヤーが好きに移動できてしまうのです。これが厄介だし、これが面白い!これも試合は5分間で、先にゴールまで運んだチームのノックアウト勝ち、5分間でノックアウト出来なかった場合はよりゴール近くまで運べた方が勝ち、負けているチームがガチホコを確保している場合は延長戦というカンジです。



 「ガチマッチ」3種にはそれぞれ「ウデマエ」と呼ばれるレーティングがあって、基本的には自分に近い「ウデマエ」の人とマッチングします。「ナワバリバトル」とちがってフレンド合流はできませんが、その「ウデマエ」がB-以上になると、フレンドと一緒にチームを組んで「ガチマッチ」のルールで遊べる「リーグマッチ」が解禁されます。詳しくは後ほど

 また、フレンドと集まって「ナワバリバトル」「ガチエリア」「ガチヤグラ」「ガチホコバトル」といったルールとステージを自由に選んで遊べる「プライベートマッチ」も開催できます。


◆ サーモンラン

 ここまでは「前作までにもあった遊び」ですが、「今作から新たに加わった遊び」がこの「サーモンラン」です。4人までで集まって、支給されたブキでサケ軍団と戦うモードです。この4人は「野良」で集めた4人でも、「フレンド」で集めた4人でも、「フレンド+野良」で集まった4人でも遊べます。

 この「サーモンラン」というモード―――「ステージ」は長らく2つだけ(8月23日の更新で3つ目が追加されました)、やってくる「大型シャケ」は7種類だけということで。始める前はすぐに遊び飽きちゃうんじゃないかと思っていたのですが、遊び始めたら毎回毎回同じようにはいかない工夫がしてあって、『Splatoon』を協力プレイに置き換えるとこうなるというモードになっていてすごく面白いです。これも後ほど。


 とまぁ……『Splatoon2』には「色んなモード」「色んなルール」が収録されているのですが、重要なのはどのモード・ルールも操作方法やブキが共通しているということなんですね。
 そのため、例えば「1人用のヒーローモード」を遊ぶことが「オンライン対戦のナワバリバトル」に向けた練習にもなるし、「オンライン協力プレイのサーモンラン」のスケジュールを見て次の回で支給されるブキを事前に「オンライン対戦のナワバリバトル」で練習しておくなんてことも出来るのです。全然ちがう遊びが入っていますが、それぞれが独立しているワケではなく、それぞれが補完し合っているのです。




 「操作方法」の説明です。

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 Nintendo Switchのコントローラには「ジャイロセンサー」が内蔵されているので、コントローラを動かすことで照準を合わせます。ZRボタン(右側のトリガー)を押してインクを発射。これで敵を攻撃したり、床を塗ったりします。


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 移動は左スティック。
 ZLボタン(左側のトリガー)を押している間はイカに変身して、インクの中に潜ります。インクの中に潜っていると、速く動けるし、インクも回復するし、(じっとしていれば)敵から見つからないし、イイこと尽くめ。


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 Rボタンでサブウェポン。
 ZRボタンが通常攻撃なのに対して、Rボタンは「爆弾」のような特殊攻撃が多いですね。インクを大量に使うので使いどころをよく考えましょう。


 絶対に覚えておかなくちゃならない基本操作はこれくらい。
 ですが、初回起動時の「チュートリアル」は本当によく出来ていて、数分のプレイの中で「このゲームの操作のコツ」や「このゲームのルール」が自然に教え込まれていて感心します。

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 最初の道の突き当りで、「ジャイロだけでなく右スティックも使うと、大きくカメラを移動させたい時に有効」と教えられたり。

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 風船を追っていくと、「このゲームでは床だけでなく壁も塗れる」「壁をインクで塗ると、イカになってそこを登れる」と自然と分かるようになっていたり。

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 逆に、チュートリアル最後の壁は「壁であっても素材によって塗れるものと塗れないものがある」と教えてくれていたり。

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 Bボタンでジャンプ……というのをさっき書き忘れてました。
 イカになると金網をすり抜けられるのだけど、「一つ目の金網はそのまま泳いで越えられる」のに対して「二つ目の金網はイカになって泳いだままジャンプして越える必要がある」とか―――このチュートリアル、本当によく出来ています。


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 だけど、「Xボタンでマップを開く」のだけチュートリアルで教えてくれないのは何故なんでしょう??

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:ヒーローモード編



 前作からの変更点は、(右スティックの位置が変わったので)ジャンプがXボタンからBボタンに変わったこと、Wii Uゲームパッドに常時表示されていたマップ画面がXボタンを押して表示するのに変わったことくらいです。

 ジャンプボタンは「前夜祭」までは何度も間違えたんですが、数時間プレイしたらもうすっかりこっちになじんじゃいました。もう前作や『ブレスオブザワイルド』は遊べなくなっちゃったかな……
 マップ画面については、マップを見るだけならこれでも全然構わないなーと思います。ただ、前作の「画面を押してスーパージャンプ」に比べると、「仲間に対応した方向キーを押しながらAボタンでスーパージャンプ」というのはあまり直観的でなくなったかなぁと思います。

 しかし、二画面でなくなったことにもメリットはあって……前作のWii Uゲームパッドに比べて、今作のJoy-Conは格段に軽いので長時間遊んでも腕が疲れません。
 Wii Uゲームパッドは約500g、Joy-Conはグリップ装着すると約200g、Proコントローラも約250gと……やっぱりWii Uゲームパッドは重かったんですね。普通のゲームは特に問題がなくても、『Splatoon』のように常時ジャイロセンサーを使うゲームは手首に負担をかけていたんだなぁと思います。あと、電池の持ちもJoy-Conの方がイイですね。

 ただ、Wii Uゲームパッドでの操作に慣れていた人は、Joy-Conがあまりに軽くて「速く動きすぎる」こともあると思いますから、設定変更でジャイロセンサーの感度を下げることをオススメします。



 ということで、一長一短あるのは確かなんですが……
 購入前に不安に思っていたほどの差はなくて、私は『1』と同じような感覚で『2』は楽しめています。

 あ、そう言えば……
 Miiverseの「お絵描き」に関しては、Nintendo Switchのタッチパネルが感圧式ではなくなったのでお絵描きするのが非常に難しくなったのと、Miiverseではなくなったので「自分の絵に誰がイイねしてくれたのかが分からなくなった」とか「他人の投稿にコメントを付けられなくなった」とか、はっきりとマイナス点が目立つ仕様変更かなぁ。
 ボタン操作が出来るようになったことで、白黒写真の再現みたいなことをやっている人もいますけど……そういうガチ勢は少数派だろうと思いますし。

↓ここから「改善された部分」の説明↓

◇ 実は前作では不満だったところが改善された6つのポイント
 私はよく「好きなゲームの続編はあまり楽しめない」「不満の多かったゲームの続編は、それが改善されただけで楽しめてしまう」と書いて、それが一般的なゲーム好きの価値観とは合わないことからたびたび炎上する原因にもなったりするんですけど……このことをよく知っている人からすると、「やまなし、前作の『Splatoon』を絶賛していたんだから今作の『Splatoon2』は楽しめないんじゃないの?」と思われるかも知れません。

 しかし、それは一つ決定的なところが間違っています。
 私、前作の『Splatoon』には結構不満点があったんですよ。

 例えば、「決まったブキしか使わなかった」とか「ガチマッチをあまり遊ばなかった」とか「フェスの仕様にぶーぶー言ってた」とか、当時のブログを読んでもらえば分かると思いますが、私は『Splatoon』に対して批判的なことも結構書いているんです。もちろんゲームの根幹部分は、すごく面白いゲームだったとは思いますけど。


 んで、翻って『Splatoon2』の話です。
 思えば前作『Splatoon』はそんなに長くない開発期間の中で突貫工事的に仕上げたゲームなせいか、ところどころに上手くいっていない部分があったのです。『Splatoon2』はそこから2年という期間があったため、前作のそうした部分を徹底的に見直しているんですね。


1.「フェス」にはちゃんと「フェスならではの面白さ」がある
 「フェス」というのは数週間に一度ゲーム内で行われるイベントで、例えば「マヨネーズとケチャップではどっちが好き?」と二択のアンケートを取って、両陣営に分かれて対戦するといったものです。

 前作の紹介記事で、私はフェスを“普段のオンライン対戦に“制約”を付けているだけなので、「フェスならではの面白さ」があまりない”と酷評していましたし。その後に『Splatoon』のフェスはどうすれば面白くなるのだろうか?という記事まで書きましたし、フェスをきっかけに前作は遊ぶのを引退しました。

 その後、バージョンアップでフェスの仕様も変わったという話でしたが……例えば「どちらのチームが勝ったのか」の勝敗判定で、「勝率ポイント」が2倍→4倍→6倍へと変更されていくみたいなグダグダな仕様変更もありました。「得票率」に差があるとフェスマッチでどんなに勝っても挽回できないから「勝率ポイント」の乗算が増えていったのでしょうが、それだったら「得票率」の意味ないじゃんって話になってしまいますし……



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 ということで、『Splatoon2』は「フェス」の仕様が変わっています。
 それは―――「チーム戦」の導入です。

 前作の「フェス」ではフレンド合流が出来ませんでしたが、今作の「フェス」では部屋を作ってフレンドと一緒に遊ぶことが出来るようになりました。対戦する相手ももちろんフレンドで部屋を作っている人達です。
 

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 「チーム戦」が出来るようになった恩恵は、単にフレンドと一緒に遊べるようになっただけではありません。「どちらのチームが勝ったのか」の勝敗判定は、ポイント差に関係なく「得票率」「ソロ戦の勝率」「チーム戦の勝率」の3つの内2つを獲った方が勝ちとなりました。
 これはつまり、「得票率」をないがしろにしない上に、仮に「得票率」で大差が付いたとしても「ソロ戦の勝率」「チーム戦の勝率」の両方で勝てば逆転できるという仕様なんですね。私はこの仕様変更は大正解だと思います。


