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2014年7月のまとめ

 サッカーW杯が終わりましたね!
 すっげー今更感のある話題ですけど、書くタイミングがなかったのでここに書こうと思います。

 私は「史上最弱のドイツ代表」という前評判だった2006年W杯の頃からドイツ代表が好きだったので、ラームやシュバインシュタイガーが代表にいる間にドイツがW杯に優勝できて嬉しかったです。また、日本サッカーは黎明期からドイツをお手本にしてきましたし、現在でも多くの日本人選手がドイツのリーグでプレイしていることを考えると、ドイツの優勝というのは日本人のサッカー好きとしても悪くない結果だと思うのですが……

 今回のW杯で身に染みたのは、「強いチーム」を真似するのは良くないなぁということでした。今回のドイツ代表はムチャクチャ強かったですけど、それを日本が真似しては良くないだろうと。


 4年前のW杯はスペインが優勝しました。
 ショートパスを多用して自分達でボールを保持して勝つサッカーはすごく魅力的でしたし、日本を含めた多くの国が「ほらほら!これでイイんじゃん!これで勝てるじゃん!」と希望を持ってショートパス主体のチームを作っていきました。

 でも、逆に言えば……世界中の国が「スペインに勝つためには」という研究を4年間してきたとも考えられて、スペインの劣化コピーみたいなサッカーしか出来ないチームは「打倒スペイン」を目指したチームにボコボコにやられちゃうんですよ。

 すっかり忘れかけていることですけど……2012年のロンドン五輪で、日本代表もスペイン代表を「打倒スペイン」と研究して倒しているワケですからね。今回のW杯でその日本がスペインの劣化コピーみたいなサッカーをしようとして(出来なかったけど)ボコボコにやられるというのは、何という皮肉だと思います。




 ということで、新しい日本代表。
 どういう方向に進むのかはしばらく走らせてみないと分からないと思いますが、

・2002年 ←管理サッカーでベスト16
・2006年 ←その反動で「自由なサッカー」を目指して惨敗
・2010年 ←守備的サッカーでベスト16
・2014年 ←その反動で「攻撃サッカー」を目指して惨敗

 このパターンだと2018年はグループリーグ突破は確実!
 というのは冗談ですけど、日本のサッカーは「成功」から何も学んでいないとも見えますね。せっかくベスト16まで進んでも「ベスト16どまりだったのはどうしてだ」と積み上げたものを捨ててしまい、前回ベスト16まで進んだメンバーを中心に4年後も戦うのだけどチームが停滞している時期にW杯本番を迎えて惨敗。


 こう考えると新しいチームは積極的な世代交代をした方がイイのかも知れませんね。
 8年前のオシムが「とりあえず中村俊輔抜きの布陣で」ベースを作ろうとしたように、今回も「とりあえず本田・香川・長友抜きで」ベースを作るべきかもなぁと。正直……しばらくは代表は休ませてあげないとならんとも思いますし、もっと色んな選手にチャンスを与えて欲しいとも思いますしね。


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 「2014年7月のまとめ」は私事・創作活動の報告などが大半なので、今月も読みたい人だけ「続きを読む」をクリックして下さいな。

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| ひび雑記 | 18:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ゲームとは“ルールを創造する”ことだ。『マリオブラザーズ』紹介

【三つのオススメポイント】
・実は「マリオシリーズ」においては特異な存在
・「1種類のステージ」と「3種類の敵」だけなのに、色んなことが起こるんだ
・“完成された遊び場”


『マリオブラザーズ』
 ファミリーコンピュータ用/アクション
 任天堂
 1983.9.9発売
Wii Uバーチャルコンソール用
 2013.5.29配信開始/476円+消費税
 公式サイト
 ※ 3DSWiiのバーチャルコンソールでも配信されています

マリオブラザーズマリオブラザーズ

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※ この紹介記事はWii Uバーチャルコンソールにてダウンロード販売されたものをプレイして書いているので、オリジナルのファミコン版とは内容が異なっている可能性があります。

◇ 実は「マリオシリーズ」においては特異な存在
 わざわざこんな超有名タイトルを紹介しなくても国民全員が知っているだろうと思う人もいらっしゃるかも知れませんが……こないだの「マリオがジャンプするのは『パックランド』のパクリ」と思っている人がいる―――という話から考えるに、流石に若い人には存在すら知らん人も多いのかもと思ったので紹介記事を書きます。


 『マリオブラザーズ』は元々は1983年7月に稼動開始したアーケードゲームです。
 「対戦タイプのゲームをつくろう」というコンセプトで開発が始まったそうで、マリオとルイージの同時プレイが可能で、アーケード版では当初「1人100円、2人でも100円」で遊べたそうです。

 1983年9月には、その移植版となるファミコン版が発売されました。バーチャルコンソールで配信されているのはコレですね。調べてみるとファミコン版はアーケード版からカットされている要素も多いらしいので、アーケード版やディスクシステム版も配信してくれたらイイのに。
 私はリアルタイム世代ではないのですが、この『マリオブラザーズ』のカセットはファミコンを持っている当時の友達の家には必ずと言ってイイほど置いてあるゲームで。「アーケード版」は見たことがないけど、「ファミコン版」はリアルタイム世代でない私達も死ぬほど遊んでいたというのはなかなか興味深い話です。

 今思うに、友達の家に必ずと言ってイイほどこのゲームが置いてあったのは、「友達」ではなく「友達のお父さん」がこのゲームを遊んでいたからかも知れませんね。我が家の父も、当時『マリオブラザーズ』はすごく遊んでいましたが、『スーパーマリオブラザーズ』以降のゲームは「俺には難しい」と触りませんでした。この辺の話は後述します。



 さて、このゲーム。
 宮本茂さんと横井軍平さんの合作であり、『ドンキーコング』では名前のないプレイヤーキャラでしかなく、『ドンキーコングJR.』では敵キャラだったマリオの名前がタイトルに付いた初めてのゲームなのですが―――実は「マリオシリーズ」の中では異質なゲームなんですよね。


