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| そもそも『脳トレ』ブームってなんで嫌われてるんだ? |
『脳トレ』が売れているのは別に最近始まったことでもないのだけれど、どうもここ数ヶ月「ゲームらしくないゲーム」への批判がネット上で多数派になっている気がします。 きっかけは『もっとえいご漬け』の不振辺りに「実用ソフト終わったーププー!」的な意見が出始めたことだと思うんですが、『眼力』にしても『家計ダイアリー』にしても『顔トレ』にしても、発売前から「こんなん売れるようならゲーム業界は終わりだ」的な批判が(『お料理ナビ』や『常識力』の頃に比べて)強かった気がします。
何だかんだ言って、『もっとえいご漬け』は50万本超えたらしいんですけどね……
ALL ABOUTの「ゲームらしいゲームよどこへいく」という記事が、最近色んなブログで言及されているのを見かけました。 記事自体は「DSで従来型ゲームを売るには」的な発想のもので、僕も同意なんですけど……この記事に対する反応が各所で起こっているというのを見ると、「ゲームらしいゲームへの渇望」と「ゲームらしくないゲームへの批判」が各人の中に強く浮き出ているという証拠なのかなぁと思ったりもするのです。
天邪鬼が全裸で歩いているようなのが僕ですから、この展開には「ん?」と思うのですよ。で、僕くらいはやっぱり反対記事を書かなくちゃなーと考えていたら、『カイ氏伝』さんのところで既に書かれていました。流石!最後になんか重い荷物を渡されているような気がするけど気にしないぞ!!
「ゲームらしいゲーム」は本当に売れないのか(『カイ氏伝』)
なるほど…そもそも「ゲームらしいゲーム」も売れているという視点。 僕がデータをまとめるのもアレなんで、『マルガの湖畔』さんのデータなどを見てもらえばイイのですが… 2007年のデータも8月11日時点で、トップ10に『もっと脳トレ』のみ。(ひょっとしたら『Wii Sports』や『はじめてのWii』も「ゲームらしくないゲーム」と見なす人が多いのかも知れませんが)。トップ20だと『常識力』『眼力』『脳トレ』『もっとえいご漬け』、トップ30で『えいご漬け』『漢字脳』……30分の7というのは、多いか少ないか人それぞれだろうなというラインですかね。
むしろ実用ソフト以外はシリーズものばっかだな……という危機感の方が強いんですけど(笑)。Wiiのツートップを除くと、キャラものでも続編ものでもない作品は11位の『レイトン教授』の次は46位の『ウィッシュルーム』だったりします。 僕としてはこっちの方が「大丈夫?」という気になるんですが、この話はまた別の機会にでもするとして―――
そもそも、どうして皆ここまで『脳トレ』ブームが嫌いなの?ということを考えていきたいと思います。
あ……今更ですけど、 僕は『脳トレ』や『Wii Sports』を「ゲームらしくないゲーム」だとは思っていません。 『FF』得意な人と『テトリス』得意な人が違うように、スタート時点での得手/不得手がRPGやシミュレーションゲームとは違うよなぁと思うだけで、プレイを続ければ必ず上達しますし上達することで成果が上がるというのは「ゲームらしいゲーム」だと思っています。
流石に『お天気チャンネル』とかまで行くと、「ゲームらしくない」とは思いますけどね。
なのだけど……多分、僕の思想とか信念とかは別個のところで、世間一般の考え方としては「『脳トレ』はゲームらしくないゲームだ」と思われているのでしょうから――― 「ゲームらしくないゲーム」=『脳トレ』、「ゲームらしいゲーム」=『FF』シリーズ、みたいな二項対立をでっち上げて「『FF』シリーズが好きな人が『脳トレ』ブームを嫌う理由」みたいなイメージで書いていこうと思います。
実際には『FF』も『脳トレ』も好きだという人も少なくないだろうし(僕なんかはそう)、『FF』こそ「ゲームらしくないゲーム」だっ!って思う人もいるとは思うんですけどね。ムービーゲーム全盛の頃は、『FF7』とか『FF8』って「観ているだけでゲームじゃねえ!」って批判されていたんですよ……時代の変化って面白いね。
そもそも、『脳トレ』がいくら売れようが『FF』の売上げには関係ないと思うんですよ。DSやWiiがなければ、PS3やXbox360が売れていた……という可能性もなくはないけれど、直接そう繋がらないだろうというのが僕の考えです。
というか、別の『脳トレ』批判では「『脳トレ』のためにDSを買ったような人は他の(従来型)ゲームは買わない!」「だから、『脳トレ』ブームは次に繋がらない不毛なものだ!」と言っているのに…… この局面においてはあたかも「『脳トレ』ばかりが売れるせいで、他の(従来型)ゲームが売れない!」って言っているのって物凄く矛盾していると思いませんか?
