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サッカーW杯の出場チーム数拡大で「グループリーグの戦い方」はどう変わるだろう?

 サッカー好きとしては、衝撃的なニュースが入ってきました。

 W杯出場枠拡大が決定…FIFA会長はサッカーの発展を強調「多くの国が夢を見られる」

 サッカーW杯は2026年の大会から、出場チーム数が現在の32チームから48チームに増え、グループリーグの組分けも現在の「4チームずつ8グループ」から「3チームずつ16グループ」に変わることが決定したそうです。「FIFAが出場チーム数を増やしたがっている」という話は以前から出ていましたが、まさか実現することはないだろうと思っていたので驚いています。


 その背景には「FIFAの財政難」があると言われていて、この改革によって

・大会全体の試合数が増えるので、興行収入や放映権収入が増える
・それでいて「1チームあたりの最大試合数」は7のままなので、選手の負担は増えない
・今まではW杯には出られなかったような国と地域にも出場機会が生まれ、新たな市場を開拓できる


といったメリットがあると考えられます。


 まずは、現状の32チームの制度―――1998年のフランス大会~2022年のカタール大会までの制度を見てみましょう。
 32チームを4チームずつ8グループに分けて総当たりのグループリーグを行います。
 どのチームも「3試合ずつ」行って、1つのグループリーグで6試合が行われることになります。2014年のブラジル大会で言えば、日本は「コートジボワール」「ギリシャ」「コロンビア」と対戦しましたね。

 グループリーグは8つですから、大会の前半戦となるグループリーグで6×8=48試合が行われることになります。

 それらのグループリーグ上位2チームが決勝トーナメントに進むので、決勝トーナメントは16チームで行うことになります。トーナメント戦は「1試合ごとに1チームずつ脱落する」制度ですから全部で15試合、3位決定戦を行う場合は16試合――――グループリーグの48試合と決勝トーナメントの16試合で全64試合という計算になります。

 また、決勝戦・3位決定戦まで進む4チームは「グループリーグで3試合」「決勝トーナメントで4試合」戦うことになるので全7試合を行うことになりますね。W杯は開催できる期間が限られているため、試合数が多くなればなるほど「休息日」が減って選手の負担も大きくなって怪我などのリスクも高まるのでこれ以上の試合数にはしたくないでしょう。



 次に、出場チームが40チームになっていたら―――という話をします。実はW杯の出場チームの拡大案は、今回正式に決まった「48チーム」とは別に「40チーム」という案もあって、私は「40チーム」の方ならあるかなーと思っていました。

 この場合は恐らく、40チームを5チームずつ8グループに分けてグループリーグを行います。どのチームも「4試合ずつ」行って、1つのグループリーグで10試合が行われることになります。

 グループリーグは8つですから、大会の前半戦となるグループリーグで10×8=80試合が行われることになります。

 それらのグループリーグ上位2チームが決勝トーナメントに進むとすると、決勝トーナメントは16チームで行うことになります。トーナメント戦は「1試合ごとに1チームずつ脱落する」制度ですから全部で15試合、3位決定戦を行う場合は16試合――――グループリーグの80試合と決勝トーナメントの16試合で全96試合という計算になります。

 また、決勝戦・3位決定戦まで進む4チームは「グループリーグで4試合」「決勝トーナメントで4試合」戦うことになるので全8試合を行うことになりますね。現状の32チーム制の大会と比べると、1チームあたりの試合数が多くなるんですね。
 日本みたいにグループリーグから上に上がれるか微妙なチームからすれば「グループリーグだけで観られる試合が3試合から4試合に増えるのはうれしい!」と思えますが、ベスト4まで進むような強豪チームは疲労や怪我の心配が生まれます。




 では、正式に決まった「48チーム」の制度はどうなるのか――――
 どうやら48チームを3チームずつ16グループに分けてグループリーグを行うみたい。
 どのチームも「2試合ずつ」行って、1つのグループリーグで3試合が行われることになります。

 グループリーグは16ですから、大会の前半戦となるグループリーグで3×16=48試合が行われることになります。現状の「32チーム」制度と同じ試合数ですね。

 それらのグループリーグ上位2チームが決勝トーナメントに進むとすると、決勝トーナメントは32チームで行うことになります。トーナメント戦は「1試合ごとに1チームずつ脱落する」制度ですから全部で31試合、3位決定戦を行う場合は32試合――――グループリーグの48試合と決勝トーナメントの32試合で全80試合という計算になります。

 また、決勝戦・3位決定戦まで進む4チームは「グループリーグで2試合」「決勝トーナメントで5試合」戦うことになるので全7試合を行うことになる―――ということで、決勝まで進んだチームの試合数は現状の「32チーム」制度と変わらず、疲労や怪我などの心配が現状と変わらないということになります。


 日本のような「グループリーグで敗退する可能性も高いチーム」からすれば、「今までは最低でも3試合は観られたのが2試合で敗退する可能性が高くなってしまった!」ことが問題ですが。大会全体で考えれば“レベルの低いチームは2試合で帰ってくれる”という考え方もできます。
 「48もチームが参加したらレベルが保てないんじゃないのか?」という不安は、逆に考えれば「そういうチームはグループリーグで敗退する可能性が高い」「強豪チームはバラけるのでグループリーグで敗退する可能性が減る」「本番は決勝トーナメントから」と言えますし、そもそも日本は「W杯に出場できるレベルうんぬんかんぬん」を言える立場じゃないですしね。日本がW杯に出場できるようになったのも、出場枠が24チームから32チームに増えてからですし。


 ……と考えると、この「48チーム案」。
 割とよく出来ている案なようにも思えてきました。グループリーグの細かいルールをどうするのかはこれから詰めていかなければなりませんが、大会全体の方向性としては悪くないでしょう。


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 さて、本題はここから。
 今回の改革で私が一番気になったのは、出場国数が変わることではなく「グループリーグごとのチーム数」が変わることでした。「4チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」と「3チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」では、求められる強さが全然変わると私は思うんですね。


 現状のルールのまま「グループリーグのチーム数」だけを減らすことは考えられません。
 グループリーグのチーム数が偶数になる「32チーム」制度の現状は、そのグループリーグの最終戦は2試合同時キックオフとなっていました。2014年ブラジル大会の日本で言えば、「日本vs.コロンビア」と「ギリシャvs.コートジボワール」は同時キックオフでした。

 しかし、「グループリーグのチーム数」が3や5になる場合、全チームの最終戦を同時キックオフには出来ませんから、最終戦が最後に来るチームが有利になるのです。例えば、最終戦を戦う2チームが「引き分けなら両チームとも決勝トーナメントに上がれる」なんてことになったら、2チームが共謀してわざと引き分けにする可能性が出てくるのです。



 それを防ぐ一番の手段は「引き分けの廃止」だと思うのですが、そうすると今度はじゃんけんの三すくみのように「全チームが1勝1敗で並ぶ」ケースが多発するように思えます。その場合はPK戦を行うとかFIFAランキングで決めるみたいな案が出ているそうですが、どっちも自分はしっくり来ません。2026年までに、みんながそこそこ納得できる順位決定方法を誰かが思いつくかどうか……



 ということで、現状と同じような「勝利で勝ち点3」「引き分けで勝ち点1」「負けは勝ち点0」、「勝ち点の高いチームが上位、それが同じ場合は得失点差で順位を決めて、それも同じなら総得点で順位を決める」というルールのままにはならないと思うのですが……現状と同じルールならばという条件で、「4チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」と「3チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」がどう違うのかを考えていこうと思います。


 まずは「4チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」の場合。

・「3勝0分0敗」の成績だと……確実にグループリーグ突破です
・「2勝1分0敗」の成績でも、グループリーグ突破確定です
 ※ 総得点で2位になる可能性はある
・「2勝0分1敗」の成績だと、計算上は突破できないこともあります
 ※ 有名なのはアトランタ五輪の時の日本
 ※ ただし、1998年以降のW杯では発生していないレアケースだそう

・「1勝2分0敗」の成績は、あまり聞かないケースですが敗退もありえます
・「1勝1分1敗」の成績だと、突破の可能性は約50%
・「0勝3分0敗」の成績だと、突破はかなり厳しい
 1998年大会のチリなど、2位以内に入れた例もなくはない
・「1勝0分2敗」の成績では、理論上は突破できるケースもなくもないです
・「0勝2分1敗」の成績でも、ごくごく稀に突破できることがあります
 ※ 24チーム制度でしたが、2005年のワールドユースの日本はこの成績でグループリーグ2位になっています

 勝ち点9~7なら確実。(「3勝0分0敗」「2勝1分0敗」)
 勝ち点6~4なら得失点差・総得点次第。(「2勝0分1敗」「1勝2分0敗」「1勝1分1敗」
 勝ち点3~2は、よほど運が良ければ。(「0勝3分0敗」「1勝0分2敗」「0勝2分1敗」)


 ってところですね。
 基本的には、「1勝は必ずしなければならない」
 「残りの2試合は相手に勝ち点を与えない、無駄な失点をしない」戦い方が重要かなと思います。負けてしまうと「勝ち点3」を相手に献上してしまうので2位狙いに切り替えないといけませんし、その場合は得失点差が重要になりますんで。



 では、「3チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」の場合はというと。

・「2勝0分0敗」の成績なら、確実にグループリーグ突破です
・「1勝1分0敗」の成績でも、確実にグループリーグ突破です
・「1勝0分1敗」の成績の場合は他チームの状況次第
・「0勝2分0敗」の成績だと、総得点が多ければグループリーグ突破です
・「0勝1分1敗」の成績だと、得失点差次第ではグループリーグ突破です


 「1勝0分1敗」のケースだと……
 例えばブラジルとかドイツみたいな「強豪国」が2連勝してくれて、それに劣る2チームが「1勝」を賭けて戦って勝った「1勝0分1敗」ならグループリーグ突破になります。