 『ドンキーコング』(1981年)、『ドンキーコングJR.』(1982年)、『マリオブラザーズ』(1983年)、『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)……と、宮本さんが手がけるアスレチックアクションゲームを振り返ってみると、『マリオブラザーズ』以外の3本というのは「ステージのバリエーション」によってプレイヤーに新しいアクションを要求するゲームなんです。

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<写真はファミコン版『ドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 『ドンキーコング』は1面と2面では「ステージの構造」が違います。
 それによって、「こっちのステージではジャンプでタルを避ける」ことが求められていて「こっちのステージでは動くリフトにジャンプで飛び乗る」ことが求められている―――と、プレイヤーに“別の遊び”を提供しているのです。

 『ドンキーコングJR.』もそうですし、『スーパーマリオブラザーズ』もそうですし、言ってしまえば多くのアクションゲームはそうですよね。いろんなステージを用意して、いろんな遊びを提供してくれる。


 しかし、『マリオブラザーズ』は違います。

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<写真はファミコン版『マリオブラザーズ』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 1面も100面も「ステージの構造」は一緒なのです。


 もちろん当時はこういうゲームは珍しくなかったでしょうし、そのことが特別どうのという話ではないです。
 物心ついた頃から『スーパーマリオブラザーズ』が存在していた私は、『マリオブラザーズ』というゲームを後から知って「なるほど。このゲームを進化させた続編が『スーパーマリオブラザーズ』だったのか!」と思ったのですが。『ドンキーコング』→『ドンキーコングJR.』→『マリオブラザーズ』→『スーパーマリオブラザーズ』という流れにおいて、『マリオブラザーズ』はむしろ異質なゲームだったのだと今なら思うのです。


 「色んなステージを用意する」のではなく、「1つのステージを使いまわす」―――
 今だったら「手抜き」と思われてしまうかも知れないこの仕様こそが、自分の父親が『スーパーマリオブラザーズ』よりも『マリオブラザーズ』を好んでいた理由なのかもと今なら分かります。


◇ 「1種類のステージ」と「3種類の敵」だけなのに、色んなことが起こるんだ
 このゲーム……先ほど書いたように「ステージの構造」は1種類しかありません。
 「じゃあ、このゲームって1面しかないの?」と言えばもちろんそんなことはなく、「3種類の敵」を用意していることでしっかりとバリエーションを提供してくれるのです。

 そう言えば、以前に紹介した「社長が訊く」にて『スーパーマリオブラザーズ』制作時の仕様書にこう書かれていたという話がありましたね。

<以下、引用>
岩田「この仕様書を見ると・・・
 「『ドンキーコング』のスロープ、リフト、ベルトコンベア、はしご、
 『ドンキーコングJR.』のロープ、丸太、ジャンプ台、
 『マリオブラザーズ』の敵の攻撃、敵の動き、氷った床、パワー床、などを中心として改良を加える」・・・と書いてありますね。」

</ここまで>

 『ドンキーコング』や『ドンキーコングJR.』からは「リフト」や「ジャンプ台」などの「ステージの構造」や「ステージのギミック」が『スーパーマリオブラザーズ』に受け継がれているのだけど、『マリオブラザーズ』からは「敵の攻撃」や「敵の動き」が受け継がれているという。

 『マリオブラザーズ』というのは、“特性の違う敵”を描いたゲームだったのです。

 もちろんこの“特性の違う敵”は『マリオブラザーズ』だけの発明ではなくて、それこそ『ゼビウス』なんかも“敵”の種類にもバックボーンがあるゲームだったので「当時の流行」の一つだったと思うのですが……これが『スーパーマリオブラザーズ』に引き継がれているのは何となく分かりますよね。

 クリボーは最弱、ノコノコは踏んで倒せるけど甲羅になる、トゲゾーは踏めない、パックンフラワーも踏めないけど土管の横に立てば出てこない、ハンマーブロスさん勘弁してください……『スーパーマリオブラザーズ』の恐らく世界一有名な「ゲームの敵キャラクター達」が生まれた下地には、この『マリオブラザーズ』の「3種類の敵」があるんじゃないかと思います。



 ということで……気になったので、ファミコン版『マリオブラザーズ』の「ステージごとに出てくる敵」を集計してみました。手集計なのでミスがあったらゴメンなさい。

1面:カメ、カメ、カメ
2面:カメ、カメ、カメ、カメ、カメ
3面:ボーナスステージ
4面:カニ、カニ、カニ、カニ
5面:カニ、カニ、カメ、カメ、カニ、カニ
6面:ハエ、ハエ、ハエ、ハエ
7面:ハエ、ハエ、カニ、カニ、ハエ
8面:ボーナスステージ
9面:カメ、カメ、ハエ、カメ、カメ (※ここから氷出現)
10面:カニ、カニ、ハエ、カニ、カニ
11面:ハエ、カニ、カニ、カニ、ハエ、カニ
12面:カニ、カニ、カニ、ハエ、ハエ、カニ
13面:ボーナスステージ
14面:カメ、カメ、カニ、カメ、カメ
15面:カニ、カニ、ハエ、カニ、カニ
16面:カニ、カニ、カニ、ハエ、ハエ、カニ
17面:カニ、カニ、カニ、ハエ、ハエ、カニ
18面:13面と一緒で以下ループ

 出現タイミングなどの細かい調整はあるかも。
 ゲームスタート時に選ぶAモードとBモードの違いは検索してもよく分からなかったのですが、どうも「Bモードの方が火の玉が出るのが早い」みたいですね。ストップウォッチで測ってみたところ、Aモードの1面は45秒で緑の火の玉、50秒で赤い火の玉が出ましたが。Bモードの1面は15秒で緑の火の玉、30秒で赤い火の玉が出ました。


