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『巨人のドシン』紹介/あなたが求めるのは「自由」か、「労働」か

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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「大容量のセーブが可能になった」64DDだからこそ実現できた新しいゲーム
シビアな要素は少ない、ゆる~く楽しめる箱庭シミュレーション
幻のプレミアディスクに込められた「自由を楽しめない人々」へのメッセージ


『巨人のドシン』
<配布:ランドネットDD、開発:パーラム>
 NINTENDO64 64DD専用ソフト:1999年12月11日配布
<発売:任天堂、開発:パーラム>
 ゲームキューブ用ソフト:2002年3月14日発売
・南国の島で暮らす人々を自由に見守るシミュレーションゲーム

 私がエンディング到達までにかかった時間は約11時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓


◇ 「大容量のセーブが可能になった」64DDだからこそ実現できた新しいゲーム
 私がプレイしたのはゲームキューブ版ですが、元々このゲームはNINTENDO64の周辺機器64DD専用に作られたゲームです。

 「64DDって何?」どころか、「NINTENDO64って何?」という若い人もこのブログを読んでくださっていることを期待して、今日の記事はそれらの説明から始めます。
 NINTENDO64は1996年6月に任天堂が発売した据置ゲーム機です。「据置ゲーム機」というのはテレビにつなげるタイプのゲーム機ですね。分かりやすく、ファミコン以降に任天堂が発売した据置ゲーム機を一覧にしてみました。

・1983年~ ファミリーコンピュータ
・1990年~ スーパーファミコン
・1996年~ NINTENDO64 ←これ
・2001年~ ゲームキューブ
・2006年~ Wii
・2012年~ Wii U
・2017年~ Nintendo Switch

 NINTENDO64というゲーム機は、2年先行で発売されたソニーのプレイステーションとのシェア争いに敗れたハードではあるんですが……
 3D空間を描写することに特化していて、アナログスティックを標準装備したことで、『スーパーマリオ64』や『ゼルダの伝説 時のオカリナ』などで3Dアクションゲームの雛型を作っただけでなく。マルチタップを使わずに4つのコントローラを挿せることで「4人対戦のゲーム」が多数作られたり、振動パックを付けることでコントローラがブルブル震えたり、その後のゲームの基準点になった部分も多いゲーム機なのです。『スマッシュブラザーズ』『どうぶつの森』『マリオパーティ』など、現在も続く人気シリーズ1作目が生まれたのもこのゲーム機でしたね。


 64DDは、そんなNINTENDO64を拡張する周辺機器でした。
 当初は64本体発売から半年後の1996年末に発売予定で、多くのタイトルが64DD専用で発売されるという話でした。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『MOTHER3』といった任天堂タイトルだけでなく、『ファイナルファンタジーVII』や『ドラゴンクエストVII』も64DD用に作られているという話があったんですよね。

 しかし、卵が先か鶏が先かは分かりませんが、64DDはちっとも発売されず、「64DD用タイトルとして発売予定だったソフト」も通常の64ソフトだったり他機種だったりで発売されていくことになります。最終的に64DDが出てきたのは1999年末で、専用ソフトはたった10本しかありませんでした。
 その10本の内の1本が『巨人のドシン1』で、1本が『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』ですから、全ソフトの5分の1が『巨人のドシン』というハードになってしまったのです(笑)。


 とまぁ、結果だけ見れば「大失敗商品」なんですが……
 64DDが出る以前の1997~1998年あたりの宮本茂さんのインタビューを読むと、「NINTENDO64はそれ単体では不完全、64DDによってようやく新しい遊びが提案できるようになる」と仰っていて、64DDで新しいゲームが生まれると熱く語っていたんですね。



 1998年1月に発売された別冊宝島に宮本茂さんのインタビューが載っているので、これを引用させていただきます。

<以下、引用>
―――「もう一つの柱=スーファミにはなかった新しい遊びの可能性」というのは、どのようなものですか。

宮本「これはN64単体で実現されるものではなく、「64DD」を使うことで広がる“遊びの構造″といったものです。
 64DDによって、ユーザーが個々に、自分だけのゲームデータの書き換えをするということ。それにどんな可能性が生まれるかといえば、大きく三つのポイントがあります。それは「育成」「交換」「追加」といった楽しさです。
 ゲームの世界を自分なりに育て、記録として残し続ける。育てた自分のゲーム内容を他人と交換することでコミュニケーションをはかる。さらに、新たに内容を付け足し盛り込み、自分のゲーム世界を変貌させる。―――そうやってユーザーがゲーム世界を独自に広げていくことが、64DDというツールによって楽しめるんです。
 いわば「ゲームをカスタマイズする楽しさ」というわけです。」

―――ということは逆に言えば、N64本体だけではそうした新しい楽しさは得られないわけですね。

宮本「そう言えます。N64は“本体だけで完結した機械”ではありません。データを記録・交換するDDがつながり、ユーザーがさまざまな働きかけをするための、さまざまなインターフェイスがつながり、さらに「ゲームポーイ」といった他ゲーム機ともデータがつながる。そのように、たんなる一個の機械ではない「遊びのシステム」としての広がりにこそ、N64ならではの楽しさがあるんです。」

</ここまで>

 64DDの一番の特徴は、「磁気ディスク」なことです。
 ファミコン、スーファミ、64のようなROMカセットではなく、プレステやサターンのようなCD-ROMでもない特殊なメディアを採用していました。容量自体は64MBと、CD-ROM媒体に比べれば決して大きくないのですが、その内の38MBをセーブに使うことが出来るというのが圧巻でした。
 プレステのメモリーカードは120KB、セガサターンのパワーメモリーは512KB、PS2初期のメモリーカードでも8MB……これらのゲーム機は1つのメモリーカードに幾つものゲームのセーブデータを書き込むのに対して、64DDの場合は1つのゲームごとに最大で38MBをセーブデータに使うことが出来たのです(もちろんセーブ領域に容量を使うとゲームの容量も減るのでしょうが)。


 これによりゲームが変わるというのが先の宮本さんのインタビューなのですが、当時の自分にはその意味がよく分かりませんでした。例えば『RPGツクール』みたいなゲームだったら確かに大容量のセーブデータはありがたいでしょうが、大容量のセーブデータを活用できるジャンルのゲームなんて極一部じゃないかと思ったんですね。「大容量のセーブが可能になったところでゲームは変わらないだろう」「FFにもドラクエにも逃げられて宮本さんも苦しいのかな」なんて、その時の私は思っていました。


 ただ、よくよく考えてみると、「プレイヤーがゲームの進行状況を保存(セーブ)できる」ようにしたことでゲームが激変したという経験が、任天堂にはあったんですよね。それがファミリーコンピュータの周辺機器ディスクシステムです。

・1983年~ ファミリーコンピュータ ←これ
・1990年~ スーパーファミコン
・1996年~ NINTENDO64
・2001年~ ゲームキューブ
・2006年~ Wii
・2012年~ Wii U
・2017年~ Nintendo Switch

 ディスクシステムも、ファミコン本体発売から3年後の1986年に発売された周辺機器で、磁気ディスクをメディアに採用したハードでした。
 ディスクシステムと言えば、当時のファミコン用ROMカセットよりも大容量(約3倍!)なことや、持っているディスクを別のゲームに書き換えることで安価にゲームが買えるのがよく話題にされます。特に書き換えシステムは今でいうダウンロード販売のようなものと考えることも出来ますし、時代を先取りしていたと思うのですが……

 しかし、ゲームの歴史から考えると「ファミコンのゲームに“データをセーブする”という概念を持ち込んだ」ことこそが画期的だったのかもと思うのです。ディスクシステム以前のファミコンのゲームは「セーブ」がありませんから、毎回1面から始めるか、パスワードを入力する必要がありました(唯一の例外はファミリーベーシックなのだけど、その話は長くなりそうなので割愛します)。

 そのため、任天堂が発売したディスクシステム専用ゲームには「データをセーブ出来る」ことを活かしたものが多かったんですね。
 『ゼルダの伝説』『メトロイド』『パルテナの鏡』なんかは、主人公が成長するゲームで、最初は貧弱な主人公がどんどんパワーアップしていくのを楽しむゲームでした。『新・鬼ヶ島』や『ふぁみこん探偵倶楽部』は長い物語を途中セーブ出来るだけでなく、それを引き継ぐことで「前編」の続きを「後編」で楽しめるというゲームでした。
 タッチパネルを採用したニンテンドーDSではそれを活かして『nintendogs』や『脳トレ』を出したり、加速度センサーを採用したWiiでは『Wii Sports』や『はじめてのWii』を出したりしたように、ディスクシステムの頃から任天堂は「そのハードでしか出来ない新しい機能を使ったゲーム」を出していたんです。

 1987年になるとファミコン用ROMカセットにもバッテリーバックアップを採用するソフトが出てきて、セーブ出来ることがディスクシステムだけの特権ではなくなってしまい、1988年の後半には任天堂自身もディスクシステムに見切りを付けてROMカセットでの新作ソフトを出していくようになるのですが……ディスクシステムがなければ「セーブ機能を活かしたゲーム」として『ゼルダの伝説』や『メトロイド』が作られることはなかったと考えると、その意義は大きかったのかなと思うのです。


 64DDに話を戻します。
 なので、任天堂は「セーブ出来る容量が大きくなること」によってゲーム自体が変わることを確信していたのでしょうし、確かに実際に出てきた64DDのソフトを見ると未来を先取りしていたようにも思えなくもないのです。

 例えば、『マリオアーティスト タレントスタジオ』。
 Miiの原型になったことで有名なソフトですが、自分でキャラを作り、ショートムービーを製作して、ランドネットというインターネットサービスに投稿することも出来たそうな。キャプチャーカセットを使えばデジカメやデジタルビデオカメラも使うことが可能。YouTubeやニコニコ動画なんかが生まれるよりももっと前から、「動画作成の楽しさ」「それをみんなで共有する楽しさ」をゲームに落とし込もうとしていたのだから凄いです。

 例えば、『F-ZERO X エクスパンションキット』。
 64のROMカセットで発売された『F-ZERO X』の拡張ディスクで、追加のコースが入っているだけでなく、自分でコースやマシンを作成することが可能でした。『マリオアーティスト』シリーズとちがって作ったコースをネットにアップロード・ダウンロード出来なかったそうなのだけど、もし出来ていたら「早すぎた『マリオメーカー』」になっていたかも知れません。

 また、「自分で作る」ことばかりが注目されがちですが、アペンドディスク的に「コースを追加する」ことも可能ですから、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『マリオパーティ』なんかは64DDに対応してダンジョンやミニゲームを追加する計画があったように思われます。
 それ自体はプレステやサターンの「アペンドディスク」や「前後編」に近いと思うのですが……64DDはインターネットにも接続できるので、ひょっとしたらインターネット経由で追加ステージを配信するみたいなことも考えられていたんじゃないかと思われます。それ以前にサテラビューがありましたからね。そう考えると64DDの大容量保存領域は、単なる「セーブデータ」ではなく、現在の「ゲーム機本体のストレージ容量」に相当するものだったのかもと。


 そして、ようやくです。お待たせしました、『巨人のドシン1』です。
 『巨人のドシン1』は64DDで遊べる64DD専用のゲームで、『アクアノートの休日』や『太陽のしっぽ』の飯田和敏さんがディレクターです。ここまで長々と説明したように、64DDで出すゲームなので「セーブ出来る容量が大きくなること」を活かしたゲームになっています。

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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

 一見するとこのゲーム、3D空間を自由に暴れまわる3Dアクションゲームに思われてしまいそうなのですが……実際には「フィールド」を自由自在に操れるシミュレーションゲームです。南国の島に暮らす住民を好きな場所に移動したり、木を移動したりするだけでなく……地面の高低までを自由にコントロールできるので、海を埋め立てて島を作ったり、山を平らにしてそこに住民を住まわせたりなんてことも、自分の好きなようにやって良いのです。

 そうしたフィールドの変化をいちいち全部セーブするのだから「大容量のセーブ領域」が必要ということですね。
 ゲームキューブ版は64DD版よりもフィールドが狭くなったみたいなのですが、それでも当時のゲームキューブのメモリーカード(512KB)をほぼ丸々1コ使いますからね。プレステ1のメモリーカードが120KBでしたから、もしプレステ1で発売していたらメモリーカードを4枚挿さなくちゃいけなくなります(笑)。


 飯田和敏さんのゲームは『アクアノートの休日』にしても『太陽のしっぽ』にしても「世界を自由に遊びまわれるゲーム」でしたが、『巨人のドシン』の「世界を自分の好きなように作り替えることが出来る」楽しさはそこに「砂場遊び」的な面白さを加えたゲームに思えます。

 砂場遊び……サンドボックス……
 そう、実はこのゲーム―――「早すぎた『Minecraft』」なんですよ。


 もちろん『Minecraft』と『巨人のドシン』では出来ることが全然ちがいますし、『Minecraft』の作者が『巨人のドシン』の影響を受けているだなんて思いませんけど……64DDなんて周辺機器まで出した任天堂が「セーブ出来る容量が大きくなること」で夢見た未来の一つの形が、『Minecraft』のようなゲームだったんじゃないかなって思うんですね。

 よくセガに対して「セガはいつも10年早いんだ」と言われることがあります。最新技術を取り入れた超すごいものを投入するも、商業的には成功せず、10年後・20年後に他の会社がそれに似たものを商業的に成功させて「その道はセガが10年前に通過したのに……」となるヤツです。

 それに対して任天堂は「枯れた技術の水平思考」という言葉でイメージされるように、既に使い古された技術を応用して商業的に成功する会社のように思われているかも知れません。DS以前からタッチパネルはありましたし、Wii以前から体感ゲームはありましたが、それを本格的に取り入れたことで成功したという。
 しかし、任天堂も「ディスクシステムは早すぎたダウンロード販売」でしたし、「サテラビューは早すぎたデータ通信で遊ぶゲーム」でしたし、「バーチャルボーイは早すぎた立体視対応ゲーム」でしたし、10年・20年後を先取りすることは結構あるんですね。任天堂は10年・20年後に自分達でリベンジして成功させることも多いので、セガみたいに「10年早いんだ」とは言われませんが。


 社長が訊く ゲームセミナー2008~『どうぶつの森』ができるまで~

 64DDの話で言えば、64DDを活かしたゲームとして開発していたのにROMカセットに移行させられて全然別のゲームになった『どうぶつの森』の話がめっちゃ面白いんで、読んだことがない人はこの機会に是非どうぞ!
 他の機種にはない大容量のセーブデータを使ったゲームを開発していたのに、会社の事情でROMカセットに移行することになり、そうするとセーブ領域が1メガビット=125KBしかなくなってしまいました。それでもまぁ、プレステのメモリーカード1枚分なのですが、『巨人のドシン』で使ったセーブデータの4分の1しかありません。その結果、広大なフィールドをどんどん狭くしていって、最終的に「村だけのゲーム」になっていったという(笑)。

 こうして生まれた『どうぶつの森』は大ヒットシリーズになるんですけど、元の構想のゲームも「オープンワールド的」というか「サンドボックス的」なゲームに思えて面白そうですよね。

 この社長が訊くが公開されたのが2009年1月26日なので、ちょうど64DDから10年後の年なんですね。そして、この2009年の末に、『Minecraft』の最初のバージョンがリリースされるのです。


 64DDが当初の任天堂の目論見通りにリリース出来ていたのなら『Minecraft』のようなゲームは日本から生まれていたのかもなんて妄想してしまうのですが、とりあえずこの言葉は言っておきましょう。「64DDは10年早かった」のだと。

↓2↓


◇ シビアな要素は少ない、ゆる~く楽しめる箱庭シミュレーション
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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

 プレイヤーが出来ることは、先に説明した「土地の高低をいじくる」ことと、「住民や建物、木などを運ぶ」こと、破壊の巨人に変身して建物を破壊することくらいです。
 住民はやたらめったら「ここの土地を上げて!」とか「ここに木を持ってきて!」と頼んでくるので、「何をして良いのか分からない」ということはないでしょうし、むしろ住民の要望を全部聞いていたらめっちゃ忙しいゲームになると思います。もちろん自由に遊べるゲームなので、住民の要望なんて無視する遊び方でもOK!


