考えがまとまった(つもりだった)ので、今日はこの話題。
ゲームソフトの中古販売に関して思うことがあったので、2週間ほど前に
「新品を買えばゲーム会社にお金が入る」という固定概念を疑ってみるを書き、沢山の人からの反応を頂きました。中古ゲーム賛成派・反対派・小売店・メーカー視点と、様々な人がコメント・トラックバックにて御意見を下さり、とても感謝しています。
今日はそうした“皆さんからの意見”を受けて、自分が考えたことを書こうと思います。
○ 前回の復習+その後(読み飛ばし可) まず最初に、「そりゃあねえだろ」という意見から。
このブログとは直接関係がない場所ですけど、中古ゲーム販売に対して反対派の方々が「中古ゲームは違法コピーと同罪」「中古ゲームを買うヤツは死刑になればイイ」「むしろ中古ゲームの方が違法コピーよりも与える損害が大きい」と書いているのを見かけました。
こういうことを言っている人がいるから、中古ゲーム反対派の人達の正しい論理がかき消されちゃうんだろうなぁ……というのが率直な気持ちです。
「違法は違法」「合法は合法」です。
それを混同してしまえば、殺人や詐欺や横領だって「どうしていけないのか」が曖昧になってしまいます。
「中古ゲーム屋は合法」という判決が既に出ていて、中古ゲーム屋があることが前提に市場が形成されているくせに「中古ゲームがあるから新品ゲームが何円分売れない」みたいなことを言っても仕方がないと思うのです(もちろん、そのデータを基に「中古に売られないゲームを作るためにどれだけの予算を組むのか」みたいなことを考えればイイのですが)。
まぁ、正直ここまでのことを言う中古ゲーム反対派はごく少数で。
大多数の人が仰っていた
「新品の販売実績によって、次のプロジェクトの予算規模が決まる」、
「そもそも“古いゲームは中古で買ってイイ”という考え方が初動型のビジネスモデルを生んでいる」という意見は非常に合点がいくものでしたし。そうした意見を受けて、自分もゲームは出来る限り新品で買わなきゃならんなぁと改めて思いました。
しかし、敢えて重箱の隅を突くような反論をさせてもらえれば―――中古ゲーム反対派の方々がよく使っている
「新品で買うか、中古で買うかは消費者のモラルが問われている」みたいな言い方は、印象操作でしかないと僕は思います。 モラルとか道徳といった言葉には、「道にゴミが落ちていたら拾おう」とか「コンビニでトイレを借りたならキレイに使おう」みたいな“模範的な行動”というニュアンスが含まれていると思います。正しいこと、自分が気を使えばみんなが幸せになれること、自分のことばかりを考えちゃいけないよ、みたいな。
でも、ゲームの中古問題はそうではない。
消費者として、ゲーム業界がどういう方向に進んで欲しいかという話なんだと思います。 (新作ソフトを発売日に新品で買うのがベストなのは言うまでもありませんが、)発売から時間が経ったソフトでも新品で買うのはゲーム会社からしてみれば“模範的行動”ですけど、ゲーム屋さんからしてみれば利益率の高い中古で買ってくれるのも“模範的行動”なんですよ。
それはどの視点から見た意見かというだけで、「新品で買うか、中古で買うか」という問題に“モラル”という言葉を使っちゃうのはゲーム会社に偏った意見ですし。
そりゃ、ゲーム会社の株を持っている人はゲーム会社の利益優先な発言するよね~というだけの話です。
色んな立場があるから色んな意見がある。
そのどれが正しいかという問題ではなく、
自分が望んだ未来をどう切り開くのかという話なのです!(また、マルチ商法みたいな言い回しになってきたな……)
極端な例を出すと……
僕はWiiというハードが好きですし、その方向性を支持していますけど。
Wiiってゲームキューブが支持されなかったから生まれたハードなワケですよ。もしゲームキューブが売れまくってPS2とどっこいどっこいの勝負をしていてゲーム業界もバンバン拡大していっていたら、僕が支持しているWiiの方向性というのは追及されなかったと思います。
あとはまぁ……「中古ゲームがなくなればゲームの定価は安くなるはず」という中古ゲーム反対派の意見もあるのですが、個人的には「売値は高くなるんじゃね?」と思いますね。少なくとも、現状中古ゲーム対策として出ているベスト版(発売から日が経ったソフトを安価で再発売)は出なくなるでしょう。