 ステージの順番を振り返ってみると、最初の2面は例外として「4面」ごとに「ボーナスステージ」になってPOWブロックも回復する「4面構成のゲーム」になっていると分かると思います。
 こないだの記事の反応の中に「『スーパーマリオブラザーズ』が4面構成なのは『パックランド』のパクリだ」と仰っている人がいたんですけど……『ドンキーコング』も全4面、『ドンキーコングJR.』も全4面、ファミコン版『マリオブラザーズ』も4面ごとに構成されているのだから、『スーパーマリオブラザーズ』が4面構成になるのは普通の流れだと思うんですけどね……


 「3種類の敵」を紹介します。
 Wii版バーチャルコンソールの公式サイトに絵もありますので、そちらもどうぞ。

・カメは正式名称「カメさん」。一撃で気絶させられる基本的な敵。
・カニは正式名称「カニさん」。二回攻撃しないと気絶させられない強敵。
・ハエは正式名称「ファイターフライ」。何故コイツにだけ日本名がないのだ(笑)。ジャンプしながら移動するので攻撃のタイミングが難しい。後のパタパタの原型かな?

 「カニだけ」とか「ハエだけ」ならば特に問題はないのだけど、タイプの違う敵が同時に出てくると混乱するだろうと「カニを倒し終わっていない間にハエが出てくる」などの順番を工夫して難易度を調整していることが分かります。


 加えて……「3種類の障害物」もあります。
・氷は正式名称「フリーズ」。下から叩くだけで破壊できるのだけど、放っておくと床を凍らせてくる厄介なヤツ。コイツは数に限りがないのでどんだけ倒してもステージクリアにはなりません。
・赤い火の玉は、一定時間が経つと出現し破壊しない限り消えることなくずっと跳ね返り続けます。
・緑の火の玉は、一定時間が経つとマリオのいる段の反対側に出現し、反対側まで飛ぶと消えます。画面の左右の端を行ったり来たりしていると、出現した瞬間のコイツに当たって死ぬことが多い恐ろしいヤツ。



 「敵」も「障害物」も以後のアクションゲームに比べれば数は少ないし、「ステージの構造」なんて1種類しかありません。一応、私は108面まではプレイしたのですが、18面以降はループに入るので「同じことの繰り返し」のように思えるかも知れません。



 でも、色んなことが起こるのです。
 「同じステージが繰り返されるだけだから、さっきと同じようにプレイすれば簡単にクリア出来るだろう」と思ってプレイしても、ちょっとしたタイミングの差でズレが起こり、予想外なことが起こって、さっきとは同じようにはクリア出来なくなったりするのです。

 そういう意味では、『テトリス』のような落ちモノパズルに近いのかも。
 『スーパーマリオブラザーズ』は多彩なステージを用意していて、プレイヤーに「次はどんなステージだろう」とワクワクさせるゲームでしたが……そういう“未知のステージ”が苦手な人だっていますよね。「いつもと同じステージ」で「いつもと同じようにプレイ」したいのだけど、「その中で起こるドラマチックな色んなこと」が好きだという人。

 落ちモノパズルを延々と遊ぶ人がいるように、私の父が『スーパーマリオブラザーズ』よりも『マリオブラザーズ』を好んだというのも今なら分かるんですね。知っているステージ、知っている敵、知っているルールの中で、昨日とは違うことが起こる―――そういう魅力が『マリオブラザーズ』にはあるんだろうなと。


◇ “完成された遊び場”
 『テトリス』もそうですが、ずっと遊び続けられる“完成された遊び場”になるゲームというのは「ルール」がしっかりしているという条件があると思います。



 『マリオブラザーズ』の敵は、上の土管から出てきて下の土管に向かいます。下の土管に入るとまた上の土管から出てきて、プレイヤーがこの敵をステージごとに規定されている数を全滅させるとステージクリアになります。

・ジャンプして下の床から突き上げると敵に「攻撃」したことになり、気絶させられる→ 気絶している間に上の段に昇って接触するとトドメをさせる
・気絶していない敵や障害物に当たるとプレイヤーは1機失う


 基本的な「ルール」はこれだけ。
 これだけなんですけど、このシンプルな「ルール」がよく出来ているんです。
 「下の床から突き上げる」のは楽なんです。安全なところから攻撃するだけだから。ただ、トドメを刺すには上の段に昇らなければなりません。その位置まで上がる途中に敵に接触する可能性もあるし、モタモタしていると気絶していた敵が起き上がってしまうかも知れません。“リスク”と“リターン”のバランスというか、“ピンチ”と“チャンス”のバランスがものすごくよく出来ているんですよね。


 『スペースインベーダー』や『パックマン』もこうしたバランスがものすごくよく出来たゲームだと思いますし、もっと根源的な“遊び”で言えば『缶蹴り』なんかもそうですよね。缶を蹴るチャンスは、鬼に見つかるピンチと紙一重。

(関連記事:「鬼ごっこ」や「かくれんぼ」から、ゲームの複雑化を考える


 加えて、『マリオブラザーズ』には付随されるルールも存在します。

・画面の左右の端は繋がっていて行き来が可能
・気絶から起きた敵はスピードアップして強力になる
・気絶中の敵をもう1回下から突き上げると、スピードアップせずに起き上がる
・ステージ最後の1匹になった敵はスピードがMAXになる(ハエだけは例外)
・敵を倒すごとにコインが上の土管が出てくる(下の土管までに回収できないと消滅)
・敵やコインは進行方向に障害物があると方向転換する
・複数の敵にまとめてトドメを刺すと得点が増える
・下から突き上げるタイミング次第で、敵の吹っ飛ぶ方向が変わる
・同じ段に居続けると緑の火の玉が出てくるので、段を変えないと死ぬ
・POWブロックは全ての敵と火の玉を一斉攻撃してくれる切り札
・POWブロックは4面ごとに3回しか使えない