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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

 「何をしても自由とか言われても困る。目的を設定してくれ」という人のためにあるのが、「モニュメントリスト」です。「ハズレのモニュメント」を除いてモニュメントは16種類あって、それを全部作らせるとエンディングになります。

 住民の要望に応えていくと「集落」が発展していって、ある程度のところまで行くと、その集落に住む「住民の色」に合わせたモニュメントが作られます。赤の住民だけの集落なら「赤一色のモニュメント」、赤と青の住民がいる集落なら「赤青二色のモニュメント」といったカンジに。

 また、モニュメント建設のタイミングで住民は「花」を要求してきます。
 「花」は島の中にある木を調整することによって生まれる(詳しくはゲーム内で説明されます)ので……「どの色の住民をどこに運ぶのか」と「限られた本数の木をどこに運ぶのか」という、リソース管理が重要なゲームとも言えますね。


 とは言え、シミュレーションゲームとして考えると難易度は無茶苦茶低いと思います。私は「シミュレーションゲームが下手」と自称するだけあって、初日のプレイで取り返しのつかないことをやっちまったんですが、時間さえかければちゃんとリカバリーできました。『シムシティ』や『A列車』みたいなゲームとちがってお金に縛られることもありませんし、『ポピュラス』のように敵対勢力も存在しませんからね。とあることをしなければ、ゲームオーバーにもなりません。

 「火事を踏み消す」とか「住民を踏まないように歩く」とかはアクションゲームが苦手な人にはシビアに思えるかも知れませんが、ぶっちゃけた話人間の1人や2人殺したところで大した問題はないのがこのゲームなんで、「ハッハッハー!うっかり踏み殺しちゃったぜー」と笑いながら遊べるような人に向いているゲームだと思います。


 『シムシティ』とか『A列車』みたいに集落がどんどん近代的に発展していく要素はないのですが、集落が発展していって住民が作る建物は「巨人への好感度」で変わるそうです。巨人のことを嫌っている集落だと、巨人に対抗して「大砲」とか作るんですって。そんなこと知らなかった私は、「おー、ここの集落は大砲なんか作ってるよー。立派になったもんだなぁ」なんて言っていました(笑)。


 なので、シビアな都市開発ゲームというより、『アクアゾーン』(1993年)とか『たまごっち』(1996年)とか『シーマン』(1999年)のような「育成」よりも「観察」に重点を置いたペットと共に生きるゲームの系譜なのかもと思います。大容量のセーブが出来る64DDを使った結果、その規模が「一つの水槽」から「大きな島」に広がったのがこのゲームというか。
 そう考えるとこの延長線上にあるのは『トモダチコレクション』とかかも知れませんね。あちらが自由度の高い人形遊びだとしたら、こちらはだだっ広いフィールドの砂場遊びなので、『トモダチコレクション』次回作はその2つを融合してフィールドも好き勝手イジれるように出来たら楽しそう。

↓3↓


◇ 幻のプレミアディスクに込められた「自由を楽しめない人々」へのメッセージ
 ということで、このゲームを1行で説明すると「大容量のセーブ領域を活かしたゆる~く遊べる育成シミュレーションゲーム」といったカンジになるのですが……
 そうやってゆるく遊んでいると、終盤の展開やエンディングが「なんじゃこりゃ?」と理解できないんじゃないかと思います。私はエンディングまで生配信でプレイしていたのですが、私も視聴者も「どういうこと?」と戸惑ったまま終わってしまいました。


 ただ、その後にこのゲームのことを調べてみて合点がいきました。
 このゲーム、元々の64DD版は『巨人のドシン1』と『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』という2つのソフトが出ていたんですね。1本目が基本ディスクで、2本目が拡張ディスクというか。

 しかし、ゲームキューブ版の『巨人のドシン』は『巨人のドシン1』の移植であって、『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』にあたる部分は移植されていません。
 64DD自体がほぼ普及しなかった周辺機器なんですが、『巨人のドシン1』はランドネット会員に配布されたため64DDを入手した人の多くがプレイしたのに対して、『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』はランドネットのホームページから購入しなければならないため入手した人は更に少なく、現在では超プレミア化しているソフトとなっています。
 Amazonでは取り扱いがありませんでしたが、駿河屋だと85000円ですね。8500円じゃないですよ、85000円ですよ。




 プレイ動画をアップして下さっている人がいらっしゃいました。感謝感謝。

 簡単に説明しますと、『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』は『巨人のドシン1』とセーブデータを連動して「ディスクを入れ替えながら遊ぶゲーム」です。
 『巨人のドシン1』でモニュメントを作ると、『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』にもパビリオンが立ちます。そうすると、そのパビリオンのコンパニオンから「こうやって『巨人のドシン1』をプレイしなさい」というお題のようなものが出されるので、ディスクを入れ替えて『巨人のドシン1』でそれを実行します。再び『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』に戻ってそれが実行されたことが確認されると、ムービーを観ることが出来るようになる――――と。




 流石に「プレイしたことのある人数」が激少ないので、コンパニオンさんからどういうお題が出されるのかの情報がインターネット上を探し回ってもほとんど見つからないのですが。アップされているプレイ動画から確認されたのは、「ずっとピョンピョン飛び跳ねていろ」というお題でした。通常のプレイでは決してやらない遊び方ですよね。

 要はですね……後の時代のゲームが「クエスト」とか「実績」とか「トロフィー」と呼んでいる“やりこみ要素”をするとムービーが観られるという拡張ディスクなのです。


 恐らく、『アクアノートの休日』『太陽のしっぽ』『巨人のドシン』と自由度の高いゲームをいち早く作っていた飯田和敏さんは、その後のゲームがどういう方向に進むのかを予測していたんじゃないかと思うんですね。
 ゲーム機のスペックが上がっていけば「自由度の高いゲーム」というのは今後どんどん増えていく、しかし「自由度の高いゲーム」が増えると「どうやって遊べばイイのか分からない」という人もたくさん出てくる、そうすると「自由度の高いゲーム」も遊び方を迷わないように「こうやって遊びなさい」というお題を入れるようになるだろうと。


 『巨人のドシン』というゲームは、そういうゲームの未来を予測した上で「クエスト」とか「実績」とか「トロフィー」のためにゲームを遊ぶのなんてクソつまんねえから!と先回りして言っていたゲームだと私には思えます。
 『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』で出されるお題というのは、「ずっとピョンピョン飛び跳ねていろ」みたいに、意図的につまらなくしているお題ばかりみたいなんですね。「せっかく自由に遊べるゲームなのに、こんなことをやらされる」と、わざとプレイヤーに苦痛を与えるお題にしているのです。自由を楽しめないプレイヤーに対する警鐘とも言ってイイかも知れません。



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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

 そもそも、『巨人のドシン1』でもモニュメントリストをコンプリートしろなんて言われません。「最後のモニュメントを建設すると災いが起こるから、作るかどうかはプレイヤーが決めてイイ」的なことも言われます。
 なのに、我々はリストがあればコンプリートしたくなっちゃうし、エンディングがあるならばそれを観るのがクリアーだと思い込んで、それを目指しちゃうじゃないですか。自由に遊んで良いゲームなはずなのに、「住民の言うことを聞かなきゃ」「集落を発展させなきゃ」「新しいモニュメントを作らせなきゃ」と、住民の言いなりになって労働してしまうじゃないですか。

 その皮肉が、あのエンディングなんだと思うんですね。
 住民の言うことを聞いた「労働」の果てにあるのがコレかよと。



 『巨人のドシン1』にもそのメッセージは込められていましたが、『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』は更にそのメッセージを強めた拡張ディスクなんだと思います。
 「ゲームの自由度が高くなるとお題ばかりを課せられるお使いゲーになる」というのも飯田和敏さんからの皮肉なんですけど、「お題をクリアしたご褒美がムービー」というのも当時の「ムービーを観るためにストーリーを進める」というゲーム業界への皮肉でもありそうですよね。当時はプレステの『ファイナルファンタジー』シリーズが300万本とか売れている時期ですから。


 そして、ようやく自分の中でつながったことがありました。
 飯田和敏さんは『巨人のドシン』の後しばらく商用ゲームを作っていなかったのですが、『巨人のドシン』からちょうど10年後の2009年にWiiウェアで『ディシプリン*帝国の誕生』というゲームを出します(発売はマーベラス)。私はこのゲーム、「クソつまんねえ」と思ったのですが……『巨人のドシン』をプレイして納得がいったのです。

 『ディシプリン*帝国の誕生』は、刑務所のようなところに入れられた主人公が、同じ牢屋に入れられている仲間の「睡眠」や「排泄」の世話をするというゲームでした。『アクアノートの休日』や『巨人のドシン』のようにフィールドを動き回れる「自由」はなく、牢獄の中でひたすら「労働」をするだけです。この、ひたすらつまらない「労働」を延々とやらされる作業は『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』につながるものがあるように思えます。

 『アクアノートの休日』で「自由」を描き、『巨人のドシン』『巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合』でそれを台無しにする「労働」をぶちこみ、『ディシプリン』でただただ「労働」を強制されるだけのゲームを作った――――
 田中圭一さんの『若ゲのいたり』でインタビューされた際、飯田和敏さんは「今の異端が未来のスタンダードになる」と仰っていましたけど、『ディシプリン』の「労働」ってこの後に携帯電話やスマホで出てくるソーシャルゲームなんかへの皮肉だったのかもと今なら考えることが出来ます。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はゲームキューブ版『巨人のドシン』より引用>

 いやー……これは難しい。
 ものすごく「人を選ぶゲーム」なのは間違いないと思いますからね。

 一つには、1990年代の『アクアゾーン』『たまごっち』『シーマン』のように「ペットを鑑賞&ペットに干渉するゲーム」が好きだった人には、「それの人間版だよ」とオススメ出来るかなと思います。熱帯魚を飼う感覚で、人間共の世話をするゲームだと考えるとイメージしやすいかな。

 そして、もう一つには「このゲームにこめられた皮肉」を楽しめる人なんですけど……ゲームの進化と変化の歴史を把握した上で、それを斜に構えて見られる人じゃないと理解も共感も出来ないと思いますから。一つ目と被る部分もあるんですけど、人間社会を俯瞰的に捉えて、人類全体を見下しているところがある人にはオススメかなぁと思います。


 こう書いて、「そうか!俺も人類を見下しているところがあるから、きっとこのゲームが楽しめるはずだ!」と思える人がどれだけいるんだって話ですが……(笑)。私は楽しかったです!人類なんて滅べばイイって日々思っていますからね!(良いのかそれで)



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『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』紹介/「服を着て家から出る」だけでも冒険になる愉快なマニュアル生活へようこそ!

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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
右足、左足、息を吸って、吐く……全部ボタンで操作する面倒臭さを楽しもう!
でも、実は難易度は高くなくて、万人が楽しめるように設計されている
ブラックなノリと世界観だけど、ストーリーもアートワークもむっちゃ凝ってる!



『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』
・発売:テヨンジャパン、開発:Perfectly Paranormal
 Nintendo Switchダウンロード専用ソフト:2018年11月1日発売、1000円
  ※本体機能でのスクリーンショット撮影可能、動画撮影は不可
 ※海外ではPS4XboxOneSteamなどでも発売されていますが、日本語化はされていません

・アクションアドベンチャー…?
・セーブスロット数:3




 私の1周クリア時間は約02時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:×(死を扱う話ですが終始明るいノリです)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(終始ナレーションの人に笑われてるゲームと言える…)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:◎(サムの動きはグロいし、地獄で並んでいる人達が……)
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

↓1↓

◇ 右足、左足、息を吸って、吐く……全部ボタンで操作する面倒臭さを楽しもう!
 『Manual Samuel』は海外では2016年にPS4、Xbox One、WindowsPCで発売されていたダウンロードソフトです。
 しかし、日本語化はどこも対応していなかったようで、どうやら日本語化は今回テヨンジャパンが出してくれたNintendo Switch版が初みたい……?何気にセリフの量が多いゲームなんで日本語化はムチャクチャありがたい!ありがとうテヨンジャパン!ありがテヨン!


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 このゲームを一言で説明すると、「サムという主人公をマニュアル操作しなくてはならないゲーム」です。
 普通のゲームだったら左スティックを倒すだけで主人公キャラは移動してくれると思うのですが、このゲームの場合「ZRボタンを押すと右足を前に出す」「ZLボタンを押すと左足を前に出す」とイチイチ片足ずつ操作しなくては歩けません。これは右向きの場合であって、左向きになると逆になるので、「画面手前の足がZRボタン」と覚えておくとイイと思います。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 間違えて、前に出ている方の足のボタンを押してしまうとこの通り。
 二足歩行の大変さを思い知ります!


 また、マニュアル操作をしなくてはならないのは「右足」「左足」だけではありません。「右手を使う操作はRボタン」「左手を使う操作はLボタン」と割り当てられていますし、サムの動きは全てボタンで制御しなくてはなりませんから一定間隔で「Bボタンを押してまばたき」をする必要もあります。
 更には呼吸もマニュアル操作なので、「Yボタンを長押しして息を吸う」「Aボタンを長押しして息を吐く」こともやらねばなりません。息を吸うのと吐くのが別のボタンに割り当てられているのがニクたらしい!焦ると連続で吸うボタンを押してしまったり、吸った量以上に吐いてしまったり、大混乱だ!


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 「歩く」のも「まばたきをする」のも「呼吸する」のも大変なのに、それだけで1日が過ぎるワケではありません。サムがしなければならないのは、「歯を磨いて」「トイレに行って」「シャワーを浴びて」「ズボンを履いて」「ジャケットを着て」「靴を履いて」「朝食を食べて」「コーヒーを飲んで」家を出るという私達が普段やっている普通の行為です。これらを全部ボタン操作でやっていくのです。

 例えばスクリーンショットの場面は「歯磨き」のシーンです。
 Lボタンを押しっぱなしで歯ブラシを持ち(Lボタンをうっかり離すと歯ブラシを落としてしまいます)、Xボタン連打で歯を磨きます。こういう一つ一つの動作を特殊な操作で乗り切っていかなくてはならないのですが、この間にも「まばたき」をしないと目がシパシパしてきてしまうし……

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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 うっかり「歯磨き」中に「呼吸」してしまうと、水が肺に入ってムセてしまうという!


 こうして「やらなくてはならないこと」と「やってはいけないこと」が次々と変化していくので混乱するし、飽きさせないのです。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 また、この操作というのが単に「次から次へと新しい操作を覚えなくてはならない」だけでなく、さっき覚えた操作の応用を効かせる面白さなんかがあるのが私の好きなところです。

 例えば、ここは「コーヒーを飲む」シーン。熱々のコーヒーを冷ますためにはフーフーしなければならないのですが、その操作はここまでで散々やってきた「息を吐く」操作と一緒なんですね。
 『ゼルダの伝説』で新しく手に入ったアイテムは「基本的な使い方」だけでなく「こんな意外な使い方もできるんだ」と複数の場面で役立つみたいなことで、さっき覚えた操作が「こんな意外な使い方もできるんだ」と複数の場面で役立つのが面白いのです。



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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 こうしてやっとの思いで「家から出る」ことが出来たら1面終了。
 2面はなんと「車を運転して職場に行く」だ!歩くのもままならない人が、車を運転するの!?