考え方は人それぞれ。
自分が望む未来のために、自分は何にどうやってお金を払うのかという話です。
ということで、けじめという意味でも自分の話を。
前回の記事で「4年前に発売された『アナザーコード』は中古で買っても良いよね?」的なことを書いたのですが、まぁその後色んな意見を頂きまして、僕自身も上に書いたようなことを考えました。その結果として、僕は
「4年前のゲームであっても中古で買うのは辞めておこう」と決断しました。
これはあくまで、僕の、『アナザーコード』についての話ね。
『アナザーコード』は中古で大体1500円くらい、新品は近所の店舗では見つけることが出来ず、ネットでAmazon経由の別の業者で2980円+送料340円=3320円で売っているのを見つけました。新品と中古では倍以上の価格というのもアレなんですけど、自分の予算を考えても出せる上限は2500円くらい。3000円オーバーでは買う気になりません。
結論から言うと、
僕は任天堂にもベスト版を出して欲しいんですよ。 これは『ファイアーエムブレム』(『蒼炎の軌跡』→『暁の女神』)の時にも思ったんですが……ストーリーが繋がっている続編ソフトを発売するというのに、前作ソフトは発売から日が経っているため新品はもう店頭在庫がほとんどなく値が下がっていなくて、中古価格は下落しまくっているワケで。これじゃー、中古ソフトを買ってくれって言っているようなものじゃないですか。
「後から値下げをするのは最初に買ったお客さんに対して失礼」というのが岩田社長のスタンスみたいですが、『ファイアーエムブレム』や『アナザーコード』のケースのように“前作を知らないとストーリーが楽しめない危険性がある”ものは、ベスト版を出すことで新作の販売促進に繋がってファンも喜ぶと思うんですよ。
なので、「任天堂にもベスト版を出して欲しい」という自分の願いのためにも、『アナザーコード』も『アナザーコードR』もスルーして、その予算を他のことに回そうというのが僕の決断です。
※ とか書いていたんですけど、この記事を書き始めてから書き終えてアップするまでの間にAmazon経由の別の業者で新品2480円+送料490円=2970円というところが現れました。ひょっとして、ちょっとずつ値が下がっている??よし、2500円まで頑張って下げてくれ!!(笑)
○ ここからが本題 さて、そんな風に自分の中では「中古ゲームを買うか」問題に結論を出しましたし、こういうのは他人に言われて決めるものでもないでしょうから皆さんがそれぞれ考えて結論を出せばイイと思うのですが(僕はどこの株も持っていませんしね!)。
もう一つの問題が残っています。個人的にはこっちの方が重要だと思う……
では、
「中古にゲームを売っていいのでしょうか?」 中には「中古ゲーム買うのはダメだけど売るのはOK」みたいなことを言っている人もいますけど、フツーに考えればこの二つは表裏一体ですよね。中古に売る人がいるからこそ、中古で買える人がいるのですから―――
「中古でゲームを買う」行為を、既に新品で手に入らない商品以外では10年以上やっていなかった僕ですら……「中古にゲームを売る」行為はしていましたし、その行為を前提にゲームライフを送っていたところはあります。
「このゲーム、買って面白くなかったら中古に売っちゃえばイイや」 実を言うと僕が2年間買ってきたソフトの大半はこういう考えで買っています。中には買う前から「これは絶対に面白いはず!」と自信たっぷりだったソフトもありますが、大抵は買ってみてプレイするまで「面白いのかな……コレ?」と不安でいっぱいですもの。
そうして買ってみたら凄く面白くて手放していないソフトもあれば、不安的中で自分には合わなくてこっそり売却したソフトもあるんですけど―――
もし「中古にゲームを売ってはならない」という枷を自分にはめていたとしたら、確実に自分が面白いと思えそうなものにしか手を出さなかっただろうなぁと思うのです。いわゆるシリーズもの、ブランド力のあるもの、好きなメーカーのもの。
みんながみんなこういう考えになって、仮に中古ゲーム屋がこの世からなくなったとしても……それって今の日本のゲーム市場が抱えている
「売れるソフトと売れないソフトの差が大きくなっている」という問題をますます促進することになるんじゃないでしょうか?