もちろん人々の時間と財布は有限ですから、『脳トレ』と『FF』のどっちを買うのか悩んで『脳トレ』を買ったという人も0人だとは思いません。でも、そんなこと言ったら全ての娯楽に対しても「○○が人気だから従来型ゲームが売れないんだ!」と言うべきじゃないですか?
「高校野球が熱いから従来型ゲームが売れない」 「欽ちゃんのマラソンなんてどうでもいいものを観ているから従来型ゲームが売れない」 「ワンピースが40巻とか続いていて面白いせいで従来型ゲームが売れない」 「スマップが出演していないから従来型ゲームが売れない」 「ユ○チューブやニ○動でプレイ動画を観れば十分だからゲームが売れない」
こういう意見はほとんど見たことないですもん。 っつーか、動画共有サイトなんかはモロに従来型ゲームの“層”と被っているんだから、『脳トレ』なんかよりも影響あると思うんですけどね。結局、みんな「自分の好きなものは正義」「自分の嫌いなものは悪」と世界を二色で塗り分けているだけなんでないの?
……という論理は、自分でも強引だと思う(笑) 任天堂は従来型ゲームを出すけど、高校野球の大会の主催とかしないし。要はゲーム業界の「人材」とか「技術」の問題なのかなぁと思うのです。
『脳トレ』ブームを嫌っている理由って、推測するにこんなカンジ?
1.「ゲームらしいゲーム」を作る才能が「ゲームらしくないゲーム」を作ることに消費されているんじゃないかという危惧 2.「ゲームらしくないゲーム」ばかりが売れることで、「ゲームらしいゲーム」が発売されなくなるんじゃないかという不安 3.自分が嫌いな「ゲームらしくないゲーム」が売れているのが腹立つ
まず「1」の「人材流出」から。「技術の進歩が止まる」とか言う人もいますね。 当たり前ですけど、『FF13』を作っているスタッフに「あー、○○君。明日からガーデニングのソフトを作ってくれ」と言うワケではないですよね。そんな会社だったら、遅かれ早かれアレな感じになっていると思います。そもそも任天堂の実用ソフトだってほとんどは外注なんですよね。 『えいご漬け』はプラト、『お料理ナビ』はインディーズゼロ、『常識力』はHAL研究所、『ピクロス』はジュピター、『眼力』はバンダイナムコ、『家計ダイアリー』はsyn Sophiaが開発しているワケです。もちろん開発が外注だからといって何もしなくていいワケではありませんが、社内のスタッフは必要最低限に済ますことが出来ます。 『眼力』をバンナムに作らせている(というより流通だけ任天堂が担当したというカンジ?)間に、任天堂は『マリオギャラクシー』作っていますからね。ゲーム業界が一丸となって実用ソフトを作っているみたいな思い込みは、思い込みでしかありません。
もちろん会社によって方針は様々でしょうが、アクションゲームに向いているクリエイター、RPGに向いているクリエイター、実用ソフトに向いているクリエイター……などというように、クリエイターの才能は様々なんですから。様々な才能を発揮する場所が出来たのなら、それはむしろゲーム業界にとってプラスじゃないですかね?
次に「2」の「売れるゲームしか出なくなる」こと。 もちろん『脳トレ』系というか実用ソフトの数は「『脳トレ』が売れたんだからウチも!」と増えていったとは思います。でも、結局ほとんど売れなかったじゃないですか。 「結局、任天堂の実用ソフトしか売れねえじゃねえか!」と文句を言っている人が、一方では「このままじゃ売れる実用ソフトしか発売されない時代になるぞ!」と文句を言う……どっちやねん(笑)。 この二つの論理を足すと、「任天堂以外は実用ソフトを作らなくなる」と思うんですけどねぇ。『脳トレ』嫌いな人にとっては願ったり叶ったりなんじゃないですか?
DSは実用ソフト以外にもソフトは沢山出ていますし、Wiiなんか従来型の延長みたいなゲームばかりだと批判されているくらい。カイ氏伝さんが仰るように「ゲームらしいゲーム」もしっかりと売れているし、売れているということは発売されているということなんですよ。
そりゃね……「ゲームらしいゲーム」と「ゲームらしくないゲーム」じゃソフトの発売までの速度が違うんですから実数に差は出ると思いますし、価格差もあるから『脳トレ』は他のソフトよりも売れると思います。 ただ…やっぱり「ゲームらしくないゲーム」が存在しなくても、「ゲームらしいゲーム」の売上げは上がらないと思いますよ。むしろ『脳トレ』目当てでDS買った回帰層が、『FF3』とか『いたスト』を懐かしがって買ってたりするんですけど……そうした効果は無視して、一方的に『脳トレ』ブームを批判するのって卑怯じゃないですか?