 1位 「2勝0分0敗」← 突破!
 2位 「1勝0分1敗」← 突破!
 3位 「0勝0分2敗」

 しかし、3チームの力が拮抗していて、じゃんけんの3すくみのように「グーはチョキに勝つがパーに負ける」「チョキはパーに勝つがグーに負ける」「パーはグーに勝つがチョキに負ける」状況になると3チームが「1勝0分1敗」に並ぶことになります。その場合は、得失点差・総得点で決まるのでややこしくなります。

 1位 「1勝0分1敗」← 突破!
 2位 「1勝0分1敗」← 突破!
 3位 「1勝0分1敗」


 「0勝2分0敗」のケースだと、残りの試合次第です。
 例えば「ブラジル、ドイツ、日本」というグループリーグの組分けになった場合、日本が死にもの狂いブラジル戦もドイツ戦も引き分ければ、ブラジルとドイツの試合で勝った方が突破、負けた方が敗退となります。ここでは仮にブラジルが勝ったとしますか。

 1位 ブラジル「1勝1分0敗」← 突破!
 2位 日本「0勝2分0敗」← 突破!
 3位 ドイツ「0勝1分1敗」

 つまり、「3チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」ならば1敗もしなければ1勝しなくても突破できるのです。このルールだと、恐らく現状の「4チームでリーグ戦をして上位2チームに入ること」のルールよりも「引き分け狙いのチーム」が増えるんじゃないかと思います。

 ただし、この「0勝2分0敗」狙いにも落とし穴があって……3チームが「0勝2分0敗」に並んだ場合は総得点で順位が決まるため、最後に試合をする2チームが共謀する危険性が生まれます。

 1試合目は日本が死にもの狂いでブラジルと0-0で引き分けた、2試合目も日本が死にもの狂いでドイツと0-0で引き分けた、3試合目はブラジルとドイツの試合ですが「負けたらグループリーグ敗退」になるので両チームが共謀してわざと1-1で引き分けることにした―――というケースが起こると日本は敗退です。最終戦を戦わないチームがすっごく不利なんですね。

 1位 ブラジル「0勝2分0敗 総得点1」← 突破!
 1位 ドイツ「0勝2分0敗 総得点1」← 突破!
 3位 日本「0勝2分0敗 総得点0」

 ということで、3チームでグループリーグを行う場合は「引き分けを廃止」「90分で決着がつかなければPK戦で勝敗を決める」とかに変わるんじゃないかと思いますし、そうなると「PK戦の強いチームが同点のままPK戦に持ち込んで勝つ」みたいな試合がグループリーグから増えるんじゃないかと危惧しています。それならもう、最初からトーナメントにしちゃってもイイんじゃなかろうか……



 ということで私、今回の「48チーム案」を聞いて最初に思ったのは「つまんない大会になりそうだなー」でした。今までW杯に出られなかったようなチームが出ることでレベルが下がるとか、弱いチームは2試合で大会を去らなければならないとかは別にイイんですけど、全体的に「引き分け狙い」「PK戦狙い」の守備的な戦い方をするチームが増えるだろうなーと思いました。

 いや、「守備的な戦い」を面白いと思う人もいらっしゃるでしょうけど(笑)。
 私は点がバカスカ入るような試合が好きなので、自分が面白いと思うような大会にはならないだろうなーと……今のうちから寂しく思っています。9年も後の話ですけど。生きているかな、私……


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サッカーってそんなに勝てるスポーツじゃないんですよ

 今こそ、この言葉を思い出す時だっ!

「試合で勝った者には友達が集まってくる。新しい友達もできる。
本当に友人が必要なのは、敗れたときであり敗れたほうである。私は敗れた者を訪れよう。」
――― デットマール・クラマー(日本サッカーの父)



 サッカー日本代表は、2014年ブラジルW杯のグループリーグ3戦目のコロンビア戦に敗れ、1分2敗のグループリーグ最下位で大会を去ることになりました。

 「紙一重だった」と私は思います。
 1-4というスコアを見ると、完膚なきまでに叩きのめされたように思えるかも知れませんが……あの試合の日本は勝利のみがグループリーグ突破の条件でしたから、「1-1の引き分け」も「1-100の敗戦」も同じです。リスクを賭けて攻撃をし続けて、カウンターを喰らい続け、最後に足が止まってしまっての失点でした。これは2006年ドイツW杯でのグループリーグ3戦目ブラジル戦にも言える話です。

 「先制点が獲れていれば……」「勝ち越しゴールを奪ったのが日本だったら……」
 勝負の世界に「たられば」は禁句ですが、コロンビア戦に限って言えば敗因は「4失点したこと」ではなく「先制点を獲れなかったこと」「勝ち越しゴールを奪えなかったこと」です。


 1-4というスコアのショッキングさだけで、必要以上に日本の弱さを悲観しなくてもイイし。
 もしコロンビアと戦ったのがグループリーグの1戦目や2戦目だったら、同じスコアにはならなかったと思います。1戦目や2戦目だったら、同じ負けるにしても日本は得失点差を考えて戦わなきゃなりませんからね(※1)

 例えば、2010年の南アフリカW杯では、オランダと戦ったのが2戦目だったため日本は0-1での“最小失点差での”敗戦に持ち込みました。その結果、オランダと1戦目で0-2で敗れていたデンマークよりも得失点差で優位に立ち、3戦目のデンマークとの直接対決の時点で「引き分けでも日本がグループリーグ突破」という条件にすることが出来たのです。

(※1:ただし、1戦目・2戦目のコロンビアはベストメンバーですけど(笑))



 唸らされた二つの記事。

 「日本が子供の夢から覚める時」ブラジルW杯日本代表総括
 結果だけ見れば惨敗だが日本代表のスタイルは示した。あとは手付かずの守備に着手することが第一。

 確かに、思い返せばフィリップ・トルシエも若年世代から植えつけた「勝つためのサッカー」は守備の決めごとが多かったし、「Jリーグのチームは攻撃的なチームがほとんどなので私は代表で守備の戦術を植えつけている」ということを当時インタビューで語っていました。
 ジーコはその辺は選手達の自主性に任せていたけど、そのために選手間での意見の食い違いみたいなことが起こっていたという話だし。岡田監督時代の二大会はどちらも「人が人を徹底的にマークして押さえ込む」チームでした。

 そう考えると……ザッケローニという監督人選には「日本には攻撃面では申し分のないタレントが揃っているのだから守備面での強化を図りたい」というビジョンがあったのか!と、監督退任が決まってから今更ながらに気付いたのですし。結果的に、その思惑通りには行かなかったのかーと。




 とすると、次の監督も外国人監督が望ましいのかとか、若年世代から守備を教えるのはどうすればイイのかとか、「守備的サッカーはダサイ」みたいな風潮はどこから来ているのかとか、そもそも「南半球での開催なら季節が逆だから涼しいW杯になるだろう」なんて思ってたら全然ちげえじゃねえかバカヤロウとか、ロシアはちゃんと涼しいんだろうなボケエとか……考えたいことはたくさんあるのですけど。


 私が今回の記事を書いたのは、
 こんなことくらいでサッカーを嫌いにならないでと、伝えたかったからです。


 サッカーって、そんなに勝てるスポーツじゃないんですよ。
 W杯の本大会に進むだけでも大変なのに、出場している32チームの中でグループリーグを突破出来るのは16チームだけ。日本だけじゃない、スペインもイタリアもイングランドも今回はグループリーグで散っていますし。前回大会はフランスとイタリア、2002年日韓W杯ではフランス、ポルトガル、アルゼンチンがグループリーグで散っています(オランダに至っては予選で敗退している)。

 毎回グループリーグを突破しているのはブラジルとドイツとメキシコくらいで、残りの13枠は毎回違うチームが奪いあっているのです。日本は4年前は奪えたけど、今回は奪えなかった―――W杯で勝つのはそれくらい難しいのです。
 「グループリーグ突破がノルマ」と言えるほどの強豪国に、日本はまだなれていません。まだまだ「グループリーグ突破が目標」という国なんです。



 日本にとって、2010年の南アフリカ大会は「地の利」もありました。
 この季節の南アフリカは涼しく、運動量が落ちずに走り続けることが出来ましたし。標高の問題と公式球の問題ゆえに「ボールが飛びすぎる」「カーブがかかりにくい」という違和感が全チームを苦しめ、トップクラスの選手でさえロングパスの精度やクロスの精度がガクンと落ちていました。結果的に、2006年にオーストラリアにやられたような「背の高い選手にポンポン放り込まれるパワープレイ」は有効でなくなり、日本は安定した守備で失点を抑えることが出来たのです。
 その一方で、ボールが不規則な変化をするということで、本田圭祐のブレ球フリーキックは「魔球」と化してデンマーク戦の先制ゴールとなりました。

 今回のブラジル大会は逆に、日本にとってはムチャクチャ不利な状況の大会で。
 高温多湿な会場が続いた上に、ピッチコンディションも悪く……日本代表の生命線であった「運動量」と「ショートパスの精度」がガクンと落ちて。やりたいサッカーが出来ない状況に追い込まれてしまいました。



 正直なところ、W杯という大会は「最高の環境で最高の戦いが出来る大会」ではないんです。ヨーロッパのリーグが休みになった夏(北半球にとっての)に行われ、興行のために巡業のように様々な国が開催地になり、参加国の時差に合わせてテレビ中継しやすい時間帯での試合になって……

 今の日本サッカーは「Jリーグではレベルが低いから海外のチームに移籍しなきゃ!」と、有望な選手が次々とヨーロッパに移籍していますが。ドイツはともかく、スペインもイタリアもイングランドもグループリーグで敗退しているんだから「普段からヨーロッパのクラブでプレイしていればW杯で勝てる」なんてワケがないんです。

 むしろ、ヨーロッパの最高の環境に慣れたチームこそ苦戦しているとも言えて。
 実際2010年の南アフリカ大会も2014年のブラジル大会でも5チームがグループリーグを突破した南米勢は「劣悪な環境」をモノともしませんし、6大会連続グループリーグ突破のメキシコも高地だろうが高温多湿だろうが運動量が全く落ちませんし。
 そう考えるとドイツって何なの……という話もしたいけど、スポーツの取り組み方が違いますからねぇドイツは。男女違えど、なでしこはよくぞあんな連中に勝てたもんだ。



