「あの時、体に死ねるスイッチがあったら押してたと思うんだよ」
順風満帆に生きているヤツの言葉なんて、僕の心には響かない。 だからこそ、僕は―――全てのキャラが悩み続けている日本橋ヨヲコの漫画に惹かれるんだろう。
つい2週間前―――「最高傑作の後の創作活動 枡野浩一/小手川ゆあ『ショートソング』1巻」という記事にて、小手川先生が集大成とも言える『死刑囚042』を描き終えた後にどう漫画家として生きているのかということを書いたのですが………その時、ふと日本橋先生についても言及すべきかと悩みました。 結局は蛇足になるだろうから書かなかったんですけど、『少女ファイト』の1巻を読んだ時に同じようなキモチになったことを思い出したのです。
僕が日本橋先生の作品に手を出したのは『G戦場ヘブンズドア』がネットで話題になってからなので、偉そうに語れることでもないのですけど……… 『G戦場ヘブンズドア』を読んで魂をえぐられた人は大抵、「これを描いた人はもう漫画家としてやっていけないんじゃないか」と思ったんじゃないかと思います。それくらい魂のこもった作品でしたし、こんなものを描いてしまえば次の作品で“これ以上”を描くのなんて不可能だろうと思ってしまうレベルだったのです……
『G戦』で日本橋漫画にハマり、過去の作品もこぞって集めていくと……彼女が打ち切りに苦しみ続けた背景なんかも見えてきて、ますます「あぁ……『G戦』は彼女にとって集大成になっちゃっていたんだなあ」と複雑な気分になったものでした。
んで、数年挟んで久々の連載作品が『少女ファイト』だったワケですよ。 1巻を読んだ時の率直な感想は「スポーツ漫画かぁ……」ということでした。理屈は分からなくはない。人間ドラマを描き続けてきた集大成が『G戦』だったのだから、路線を変えるのは当然のことです。バレーボールという題材も、日本橋先生が気に入っているみたいでしたしね。 1巻をまるまる伏線に使ってしまうVIP待遇といい、連載作品では初めての女主人公といい、これまでの3つの連載作品とは違う素材が揃っていることも本来なら嬉しいことのはずでした。「新しい日本橋漫画なんだ」と喜ぶべきでした。
でもやはり―――『G戦』や『極東学園天国』で魂を揺さぶられまくった経験がある分、「普通にスポーツ漫画として面白いな」では物足りなくなっていたというのが本音だったのです。日本橋漫画には「普通に面白い」では納得できなかったのです。もう、あの感動は味わえないのか……と。
そして、3巻。 やはり日本橋ヨヲコは日本橋ヨヲコだった。
彼女が描いていたのは、スポーツ漫画であっても人間ドラマでした。 勝利を描いても、そこにあるのは悩みと迷いと葛藤でした。
―――変わらなかった。今まで通り僕の魂を揺さぶり、今まで通り涙が止まらなかった。 恐らく彼女は、誰よりも“絶望”を描ける漫画家なんだと思うのです。だからこそ、その向こうにある“希望”が輝いて見える……考えてみれば単純なことですけど、単純なものを描いているからこそ演出の才能の差が出てしまうのかも知れませんね。
天才健在。日本橋ヨヲコ、4度目の開眼。 伏線の数から逆算していくと物語もまだまだ中盤でしょうし、今後の展開にムチャクチャ期待しています。3巻出たばっかでアレですが、早く4巻出ないかな(笑)
[記事URL]
テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック
|