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| 理屈だけで言えば、Wiiは任天堂最後の据置型ゲーム機にならないかい? |
Wii.comにて、『Wii 2008“夏”』というTVCMが公開されていました。 1本のCMで4本のソフトを紹介して、夏商戦に向けて「定番ソフトもよろしくね!」とアピールする目的なんでしょう。個人的には新作ソフトだけでなく旧作ソフトも息長く売れるようになって欲しいと思っているので、これはこれで良いアピールかなと思います。
1本目のCMがライト向け(『マリオカートWii』、『Wii Sports』、『ボウガントレーニング』、『Wii Fit』)、2本目がゲーマー向け(『スマブラ』、『ゼルダ』、『マリオギャラクシー』、『ウイイレ』)と―――サードメーカーのソフトが『ウイイレ』1本しか入っていないのが残念ですけど。
流石に、この季節に「Wiiでスキー!」というCMは打てなかったか(笑)。
さて……今日の記事。 「E3前に書いておきたい」内容ではありますが、決して「今度のE3で発表される内容予想」みたいなことではなく―――どちらかというと、3〜4年後のゲーム業界がどうなっているのかという思考の訓練のような話です。
「Wiiの次世代機というものが存在するのだろうか?」
ファミコンの時代にスーパーファミコンが出てきたり、プレステの時代にプレステ2が出てきたり……現行普及したゲーム機に取って代わるゲーム機を売り出す理由は、技術が進歩したことによって「スペックを上げることが出来た」ということが一つにあると思います。 当たり前なことですけど……ファミコンが発売された1983年に、1990年に発売したスーパーファミコンを発売しようとしても不可能なワケです。作ることが出来たかどうかは知りませんけど、出来たとしても価格はムチャクチャに上がってしまいます。
加えて言うと、新しいゲーム機というものは常に競合他社とのにらみ合いで生まれてくるもので―――喩えば、任天堂がいつまでもファミコンに固執したかったとしても、メガドライブ(88年〜)・PCエンジン(87年〜)といった他社の新ハードが発売され。そうしたハードがファミコンでは不可能な新しいゲームソフトを生み出してしまうので、仕方なく任天堂も新ハード(スーパーファミコン)に移行し続けなければならないという事情があります。
新しいゲーム機ってのは、これまでずっと「技術の進歩」と「他社との競合」で生まれてきたんですよね。
しかし、64vsプレステ、ゲームキューブvsプレステ2―――と国内市場2連敗を喫した任天堂からすると「コレはマズい」となっていくワケですよ。「このまま続けてもジリ貧になるだけだ」と。もちろん理由はずっと積み重ねていったものなんですけど、スペックではプレステ2を上回っていたはずのゲームキューブで敗れたことが最後の一押しになったんでしょうね。
「ユーザーはスペックを見てゲーム機を買うのではなく、“新しい体験”を求めてゲーム機を買うのではないか」
これはWii本体の発売前に、任天堂の岩田社長が繰り返し仰っていたことです。 ファミコン→スーファミへの移行期などは、「スペックの上昇」と「新しい体験」が限りなく近いものでした。スーファミでの人気ソフト『ファイナルファイト』をファミコンで動かすためにはキャラを2Dにしなければなりませんでした。デカいキャラを動かせることだけでも、「新しいゲームだ!」と驚かすことが出来たんですよね(それ以前に、当時はアーケードと家庭用の間にもスペックの差がありましたが割愛します)。
ですが……ゲーム機のスペックが上がり尽くしたことによって、「これ以上は“違いの分かる人”にしか分からない」ところまで来てしまいました。 もちろんスペックが上がることによって、グラフィックだったり一度に動かせる敵の数だったりそのAIだったりという部分はこれからもまだまだ進歩していくでしょう。しかし、そうしたものを「凄い!」と思える人は限られているし、裏を返せばそうした部分(=グラフィックなど)にさえ目をつぶれば大抵のゲームはWiiくらいのスペックで作れるということも言えるのです。
そうした思想で作り上げられたのが、小型・省電力・誰にでも扱えるリモコン操作を携えたWiiというゲーム機で―――スペックではなく、“新しい体験”を提案した『Wii Sports』『Wii Fit』といったソフトだったのでしょう。
(参考:「収穫逓増」に挑んだ任天堂の戦略)
ここまでは大まかな歴史のお勉強。 ここからは“未来”に対しての思考の訓練。
しかし、Wiiが“脱スペック思考”で作られたゲーム機で、その路線をユーザーが支持したというのなら……今後、技術が向上してゲーム機に使えるスペックがどれだけ上がっていったとしても、新しいゲーム機なんて―――すなわち、Wiiの後継機なんて発売できないと思いませんか?