 次のW杯の舞台は「ロシア」、次が「カタール」。
 カタールは……まぁ、色々な問題があるので「本当にやるの?」とは思うんですが。

 ちなみにU-23代表が戦う五輪の舞台は、またしても「ブラジル」、次が「日本」です。
 日本……?7~8月の日本でサッカーやるの……?試合数を考えれば全試合をナイトゲームにってワケにも行きませんし、いずれにせよ暑い大会になりそうですね。


 これらの大会を「勝つ」ことを目標にするのなら、これらの地に合わせたチームを作るというのも一つの手だと思います。
 「自分達のサッカー」というものに固執せず、「勝つためのサッカー」を目指すという手です。2002年W杯も、2010年W杯も、それをやって実際にグループリーグを突破して。そしたら「もっと自由なサッカーを志すべきなんじゃないか」「スペインのような攻撃サッカーを目指すべきだったんじゃないか」と、毎回成功体験を台無しにしてきたから今大会の成績になっているんですが(笑)。


 「勝つためのサッカー」か、「みんなをワクワクさせるサッカー」か。
 W杯では輝かなかったけど、4年間の間ではショートパスを主体とするポゼッションサッカーをする日本を見せてもらったことが何度もありますし。それで幸せだった時期も確かにあります。「W杯で勝てなかった」という一点だけでそれを全部否定して良いものなのか、私には何とも言えません。


 そういう意味では、「これから先の日本代表」がどういう道を進むのかは楽しみですし、監督もそうですし、白紙に戻して新しいメンバーで組むことになるであろう選手達がどういう人選になるのか今から楽しみではあります。次の日本代表の大きな大会は、1月のアジアカップ(場所はオーストラリア)。

 もちろんそれまでにもJリーグがあって、その中から選手達は選ばれるのだろうし。
 そもそもその前に、今現在W杯はまだ続いていて、ここからが「W杯の上位進出チーム同士の戦い」になるのですからね。ここからが面白いところなのです!日本代表は負けたけど、サッカーは消えてなくなるワケじゃないし、これからもサッカーは面白いのです!

 個人的には、メッシにはW杯という舞台でも輝いてもらいたいのでアルゼンチンに決勝辺りまでは来てもらいたいのだけど……果たして。


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サッカー日本代表が得意としてきたチーム、苦手としてきたチーム

 コロンビア戦の前にどうしても書いておきたかったのです。
 サッカー日本代表は、今回の2014年ブラジルW杯で2試合を終えて1分1敗で「勝ち点1、得失点差-1、総得点1」という成績です。決勝トーナメントに進むためには、3戦目のコロンビア相手に勝った上に、ギリシャとコートジボワールの結果を祈らなければならない―――

 この絶望的な状況で、敢えて書いておきたかったのです。
 私は今回のW杯のグループリーグの組み合わせが決まった時、「アフリカ(コートジボワール)、ヨーロッパ(ギリシャ)、南米(コロンビア)という組み合わせかー」と少しヤバイ予感がしていました。決勝トーナメントに進めた2002年と2010年の大会と比べて、相当難しい戦いになるぞと。


 何故そう思ったのかを説明するために……
 日本が初めてW杯に進出した1998年以降の、W杯、オリンピック、コンフェデレーションズ杯の3つの国際大会の成績を並べてみようと思います。
 ワールドユース(U-20W杯)のような年代別の大会は参考にならないと思ったので外しましたが、オリンピックはオーバーエージ枠があるので入れました。コンフェデ杯は入れましたけど、それ以外の親善試合やカップ戦はキリがないので省きました。

 ついでなので、各試合の得点者も記しておこうと思います。
 これは単に私の趣味です(笑)。


【1998年 フランスW杯】
 × アルゼンチン(南米)0-1
 × クロアチア(ヨーロッパ)0-1
 × ジャマイカ(北中米カリブ海)1-2 ※ 中山雅史

【2000年 シドニー五輪】
 ○ 南アフリカ(アフリカ)2-1 ※ 高原直泰・高原直泰
 ○ スロバキア(ヨーロッパ)2-1 ※ 中田英寿・稲本潤一
 × ブラジル(南米)0-1
 × アメリカ(北中米カリブ海)2-2(PK 4-5) ※ 柳沢敦・高原直泰

【2001年 日韓コンフェデ杯】
 ○ カナダ(北中米カリブ海)3-0 ※ 小野伸二・西澤明訓・森島寛晃
 ○ カメルーン(アフリカ)2-0 ※ 鈴木隆行・鈴木隆行
 △ ブラジル(南米)0-0
 ○ オーストラリア(オセアニア)1-0 ※ 中田英寿
 × フランス(ヨーロッパ)0-1

※ 当時は国際Aマッチデーでの開催ではなかったので、各国の主力が必ずしも揃っていたワケではありませんでした

【2002年 日韓W杯】
 △ ベルギー(ヨーロッパ)2-2 ※ 鈴木隆行・稲本潤一
 ○ ロシア(ヨーロッパ)1-0 ※ 稲本潤一
 ○ チュニジア(アフリカ)2-0 ※ 森島寛晃・中田英寿
 × トルコ(ヨーロッパ)0-1

【2003年 フランスコンフェデ杯】
 ○ ニュージーランド(オセアニア)3-0 ※ 中村俊輔・中田英寿・中村俊輔
 × フランス(ヨーロッパ)1-2 ※ 中村俊輔
 × コロンビア(南米)0-1

【2004年 アテネ五輪】
 × パラグアイ(南米)3-4 ※ 小野伸二・小野伸二・大久保嘉人
 × イタリア(ヨーロッパ)2-3 ※ 阿部勇樹・高松大樹
 ○ ガーナ(アフリカ)1-0 ※ 大久保嘉人

【2005年 ドイツコンフェデ杯】
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-2 ※ 柳沢敦
 ○ ギリシャ(ヨーロッパ)1-0 ※ 大黒将志
 △ ブラジル(南米)2-2 ※ 中村俊輔・大黒将志

【2006年 ドイツW杯】
 × オーストラリア(オセアニア)1-3 ※ 中村俊輔
 △ クロアチア(ヨーロッパ)0-0
 × ブラジル(南米)1-4 ※ 玉田圭司

【2008年 北京五輪】
 × アメリカ(北中米カリブ海)0-1
 × ナイジェリア(アフリカ)1-2 ※ 豊田陽平
 × オランダ(ヨーロッパ)0-1

【2010年 南アフリカW杯】
 ○ カメルーン(アフリカ)1-0 ※ 本田圭佑
 × オランダ(ヨーロッパ)0-1
 ○ デンマーク(ヨーロッパ)3-1 ※ 本田圭佑・遠藤保仁・岡崎慎司
 × パラグアイ(南米)0-0(PK 3-5)

【2012年 ロンドン五輪】
 ○ スペイン(ヨーロッパ)1-0 ※ 大津祐樹
 ○ モロッコ(アフリカ)1-0 ※ 永井謙佑
 △ ホンジュラス(北中米カリブ海)0-0
 ○ エジプト(アフリカ)3-0 ※ 永井謙佑・吉田麻也・大津祐樹
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-3 ※ 大津祐樹
 × 韓国(アジア)0-2
 
【2013年 ブラジルコンフェデ杯】
 × ブラジル(南米)0-3
 × イタリア(ヨーロッパ)3-4 ※ 本田圭佑・香川真司・岡崎慎司
 × メキシコ(北中米カリブ海)1-2 ※ 岡崎慎司

【2014年 ブラジルW杯】
 × コートジボワール(アフリカ)1-2 ※ 本田圭佑
 △ ギリシャ(ヨーロッパ)0-0
 ? コロンビア ← さぁ、決戦だ!!


 日本が今大会で1戦目に戦ったのはコートジボワール(アフリカ)。
 アフリカ勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「7勝0分1敗」です。勝率87%―――言ってしまえば日本がカモにしていた相手なのです。かつては「アフリカコンプレックス」みたいなことも言われていましたが、1998年以降で敗れたのは1度しかなかったのです。その1度というのが、現日本代表が23歳以下代表だった北京五輪というのがアレなんですが……

 だから、日本はコートジボワール相手に何が何でも勝たなくてはならなかったのです。「アフリカ最強」と言われようが、「英雄ドログバ」のいるチームだろうが、日本が最も勝ち点を計算できる相手はコートジボワールだったのです。



 日本が今大会で2戦目に戦ったのはギリシャ(ヨーロッパ)。
 ヨーロッパ勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「5勝2分8敗」です。勝率33%―――ヨーロッパと一言で言っても、フランスW杯で敗れたクロアチアは大会3位、日韓W杯で敗れたトルコも大会3位、アテネ五輪で敗れたイタリアも大会3位、南アフリカW杯で敗れたオランダは大会2位と、強豪国と戦えばそりゃ負けるだろうって話なんですが。

 引き分けも含めれば46%で……
 試合内容からしても、日本は比較的ヨーロッパは「まだ戦える相手」なんですよね。ロンドン五輪ではスペインに勝っていますし、昨年のコンフェデ杯でのイタリア戦、その後のオランダ、ベルギーとの親善試合を見ても、ヨーロッパは強豪相手でも「そこそこ戦える」相性だったと思います。

 だから、ギリシャ相手は「出来れば勝ちたい」「最悪でも引き分け」と思っていました。


 さて、これから日本が戦うのはコロンビア(南米)ですが……
 南米勢との試合は、1998年以降で今大会前まで日本の「0勝2分7敗」です。勝率0%―――勝率0%―――勝率0%―――日本は1998年以降、主要な国際大会で南米のチーム相手に勝ったことが一度もないのです。(※1)

(※1:ついでに言うと、「北中米カリブ海」相手にも1勝1分6敗で勝率12%)

 私が組み合わせを見て「難しい大会になる」と思ったのはコレが理由で。
 日本が決勝トーナメントに進めたW杯は、2002年「ヨーロッパ、ヨーロッパ、アフリカ」という組み合わせ、2010年の「アフリカ、ヨーロッパ、ヨーロッパ」という組み合わせの時だけで。南米のチームと同じグループに入った時、日本はW杯で一度も決勝トーナメントに進めていないんです。