 しかも、サムが勝手にマニュアル車に改造してしまったので、「ZRボタンを押して左足でクラッチペダルを踏む」→「ZLボタンを押して右足でアクセルペダルを踏む」→「ZRボタンを離してクラッチペダルから足を離す」をしないと車が発進しませんし、ギアチェンジをするためには「十字キー上を押して右手をシフトレバーへ」→「ZRボタンを押して左足でクラッチペダルを踏む」→「Lボタンを押してシフトレバーを引く」をしないといけません。ブレーキをかけるためにはもちろん「Rスティックで右足を動かす」→「ZLボタンを押してブレーキペダルを踏む」をしないといけなくて……ややこしいわ!

 この間ももちろん「まばたき」と「呼吸」を続けなくてはなりません(笑)。


 こんな風に「結構操作に慣れてきたかな……」と思った絶妙なタイミングで次の面に移り、また面倒くさい新しい操作を強いられるという(笑)。
 エンディングまでのプレイ時間はさほど長くないんですけど、これくらいが「丁度飽きないボリューム」だと思うので私はアリだと思います。ダラダラと同じような面を繰り返されても、このゲームの場合「操作に慣れて普通に動かせるようになってしまったらシンプルな動きしか出来ないアクションゲーム」になっちゃいますからね。


↓2↓

◇ でも、実は難易度は高くなくて、万人が楽しめるように設計されている
 ……と、書くと「ムチャクチャ難しいゲーム」のように思えてしまうかも知れませんが、実は難易度はあまり高くありません。というのもこのゲーム、「ゲームオーバーになってコンティニューポイントからやり直し」みたいなのがないんですね。

 一定周期で「Bボタンを押してまばたきをしなくてはならない」のだけど、それをサボっても画面が見づらくなるだけだし。
 一定周期で「Yボタンを長押しして息を吸って、Aボタンを長押しして息を吐かなくてはならない」のだけど、それをサボってもその場でぶっ倒れるだけで、また呼吸をして立ち上がればイイのです。


 「面倒臭い操作」を強いられるゲームですが、ゲームとしては「面倒くさいやり直し」が極力ないように設計されているのです。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 また、「右足」「左足」「右手」「左手」「まばたき」「息を吸う」「息を吐く」を全部ボタンでこなさなくてはならないゲームと書きましたが、ゲーム開始時からいきなりそういう状態になるのではなく、まずは“チュートリアル面”と言えるところから始まります。彼女に瓶でぶんなぐられたサムは……

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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 脳震盪を起こして、歩き方を忘れてしまいます。
 最初のチュートリアル面は「右足」「左足」を交互に押して歩くことを学ぶんですね。「まばたき」「息を吸う」「息を吐く」はまだやらなくてイイのです。ぶっ飛んだゲームのようで、実は堅実にプレイヤーを導いてくれる「遊びやすいゲーム」なのです。



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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 「クリアまでのプレイ時間」も短く、「難易度も高くない」のだったら、すぐに終わってしまうゲームでは? と思われるかも知れません。私としては1000円のダウンロード専用ソフトなんだから、「すぐに終わる」「時間がない人でも存分に楽しめる」長所だと思うんですけど……

 「長く遊びたい人」に向けたやりこみ要素として、「タイムアタック」だったり「実績」だったりの仕様も入っています。「実績」コンプは恐ろしく難しいことでしょう。私はチャレンジする気すら起きませんでしたが、「実績」を見ると「靴を履かないで出勤する」みたいに「こんな遊び方も出来るんだ」という発見があったりもします。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 更に、サムのマニュアル操作を2人で分担する協力モードも搭載しています。Nintendo Switchならではの「おすそ分けプレイ」にも対応しています。“協力モード”って書かれてても絶対に1人用より難しくなるぞ、これ!(笑)

 友達が遊びに来たら、一緒に実況してみたいなぁコレ。



 ということで、「アクションゲームが苦手な人」にも「ゲームはとことんやりこみたい人」にも「友達と一緒に楽しみたい人」にもオススメできる作品です。家族で一緒に遊ぶのも面白そうですね。CEROの判定はC(15歳以上対象)ですけど!


↓3↓

◇ ブラックなノリと世界観だけど、ストーリーもアートワークもむっちゃ凝ってる!
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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 このゲームの大好きなところはたくさんたくさんあるんですけど、例えばゲームを始める前のモード選択が「アメコミのようなイラストになっている」ようなところも大好きです。ゲームの細部まで丁寧に作りこんでいるし、遊び心に満ちていると思うんですね。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 協力モードのおじさん is 誰?




 「コーヒーを飲む」という一つのシーンでも、「冷まさずに飲んで口の中が熱い」、「口ではなく目に入れてしまって熱い」、「脊椎が折れている時に飲もうとして後ろの方に吹っ飛んでいく」と失敗のシーンが多彩なのも面白いです。こちらのとったヘンテコな行動に、ちゃんとゲームがリアクションしてくれるんですね。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 ストーリーが進むのとは敢えて逆の方向に歩いても、ちゃんとリアクションがある!


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 ストーリーのデモシーンが「Bボタン長押しでスキップできる」のは、最近のゲームとしては珍しくないと思うのですが……ただ単にデモシーンをカットするのではなく「スキップした時専用のセリフ」が流れてストーリーを大まかに説明してくれるという凝りよう。こういうゲームは私、初めて見ました。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 スキップばっかしてたら嫌味まで言われました(笑)。


 こんなカンジに細部までむっちゃ作りこんでいるし、中身がギュ~ッと詰まっているゲームなんですよ!こういうゲームを「クリアまでが短いからボリューム不足」と言っちゃうのは勿体ない!


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 ローカライズも見事。
 音声は流石に英語だけど、字幕はちゃんと雰囲気抜群に日本語に翻訳されています。

 海外版の動画を見てみたんですが、キャラの名前も日本版はちょっと変わってて……「Mr.Welthenburg」というキャラが、日本版だと「カネモチバーグさん」。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 海外版では「Death」というキャラが、日本版だと「デスオ」。


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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 海外版では「War」というキャラが、日本版だと「キルミちゃん」。





 待って待って待って待って。

 どんなセンスやねん、テヨンジャパン!

 でも、この「デスオ」とか「キルミちゃん」という名前がこのゲームの雰囲気にピッタリで、まさか海外版では全然違う名前だとは思いませんでした。ローカライズは本気で見事だと思いますよ。



 ストーリーは「死」を扱いながらそれを笑い飛ばす「軽薄さ」がウリだと思うのですが、単なるブラックユーモアとして笑い飛ばせるだけでなく。
 全ての操作をマニュアルで行わなければならないゲームシステムにマッチして、「あるのが当たり前だと思っていたことがとても大事だったんだと(プレイヤーとサムが)気付かされる」ストーリーとも言えてこれも見事でした。私はこういう「システム」と「ストーリー」がしっかりマッチしているゲームが好きなんです。ゲームでしか味わえないストーリーになっていますから。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『マニュアル サミュエル ~死神との約束~』より引用>

 私にとっては、これまでに遊んだNintendo Switch用のゲーム全部の中でも5本の指に入るくらいにお気に入りのゲームです。
 Wii Uダウンロード専用ソフトには『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』という怪作があったけど、Nintendo Switchダウンロード専用ソフトにはこの『マニュアル サミュエル』があるぜ!と推していきたいゲームでした。

 ゲームに「長いプレイ時間」を求める人には勧めませんが、「短くても濃密な体験」を求める人には是非オススメしたいゲームです。クリアを目指すだけなら難易度もそれほど高くないところも好きなところです。
 細かい部分までよく作りこんでいるし、そういうものを発見するのも面白いです。おすそ分けプレイにも対応しているので、いつか友達と一緒にも遊んでみたいですね。小学生の甥っ子にも遊ばせたいけど、親は顔をしかめそうだ!


使える!活かせる!マニュアルのつくり方 (実務入門)
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| ゲーム紹介 | 17:52 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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『リアルサウンド ~風のリグレット~』紹介/疑いようもなく『Dの食卓』の続編!

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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「映画の主役になれるゲーム」の次は「ラジオドラマの主役になれるゲーム」だ!
音しかないことを活かして、それぞれの「地元の風景」を思い起こさせる
良くも悪くも「遊ぶ人の気持ちを考えない」飯野さんの作家性を許容できるか



『リアルサウンド ~風のリグレット~』
・発売:ワープ
 セガサターン版:1997年7月18日発売
 ドリームキャスト版:1999年3月11日発売
・インタラクティブサウンドドラマ
・セーブスロット数:1(オートセーブ)


 私の1周クリア時間は約04時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:○(家庭環境の話がちょっとつらいかも……)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:◎(うん、これは寝取られと言ってイイんじゃないかな…)
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

↓1↓

◇ 「映画の主役になれるゲーム」の次は「ラジオドラマの主役になれるゲーム」だ!
 1990年代後半のゲーム業界を暴れまくった飯野賢治さんという人がいました。

 1995年、3D空間を歩き回る「映画の主人公になったようなゲーム」『Dの食卓』を発売して一気に脚光を浴びると……
 1996年にはプレイステーションのイベントで「やっぱりセガサターン専用で出します!」と宣言して度肝を抜いた『エネミー・ゼロ』を発売して。
 1997年にはこの『リアルサウンド ~風のリグレット~』を発売するなど、毎年毎年斬新なゲームを出してくる人だったんですね。しかも、大手の会社に所属するワケでもなく、当時まだ20代の若者が独立して作った会社で自由なゲームを連発して「時代の寵児」と呼ばれる様は、煙たがる人も少なくありませんでしたが夢もあったんだと思うのです。


 『Dの食卓』紹介/“不自由”を遊びにした唯一無二のゲームデザイン!

 『Dの食卓』は6月に実況して最後までプレイして、紹介記事も書きました。
 当時は斬新だった「CGで作られたキャラが3D空間を歩き回るゲーム」は今ではもう珍しくもなんともないですし、グラフィックも現代の水準で見るとチープに見えてしまうのですが、時代を切り開いた作品というのは得てしてそうなってしまいがちですよね。もっともっとブラッシュアップされたものが次々と出てくるので。

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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』より引用>

 しかし、この『リアルサウンド ~風のリグレット~』は全く古びれません!
 20年前のゲームなら大抵の場合は「今見るとチープなグラフィック」と思われがちなのですが、そもそもこのゲームにはグラフィックがありませんからね!20年前でも真っ暗、今遊んでも真っ暗!時代の流れに左右されないのです!

 そして、この20年ちょっとの間にゲーム業界は様々なゲームを生み出して、個人制作のフリーゲームだったり、少人数で作ったインディーゲームだったり、アイディア勝負のゲームは山ほどあったと思うのですが……『リアルサウンド』のように「画面が出ないゲーム」は他にはなかったように思われます(私の知らないところであったらゴメンなさい)。

 故に、2018年の今遊んでも「他にはない唯一無二のゲーム」と感じられるのです!



 というワケで、このゲームには「画面」がありません。
 テレビに何かが映るのは「タイトル画面」と「ディスクを入れ替えてください」の表示だけ。ゲーム中はずっと画面は真っ暗です(※1)。視覚障碍者の人にも遊んでもらいたいという狙いもあったようで、その「タイトル画面」や「ディスクを入れ替えてください」の画面でも音声ガイダンスも流れます。

(※1:ドリームキャスト版にはイメージ映像みたいなものを表示し続けるモードもあります)


 さて、『Dの食卓』や『エネミー・ゼロ』でCGをフル活用した「映画のようなゲーム」を作った後に、『リアルサウンド』と謳って「画面が出ないゲーム」を出してきた当時、私は正直「逃げたんだな」と思いました。1997年と言えば、もうスクウェアが『ファイナルファンタジーVII』を出している年です。グラフィックで競い合えばスクウェアみたいな大会社には太刀打ちできないワープは、グラフィック以外を攻めますよーと「逃げた」のだと思っていました。

 そういう理由がなかったとは言い切れませんが……
 今年の6月に『Dの食卓』をプレイして、11月にこの『リアルサウンド ~風のリグレット~』をプレイして(※2)、その考えは浅はかだったなと思いました。

(※2:『エネミー・ゼロ』はゴメンなさい。超難しいゲームという話なので、私は今後もプレイはしないと思います)


 というのも、『Dの食卓』も『リアルサウンド ~風のリグレット~』も、全然ちがうジャンルのゲームだと思うんですが、遊んでみて得た“体験”はすごく似ているんですね。『Dの食卓』は「映画の主人公」を自分で操作して正しいエンディングまで導くゲームでしたが、この『リアルサウンド ~風のリグレット~』は音声だけの「ラジオドラマやドラマCDの主人公」のセリフを自分で選ぶことで正しいエンディングまで導くゲームでした。

 恐らく飯野さんにとっては「CGを駆使すること」は最優先ではなくて、プレイヤーに「主人公になって物語を動かす体験」をしてもらうことこそが最優先だったのだろうと思いましたし、そういう意味では『Dの食卓』も『リアルサウンド ~風のリグレット~』も似たゲームなのです。
 エンディングの分岐に「主人公がどれだけ記憶のカケラを集められたのか」が左右するのも一緒なのは、「また記憶を集めるのかよ!」とは思いましたが(笑)。


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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』より引用>

 ということで、ここからはゲームの説明です。
 ゲームを始めると音声だけの「ラジオドラマ」というか「ドラマCD」のようなものが再生されます。一時停止や早送り・巻き戻しのようなものは一切できません。流れるストーリーをひたすら聴くだけ。

 しかし、ところどころで「主人公のセリフ」を二択か三択の中から選ぶ場面が出てきて、ここのみゲームの進行が止まります。トイレに行きたいときなどはひたすら選択肢を選ぶシーンが来るのを待ちましょう(笑)。
 スクリーンショットの場面では、左を押すと「ここは俺の家だよ」、右を押すと「とにかく逃げよう!」と主人公が喋るので、主人公に喋らせたい方のボタンを押しながらAボタンでそのセリフを喋らせます。

 選んだセリフによってヒロイン達の好感度が変わってくるなどして、最終的なエンディングが変わる仕様みたいです。ただ、チュンソフトのサウンドノベル(『弟切草』や『かまいたちの夜』)のように遊ぶたびにストーリー展開が大きく変わるということではなく、基本的なストーリーの流れは共通で、主人公達が訪れる場所や終盤の展開が変わるという仕組みのようです(エンディングは5種類)。


 個人的には……もうちょっと「自分の選択肢によってストーリーが大きく変化する」実感を味わわせて欲しいなとは思いました。「自分が主人公を動かしている」カンジがしないと、「普通にラジオドラマを聴けばイイのでは?」と思われてしまう致命的な部分なので。
 サウンドノベルのような文章とちがって、音声でストーリーが進む今作は容量の問題もあって「様々なストーリー展開」を入れづらかったのだろうとは思うのですけどね(実際、『リアルサウンド』はシリーズ作品になる予定で続編の広告も出ていたのだが、音声圧縮が上手くいかなくて開発中止になったとの話ですし)。