もちろんコレは競合他社がいなければ……という話です。 もしもPS3やXbox360(の後継機でも可)がWiiリモコンのように“誰でも扱える”コントローラを作り、ハイスペックなソフトを用意して『Wii Sports』や『Wii Fit』を買った層を引き込もうとすれば………ファミコンからスーファミに移行した時のように、任天堂も「Wiiをスペックアップしなければ」と危機感を覚えることでしょう。
ただ、現状では(噂はひっきりなしに出てきますけど)そうした発表はありませんし……任天堂は一応「WiiとPS3やXbox360は競合する商品ではない」と仰っているので、この点は考えないことにすると―――ますますもって、じゃあWiiの後継機なんか存在するのだろうかという疑問にぶち当たるのです。
「Wiiの後継機」というキーワードを考えると、アナリストなる人達が「これまで任天堂ハードは5年周期で発売されているから次は2011年か2012年じゃないか」と分析して、任天堂が「そのサイクルに縛られる必要はないと思っている」「我々がWiiで提案できることの全てを終えた時に次の据置型ハードを提案することになるのでしょう」とコメントしてきました。
まぁ……シンプルな発想ですが、今まで通りのことですよね。 ファミコンで出来ることをやり尽くしたからスーパーファミコンで新しいゲームを提案し、スーファミで出来ることをやり尽くしたから64で新しいゲームを提案し……というパターンです。
これまでは“スペックの向上”=“出来ること”でしたが、スペック主義とは異なる思想で作られたWiならば「Wiiリモコンで遊べるゲーム」を作り終えてしまった時にこそWiiの後継機が発表される―――そんな未来になると僕は考えていました。
去年のE3で『Wii Fit』が発表されるまでは。
もちろんアレが売れたのは「例外」と見なすべきなんでしょうけど……「Wiiリモコンを使わない」「専用周辺機器が付いてくるソフト」が、Wiiソフトで3番目に売れたソフトとなってしまった現在。 今後に「Wiiリモコンでは出来ないソフト」を考えたとしても、じゃあそれは専用コントローラとセットで売ればイイじゃんという流れになると思うんですよ。そのことに不満があるワケじゃないのですが、じゃあWiiでは出来ないゲームって何よ?って思いませんか。
HD画質にするとか、オンラインの強化とか、Wiiリモコンのセンサーの精度を上げるとか……細かい要望は沢山あるとは思いますし、ボイスチャット付きの『スマブラ』やHD画質の『ゼルダ』を遊びたいと願っている人は沢山いることでしょう。単にフラッシュメモリの容量を増やして欲しいという声もあると思います。
でも、それって思いっきりWiiが否定してきた思想ですし(=ユーザーはスペックで商品を買うワケではない)、そんな後継機を出したところで今のWiiを支持している層が「次も」と手を出すとは思えません。 実際問題ハードが売れるかどうかは「ソフト次第」なんでしょうが、何を出しても「それって別にWiiでも出せたんじゃないの?」と思われるんじゃないか―――と、僕は考えるのです、
Wiiリモコン以上に汎用性の高いコントローラが出来たのなら……Wiiに取って代わるゲーム機が発表されるのかも知れませんが。Wiiリモコン以上に汎用性の高いコントローラなんて存在するのかという疑問もあります。
「十字キーやアナログスティックを使いこなせない人」でも操作出来るようにするためにはダイレクトポインターは必須で、この時点で形状はWiiリモコン同様に“片手持ち”“棒状”に限られてしまいます。 ボタン数もただ単に増やしても「押しにくい」「誤って他のボタンを押してしまう可能性が上がる」だけですし、分かりやすく向上させられるところと言えばスピーカーの音質を上げることくらい?地味すぎる……
マイクを付けるとしても、現状のWiiリモコンにオプションで付ければイイだけですしねー。 センサーの精度を上げたところで面白いソフトが出てくるとは思えませんし。未だに“Wiiリモコンを振るゲーム”では『Wii Sports』の「テニス」を上回るものが出ていないことを考えても、振り方を細かく検出してもさほど使い道がないような気もします………
Wiiユーザーの自分からしてみると、「現状でWiiに思う不満点」がないワケではないです。でも、それって別にバージョンアップでどうにかなるんじゃないかってものだったり、周辺機器出せば良くない?と思うものだったりするのです。 ユーザーからすると、「なるべく長く現行機で頑張って欲しい」と思うものですしね。
DSの後継機を考える場合はまだ伸び代は分かりやすくて……単純にスペックを上げるだけでも「違いが分かる人」というのは多いとは思います(『脳トレ』目当てに買った層にアピールするには、それだけじゃイマイチでしょうけどね)。
でも、Wiiの後継機の場合――― もうコレ以上の先はないんじゃないかと思うのです。言い換えると、Wiiが取った手段というのは一度しか使うことが許されない禁じ手だったというか。それこそ今のうちに「ゲーム人口の拡大」をありったけやっておかないと、次に繋がらないような気がするのです。
そのためには「Wiiで出来ること」をどれだけ見せ付けられるかということなんでしょうけどね。 来週はE3―――各陣営がそれぞれサプライズを用意しているであろうことを期待して、この記事を締めくくろうと思います。「Wiiはゲーマー向けソフト」「Xbox360はゲームのあり方を変えてしまうもの」を発表するなんて噂がありますが……果たして。
4月に僕が書いた「Wiiにボイスチャットを付けるのなら、今年のE3で発表されるのではないか?」という予想はどうなるでしょうか。 実際、Wiiで『どうぶつの森』をヒットさせたいのなら、ソフトウェアキーボードでもUSBにキーボードぶっ挿すだけでもダメで、5歳から95歳まで同じフィールドでコミュニケーションが取れるボイスチャットがないとならんと思うんですけどねー。
(参考:Wiiにボイスチャットが付く日を大胆予想(妄想)!)
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