 また、前作はフェス期間中はステージが3つの中から固定だったのに対して、今作では2時間おきに変更されるようになりましたし。前作とちがってソロ戦で勝ち続けてもメンバー固定にはならないみたいですし(これはマッチングに時間がかかった影響なだけかも)。前作の終盤から導入された「フェスパワー」によって、両チームの大体の実力が対戦前に発表されるし、同じくらいの「フェスパワー」同士での対戦になるようになった……という細かい改善点も多いんですが。

 フェスの「チーム戦」って、意外かも知れませんが「フレンドとずっと同じチームを組んでナワバリバトルで知らない人と対戦できる」唯一の機会なんですね。普段のフレンド合流だとどっちのチームになるのかシャッフルされちゃうし、タッグマッチ(リーグマッチ)は「ガチマッチ」のルールになるし、プライベートマッチだと知らない人とは対戦できませんし。

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 更に、フェス限定の特別ステージ「ミステリーゾーン」も用意されています。


 前作の「フェス」での一番の不満点だった“普段のオンライン対戦に“制約”を付けているだけなので、「フェスならではの面白さ」があまりない”をきっちりつぶしていて、今作の「フェス」はフェスでしか遊べない「フェスならではの面白さ」をちゃんと用意してきたんですね。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:フェスでのチーム戦(前編)
(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:フェスでのチーム戦(後編)



2.気軽に「ガチマッチ」を遊べるように
 「ガチマッチ」には、敵味方が一か所に集まりやすくてより殺し合いになりやすい「ガチエリア」「ガチヤグラ」「ガチホコバトル」の3つのルールがあると先ほど書きました。

 そして、その3つのルールには「ウデマエ」と呼ばれるランク付けがされていて、「C-→C→C+→B-→B→B+→A-→A→A+→S→S+」という11段階に分かれています。これが、前作では3つのルールで共通のランク付けだったのが、今作では3つのルールそれぞれ独立したランク付けになったんですね。


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 これは前作『Splatoon』の画面。
 右上に「ウデマエ B 30」とだけ書いてありますよね。

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 こっちが今作『Splatoon2』の画面です。
 「ウデマエ B ガチホコバトル」と書いてありますよね。これは「ガチホコバトル」のウデマエとゲージで、「ガチエリア」や「ガチヤグラ」ではまた別のウデマエとゲージが記録されています。


 だから何だ?と思われるかも知れませんが……この変更によって「得意なルールの時にランクを上げよう」とか「苦手なルールの時はランクが下がっちゃうから遊ばないようにしよう」といったことがなくなったんですね。
 例えば、前作のチャージャー使っていた頃の私は「ガチヤグラ」が得意だったんで、ほぼ「ガチヤグラ」だけで「B」まで上がったんですね。そうすると、苦手だった「ガチエリア」も、当時まだ未実装だった「ガチホコバトル」も、同じように「B」まで上がってしまったためボコボコにやられちゃうワケですよ。せっかく上がったウデマエがそれで下がっちゃうのはイヤだなって心理になっていくんで、私は前作の「ガチマッチ」は遊ぶのが憂鬱になっていきました。

 今作のように3つのルールで独立したランク付けにしてもらえれば、苦手なルールでも積極的に遊べます。その分ウデマエが上がるのが遅くなるのではという心配も、敗北回数が少ない状態でウデマエアップすると飛び級することがあるという仕様で問題がありませんでしたし、この仕様変更も大正解だったと思います。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:ガチマッチ編

↓ここから「リーグマッチ」の説明↓

 また、前作『Splatoon』では「タッグマッチ」という名前だった「フレンドとチームを組んでガチマッチのルールで遊ぶ」モードは、「リーグマッチ」と名前を変えました。

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 変わったのは名前だけでなく、「リーグマッチ」では勝っても負けてもウデマエが変化しないようになりました。勝てば上がるし負ければ下がるチームの強さが「リーグパワー」として計測され、同じくらいの「リーグパワー」のチームとマッチングされて、最終的な数値で表彰されるというカンジですね。

 前作の「タッグマッチ」は「自分が下手なせいでフレンドのウデマエが下がったら申し訳ない」と躊躇してしまう人も多かったんじゃないかと思うのですが、今作の「リーグマッチ」は気軽に遊べて、それでいて経験値やお金はちゃんと入ります。この仕様変更も自分は大正解だと思います。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:リーグマッチ編



3.「チョーシ」がブキごとに計測されるように
 「ナワバリバトル」には、「ガチマッチ」におけるウデマエのような「勝てば上がる、負ければ下がる」ランクはありません。表示されるランクは経験値の積み重ねなので、負け続けてもランクは上がるんですね。

 しかし、「ナワバリバトル」にも勝ち続けるモチベーションになる目安があって、それが「チョーシメーター」です。


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 先ほどの前作の画像で言えば、この赤い○で囲った部分です。
 広島カープのマークではありません。

 これが前作だと「そのステージでのチョーシ」を表していて、ステージ交代になる4時間周期で計測されてリセットされて、そのチョーシが高いとジャッジ君から報酬がもらえるという仕組みになっていました。


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 今作での「チョーシメーター」はこちら。
 「チョーシメーター」に今持っているブキのアイコンが付いているように、今作では「このブキでのチョーシ」を表しているんですね。ステージが交代しても、電源を落としても、翌日になってもこのメーターは継続になりますが、もちろんブキを持ち変えるとそのブキのチョーシになります。

 んで、この「チョーシメーター」も初めて5、10、15に到達した際にボーナス経験値がもらえる仕様になっています。それは各ブキごとに。となると、色んなブキを使って、それぞれで「チョーシメーター」を上げてボーナス経験値をもらいたいって思いますよね?

 ということで、この仕様変更は―――「色んなブキを使って、それぞれのブキで上手くなることを目指してほしい」というスタッフからのメッセージなんですね。また後にも出てきますが、この『Splatoon2』が前作と最もちがうところはこの「色んなブキを使ってほしい」というところに尽きると思うのです。


 前作の仕様だと「得意なブキを一つ極める」方が得になっているところがあったので、私は得意なブキしか使いませんでした。「このブキは苦手だけど練習しよう」とするメリットが何もなかったんですね。しかし、今作ではところどころに「色んなブキを使う」必要性とメリットを用意してあるのです。

 また、この仕様変更に伴い、ステージ変更が「4時間ごと」から「2時間ごと」という短いスパンに変わりましたし、ステージが切り替わる直前にジャッジ君に話しかける必要もなくなりました。ここも大正解の仕様変更だと私は思います。



4.amiiboを使って「装備」の記録と切り替えが出来るように
 『Splatoon』というゲームには、それはもうたくさんのブキやフクやクツが出てきます。フクやクツは単にデザインがちがうだけでなく、「ギアパワー」と呼ばれる能力のようなものもちがうので、ブキに合わせて欲しい「ギアパワー」のフクやクツを装備したいものです。しかし、前作『Splatoon』には「そうした装備のセットを覚えてくれる機能」がありませんでした。

 今作『Splatoon2』にて、ようやく念願のその機能が追加されました!
 ただし、別売りのamiiboを買わなくちゃいけませんけどねっ!!!


amiibo ガール【ネオンピンク】 (スプラトゥーンシリーズ) amiibo ボーイ【ネオングリーン】 (スプラトゥーンシリーズ) amiibo イカ【ネオンパープル】 (スプラトゥーンシリーズ)
amiibo ガール(スプラトゥーンシリーズ) amiibo ボーイ(スプラトゥーンシリーズ) amiibo イカ(スプラトゥーンシリーズ)
amiibo アオリ (スプラトゥーンシリーズ) amiibo ホタル (スプラトゥーンシリーズ)
amiibo ガール【ライムグリーン】 (スプラトゥーンシリーズ) amiibo ボーイ【パープル】 (スプラトゥーンシリーズ) amiibo イカ【オレンジ】 (スプラトゥーンシリーズ)



 ……とまぁ、「普通のゲームだったら当然入っている最低限の機能」が別売りなのはどうなんだ?という意見もあるかと思いますが、前作のamiiboでも使えますし、何より「カスタマイズ画面」を開かなくてもamiiboをかざすだけで一瞬で装備を切り替えてくれるのはすごい快適です。

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 amiiboのマークが表示されている画面なら……

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 amiiboをかざすだけで……

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 一瞬で装備が切り替わる!!


 切り替わるのは装備だけでなく「髪型」や「オプション設定」なんかもなので、例えば「チャージャーを使う時だけジャイロを切りたい」みたいなことも一瞬で切り替えられます。amiiboを売りたい商業的な理由ももちろんあるとは思いますが、自分はまぁこれくらいなら許容範囲かな……



5.Nintendo Switchのスリープ機能で、すぐにゲームが遊べる!
 これはゲームソフトが変わったというより、Wii UからNintendo Switchにハードが変わった恩恵なんですけど……Nintendo Switchは「いつでもスリープモードに出来る」「そこから爆速復帰が可能」なので、いちいちタイトル画面から始めなくてもすぐにゲームが始められるんですね(一応言っておきますけど、オンラインプレイ中にスリープにしちゃダメですよ!他の人への迷惑です!)。

 また「今のステージはこちら!」という、前作ではシオカラーズ、今作ではテンタクルズが紹介してくれるコーナーも、ステージ変更ごとに必ず観なければならないワケではなくなりました。
 前作ではソフト起動して、タイトル画面を経て、シオカラーズの漫才を見て……という待ち時間を経てゲームを始める必要があったので、「20分しかないけど『Splatoon』始めようかどうしようかな」みたいな時は躊躇してしまったのですが。今作ではそういったものを全部すっとばせるので「1試合だけ遊ぼうかな」と気軽に起動できるようになりました。



6.ギアパワーが見直されて「負けた原因」がハッキリとするように
 前作『Splatoon』も徐々にブキやステージが追加されていきましたが、今作の『Splatoon2』も徐々にブキやステージが追加されていく模様です。そのため、この記事を書いている8月26日時点では「前作に出ていたすべてのブキが使えるワケではない」です。「ようやくスクイックリンが追加されたー!」みたいに少しずつ追加されていくことに一喜一憂していきましょう。

 また、メインウェポン・サブウェポン・スペシャルウェポンの構成も変わりました。
 前作で私が愛用していたカーボンローラーは、サブウェポンが「クイックボム」→「ロボットボム」に変わったので戦い方を変えなくちゃいけなくなりましたね。