↓2↓

◇ 音しかないことを活かして、それぞれの「地元の風景」を思い起こさせる
 とは言え、「ラジオドラマ」として考えるととてつもなく豪華な布陣だとも思います。

 脚本の坂元裕二さんは、何といっても1990年代を象徴するドラマ『東京ラブストーリー』の脚本家で、最近では『カルテット』なんかでも高い評価を受けた人ですし。
 音楽の鈴木慶一さんは、はちみつぱいやムーンライダーズで知られる一線級のミュージシャンで。ゲーム好きな人達にとっては『MOTHER』『MOTHER2』などの名前が分かりやすいかも知れませんが、後に『座頭市』や『アウトレイジ』などの北野武監督の映画の音楽も手掛けていますし、最近では『若おかみは小学生!』の劇場版アニメの音楽を担当されていますね。
 EDテーマは、なんと矢野顕子さんの名曲『ひとつだけ』。


 キャスト陣は実写のドラマ・映画などで活躍している人達を起用していて、当時の水準からしても「豪華だなー」と思いましたが、その後に更なるビッグネームになっていく人達です。……ですが、もしこの記事を読んでいるアナタが今後にプレイする予定があるならば、キャストは知らずにプレイした方がイイと思います。
 本来ならばプレイヤー一人一人に「自分だけの主人公像」「自分だけのヒロイン像」を想像させるゲームなので、役者の顔がイメージされてしまうのは勿体ないです。みんなに顔が知られている有名な俳優さんだからこそ、顔がイメージ出来てしまうのがこのゲームにおいてはマイナス点になるという。


 ということで、フルプライスのパッケージソフトで出すんだからそれくらいやってくれなきゃ困るという話なんですが、『Dの食卓』や『エネミー・ゼロ』をヒットさせたワープからこそ実現した「ものすごく豪華なラジオドラマ」と言えますね。


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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』より引用>

 ストーリーも「画面がない」「音だけのゲーム」なことを(それなりに)活かしたものとなっています。

 大まかに説明しまうとこんなカンジ。
 東京で大学生をしている主人公:野々村博司の恋人が、ある日突然失踪してしまう。博司と彼女は同じ小学校に通っていた幼馴染だが、小学生の頃にも「駆け落ちの約束をしたのに待ち合わせ場所に彼女が来ずにずっと会えなかった」ことがあった。博司は失踪した彼女を探すため、生まれた町に帰るのだった――――

 ということで、親元を離れて東京に出ていた主人公が、田舎の故郷に帰るという話なんですね。しかし、このゲームは「プレイヤーにラジオドラマの主人公を体験してもらうゲーム」です。描かれる故郷がプレイヤーそれぞれの故郷と遠く離れたものでは、没入感を損なってしまいます。
 なので、例えばスクリーンショットは「主人公が通っていた小学校を大人になった今訪れる」シーンなのですが、当然のように画面には何も映っていないので、プレイヤー一人一人がそれぞれの母校を思い浮かべるワケですよ。自分の思い浮かべた職員室、自分の記憶している体育館……グラフィックがないからこそ自分の記憶の中からそれぞれのグラフィックを引っ張ってきてイメージさせるのです。


 まぁ、その割には「板張りの廊下」とか「海のある町」とか、割と特殊な特徴を描写していて「俺の育った町とちがうぞ!」と思わせるところも多かったですけど……(笑)。


 それはそうと、この時期のゲーム業界って「ノスタルジー」を喚起させるものが一つの流行りだったような気がしますね。このブーム、何がきっかけなんでしょう??

・1997年:『リアルサウンド ~風のリグレット~』(セガサターン)
・1999年:『ファミコン文庫 はじまりの森』(スーパーファミコン)
・2000年:『ぼくのなつやすみ』(プレイステーション)


 このゲームをプレイし終えた後、色んな人の感想を見たくてネットでレビューを読み漁ったんですが……賛否両論真っ二つで、「賛」の人はこの「小学生の頃の淡い初恋を思い出させるストーリー」について言及する人が多かったですね。ストーリーがメインのゲームなので、評価のポイントはストーリーになるのは当然のことで。

 私は、実はここがあんまりで……「画面が出ないゲーム」「音だけのゲーム」という斬新さは評価したいし、この方向性はもっともっと可能性があると思うんですけど、ストーリーがちょっとありきたりに思えてしまった(20年前のゲームにこれを言うのもあんまりだとは思いますが)のと、終盤が「終わりそうで終わらない」時間がダラダラと続いていたことでそこまで「賛」にはなれませんでした。
 飯野さんはファミ通にこのゲームを評価するなら「10点」か「評価不能」にして欲しいと仰ったらしいのですが、私がもしレビュアーだったら「7点」くらいの微妙な点数を付けたと思います。意気込みは買う!この方向性は支持したい!でも、そこまでは面白くはなかった!


↓3↓

◇ 良くも悪くも「遊ぶ人の気持ちを考えない」飯野さんの作家性を許容できるか
 んで、まぁ……ここなんですよね。

 飯野さんの有名な逸話の一つに、宮本茂さんの『スーパーマリオ64』について「開発途中のものは自由で良かったが、製品版はスターを集めるだけのゲームになってしまった」と批判して、宮本さんに「それは僕の仕事ではなく、飯野くんや飯田(和敏)くんがやること」と言われた―――というものがあるんですけど、この『リアルサウンド ~風のリグレット~』をプレイしてそのやり取りの意味がようやく分かりました。


 宮本さんのゲームは、任天堂の新型ゲーム機を買ってもらうためのソフトであって「大勢に売れる」必要があって、そのためには「分かりやすく」「プレイヤーを導く」必要があるんですね。だから、スター集めという分かりやすい目標をプレイヤーに提示するワケですし、宮本さんはゲームソフトを「自分達が作った作品」とは呼ばずに「お客さんに買ってもらう商品」と呼ぶんですね。

 一方の飯野さんは、「刺さる人に刺さればイイ」というゲームを作るので、「プレイヤーを突き放す」ことをしてまで自分の作家性を貫くことが多いんですね。
 例えば、『Dの食卓』には「セーブ機能がない」「ゲーム開始から2時間経ったら強制終了で最初から」「がんばって終盤まで行ってもワンミスで容赦なくバッドエンド」という普通では考えられないような仕様でしたし。『エネミー・ゼロ』も頑なに難易度を下げずに発売して賛否両論になりましたし。「お客さんが遊びやすいように」なんて考えずに、「ついてきたいヤツだけついてこい!」ってスタンスの人なんですよね。


 故に、この『リアルサウンド ~風のリグレット~』もとにかく遊びづらい……
 「画面がない」からとか、「音しかない」からとかでなく、根本的なところで「お客さんが遊びやすいように」なんて考えていないのです。

 このゲーム……ええっと、記事冒頭では「ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください」とクリア時間を隠していたんですけど、もうここには書いちゃってイイですよね。説明書にも書いてあるのだし。1周クリアまでにおよそ4時間かかります。2時間で終わった『Dの食卓』とちがって、流石に「セーブ機能なし」はマズイだろうとオートセーブ機能が付いているのですが。

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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』説明書より引用>

 説明書にドヤ顔で「オートセーブにしました」とか書いてあるのよ!
 セーブ機能が付いていることくらい普通だから!普通のゲームなら付いているから!

 それでも「出来ればセーブ機能を使わずに一気にプレイして欲しい」とも書いているし、そもそもこの「オートセーブ機能」がどこでセーブされているか分からないのでやめづらい!セーブされたと思って再開したら10分前からやり直す羽目になったみたいなこともあるそうですし、終盤は選択肢が1つもないまま1時間くらい進むので「トイレに行きたいけど席を立つこともできない」時間が続きます。

 普通のアドベンチャーゲームなら「任意セーブ」をいくつも記録できるので、「選択肢によってストーリーが分岐する前」にセーブして次はそこから再開とかが出来るのですが……このゲームは「オートセーブ」な上に、「選択肢を選んだ後」で強制セーブされるそうなので、選択肢から再開ということは出来ません。
 1周目のエンディングを迎えて、別のエンディングを観たい時も、毎回ゲームの最初からプレイしなくてはならないのです。早送りみたいなものはありませんし、フローチャートみたいなものももちろんありません。毎回必ず最初から4時間かかるプレイをしなくてはならないのです。エンディングを除けばストーリー展開はだいたい似たような展開をしていくゲームなのに!


 『Dの食卓』はまだ「1周目で得た知識」を「2周目で活かす」といったように、「不自由さ」がゲームの面白さに繋がっているところがあったのですが……『リアルサウンド ~風のリグレット~』は、ただただ「不自由」なだけ。「ラジオドラマやドラマCDの主人公になれるゲーム」と書いたのですが、ドラマCDなら「再生するトラックを選べたり、早送りしたりできる」から気楽に再生できますよ!

 そのため、私は1周目でハッピーエンドを迎えたら2周目を遊ぶ気にはなれませんでした。流石にまたほぼ同じ話を4時間聴くのはしんどいです。ストーリーを忘れた5年後くらいにプレイするのはイイと思いますけど……


 ただ、それも飯野さんの作品の魅力の一つなんですよね。
 賛否両論の「賛」の人達はそこも含めて好きなんだろうし、私も『Dの食卓』では「その不自由さが面白いんだよ!」と言っていたので気持ちは分かります。ダウンロード専用ソフトとかインディー制作のソフトが大ヒットするようになった2010年代にゲームを作っていたなら、どれだけ尖ったゲームを作っていたんだろう……と、若くして亡くなられたことを心から惜しく思います。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はドリームキャスト版『リアルサウンド ~風のリグレット~』より引用>

 「斬新なゲーム体験」のために、4時間テレビの前に座る覚悟がある人ならば……最低でも1周は楽しめると思うのでオススメです。今、なかなか据置ゲーム機を4時間遊ぶって難しいとは思うのですが……逆に考えると、「画面のないゲーム」なので4時間ぶっ通しでプレイしても目は疲れません!(笑)


 でも、マジメな話……「画面を使わないゲーム」って、スマホが普及した今ならもっと活きそうなアイディアだと思うんですよねぇ。例えば、スマホを出すこともできないような満員電車の中でもイヤホンを付けて遊べるワケですし、勉強しながら、家事をしながら、お風呂に入りながら、好きな時に遊べるゲームになりうるワケで(今なら音声入力で操作することも出来るでしょうし)。
 ジャンルを考えても、このゲームのような「選択肢を選ぶだけのアドベンチャーゲーム」だけでなく、アクションゲームだって、RPGだって、シミュレーションゲームだって、自由じゃないですか。『ラブプラス!』みたいな恋愛ゲームでも面白そう。電話でしかコミュニケーションが取れない彼女と会話する疑似体験ができる!テレクラかな!?


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≫ EDIT

『白衣性愛情依存症』紹介/なんだか…想像してたのと全然ちがうぞっ!

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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「男が出ない百合」どころか、「男が存在しない世界の物語」
ポンコツ「アホの子」主人公:大幸あすかが可愛い
「看護学生の日常を描いた作品」とも「可愛い女のコ達のイチャラブ」ともちがう…何だこれ


『白衣性愛情依存症』
・発売:工画堂スタジオ
 PlayStation Vita版:2015年4月30日発売、パッケージ版5800円、DL版4800円
 Windows 7/8/10版:2015年12月25日発売、パッケージ版8800円
  ※グッドエンド後を収録した録り下ろしドラマCDなどの特典が付く
 Steam版:2016年7月7日発売、DL専用4400円
 Nintendo Switch版:2018年5月24日発売、DL専用4800円
  ※ スクリーンショット撮影可能、動画撮影可能
公式サイト
・テキストアドベンチャー
・セーブスロット数:64


<PVはPlayStation Vita版のものです>
 私の1周クリア時間は約08時間でした
 全エンディング到達にかかった時間は約20時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(グッドエンドに到達すればそこまでだけど、バッドエンドが…)
・恥をかく&嘲笑シーン:◎(良いシーンだけど、共感性羞恥の人にはきついシーンかも)
・寝取られ:○(寝取りですよね、コレ)
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:△(欠損はないです。人が刺されたりするけど)
・人が食われるグロ描写:◎(食われるワケではないけど、食うシーンがある!)
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:◎(百合ゲーですよ?)
・BL要素:×
・ラッキースケベ:○(おっぱい触っちゃう程度ですが…)
・セックスシーン:○(直接的な描写はないけど、事前・事後をにおわす描写がそれなりに)


↓1↓

◇ 「男が出ない百合」どころか、「男が存在しない世界の物語」
 このゲームを開発・販売している工画堂スタジオという会社は、実は創業100年を超える歴史のある会社で、ゲーム制作も1980年代からPCゲームを中心に行っている老舗メーカーだったりします。
 ゲーム機用に移植されたものや、ゲーム機用に作られたものは多くないので、ゲーム機だけを遊んでいた私みたいなゲーマーにはあまり馴染みのある名前じゃありませんでしたが……初期の『Emmy』という作品は、1984年のPCソフトながら女性キャラとチャットして親密度を上げてエッチな絵を見る「ひょっとしたら世界初のギャルゲーでは?」と言われている作品なんですって。

 2011年、社内チーム「しまりすさんちーむ」のデビュー作となる『白衣性恋愛症候群』(通称:『白恋』)がPSP用ソフトとして発売されます。これは恐らく、2007年に発売したPC用ゲーム『ソルフェージュ』を2008年にPSP向けに移植して成功したことが大きかったんじゃないかと推測できます。「PSPで百合ゲー、行ける!」みたいな。

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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 そして、『白恋』の流れを汲んで2015年にプレイステーションVita向けに発売になったのがこの『白衣性愛情依存症』』(通称:『白愛』)です。名前は似ていますが、前作は病院の看護師が主人公で、今作は看護学校の看護学生が主人公なので、ストーリーは独立しています。実はこの看護学校が前作キャラの一人の母校だったみたいな小ネタがあったりもしますが、特に知らなくても問題はなさそうです。
 その後、PC版、Steam版、Nintendo Switch版と移植されて―――この多機種路線を引き継いでか、この「しまりすさんちーむ」の3作目『夢現Re:Master』は2019年2月にVita/PS4/Nintendo Switch/Windows/Steamの同時期発売が発表されています。こちらは病院や看護学校を舞台にした『白衣性~』2作から一転、ゲーム会社を舞台にし百合ゲーを作るアドベンチャーゲームになるそうです。対応機種、多いな!ありがたいけど!


 さて、ここからは今作『白衣性愛情依存症』』(通称:『白愛』)についての話です。
 どうしてわざわざ前作の話とかを書いたのかは後程。

 このゲーム、分類をするなら間違いなく「ゲーム機用ソフトでは珍しい百合ゲー」です。私もカワチさんが書いた以下のタイトルの記事を読んで購入しましたからね。「百合の世界に疎い人でも、百合入門に向いている1作」みたいなね。

 『白衣性愛情依存症』を男女両方の目線でレビュー! 少しでも百合に興味ある人なら誰でも楽しめる!