 だから、今大会も「コートジボワールとギリシャ相手に2連勝しないと決勝トーナメント進出は厳しい」と思っていましたし、そこで1分1敗の現状では絶望的だぞと思っているのです。
 サッカーに詳しい人ほどそれが分かっていますから、「コロンビア相手に勝てるワケがない」「日本のW杯は終わった」と言っているのです。


 私も、頭ではそう思っています。







 でも、「奇跡的なドラマ」というのはこういうところから始まるものですよ。

 予定通り行かない絶望的な状況であっても、諦めないで何かを成し遂げた時にだけ「ドラマ」は生まれるのです。1998年以降、ただの1度も勝てなかった南米チーム相手に勝って決勝トーナメントに進めば―――これは歴史に残る「奇跡的なドラマ」だと言えます。



 オッサン世代は今日の記事に「え?何でアレを抜かすの?」と思っていたことでしょう。
 そうです。日本代表はかつて「奇跡」を起こしたことがあるのです。

【1996年 アトランタ五輪】
 ○ ブラジル(南米)1-0 ※ 伊東輝悦
 × ナイジェリア(アフリカ)0-2
 ○ ハンガリー(ヨーロッパ)3-2 ※ 前園真聖・上村健一・前園真聖


 1996年、日本はアトランタ五輪という舞台で「スーパースター軍団」だったブラジル代表を破っているのです。当時の日本はW杯に出場したことがなく、五輪も28年ぶりの出場、A代表経験者ですら前園と城の2人しかいない日本代表が、世界最強だったブラジル代表を倒しているのです。当然、ブラジルは南米のチーム。

 当時の日本のサッカーと、今の日本のサッカーは全然違いますし。
 「勝つための守備的なチームでイイのか」というのは、20年近く経っても未だに結論が出ていない日本代表永遠の議論なのですが。恐らく、「今の日本代表がコロンビアに勝つ」ことと「当時の日本代表が当時のブラジル代表に勝つ」ことの難しさを比較すれば、圧倒的に後者の方が難しいことと思われます。


 そもそもの話なんですけど……
 「W杯優勝を目指します」はビッグマウスだとしても、「ベスト8を目指します」を目標とするのならコロンビア級の強豪国には勝てるようじゃないと話にならないんですよ。コロンビアの世界ランキングは8位ですから。

 ましてや「南米勢とは当たらないことを祈ります」みたいな心がけで、ベスト8なんて行けるワケがないんです。



 もちろん、現実的には決勝トーナメント進出は厳しいです。
 日本がコロンビア相手に100-0で勝ったとしても、コートジボワールがギリシャに勝ってしまえば日本の敗退が決まってしまいます。でも、だからこそ書いておきたいのです。1998年以降、一度も勝っていない南米勢に勝てば超かっこいいぞ>日本代表
 それこそ4年前、南アフリカの地で散った日本代表は、南米のパラグアイにPK戦の末に敗れたんじゃないですか。そのリベンジをするチャンスには、絶好の機会じゃないですか。

 いや、もうホント私の本心を言ってしまえば……
 決勝トーナメントに行けるかどうかよりも、この試合に勝てるかどうかよりも、「最も相性の良くない最強の相手」に日本の攻めるサッカーを見せてくれるかどうかを期待しているのです。この試合を早起きして観た子ども達が「やっぱりサッカーって面白いな」と思えるような試合をして欲しいのです。

 決勝トーナメントに進めなければ、ザックジャパン最後の試合です。
 4年間の全てを、ここにぶつけてくれ!


 もういっそのこと、3-4-3のフォーメーションでやってみましょうか!(オイ


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| サッカー観戦 | 17:54 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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テレビでのサッカー観戦にも、「注目すべきタイミング」があるのです

 今週木曜の『たまむすび』(@TBSラジオ)にて面白い話がされていました。
 「サッカーは試合中ずっとテレビに注目しないといけないのか?」という話。

 例えば野球だったら「攻守交代」のタイミングは点が入りませんし、ピッチャーがバッターにボールを投げるまでの“間”は目をそらしていても問題がなかったりします。「テレビから目を離して良いタイミング」で、トイレに行ったり飲み物を用意したり出来ますし、慣れてくると携帯ゲーム機で遊びながら野球観戦が出来たりするものです。

 しかし、サッカーでそれをするのはなかなか難しいです。
 ハーフタイムを除けば選手達は90分間常に動き続けていますし、ちょっと目を離した隙に点が入ってしまうこともあるので、試合が始まったらトイレに行くことも飲み物を用意することも出来ない―――という話がされていて、ゲストに来ていたサッカー解説者(水内猛さん)も「試合が始まったらずっとテレビを観続けてください」と言っていました。



 確かにそれが理想ではあります。
 90分間ずっと集中してサッカーを観戦出来る―――これ以上ない贅沢だと思いますし、それが一番サッカーをテレビで楽しめる方法だと思います。でも、なかなかそれを実現出来る人ばかりではありませんよね。

 家事をしながら、漫画を描きながら、レベル上げをしながら……忙しい現代人は忙しさの合間を縫ってW杯を楽しまなきゃならないので、サッカーだって「ながら」で観なくてはいけなかったりするものです。みんながみんなサッカーのために全てを犠牲に出来るワケではないのです。



 だから、久々に「初心者のためのサッカーの楽しみ方講座」を書きます。
 “得点シーン”だけに注目するのなら、実はサッカーは「得点が入りやすいタイミング」があります。家事をしながら、漫画を描きながら、レベル上げをしながら、その瞬間だけテレビに注目するという楽しみ方だって私はイイと思うのです。

 実際、私も横でテレビを付けながら漫画を描く作業をしているので、よほどの試合でない限り「90分間テレビに集中する」なんてことは出来ません。「あ、点が入りそうだな」というタイミングだけテレビ画面を観る―――という楽しみ方をしている試合がほとんどです。
 そんな熟練の「ながらサッカー観戦」の技を今日はみなさんに伝授して、既に始まっているサッカーW杯を楽しんでもらえたらなと思うのです。



1.実況・解説や、観客が盛り上がったら「得点が入りそうなタイミング」
 テレビ画面を観ずに他のことをしている間でも、“音声”を聴いていれば「得点が入りそうなタイミング」が分かるものです。これは、「入りそうな」というだけで「入る」とは限らないんですけどね。
 どちらかのチームのチャンスになりそうな時、試合をちゃんと観ている実況の人は声のトーンが上がりますし、観客席も「来ましたわーーー!」と盛り上がるのです。

 「チャンスを作り出す」というのがどういうことかと言うと、効果的なパスが出た場合、ドリブルでマークを振り切った場合、相手のボールを奪ってカウンターを仕掛けた場合……と、様々なプレイがあるのですが。サッカー観戦初心者には「どれが効果的なパスか」なんて分かりませんし、そもそもテレビ画面を観ずに洗濯物をたたんでいたら「効果的なパスか」なんて分かりませんよね。

 だから、テレビから聴こえる“音声”で判断するのです。
 どちらかのチームがチャンスを作ったぞ―――と。

 もちろんチャンスは全て実るワケではないので、必ずしも得点が生まれるワケではありません。相手チームが何とか守備でしのぐということの方がほとんどです。野球で言えば「ランナーが2塁に進んだ」くらいの状況です。
 しかし、言い換えれば「得点になりそうなチャンスのシーン」は観ることが出来るのです。そここそがサッカーの面白さなので、得点が入らなくても楽しんでください。


2.ペナルティキック(PK)、コーナーキック、フリーキックは「得点が入りやすい」
 ペナルティキックというのは、敵のゴール前のエリアで味方がファウルをもらった時などに与えられる「ボーナスチャンス」みたいなもので。ゴールキーパーと1対1でボールを蹴りこむことが出来ます―――当然、これは得点が入りやすいタイミングなので、「うわああああ!PKです!PKです!」と実況の人が叫んだらテレビの画面に注目してください。


 あとはコーナーキックと、(ゴール前での)フリーキック。
 いわゆるセットプレイ、リスタートというのは得点のチャンスで―――具体的なデータは分かりませんが、サッカーの得点の何割かは「コーナーキック」「ゴール前でのフリーキック」から生まれているんじゃないかと思います。

 「正確なキックが蹴れる人がいる」「空中戦に強い選手がいる」「とにかく練習して色んなパターンを用意している」―――試合の流れとしては圧倒されているチームでも、1つのコーナーキックで1点取って守りきるみたいなことが出来てしまうのがサッカーです。



 ペナルティキックよりは頻繁に蹴られる「コーナーキック」「ゴール前でのフリーキック」で、得点が入る確率もペナルティキックよりは低いですが……それでも得点の入りやすいタイミングであることは間違いないので、「コーナーキック」「ゴール前でのフリーキック」が行われそうだと思ったらテレビ画面に注目してみるとイイと思います。


3.相手のボールを奪った選手がすっげえ走っている時は「得点が入りやすい」
 これは「1」とも被っている話ですが……
 いわゆる「カウンター」「速攻」と呼ばれるプレイです。

 サッカーでポンポン点が入る時というのはこのプレイが多く、点を取らなければいけないAチームが人数をかけて攻めてくる→ Bチームがボールを奪う→ Aチームは攻撃に人数を割いているので守備が手薄→ ボールを奪ったBチームの選手は「来ましたわーー!!」と敵ゴールに向けてダッシュというカンジです。


 ロングカウンターの動画がなかったので、下の動画はショートカウンター。
 ロングカウンターの方が人数も手数もかけずにもっと分かりやすいのですが、残念ながら動画がありませんでした。ロングカウンターは地力が劣るチームが一矢報いる時に使う戦術でもありますし、既に得点を決めていて守りを固めているチームが追加点を狙う時にも使う戦術です。




4.敵のサイド奥深くまで侵入できた時は「得点が入りやすい」


5.ゴール前の「バイタルエリア」まで侵入できた時は「得点が入りやすい」


 「サイド攻撃」も「中央突破」も得点チャンスの代表的な形ですが、問題はテレビ画面を観ていない人が実況などで「侵入できた」と分かった時にはもうシュートが撃たれているということです(笑)。


6.逆に考えるんだ。「得点シーンなんて観逃しちゃってもいいさ」と考えるんだ。
 これまで「得点の入りやすいシーン」を観逃さない方法ばかりを書いてきましたが、正直100%「観逃さない」なんてことは不可能だと思います。実況の人が予想しないようなプレイで点が入ってしまうことがありますし、「よくある得点パターン」以外の得点シーンが起こりうるのがサッカーです。

 だから、諦めてしまうのが一番です。
 サッカーのテレビ中継は、得点シーンのすぐ後にリプレイが流れます。
 得点シーンを観逃しちゃったらリプレイを観ればイイんですよ。


 「リプレイでは流れが分からないから得点シーンを観たという気がしない」ですって?
 それだったらイイ方法があります。最近のレコーダーには恐らく「追っかけ再生」という機能が付いています。録画しながら再生もできるという機能なので、試合が始まったら30秒遅れくらいで再生→ 得点シーンを観逃したら巻き戻して得点シーンの前から再生開始→ 得点シーンが観られる!!