 スペシャルウェポンは全取り換え。
 メインウェポンも、チャージャーが「チャージキープ」できるようになったり、ローラーが「縦振り」できるようになったりした他、細かい調整が各ブキに施されてバランスが随分変わったという話ですね。私はガチ勢じゃないのでそこまで細かいことは分かりませんが……

 現在『Splatoon2』に対して言われている不満点のほとんどがこのバランス問題で、「あのブキが強すぎるから修正して欲しい」「あのスペシャルウェポンが凶悪すぎる」みたいな声をよく聞くんですけど……じゃあ、その強すぎるブキをアナタも使えばいいのでは?と、私は正直そこはどうでもいいかなと思っています。
 この話はまた別の記事で書きますかね。対戦ゲームのバランスは「常に公正でなくてはならない」のか。




 私が、前作『Splatoon』→ 今作『Splatoon2』の変更点で一番うなったのはコレです。
 「攻撃力アップ」「防御力アップ」のギアパワーの廃止です。

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 前作の「攻撃力アップ」や「防御力アップ」は、「このブキなら何発当てれば相手を倒せるか」の確定数を減らしたり増やしたり出来るほか、チャージャーだったら短いチャージ時間でも相手を倒せるみたいに、戦い方をガラっと変えてしまう効果があったんです。なので、ガチ勢の方々はダウニーに大金積んで「全部のギアパワーが攻撃力アップ」みたいなフクを作ろうとしたのです。

 でも、ガチ勢ではないエンジョイ勢な私はそれを知らんかったんですね。それを教えてもらったのは昨年12月に1回だけニコ生で『Splatoon』の配信をした時で、それ知っていると知らないとじゃ全然ゲーム変わるじゃん!!と驚愕しました。
 また、そのせいで「今相手を撃ったのに倒せなかったのは、相手が防御力アップのギアパワーをガン積みしているからなのか?」「ちょこっとしか喰らってないのにまた死んだ!?相手が攻撃力アップ積んでいるからか!?」「俺もそういうギアパワー積まないと勝てないのか……でも、そんな装備持っていないし……」と、自分が負けたのは「腕」ではなくて「装備」のせいなんじゃないかと疑心暗鬼になっていったんですね。


 『Splatoon2』では「攻撃力アップ」や「防御力アップ」のギアパワーがなくなりました。前作でダウニーに大金積んで「全部のギアパワーが攻撃力アップ」みたいなフクを作っていた人達からすると残念かも知れませんが、私はこれで良かったと思います。
 そうしたギアパワーがなくなったことで、「今相手を撃ったのに倒せなかったのは、単に俺の腕がなくてちゃんと5発当たってなかったからか」「ちょこっとしか喰らってないのにまた死んだ……と思ったけど、その前のダメージがまだ残ってたからか」「装備よりはまずは状況判断をしっかりしよう」と自分が負けたのは「腕」のせいだと分かるようになったんですね。言い訳が出来なくなったとも言いますが(笑)。



↓ここから「新たな部分」の説明↓

◇ 前作にはなかった新たな面白さがちゃんとある!
 ここまで「前作から変わらない面白さ」と「前作から改善されて面白くなった部分」を書いてきましたが、『Splatoon2』は『2』です。『Splatoon1.5』ではありませんし『Splatoon DX』でもありません。バージョンアップでも完全版でもない、新作としての『Splatoon2』はどうなのか?と見ると……やはりこの作品、前作にはなかった「新たな面白さ」が加わっていると思うのです。


◆ ローカルプレイが遊べる「イカッチャ」
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 まずは、「Nintendo Switch本体」と「Splatoon2のソフト」を人数分持ち寄ればローカルプレイが出来るようになりました。遊べるのは、4人vs.4人まで「ナワバリバトル」「ガチエリア」「ガチヤグラ」「ガチホコバトル」を自由に選べるプライベートマッチと、4人までで協力してサケ軍団と戦うサーモンランです。

 経験値やお金はもらえないみたいですが、遊んでいくとスタンプが溜まって、オンラインプレイ時に経験値やお金を1.5倍や2倍に出来るチケットをもらえるみたいですね。「みたいですね」と書いたとおり、私には「Nintendo Switch本体」と「Splatoon2のソフト」を持っている友達がいないので経験したワケではありません。

 私は経験できそうにありませんが、友達同士で集まって遊ぶ『Splatoon』は格別でしょうね。これは紛れもなく前作にはなかった遊びです。それに伴い、前作にあった「バトルドージョー」は廃止になりました。



 「リアルに友達のいない俺には関係ないな……」と思った人もいらっしゃるかも知れませんが、そのためローカルプレイと同じように「プライベートマッチ」と「サーモンラン」のみですが『Nintendo Switch Online』というアプリを使ってボイスチャットが出来るようになりました。
 スマートフォンやタブレット端末を使ったボイスチャットなので、ゲーム機の通信を阻害しないという狙いがあるんじゃないかなと思います。ということは、もしNintendo Switch用に『スマッシュブラザーズ』なんかが発売されたとしたら、『スマブラ』もボイスチャット付きで遊べるということかな??


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 また、恐らく元々はローカルプレイで大会などを開くときに使うことを想定されたのだと思いますが、プライベートマッチではプレイをしない「観戦する役」を割り振ることも可能です。俯瞰視点でイカ達がチマチマ動くのが可愛い。

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 カメラは俯瞰視点だけでなく、「このプレイヤーのカメラを追いかける」みたいなことも出来ますね。「観戦する役」は2名まで設定できるので、大会などを開く際には「1台のカメラを俯瞰視点」「もう1台のカメラで今活躍している人を追う」みたいなことも出来ますね。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:プライベートマッチでガチマッチ練習編(前編)
(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:プライベートマッチでガチマッチ練習編(後編)


↓ここから「サーモンラン」の説明↓

◆ 『Splatoon』の面白さを協力プレイに置き換えたサーモンラン
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 先ほども書きましたが、『Splatoon2』からの新モードが「サーモンラン」です。4人までの協力プレイで、迫りくるサケ軍団と戦うモードです。
 恐らくこのモードは、Nintendo Switchが「持ち運べる据置ゲーム機」になったことで、本体を持ち寄って友達と一緒に遊ぶことを想定して作られたモードじゃないかなと思います。「ナワバリバトル」や「ガチマッチ」を十分に楽しむための8人を集めるのは難しいですが、「サーモンラン」の4人ならば友達で集めることも可能な人も多いでしょうし。私には1人もいませんが。

 もちろん「ローカルプレイ」だけでなく、「オンラインプレイ」も可能です。
 「オンラインプレイ」の場合は、サーモンランが遊べる時間帯とステージと支給ブキが決められています。

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 この「サーモンラン」というモード―――ソフト発売から1ヶ月以上「ステージは2つだけ」で、基本的な「大型シャケは7種類だけ」で、始める前は底の浅いモードじゃないかと不安だったんですけど。実際に遊んでみると、「ナワバリバトル」そっちのけで「サーモンラン」ばかり遊んでいる人が続出で、「サーモンラン」が遊べない時間帯には「早く……!早く、サーモンランを遊ばせてくれ!」と中毒症状が出る人まで現れました。


 どうして「サーモンラン」はそこまで面白いのか?という話をする前に……
 どうして『Splatoon』はここまで面白いのか?という話を書こうと思います。

 それは私、「毎回ちがうことが起こるから」だと思うんですね。
 「ナワバリバトル」は特に広いステージのあらゆるところが戦場になりますし、そこで床を塗るは人それぞれちがう戦い方をしますし、そんな風に様々な戦い方をする敵味方は毎回シャッフルされますし、その人達が持っているブキも非常にたくさんの種類がありますし。

 『Splatoon』には『マリオカート』や『スマッシュブラザーズ』のように「ランダムで出てくるアイテムが変わる」要素はありません。しかし、味方がどんな動きをするのか、敵がどんなブキを持っているのかが毎回変わるため、「自分がこう動けば必ず勝てる」なんて必勝パターンがないんですね。毎回いろんなことが起こって、それに柔軟に対応していかなくちゃなりません。だから、何十時間、何百時間遊んでも楽しいゲームなんです。


 んで、「サーモンラン」の話に戻ります。
 どうして「サーモンラン」はそこまで面白いのか?と言われたら、それも私「毎回ちがうことが起こるから」と答えます。

 オンラインプレイの「サーモンラン」は毎回支給されるブキが変わります。毎回必ず4種類。上の画像で言えば「スクイックリンアルファ」「クラッシュブラスター」「プライムシューター」「スパッタリー」ですね。
 これが第1WAVE→ 第2WAVE→ 最終WAVEと切り替わります。例えば、第1WAVEでは私が「スパッタリー」でAさんが「スクイックリンアルファ」でBさんが「クラッシュブラスター」でCさんが「プライムシューター」、第2WAVEでは私が「プライムシューター」でAさんが「クラッシュブラスター」でBさんが「スパッタリー」でCさんが「スクイックリンアルファ」で、最終WAVEでは私が「スクイックリンアルファ」でAさんが「スパッタリー」でBさんが「プライムシューター」でCさんが「クラッシュブラスター」……みたいなカンジ。

 そのため、苦手なブキでも回避することは出来ませんし、それぞれがそれぞれの役割に合ったことをしなくちゃなりませんし、逆に言えばそれで初めて知るブキの魅力があったりするんです。「ナワバリバトル」では一度もチャージャーを使ったことがない人が、「サーモンラン」で「スクイックリンアルファ」を使って「これでバクダンを射抜くの超楽しいな!」と目覚めたりするのです。


 それと、支給ブキとは別に「スペシャルウェポン」も各人に振り分けられます。
 これはWAVEごとに切り替わるのではなく、出発から帰還まで通して2回まで使えます。「ハイパープレッサー」「ジェットパック」「ボムピッチャー」「スーパーチャクチ」。これも、自分がどの「スペシャルウェポン」を割り振られたかで役割が変わってきます。

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 仲間3人がやられてしまっていて、自分がやられたらもう終わり、でも残り10秒でノルマは既に達成している、がその自分がヘビに追いかけられていて絶対絶命だ―――という状況で「ボムピッチャー」で投げまくって、仲間3人を復活させて、その間に自分は死ぬ、けど仲間が復活したことで時間ギリギリ逃げ切ったという場面。