 ただ、実際にプレイしたら「なんか…思ってたのとちがうぞ」と戸惑いの連発でした。
 「百合ゲー」という言葉だけを見ると「女性同士の恋愛を主題にしたゲーム」とイメージすると思うのですが、共通ルートと言える前半は特に“恋愛”の描写はほとんどなく、「女性しかいない看護学校に入学した主人公達の日常を描く作品」といったカンジでした。普通の女のコ達が看護師になっていく勉強を描き、その厳しさや尊さをリアルに&等身大に描いていっているんですね。
 なので、前半は「百合作品」というより、女のコだけのゆるふわな部活を描いた『けいおん!』系の作品とか、女のコだけで目標に向かって突き進むスポ根の『ラブライブ!』系の作品に近いという印象でした。んで、後半は前半に選んだ選択肢によって各ヒロインの個別ルートに分岐して、そこで“恋愛”をしていくカンジです。「女性しかいない看護学校」だからそりゃ女性同士の恋愛になるよね、という。


 さて……

 「女性しかいない看護学校……?」と思った人は鋭いですね。
 現実の看護学校って多分、男性もいますよね。男性の看護師が存在するのですから。多分。

 しかし、この作品の看護学校には男性キャラがいません。というか、この作品には男性キャラが出てきません。ただの一人も。
 『ラブライブ!』ですら小さな男の子や父親の後ろ姿は出てくるというのに、この作品では子供も老人も全員「性別:女」ですし、もっと言うと「父」や「お父さん」といった単語すらこの作品には出てきません。『ラブライブ!』すらも凌駕する徹底した「男性が排除された世界」なのです。

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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 というのも、この作品世界はiPS細胞によって「女性同士で子作り」が可能になっていて、それが一般的とされているそうなんです。そのため「女性同士の結婚」も普通ですし、「女性同士の交際」だってもちろん普通です。


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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 例えば、細かいですがこのシーン。
 ヒロインの一人:さくやの母親が倒れ、さくやと母親の関係をいつきから訊くというシーンなのですが……普通(まだ「女性同士で子作り」が可能ではない私達の現実世界)だったら「母親の話は分かったけど父親はどうしているの?」と言うであろうシーンで、「片親」「もう片方」という言葉を使って性別を言及していないんですね。


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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 例えば、ここのシーンも……普通だったら「父が○○、母が××」と書きそうなところを、「両親が○○と××」と書いていて、性別をぼかしているのです。男と女の夫婦かも知れないけど、女と女の夫婦かも知れない―――どちらにも取れるようにしてあるんですね。

 これはエンディングまでのガッツリとしたネタバレを含むインタビューで語られていることなんですけど、前々作『ソルフェージュ』ではまだ「女性同士の恋愛」が認められていない世界で、前作『白恋』では男の人は存在しているけど「女性同士の恋愛」「女性同士の結婚」が認められてきた世界で、今作『白愛』でとうとう男の人の存在が確認できない「女性同士の恋愛」「女性同士の結婚」が一般的になっている世界になっている……と、意図的にそういう世界を作ったことが語られています。


 「百合」と呼ばれる作品にも、「男が出てこない百合」と「男が出てくる百合」の二種類があると言われています。
 前者には『ストロベリー・パニック』や『ゆるゆり』があって、後者には『青い花』や『やがて君になる』がありますが――――前者はどうしてもファンタジー色が強くなってしまい、リアリティを求めると後者になっていくと思うんですね。外界から完全に隔離された『ストロベリー・パニック』ですら「高校を卒業したら許嫁(男)と結婚する」みたいなセリフがありますし、男性メインキャラがまったくいない『桜Trick』にも男性モブキャラは出てきます。


 そんな中、この『白愛』は「iPS細胞によって女性同士で子作りができる」という(現実とはちがうという意味での)ウソを一つ作ることによって、「男が出てこない百合」の世界にリアリティを持たせたんですね。
 この発案はどうやら男性ディレクターだったみたいですが、私も同じように男性の百合好きなので気持ちがよく分かります。いっそのこと世界から(自分も含めて)男性が消滅してくれたら、残った女性達が百合ってくれるのでは―――みたいな妄想をすることがあって、その妄想世界を本当に作っちゃったのがこのゲームだと思うんですね。




 ただ、その弊害もあって……
 この『白愛』には男性がいないため、本来なら男性キャラが担うはずの「ナンパ男」とか「酔っ払い」とか「○○の売人」とかも全部女性なんですね。例えばそれが女性らしい「ナンパ男」とか「酔っ払い」とか「○○の売人」とかになっているならともかく、設定上は女だけど台詞や行動はすごく「テンプレな男キャラ」みたいなのばかりで。そこはちょっと工夫がないかなぁと思いました。

 まぁ……よく言われる「女性しかいない街があれば、その街では夜中でも女性が安全に歩き回れるのでは?」「いやいや、女性しかいなくなったとしても女性の犯罪者が増えるだけだ」という議論からすると、男が完全に消滅した世界ではそれがリアルな姿なのかも知れませんが。


↓2↓

◇ ポンコツ「アホの子」主人公:大幸あすかが可愛い
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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 可愛い。


き(気)のせいだ、うん
<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 可愛い。



き(着替えよう
<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 可愛い。


 割とヘビーなストーリーと、なかなかバッドエンドを抜け出せない難易度と……かなり癖があって「好き嫌いは分かれる」ゲームだと思うんですが、このゲームを好きになれるかどうかはやはり「主人公を気に入るかどうか」次第だと思うんですね。私は途中めげそうになったけど、あすかが可愛かったので最後まで付き合うことが出来ました。


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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 大幸あすかという主人公を一言で説明すると「ポンコツお姉ちゃん」です。
 朝は起きれず、身の回りは全て年子の妹任せ、学校の成績も下から数えた方がイイ劣等生―――「何でもできる」上に、「お姉ちゃんのことが大好き」な妹であるなおちゃんが支えてくれているから何とかなっているようなコです。『けいおん!』の平沢唯・憂姉妹のような黄金姉妹ですね。妹であるなおちゃんもヒロインの一人なので、もちろん攻略可能です。

 でも、ポンコツなお姉ちゃんだけど、その前向きさだったり明るさだったりが周囲を引っ張っていってるのも確かで―――そういう意味では『ラブライブ!』シリーズの穂乃果ちゃんや千歌ちゃんみたいな「主人公らしい主人公」と言えるのかも知れません。こんなポンコツだった彼女が……的なストーリーになっていったり、ならなかったりするゲームなので。



 没個性の「どこにでもいる投影型の主人公」というより、個性的な「キャラとして立っている主人公」なので、この主人公を好きになれるかが全て……ということなのか、例えば私服もピンクピンクしていて一番可愛いと思うし、髪型とかも「誰からも嫌われないデザイン」を意識されていると思います。

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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 個人的にすごく好きなのは、「言葉遣いが乱れる」ところ。
 普段は可愛い可愛い声で女の子らしい言葉遣いをしているのだけど、焦ったりすると素が出るのか低い声で荒い言葉遣いになるのが可愛いです。と思ったら、ゆるーいシーンではおばあちゃんみたいな口調になったりして、コロコロ変わる表情と、それに合わせて声優さんのトーンも変わって、日常シーンでも観てて飽きないんですね。
 プレイ時間の大半はこのコと一緒に過ごすのだから、「観てて飽きない」ってのは大事ですよね。スクショ映えするテキストも豊富です。


 あすかを演じる声優さんは浅倉杏美さん。
 『アイドルマスター』の萩原雪歩や、『中二病でも恋がしたい!』のくみん先輩のように、大人しいキャラやおっとりとしたキャラが多い印象の声優さんなので、こういう明るくて元気な主人公らしい主人公は新鮮な気持ちで演じられたのだとか。


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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 脇を固める声優さんは、超甘々な妹:なおちゃん役はスーパー甘々ボイスの加隈亜衣さん、お嬢様:さくやさん役は田村ゆかりさんと、こちらは逆に安定の配役です。特に、加隈亜衣さんの声って私は「たくさんいる声優さんの中でも一番可愛い声」だと思っているので、この声でずっとずーっと「お姉ちゃん大好き」とイチャイチャしてくれたのは眼福・耳福でした。

 どうも、このチームのディレクターさんは「姉妹百合」が好きらしく、この『白愛』もメインヒロイン一番手が妹だし、次の『夢現Re:Master』もストーリーを読む限りは思いっきり「姉妹モノ」っぽいんですよね。うむ!私と気が合うな!


↓3↓

◇ 「看護学生の日常を描いた作品」とも「可愛い女のコ達のイチャラブ」ともちがう…何だこれ
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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 さて、ここからですよ。
 このゲーム、「どういうゲームだったのか」を説明するのが非常に難しいのです……

 もちろんアドベンチャーゲームですから「ネタバレに配慮して書きたいことが全部書けない」というのもあるのですが、ネタバレなんか気にしなくても全ルートをクリアしてもなお「何だったんだこのゲーム…」感が強いのです。


 まぁ、ここはもう「ネタバレ」とか関係なく書いちゃっても構わないと思うので書きますが、このゲーム―――前半はどのプレイヤーも通る共通ルートで「看護学生の日常を描いた作品」なんですね。
 最初に書いたように『けいおん!』とか『ラブライブ!』みたいな雰囲気で私はすごく好きでした。看護婦になるための勉強はすごく大変だけど、入学から、病院実習、夏休みに海に行くとか、文化祭の準備とか……ザ・青春!ってカンジのストーリーが楽しかったです。

 んで、前半に選んだ選択肢によって、それぞれのヒロインの個別ルートに分岐していくのですが……個別ルートに入った途端、看護学校の描写が希薄になるし、「え?この作品ってそういう作品だったの?」と言いたくなる展開になっていきます。
 そして、その個別ルート内の選択肢によって「各ヒロインごとのグッドエンド」「各ヒロインごとのバッドエンド」に分岐するという形なのですが、特にこの「各ヒロインごとのバッドエンド」が……なかなかなものでして。

 他の人のレビューでは「前半と後半でライター変わった?」と言っている人もいたくらい前半と後半の温度差が激しいのです。



 ただ、これはどうやらスタッフの狙い通りみたいなんですよねぇ……
 というのも、ここで前作『白衣性恋愛症候群』(通称:『白恋』)の話が出てくるのですが、前作もまた「可愛い可愛い百合ゲーだよ!」と言っておきながら割とヘビーな話だったため、前作を通過したファンには「どうせまたヘビーな話なんでしょ?」と警戒されているだろうとこういう構成になったそうです。

 ガッツリネタバレ含むインタビューにそのことが書かれているので引用しますが、核心部分はここでは伏字にさせていただきます。

<以下、引用>
みやざー氏「個別ルートに入ったら、◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ながら、それぞれのヒロインと近づいていくので、そこだけ見せると重いゲームになってしまうこともあり、共通ルートは日常の積み重ねでとにかく可愛らしい、とにかく萌えるイベントを多く入れようということにしました。」

向坂氏「共通ルートが長いというのにも関わってくると思うのですが、みやざーさんからは「白恋」のファンの方たちは絶対“キラ☆ふわ”だとは信じてくれずに入ってくるだろうから、そんな人ですら「今回は本当に“キラ☆ふわ”なの?」と油断してしまうくらい、共通ルートは影が一切無い、明るくふわふわ、ゆるゆる、萌え萌えでいきたいという話がありました。それを受けて、夏の海のような季節イベントを充実させたりといったところにつながったのかなという気もします。」

みやざー氏「そこまでの溜めがあるからこそ、◆◆◆◆◆のシーンが映えるだろうと。」

</ここまで>
※ 強調・伏字など一部手を加えています


 つまり、本当に描きたいのは「個別ルート後の後半」なのだけど、それを衝撃的に見せるために「共通ルートの前半」は平和に描いたとのこと。この手法……ネタバレになるから具体的な作品名は挙げませんが、ゼロ年代の鬱アニメで見たことある!

 なので、例えばこの記事の序盤で紹介したカワチさんのレビューとかが象徴的なんですけど、このゲームを紹介する人って「共通ルートの前半」にしか触れずに「個別ルートの後半」には一切ネタバレしないようにする人が多いのです。それも一つの手だと思いますし、「後半に衝撃的な展開が待ってるよ!」と紹介するのは作品の魅力を損なうんじゃないかと迷ったんで、「このゲーム、「どういうゲームだったのか」を説明するのが非常に難しいのです……」と書いたのですが。



 ぶっちゃけ、このゲームの魅力を語るに「衝撃的なバッドエンド」に触れないワケにはいかないと思うんですよ。

 私、最初に到達したエンディングが「先生ルートのバッドエンド」だったのですが、その時点では「グッドエンド/バッドエンド」の仕組みも分かっていなかったので、「ひょっとしてこのスタッフはこれをハッピーエンドだと思って作っているのか……?」と震えました。

 全ルートをクリアした後、ネット上を周って色んな人のレビューを読んでもみんな、「○○のバッドエンドがキツかった」「私は◆◆のバッドエンドが一番つらかった」「△△のバッドエンドはある意味では一番幸せなのでは?」みたいにバッドエンドについて熱く語っているし。あすかを演じた浅倉さんですら全ルート制覇後に解禁されるオマケメッセージで「○○のバッドエンドを演じてから×××が食べられなくなった」と言っていて。


 このゲームを語る人は、みんな「どのバッドエンドがキツかった」と語る時が一番熱量が上がるのですよ。かく言う私も先月の活動報告では、「先生ルートのバッドエンド、ひどすぎるでしょ!」と書いていましたし(笑)。私、チュンソフトのサウンドノベルとかケムコのデスゲームものとかを結構遊んでいて「惨たらしいバッドエンド」には耐性が出来ていると思ってたんですけど、またそれとはちがう心にダメージが来るバッドエンドだったというか。

 それってやっぱりこのゲームの欠かせない魅力の一つだと思うんですね。
 そんなにみんなが熱く語りたがるのだから。

 だからまぁ、最初のVita版の発売から3年半、最後のNintendo Switch版の発売から半年近くが経過しているのだから、これくらいまでなら書いてもイイかなぁと書くことにしました。



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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 ただ、「衝撃的なバッドエンド」に比べて「グッドエンド」がイマイチ地味というか記憶に残らないというのが若干の不満ですかねぇ。まぁ、「グッドエンド」とは得てしてそういうものなのかも知れませんが、「やっぱりそうなるよね」以上のものがない、予想できる未来しか与えられなかったというか。
 そういう意味では、一人のルート(ネタバレになるので文字反転させますが、さくやさんルート)は予想を上回る展開をしていって面白かったです。最後に「そうなるのかー」と思わせるのも美しい着地点だったと思います。

 また、このゲームもう3年半も前のゲームなこともあって、サイト上で行われた特別企画なんかも残っていて……各ヒロインのグッドエンド後の「その後どうなったか」を描いたオマケストーリーが公式ブログに掲載されていたりもします。当然ゲームラストのネタバレを含むので、まだゲームをプレイしていない人は読んじゃダメよ?さくやルートなおルートいつきルート

 書いているのはゲームと同じライターさんなのでストーリー的に破綻もありませんし、面白いです。なおちゃんルートはこれを読んで「ようやく報われた」という気になれました。


◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『白衣性愛情依存症』より引用>

 ということで、このゲーム「前半」と「後半」でテイストが変わるので「どういう人にオススメ」って言いづらいんですよねぇ。「前半が好きな人」には後半はヘビーだろうし、「後半が好きな人」には前半は長ったらしく思えるだろうし。

 ただ、そもそもチュンソフトが『弟切草』を作ったころからマルチシナリオのアドベンチャーゲームは「様々なテイストの話が入っているゲーム」だったようにも思えます。それはまぁ、ルートによってテイストが変わるという意味であって、前半と後半でテイストが変わるという意味ではないのですが(笑)。

 「様々なテイストの話が入っているアドベンチャーゲーム」を求めている人には、このゲームもオススメかなと思いますね。あとは、「男性が完全にいなくなった世界」を見てみたいという人にもオススメかな!これは俺が夢見た「俺達がいない世界」だ!早く死にたい!


