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| 月日の流れと、漫画の“背景設定” |
現在は『ちのしあ』7話を作画中…… 『ちのしあ』は“家族”を題材にした漫画なので自然と“家”のシーンが多くなりますし、基本的に“家”というのは頻繁にディティールが変わってはいけないものなので、過去に描いたシーンを眺めながら「この部屋はこう描いているのか」と今の作画と一貫性を持たせているのですが。
『ちのしあ』2話を作画したのは2006年1〜2月と、既に2年前。 3年にも満たない僕の漫画描きキャリアの中での2年間は大きな隔たりがあり、今から見ると「ここはこうしなきゃ床に見えないだろう!」とか「ここに段差がないと建物の構造としておかしいだろう!」といった部分もあって……細かい部分をチョコチョコと変えています。こうした仕様変更は大目に見て下さるとありがたい。
しかし……『ちのしあ』2話に出てくる間取り図を見てビックリしたことがありました。 現在の僕が考えている間取りより、一部屋多いという衝撃の事実。別にストーリーに支障はないですが、2年前の自分はどうしてこんなところに物置なんか置いたんでしょうね……
月日の流れと“背景設定”の話で言えば…… 『ちのしあ』6話で出てきた海イズの部屋の内装は、実は更に1年前の2005年3〜4月頃に作ってあったものです。ほとんど漫画なんて描いたことがなかった当時の自分がヒーヒー言いながら設定を用意したのですけど、その時は「これが後々に役立つんだから、妥協せずに設定しなきゃ!」と言い聞かせていたのを覚えています。
おかげで『ちのしあ』6話を作画する際には“背景設定”を新たに用意する必要もなく、非常に助かりましたが………3年間という時を隔てると、結構面白いものが見えてくるのです。

喩えば、この部屋にはノートパソコンとプリンター(複合機)があるんですが……ネットを繋いでいる線がどこにあるのかは設定していませんでした。 というか、僕自身がノートパソコンを使ったことがないので、そういうディティールがよくわかっていなくて―――3年前は「実際に作画することになった時に調べよう」と思っていたのですけども。
3年経った間に無線LANが急速に普及したおかげで、(少なくともヲタク率の高いこの家では)各部屋に有線LANを通さなくてもどっかの部屋から無線LANを飛ばしているんだという設定にすれば良くなったのです。
その他……この海イズ部屋にはテレビがなくて、それは「テレビは居間で観た方がこの家らしいだろう」という僕の想いからだったのですが、既に作ってあった海=ヲタク娘という裏設定からすると「自室にテレビが欲しいのが現実的かもなー」という葛藤があってどうするべきか迷っていたのですが。 今のご時世ならばワンセグという手もありますし、ヲタク寄りのアニメならばネット配信やネットテレビを利用してパソコンで観ている方が現実的になっちゃったというのもあるんですよね。
現実的な設定を用意していても、現実の方が超スピードに進んでいくために漫画がついていけないということもあるよなーという話でした。 ここで……『ちのしあ』の背景にコンセントを描いたことがないとまさに今気付いたので、今すぐにでも“コンセントがない家作り”を実現してはくれませんかね。こういうのも綿密に設定していくと、「電源を必要とする機器が何個あるからタコ足配線をココとココに用意して…」みたいなことをしないとならんのか。夢のない設定ですね。
もう一つ……月日の流れと“背景設定”で言えば。 
これは2006年1〜2月に描いた『ちのしあ』2話での紗希部屋。 今見たら自分でも「何だコレ……」と思うのですけど、テーブルに置かれている珍妙なものは“Wiiリモコン+ヌンチャク”なのでした。当時から誰にも気付かれてませんでしたけどね!
Wiiの発売は2006年12月(北米では11月)なので、もちろんコレを描いた頃には発売していませんでしたし。それ以前に“Wii”という名前が発表されたのが2006年4月なので、当時はコードネーム“レボリューション”でしたね。
僕はPS2が動かなくなった2003年頃から(壊れたのは2002年なのだけど2003年の夏までは頑張って使っていたのです……起動までに1時間くらいかかるのはザラ)「次は任天堂のハードを買おう」と決めていたので、2005年9月の東京ゲームショウで発表されたコントローラを応援のイミも込めてチョロッと背景に描いていたのですが……
2006年1〜2月というのはDS Liteも発売されていませんし(発売は2006年3月)、僕自身も「ゲーム人口の拡大」なんてものはピンと来ていなくて。DS Liteを買おうとして深刻な品切れ状態に直面し、ようやく世間でのDS熱に気付いたほどだったので…… Wiiが想像以上に普及したことは良かったのですが、Wiiはリビングに置くものだという概念が定着してしまったことで、紗希の部屋にWiiリモコンが置いてあることがむしろおかしいことに……
『Wii Sports』の原型となったテニスのプレイ映像が流れたのが2006年5月のE3ですし、それを『Wii Sports』として売り出すことが発表されたのが2006年9月のWii Preview。発売は2006年12月でしたけど……その瞬間までも、まさかダブルミリオン売っちゃうゲームになるとは思っていませんでしたしねぇ。 “Wiiリモコン単体”ではなく“Wiiリモコン+ヌンチャク”にしてあることからも、当時の僕が受けていたWiiの印象が今とは全然違うことが分かりますよね。
だから……というワケなのか、2007年9月から作画した『ちのしあ』6話では居間のテレビにWiiのセンサーバーらしきものが(笑)。この辺も大目に見てもらえるとありがたいです。

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