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| 「あんなのはゲームじゃない」が貶し言葉になる不思議なゲーム業界 |
荒れそうですが、今日はこの話題。
『戦場のヴァルキュリア』の西野陽氏いわく『Wii Fit』はゲームじゃない。 (情報元:まさかてさん)
最初に僕の意見を言っておきますが……僕は「色んな考えの人間がいるべき」だと思っている人間なので、僕自身は『Wii Fit』をゲームだと思っているけれど、「こういう考えもありだよなー」と思います。
1.「『Wii Fit』はゲームじゃない」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめる人 2.「『Wii Fit』はゲームだ」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめる人 3.「『Wii Fit』はゲームだ」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめない人 4.「『Wii Fit』はゲームじゃない」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめない人
1〜4のどれもが、いて当然。 僕自身は『Wii Fit』で今でも毎日体重を量っていますし(トレーニングはサボる日もある)、運動貯金は30時間弱くらいで『トワプリ』『蒼炎の軌跡』『マリオギャラクシー』のプレイ時間を超えましたし、女性トレーナーに「犬のポーズ」をさせて後ろからガン見するみたいなこともしているんですが……こういう楽しみ方を全ての人が出来るワケじゃないですからね。
「自分が楽しいものは全ての人が楽しめる」と思ってはいけません。だからこそ、ゲーム話は面白いんです。 『Newマリオ』が500万本売れても、DS本体が2000万台売れているんですから、DSユーザーの4分の3は『Newマリオ』を遊んでいないんです―――この多様性はゲーム業界の何よりの強みだと僕は考えています。
そういう意味で言えば……“自分の作りたいタイプのゲーム”とは違う方向性のゲームがトップを獲っているのを見て、「俺の方向性は変えない」「でも、俺は俺の方法でトップを獲ってやる!」というこのプロデューサーの発言はカッコイイとさえ思いました。
まぁ……敢えてツッコミをさせて頂きますと。 170万本も売れた(そして今も売れ続けている)『Wii Fit』に「ああいったタイプのソフトがトップセールスになることに複雑な気持ちはあります。」とか言っちゃうのって、その170万人、中でも上の分類で言う「2.「『Wii Fit』はゲームだ」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめる人」を切り捨てる発言とも受け取れますから――― この発言が原因で売上げが落ちるかも知れない可能性とか全く考えないんだ……とは思いました。
4の「「『Wii Fit』はゲームじゃない」と思っていて、『Wii Fit』を楽しめない人」を取り込む意図があったとしても、それって単なるネガティブキャンペーンですしねぇ。
しかし、ゲーム業界ほど「その定義(この場合はゲームの定義)」に固執する業界はないんじゃないかと思いますよね……
喩えば、10年くらい前に『ファイナルファンタジー8』などのムービーゲームが全盛だった頃は「ゲームを超えた」「これはもはや映画の領域だ」という文言が誉め言葉として使われて。そこに対するアンチテーゼとして、「俺はその“たかがゲーム”が好きなんだ」「ストーリーを追うだけなら映画を観るよ」という意見が出てきました。
これと……現在の『脳トレ』や『Wii Fit』などのソフトに対する「今までのゲームの常識を覆す全く新しいゲームだ!」「ゲームを遊んでこなかった人でも楽しめる」という誉め言葉と、ソレに対するアンチテーゼとしての「俺は今までのゲームが好きなんだ」「誰でも遊べるゲームなんてヌルい!」という意見が出てくる背景ってほとんど一緒なんですよね。
ちなみに僕は『FF8』が発売された頃はプレステを持っていなかったので、やったこともないのに「あんなのはゲームじゃねえよ」と言っていました(笑)。なので、『Wii Fit』をやったこともないのに批判している人の気持ちも分かるんですよ。 2000年になって友達から3000円でプレステ本体を買ってから、その友達に「やったこともないくせに批判するな」と『FF8』を押し付けられて、プレイしてみたらフツーにゲームとして面白かったんですけどね。
にしても……「これはもはやゲームを超えている」という誉め言葉も、「あんなのはゲームじゃない」という貶し言葉も、他の業界で考えると不思議な表現だよなと思いますよね。
喩えば、「ゲーム」に対応する言葉って「小説」じゃなくて「本」だと思うんですよ。「映画」じゃなくて「映像作品(ビデオとかDVDの方が分かりやすいかな)」だと思うんですよ。 「ゲーム屋さん」「本屋さん」はあるけど、「小説屋さん」って滅多にないじゃないですか。少なくとも僕の家の近所にはありません。ゲームというのはメディア(媒体?)の名称なんですよね。
そう考えると、「あんなのはゲームじゃない」という言葉は不思議。 「あんなのは小説じゃない」という表現はたまに見かけますけど、「あんなのは本じゃない!」と本に向かって言っている人はいませんよね。漫画だって本ですし、雑誌だって本ですし、飛び出す絵本だって本ですよね。
「ゲームの定義とは何だ?」以前に、「“ゲーム”という言葉の定義とは何だ?」がまず個々人によってズレているんです。 ある人は「本」という意味で「ゲーム」という言葉を使っているのだけど、中には「小説」という意味で「ゲーム」という言葉を使っている人もいますし、「ミステリー」とか「純文学」という意味で「ゲーム」という言葉を使っている人もいるのでしょう。
いっそのこと、「本」という意味を「ゲームソフト」に固定して、「ゲーム」という言葉は冒頭の記事で西野さんが仰っていたような「ゲームらしいゲーム」にのみ使った方がイイのかもなーとも思うのですが。そうなると、『Wii Fit』をゲームとして楽しんでいる僕のような人間はどうすればイイんだろうという問題が出てきてしまうのです。
そもそも「ゲームらしいゲーム」って何かってところが片付いていないのか…… 『テトリス』とかはどっち?『FF8』は?『太鼓の達人』とかは?アーケードのカードゲーム系は?クイズゲームは?『ウイイレ』なんか「ゲームというよりもサッカーシミュレーターだ」とか言っている人いるけどどっち?『ギレンの野望』ですら「これはもはや壮大な歴史ロマンである」とか言っている人いるよ?
キリねえなぁ……
「ゲームらしいゲーム」の話はまたの機会に譲るとして……… 「“ゲーム”という言葉の定義」が人によって違うのに、自分が使っている言葉の定義でみんなが使っていると勘違いしていることが混乱の原因なんでしょうね。 まさか西野さんは「『Wii Fit』はゲーム屋さんに行っても(品切れで)売っていなかった!ゲーム屋さんに売っていないなんて、もはやアレはゲームじゃない!」という意味で仰ってはいないと思うんですが、受け手からするとそう捉えることすら出来るんですよ。イジワルな言い方ですけど。
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