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『スーパーマリオブラザーズ3』紹介/新ディレクターによって、シリーズは新たな領域へ

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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
砂漠の国、海の国、空の国……世界中を冒険する旅がここから始まる!
新変身はアクションが苦手な人の救済を兼ねるシリーズ伝統の始まり
以後のシリーズには受け継がれなかった2人協力プレイの面白さ


『スーパーマリオブラザーズ3』
・発売:任天堂、プログラム:SRD
 ファミリーコンピュータ用ソフト:1988年10月23日発売
 ゲームボーイアドバンス版:2003年7月11日発売 ※リメイク
 Wiiバーチャルコンソール版:2007年12月11日配信開始
 3DSバーチャルコンソール版:2013年1月1日配信開始
 Wii Uバーチャルコンソール版:2013年12月25日配信開始
 GBA版のWii Uバーチャルコンソール版:2015年12月29日配信開始 ※リメイク
※その他、ニンテンドークラシックミニファミリーコンピュータに収録されていたり、『ファミリーコンピュータNintendo Switch Online』で遊べるラインナップだったりする他、スーパーファミコン用ソフト『スーパーマリオコレクション』そのWii移植版にもリメイク版が収録されています
・横スクロール2Dアクションゲーム
・セーブ機能やパスワードコンティニューはなし
(原作は。リメイク版やバーチャルコンソール版などの移植には追加されている)


※ 紹介映像はニンテンドークラシックミニ版のもので期間限定公開だそうです

 全ワールドクリアに私達がかかった時間は約12時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください
↓1↓

◇ 砂漠の国、海の国、空の国……世界中を冒険する旅がここから始まる!
 「マリオ」というキャラクターとシリーズが世界中で大人気になっていくシンデレラストーリーは、元々はデザイナーとして任天堂に入社していた宮本茂さんがゲームディレクターとして大活躍していくストーリーにシンクロしています。

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<画像はアーケードアーカイブス版『ドンキーコング』より引用>

 1981年、宮本茂さんのデビュー作となるアーケード版『ドンキーコング』は、同時に「マリオ」のデビュー作でもありました(当時はまだマリオという名前も付いていませんでしたが)。「ジャンプというアクション」を軸に「全4面」のバラエティに富んだステージに挑む作品は世界中でヒットして、ゲームディレクターとしての宮本茂さんのキャリアが始まります。
 1982年、今度はマリオを敵にして、前作のジャンプアクションに「ツルの昇り降り」という新アクションを加えたアーケード版『ドンキーコングJR.』が稼働し。
 1983年、横井軍平さんとの合作で2人同時プレイが可能な『マリオブラザーズ』がアーケード版とファミコン版で出てきました。

 そして、1985年―――『スーパーマリオブラザーズ』が「ファミコンROMカセットの集大成」という一大プロジェクトとして作られて、全世界的に超大ヒットします。


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ』より引用>

 しかし、世界中で大ヒットして『スーパーマリオ』が「任天堂の顔」どころか「ファミコンの顔」「ゲームの顔」とすら言えるようになったタイミングで、「マリオ」シリーズは若手に引き継がれるのです。
 1986年に発売されたディスクシステム用ソフト『スーパーマリオブラザーズ2』が、当時まだ入社3年目とかの手塚卓志さんのディレクターデビュー作ですからね。

 『スーパーマリオブラザーズ2』は、「1作目の素材を活かして上級者向けに作った」高難度版なので、まだ若手に任せることが出来た―――と考えることも出来ますが、完全新作となるこの『スーパーマリオブラザーズ3』も引き続き手塚卓志さんがディレクターを務めることになります。
 しかも、「宮本さんがアイディアを出すから手塚さんはそれをまとめるだけ」みたいなことではなく、宮本さんに反対されながら当初は俯瞰視点のゲームにしようとしていたとか、全体的に絵柄が可愛くなったとか、手塚さんは独自色をどんどん入れていったんですね。

 もちろん手塚さんは元々1作目の頃からスタッフとして参加していましたし、宮本さんも『3』の開発後半には各要素をまとめるために現場に入ったみたいなんですが……『スーパーマリオブラザーズ3』『スーパーマリオワールド』の頃の「マリオ」シリーズって、実は宮本茂さんよりも手塚卓志さんのテイストが強い作品なんです。


<以下、引用>
 こうしてマリオとゼルダの二大シリーズを手がけることになった宮本氏だが,会社組織的にも個人のモチベーションを持続するうえでも,そればかりをやっているわけにはいかない。そこで,それまで務めていたディレクターを他者に譲り,自分は直接開発に携わらずに,プロデューサーとして複数のタイトルを同時に手がけることになっていく。
</ここまで>

 「人生に無駄なし」「チャレンジしていれば悩まない」──任天堂 宮本 茂氏,30年にわたる自らの仕事史を振り返る

 この記事は2009年10月の「DIGITAL CONTENT EXPO 2009」というイベントの宮本茂さんの講演をまとめたもので、“直接開発に携わらずに”というのはスーパーファミコン以降の話として語られたみたいなのですが、タイミング的にはファミコン後半のこの時期にはもう「若手への切り替え」を始めていたのかなぁと思います。


 「漫画は作者のもの」「映画は監督のもの」といった考え方を拡張して、「ゲームはディレクターのもの」とついつい私達は考えてしまいがちですし、それも一つの考え方だと思うのですが。
 任天堂はこの頃も今も「生まれたシリーズはディレクター一人の作品」とは考えていないと思うんです。『ゼルダ』をカプコンに作らせたり、『スターフォックス』をナムコに作らせたり、『メトロイド』をテクモに作らせたり、むしろ新しい風を取り込むことを重視していて……最近でも『Splatoon』1作目の功労者である阪口翼さんが、2作目ではディレクターから外れていてどうしたのかと思ったら段ボールを作ってたみたいな会社ですからね。

 だから、「マリオ」という看板タイトルであっても「宮本茂という一人の天才」に背負わせ続けるのではなく、若い開発者達が作る体制を作れたのかなぁと思います。


<以下、引用>
宮本「そうなんですよね。だから、そこは説明が難しいところなんですけど、『Wii Fit』にしろ『マリオギャラクシー』にしろ、直接ぼくがつくっているところって、ないんです。
 だから、こういうところでこうしてしゃべると、「あなたはなにもつくってないんじゃないの?」というふうに言われるようなこともある。たしかに、それはそのとおりなんです。でも、ぼくが決めることを決めてないと、これはできていないぞ、というプライドもあって。」

糸井「それはそうでしょう。」

宮本「その意味からいうと「これはぼくがつくりました」なんですが、じゃあ物理的にどこをつくったかと言われると「すいません、なにもつくってません」っていうことになる。」

糸井「ああ、わかる、わかる(笑)。」

宮本「ファミコンのころのゲームならね、細かいデータも自分で決めたし、仕様も全部自分で書きましたから、ある程度「つくりました」と言えたんですけど、もうここ15年くらい、自分で直接は作業してないですからね。
 でも、どっちにしろゲームって組織じゃないとつくれないし、たったひとりが欠けてもそれは完成しない。そういうものをつくってるわけです。
 そうなると、全員のクリエイティブをどれだけ引き出すかというのがやっぱり自分の大切な仕事になるんです。」

糸井「そうですね。」

宮本「現場が淀まないように見渡しながら、「淀まないためのクリエイティブ」をやる、みたいなところがぼくの仕事で、それは、ネタ出しもあるし、肩もみもあるし、日によって変わってきますね。」

糸井「「ちゃぶ台返し」も(笑)。」

宮本「「ちゃぶ台返し」もあるし(笑)。
 そういうことをやってるねんな、と自分では分析しているんですけど、なかなかうまく説明できなくて、で、久しぶりに会う人なんかから「最近、つくってないですね」って言われると、「ああ、そう言われるとつくってないですね」って、しょうがなく答えたりして。」

糸井「つまり、プレイング・マネージャーじゃないと、「つくっている」と思わないタイプの人がいるんですよね。」

宮本「そうなんですよね。
 だから、最低限のこととして思うのは、開発チームの中心メンバーがぼくを「いてくれてよかった」と思っているかどうか。ま、そこが、ぼくの存在価値かな(笑)。」

糸井「わかる、わかる(笑)。」

宮本「ただ、うちの組織としては、もう、ぼくがいなくてもできる組織にせなあかんので、そこが悩みどころなんですけどね。」

</ここまで>
※ 改行・強調など一部手を加えました

 「ディレクターではなくプロデューサーを続けている」ことについて、宮本さんは10年前の『ほぼ日刊イトイ新聞』で糸井さんと話されています。プロデューサーとして関わっているものすべてを「宮本茂が作ったゲーム」と評されるのも、かといって「宮本茂は何もしていない」というのもちょっとちがう、複雑な立ち位置が垣間見える対談ですよね。



 ということで、ようやく『スーパーマリオブラザーズ3』の話に入れます(笑)。
 要は、この作品は「宮本茂のゲーム」であった「マリオ」シリーズが、「手塚卓志のゲーム」ないしは「任天堂のゲーム」へと切り替わったターニングポイントの作品なんですね。そして、以後(『スーパーマリオ64』を除けば)「マリオ」シリーズは様々な若いディレクターが担当していくことになるという。

 しかし、こういった形で「一人の突出した超天才が作り上げたもの」を「他の人に引き継がせようとする」と、原作の劣化コピーが延々と続くだけだったり、原作の良さを全く理解していないものが出来上がったりしてしまいがちなのですが……ところがどっこい、後を引き継いだ手塚卓志さんもまた超天才だった上に、『スーパーマリオ』1作目からスタッフとして参加していたこともあって「スーパーマリオの面白さのツボ」を熟知していたんですね。


 そのため、この『スーパーマリオブラザーズ3』は『スーパーマリオ』1作目の面白さを分析してそれを拡張させつつ、1作目にはなかった新要素を次々と取り入れていて、以後のシリーズに引き継がれる“新たな原点”になったところが多々あるのです。
 ここが任天堂の恐ろしいところなんですよ!宮本茂を倒しても(倒れてません)、手塚卓志が出てくるし、どんどん才能ある若手が出てくるという……この辺が「宮崎駿の後継者を作れなかったジブリ」と対照的だと思うのですが、その話は流石に横道にも程があるのでこの記事では触れません。



 では、『スーパーマリオ』1作目にはなかったけど、『スーパーマリオ』1作目の魅力を拡張していった新要素とは何なのか―――この記事はそれを紹介していこうと思います。まずはこれ。

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 砂漠

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 海

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 巨大

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 空

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 氷

 「世界中を冒険するゲーム」になったところです(画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用しました)


 『スーパーマリオブラザーズ』1作目の特徴は、全32ステージという数もさることながら「地上」「地下」「水中」「アスレチック」「敵の城」といった様々なシチュエーションのステージを進むバリエーションの豊富さがあるんですね。同時期のファミコン版『スペランカー』なんて、全4ステージな上に全部「洞窟」でしかないのに!(笑)

 というのも、『スーパーマリオブラザーズ』というゲームの開発コンセプトは「大型のキャラクターを使って、陸・海・空を舞台にしたアスレチックゲームをつくりたい」から始まったらしいんですね。
 陸は分かるでしょう。海もありました。あの面だけ操作がちがうので子供の頃はすげー苦手意識ありましたねぇ。空は……というと、元々は「マリオがロケットや筋斗雲に乗ってビーム銃を撃つ」シューティングゲームみたいなステージを入れるという構想があったのだとか。しかし、メモリの関係で没になって、その代わり「豆の木」による空中ボーナスステージが出来たという

 この「ステージごとに全くちがうゲームになる」ところは『ドンキーコング』の全4面の話にも通じますし、シューティング面があるのはゲームボーイの『スーパーマリオランド』で実現しているけれどスタッフは共通じゃないよなぁ……とか、いろいろなことを思うのですが。


 その「陸・海・空を舞台にしたアスレチックゲーム」という1作目のコンセプトを引き継いでパワーアップさせたのが、「色んな国を冒険するゲーム」という『スーパーマリオブラザーズ3』なのです。
 1作目の舞台になった「キノコ王国」は、実は「キノコワールド」という大きな世界の入口の国にすぎませんでした。その奥には、砂漠の国、海の国、巨大な国、空の国、氷の国……と様々な国があって、クッパ軍団がそこで大暴れしているので助けに行かなくては!といったストーリーが説明書には書かれています。


 こうして『スーパーマリオ』シリーズは旅行記のように様々な場所を訪れつつ、そこで様々なアスレチックステージに挑むシリーズになっていったんですね。
 続編の『スーパーマリオワールド』は謎に満ちた「恐竜ランド」を開拓していくというゲームで、ドームがあったり、迷いの森があったりと様々なロケーションのステージが待っています。『スーパーマリオ64』ではキノコ城の中にある様々な「絵の世界」に飛びこむという設定で、海賊の入り江や空中に浮かぶ雪山など様々な場所を舞台にして冒険します。『スーパーマリオギャラクシー』は様々な惑星が舞台で、『スーパーマリオオデッセイ』は様々な国を冒険していく旅行記で……と、この流れは『スーパーマリオブラザーズ3』が作ったのです。


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 そして、ただ単に舞台が様々な国になっただけでなく……
 ステージも「スクロール」が自由になったことで「上にスクロールするステージ」や「迷路のようにゴールを探すステージ」など様々なものが生まれ、更には「強制スクロールのステージ」もあったりで、“バリエーションの豊富さ”がとてつもなくなりました。その分、1ステージあたりの長さはそんなでもない印象なのですが、ステージ数はなんと90!(多分)

 1作目が32ステージだったことを考えると、ほぼ3倍な上に、同じようなステージの使いまわしはなく、1つ1つのステージに「このステージにしかない遊び」が詰まっているのがすごいです。


 しかし、欠点はその裏返しで……
 そんな大ボリュームのゲームなのに「セーブ機能」も「パスワードコンティニュー」もありません。実機では電源を入れたら毎回1-1から始まります。そのために「笛」というアイテムを使ってワールドをすっ飛ばせるようになっているのだけど、「笛」は隠しアイテムだし、「笛」で一気に最終ワールドに進むとアイテムをあまり持っていないので苦しむことになったりもします。

 また、後の『スーパーマリオワールド』などでは「高難度ステージはエンディングとは関係のないやりこみ要素に」移動させられたのですが、まだそういう文化のなかった『スーパーマリオブラザーズ3』は「やりこみ要素クラスの高難度ステージ」がワールド7やワールド8のステージになっているため、エンディングを目指すだけでも難易度はかなり高いです。

 まぁ……今から遊ぶ人は、ほとんどの人が途中セーブの出来るバーチャルコンソールとかクラシックミニとかファミコンOnlineとかレトロフリークとかで遊ぶと思うので、欠点は克服されたとも言えるのですが。「マリオだから誰にでもクリアできるもの」なんて思ってプレイすると苦労しますよとは言っておきます。


↓2↓

◇ 新変身はアクションが苦手な人の救済を兼ねるシリーズ伝統の始まり
 『スーパーマリオブラザーズ3』と言えば、パッケージの絵やロゴにも入っている「しっぽマリオ」でしょう。1作目ではスーパーマリオ状態以上のパワーアップは「ファイアーフラワーを取ったファイアーマリオ」だけでしたが、今作は「スーパーこのはを取ったしっぽマリオ」が加わりました(この2つは併用できません)。

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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>