 これらも“リスク”と“リターン”のバランスがすごく良く出来ています。
 「コインの回収」とか「敵をまとめて倒す」とか、高得点を目指すとその分だけ面倒になって敵と接触する“リスク”を背負うというのもありますし。下から突き上げるタイミング次第で敵の吹っ飛ぶ位置が変わる仕様を使って、敵を気絶させる時点で下の段に落とすというテクニックがあるんですけど、タイミングをミスると空振りをするという“リスク”にもなります。
 また、「気絶させたはイイけどトドメを刺す余裕がない」という時は、敢えて復活させてスピードアップをさせないという手もある―――とか、子どもの頃は気付いていませんでしたが、瞬間瞬間ごとにプレイヤーに「どうするか」という葛藤を与えるよく出来た「ルール」になっているんだなと大人になった今なら分かりますね。

 自分が地味に「よく出来ているなぁ……」と思うところに、“敵やコインは進行方向に障害物があると方向転換する”というルールもあります。敵の出現パターンはランダムではないと思うのですが、これによって「敵がさっきとは違う動きをする」現象が起こるのです。
 あ、今回の記事ではほとんど触れていませんでしたが、「二人同時プレイ」が出来ることで「相手のプレイによって自分の予期しないことが起こる」というのもありますね。単純に殺し合うだけじゃなくて、相手が敵を気絶させたり気絶を解いたりする中で、一人プレイとは全く違うことが起こるようになっているという。


 あと……すごく抽象的かつ主観的な話になっちゃうんですけど。
 このゲームって「手触り」がすごくイイんですよね。

 これは後々の『ゼルダ』シリーズとかにも通じると思うんですけど。氷が床を凍らせようとしている瞬間に破壊した時の“気持ち良さ”とか、スピードMAXになったピンクカニを下から突き上げてものすごい距離を吹っ飛んでいく“気持ち良さ”とか、言葉では表現するのが難しい「世界にちゃんと触っている」感があるのです。


 そう言えば、ちょっと話がズレちゃいますけど……
 スピードアップした敵を突き上げた時に「吹っ飛ぶ距離が伸びる」のって、言ってしまえば「ダッシュジャンプ」ですし、『パックランド』よりも先に『マリオブラザーズ』が「ダッシュジャンプ」を取り入れていたと言えるんじゃないでしょうか。言えませんか。そうですか。


◇ 総括
 ということで……超久しぶりにプレイしてみても、やっぱり面白いです『マリオブラザーズ』。
 それこそ大人になっても『缶蹴り』は面白いみたいな話で、世の中のハイテク技術がどんなに進歩しても根源的な面白さは色あせないのかもなぁって思います。
 「マリオがジャンプするのは『パックランド』のパクリ」と言っている人は、『パックランド』より前にジャンプしている『マリオブラザーズ』が今でも遊べるんだからとりあえずプレイしてみればイイさ。


 ただ、子どもの頃の記憶以上に「ループに入るのが早い」という印象は受けました。
 氷が登場する9面以降は新しい「敵」や「障害物」は出ないので、仕方がないんですけどボリュームという点では今遊ぶと物足りないかもですねぇ。

 アーケード版は17面から「つらら」という新たな障害物が登場するそうで、ループに入るのも23面からなんですってね。なるほど本来はさらに一段階上があったんですね。慣れ親しんだファミコン版もイイですけど、アーケード版もいつかバーチャルコンソールで配信して欲しいです。

| ゲーム紹介 | 17:49 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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『グラスリップ』にプンプン感じる「面白くなりそう」な素材

※ この記事はアニメ『グラスリップ』第4話「坂道」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 夏アニメも大体3~4話目に突入して、アニメクラスタの皆さんは「どの作品を視聴し続けるのか」を決めている頃かと思います。
 私の場合、冬アニメや春アニメの時期と違って精神的にゆとりが出てきたからなのか、逆に「アニメくらいしか生きている楽しみがない」と追い詰められているからなのか、今季はいつもにも増して面白いアニメばかりで「どの作品を視聴し続けるのか」を絞れそうにない状態です。


 しかし、「第3話の時点で面白い」ものだけを残すと、第3話がピークな作品ばかりを視聴し続けることになり―――夏アニメが終わる頃には「第3話の頃が一番面白かったな」ということになりかねません。
 「今現在面白い作品」だけでなく「これから面白くなりそうな作品」も残したい―――と、毎回思いながら選ぶんですけど、なかなかそれが難しいんですよね。

(関連記事:たくさんあるアニメ作品を「食わず嫌い」すること
(関連記事:「原作が絶賛連載中」作品のアニメ化による物足りなさ


 「これから面白くなりそうな作品」をどう判別すればイイのか。
 原作付きのアニメだったら「原作の評判」で期待値が分かるとか……
 アニメのスタッフに詳しい人なら「スタッフの実績」で判断するとか……
 そうでもなかったら、「3話までに描かれている設定や伏線」から今後面白くなりそうかを判断するとか……



 ということで、『グラスリップ』の話です!公式サイト
 今季プッシュするアニメとして放送開始前には1番手に挙げていたP.A.WORKSのオリジナルアニメですが―――現時点では正直よく分かりません!「面白い」か「面白くない」か以前に、「何やってんのかよく分からない」状態です。

 全てのシーンが意味深で、会話の一つ一つが後で活きてきそうな気もするんだけど……4話まで観た段階では「意味深なシーンが意味深なまま消化されない」ので、ひょっとしてこのアニメは何も考えずに作っているのか……?と不安になってきてしまうくらいです。
 『花咲くいろは』は第3話で一区切りのカタルシスを与えてくれたし、『TARI TARI』は第2話で「イイ最終回ダッタナー」と思わせてくれましたが、『グラスリップ』は第4話まで来てもまだモヤモヤしたまま。あれ、これあかんやつか……?と思わなくもないのですが。