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 また、「ステージが2種類しかなかった」と言っても、同じステージでも「潮の満ち引き」によって全然別のステージになりますし、どっちからどの大型シャケがやってくるのかも毎回変わるし、更に大型シャケとはちがうイベント戦みたいなものも不定期に起こります。
 前述したように、毎回自分の持つブキが変わる状況で、毎回ちがうことが起こる事態に対処しなくちゃならないんです。でも、『Splatoon』の魅力ってそういうことですよね。

 毎回ちがうことが起こるから面白い―――を、オンライン対戦ではなくオンライン協力プレイに置き換えたのが「サーモンラン」なんだと思います。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:サーモンラン編


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 ちなみに「サーモンラン」の報酬は、「お金」「毎月決まった装備」「獲得経験値・お金が1.5倍か2倍になるチケット」……そして「ギアパワーのかけら」があります。「ギアパワーのかけら」を一定数集めると、好きな服に好きなギアパワーを付けられるそうなので、やりこみ勢には溜まらない要素なんじゃないかと思います(私はそこまでやりこめませんが)。


↓ここから「ヒーローモード」の説明↓

◆ 色んなブキでタコ軍団と戦う、新「ヒーローモード」!
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 最後に紹介するのは、最初に紹介したモードでもある1人用専用「ヒーローモード」です。
 「ヒーローモードは前作にもあったモードでは……?」と思われるかも知れません。しかし、前作の「ヒーローモード」は基本的に最初から最後まで使うブキがシューターのみでした(amiiboを使うとやりこみ要素としてチャージャーとローラーも使うことが出来ましたが)。


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 今作の「ヒーローモード」はブキチリクエストという形で、様々なブキを使ってステージを攻略していくようになっているんです。前作が「様々なギミックのステージ」を遊ぶゲームだったのに対して、今作は「様々なギミックのステージ」を「様々なブキ」で遊ぶゲームになっているのです。


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 「それが何だ……?」と思われるかも知れませんが、このゲームにとってとても重要なことです。
 例えば上の画像は「チャージャー指定のステージ1つ目」です。このステージはチャージャーの長い射程距離を活かして、遠くにある「引き寄せポイント」を射撃してステージを動かしていくのが特徴になっています。

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 そして、こちらが「チャージャー指定のステージ2つ目」です。
 このステージは、今作からの新たなチャージャーの機能である「チャージキープ」を使って、壁のかげでチャージ→ 壁から出て一発で仕留めるといった動きを覚えていくのが特徴となっています。


 つまり「ヒーローモード」で様々なブキを指定されることによって、「前作以上に様々なギミックのステージ」が遊べるようになっただけでなく「シューター以外のブキの特徴を覚えるチュートリアルにもなっている」んです。

 また、ブキチリクエストで使ったブキは自由に貸してもらえるようになるので、ブキ指定のないステージやブキ指定があっても既にクリア済のステージをそれぞれ好きなブキで挑めるようにもなりました。さっきの“チャージャーの長い射程距離を活かして、遠くにある「引き寄せポイント」を射撃してステージを動かしていくステージ”をシューターでプレイすると、シューターの射程では当然届きませんから「遠くにボムを投げてぶつける」という無茶なステージになります(笑)。
 「全部のブキ」で「全部のステージ」に挑むやりこみ要素にもなっているんですね。
 これは、前作の「1人用のモードが短い」という不満への回答にもなっているのでしょう。ステージ数は増えていないのでクリアまでの時間は長くはないのだけど、遊ぼうと思えばずっと遊べるようになったという。

(関連動画:エンジョイ勢による『Splatoon2』実況:ヒーローモード編




 「様々なブキが指定されるサーモンラン」や「様々なブキのチュートリアルにもなっているヒーローモード」、「それぞれのブキごとに記録されるようになったチョーシメーター」などを見る限り―――『Splatoon2』の特徴は、「色んなブキを使って遊んでね」ということだと思います。
 前作では一つのブキばっかりを使っていたような人にも、色んなブキを使わせようと全体的に作られているのです。


 そうそう。これは文章でも映像でも伝えづらいからなのか、あまり言及されていないみたいですけど……Nintendo Switchには「HD振動」という様々な振動を表現する機能がありますから、『Splatoon2』も色んなところで細かい振動の使い分けがされています。

 例えば、ローラーで言えば「ダイナモローラー」のような大型のローラーを振ると「重いっ……!」と分かる振動が起こるのですが、「スプラローラー」なんかはそれよりかは軽い振動で、「カーボンローラー」はちょっとしか振動しません。
 チャージャーで言えば「リッター4K」は大砲でも撃っているかのような振動が起こりますが、「スプラチャージャー」などの振動はそれより小さく、「スクイックリン」になるとちょっとしか振動しません。

 気になったので前作『Splatoon』も久々に起動して確かめてみたんですけど、前作は「ローラーの振動」は全部のローラーで共通、「チャージャーの振動」は全部のチャージャーで共通みたいですね。今作では、同じローラーやチャージャーでも、一つ一つ手触りがちがうんだということを「HD振動」で表現しているのかなと思います。

 あと、前作にはなくて今作にある振動と言えば、イカになって泳いでジャンプした際、高いところからジャンプして低いインクに着水すると「水に飛び込んだ」みたいな振動がするんですよね。すっごい地味ですけど「HD振動」を経験すると、前作の「普通の振動」は物足りなくなってしまいます。



 期待を裏切らない「進化作」でした。
 全体的に変更点は「エンジョイ勢が気軽に遊べるように」を狙って行ったものになっているので、私は『1』より『2』の方が好きです。


 マッチングに関しては……「色んなブキを使って遊んでね」と言うんだったら、不慣れなブキを使う時にはそれに合ったマッチングにしてくれよとは思いますし、「ガチマッチ」や「リーグマッチ」でのプレイが「ナワバリバトル」に影響を与えるという説もあるなど、まだ謎なところもあるんですけど。そこはまぁ、しばらく様子見にしておきます。

 「不満」というほどではないんですけど、今作初期のステージは前作初期のステージに比べて地味というか尖った部分が少ないなとは思います。「コンブトラック」は前作の「Bバスパーク」の中央の塔を低いステージにしてしまったようなステージですし、「ガンガゼ野外音楽堂」は前作の「ハコフグ倉庫」を横に広げてしまったようなステージですし、結果的にどれも無個性なんですよね。
 まぁ、前作は初期のステージもどれも尖ってて「シオノメ油田」なんかは特に色々言われていたので、初期は特に無難なステージを揃えたのかなと思いますが、私はああいう変なステージもあってもイイと思うんで前作のステージももっと復活してくれないなぁと思っています。

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≫ EDIT

『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』全28ゲームを動画付きレビュー!

【三つのオススメポイント】
・『脳トレ』の河本Pによる「どう遊ばれるか」が考えられたゲーム
・28種目のミニゲームは一つ一つが尖りまくり!
・これは、ジョイコンという新しい“おもちゃ”の説明書なんだ


『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』
 Nintendo Switch用/パーティ
 任天堂
 2017年03月03日発売
 4980円(税別)
 公式サイト(※ 音が鳴ります)

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◇ 『脳トレ』の河本Pによる「どう遊ばれるか」が考えられたゲーム
 いよいよ発売された任天堂の新しいゲーム機:Nintendo Switch!
 Nintendo Switchの名称や形やコンセプトなどは昨年10月に発表されましたが、その時にはまだ「HD振動」などの機能は伏せられていて、映像に出てきたソフトも『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』や『Splatoon2』などの既存の人気シリーズでした。

 今年の1月13日にネット中継されたプレゼンテーションにて、ジョイコンには「HD振動」や「モーションIRカメラ」が搭載されていることが発表されて、そしてそうしたジョイコンの機能を活かした「誰もが遊べる」新作ゲームとしてこの『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』が発表されたのです。
 言ってしまえば、Wiiリモコンを活かしたゲームだった『Wii Sports』や『はじめてのWii』や、Wii Uゲームパッドを活かしたゲームだった『ニンテンドーランド』のような、新しいゲーム機の新しいコントローラを活かしたゲームなんですね。


 この『1-2-Switch』のプロデューサーは河本浩一さん。
 コアなゲームファンの方々には馴染みのない名前かも知れませんが、ニンテンドーDSの『脳トレ』シリーズのディレクター、Wiiの『写真チャンネル』『お天気チャンネル』『ニュースチャンネル』のディレクター、3DSの『すれちがいMii広場』『ARゲームズ』のディレクター、同じく3DSの『バッジとれ~るセンター』や『Miitopia』のプロデューサーをされてきた人といえば何となく立ち位置がわかるんじゃないかなと思います。

 しかし、私にとってはなんと言ってもDSiウェアの傑作『フォトファイターX』のゲームコンセプトを提案した人なのです。『脳トレ』や『写真チャンネル』の人と聞くと「マジメなゲームばっかり作ってきた人なのかー」と思われるかもしれませんが、それは結果的に『脳トレ』が大ヒットしたからそう思えるだけで、基本的にはこの人のゲームは「ゲーム機の機能を活かした変なゲーム」が多いんです。『脳トレ』だって作っているときは全く手堅いゲームではなくタッチペンとマイクを活かした変なゲームという認識で、「2万本くらいは売れて欲しい」って思って作っていたらしいですからね。

(関連記事:超お手軽な格ゲーツクール『写真で格闘!フォトファイターX』紹介





 また、これはもう当時から散々書いてきたことではあるのですが……
 『脳トレ』をバカにする人は、何故あのゲームが大ヒットしたのかが分からずに「ただTVCMを大量投入したから売れただけだろ」なんて言っていたりします。しかしですよ、ただ単にTVCMで見かけたからと言ってそれまでゲームを遊んだこともないような中高年が1万5000円もする本体と一緒にゲームソフトを買いますかって話です。



 『脳トレ』の真髄は、「お手軽版」なのですよ!