 「30秒遅れで再生」していたら、近所から「入ったーー!」という声が聴こえてくるから得点シーンが分かるという裏技もありますね(笑)。




【三行まとめ】
・実況の声が大きくなったり、観客が騒いでいる時は「得点」の予感
・PK、コーナーキック、フリーキックは「得点」が入りやすい
・「得点」を観逃しても、リプレイを観ればイイじゃないか!


 W杯の日本戦の前に、少しでも「サッカー観よう」って人が増えればイイなと書いたのですが……結果的に、書きながら『カルチョビット』を遊びたくなりました(笑)。また、一番下のリーグからやり直そうかなぁ。


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サッカー日本代表が勝てなかったのは、「日本人だから」ではなかった

 まだW杯の話です。
 「W杯後にもサッカーを楽しんでもらう」ことを考えると、やっぱりW杯前のことも語らなきゃならんと思いまして。ここ10年以上、日本サッカーにあった「日本人にサッカーは向かない」「だから勝てないのも仕方ないんだ」という論調について今日は書きます。



 「得点力不足」

 流石にプロの解説者やジャーナリストにこういう言い方をする人はいないと思いたいのですが、スポーツニュースなんかではサラッと「今日の試合も日本代表は課題の得点力不足を解消出来ないまま敗れました」みたいな一文で締めくくられたりします。あたかも、日本代表だけが「得点力不足」に苦しんで、そのせいで負けたかのように。


 トンでもない話です。

 サッカーというのは「得点を多く取った方が勝つ」スポーツですから、
 W杯で優勝したチームでもない限り、どこのチームも得点力不足なんですよ。


 「敗因は得点力不足」だなんて言ったら、サッカーのルールを説明しているに過ぎません。
 でも、「日本はずっと得点力不足だ」「他の国はそうではない」「日本には点が取れるフォワードが生まれない」「日本の国民性が」「農耕民族だから」「学校教育が悪いんだ」などなどなどなど……10年間で何度こんな言説を目にしたことか。


 98年大会の惨敗の時も、06年大会の惨敗の時も、
 「日本人だからダメなんだ」という論調がありました。

 日本人は協調性を重んじるから、「何が何でも俺が点を取って試合を決めてやるんだ」って選手が出てこないんだよ―――とか言っている“自称サッカー通”がどれだけいたことだか。




 じゃあ、野球は?
 WBCの時、野球の日本代表は「世界一のピッチャー陣」と言われていましたよね。
 先発・中継ぎ・抑えに多種多様なピッチャーがいて、他のチームを圧倒する守備力でWBCを2連覇しました。1回目の優勝は運が味方してくれた結果でしたけど、2回目の優勝は間違いなくピッチャー陣の力での優勝でした。

 ピッチャーなんてポジションは、「何が何でも俺が投げて試合を勝ってやるんだ!」という人でなければ立てない場所です。良い意味でも悪い意味でも、自分が強くて負けん気の塊でわがままな人間でなければ務まらないんですよ。



 野球のピッチャーにはそういう人材が集まって、サッカーにはそういう人材が集まらない。
 だとしたら―――それは「日本人の国民性」の問題ではなく、「日本サッカー」の問題です。人材を引っ張ってこれる魅力や、それを育てる育成力がサッカーになかったというだけの話です。


 日本サッカーが勝てない理由を、どう足掻いても改善の出来ない「国民性」とか「教育」とかのせいに押し付けて責任逃れをしてきただけじゃないですか。「天狗の仕業」と同じ理論。責任は全部ワケの分からないものに押し付けてしまえ、と。



 それこそがサッカー人気を低迷させてきた理由だと思いますよ。
 「日本人にサッカーは向かないんだ」と思い込ませてしまえば、「じゃあ応援しない」と思うし、子ども達も「サッカーより野球やろうっと」と思っちゃいますよ。何でもかんでも「国民性」のせいにするとか、日本人をなめんなよ。


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○ 確かにある「世界のトップレベル」との差
 「得点力不足」と似ているけど全然イミの違う言葉に「決定力不足」というものがあります。
 分かりやすく解説するとこんなカンジ。


【得点力不足の原因2種類】
・チャンスを作ってもシュートが入らない(=決定力不足)
・そもそもチャンスが作れない



 ぶっちゃけ問題の深刻さは後者の方が厄介なんですが……

 「日本代表には決定力が足りない」という言い方なら、まだ同意出来ます。
 日本だけじゃなくて、世界中の国がなかなかシュートを決めきれなくて苦しんでいるんですけど……今回のW杯のトップ4に入ったチームなんかを見ると、上位に行けるチームとそうでないチームでは、やっぱり決定力の差は大きいなぁと感じました。



 決定力というのは、「トラップ技術」と「シュート技術」です。
 メンタルだとか本気さだとかそういう精神論に逃げ込んで(その原因も全くないとは言いませんけど)、最終的に「日本人だからダメなんだ」「仕方ないんだ」という結論に持ち込もうとする人が沢山いますけど。単に技術の差ですよ。育成で何とかなるレベルの話です。


 日本人選手というのは、相手のマーク(自分に対する守備)が付いていないところだと物凄く高い技術を発揮できるんだけど、相手のマーク(自分に対する守備)が付いていると途端にミスをしてしまう―――という説は、確かにその通りだと思います。

 今回のW杯で、日本代表の中でも本田圭佑・松井大輔の二人は相手のマークをものともせずにプレイしていましたけど、それはやっぱりこの二人というのはヨーロッパのリーグに所属して、普段から厳しい守備相手に戦ってきたからだと思います。
 自分は優秀な選手がどんどん海外に出ていく現状はマズイと思っているんですけど……Jリーグでプレイしている選手と、ヨーロッパ上位のリーグで活躍している選手では、そうした技術の差があることも否定出来ません。


 逆に言うと、それこそ「国民性」の問題じゃないって証明ですよね。
 「Jリーグのレベル」の問題ですし、Jリーグのレベルを上げていけば解決する話です。




 W杯を制したスペイン代表の司令塔シャビは、173cmですよ。
 サッカー選手としては体格に決して恵まれていないけれど、トラップ技術とパス精度と運動量で世界を制したワケですよ。日本サッカーはそこの差を認めた上で、その差をこれからどう埋めていけばいいのかを育成段階から考えていかないとならんと思うのですよ。


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○ 「日本人らしい」でも勝てることの証明
 10年以上前、中田英寿がセリエAで大活躍していた頃―――彼の日本人離れした発言や行動を取り上げ、「他の日本人らしい選手は活躍できない」けれど「中田は日本人らしくないから活躍できるんだ」的な論調が確実にありました。

 98年の惨敗の時も、06年の惨敗の時も―――
 「中田は良かったよね」「日本人らしくないからやっぱり凄いよね」みたいな。



 今回の大会も、カメルーン戦後の本田圭佑に対して同じような報道がされかけましたけど……
 最終的には「チームとしての結束力」や「日本人らしいひたむきなプレイ」なんかが注目されたと思います。非常に日本人らしいキャラクターの岡田監督も含めて、「何だよ、日本人らしくても勝てるんじゃん」とみんなが気付けたんですよ。

 僕が、今回のW杯で一番嬉しかったのはこのことでした。
 10年以上、「サッカー日本代表が勝てないのは日本人だからだ」と言い訳にされてきたことが、全然間違っていたんじゃん、と証明してもらえたことでした。



 逆に言うと、コレから日本代表に選ばれる選手・監督は大変ですよ。もう言い訳出来ませんから。
 日本人であってもやり方次第で世界のベスト16に入れることを証明してしまったワケで、そこまで行けなかったら「やり方が悪かった」ということになりますからね。



 でも、ようやくここまで来れたとも思うんです。
 ずっとずっと「日本人だからダメなんだ」と言われてきたけれど、これからは「日本人でも戦えるんだ」と思えるんですもの。楽しみですよ、これからの日本代表も、そこに繋がるJリーグも。



 Jリーグは今晩も地上波の中継ないけどな!!
 「名古屋グランパスvs清水エスパルス」が観たいなぁ……ちくしょう…。


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| サッカー観戦 | 17:28 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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サッカー観戦初心者のためのオフサイド講座

 今日は大ネタ書きますよ。
 「サッカーのルールが分からない」という人の大半が仰る「特にオフサイドが分からない」という悩みを、この記事で見事なまでに解決してあげましょうじゃないですか!


