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やまなしなひび−Diary SIDE−
hinnyu is the best!
考察:美少女作品が美少女ばかりな理由
 もはやちっとも貧乳と関係なさそうな貧乳カテゴリー話。
 いやはや。語っていることはおっぱいとは関係がない話であっても、考え方・アプローチの仕方は今までと同じなのですよ―――ということで、今日は鬼門“美少女アニメ/美少女ゲームの女のコはみんな可愛い”ということについて。

 内容が内容なだけに、ちょっと「美醜」とか「フェミニズム」とかに絡んでくる話なので……そうした話題がイヤだなって人は気を付けて下さい。なるべくそこらには絡まないように書きたいですけど……


 “美少女アニメ/美少女ゲームの女のコはみんな可愛い”
 「みんな」という表現は言い過ぎにしても、「美人率が高い」ことには異論がないことでしょう。
 毎度この話題の時には例にさせてもらっている『舞-HiME』なんかは、20人近い女性キャラ全員が(個人の好みは置いといて)美人です。“美しくなければHiMEにはなれない”なんて隠し設定があったとしても、HiME以外の女性陣も総じて美人度が高いです。

 これは別に、いわゆる“美少女アニメ”“美少女ゲーム”に限った話ではなく……スピリッツとかモーニングくらいの大人向け漫画雑誌とかもそうですよね(それ以上対象年齢が上がると微妙かも……)。
 男性目線の作品だからそうということでもなく、少女漫画なんかでも出てくる女のコも可愛い率が高いです。作中ではあんまり可愛いとされていない主人公でも、読者目線からすると十分可愛いぞってことが多々あります。



 ………んで、こうした疑問に対する世間での回答はこんな感じでした。
 「フィクションの中くらいみんな美しくたって良いじゃないか」
 「その方がヲタクが金出すから商売になるんだろ」
 「キャラで人気を取る時代なんだから当然なことだ」

 一理はあるとは思います。
 ただ……それで全ての説明がつくとも思えません。これまで僕が書いてきた「貧乳を活かすのは巨乳」「巨乳を活かすのは貧乳」「それらを考慮した上でキャラ配置とキャラ造形をしなければならない」と言ったおっぱい話から考えると――――――美少女ばかりの美少女作品が必ずしも最適解だとも思えません。

 その論理から言えば「美を活かすのは醜」だとも「醜を活かすのは美」だとも言えるんじゃないですかね。「美×美」という百合ばかりだと、カウンターとして「醜×美」とか「美×醜」という百合が生まれてきても不思議ではありません。

 140km/hのストレートが限界のピッチャーが150km/hを投げるのは大変。だが、110km/hのスローボールを使えば、140km/hを150km/hに見せることは出来る。

 ちょっと言葉は悪いですけど……ヒロインの可愛さを際立たせるために、そんなに可愛くないコを隣に置くというキャラ配置だって理論としては面白そうですよね。公言しちゃうと女性団体から睨まれそうですが、ナチュラルにやれば「それはアナタの思い過ごしですよ」と言い返せますし(笑)
 でも、実際にはあんまりない。全くないとは言いません、絶対量が少ないという話です。日本橋ヨヲコの漫画なんかは意図的にそうしているフシはあるけど、女性漫画家がそれを狙っているというのは逆に凄い気がしますね……


 それでは、どうして美少女率が高くなってしまうのか、幾つか仮説を立てて考えていこうと思います。

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 仮説1:絵描きに「美/醜」を描き分けるだけの画力がない

 「オイオイやまなし。漫画やゲームの美女率は高いって言うけど、○○という漫画の女は全員ブサイクだぞ」と思った人もいるでしょうが、それは多分描き手の画力の問題です(笑)
 画力っていうよりは……描き手の思う「可愛い」と、読者の思う「可愛い」のズレと言いますか。作中で可愛いとされているコがちっとも可愛いと思えなかったり、逆にブサイク扱いされているコが可愛いと思えたりってのは、結構頻繁にある話ですよね。


 人間の「美/醜」の感覚なんて、凄く曖昧なものです。100人中51人が「美」と言えば「美」になるワケでもありませんし、70人なら80人ならなるのかってことでもないと思います。
 そんな中で絵描きは“100人が「美」と判断してくれる”美少女を目指して描かなきゃならんのですから、パーツパーツをデフォルメしていってなるべく多くの人が「美」と言ってくれるキャラデザインを目指します。