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<画像はWii Uバーチャルコンソール版『脳を鍛える大人のDSトレーニング』より引用>

 『脳トレ』というゲームは「自分のセーブデータ」に毎日スコアを記録して、折れ線グラフでその傾向を眺めることで「脳が鍛えられている」感覚を視覚化するゲームでした。だから、「自分のセーブデータ」を他人にプレイさせるワケにはいかないんですね。

 その代わりにあるのが、「お手軽版」です。
 この「お手軽版」はセーブデータも残りませんし、1種目のゲームをするだけで脳年齢を簡易的に測れるものです。当然「自分のセーブデータ」を記録している人には必要のない機能なのですが、なんでこんな機能があるのかというと「ちょっとやってみなよ」と人にやらせるためにあるんです。

 私は当時、この「お手軽版」を試しに母にやらせてみて、父にやらせてみて、後日遊びに来た兄にやらせてみて……と、家族に遊ばせて「脳年齢いくつだった?」とワイワイ楽しみました。当時はまだ母も父もゲームをほぼ遊んだことがなくて、兄もゲームをやっていない時期でしたが、「お手軽版」があったから「ちょっとやってみてよ」と言えたのです。

 こういうことが当時全国的にあって、初代『脳トレ』は2005年5月に発売されたのですが、同年のお盆の時期にどうも親戚の集まりで遊ばれたことをきっかけにソフトとDS本体が売れていることに気づいた当時の岩田社長が『もっと脳トレ』の開発を指示して、2005年12月に発売された『もっと脳トレ』は『マリオカートDS』や『おいでよ どうぶつの森』との三本柱として年末商戦に大暴れしてDS大ブームが起こったのでした。


 つまり、『脳トレ』というゲームは「ちょっとやってみてよ」と普段ゲームを遊ばない家族や親戚に遊ばせたくなるだろうと考えて、それが出来る機能を入れたが故に口コミで広がっていったのです。TVCMがその後に大爆発を起こしたのは間違いありませんが、最初の火を起こしたのは口コミだったと私は思います。

 任天堂のゲームは比較的そういう傾向があるかと思いますが、河本さんのゲームは特に「このゲームがどう遊ばれるのか」が考えられた上で設計されていると私は思っています。Wiiの『写真チャンネル』は「家族みんなで写真を眺める」ことが考えられていましたし、DSiウェアの『フォトファイターX』は「友達とバカ騒ぎしながら写真を撮り合う」ことが考えられていました。



 『1-2-Switch』もそうです。
 開発の最初のとっかかりは「おすそ分けプレイが出来るNintendo Switchの特徴を活かした2人用のゲーム」だったみたいですが、そこでイメージされていたのは海外でのホームパーティや日本での親戚の集まりなどにNintendo Switchを持っていって「普段はゲームで遊ばない人とも気軽に楽しめる」姿だったそうです。

 【Nintendo Switch 5週連続インタビュー(4)】「1-2-Switch」編。一緒に遊ぶことで,仲良くなれるゲームを目指して4gamer.netさん)

<以下、引用>
4Gamer「収録されている一つ一つのゲームが,アイデア重視の瞬発力勝負だという印象を受けました。そうなると,どれを採用してどれをボツにするかの判断基準が難しいのではないかと思うのですが,そのあたりはいかがでしょう。」

河本氏「分かりやすさを重視しています。というのも,海外ではホームパーティー,日本ではお盆やお正月の帰省のときなどに,普段はゲームで遊ばない人とも気軽に楽しめるものを目指しているんです。
 Wiiの頃も,同じように実家に持って帰って遊んでくれた方が大勢いらっしゃったんですが,Wiiを持って帰るとなると……。」

4Gamer「どうしても荷物が増えてしまいますよね。センサーバーも持って行かないといけないですし。」

河本氏「その点,Nintendo Switchなら簡単に持ち運びできますので,帰省のときなんかにも適していると思うんです。
 で,親戚が集まる場などで,Joy-Conを渡してさっと遊べるようなゲーム。シンプルだったり,ちょっと笑えたりするものを中心に選びました。

4Gamer「なるほど。どのゲームもテンポの良さが印象的です。」

河本氏「そこも重視しています。基本的に2人で遊ぶゲームなんですが,3人以上がいる場で,「面白そうだから僕にもやらせてよ」みたいな声が出たとき,すぐ入れ替われるようにしたかったんです。
 分かりやすく面白ければ,見ている人もやりたくなるでしょうし,そういうときにすっと入れ替われたらいいな,と。」

</ここまで>
※ 強調など、一部引用者が手を加えました

12s-1.jpg
<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 例えばこのゲーム、プレイヤーは「左プレイヤー」「右プレイヤー」と呼ばれるんです。Miiを選んだり、プレイヤー名を入力したりもしないんです。だから、途中で「面白そうだから僕にもやらせてよ」とプレイヤーが入れ替わっても構いません。



12s-2.jpg
<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 すごく興味深かったのは「チームバトル」の仕様です。
 普通こういうパーティゲームを作るとしたら、「遊ぶのは何人?」「みんなの名前を入力してね」「誰誰さんと誰誰さんはこっちチーム、誰誰さんと誰誰さんはそっちチームです」「次のミニゲームで対戦するのは誰誰さんと誰誰さんです!」みたいにしてしまいがちなんですが……

 『1-2-Switch』の「チームバトル」は、「右チームと左チームに分かれてくださーい」「次のミニゲームはこちらでーす」「各チームの誰かがプレイしてくださーい」と、プレイヤーの情報を入力する必要もなければ、誰がどっちのチームに行くかもミニゲームを誰がプレイするかも私達任せなんです。
 パーティゲームで「プレイヤーの名前などを入力している時間」って、ものすごーーーーくみんなつまんなさそうですからね。Wiiですら『Wii Sports』で遊ぶときはものすごく盛り上がるのだけど、その前に『似顔絵チャンネル』でMiiを作っている時間は「早く始めようよ」と言われましたもんねぇ。

 更に、最初に「誰誰さんと誰誰さんはこっちチーム」みたいに厳密に決めないので、途中から「面白そうだから僕にもやらせてよ」とプレイヤーが増えても構いませんし、逆に途中で人が抜けても大丈夫ですし。
 「次のミニゲームで対戦するのは誰誰さんと誰誰さんです!」みたいに強制されないので、「ダンス」のゲームはそういうのが好きな人に任せるとか、ただただ応援するだけの人がチームにいてもイイとか。

 「ホームパーティや親戚の集まり」などの大人数でプレイするには、絶対にこっちの方がイイという仕様になっているのです!




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<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 「チームバトル」は右チームと左チームに分かれてのスゴロク形式のバトルです。収録されている全28種目の内の24種目を使って、ミニゲームに勝った方がルーレットを回せる→ 止まったマスのミニゲームで対戦→ ミニゲームに勝った方がルーレットを回せる→ 止まったマスのミニゲームで対戦→ を繰り返してゴールまで先に着いた方が勝ちです。

 一度やったミニゲームはマスにカウントされないので、後から追いかける方が追いつきやすい仕様になっているのが「らしい」ですね。ミニゲームの配置も、「序盤はテンションが高くなくても遊べるもの」「後半は高いテンションが必要なもの」になるように配置されています。

 ただ、どうもマスの配置が毎回同じみたいなので毎回同じマスだと繰り返し同じメンバーで遊ぶには飽きやすいんじゃないかなーというのはちょっと不安かも。





◇ 28種目のミニゲームは一つ一つが尖りまくり!
 さて、このゲームは簡単に言ってしまえば「Nintendo Switchのコントローラ“ジョイコン”を活かしたミニゲームが28種目入っているゲーム」です。Miiなどを入力しなくてイイとか、横で観ている人が「面白そうだから僕にもやらせてよ」と言いやすいとかの仕様であっても、ミニゲーム集で一番重要なのはミニゲーム自体の面白さです。料理となるミニゲームが面白くなかったら、その盛り付け方がどんなにキレイでも食事としては褒められませんからね。


 なので、ここからは28種目すべてを一挙にレビューしようと思います!
 まずは任天堂公式Twitterで公開された各ゲームの説明となるムービー(これはゲーム内でもミニゲームを始める前に観ることができます)を載せます。
 次に「各ゲームに設定されている唐辛子の数」を載せます。これは「遊ぶ人に必要なテンションの高さ」で、例えば唐辛子1つの『電話番』は場があまり盛り上がっていない状況でも遊べますが、唐辛子5つの『コピーダンス』は相当に場が盛り上がってテンション高い状況じゃないとなかなか出来ないという目安です(ゲーム内で獲得できる何かを消費するみたいなことではありません)。
 その次に、個人的な「私のお気に入り度」を5点満点で書いておきます。こういうミニゲームは好みがそれぞれ分かれるものですが、まあ「こんなにたくさんあると何を遊べばイイか分からない!」という時の参考になればイイかなと思います。

 そして、いよいよレビュー本文

 最後に、ニコニコ生放送で実況プレイした動画をミニゲームごとに分割して載せておきます。すべて初見プレイなので、初めてこれらのミニゲームをプレイする人がこういうリアクションをしているという参考になればうれしいです。


1.電話番

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 ジョイコンを机に置き、手は膝の上に構えて、呼び出し音が鳴った途端にジョイコンを取って「はい!もしもし!」と言う速さを競う種目です。シンプルイズベスト。静から動に切り替わるゲームなので、場がまだ盛り上がっていなくても遊べるのがお気に入りです。

 何回か続けると「呼び出し音」が変わり、「正しい呼び出し音」じゃない時に電話に出るとお手付きという別ゲーに変わります。相手に話しかけて「正しい呼び出し音」を忘れさせるのも手段の一つで、駆け引きも重要になるのが面白いです。





2.カウントボール

必要テンション:
お気に入り度:★★

 ジョイコンの「HD振動」を体感させるゲームとして、体験会などでもよく取り上げられていましたね。私もこのゲームを遊びたくてビッグサイトまで行って、『みんなでスペランカー』を遊んで帰ってきました。泣ける。

 アクション的な動きも必要なく、手軽に「HD振動すげー」と思わせられるので、「Nintendo Switchというゲーム機のすごさ」をみんなに知ってもらうには最適なゲームだとは思うんですが。ゲーム的な駆け引きみたいなものはほぼないので、私のお気に入り度は低めです。
 ただ、公式のTipsや「チームバトル」時の説明などによると、「分からなかったら周りの人に渡してみんなで考えよう」と、普通のゲームだったらズルみたいなことが推奨されているんですね(笑)。そのため時間制限もありませんし、大人数で集まった時の「チームバトル」では盛り上がりそうですよね。