 脱落しちゃうと後悔しそうなくらい「面白くなりそう」な素材は揃っているのです。
 それは、「設定」と「キャラ配置」の絶妙さ。恐らく「設定」を最大限面白く出来る「キャラ配置」から逆算してキャラクターを作っているんじゃないかなと思うのです。


 『グラスリップ』を語る前に、P.A.WORKSの前作『凪のあすから』公式サイト)の話をします。中盤辺りまでの軽いネタバレがあるのを許してください。

 『凪のあすから』のキャラ配置は……
 「AはBのことが好き」「BはCのことが好き」「CはDのことが好き」「DはEのことが好き」―――と、“片想い”が連鎖しているというキャラ配置でした。これ自体は珍しくもなんともないよくあるキャラ配置ですし、同じジェネオン(現・NBCユニバーサル)製作でオープニングとエンディングのアーティストが同じ『あの夏で待ってる』も同じようなキャラ配置でした。

 なので、正直「またこれか……」と思いましたし、「わざわざP.A.にこういうのを作らせんでもなぁ」と思い、私は『凪のあすから』は2話で脱落してしまいました。


 しかし、その3ヶ月後くらいに『凪のあすから』の評判がものすごく良いのをTwitterで見かけたので「今どんなカンジになっているのかなぁ……」と中盤から合流したところ、「これが狙いだったのか」と膝を打ちました


 「AはBのことが好き」「BはCのことが好き」「CはDのことが好き」「DはEのことが好き」―――というよくある“片想い”連鎖のキャラ配置から、BとDを退場させるということをやっていたのです。
 つまり、“片想い”連鎖はそれ自体を描くのが目的ではなく、“片想い”連鎖の中からキャラを退場させることで「Aは好きだった人を失う」し、「Cは自分のことを好きだったBを失う」し、“想い”は残るけど“人”はいなくなっているという状況で「好きって感情の正体」を描こうとしていて――――

 “片想い”連鎖という「キャラ配置」と、中盤で主要キャラの数人がいなくなってしまう「設定」が、掛け算のように組み合わさって面白さが何倍にも膨れ上がっていたのが『凪のあすから』だったのです。流石にこれを第2話の段階で予想するのは無理だっ!あと、みうなかわいいよ、みうな。




 『グラスリップ』に話を戻します。
 『グラスリップ』のキャラ配置は、主人公である透子を中心とした相関図です。

 やなぎ→雪哉→透子←幸←祐

 「恋愛禁止」だった男女5人のグループも、透子以外は誰かを好きで。
 ここに透子と秘密を共有している駆と、透子とイチャイチャしてくる妹が加わり。

 言ってしまえば「透子ハーレム状態」です。
 男女入り乱れたハーレム構造ですけど(笑)。


 「ハーレム構造のアニメ」なんてそれこそ石を投げれば当たるくらいたくさんありますが……ここに透子の「未来が見える」という設定が掛け算のように加わります。

 そもそも「ハーレム状態」って嬉しいのか?という話。
 以前にウチのブログにも書きましたが、ハーレム状態というのは“誰ともくっ付くない”状態だからこそバランスが保てているのであって、誰かとくっ付いた時点でそれは壊れてしまうのです。


 「未来が見える」透子の設定は、透子が“自分一人が幸せになればそれでイイ”という性格だったら何の問題もないですが、“みんなが幸せになって欲しい”という性格だと悲劇にしかなりません。
 雪哉とくっ付けばやなぎが泣くし、幸とくっ付けば祐が泣くし、駆とくっ付けば雪哉と幸が泣く――――「誰かを選ぶとそれ以外の誰かが哀しむ」未来が見えてしまうからです。



 第1話の祭りのシーンにこんな会話があります。

<以下、引用>
やなぎ「このメンツも今年で最後ねー」

雪哉「なんでそこまでネガティブになるんだよ。また来ればイイだろ、みんなで」

透子「そうそう!来年も再来年もずっと友達なんだから!」

やなぎ「ずっとって……先のことなんて分かるワケないじゃん」

透子「えー、卒業したら友達じゃなくなるの?やだよー、そんなの」

やなぎ「そうじゃないけど……何があるか分かんないって意味で」

祐「願い事って……口にすると自分自身が叶えてくれるんだって。だから“もう来れない”より“また来よう”の方がイイんじゃない?」

やなぎ「幸の受け売り?」

祐「そうだけど」

透子「じゃあ!何があっても、未来の私が全部解決してくれますように!

</ここまで>


 『グラスリップ』とは、恐らくこういう物語なのです。
 「何があるか分かんない」未来でも、みんなが一緒にいられるように透子が奔走し……きっと苦しむ物語だと思います。


 オープニングの映像なんて、すごく象徴的ですよね。
 例外はありますけど……普通アニメのオープニングって「第1話よりも先の姿」を描くものです。『ハナヤマタ』のオープニングなら、まだあの時点では知り合っていない5人が仲間になって踊る映像だし。『アルドノア・ゼロ』のオープニングなら、第1話の時点ではただの学生だった伊奈帆が戦場へと向かう映像だし。

 でも、『グラスリップ』のオープニングは「過去の映像」なんです。
 冒頭、陽菜がランドセルを背負っていて、透子が今より短い髪で高校の制服を着て走っていて、雪哉は恐らくまだ怪我をする前で、祐は幸に恋をする頃―――2年前と思われる映像から始まり、そこから一気に時間は進んで「仲良くなった5人」の姿が繰り返し描かれるのですが。そこに沖倉駆の姿がないことから、恐らくアレは「第1話より前の5人」の姿です。


 『グラスリップ』で「未来」を見ることが許されているのは透子(と駆)だけだから、オープニングの映像は「過去の映像」を描いていて、そこでは離れ離れになるなんて想像もできない5人の姿が描かれているのです。



 第1話が放送された当時は、この作品がこういうことをやろうとしているのかがよく分かっていなかったため―――正直、「何やってんのこの人達……」と思っていた“5羽の鶏を家に連れて帰る”エピソード。5羽という数字が象徴するように、鶏は透子・やなぎ・幸・雪哉・祐の5人を象徴していたんですよね。

<以下、引用>
駆「かわいそう……?」

透子「好きなとこ歩けた方がイイでしょ?」

駆「それは透子の価値観だろう。」

透子「え?えーっと……自分から檻に入る動物なんていないし」

駆「それは彼らに選択肢が不足しているだけだよ。ここは港町だし、猫もたくさんいる。襲われる可能性は考えない?」

透子「魚でお腹いっぱいだから大丈夫!多分……今まで猫に襲われたっていう話、聞いてないし!」

駆「猫以外は?」

<中略>

駆「俺は敵?味方?」

透子「それならジョナサンは私が守るから!