 W杯をきっかけにサッカーに興味を持ってくれた人にこそ読んでもらいたいですが、そういう人も一まとめに出来ないくらい千差万別だと思いますので……オフサイド講座「初級篇」「中級篇」「上級篇」と三段階に分けて解説しようと思います。「上級篇」と言っても、やまなしレベルなので大したものでもないですけど(笑)。

 全く持って分からないという人は、今の段階で「上級篇」まで理解しようとせず、「初級篇」だけ読んで理解した気になるのがイイと思います。段階を踏んで、数ヵ月後に「中級篇」「上級篇」を読むとかでイイんですよ。いきなり全部を覚えるのは大変ですからね。



【オフサイド講座・初級篇】

1.オフサイドなんて分からなくても構わない
 いきなり元も子もないことから始めました(笑)。
 でも、ホントにそうなんですよ。頭でルールを分かることと、実際にプレイを見てオフサイドかどうかが判ることは別なんです。

 テレビ中継を観ていても、リプレイのスローVTRを観るまでは判らないことなんてしょっちゅうです。
 「何だよ!今のオフサイドだろ!」と思ってリプレイ観たら全然オフサイドじゃなかったり、「今のオフサイドじゃないだろ!」と思ってリプレイ観たら思いっきりオフサイドだったり、そんなことしょっちゅうです。10年以上サッカーを観ててもそうなんです。



 今回のW杯でも、「アルゼンチンvsメキシコ」の試合で“リプレイで観れば明らかにオフサイドでノーゴールになるはずなのに”ゴールとして認められてしまった場面がありました。いわゆる誤審というヤツです。

 この場面のテレビ中継、解説者の反応はこんなカンジでした。


解説「いやー、今のはアルゼンチンらしいスピードのある攻撃でしたね」

-国際映像でスローVTRが流れる-

解説「こ、これは……!(明らかにオフサイドですね…)」




 この解説者が酷いワケではなくて、プロの解説者でもオフサイドかどうかの判断は難しいんです。
 サッカーというのはものすごくスピーディなスポーツですし、どこのタイミングでパスを出すかなんか分からないものですし、スローVTRで確認しない限りは本当に判断が難しいんです。それをジャッジする審判(副審)は本当に偉いと思います。こんなに大変なら誤審が出ても仕方ない……とは思わないので、スローVTRの導入を頼みますよ。



 ということで、「サッカーって面白いな」と思い始めた人がオフサイドのルールが分からなくても別に問題ないと思います。
 テレビで観ている場合は「オフサイドかどうか」は実況の人か解説の人が言ってくれますし、スタジアムで観ている場合は副審(旗持っている人)の旗が上がって&主審(笛吹く人)が手を挙げて再開させていればオフサイドだって思えばイイです。


 僕らは別にサッカーの審判を目指すワケではないので、観戦をするだけならルールを覚えなくてもイイんですよ!




2.オフサイドは(そんなに)悪いことではない
 オフサイドというのは「反則」「ファウル」の一つです。
 しかし、サッカーの「反則」「ファウル」の中ではそんなに悪いことではないんですよ。


 例えば、相手の足にスライディングタックルを食らわしたり、(キーパー以外が)手でボールをコントロールしたりは「すげー悪いこと」なんです。これが繰り返されるとサッカーの試合が壊れてしまうので、それ相応の“罰”を与えられるのです。

 相手にフリーキック、もしくはペナルティエリア内の場合はペナルティキックが与えられます。
 これらは即失点のピンチになるので―――「オマエらそんな悪いことやっていると、罰として失点のピンチにしてやっからな!」と厳しく取り締まられるのです。駐車違反すると罰金取られるみたいなもので、「罰ってイヤだよね?なら、やるんじゃねえぞ」という反則・ファウルなんです。

 更に、これらの反則・ファウルが悪質な場合、イエローカード・レッドカードをもらうこともあり、出場停止や退場になってしまいます。「オマエらそんな悪いことやっていると、罰として試合に出れないようにしてやんよ!」ってことですね。



 それに比べて、オフサイドというのは“罰”が超軽いんです。
 「相手のボールから再開」、それだけなんです。

 相手の間接フリーキックでの再開になりますが、オフサイドは大抵「相手のゴール近く」で取られるので、相手のゴール近くからのフリーキックでは失点のピンチになりにくいですし。むしろその間に守備陣形を整えるインターバルにもなります。

 オフサイドを何十回繰り返そうが、イエローカードを受けることはありません。



 むしろ、オフサイドになるというのは「チャンスを作っている」と考えることも出来ます。
 元イタリア代表のフィリッポ・インザーギという選手は、常にオフサイドになるかどうかギリギリのプレイをするので「オフサイドの数が多いほど調子の良い選手」と言われていました。オフサイドにならなければ即1点取ってくるゴールハンター、こういう選手は相手のディフェンスからすると脅威なんですよ。


 もちろんコレにはそれぞれの考えがあるので「オフサイドばっかり取られるな!」と怒る監督もいますけどね。まぁ、確かに「オフサイドにならずにゴールを取ってくる」のが最高なんですけど(笑)。そうそう上手くいくものでもないので、オフサイドになったぐらいで文句言うなよって僕は思っています。



※ オフサイド講座・初級篇はここまでです。
 ここまで分かっていれば、もう観戦で困ることはないと思います!

 「オフサイドのルールも知らずにサッカーを語るな」とか言われたら、「じゃー貴様は普段食べているパンがどうやって作られているのか知っているのか」と言ってあげましょう。別に全てを理解する必要はないんですよ。多分ケンカになりますけど(笑)。



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【オフサイド講座・中級篇】

3.オフサイドの「サイド」は、サイド攻撃の「サイド」とは違う
 さて、中級篇はルールの説明。
 ですが、その前に“言葉をどう認識するのか”という話から始めます。

 これ……ぶっちゃけ僕の認識です。
 オフィシャルな「オフサイドという言葉が生まれた日」というのは調べても分からなかったので、こう考えると理解しやすいよくらいに捉えて下さるとありがたいです。


 サッカーって「一つの言葉が二つ以上の意味を持つ」ことが多いんです。
 例えば「ハーフ」。一週間前に書いた記事のように「オフェンシブハーフ」「ディフェンシブハーフ」と言えばポジションを表す言葉なのですが、「45分ハーフ」というように「90分を45分ずつ前後半に分けてやるよ」という意味で使われることもあるんです。

 これが初心者には分かりにくいですし、
 「オフサイド」の「サイド」という言葉はその最たるものだと思います。



 サッカー用語で「サイド」という言葉が使われる時、「右サイド」「左サイド」「サイド攻撃」「サイドバック」という意味で使われることが多いです。図にするとこんなカンジの部分。

サイドが示す場所


 しかし、「オフサイド」の「サイド」はこの意味ではありません。
 「敵サイド」「味方サイド」という認識で捉えるとイイと思います。この辺、多分ラグビーのルールに詳しいともっと深く説明できると思うんですが(サッカーとラグビーは兄弟のように分かれたスポーツなので)。僕はラグビー詳しくないのでゴメンなさい。

 図にするとこんなイメージです。

サイドが示す場所


 「敵サイド」「味方サイド」の中で、オフになっている場所=使ってはいけない場所、という意味で捉えると「オフサイド」という言葉がしっくりくるんじゃないでしょうか。
 両方のサイドに色を付けたのは「こちらが使ってはいけない場所」と「相手が使ってはいけない場所」の両方を示したかったので、実際にオフサイドを取られるのは「攻撃方向のサイド」だけです。このチームにとっては上方向のオレンジですね。


 「使ってはいけない」というよりは、「この場所にいる味方にパスを出してはいけない」ということなんですが……その説明は↓の項目にて行います。




4.オフサイドのルール
 ようやくルール解説だ!
 オフサイドのルールは文章にすると「相手の2番目に後ろの選手よりゴールラインに近い位置にいる選手にパスを出してはいけない」という何だこのワケ分からない日本語という説明になってしまうんです。だから、初心者は理解不能になってパンクしてしまうという。


 なので、この文章を分かりやすく分解していきましょう。
 「相手のゴールラインから見て2番目にいる相手選手」
 「よりも相手のゴールラインに近い味方選手にパスを出してはいけない」


 ダメだ、まだ分かりにくい(笑)。

 「相手のゴールラインから見て2番目にいる相手選手」とありますが、「相手のゴールラインから見て1番目にいる相手選手」は大抵の場合ゴールキーパーになります。大抵の場合、なので例外もあるんですが……それは一先ず忘れましょう。


 「相手のゴールラインから見て1番後ろにいる相手選手(ただしゴールキーパーは除く)」
 「よりも向こうにいる味方選手にパスを出してはいけない」



 図にするとこんなカンジです。
 オレンジの部分が「オフサイドポジション」で、ここにいる選手にパスを出すと「オフサイド」になってしまいます。(※ 守る側のオフサイドポジションはもちろん使って構いません)

オフサイドポジション


 もちろんサッカーの試合はごちゃごちゃ人が動くので、例えば一例でこんなカンジ。

ケース1



 このケースでの「オフサイドになるポジション」は以下の通り。
 つまり、オレンジ色にかかっている灰色チームの選手にパスを出してしまうと「オフサイド」になるということです。 

ケース1の答え

 この状況で、灰色チームの選手が一番前にいる味方にパスを出すと「オフサイド」です。
 ですが、その選手以外の選手にパスするのは構いませんし、パスを出さずにドリブルしたりシュートしたりは自由です。オフサイドというのはパスを出すこと&受けることを禁止するルールなんです。


 ちなみに、厳密に言うと「今のプレイはオフサイドです!」と笛が吹かれるのは「パスを受ける」瞬間です。
 パスが出ても、パスを受けなければ「オフサイド」になりません。なので、オフサイドポジションにいることを自覚した選手は、「俺オフサイドだからパス受けられねえや」と見送ることもあります。




※ オフサイド講座・中級篇はここまでです。
 文章にするとやっぱり難しいですね。

 何試合かサッカー中継を観るとオフサイドの場面はあると思うので、それを踏まえた上で読み直してもらえると理解出来るかも知れません。最近の中継では、スローVTRの際に「この線から先がオフサイドですよ」「このエリアがオフサイドですよ」みたいな表示が出ます。それが、この記事で書いたオレンジ色の部分ですね。



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【オフサイド講座・上級篇】

5.伝家の宝刀スルーパス
 10年以上前、中田英寿が国民的スターになった頃―――「キラーパス」という言葉で彼のプレイが評されました。何となく格好イイ言葉ですからね!ペルージャに移籍した頃の中田選手のインタビューでは、その言われように閉口していたみたいなんですが……

 正確な意味は、多分「スルーパスの中でも得点に繋がるようなスルーパス」ということなのかなと思います。これは、実はオフサイドのルールと密接に絡みますし、この記事の2番に登場したフィリッポ・インザーギの「オフサイドギリギリのプレイで1点を狙う」プレイにも繋がります。

 中田選手は「オフサイドギリギリのパスを出す」代表格の選手(元選手)で、フィリッポ・インザーギは「オフサイドギリギリのパスを受ける」代表格の選手です。



 また図で説明しましょう。

スルーパス1

 上の図、灰色チームの一番前にいる選手はオフサイドポジションにいますね。
 この選手にパスを出してしまうと「オフサイド」になってしまいます。


スルーパス2

 この場合、誰もオフサイドポジションにいないので誰にパスを出しても「オフサイド」になりませんよね。



スルーパス3

 では、このように“誰もいない”オフサイドポジションにボールを蹴って―――


スルーパス4

 パスが出た後に、味方選手がボールを追いかけてパスを受けた場合は「オフサイド」になるでしょうか?

