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やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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“かんなぎ非処女騒動”に感じた本当の悪意

 ウルトラ懐かしい話題ですが、最近ザ・インタビューズで質問されまして、その後にTwitterでもこの話をすることになって―――イイ機会だから思い出したことを書いておこうと思います。

 当時この話題はセンシティブになり過ぎていて、何か言おうものなら「処女厨を擁護するということはオマエは女の敵だな!」と、「表現規制に反対する人は犯罪者予備軍」ばりのトンデモ理論で攻撃されるほどだったので(当時のコメント欄を読んでもらえれば分かります)。当時は言えなかったことがありました。



 あのネット上での騒動―――
 あれの最大の問題は「ヒロインは処女であるべきか」でも「コミックスを切り刻むのは自由か」でもないんですよ。あれから3年半が経った今なら分かってくれる人も多いんじゃないかと期待しています。






 あの騒動の正体は、インターネットによる「デマの拡散」なんですよ。

 当時『かんなぎ』はテレビアニメが始まったばかりでした。
 つまり、「アニメから入ったファン」が大量に拡大している時期です。一言で“『かんなぎ』のファン”と言っても一括りには出来ない時期だったんですよね。


・アニメから入ったファン
・原作漫画の単行本を読んでいるファン
・原作漫画の雑誌連載を読んでいるファン


 当時アニメは進行中ですから、当然「アニメしか観ていないファン」はアニメの進行までしかストーリーを知りません。
 アニメから入った人でも単行本を買って読み始めた人もいるでしょうから、「単行本を読んでいるファン」はアニメよりも先の展開を知っていることになります。
 単行本は雑誌連載をまとめたものなので、雑誌まで読んでいるファンは更にその先の展開を知っていることになります。アニメから入った人は単行本までは買うって人もいるでしょうが、雑誌連載まで追いかけられるって人は極少数でしょう。雑誌って後から追いかけるのが難しいメディアですからね(最新号を買うと途中の話をすっ飛ばしてしまうから)。


 つまり、一言で“『かんなぎ』のファン”と言っても、ストーリーの進行度は三者三様だったんですよ。あの騒動の根本には、この“ストーリー進行度のギャップ”があるんです。ここを語らずして、あの騒動の本質は語れないんです。



 騒動が始まるのは「原作漫画の雑誌連載を読んでいるファン」からです。
 一番ストーリーが進行している人から始まったワケです。当時広まった情報をそのまんま書きますけど、「ヒロインには元彼がいた」「ヒロインは非処女だった」「裏切られた」「コミックスを切り刻んでやった」、こんなカンジ。本当にファンだったかどうかとかはここでは問題にしません。その人個人がどうとかは大した問題ではないからです。問題は何故あんな(どーでもいい)行為が情報として拡散していったかです。


 ここで動揺するのは「アニメから入ったファン」です。
 この人達が一番情報がないワケですからね。「新しいアニメ始まったー。ナギ様かわいー。面白いなー」と楽しんでいたところに、以前から原作を愛していた人が「裏切られた!」と叫んでいるという断片的な情報だけが拡散してくるのですから、驚いてしまいますよね。不安になってしまいますよね。

 そうすると、今度は別の「原作漫画の雑誌連載を読んでいるファン」達が、騒動の発端となった人(もはやこの時点で誰だかも分かっていない)に反論をしていきます。「このヒロインが非処女であることはストーリー的に必然だった」「オマエは今まで何を読んできたんだ」「読解力がなさすぎる」「オマエのようなヤツに作品を語る資格はない」―――と。


 このファン達の心理は分からなくないです。自分達が正しいと思ったことなんでしょう。
 でもね、「正義」が必ずしも人を正しく導くワケではないんですよ。


 このファン達の批判は、最初の騒動の発端となった人ではなく、「アニメから入ったファン」達に届いてしまいます。
 彼らはまだアニメ序盤のストーリーしか知らないのに、「裏切られた!」という声と「そんなことを言うヤツに作品を語る資格はない」という声が断片的に拡散してきて、でもアニメから入ったファンはどちらが真実かを知る術はないのです。だって原作を読んじゃったらアニメのネタバレになっちゃうから。

 だから、ワケも分かっていない人が、不安と混乱と錯綜の中で「何が真実だか分からない!」と悲鳴をあげることで逆に騒動がどんどん拡散していってしまったのです。
 私もそんな記事を書いた一人なので加担者の一人です。当時は「でも自分が言わないといけないことがある!」と思って書きましたし、それが全ての面で間違っていたとは思いませんけど、デマを拡散した一人になってしまったことは目をそらしてはいけないと思っています。「正義」が必ずしも人を正しく導くワケではないんです。





 これに似た話―――去年の大震災以後、イヤっていうほど目にしましたよね。
 「原発で何が起こっているか分からない大多数の一般人」、危険性を叫ぶ専門家と安全性を叫ぶ専門家、何を信じていいか分からない状況で「よく知りもしないで素人が判断するな!」と言われて逆に不安になり、とにかく情報を集めなきゃと情報に飛びついて拡散していく、結果として「間違った情報」=「デマ」も一緒に拡散していく―――


 人それぞれ“持っている情報や知識に差がある”ことと、専門家であっても“意見は分かれる”ことで、何を信じてイイか分からないからデマも一緒に拡散していく――――問題の深刻さは全然違いますけど、起こっていたことは一緒なんです。

 「デマが拡散していくメカニズム」を止めない限り、何度だって起こるんです。
 「処女厨が死ねば解決する」とか「反原発派がいなくなれば解決する」んじゃないんです。また新たなデマが拡散していくだけなんです。


(関連記事:「情報弱者は愚か者だ」という風潮こそがデマを蔓延させる


 だから、2012年の今だからこそ、語らなければなりません。
 “かんなぎ非処女騒動”にあった本当の悪意とは何だったのか――――?