</ここまで>

 5羽の鶏が透子達で、そこにやってくる“外敵”が駆だと重ね合わせてみると……
 “恋愛禁止”でずっと仲良くやってきた5人が駆の登場によってバランスを失い、雪哉が透子に告白をして、祐が幸に告白をしようとしていて――――というその後の状況を示唆していたようにも思えますし、「鶏は檻の中にいた方が幸せなのか?放し飼いされる方が幸せなのか?」という問いを「未来が見える」透子に突きつけているようにも思えます。


 透子によって「未来を見られて」得た幸せは、本当に幸せなのだろうか――――


 ここまで書いて、なんだか私自身「やっべ、『グラスリップ』超傑作なんじゃないの」とテンション上がってきたのですが……第4話の時点ではこの「未来が見える」設定を大して使っていないので、揃っている素材から私が「こういう素材を揃えているということはこういう調理をするつもりなのかな!面白くなりそう!」と妄想しているだけであって、現時点では「面白い」アニメだとは私もまだ思っていません(笑)。

 ただ……ホント「面白くなりそう」な素材を用意してあるので、ここで脱落しちゃうと後悔しそうなんですよねぇ。

 あと、オープニングの映像は文句なしで大好き。サビが始まるところで一気に2年の時間が飛ぶところと自転車の疾走感とか、最後に透子が次々と見る「幸せな5人」の姿とか。もうこれを観るために最終回まで付き合ってもイイんじゃないかと思うほどに。

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この1枚の重みはお幾らだ?『ブタメダル』ファーストインプレッション

 とりあえずワールド2までクリアしました(やりこみは無視)。
 現在のところチャージしたのは400円です。


 「そういう機能を追加する」という告知は随分昔からされていましたが、7月22日のWii U本体更新で「SuicaやPASMOなどの交通系電子マネー」からニンテンドーeショップへの残高追加ができるようになりました。
 Wii UゲームパッドのNFC機能を使うので、今のところ3DSでの残高追加は出来ませんが、NNIDを作っていると3DSとWii Uにチャージされている残高が統合されるので―――Wii Uから追加した残高は3DSでも使うことが出来ます。


 さて……それを記念して、任天堂は『ブタメダル』というWii U専用のダウンロードソフトの無料配布を開始しました。このゲームはインターネットが繋がっている状態でのみ遊べるゲームで、遊べるのは8月31日までという期間限定のソフトだそうです。


WiiU_screenshot_GamePad_01850.jpg

 ゲームとしては超シンプル。
 ゲームパッドの右アナログスティックを弾いて、発射したメダルを「GOAL」のポケットに入れるだけです。アナログスティックを傾けると「軌道予測」が出るので思ったようにメダルを飛ばすのは難しくないのですが、「GOAL」のポケット数が増えたり、ワープを使ったり、ドクロのポケットがあったり、様々なギミックを用意して飽きさせない辺りは流石の任天堂のゲームです。


WiiU_screenshot_GamePad_01850_20140723233418654.jpg

 少ないメダル数でクリアするとステージごとにバッジがもらえて、☆を全て回収すると☆マークが付きます。☆は10枚集めると「ボーナスルーレット」が始まり、1枚~25枚のメダルがもらえます。なので、「少ないメダル数でクリアする」か「☆を回収する」かで絶妙に迷わせてくれるという。



 まぁ……ここまでは、単なる「超シンプルなゲーム」なだけなんですけど。
 このゲームの最大の特徴は、「メダル」の入手方法。

 発射したメダルは、「GOALポケットに入」っても、「失敗してフィールド外に落っこち」ても、1枚は1枚でなくなってしまいます。GOALポケットが4つあるステージは最低でも4枚のメダルを消費しますし、失敗すればするほどメダルをどんどん失ってしまいます。
 ゲーム開始時に30枚のメダルをもらえますが30分もかからずに全部なくなってしまうでしょうし、ボーナスルーレットで少しはもらえると言っても「1枚」とか「3枚」しかもらえない率が多いように思います。あっという間にメダル不足になってしまうのです。


 ―――で、このゲーム。
 正式名称を『電子マネー対応キャンペーン 残高追加のおまけであそべる!ブタメダル』と言うくらいで、このゲームからニンテンドーeショップに残高を追加すると「おまけ」として30枚のメダルをプレゼントしてくれて、これで続きが遊べるのです。

 言ってしまえば、これも1年位前から任天堂が力を入れている「Free to Play型のソフト」なのですが……2点、注意点を書いておきます。


 1つ目は、このゲームは「基本無料ゲーム」というより、「(このゲーム自体は)ずっと無料ゲーム」だということ。100円で30枚の「追加のメダルを買う」のではなく、ニンテンドーeショップに100円チャージするとついでに30枚の「追加のメダルがもらえる」だけで、この100円はeショップで使うことが出来ます。このゲーム自体は、どれだけ遊んでもお金がかからないのです。