 「しっぽマリオ」と言えば、Bダッシュジャンプ後にAボタンを連打することで「空中を飛べる」ことと。Bボタンを押すことで「敵を攻撃できる」ことが、分かりやすい新アクションと言えます。
 前者は1作目ではメモリの関係で没にせざるを得なかった「空中ステージ」へのリベンジと言えますし、後者はどうやら「俯瞰視点」で開発していた時に自分の周囲を攻撃できるアクションとして考えられたようで、1つの変身でその両方の新アクションが出来る―――というのがポイントだったみたいなのですが。



 「ファミリーコンピュータNintendo Switch Online」で遊べるようになった今回、私は生配信でプレイしながら「Bダッシュをしない方が『スーパーマリオブラザーズ3』は簡単なのかを検証する」ということをやって、しっぽマリオの本当のすごさは「ジャンプ後に下降する際にAボタンを連打すると落下スピードが落ちる」ことにあると実感しました。
 それを利用して「狙ったところに着地しやすくなる」というのももちろんあるのですが、「単純にジャンプの飛距離が伸びる」んです。

 その結果―――本来なら「Bダッシュジャンプをしないと届かない距離」であっても、しっぽマリオでしっぽを振りながら落下すれば届いてしまうため、Bダッシュジャンプが出来ない人への救済措置になっているのです。

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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>


 アクションゲームの続編が出る際、新たなアクションが加わったことをウリにするゲームは多いです。前作までには出来なかった「タメ撃ちが出来るようになったよ」とか「上方向への攻撃が出来るようになったよ」とか。
 しかし、じゃあゲームとしてプレイヤーに有利になるかというと、「タメ撃ちを使いこなさないと倒せない固い敵」が出てきたり、「上方向に攻撃しないとどうにもならないくらい四方八方から敵が押し寄せてくる」とかだったりで、ゲームが複雑になってプレイヤーに求められるスキルが増えるだけということも多々あります。「最近のゲームは難しいと思いませんか?」ってヤツですよ。

 しかし、『マリオ』シリーズの場合はちょっと特殊で……基本的には(※1)全てのコースは、変身を使わない「チビマリオ」の状態でクリアできるようになっているんですね。新変身によって追加された新たなアクションを駆使しないとどうにもならないゲームにするのではなく、「チビマリオ」のままでもクリア出来るけど「しっぽマリオ」だとちょっと楽になるというバランスにしてあるのです。

(※1:「しっぽマリオ」で空中を飛ばないとクリアできないステージは実はいくつかあるし、変身関係ない「モノを持って投げる」アクションが必須のステージもありますが)


 「Bダッシュジャンプが苦手な人への救済措置」というのは、後のシリーズにも引き継がれていて……『スーパーマリオワールド』の「マントマリオ」は「しっぽマリオ」とほぼ同じ能力なので当然として、『スーパーマリオワールド』では「ヨッシーを切り離す2段ジャンプ」が出来ますし、DSの『Newスーパーマリオブラザーズ』ではBダッシュジャンプをしなくてもジャンプの飛距離が伸びる「マメマリオ」という変身があります。

 『マリオ』シリーズにおける、新変身は「アクションゲーム上級者のため」だけではなくて「アクションゲームが苦手な人のためにある」というスタンスはこの時に固まったのかなと思います。



 とは言え、理論上は「Bダッシュジャンプをしなくてもしっぽマリオなら届く」と言われても、アクションゲームが苦手な人はしっぽマリオを維持するのが難しいでしょう。
 『スーパーマリオワールド』以降のように、既に1回クリアしたステージをやり直してアイテムを取ってくるということが『3』では出来ませんし、ステージ中にいつでも出せる「ストックアイテム」も『3』にはありません。なので、『3』では必要な時にしっぽマリオを使うということが(後のシリーズに比べて)難しいんですね。

 逆に考えれば、『3』の仕様では「アクションゲームが苦手な人への救済措置」としては不十分だということで、『スーパーマリオワールド』以降は「1回クリアしたステージもやり直せる」「ストックアイテムでステージ中いつでもアイテムを出せる」仕様になったとも考えられます。
 そういう意味では、この「アクションゲームが苦手な人への救済措置」は続編の『スーパーマリオワールド』で完成するのであって、『3』ではまだ(救済措置という点では)プロトタイプのような形に留まっていると言えるのかも知れません。


↓3↓

◇ 以後のシリーズには受け継がれなかった2人協力プレイの面白さ
 ここまでは「以後のシリーズの定番となった“様々な世界を冒険する”要素」と、「以後のシリーズのプロトタイプとなった“アクションゲームが苦手な人への救済措置としての新変身”」について語ってきました。以後のシリーズの原点になっている要素が『3』には多いという話ですね。

 ただ、そうすると「じゃあ別にわざわざ『3』やらなくてもイイんじゃない?」「『スーパーマリオワールド』はやったことあるから似たような『3』はやらなくてイイかな」と思ってしまった人もいるかも知れません。ということで、最後の項目は「以後のシリーズには引き継がれなかった要素」に敢えて触れることで、『マリオ』シリーズの中でも『3』だけが持っている魅力を語ろうかなと思います。


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 ただ、その前に基本的な情報を先に書いておきます。
 『マリオ』シリーズの中でも、「次に遊ぶステージ」を「すごろくのようなフィールドマップ」を歩いて選ぶスタイルが初めて採用されたのはこの『3』です。
 『スーパーマリオブラザーズ3』以前にもこういう「フィールドマップから次に遊ぶステージを“選ぶ”」ゲームはあったのかなとTwitterで情報を募ったところ、1985年の『ドラゴンバスター』(ナムコ)がそれっぽいですね。フィールドマップがあって、ゴールがあって、それに向かってどちらのルートに進むか選べる2Dアクションゲームです。任天堂のゲームで言えば1987年の『リンクの冒険』のようなアクションRPGもそれっぽい気もします。


 しかし、それらのゲームと比べても『スーパーマリオブラザーズ3』の「すごろくのようなフィールドマップ」はものすごくよく出来ていて……例えば上のワールド1のマップを見れば分かるように、「1-3」と「1-4」は特にクリアしなくても良いステージなんですよね。でも、どちらか片方をクリアすれば「キノコハウス」に着いてアイテムがもらえるという……つまり、クリアには関係のない「寄り道」と、どちらのステージを選んでも良い「分岐」が最初の3ステージ目で既に提示されているという。




 そして、ここからが『スーパーマリオワールド』以降には引き継がれなかった『3』にしかない要素ついての話です。

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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 この『スーパーマリオブラザーズ3』では、クリアしたステージは「マリオならM」「ルイージならL」のマークが付いてステージの上を通過できるようになります。しかし、残機がなくなってゲームオーバーになってしまった場合、そのプレイヤーがクリアしたステージは復活するようになっています。

 ただし、「砦」や「ハンマーブロス」など特定のステージはゲームオーバー→コンティニューでも復活せず、「砦」をクリアすると扉が開いてショートカットの道が出来ることが多いので、『スーパーマリオワールド』以降の「ゲームオーバーになったらセーブしたステージからやり直し」と同じようなものかなと思います。
 またワールド7までの各ワールド最終面は「飛行船」となっていて、クリアできないとその度にフィールドを逃げ回るので、ゲームオーバー→コンティニューで復活してしまったステージの間に逃げ込まれるとまた同じステージをクリアしなくてはならないのが厄介です。

 この辺の仕様は、面白かったんですけどアクションゲームが苦手な人の心を折る仕様とも言えるので、以後のシリーズには引き継がれなかったのだと思われます。


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 さて、ここまでの仕様……「確かに『スーパーマリオワールド』以降とは細かいところがちがうけど、そこまで突出した魅力じゃなくない?」と思われたかも知れません。実際、1人用を遊ぶだけなら『スーパーマリオブラザーズ3』も、『スーパーマリオワールド』以降のシリーズもあまり変わらないと私も思います。

 『スーパーマリオブラザーズ3』が化けるのは2人用で遊んだ時なんです。

 プレイヤーは「1Pのマリオ」「2Pのルイージ」が交代でステージに挑むのですが、フィールドマップは共通なので1Pがクリアしたステージは2Pがクリアする必要がありません。
 ファミコン時代はコントローラがデフォルトで2つ付いていたため、ゲーム開始時に「1人で遊ぶ」「2人で遊ぶ」を選べるゲームが多かったのですが、初期の画面固定アクションならともかく、『スーパーマリオブラザーズ』のような横スクロールアクションゲームが主流になっていくと「2人同時に遊ぶ」ことがマシンスペックの問題で難しくなっていきます。そのため、「2人で遊ぶ」を選んでもただ単に1Pと2Pが交互に遊ぶだけのゲームが結構あったんですね。

 『スーパーマリオブラザーズ3』開発時も2人同時プレイが出来ないかと模索したらしいのですが、実際に2人同時プレイを実現した『スーパーマリオ』シリーズはWiiの『NewスーパーマリオブラザーズWii』が最初なのでファミコンのスペックじゃとてもじゃないが無理でした。そこで出てきたのが「フィールドマップを交代で進めていく」この仕様です。

 『スーパーマリオブラザーズ』1作目は1Pも2Pもそれぞれ1-1から別々にスタートするので、例えば「ゲームが上手いお兄ちゃん」はサクサク進んで8-2とかまで進んでも、「ゲームが下手な弟」はいつまでも1-1から先に進めなかったりしたものです。
 しかし、『スーパーマリオブラザーズ3』は「お兄ちゃん」がクリアしたステージは「弟」はもうプレイしなくて構わないので、極端な話「弟」が1面もクリア出来なかったとしても、「お兄ちゃん」と一緒にどんどん先のステージ・先のワールドを遊ぶことが出来るのです。

 もちろん同じくらいの実力の人でも「得意なステージ」「苦手なステージ」がちがうでしょうからそれを補ったり、1Pがミスしたのを見て2Pがそこを注意して突破したり、「1Pと2Pが交互に遊ぶだけ」なのにちゃんと協力している感があるんですね。


 そして、『スーパーマリオブラザーズ3』特有の「アイテムがもらえるキノコハウス」や「残機が増える絵合わせ」など、1人が入るともう1人は入れないボーナスステージもあるので、譲り合いだったり奪い合いだったりになることもありますし。
 先ほども書いたように、このゲームは「残機がなくなってゲームオーバーになってしまった場合、そのプレイヤーがクリアしたステージは復活する」上に、「各ワールド最終面は「飛行船」となっていてクリアできないとその度にフィールドを逃げ回る」ため、どちらがステージをクリアしたのかが後々に重要になっていくんです。


 生配信した際のアーカイブのスクショなので、ちょっと画面がクッキリしていないんですが御勘弁を。

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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 やっとの思いでワールド5の最終面までたどり着いたのに、飛行船を1発クリアできなくて、復活してしまった5-4と5-5の間に逃げ込まれるの図!5-4もものすごく苦戦してやっとの思いでクリアしたのに、またクリアしなくちゃいけないのか……


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 やっとの思いで再び5-4をクリアしたのだけど……


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 またも飛行船をクリアできずに、逃げられる――――!


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 飛行船を追って、地上まで降りてきました!3度目の挑戦!


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 また逃げられる―――!
 各ワールド序盤のステージは難易度はそこまで高くありませんが、序盤のステージほど「ゲームオーバー→コンティニュー」で復活している確率が高いので、逃げ回られると復活したステージの間に入りやすいってことですね。


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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 とうとう一番端まで逃げられた!

 ……ここのワールドの飛行船、確か40分くらい苦戦していましたよね。
 でも、この独特の緊張感は後のシリーズにはない『3』ならではの魅力だと思うんです。フィールド全部を使って、逃げ回る飛行船を追いかけるのはむっちゃ楽しかったです。


 また、このゲームは全体的には難易度は高いんですが……「キノコハウスなどでもらえる所持アイテム」を使うことで、正面からクリアしなくても何とかできるという救済措置もあります。
 1ステージだけすっとばせる「ジュゲムの雲」、フィールドマップ上のブロスorパックン面をスルーできるようになる「オルゴール」、1ステージだけ空中を飛び続けられる「パタパタの羽」など――――昨今のシリーズの「同じステージで何度もミスしているとクリア扱いにしてくれる救済措置」に通じるものがありますが、アイテムを使うタイミングを考える戦略性がある分『スーパーマリオブラザーズ3』の方がゲームシステムの中にきっちり組み込まれているようにも思えます。


 ということで、初めて『マリオ』シリーズで「フィールドマップ」を採用した作品にも関わらず、2人協力プレイや、逃げ回る飛行船、所持アイテムを使う戦略性などなど……後のシリーズのどの作品よりも、「フィールドマップ」を活かした色々な遊びが詰め込まれているのです。
 「アクションゲームが苦手な人への救済措置」「万人向けゲーム」にならなくてはならないシリーズとしては仕方がないことなんですけど、それ故に『スーパーマリオブラザーズ3』は未だに「同じようなゲームが存在しないオンリーワン」として輝き続けているのです。


◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はファミリーコンピュータNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ3』より引用>

 『マリオ』シリーズが更に一段階高い領域に上がって、新たな基準となった一作。

 1人で遊ぶのでももちろん面白いのですが、2人プレイで遊べる環境にある人には是非2人プレイで遊んで欲しいですね。同時プレイを実現したWii版以降とはまたちがう面白さの協力プレイだと思いますし、Nintendo Switchならオンライン越しで一緒に遊ぶことも出来ます(アプリを使えばボイスチャットも可能です)。

 30年前のゲームなんですけど、同じ1988年のファミコンタイトルと比べても未だに古さを感じさせない色あせない名作です。触れたことがないという若い人も是非どうぞ!



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『Ultimate Chicken Horse』紹介/これぞ対戦&協力型『マリオメーカー』の形!

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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
みんなの思惑が交錯してできる「予測不能コース」を攻略せよ!
ルールもステージも自由にカスタマイズ可能だから、遊び方も自由!
見知らぬ人とのオンラインプレイだからこそ、「楽しく遊ぼうぜ!」と読む空気


『Ultimate Chicken Horse』
・開発:Clever Endeavour Games
 Steam版:2016年3月5日発売、1480円
 プレイステーション4版:2017年12月14日発売、1500円
 Xbox One版:2017年12月15日発売、1620円
 Nintendo Switch版:2018年9月25日発売、1480円
  ※ スクリーンショット撮影可能、動画撮影不可
・2~4人プレイ用の2D横スクロールアクションゲーム
・セーブスロット数:1


<PVはNintendo Switch版のものです>


<PVは2017年末のアップデート内容です>

<PVは2018年9月のアップデート内容です>
 
↓1↓

◇ みんなの思惑が交錯してできる「予測不能コース」を攻略せよ!

 このゲームはカナダの小さなゲーム開発会社:Clever Endeavour Games(従業員は6人!)による2D横スクロールアクションゲームです。

 PC版が最初に発売されたのは2年半も前らしいのですが、PS4版が出た昨年末やNintendo Switch版が出た先月に合わせて全機種でアップデートして、様々な新機能や新ブロックなどが追加されたそうです。Nintendo Switch版から入った私からすると「この機能、今までなかったの!?」と思う部分もあるので、他機種版を随分前に遊んだっきりという人も久々に起動してみましょう!