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 こういう話は『かんなぎ』に限ったことではなく、原作付きアニメでは頻繁に起こっています。



 『けいおん!』でも似たような話がありました。
 アニメ2期が始まるちょっと前に、「実は律っちゃんには彼氏がいた」というデマがTwitter上で流れました。今だからそれがデマというのは分かりますけど、当時は分かりませんでした。

 それは雑誌連載の最新号の話だったからです。
 自分はアニメ2期をなるべく原作を読まない状態で楽しみたかったので、それが真実かどうかを確かめることもなく、ネタバレ防止のためにその話題をシャットアウトしました。「多分その話はアニメ2期でやるだろう」と思っていましたから。


 なので、アニメ2期の間中ずっと「律っちゃんには彼氏がいるんだ」「この後にそういう展開があるんだ」と思いながら観ていました。律っちゃんと澪がイチャイチャしていても「でも、律っちゃんホントは彼氏いるんでしょ?」と思いながら観ていました。そしたら、最後までそんな話はねーの。

 原作のこのエピソードはアニメ2期には入らなかったので、後に自分は単行本4巻で読むことになるのですが……そしたら「律っちゃんに彼氏がいたというのは澪の勘違い」という何てことのないオチで、私は半年以上そんなデマに踊らされて観ていたんです。


 多分、これを最初に言った人は「雑誌を読んでいる人は分かるっしょ?」というネタのつもりだったのでしょう。でも、雑誌連載まで追いかけている人ばかりではありませんから、それがネタなのか真実なのかが分からない人がたくさんいるのです。結果、私はずっとデマを信じてしまい、アニメ2期が楽しめなかった一因になりました。




 実はこれと似たようなことがまだあって。
 「律っちゃんに彼氏がいた」と一緒になって、「あずにゃんにも彼氏がいるって原作で描かれているよね」というデマも流れていました。これは単行本2巻にある「クリスマスに予定があるということは彼氏?」と言われたあずにゃんが「家族と過ごすんです!」と言うシーンのことなので、私はデマだと分かりましたけど。アニメにはないエピソードなので、そのデマを未だに信じている人もいるんじゃないかと思っています。




 ホントさぁ……もう、やめてくれませんかね……
 現在放送中の『偽物語』でも同じようなことを喰らっていて、しかもコレは未だにデマなのか真実なのか分かっていないから詳しくは書きませんけどさ……もうウンザリですよ。原作付きアニメが全然楽しめませんよ。








 最初の『かんなぎ』の話に戻します。
 あの件で自分は「コミックスを切り刻むようなヤツを擁護するのか」とか「処女厨を擁護するのか」とか散々言われましたよ。
 人の嗜好はそれぞれですから、ぶっちゃけそんなことはどうでもいいです。「そんな人がいてもいいじゃない」と思うだけです。でも、私はその人をこの一点だけで許せません。

















 アニメが始まった時期に、わざわざ原作の最新回のネタバレをするようなヤツは人間のクズだ!


 それが「真実」だろうが「デマ」だろうが「ネタ」だろうが、全部一緒です。
 「このアニメ、この後にこういう展開があるよ」と言うだけで、私はソイツを許せません。


 原作をずっと追いかけてきたファンからすると「アニメ化」に際して言いたいことがあるでしょう。
 原作を支え続けた彼らがいなければ「アニメ化」にはならなかったのですから、そりゃ先輩風も吹かせたくなるのでしょう。

 アニメから入ったファンは「新参者」ですから、そういう先輩に反論できないのも確かです。
 こんなところでも「ファン歴〇年」の縦社会になってしまう日本人に寂しい気持ちになりますが、それが社会なのだろうとも思います。それも含めて「色々な人間がいるから世界は面白い」と思います。




 でもね―――ではないです。だからこそ、
 「原作からのファン」は「アニメから入ったファン」との間に“情報のギャップ”があることを想像してくださいよ。

 その上で「じゃあデマを広めてやろう」「ネタバレして楽しみを奪ってやろう」と思うのならば、まぁそういう人もいるんでしょう。どんな人間でもどこかに悪意を抱えているのだから、それを否定出来ません。私も「オレとは分かり合えない相手なんだな」と思うだけです。

 でも、悪意なく、ただ「自分とは違う人間がいる」という想像力がないだけで、ネタバレやデマを振りまいていた人は今すぐやめてください。それだけで不幸になる人が減って、作品のファンが増えて、アナタも「あの先輩ってウッゼーよな」と嫌われなくて済むのですから。


(関連記事:アニメが初見でも楽しめているのになぁ……


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| アニメ雑記 | 17:49 | comments:24 | trackbacks:0 | TOP↑

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