3.禅

必要テンション:
お気に入り度:★★★★★

 Wiiの『Wii Fit』や『Wii Fit Plus』には「バランスWiiボードの上にただじっと座る」という『座禅』がありましたが、こちらはヨガ的なポーズを取った状態でじっとするゲームになっています。

 「動いたら即負け」ではなくて、「動いたら線香的なライフゲージが減っていって(ただし見えない)、それが尽きると負け」で、終了後に経過が確認できるのが盛り上がります。ポーズが毎回ルーレットで指定されるので連続でプレイしても飽きませんし、相手を如何に動揺させるかという駆け引きもあって私は結構お気に入り。





4.トレジャーボックス

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 『1-2-Switch』のコンセプトは「画面を見ないで、お互いの目を見て遊ぶゲーム」ですが、この『トレジャーボックス』は「画面を見て遊ぶゲーム」です。ジョイコンを宝箱に見立てて、グルグルに巻かれている鎖をほどくためにジョイコンを回転させる速さを競うのです。だから、これは画面を見ないとマトモに遊べません。

 ジョイコンのジャイロセンサーを使ったゲームなので、「ジャイロセンサーなんて今までのコントローラにも付いていたんだからNintendo Switchならではのゲームじゃないんじゃ?」と思う人もいるかも知れませんが……これはジョイコンという恐ろしく小さいコントローラだからこそグルグル回せるのであって、同じことを3DS本体とかWii Uゲームパッドでやるのはしんどいです。そういう意味では、これも立派に「ジョイコンならではのゲーム」と言ってイイでしょう。

 グルグル巻きの鎖も「ほどける緑」と「絡まっている赤」で色分けされていたり、ほどいている時と絡まっている時では音が変わったり、実は結構親切ですし。相手の宝箱も見えるので競争としても盛り上がります。これもなかなかお気に入り。






5.ミルク

必要テンション:
お気に入り度:★★

 前代未聞の体感乳しぼりゲー。
 ジョイコンを縦に持って、牛の乳を搾るように「ジョイコンを下げながら」「LRボタンを上から下の順にタイミング良く押す」のがポイントです。ストラップを付けないとキツイです。HD振動で液体が手の中を通っていく感覚がすさまじいのだけど、握力をめっさ使うので漫画描きとしてはしんどい(笑)。ちょっとした労働感。

 コツをつかむとドバっとミルクが出るのが気持ちいいのですが、まあ基本的には一発ネタのゲームだと思いますです。






6.金庫破り

必要テンション:
お気に入り度:★★★★★

 個人的には、収録されている全28種目の中でもトップクラスに好きなゲームです。
 ジョイコンを金庫のダイヤルに見立てて回すと「普通の振動」の中に「違和感のある振動」がHD振動で表現されていて、360度の中からその違和感の場所に合わせることでロックが解除されます。それを先に3回解除した方が勝ち。

 HD振動をうまくゲームに落とし込んでいて「ジョイコンならではのゲーム」になっているだけでなく、画面で相手の進行具合が見えることによって競争に焦るのもまた面白いですし。更に、何より「違和感のある振動」を見つけた時のハマった感が最高に気持ち良いのです。






7.ガンマン

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 恐らく『1-2-Switch』に収録されている全28種目の中でも最も分かりやすいゲームなので、プレゼンテーションやPV、また初回起動時などにこのゲームから始まったんだと思います。
 ゲーム内容は恐ろしくシンプルです。ジョイコンを下に向けておいて、「ファイア!」の掛け声が鳴ったら相手の心臓を狙ってジョイコンを起こしてZRボタン(ZLボタン)で引き金を引く―――駆け引きも何もなく、ただそれだけの反射神経勝負のゲームです。ただし、ジョイコンを起こしきらないタイミングでボタンを押してしまうと、地面を撃った扱いで負けとなってしまいます。

 こういうシンプルなゲームは、つかみとしてはアリでしょう。





8.真剣白羽取り

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 後でまとめますが、この『1-2-Switch』には「2人で向き合って相手とタイミングを見計らって遊ぶゲーム」が幾つか収録されています。その中では私はこの『真剣白羽取り』が一番好きです。相手との駆け引きをするのなら、これくらいシンプルで、これくらい分かりやすいゲームがイイだろうと。

 ゲームは先攻と後攻に分かれ、「剣を振り下ろす人」と「それを白羽取りで受け止める人」を交代でやって先に剣を当てた方が勝ちです。ゲームとしてはシンプル極まりないですが、だからこそ「タイミングを外す」ことにポイントがあって、様々なフェイントが生まれるという。

 また、技術的にも「白羽取りをする側はちゃんと手を合わせなくてはいけない」ようになっていて……つまり、ジョイコンは「ただ振って自分の力で止めた」のか「振った後にもう片方の手にぶつかって止まった」のかを区別できるってことなんですね。Wiiリモコンではこれは出来なかったので(モーションプラスでもこれを活かしたゲームはなかったような気がします)、センサーの進化を地味に実感できるところです。





9.ライアーダイス

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 これがちょっと評価の難しいというか……シンプルなゲームが集まっているこのゲームの中では異色で「ちょっとややこしいゲーム」なんですね。

 「サイコロ2つの目の合計を競う」のだけど、「自分の目の合計は分からずに、分かるのは相手の目の合計だけ」。それで先に2回勝った方が勝ち―――そのため、相手にうまくハッタリを聞かせて、相手の合計が大きいときには嘘をついて振りなおさせたりするのがポイントとなっています。振りなおしは3回まで。
 また、ゾロ目が出た場合はポイントが「2倍」になる上に、1のゾロ目は「99」になります。「相手の合計は2か……ヨユー!」って思ってると99ポイントを食らうってことですね。

 うーん……ややこしい。
 一人でためしに「右手vs.左手」でプレイして「左手に勝たせよう」と思っても右手を勝たせてしまったりするくらいに、ややこしいゲームです。ただ、一つくらいこういうゲームがあってもイイと思いますし、「相手とのコミュニケーション」が生まれるゲームではあると思います。






10.旗上げ

必要テンション:
お気に入り度:★★

 ジョイコンを旗に見立てて、「女性の声には指示通りに」「男性の声には指示とは反対に」旗を振るゲームです。後に出てくる『ボクシングジム』とはちがって「早い者勝ち」ではなくて「正解数」を競うゲームみたいですね。咄嗟に判断するのが難しくて、なかなかに難しいです。

 ジャイロセンサーのあるモーションプラス以降のコントローラなら出来たゲームではあるんで、「ジョイコンならでは」という気はしませんが、上下左右に旗を振るのは結構楽しいです。






11.ソーダ

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 これこそが『1-2-Switch』の真骨頂だと思いますわ……
 片方のジョイコンをソーダ瓶に見立てて、振って、隣の人に渡して、振って、隣の人に渡して……を繰り返すゲーム。ゲーム……なのか、これ?

 ハッキリ言って、ゲームとしては成り立っていません。
 振れば振るほど爆発のリスクは高まるのだけど、これと言って得なことはありません。爆発させたくなければちょっとしか振らずに次の人に渡せばイイのです。リスクとリターンが同等じゃないんですね。

 でも、このゲームはそれでイイのです。誰が勝ったとか負けたとかではなく、その場にいるみんなで笑えればイイ。そのためにこのゲーム、ソーダが爆発しても「負け」みたいな表示は出ないんですね。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 むしろ、「カンパーイ!」と祝福してくれるのです。HD振動の感触も素晴らしい。
 「ゲームは勝ち負けを決めるもの」という固定概念を吹き飛ばすゲームと言ってイイでしょう!






12.ひげそり

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 ジョイコンを電気シェーバーに見立ててひげを剃るゲーム。
 このゲームは「HD振動を実感する」のに一番最適じゃないかと思います。電気シェーバーの振動とひげを剃ったときのジョリジョリ感が溜まりません!

 ゲームとしては、どうも「ゲーム側が想定している顔の大きさ」と「実際の自分の顔の大きさ」に差があるためか本来の顔より大回りする必要があったり目のあたりまでひげが生えていたりしてどうかなと思ったのですが……何度も一人プレイをして気づいたことに、このゲームの本質は「どこに生えているか分からないひげをHD振動を頼りに剃る」ことにあると思いました。というのも、ひげの生え方が毎回変わっているっぽいんですね。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 ひげの生えている位置も向きも毎回変わっているみたいですし……
 条件はちょっとよく分かりませんが(高得点を出した次の回?)、何回かやっていると「次は丸刈りにチャレンジだ!」と頭を刈ることも出来ます。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『1-2-Switch』より引用>

 だから、厳密に自分の顔に当ててリアルに剃ろうとするよりも、「HD振動を活かしたゲーム」くらいに捉えるのがイイのかなと思います。電気シェーバーを使い慣れている父にプレイさせたところ一発で100%を取ったので、ジョイコンの角度なんかは本物に忠実なのかも知れませんが。
 4人以上で遊ぶ場合は誰かの頭を借りての丸刈りの方が盛り上がりそうなので、「ひげそり」と「丸刈り」を任意で選べればイイのにとは思いました。





13.ジョイコン回し

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 ジョイコンを揺らさないようにゆっくりと持ち上げ、ちょっとずつ回し、限界が来たら置く―――これを交代交代に3回繰り返すことで、合計の回転角度を競うゲームです。揺れが判定されたらその回は0度になってしまいます。

 私は当初このルールがよく分からなかったのですが、基本は椅子かなんかに座って机の上に置いたジョイコンを“同じ位置から”回転させるのが決まりみたいですね。そうすることによって、「次の自分の番に持ちやすい角度にしよう」といった3回通しての作戦が生まれるのですし。
 また、大人数で遊ぶ場合は「3人vs.3人」で遊ぶのも面白そうですし、テーブルゲームとして非常に優秀だと思います。ジャイロ付きのジョイコンでこういう遊ばせ方をするのが任天堂らしいですし、私は結構お気に入りです。