ということで、ここまで僕は「『脳トレ』ブーム批判なんて言いがかりに過ぎないじゃん」と言ってきたんですが……実は、「3」の「自分が嫌いな「ゲームらしくないゲーム」が売れているのが腹立つ」という考え方が、一番真っ当かなーと思います。
「腹立つ」って何じゃそりゃと思うなかれ。 ゲーム会社は売れてなくても「ゲームらしいゲーム」を作り続けると思います。もちろん人気のジャンルとかは分かれると思いますが、100本のソフトが全部『脳トレ』もどきになるなんてことはありえません。
ただ、お店の棚は有限なんですよね。 売れ筋の商品を更に売れるように配置していくと、『脳トレ』置いてー『Wii Sports』置いてー『眼力』置いてー……と、それだけで新作ソフト3本分のスペースを使ってしまいます。ゲーム屋さんにとっても定番商品は、ありがたい商品ですからね。 ただ……「ゲームらしいゲーム」を好きな人にとっては、新作ソフト3本分のスペースが死んでいるということになり。『脳トレ』『Wii Sports』『眼力』がそこに置いてなければ出会っていたかも知れない3本の新作ソフトとの出会いを、みすみす失ってしまったことにもなります。
同じようなことはゲームランキングにも言えることでしょう。 「何か面白いソフトないかなー」とゲームランキングを見て、トップ10の中から気に入ったジャンルのソフトを買っていく……という買い方は、毎週のように『脳トレ』や『Wii Sports』がランクインしているランキングだと出来ませんよね。 あと、業界の未来とか全部フッ飛ばしても、自分が大好きなソフトが全然売れないというのは哀しいことですし。あまりに売れないと、そのシリーズやジャンル自体がもう出ないんじゃないかと不安になりますからね。
ちょうど「PS2を買っていればほとんどのゲームが遊べた時代」から、「ハードですら自分で考えて買わなきゃいけない時代」に移った時期というのもあって―――ゲームを楽しむのに、ある程度の情報収集能力が必要になったと思うんですよ。 それは単純に「インターネットを使っているか」なんて話ではなく、今自分が欲しいのはどういうソフトなのかといった自己分析や、どれだけの時間を費やせるのかといったスケジュール管理なども含めて―――より良いゲームライフのために、頭を使わなきゃならなくなったんですよね。
ということで、今「貴方にオススメの新作ソフトはコレだ!」と教えてくれる実用ゲーム(もちろんWi-Fiで最新のデータを引っ張ってくる)を売り出したら面白いんじゃないかと言ってみる(笑)
古い話になりますが……ゲームが2Dから3Dに変わった頃、僕は一度ゲームをやめました。3Dのゲームが面白いとは思わなかったし、今でも3Dのアクションゲームなんかは苦手なままです。でも、当時は「ゲームの3D化はゲームの進化だ!」みたいに声高に叫ばれていたんですよ。
確かに技術的にはそうだったとは思うんですけど…… 2D好きだった僕は楽しめるゲームがなくなり、一度ゲームをやめ、今DSが回帰層を狙って2Dアクションを幾つもヒットさせているという事実に「あー、ようやく気付いたのか」と思ったりするのです。
でも、今の『脳トレ』ブームを「進化」と思っている人はいませんよね。 任天堂自身が「技術を進化させていくだけで売れる時代は終わった」と言っていますし、『脳トレ』や『Wii Sports』は「多様化」なんでしょう。そうしたソフトが400万本だか200万本だか売れているから、「時代の最先端はあっちなのか!」と思うかも知れませんが、そういうことではないんですよ。
ゲームボーイの『テトリス』が大ヒットしたのが1989年。 国内だけで400万本以上が売れました。そして、『テトリス』以上に売れたパズルゲームは、20年近く経った今でも登場していません(シリーズ累計なら『ぷよぷよ』もいい勝負だと思いますが…)。 それでも、落ちものパズルゲームというジャンルは生き続けていますし、『テトリス』がゲームを駄目にしたなんて言う人もいません。
同じことは、今「ゲームらしくないゲーム」と言われているジャンルにも言えると思うんですよ。 やることは「脳を鍛える」ことでも「テニスラケットを振り回す」ことでもなくなると思いますが、『脳トレ』みたいなゲームや『Wii Sports』みたいなゲームは5年後・10年後でも細々と存在しているんじゃないかと思うのです。
「ブームはブームでしかない」のなら、それでイイじゃないですか。 『脳トレ』ブームが終わった後、荒地しか残らないのだとは僕は思いません。その土壌をどう活かすのか、ゲーム会社もゲーマーも試されているのだと思います。
「脳を鍛えたい」と言った母のために苦労してDSと『脳トレ』を買った一年前……今では「頭を使うのは疲れる」と、母は毎日『どうぶつの森』を遊んでいます。これもまた一つのモデルケースなんでしょうね。
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テーマ:ニンテンドーDS - ジャンル:ゲーム
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