 具体的な例を書きますと……
 このゲームの配信前、私のeショップの残高は658円でした。7月31日までのバーチャルコンソールのセールがあるので、『神トラ1』(700円)と『スパデラ』(600円)を買いたいのですが残高が足りません。ゲーム屋さんに行って1000円分のニンテンドープリペイドカードを買ってこようと思いました。そうすれば残高が1658円になって、700円と600円のソフトを買っても358円残りますからね。

 そうしたら、この『ブタメダル』が配信開始になりました。
 どうせ手元にPASMOがあるし、1000円のプリペイドカード買ってくるなら1000円分ここからチャージするかーと思って『ブタメダル』を始めることにしました(※1)。現在のところまで400円分チャージしたので、もらったメダルは120枚、自分はゲームが上手な方ではないと思いますがこれでワールド2まではクリア出来ました。なので、現在の自分のeショップの残高は1058円です。
 『ブタメダル』を遊べば遊ぶほどeショップの残高が増えるのでむしろ「このゲームを遊ぶとお金が増えるのでは!?」と錯覚してしまいそうになりますが、実際にはPASMOにチャージされていたお金がニンテンドーeショップに移っただけです(笑)。お金を移すだけでゲームが遊べると考えると、確かに不思議な感覚ですが。

 今後ワールドは追加されるそうですが、現在遊べるのはワールド3まで。
 元々プリペイドカードを買うつもりだった1000円分のチャージで、ワールド3の最後まではギリギリ遊べるかなーというところです。

(※1:これは自分が勘違いしていたのですが、『ブタメダル』はプリペイドカードからの残高追加も出来ました。詳しくは後述します)


 任天堂の「基本無料ゲーム」ということで、『だるめしスポーツ店』『スティールダイバー サブウォーズ』のようなものを想像する人がいるかも知れませんが……かなり違います。
 どちらかと言うと……去年の夏に行った「Wii Uのeショップに10000円チャージした人は1000円プレゼント」とか、マリオやぶつ森やピクミンのARソフトがおまけで付いてくるプリペイドカードとかに近いんだと思います。

 ダウンロード販売の促進のために「eショップに残高追加してくれたらサービスしますよ」という戦略の一環なので、「ゲームの一部分が無料+お金を払ってくれたら遊びが追加されます」という『だるめし』や『スティールダイバー』とは方向性が180度違うと思います。もちろんどっちがイイとかいう話じゃなくてね。





 2点目の注意点としては……
 『電子マネー対応キャンペーン』という正式名称ですが、別にSuicaやPASMOのような交通系電子マネーが必ず必要なワケではなく、ニンテンドープリペイドカードやクレジットカードから残高追加してもメダルはもらえるようです。

 公式サイトにはちゃんと「交通系電子マネーをお持ちでない方は、「その他の方法で残高を追加」を選択してください。クレジットカード、ニンテンドープリペイドカード、ニンテンドープリペイド番号でも残高が追加できます。」ってしっかり書いてありますね。

 これは「eショップに残高追加してくれたらサービスしますよ」という戦略の一環だと考えると、別に不思議はないですよね。利用者が使いやすい方法を選べばイイだけ。
 自分は今回PASMOからチャージをしたんですが、確かに便利なのは便利で、特に『ブタメダル』のように100円ずつチャージする機会にはとてもイイ方法だと思います。でも、プリペイドカードをコレクションしたいんで今後はプリペイドカードを買おうと思います(笑)。


 あー、そうだ。
 『ブタメダル』のメダルをもらうにはあくまで『ブタメダル』から残高を追加しなくてはいけません。「『ブタメダル』に備えて前日にeショップから5000円チャージしていたのに!」と嘆いている人を見かけたので、一応注意を。




 さて……ゲームとしてはどうなのかというと。
 これを書いている木曜日(配信から2日後)の時点でワールド2までクリアしていることから分かるように、私はかなり好きです。「買いきりのゲーム」にはない、ちゃんとこのゲームにしかない魅力を持ったゲームだと思います。

 ゲームとしては「アクションパズル」です。
 プレイヤーが出来ることはメダル発射だけですが、ギミックを利用してどう解くのかを考えたり、プレイヤーが予想しない形でギミックが作用してピタゴラスイッチ的にGOALポケットに入ったりするのが楽しいです。インターネット通信必須なので、ステージ切り替え時に若干の通信の待ち時間が入るのがネックですが、ゲーム自体はテンポが良くて爽快感のある「アクションパズル」と言えます。


 ただ、このゲームは「買いきり」だったらそんな面白くないとも思います。
 このゲームの肝は「メダル数が有限である」ことだと思うのです。

 私は元々1000円分の残高追加をする予定でした。ということは、100円ごとに30枚のメダル×10+最初からもらえる30枚=全330枚でこのゲームをクリアしなければなりません。ボーナスルーレットもありますが、「1枚」「3枚」「1枚」と続いたところでボーナスルーレットに期待するのはやめました(笑)。

 だから、1枚のメダルを発射するのに緊張感があるんです。
 無駄撃ちは出来ないぞ―――と、言いつつ。1つのステージで20枚とか消費しちゃうと「うわあああああ」と焦ったりして。



 しかし、この「無駄撃ちは出来ない」という心理がなかなか面白くて。
 例えば、こういう「無駄撃ちは出来ない」ゲームだったら……アーケードゲームだったら1プレイ100円とかを払っているからもちろん緊張感がありますし、スタミナ制のゲームだったら「次にプレイするには○時間待つか課金しなくちゃならない」という緊張感がありますよね。私はそのプレッシャーが苦手で、「お、お、おれが操作ミスをすると……ひゃ、ひゃくえんがむだになって……しまう……このひゃくえんがあれば、どれだけのものがかえ……ぎゃーーー!」となってしまうのです。だから、私はその手のゲームが苦手だったのですが。