 唯一の注意点は「ストラップを外す必要がある」ということ。
 『1-2-Switch』のゲームは基本的にストラップをつけっぱなしでも遊べて、「ストラップを外してください」というゲームからの指示があっても手首に巻いている紐を抜くだけで問題なく遊べるのですが……この「ジョイコン回し」はストラップをつけたままだと安定しないので外さないとマトモに遊べません。

 慣れれば問題ないんですが、Nintendo Switchを買ったばかりの頃はストラップの着脱に手間取るでしょうし、これと『赤ちゃん』はちょっと注意が必要です。






14.ピンポン

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 Wiiリモコンが最初に世に出た時、同時発売のソフトは『Wii Sports』でしたし、任天堂はその中でも「テニス」をプッシュしていました。ボタンを使わずにリモコンを振るだけで遊べるゲームが出たという衝撃は今でも鮮明に覚えています。
 そのバージョンアップとなるジャイロセンサー搭載のWiiモーションプラスと同時発売のソフトは『Wii Sports Resort』で、任天堂はその中でも「ピンポン」を推していたと思います。Wiiリモコンだけでは検出できなかった細かい動きを反映したゲームになっていて、前作からの進化を感じました。

 ただ、私は『Wii Sports Resort』への進化は残念でした。
 誰にでも遊べる『Wii Sports』はゲームを遊ばない両親でも楽しめて、それが後にゲームにハマるきっかけになったのですが、『Wii Sports Resort』は難しくなって両親にはマトモに遊べませんでした。後に当時幼稚園児だった甥っ子が遊びに来た時に遊ばせても、ほとんど打ち返すことが出来ませんでした。

(関連記事:『Wii Sports Resort』の憂鬱


 誰にでも遊べるゲームも進化するとどんどん複雑になっていく……
 そういう中で『1-2-Switch』にも「ピンポン」が入っているのでどうなっちゃうのだろうと思ったら、まさかの「エア卓球」ですよ!球は見えません!だからフォアもバックも関係ありません!重要なのはタイミング!搭載されているジャイロセンサーなんか知るかってスタンスが最高です。

 普通に打てば普通のタイミングですが、L(R)ボタンで打ち上げ、ZL(ZR)ボタンでスマッシュでタイミングをずらせます。球が見えないからこそ駆け引きが引き立つ――――『1-2-Switch』開発のきっかけとなったゲームらしいのですが、それも納得です。






15.赤ちゃん

必要テンション:
お気に入り度:

 『1-2-Switch』に収録されているゲームの中で唯一「テレビモードでは遊べない」種目です。本体にジョイコン二つを装着して、画面に映っている赤ちゃんを泣き止ませるために優しく揺らし、寝入ったらベッドに寝かせるまでの時間を測ります。なので、対戦では遊べません。一人ずつプレイして時間を競いましょう。

 一発ネタとしては面白いし、両親にやらせたら大受けだったんですけど……これ別にジョイコンじゃなくて、Wii Uゲームパッドとかでも出来るんじゃないかとも思うので私のお気に入りとしては低めです。判定がよく分からないのは、それが赤ちゃんらしいと言えばらしいのですが……







16.帰ってきたガンマン

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 7の『ガンマン』と似ているようで別ゲーです。
 「ファイア!」という合図で銃を撃ちあうのは一緒なのですが、Fから始まる様々な単語をフェイントで言ってくるので正確に聞き取らなくてはなりません。「ファイル」と「ファイア」の聞き分けがむっずかしくて笑える……

 「ファイア」以外の単語が出た時は画面にやたら楽しげな写真が映っていて、それが非常におかしいのですが……画面を見ちゃうと「耳でファイアという単語を聞き分けるゲーム」というよりかは「目で画面を見るゲーム」になってしまうので、始める前にお互いに「画面を見ないこと」を確認してから始めるのが良いでしょう。







17.ベースボール

必要テンション:
お気に入り度:★★

 これも基本的には「エア卓球」と同じで、『Wii Sports』にもあった「ベースボール」をむしろもっと簡素化したものです。投手はZL(ZR)ボタンを押しながらジョイコンを振ると速球、L(R)ボタンを押しながらジョイコンを振るとスローボールが投げられて、打者はタイミングを合わせて打つだけです。ボール球はなし、打つ以外の作戦もありません。それで最終回の1回を戦うのです。

 「エア卓球」と同様に嫌いじゃないんですけど、『ピンポン』以上に「もうちょっと相手との距離が開けないとタイミングがつかめない」ところがありました。狭い部屋だとやっぱり卓球くらいの距離感がタイミングを合わせやすいんですね。







18.大食いコンテスト

必要テンション:
お気に入り度:★★

 これも「赤ちゃん」同様に1人用専用でスコアを競うゲームです。
 右のアイコンについている「モーションIRカメラ」を使って、口をパクパクさせることで食べたホットドッグの数を競うのですが……「モーションIRカメラ」を使うゲームで、どうしたらこんな発想が出てくるのか考えた人に聞いてみたいわ!

 これも一発ネタと言えば一発ネタなのですが、試しに「口」以外の部分でも出来ないか「指」とかでもプレイしたところ、「口」が一番速くて「人間って口が一番速く動かせるのか!」と感動しました。だからなんだ。

 1人用専用ではありますが、プレイしている人を見つめるのが楽しく、また笑わせて妨害したりなんかも楽しそうなので、むしろ大人数で遊ぶのが面白そうなゲームです。






19.ビーチフラッグ

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 『ガンマン』に匹敵するくらいにシンプルなゲーム。
 ジョイコンを手に持って、合図が鳴ったら全力ダッシュ!フラッグまでたどり着いたらジョイコンが振動するので腕を振り上げる!これが速かった方が勝ちというゲームです。ものっそいシンプルで、駆け引きも何もありませんが、こういうゲームが入っていてもイイと思います。

 決着後は「2人がどれくらいのスピードで走ったのか」の仮想リプレイが表示されるのも私の好きなところです。






20.魔法使い

必要テンション:
お気に入り度:

 これは正直よく分かりませんでした……
 基本的には『ピンポン』や『ベースボール』同様に「2人で向き合って相手とタイミングを見計らって遊ぶゲーム」なんだと思いますし、説明を読んでも「相手が杖を突きだしたタイミングでカウンターを放て!」というカンジなのですが、相手を見るよりも画面を見て相手のゲージが押してきたタイミングでカウンターを撃った方がいいみたいで。相手を見るメリットがあまりないように思えました。

 終了後にリプレイが流れるところはイイと思うんですけどね。






21.ソードファイト

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 「2人で向き合って相手とタイミングを見計らって遊ぶゲーム」の究極です。

 「エアチャンバラ」で、普通に振ると攻撃、ZL(ZR)ボタンを押して構えると防御です。
 向きと振りを検出するジャイロセンサーならではで、Wiiモーションプラスを使ったゲームでもこういうものがありましたが、それを画面を使わずに行っているというカンジですね。もうちょっと広い部屋で遊びたかったとは思いますが、これくらい振り切れているのも私は好きです。5ポイント先取で勝ち。

 これが出るということは、Nintendo Switchでもチャンバラゲーを出せるということなんですよね。
 いよいよ『ドラゴンクエストソード2』を出す時ですね!







22.ボクシングジム

必要テンション:
お気に入り度:★★★★

 『電話番』『ガンマン』『旗上げ』と同様に、音声指示に従って素早く動くゲームです。
 「ストレート」「フック」「アッパー」の3種類のパンチを指示に従って撃ち分けて、最後はスタープラチナのようにパンチ連打して終了です。パンチは「早い者勝ち」で、全部のパンチが終わった後に1回1回のパンチでどちらが早かったのかの判定が出るのが非常に面白くてお気に入りです。

 めっちゃ疲れるけどな!







23.皿まわし

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 ジョイコンをぐるぐる回して皿回しをするだけのゲームなのですが、「2人で対戦する」専用のゲームにしたことで「相手にちょっかいを出して妨害する」ことが目的のゲームになっているのが面白い。一応「いつまで落とさずにいられるか」みたいな楽しみ方も出来るのだとは思いますが、それだと多分そんなに面白くなくて相手へのちょっかいがあってこそのゲームかなーと思います。

 あと、皿の安定具合をHD振動で感じさせているのだけど、このゲームは画面を見た方が分かりやすいです(笑)。







24.コピーダンス

必要テンション:
お気に入り度:★★★★★

 ここからはリズムゲームのターンだ!
 正直『1-2-Switch』のリズムゲームはどれも似たようなもので、「リズムに合わせてジョイコンを振る」「指示に合わせて止まる」といったカンジなのですが……このゲームは「相手のポーズをコピーする」という要素が入っているため、「相手に恥ずかしいポーズを取らせる」「そのために自分も恥ずかしいポーズを取る」というゲームの勝ち負けを超えた駆け引きが生まれるのが最高です。

 長年の付き合いである男友達とやるよりかは、ちょっと距離のある親戚とかクラスメイトくらいの関係で遊んだ方が盛り上がりそうです。こういうゲームを男女でやれたら楽しそうですねとか言うんじゃない!そんなのはフィクションの中の世界の話ですよ!関係ないけど、どうしてフィクションの中の世界ではツイスターゲームが異様な普及率なんですか!あんなの持っている人、見たことないぞ!






25.モデルウォーク

必要テンション:
お気に入り度:

 モデルになりきって腰を振りながら歩いて、ターンして歩いて、最後は2人で観客に向かってポーズを取って終了。ゲーム性がよく分からないのだけど、高得点を狙うなら「ウォーキングの際に腰をすごく振る」「ポージングの際にジョイコンを大きく動かして止まる」のがポイントですかねぇ。

 正直よく分からなかったのですが、例えば5~6人で『1-2-Switch』を遊んでいる状況なら「観客に向かってポーズを取る」のが盛り上がりそうな気はします。2人で遊んでいる状況だと、ちょっと微妙かなー。






26.エアギター

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 リズムに合わせてジョイコンを振ってエアギターだ!
 とにかくテンションを上げて!激しい動きで観客にパフォーマンスだ!