 なりません。
 立派な得点パターンですし、現代サッカーではこういうシーンは非常に多いです。

 相手の守備がいるところよりも、いないところの方がシュートが撃ちやすいですからね。
 


 こうやって“誰もいないところ”にパスを出すのがスルーパスです。

 サッカーのパスって、大別すると2種類しかないんですよ。

・“味方の選手”に出す「普通のパス」
・“誰もいないところ”に出す「スルーパス」


 もちろん闇雲にスルーパスを出しても上手くはいきません。
 相手の守備も「パスをカットしてやろう」という気満々なので、走りあいになってしまいますから―――味方の選手が走り出して、相手の選手がまだ走り出していないタイミングでパスを出さなくてはなりません。相当難しいプレイなので、中田選手が「キラーパス」「キラーパス」騒がれたんですね。

 もちろん中田選手以外もスルーパスは使いますよ。
 むしろ、サッカーやっている人なら誰でも使うというか……スルーパスなしでサッカーをするのは、ジャンケンでパーを使わずに勝てと言われるような話なんです。



6.オフサイドにならないケース
6-1.“マイナス”のパス
 サッカー中継でよく言われる「マイナスのクロス」というのは、「マイナスの角度のクロス」=「自分よりも斜め後ろにいる選手へのクロス」という意味で。こういう攻撃パターンも非常に多いです。あ……クロスというのはパスと同じ意味だと思って下さいね。


 「自分よりも(斜め)後ろへのパス」はオフサイドになりません。

 何故かというと、オフサイドというのは「待ち伏せ」禁止のルールなので……という説明が一般的なんですけど。この説明だと理解が難しいと思うんで。もう覚えるしかないです!理由はどうでもイイ!(笑)


サイド攻撃1

 また図を使います。
 灰色チーム、またしても一番前の選手がオフサイドポジションですね。この選手にはパスが出せません。このままだと攻撃が手詰まりなので、頑張ってドリブルで一人抜きました。“ドリブルで一人抜く”のってすげー大変なんですけどね、頑張って抜きました。


サイド攻撃2

 あら不思議。オフサイドのエリアがググッと狭まりました。誰にでもパスを出せますね。
 これは「自分よりも(斜め)後ろへのパスはオフサイドにならない」ルールがあるからで、サッカーにおいて「サイド攻撃」が非常に重要視されている理由の一つです。

 サイドを制するものがサッカーを制すんです。日本が今回のW杯で良い成績を残せたのは、両サイドバックが相手にドリブルで抜かれなかったからとも言えるんです。



6-2.スローイン、ゴールキックでのパス
 ぶっちゃけどうしてこんなルールがあるのか理由は分かりませんが、これらのプレイでオフサイドポジションにいる味方にパスを出してもオフサイドにはなりません。

 今のサッカーだとゴールキックを受けた選手がそのままゴールするケースも多いので、ゴールキックもオフサイドの適用内にルール変更した方がイイんじゃないかと僕は思っています。



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 駆け足ですが、ひとまずここまで。
 今回のW杯「オランダvsウルグアイ」のような“プレーに干渉したかどうか”の議論も扱うか悩んだのですが、自分の中でもグレーゾーンなプレイだと思っているので取り上げませんでした。



 あ……“戻りオフサイド”について書くの忘れました。
 でも、もう時間がないので………スルーパスとは逆に、「オフサイドポジション」にいる時に出たパスを、「オフサイドポジションじゃない場所」で受けてもオフサイドになるというルールなんですが。図を用意する時間がないので申し訳ないです。



○ 締めの言葉
 自分は、サッカーの面倒くさいところの説明はなるべく省いて、サッカーの面白い部分だけを取り上げた方がイイと思っているんですけど。ポジションの用語と、オフサイドのルールについては、「どうしてサッカーは面白いのか」の核となっている部分なので2週に渡って面倒くさい説明をさせて頂きました。お付き合い下さってありがとうございました。

 来週からは「面白い部分」の話を書きたいなぁ……

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≫ EDIT

観戦初級者のための“サッカーのポジション”解説

Q.以下の図の中から、サッカーにおける“司令塔”というポジションはどこか選びなさい。

フォーメーション4-5-1










A.“司令塔”というのは「役割」であって「位置」ではありません。よって、どこかは決まっていません。

フォーメーション4-5-1




 今回のW杯を通じて「サッカーって面白いな!」「今後も観てみようかな」と思ってくれた人を、このブログでは応援していこうと思います!
 そのために、まずはサッカー観戦の初級者が躓きそうなところをなるべく取り除いていかなきゃと思い、今日は「サッカーのポジション」について書きます。イジワルクイズもやります。


 サッカーってルール自体は、超シンプルなはずなんです。
 ややこしいのはゴールキーパー絡みのルールとオフサイドのルールくらいで、これらは別に知らなくても楽しめると思うし。「ゴールキーパー以外は手を使っちゃダメ」とさえ分かっていれば、もうサッカーのルールの8割は理解したと言ってイイと思うのですが……


 そのシンプルなルールのスポーツが100年以上続いているため、ものすごく沢山の国の沢山の人が「ゴールを奪うこと」「ゴールを奪われないこと」という2つの目的のために、戦術・フォーメーション・テクニックなどを研究してきた結果―――ものすごく沢山のサッカー用語が溢れるようになってしまったのです。

 つまり、先月から「サッカーって面白いな」と思ってくれた人の前に、100年分の積み重ねが壁となって立ちふさがるのだから……そりゃ頭がパンクして「用語が覚えられない」というのも当然だと思うのです。




 んで、冒頭の“司令塔”に繋がる話。
 “サッカーのポジション”は「位置」を示す場合もあれば「役割」を示す場合もあって、更にその両方を示す場合もあって、非常に厄介な言葉ですよね。

 そもそも「11人で行うスポーツ」なのに11コ以上あるってのはどういうことだって話ですよ。それは色んな国の色んな人達が、必死にサッカーを研究して生み出した戦術の中のポジションだったりするので……「イギリスではメジャー」なのに「日本だとほとんどない」ポジションがあったりするんです。





 サッカーのポジション絡みでもういっちょ。

岡田ジャパンの陣形

 これは、今回のW杯で日本代表が主に使っていたフォーメーションです。
 ゴールキーパーのことは省いて、ディフェンダー→ミッドフィールダー→フォワードの順に「4-5-1」と呼びます。どの位置にどれだけの人数をかけているのかを表すんです。また、更にこのミッドフィールダーの中でも細分化して「4-1-4-1」と呼ぶこともあります。



 しかし……
 ここにも実は盲点があって……

岡田ジャパンの陣形

 こう見ると「4-3-3」になっちゃうんですよね(笑)。
 どこまでをミッドフィールダー、どこからがフォワードかという解釈は、実は試合の状況によって細かく変化するんです。


 サッカーは野球と違って「どこのポジションを誰が守ります」みたいな申請をするワケではなく、ゴールキーパー以外は誰がどこを守るか試合が始まるまで分かりませんし。実際、今回の日本代表も、ミッドフィールダー登録の本田がフォワードを、フォワード登録の大久保がミッドフィールダーに付いていましたし。



 ぶっちゃけ、ポジションなんてそんなに気にすることでもないんですよ。

 うむ。今のは流石に暴言が過ぎただろうか。
 しかし、サッカーの場合は試合の流れでポジションが動きますし、選手がポジションを入れ替えたり追い越したりしますし、ポジションだけを目で追いかけてもワケが分からなくなるんじゃないかなぁって思います。

 サッカー観戦の入門とかでは「フォワード=攻撃する人」「ディフェンダー=守る人」みたいに書かれているかも知れませんが、現代のサッカーではフォワードも守備をしますし、ディフェンダーも攻撃をします。敵が2人で攻撃してくるのと、10人で代わる代わる攻撃してくるの、どっちが怖いかって言ったら後者ですよね?




 ただ、そうは言っても「サッカー中継」だったり「スポーツニュース」だったり「サッカー雑誌」だったりには“ポジション”に関する用語が無数に使われているのも確かです。意味の分からないカタカナ用語にウンザリして、「もう見るのやめよう」と思ってしまうのも勿体無いので……

 「今回のW杯からサッカーを観始めた人」向けに、ポジションの解説をしていこうと思います!
 今はイミフでも、しばらく経ったら意味が分かってくる言葉もあるでしょうが頑張って!!