現実問題として中古ゲーム屋を法的に規制することは出来ないので、「中古ゲーム屋がこの世からなくなった」仮定自体に意味はないのですが―――
各社が力を入れ始めているダウンロードソフトなんかはまさに「中古ゲーム屋がない市場」ですよね。 SCEはPSPで今後自社ソフトをパッケージソフトとダウンロードソフトの両方で併売すると言っていますし、PS3でも『SIREN』のダウンロード版を先行販売させるなどの実験的な試みを行っています。マイクロソフトもXbox360(だけではありませんが)ソフトのダウンロード販売を米国向けに始めたなんてニュースもつい最近ありましたね(
こちら)。
任天堂はダウンロードソフトとパッケージソフトは別物と、基本的には一つのソフトを両バージョンでは発売しない方針ですが……逆に言えば、パッケージソフトよりもダウンロードソフトの方が(中古ゲーム屋がないので)利益率が高いと判断したゲーム会社がダウンロードソフトに集中する可能性もなきにしもあらずです。
現状ではダウンロードソフトの方が価格が安いため、消費者からの反発は薄いと思いますが……
ファミコン→スーファミの時や、PS→PS2の時など、「開発費の高騰」を理由にゲームの定価がどんどん上がっていった経緯を見るに
ダウンロードソフトがいつまでも安いとは限らないワケで。果たして、この未来が消費者にとってバラ色なのかという疑問と不安があります。
ちなみに。日本のゲーム市場においてトップシェアが入れ替わったのはスーファミ(任天堂)→PS(SCE)の時とPS2(SCE)→DS(任天堂)の時の2回だけなんですが、この2回とも“ソフトの定価の平均価格が下がっている”というのが興味深い話ですよね。
なのに、どの陣営も「開発費の高騰」を理由にどんどん定価を上げていくという不思議……これってトップシェアを獲ると中古市場も飛躍的に拡大してしまって定価を上げざるを得なくなるという話なんですかね?よう分からん。
○ とりあえずの結論(?)・「中古ゲームを買うな」だけでは、中古ゲームの問題の解決にはならない
・「中古にゲームを売りたい人」が新品ゲームの販売促進に繋がっている部分はある(最終的なプラスマイナスがどっちに働くかは分からないけど)
・中古ゲーム市場は、「中古ではゲームは買わないし売らない」「ゲームは新品でのみ購入する」という人にも影響を与えている(プラス面:ベスト版など、マイナス面:新品の定価など)
・ダウンロードソフトは「中古のない市場」だからメーカーは力入れるんだろうけど、消費者にとってはそれが理想の形なのか疑問もある
うーん……もう脳が疲れてしまいました。
なので、もうちょっとシンプルに考え直します。
正直なところ、やっぱり「中古にゲームを売るな」というのは暴論じゃないかなーと思います。だってさ、「面白くなかったら中古に売っちゃえば良いさ」が封じられたとしたら、メーカーは「面白くないソフトでも(中古に流れないので)新品で売れ続ける」と思っちゃうじゃないですか。そうしたら「面白くないゲーム」ばかりが市場に溢れることになりますよ。
ゲームって買うまでは面白さが分からないものですし、体験版やPVを“面白そうに見せかける”技術ばかりが上がっちゃうんじゃないかとも思うのです。
発売前に面白さを知る手段がない限り、「面白くなかったら中古に売っちゃえば良いさ」という考え、翻っては中古ゲーム市場の存在がゲームソフトの質を低下させない刃止めになっている側面も否定出来ないんじゃないでしょうか?
それを批判するのって、「面白くないゲームでも売って儲けたい」というゲーム会社のエゴなんじゃないの?
Q.発売前に面白さを知るために「ファミ通のレビューを信じればイイ」のではないでしょうか?
A.バカなことを言うな
ファミ通批判ということじゃなくてね、「面白さ」なんてものは自分でやってみなきゃ分からんものなのですよ。肌に合わないゲームを買ってしまって5千円だか6千円をドブに捨てたと途方に暮れるよりかは、そのソフトを中古に売って、幾らか足して新しいソフトを買った方が“ゲーム人口”は維持できると僕は思います。
とは言え、「1周遊んだら満足」なソフトの場合、どんなに面白くても中古ゲーム屋に売られてしまう可能性は高いでしょうから。そうしたソフトはダウンロード専売(先行販売の方がイイか)で展開していくというのはどうでしょうか?ディスクシステムやニンテンドウパワーなどの書き換えサービスで任天堂がアドベンチャーゲームを展開していたというみたいにね。
そもそも、「中古ゲーム市場を駆逐する方法」よりも、「中古に売られずいつまでも大切にしてもらうソフトを作る方法」を考えた方がゲーム会社にとっても有意義だと思いますし。
○ 結論・ゲーム会社さんは「中古に売りたくならないようなソフト」を作って下さい
・「1周遊んだら満足」というジャンルはダウンロードソフトで展開していけばイイと思います
→ 次の議題:「中古に売りたくならないようなソフト」とは何ぞや?
流石に今日の記事は疲れました……
こんなに長い文章を最後まで読んで下さった方々には本当に感謝をしたいです。
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