 ゲームとしてはよく分からん!何だかんだ「しっかりとリズムをとる」のが大事みたいですが、マジメに勝ち負けを考えるのもバカらしいぜ!!!そんなのを気にするのはロックじゃねえぜええ!!








27.フリーダンス

必要テンション:
お気に入り度:★★★

 『1-2-Switch』に収録されているゲームは全部で28種目で、「チームバトル」で出てくるのは24種目―――外れたのは1本のジョイコンを使ってプレイするので対戦にならない『ソーダ』『大食いコンテスト』、本体を使う『赤ちゃん』と、そしてこの『フリーダンス』みたいです。このゲームは2つのジョイコンを使って2人同時プレイが出来るのに、何故。

 まぁ、勝ち負けを決めづらいゲームってことなのかも知れません。
 ひたすらリズムに合わせて踊りまくって、ストップの合図でピタッと止まる。プレイヤーは突然ピタッと止まらなければならないので、変なポーズで止まりかねないのが面白いところです。個人的には嫌いではないゲームです。






28.ゴリラ

必要テンション:
お気に入り度:ゴリラ

 ちょっと人類には早すぎたゲームじゃないですかね……
 茂みに隠れたメスゴリラを誘うために、メスゴリラのウホウホを真似してドラミング(のフリ)をするゲームです。ゲームとしては「お手本と同じリズムを刻むリズムゲーム」なんですけど、ちょっと判定がよく分からないのと、結局は最後のアピールタイム次第じゃねえのかという気も(笑)。

 面白いのは「本当に胸をたたく」とケガをしかねないためか、「胸をたたくフリ」をしなくてはならず、「本当に胸をたたく」と怒られるところでした。つまり、ジョイコンのセンサーは「振って止めた動き」と「振って何かに当たって止まった動き」のどちらなのかを判別できるってことなんですね。これは多分、『真剣白羽取り』もそうなんじゃないかと思います。





◇ これは、ジョイコンという新しい“おもちゃ”の説明書なんだ
 言うまでもない話ですが、任天堂は元々“玩具”のメーカーです。
 1889年から『花札』を作り、1902年から『トランプ』を作り、1953年にはプラスチック製の『トランプ』を作り、1960年代からは横井軍平さんによる『ウルトラハンド』『ウルトラマシン』『光線銃』といった大ヒット玩具を次々と発売していきました。


 こうした玩具は、いろいろな遊び方で遊べるものです。
 『花札』には「こいこい」「花合わせ」「おいちょかぶ」といった遊び方がありますし。
 『トランプ』には「ポーカー」「ババ抜き」「神経衰弱」「大貧民(大富豪)」などなどの遊び方がありますよね。

 横井軍平さんが『ウルトラハンド』を発売する際、当時の社長だった山内さんから「ゲームにしろ」と指示されたという話が『任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代』という本に書かれていました。『ウルトラハンド』なんて玩具は子どもが自由に遊べればいいものだと思いがちだけど、説明書に「ウルトラハンドを使ったゲーム」を遊び方の一例として載せる必要があると山内さんは考えられたそうなんですね。

任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代 (角川新書)
任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代 (角川新書)

 この方針は、任天堂から発売されるトランプに一応の説明書がついていて「遊び方の一例」が書かれているという話からつながっています。子どもはそんなの無視して自分の遊びたいように遊ぶし、自由に遊べるのが玩具なのだけど、「遊び方の一例」をちゃんと記す―――というのは、コンピューターゲームに参入した後の任天堂にも通じるように思います。
 新作『ゼルダ』はオープンエアーのゲームで自由に遊べるのだけど、でも道沿いに進めばしっかり武器が手に入るようになっているみたいな。



 さて、『1-2-Switch』です。
 このゲーム……任天堂が新しく出したNintendo Switchの、ジョイコンという「新しいおもちゃ」の遊び方の一例を示している説明書だと思うんですね。

 『トランプ』があればこういう遊び方が出来るよと説明書に書かれているみたいに、
 『ウルトラハンド』はこういうゲームで遊べるよと説明書に書かれていたみたいに、
 ジョイコンがあればこんなにたくさんの遊び方が出来るんだよと教えてくれる説明書だと思うんですね。


 28種目のミニゲームは、大別すればこんなカンジになると思います。


【音声指示に従って素早く動くゲーム】
・ガンマン
 …合図に素早く反応する
・ボクシングジム
 …指示されたパンチを相手より早く撃ち込む
・帰ってきたガンマン
 …引っかけの合図に反応せずに「ファイア!」に反応する
・電話番
 …素早く呼び出し音に反応する。後に、引っかけの呼び出し音も鳴るように
・旗上げ
 …女の声には指示通り、男の声には指示とは逆に反応する

【2人で向き合って相手とタイミングを見計らって遊ぶゲーム】
・真剣白羽取り
 …相手の振り下ろす刀を白羽取りでタイミングよく受け止める
・魔法使い
 …相手が押し込むタイミングでこっちも押し込んでカウンターにする
・ベースボール
 …速球、スローボールの2種類にタイミングを合わせる
・ピンポン
 …ストレート、ロブ、スマッシュの3種類にタイミングを合わせる
・ソードファイト
 …相手の動きに合わせて、ガードと攻撃をする

【ジョイコンを活かしたなりきりプレイ】
・ビーチフラッグ
 …ジョイコンを握ってダッシュ!振動したら腕を振り上げる!
・ソーダ
 …ジョイコンを振ってソーダを開けよう!
・禅
 …指定されたポーズで動かないようにする
・皿まわし
 …ただジョイコンをぐるぐる回すだけ…を妨害する
・大食いコンテスト
 …ひたすら口をパクパクさせる
・赤ちゃん
 …ジョイコンを本体に装着して優しく寝かしつける
・ミルク
 …ジョイコンを乳に見立てて搾る
・ひげそり
 …ジョイコンを電気シェーバーに見立ててキレイにひげを剃る
・金庫破り
 …HD振動を頼りにポイントを探る

【ジョイコンの機能を活かしたテーブルゲーム】
・カウントボール
 …HD振動で中に入っているボールの数を想像する
・トレジャーボックス
 …ジョイコンをぐるぐる回して宝箱をほどく
・ジョイコン回し
 …ジョイコンを揺らさずにグルグル回す
・ライアーダイス
 …振動で分かる相手の合計から推理して引っかけて、ダイスの合計を競う

【リズムゲーム】
・エアギター
 …リズムに合わせてギターを弾け!激しくだ!!
・モデルウォーク
 …リズムに合わせて歩く、そしてポーズを取る
・フリーダンス
 …リズムに合わせて踊る、そして止まる
・コピーダンス
 …リズムに合わせて踊るだけじゃなくて、相手と同じポーズを取る
・ゴリラ
 …メスゴリラと同じリズムを刻む



 『ゼルダ』とか、他のゲームをプレイしているときは別にそうは思わないんですけど……『1-2-Switch』をプレイしていると、「ジョイコンってのは新しいおもちゃだなぁ」と実感します。ジャイロセンサー、HD振動、モーションIRカメラ、そしておすそ分けプレイ……それらの機能を活かした「遊びの一例」が提示されて、画面の中ではなく「自分」と「対戦相手」の間にフィールドが生まれている感覚があるのは「ゲーム」というより「おもちゃ」を遊んでいる時のそれに近いと思うのです。

 これは、ゲームの中ではなくて、「何を撮ってキャラクターにするのか」を考えるゲームの外に遊びがあった『フォトファイターX』に通じますし、ファミコンのロボットを作ったり壁に向かってダックハントさせたりした横井軍平さんにも通じると思います。



 正直なところ……このゲームを楽しめるかどうかは、多くの玩具がそうであるように「誰と遊ぶか」「どう遊ぶか」次第なんですね。「ちょっと遊んでみない?」と言える相手がいる人ならば是非オススメですが、1人で遊んで面白いゲームではないと思いますし、家族で毎日遊んで飽きないゲームでもないと思います。
 このゲームを「1人プレイが充実していない!」って言うのは、『トランプ』を「買ったけど1人じゃババ抜きも神経衰弱も楽しくないぞ!」と怒っているようなものというかなんというか……




 ただ、「HD振動とかを確かめたくて『1-2-Switch』を買ったけど1人じゃ全然楽しめない!」という人がいるのも確かです。『トランプ』だって使いようによっては「ソリティア」みたいな1人遊びが出来るワケですから、『1-2-Switch』も1人遊びが出来るようにと「ハイスコアアタックゲームとして遊ぶ」ことを提案します!

 『ピンポン』とか『真剣白羽取り』みたいな「相手ありきのゲーム」はムリですが、このゲームに収録されている少なくないゲームでは「タイム」や「スコア」が出ます。1人で遊んでそれを競い合うゲームにすれば、1人用のゲームとして成立すると思うのです!

 そう考えると、Nintendo SwitchがMiiverse非対応だというのがものすごく痛いんですけどね……



 ということで、Twitterに「#一人で遊ぶワンツースイッチ」というハッシュタグを作りました。1種目ずつ10回プレイして(途中から時間なくて5回に減らしましたが)、その最高記録を残すという遊びです。このページにも自分のハイスコアを載せるんで……まずは私の記録を抜いてください!
 そして、そのスクショをどこかにアップして、またそれを超える記録を目指す人が現れて、そのスクショがどこかにアップされて……と競いあえればイイですね。いや、ホントMiiverseがあればなぁ……


1telephone.jpg
 電話番(引っかけあり):0.91秒

4treasurebox.jpg
 トレジャーボックス:17.31秒

5milk.jpg
 ミルク:12本

6safecracker.jpg
 金庫破り:0分25秒20

7quickdraw.jpg
 ガンマン:0.426秒

12.jpg
 ひげそり:31.48秒

13.jpg
 ジョイコン回し:646°

15baby.jpg
 赤ちゃん:43秒

16fakedraw.jpg
 帰ってきたガンマン:0.487秒

18eating.jpg
 大食いコンテスト:10と1/4個

19beach.jpg
 ビーチフラッグ:5.00秒

25runway.jpg
 モデルウォーク:594pt

26airguitar.jpg
 エアギター:6061Pts

27freedance.jpg
 フリーダンス:9590Pts

28gorilla.jpg
 ゴリラ:3182Pts


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