 眼が大きくて、鼻が小さくて、色が白くて、スリムで、でもおっぱいはあって―――とヒロインが出来たとしても、作品の中でこのコ一人が眼が異様に大きいというのも不思議な話です。なので、周りのキャラもある程度近付けて……とやっていくと、美少女インフレの出来上がり。誰が可愛くて、誰が可愛くないのか、よく分からない世界になってしまいます。


 同様に……漫画やアニメやゲームに出てくる「ブサイクキャラ」というのは、よりデフォルメされた「醜」とも言えますよね。これは男性キャラも同様。凄く太っているとか、姿勢が悪いとか、目つきが悪すぎるとか、暗いとか。
 その結果、「極端な美」と「極端な醜」しかいない世界になってしまう。

 うーん……でも、ヘッポコでも漫画描きの端くれな自分としてはこの仮説は微妙な気がします。
 デッサン狂わせたり、目鼻の置き場所をちょっとズラしたりとか、“可愛くなく見せる方法”は無限にあると思いますもの。少しでもキャラを可愛く描こうと思っている人は、逆に可愛くなく描くことなんて簡単じゃないか……と、自分の仮説をとりあえずぶち壊してみる。


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 仮説2:そもそも“可愛くない女性”なんて存在しない

 んなバカな、と思われても仕方がないのですが……
 「素材」という点では千差万別あるのは間違いないとは言え、女性は男性と違ってメイクで補うことが出来ます。加えて、“可愛い”は髪型やら服装やらの全体の雰囲気から感じることもありますし、表情が豊かな女性というのはそれだけで魅力的に思えてしまいます。
 男性にも当てはまることですけど、ある程度の水準までだったら努力で何とかなるとは思うのです。

 もちろん「ある程度の水準」では「美少女率」に繋がらないように思えるかも知れません。
 ですが、漫画・アニメ・ゲームなどの絵を描く際には“デフォルメをする”ことは基本テクニックです。それは絵柄の問題ではなく、絶対に持っていなければやっていけない技術です。怒った時は、より怒った表情に。喜んでいる時は、より喜んだ表情に―――ある程度キレイな人は、よりキレイな人のように描くのは表現者としては当然の選択なのです。


 そもそもが、である。
 「アニメやゲームのキャラは美少女ばっかで、キモー!」とか言ってるヤツに言いたいのだが。バラエティ番組とかドラマとかに出ている“三次元なはずの女性”だって、美人率は異様に高いですよ。もちろん個人の好みは置いとけばの話ですけどね。
 (僕は好きじゃないけど)バラエティ番組とかには、ブサイクを売りにして笑いを取っている女性タレントとかもいますけど……あれもデフォルメされたブサイクであって、漫画やアニメに出てくるデフォルメされた「醜」に近いものがあります。


 異様に高い美人率と、一部のデフォルメされた「醜」。すっぽり抜けた「そこそこ」。
 実はテレビ番組も、漫画・アニメ・ゲームも、女性の描き方に大差はないんですよ。そりゃ同じ国(文化)の人間が作って、同じ国(文化)の人間が享受しているんだから、完全に別物になる方がおかしい。
 野球もサッカーも柔道も、日本人選手は「技術はあるけどずる賢さに欠ける」って言われているでしょ。環境は違えども、同じ文化で育っていれば共通するものはあるんですよ。


 この文章を読んでいる人の中には、「え?でも、ドラマに出ている○○って可愛くないよね?」と思う人もいるでしょう。僕も思う。でも、それは“個人の好み”であって、他の人にとっては違うかも知れません。
 前に僕が好きな『バツラジ(@TBSラジオ)』というラジオ番組で、「今ブサイクな男がモテている!」という話でブサイク好きを売りにしている女のコに生電話を繋いだことがありました。そのコが延々とブサイクな男の魅力を語った後に、パーソナリティが「喩えば芸能人で言えば誰みたいな人が好きなんですか?」と尋ねると、あろうことか「S○APのく○○○くん」と答えやがった。パーソナリティ絶句、放送作家は後ろで大爆笑。

 繰り返しますが、人間の「美/醜」なんて曖昧なものです。
 「く○○○くん」と答えた彼女やその友達の中では、「く○○○くん」はブサイク扱いなんでしょう。でも、「く○○○くん」を格好良いと思っている人も確実にいて、テレビを観ていると「く○○○くんって格好良い」と描かれているように思えます。でも、実際にはブサイクだと思っている人もいる。僕の意見はノーコメントだ。