 ちなみに「PS4版とPC版」「Nintendo Switch版とPC版」はクロスプラットフォームで遊べるそうです。過去のブログ記事ですが、Xbox One版は残念ながらクロスプラットフォームでは遊べないとの記述がありますね……


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 ゲームはまず、ツリーハウスに並ぶ「羊」や「アライグマ」、「馬」、「鶏」などの可愛らしい動物達の中から自分が操作するキャラクターを選びます。マルチプレイの時は、当然「他の人が既に選んでいるキャラクター」は選べません。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 キャラクターを選んだらプレイ開始!
 操作方法は「Xボタンを押しっぱなしでダッシュ」「Aボタンでジャンプ」という『スーパーマリオブラザーズ』シリーズに似た形ですね。キーコンフィグは出来ません。キャラクターによる性能差もなし。
 『スーパーマリオワールド』の「Yボタンを押しっぱなしでダッシュ」「Bボタンでジャンプ」から一列ズレているので最初は戸惑いましたが、じきに慣れました。

 2Dアクションゲームとしての“触り心地”の特徴としては、キビキビ動く(慣性があまり付かない)のと、壁キックが自由に出来て「1つの壁だけで壁キックで登っていける」のが重要ですね。




 このゲームにはいくつかモードがあるのですが、メインモードと言って良いであろう「パーティ」「クリエイティブ」について説明します。これらのモードは2~4人による対戦モードで、ローカルプレイはもちろん、オンラインプレイにも対応しています。Nintendo Switchの場合は片方のJoy-Conだけで遊べるので、おすそ分けプレイも出来ますね。

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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 このゲームの基本は、「スタート地点」から「ゴール地点の旗」まで走って跳んでたどり着くだけ!その順位によってポイントがもらえ、それを例えば12ラウンド繰り返して、設定されているスコアに誰かが到達したら優勝です。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 ですが、それだけだと当然ゲームにはなりませんよね。
 「パーティ」モードの場合は、与えられたパーツの中から1人1つずつを選んで……
 「クリエイティブ」モードの場合は、全てのパーツの中から自由に1人1つずつ……


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 好きな場所に設置することが出来ます。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 設置が終わったら競争開始!


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 競争が終わったらまた設置。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 設置が終わったらまた競争!

 というのを繰り返していくと………


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 最終的には、こんな殺意に満ちたコースになるという!



 このゲームは「ルールのカスタマイズ」が可能なので様々な遊び方が出来ますが、基本的には「自分が真っ先にゴールすればポイントになる」のと「自分の仕掛けたトラップで他のキャラを倒せればポイントになる」ため―――
 イジワルなトラップを仕掛けて「自分以外」を殺しに行くのか、はたまた凶悪なトラップをすり抜ける救済パーツを置いて自分が真っ先にクリアするのか、“「スタート地点」から「ゴール地点の旗」まで走って跳んでたどり着くだけ”のゲームなのに様々な思惑が交錯するのです。

 自分の仕掛けた弓矢のトラップが他の人のブロックによって防がれる、とか。
 せっかくゴールしやすくなるようにと置いた階段が爆弾で破壊される、とか。
 良かれと思ってワープ扉を置いたら、ワープ扉の向こうから延々と矢が飛んでくるようになった、とか。

 全員の思惑が交錯するからこそ、「俺の思ったようにならない!」という予測不能なコースが出来上がっていくという。


 遊んでいる感覚は『スーパーマリオメーカー』の100人マリオで出会った「クソコース」に頭抱えながら挑んでいるのに近いような、むしろ敢えて「クソコース」を作って相手を困らせるゲームのような、その「クソコース」に1つのパーツを加えて「自分だけ真っ先にクリアできるコース」に変えてしまうゲームのような……
 まだゲームがオンラインにつながる前の時代、ファミコンの『エキサイトバイク』や『レッキングクルー』で友達と一緒にアホみたいなコースを作って「こんなんクリアできないだろうガハハハハハ」と笑いあっていたのを、オンラインで世界中の知らない人と一緒に「ちゃんと競技として成り立つ形で」遊べるようにしたみたいなゲームかなと思います。


 オンラインプレイで知らない人と一緒に遊ぶのなら、『エキサイトバイク』や『レッキングクルー』並に何でもありになりがちな「クリエイティブ」モードよりも、最初の内は制限のある「パーティ」モードの方がオススメです。「どのパーツが与えられるか」というランダム要素が強いので、毎回ちがった展開になりますし、そのパーツの中で出来ることしか出来ないので空気を読む必要もありませんし(この辺は記事の後半に書きます)。


↓2↓

◇ ルールもステージも自由にカスタマイズ可能だから、遊び方も自由!
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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 この機能はどうやらNintendo Switch版の発売に合わせた2018年9月のアップデートで追加されたそうで、私としては「こんな根幹に関わる機能が今までなかったの!?」と驚いたのですが……このゲーム、「どういうプレイをしたらポイントが入るのか」を自分達で自由にカスタマイズできるのです。しかも、「ON/OFF」だけじゃなくて、「ポイントの量」まで細かく調整できます。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 ゲームで一番重要なのは、実は「ルール」です。
 例えば「サッカー」という競技は「相手のゴールにボールを入れたら1点が入る」というルールだから、みんなゴールに向かってボールを蹴るし、守備側はそれを防ぐために相手を密着マークしたりするのです。これにもし仮に「相手選手のパンツを脱がせても1点」というルールが追加されたら、守備側も密着マークなんか出来なくなりますよね。パンツを脱がされちゃうから。

 『スーパーマリオ』だって「横から敵に当たったらダメージ」というルールだから、プレイヤーは敵を避けて進むのであって。もし「敵に当たると敵が吹っ飛んでマリオのレベルが上がる」というルールだったら、逆に敵に向かってぶつかりに行くゲームになりますよね。『イース』みたいなカンジに。



 つまり、「ルールのカスタマイズが可能」というのは「遊び方を自由に変えられる」ということなんです。
 例えば、「自分の仕掛けたトラップで相手を倒した時のポイント」を高く設定したら、みんなこぞってトラップを仕掛けて、殺意に満ちたコースが出来上がっていくでしょうし。
 「コインを取ってゴールした時のポイント」を高く設定したら、一か八かでコインで大逆転できるギャンブル性の高いゲームになっていくでしょうし。
 このゲームのデフォルトルールだと「簡単すぎるコースはゴールしてもポイントにならない」のですが、私はそれだと序盤のラウンドが盛り上がらないと思って「どんなコースでもゴールすればポイントになる」ようにしています。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 何点獲ったら優勝になるのか、の「獲得ポイント」。
 誰も優勝にならなかったらいつまで続けるのか、の「長さの制限」。
 パーツを置く制限時間、の「配置タイマー」。
 競争の制限時間、の「ランタイムリミット」。

 これらも自由に変更可能です。
 「ランタイムリミット」を短くするとレースゲーム的になりますね。

 「ダブルパーティボックス」はパーティモード時に、プレイヤーが少ない時に「1ラウンド2個ずつ」パーツが置けるようになるという機能です。これはオンの方がオススメ。

 クリエイティブモードは各ラウンドに1つずつ「好きなパーツ」を選んで置けるモードなのですが、1ラウンドごとに置ける個数を増やすと「パーツとパーツを組み合わせた大掛かりな仕掛け」を作る人も出てきて、よりガチ度の高い対戦型『マリオメーカー』っぽくなっていきます。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 パーティモード時に出現するパーツの確率も1個ずつ細かく調整できます。
 例えば、「コインを取ってゴールした時のポイント」を高く設定したからコインの出現確率を低くしようみたいな遊び方が出来ますね。
 「出てくるパーツが全部ノコギリ」みたいなことも出来ますし、逆に人が死ぬトラップは1コも出ないようにしてゴールまでの競争を純粋に楽しむレースゲーム的な遊び方も出来ますね。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 また、『マリオメーカー』のようにステージを自作してそれをインターネット上にアップロードしたり、誰かが作ったステージをダウンロードして遊んだりも出来ます。
 「敵キャラクター」や「パワーアップアイテム」などが存在しないゲームなので、『マリオメーカー』のような多彩なステージを作れると期待すると物足りないというか、「じゃあ『マリオメーカー』やればイイんじゃない?」となってしまうと思いますが……『マリオメーカー』とはちがって、このゲームでは4人まで同時プレイが可能なんですね。自分の作ったステージや、誰かが作ったステージを、オンライン・オフラインともに一緒に遊ぶことが出来るのです。


 先ほどまでに説明していた「パーティ」と「クリエイティブ」モードだけでなく、このゲームにはパーツを増やすことなく純粋にスタートからゴールまでのタイムを計る「チャレンジ」というモードもあります。これは1人から4人まで同時プレイが可能。
 つまり、誰かが作った凶悪なステージを、誰が一番早くゴールできるか―――みたいな遊び方も出来るんですね。

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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 遊び方は無限大!

 開発者の一人Kyler Kellyは、ブログにてこう書いています。「 I expect the community to find other interesting rulesets that we would have never imagined.」
 つまり、「開発者である私達が想像もしていないような面白いルールセットを、遊び手のみんなが思いついてくれることを期待しています」と。「こうやって遊んでね」と開発者の思った通りのレールに沿うのではなく、プレイヤー自身が楽しい遊び方を考えていくゲームなんですね。


 修正パッチが来てエラー落ちしにくくなったら、このゲームを特殊なルールで遊ぶ配信もいつかやってみたいですね。特殊ルールなので流石に野良の人は入れられないし、4人揃うかどうかが不安ですけど!

↓3↓

◇ 見知らぬ人とのオンラインプレイだからこそ、「楽しく遊ぼうぜ!」と読む空気
 このゲームはオフラインでのローカルプレイでも4人まで一緒に遊ぶことが出来ますが、ここから先はオンラインプレイについての説明を書こうと思います。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 自分で部屋を作る場合は「ゲームをホストする」。
 野良で、誰かの部屋に入って遊びたい場合は「公開ゲームを探す」。
 友達の部屋に入りたい場合は「招待コードを入力」です。

 ルールのカスタマイズは(多分)部屋を作った人にしか出来ないと思います。
 招待コードはプレイするごとに変わるみたいなので、リアルタイムに「部屋開くから来てね~、招待コードは○×△◇」と教えなきゃいけないのがちと面倒。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 「公開ゲームを探す」を選ぶとこんなカンジ。
 ホストの人の地域(アジア、ヨーロッパ、アメリカ)や、どのくらい人が入っているのか、遊んでいるモードなんかが表示されますね。


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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 (Nintendo Switch版の場合)ZLボタンと右スティックの組み合わせで「定型文チャット」を送ることが出来ます。「定型文チャット」なので恐らく海外の人にも翻訳されて伝わっているので、言語を越えて「(こんなコース)無理!」と叫んだり、穴に落ちて「ハハハ!」と笑ったりするのが楽しいです。



 さて、ここからが重要な話。
 置けるパーツが決まっている「パーティ」モードだとあまり気にしなくてイイと思うんですが、好きなパーツが置けてしまう「クリエイティブ」モードの場合、「1位を目指す」だけでなく「みんなで楽しむために空気を読む」ことがある程度は必要になるかなぁと思うんですね。

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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 例えば、これは1ラウンドごとに5つ好きなパーツが置ける「クリエイティブ」モードの部屋だったのですが……
 一度に5つも好きなパーツが置けるので「大掛かりな仕掛け」を作る人がいました。右上の傘を指している犬(?)の人が、何ラウンドもかけて木材をつなげているなぁ……とは思ったのですが。

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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 なんと!このつながった木材、ベルトコンベアに溶接されていて、ゲーム開始から一定時間が経過するとステージを全部なぎ倒すように動いてくるという!(笑)


 「こんなんやったら誰もクリア出来なくなっちゃうじゃん」という仕掛け。
 でも、好きなパーツを置ける「クリエイティブ」モードだからって、例えば「爆弾」でその仕掛けをぶち壊したり、「ワープドア」でゴールまでショートカットしたりしちゃったら……勝ち負けにこだわってそんなことをしても面白くないよね!と、全員この仕掛けを残して活かした上でゴールを目指す方法を生み出すプレイを最後までしていました。みんな「空気を読んだ」のです。


 このゲーム……特に「クリエイティブ」モードの場合は、勝ち負けだけに執着したらきっと「凶悪なトラップは無効化する」方向に進んじゃって面白くなくなっちゃうんです。
 「勝ち負け」よりも「みんなが面白くなるためには」を考えて空気を読んでプレイする、良い意味での“緩さ”を楽しめる人に向いたゲームかなぁと思います。そういう意味では「対戦型『マリオメーカー』」というだけでなく、「みんなで一緒になって遊ぶ協力型『マリオメーカー』」でもあると思うんですね。



 なので、どのゲームもエンジョイ勢寄りの自分としては大好きなゲームなのですが……
 大きな難点が一つあります。Nintendo Switch版は「頻繁にエラー落ちする」のです。オンラインプレイをしようとすると3回に1回はエラー落ちするし、自分はエラー落ちしていなくても誰かはエラー落ちするので「4人全員がそろう」ことが本当に稀。

 公式もそのことを把握しているので、修正パッチを作っていることを公式発表しているのですが……「言語を日本語に変更するとクラッシュしにくくなるよ」と言っていて、こちとら最初から日本語でやっとんじゃーーい!とずっこけたので、修正パッチの完成を待つのにも若干の不安が(笑)。

 すっごい面白いゲームだと思うので、ここは残念ですね。
 修正パッチの完成、首を長くして待っています。



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『Ultimate Chicken Horse』より引用>

 記事内にも書きましたが……ファミコンの『エキサイトバイク』とか『レッキングクルー』みたいにステージエディットのあるゲームで、無茶苦茶なステージを作ってゲラゲラ笑っていたような人は絶対に遊ぶべきゲームです。それをちゃんと「対戦用ゲーム」として成立させているのが凄いです。

 また、「厳密な勝負にこだわる人」や「ストイックに上達を目指す人」よりも、「楽しいことを優先できる人」や「自分なりの遊びを考えたくなる」人にオススメで――――「本当の意味でのエンジョイ勢」向けのゲームですね。


 私はまだステージやキャラを全解放させていないんですけど、一旦プレイを中断して修正パッチが出るのを待とうかなと思います。エラー落ちが減ったら再開して、オリジナルルールでの対戦を生配信しながら遊びたいですね。修正パッチの完成が待たれる!


Ultimate Chicken Horse (Original Soundtrack)
Posted with Amakuri
¥1,600
売上げランキング: 21595
これはゲームじゃなくてサウンドトラックね

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『UNDERTALE』紹介/コマンドバトルRPGに飽きちゃった人達に向けた「ポストJRPG」

2018091611102000-A29C3926C7AC223A657F1415D1C1D797.jpg
<画像はNintendo Switch版『Undertale』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
「日本のゲームが大好きなアメリカ人」による「ポストJRPG」
コマンドバトルだけどテキストアドベンチャー?弾幕シューティング?『パンチアウト』?
「お約束を覆す」ことを斬新と思えるか、既に通った道と思ってしまうか


『UNDERTALE』
・開発者:Toby Fox
 Steam版:2015年9月15日発売、2017年8月22日に日本語化対応、980円
・日本版パブリッシャー:ハチノヨン
 プレイステーション4版:2017年8月16日発売、1620円
 プレイステーションVita版:2017年8月16日発売、1620円
 Nintendo Switch版:2018年9月15日発売、1620円
  ※ スクリーンショット撮影可能、動画撮影可能
 ※PS4版、Vita版、Switch版にはパッケージソフト版もあります
・コマンドバトルRPGにいろんなジャンルの要素を加えたゲーム
・セーブスロット数:1


<PVはNintendo Switch版のものです>
 私の1周クリア時間は約06時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(ポップな絵ですが話はむっちゃ重いです)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(嘲笑はないけど空回りするキャラがつらい人はいるかも)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:○(死ぬかどうかはあなた次第ではあるけど)
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:△(性別不明の主人公を女として見るなら若干…)
・BL要素:△(性別不明の主人公を男として見るなら若干…)
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

≫ 「続きを読む」

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