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【フォワード(FW)】
・相手のゴールを「目的地」とした際に、最も前線にあたるポジション(位置)
“トップ”と言うこともある
・ここに何人選手を配置するかで「ワントップ」「ツートップ」「スリートップ」と分類できる


○ センターフォワード
センターフォワード
・元々は“(右でも左でもない)中央にいるフォワード”という「位置」の意味。
・ただ、この位置にいる選手に求められる「役割」が決まっているため、“センターフォワードらしいセンターフォワード”という「役割」の意味も込められている。

・相手のゴール前にどっしり構えて、シュートを狙ったり、ボールを繋いだり(ポストプレイ)。
・そのために相手ディフェンダーに当たり負けしない屈強な体が必要。

・日本にはこの「役割」を担える選手が不足しているため、今回のW杯では本職ではない本田圭佑がこのポジションを担当することに、いわゆる“センターフォワードらしくないセンターフォワード”。



○ ウィング
ウィング
・センターフォワードの“両翼”という意味での「位置」も表すが、
・右サイド・左サイドから攻撃をしかけるという「役割」の意味が強い。

・特にドリブルで相手のサイドの守備を切り崩す選手のことを指すことが多い。
・今回の日本代表で言えば、松井大輔がこの「役割」を担っていた。

・かつては攻撃専門のポジションとして考えられていたようだけど、現在では守備力も求められるために、ミッドフィールダーとして扱われることもあるとか(前述したようにこの違いは比較的どうでもいいことなのだけど)。
・チームによってはウィングを置かないところも多い。



○ セカンドストライカー
・これ、あんまりメジャーな言葉でもないかも。
・セカンドトップ、シャドーストライカー、1.5列目と呼ぶこともある。

センターフォワードを「一人目」として考えた際に、その選手に相手のマークが引きつけられたところを狙い、フリー(自由)になってシュートをする選手のことを言う。なので、「位置」であり「役割」ですね。
・ウィング同様にミッドフィールダーとして捉える場合も多い。

・今回のW杯で日本代表と対戦したデンマーク代表のヨン・ダール・トマソンが典型的な選手。
・日本代表で言えば、大久保嘉人がこの「役割」を担っていたのだけど……「位置」はウィングのポジションにいたので、なんかもう御苦労様と労ってあげたい。



○ ファンタジスタ
・これはもう「位置」でも「役割」でもなく、「褒め言葉」な気がする。

卓越したテクニックを元に、規格外のプレイをする選手――みたいな意味。
・元々は“アドリブの上手い芸人”という意味の言葉らしい。

・カウンターサッカーを主体とするイタリアサッカーにおいては攻撃は常に数的不利のため、それをワンプレイで打開できる選手というニュアンスだったらしいので。その意味においては、じっくり攻撃を組み立てられる中村俊輔よりは、素早く攻撃を仕掛けられる中田英寿に向いた言葉なのかも。




【ミッドフィールダー(MF)】
・相手のゴールを「目的地」とした際に、中盤にあたるポジション(位置)
“ハーフ”と言うこともある


○ トップ下
・「位置」を示す言葉。
・フォワード(=トップ)より1列低い位置の選手。

・セカンドストライカーの「役割」を担うことも、司令塔の「役割」を担うことも、ファンタジスタと呼ばれることも、もちろんそれら複数を合わせて指すこともある。チーム戦術によって、「役割」は様々。

個人的には「攻撃的MF」の中でも特に“中央”でプレイする選手のことを指すと思っているんだけど、決まった定義があるワケではないので微妙である。(右サイドを主なプレイエリアとしている中村俊輔はトップ下の選手ではないと思っているんだけどどうだろう?)

・紆余曲折あったけど、最終的に今回の日本代表はここに決まった選手は置きませんでした。
・遠藤、長谷部、松井らが代わる代わるココのポジションを使って攻撃したという印象。



○ 攻撃的MF
・オフェンシブハーフとも呼ぶ。
・ミッドフィールダーの中でも前方の「位置」にいる選手のことを指す。

トップ下とサイドハーフを合わせて呼ぶ言葉、と考えると分かりやすい……かな。



○ サイドハーフ
サイドハーフ
・サイドから攻撃を組み立てるという「位置」を示す言葉。
・ウィングの選手がこの「位置」に入ることもあるので、もう何が何やら。

・「ウィング」と呼んだ場合は“相手の守備をドリブルで切り崩す”「役割」が込められると思うんだけど、「サイドハーフ」と呼んだ場合は特にドリブルが得意な選手ばかりでもない気がする。元イングランド代表のベッカムとか。



○ 守備的MF
守備的MF=ボランチ
・ディフェンシブハーフとも呼ぶ。
・ミッドフィールダーの中でも後方の「位置」にいる選手のことを指す。
・後述しますが、日本ではボランチと呼んで間違いないと思います。

・現代サッカーの要のポジション。
・ここにいる選手の数で「ワンボランチ」「ダブルボランチ(ツーボランチ)」「スリーボランチ」と分類するくらい、戦術の核になる部分を担っている。
・今回の日本代表、チーム内では遠藤長谷部阿部による「スリーボランチ」という認識だったみたい。



○ ボランチ
・日本では「守備的MF」と同じ意味で構わないはず。

・元々は、パスを回す“舵取り”の意味の「役割」を示していた言葉だったそうなんですが……
・ぶっちゃけチーム戦術によってはボランチがパスを回さないケースもありますし、「ボランチの元々の意味は…」というのは「RPGの元々の意味は…」というくらいウザッたいものなのかもと最近は思っています。



○ アンカー
アンカー
・「位置」であり「役割」を指す言葉。
守備的MF=ボランチの中でも、更に「守備を専門にする」選手のことを言います。

・現代サッカーにおいては、ここの位置で相手にボールを持たせてしまうと「即・決定機」になってしまうので…ここの位置に入ってきたボールを優先的に守備をする「役割」が重宝されています。
・図のように中央にどっしりアンカーがいる場合もあれば、ダブルボランチの片方が担う場合もあります。

・今回の日本代表で言えば、阿部勇樹が該当します。



○ セントラルミッドフィールダー
・センターハーフと呼ぶケースもあれば、違う意味で使われることもあるそうな。

・イギリスでは花形ポジション(位置)で、攻撃的MFと守備的MFの両方の「役割」を担うことが多い。
・イングランド代表のフランク・ランパードやスティーブン・ジェラードが代表的な選手。

・日本を始めとする多くの国では攻撃的MFと守備的MFを分担するので、あまり見かけないポジションですね。
・稲本潤一がイングランドに移籍した際、この違いに戸惑ったなんて話を聞いたことがあります。



○ 司令塔
・「役割」を示す言葉ですね。
・「位置」としては攻撃的MFの位置に入る場合もあれば、守備的MFの位置に入る場合もあります。

・キープ力とパス技術と視野の広さを元に、「攻撃を作る」タイプの選手を指すことが多いのだけど…
・チーム戦術によって、例えば「少ない人数のカウンターで攻撃する」場合はトップ下の位置にいないとならないし、「パスを回して人数をかけて攻撃する」場合は守備的MFの位置からコントロールすることが多いです。
・なので、このタイプの選手がどこでプレイしているかによって戦術が分かる、と。

・今回の日本代表の選手で言うと、遠藤保仁がこの「役割」を担っていました。



○ レジスタ
・守備的MFの「位置」から司令塔の「役割」を担う選手に使う言葉。

・前述したように、遠藤保仁ならば当てはまると思うのだけど……
・イタリア人以外にはあまり使われない言葉な気もします。イタリア代表ピルロが代表的な選手。



【ディフェンダー(DF)】
・相手のゴールを「目的地」とした際に、最も後方にあたるポジション(位置)
“バック”と言うこともある
・ここに何人選手を配置するかで「スリーバック」「フォーバック」「ファイブバック」と分類できる
・今回のW杯に出場したほとんどのチームは「フォーバック」だった



○ センターバック
センターバック
・「位置」を示す言葉。
・ゴールキーパーの前方で相手の攻撃を防ぐ“防壁”になる選手。

・このポジションがヘディングで競り負けると即1失点なので、背の高さと屈強な体が求められる。
・その上、現代サッカーでは「攻撃の1手目」を担うことも多く、パス能力も必要だったりする。

・今回の日本代表では、中澤佑二田中マルクス闘莉王の2人が不動のセンターバックでした。
・この2人に続く「世界に競り負けないセンターバック」の存在は、今後日本がW杯で戦っていくためには必要不可欠となることでしょう。



○ サイドバック
サイドバック
・「位置」を示す言葉。
・フォーバック(もしくはファイブバック)の両端のポジション。

・相手ウィングの攻撃を防ぎ、時にはセンターバックの位置までカバーで守り、時には攻撃参加のためにサイドを駆け上がるという……非常にしんどいポジションです。その上、攻撃陣と違って選手交代されることもほとんどないし。

・今回の日本代表では、左サイドバック長友佑都、右サイドバック駒野友一が不動のサイドバックでした。



【ゴールキーパー(GK)】
ゴールキーパー

・試合中に唯一「手」を使うことが出来るポジション
・守備時には最後の砦となるので、俊敏性と体の大きさが必要な上、
・現代サッカーではディフェンダーのようなプレイも求められるので、足元の技術やロングパスの精度も必要だという。


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 よし!ひとまずここまで!!
 忘れているポジションがあったらゴメンなさい。


 今はもうあんまり言われない用語(リベロとかスウィーパーとか)は省きました。
 全部覚える必要はありません。全部のチームに全部のポジションがあるワケではありませんし、「この単語よく分からないなぁ…」と思ったらメモっておいて後からこのページを見て「あーそういう意味なのか!」と納得してもらえればイイと思います。そのために、今すぐウチのブログをブックマークに入れておこう!(笑)



 それと……「サッカーに詳しい人」からすると、「ここはこの説明じゃなくね!?」と思う箇所もあったと思います。今回なるべくサッカー用語を使わずに説明することを心がけて……例えば“スペース”という言葉を使わなかったんですよ。それで説明するのはすげー難しい!!

 “スペース”“フリー”“プレッシャー”辺りは、サッカー解説において最重要な言葉だと思うんですが、これらの用語を説明している番組はほとんど観たことがないですし、説明がなかなか難しいんですよね。説明してもあまり面白くなりませんし。




 閑話休題。
 こんな風に説明を羅列するだけでもしんどいくらいサッカーのポジションについての用語は沢山ありますし、ぶっちゃけ「サッカーに詳しい人」も全部分かっているワケでもありません。僕もそうです。基本みんな「何となく」です。

 「何となく」でも楽しいんですよ。
 楽しんだもの勝ちなんです。


 「ポジションについて勉強した方が楽しめる人」もいれば、「勉強しなくても楽しめる人」がいると思います。どっちでもイイんです。ただ、「勉強した方が」って人が躓いた時に、この記事が役に立ってくれることを願います。了。

| サッカー観戦 | 18:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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