 これは二次元も一緒。
 僕はタレ目スキーなので『舞-HiME』の中では日暮あかねや瀬能あおいが好きだけど(敬称略)、ツリ目キャラの碧ちゃんなんかは苦手。もちろん顔だけの話ね。
 それでも、そうしたキャラが(自分の好みを置いておけば)美人だと思うし、そうしたキャラが好きだという人の気持ちも分かる。同じことを三次元に当てはめて、「俺は柴崎コウ好きじゃないけど美人だとは思う」とも思う。


 人間は「美/醜」についてはハッキリ判断できないけど、
 「自分の好み/自分の好みではない」についてはハッキリ分かるんだ。

 なので……喩えば『舞-HiME』のキャラ配置なんかを見れば分かりやすいんだけど、「ツリ目/タレ目」「貧乳/巨乳」「髪が長い/髪が短い」といった好みがハッキリ分かれる箇所で分類しているんですよね。こうした特徴は記号化しやすいですからね。

 逆に「美/醜」という特徴付けでキャラを対比させようとしても、受け取り方に個人差がある分、上手く対比できないかも知れない。140km/hのストレートを決め球にしようとしているのに、見せ球のスローボールが135km/hじゃ逆に目が慣れちゃうじゃないかという話です。


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 仮説3:「美/醜」で対比させるよりも手っ取り早い方法がある

 「おっぱいが大きいか/小さいか」ならば客観的に判断することが出来る。「ツリ目/タレ目」も。「髪が長いか/短いか」とか。「好きな人がいるか/いないか」とか――――――キャラ作りというのは、言ってしまえば記号化を繰り返して実体化させる作業だとも言えます。

 仮説2で僕は「人の好みは人それぞれだから美醜を描き分けるのは難しい」と書きましたし、半分くらいは自分でもその通りだと思うんですが……やっぱり100人中90人が「可愛い」と思うキャラと、100人中10人しか「可愛い」と思わないキャラというのは描き分けられる人も多いと思います。
 ただ……実際にそれをやる必要があるのかというと、多くの作品の場合はそれが必要ではないんですよね。出来る/出来ない以前に、もっと手っ取り早い方法があるんです。


 「可愛い女のコ/可愛くない女のコ」の対比よりも、
 「可愛い女のコ/ムサい男」の対比の方が分かりやすいんですよ。

 男か女か微妙なファッションというものもありますけど……「可愛いか、可愛くないか」に比べれば、「男か女か」の描き分けの方が遥かに楽です。
 現代日本が舞台ならばスカート穿かせれば一発。その他にも髪型とか体つきとかおっぱいとかロングショットの構図で描き分けられるものから、マツゲやマユゲや鼻といったアップの構図で描き分けられるものまで沢山あります。

 もっと言うならば、年齢で対比させる手もあります。
 「美少女のヒロインと、それほど可愛くない同級生の女のコが数人」という絵よりも、「美少女のヒロインと、鼻息が荒くて汗臭いオッサンが数人」という絵の方がヒロインは映えるのです。そして、何か犯罪の匂いがしてエロイ(笑)


 まぁ…オッサンの喩えはちょっと極端だと思いますが、「男と女」というのは「女と女」よりも危ういんですよ。
 簡単に言ってしまうと、なつきのスカートの中を見るのは静留ではなく武田先輩でなくてはならないということですね―――それが喩えガチレズどSの静留お姉さまであっても(笑)、男から見られたダメージ&男が見てしまったという“羨ましさ”には適わないんです。

 女子校の中に、主人公一人だけ男が入ってしまう……なんて使い古された手法も、実は非常に考えつくされた論理的な設定なんですよね。「安易な方法だ」と甘く見ていると、そこにある本質を上手く見れないという好例なのかも知れませんね。



 というワケで、3つの仮説全てを統合して僕自身の推察を言わせてもらうのならば
 人間の「美/醜」の判断は非常に曖昧で記号化しにくいものなので、「男/女」のように記号化しやすい他の特徴で対比をする作品が多い―――から、美少女作品の美少女率が高くなってしまうのかなと。

 美少女の“美”の部分はこれで大体(自分の中では)解決しましたが、“少女”の方に関しては未解決なので、また機会があった時にでも………



 しかしまぁ、何というか……
 こんな記事を書きながら、つい思い出してしまったのですが―――僕の学生時代「やまなしの友達になるとモテる」というジンクスがあった理由が、何故だか分かってしまった気がします。俺はスローボールだったのか。
 よし!今日もモテない!人生なんてやってられねえ!

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