 『ブタメダル』が消費するのは「お金」でも「時間」でもないんです。
 「eショップに残高を追加」することでコンティニューができるというのは、言ってしまえば「今後買うゲームのお金をチャージする」ことでコンティニューができるということで。「ゲームを買う」と「ゲームがコンティニューが出来る」という、なんだかもうよく分からない現象で。
 自分のように頻繁にダウンロードのゲームを買っている人間にとっては、「別に『ブタメダル』がなくても残高追加する予定だったし」って話なので。



 「無駄撃ちは出来ない緊張感」と「別に何も消費していない安心感」が両立している―――不思議なゲームなのです。
 今まで行ってきたこの手の施策と比較すると……マリオやぶつ森やピクミンのARソフトはそんなに興味が湧きませんでしたし、10000円チャージすると1000円もらえるキャンペーンとかよりも、ちゃんと「ゲーム」をオマケとして提供してくれる方が任天堂らしいと思いますし。このゲームは8月31日までの期間限定のゲームということなので、私としては今後もこういうゲームを出し続けて欲しいです。



 ただまぁ、これは私のように「頻繁に任天堂機のダウンロードゲームを買う人」だったり「元からニンテンドーeショップに残高追加する予定の人」だったりの感想であって。

 このゲームの目的の一つと推察される「無料のゲームはダウンロードしてくれるけど有料コンテンツは買ってくれない層に課金してもらう」という目的は、ちょっと厳しいかなとも思います。イジワルなステージはガンガンメダルが消費されて、ボーナスルーレットは「1枚」とか「3枚」とかが多いし、ステージをクリアしてもメダルはなくなるから「ミスしなければ少ないメダル数でクリアまで行ける」ワケでもないし……露骨な課金誘導ゲームと思われてしまうところもあると思うのです。
 もちろん、このゲーム自体には料金は発生しないんですけど「eショップに残高を追加する」ということ自体に嫌悪感を抱く層もいるでしょうから。


 当然このゲームの実績(ダウンロードした人の数と、このゲームからどのくらい課金追加されたのかという額)はデータとして任天堂に残るのでしょうから、これを受けて今後任天堂がどういう「Free to Play型のソフト」を提案してくれるのかなという期待もあります。

 個人的には今回のコレは相当「アリ」でした。

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※7月25日21時30分追記※
 ワールド3までクリアしましたー。
 結局チャージしたのは600円でした。残高1258円ということで、『神トラ1』(700円)と『スパデラ』(600円)を買うのにはギリギリ足りないという(笑)。終盤は結構ルーレットで10枚とか出たのでチャージする間もなくトントン進みました。100円分はやりこみでもしますかね。

 クリアしてみて思ったんですけど……
 恐らく普通にプレイしたら500~800円チャージくらいでクリアだと思うんですね。つまり、バーチャルコンソール1本分の値段になるように計算されているんじゃないかなと。特に現在600円と700円の期間限定セールをやっているワケで。これに合わせた調整になっているのかもと。

 「お金を払ってでも遊びたい!」という程でもないですけど、オマケで遊べるにしてはなかなかの面白さでした。ワールド4の追加も楽しみにしています。

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どうして電子書籍を積んでしまうのか

 きんどうさんの記事を読んでいて、自分のキンドル本の読了率がどれくらいか興味が出たので計算してみました。

クラウドに記録されているキンドル本:全104冊
ちゃんと読み終わっている本:79冊
「もうこれはイイや…」と投げた本:7冊
これから読む予定の本:18冊

 読了率76%!!



 ちなみに端末に保存されているキンドル本で計算すると……

端末に保存されているキンドル本:全52冊(辞書は除く)
ちゃんと読み終わっている本:36冊
「もうこれはイイや…」と投げた本:0冊
これから読む予定の本:16冊

 読了率69%!!



 というか……いつの間にかキンドル本の購入数が100冊越えていたんですね。
 きんどうさんの「廃課金者オフ会」の参加資格にギリギリ達している(ギリギリ間に合っていない)ペースだったとは。そんな人間は余程の富裕層の人々だと思っていましたよ!


 自分が使っている端末はキンドルファイアHD1台なので、フォルダ分け(タグ分類)が出来ません。なので「もう読まない」「しばらく読まない」本はさっさと端末から削除しています。端末に残してあるのは「これから読む予定の本」と「いつでも読み返せるようにしておきたい本」だけです。それでもグチャグチャに並ぶから50冊以上の中から目当ての本を探すのは面倒くさいんですけどね……


 「積みゲー崩さなきゃ……」「積んでる本を読まなきゃ……」としょっちゅう呟いているので誤解されているかも知れませんが、恐らく私は平均の人より「積みゲー」や「積み本」は少ないんじゃないかと思います。

 「紙の本」で積んでいる本は……多分10冊もないと思いますし。
 「ゲーム」も「これからやるつもりの所有ゲーム」は、パッケージソフトは3本だけでした。自分でも「思ったより減ったなぁ」と意外でした。

 ここ数年は「新しい本やゲームを買うのではなく、積んでいる本やゲームを消化していく」ことを意識していたため、「積みゲー」や「積み本」はかなり減らせたことと思います。物理メディアというか、「紙の本」や「パッケージソフト」はもう部屋に置き場所がないのでやたらめったら買ってしまうということは少なくなりました。


 でも、「電子書籍」や「ダウンロードのゲーム」はガンガン増えていきます。

 実際に積まれているワケではないので、「積み電子書籍」や「積みダウンロードゲーム」と呼ぶのはか分かりませんが……デジタルメディアの商品はどんどん端末にダウンロードされていっています。
 いや……「購入する」ボタンを押しているのは自分なんですけど、ホント「何か知らん間に増えている」って感覚なんですよねぇ。


 実際「これから読む予定の本」が端末に溜まっていると、待ち時間を潰すのに有効ですし、今日ちょうど父の付き添いで行った大学病院の待ち時間にヒマだったので端末に入っている「これから読む予定の漫画」を6冊読みましたもの。これを全部「紙の本」で持ち歩くのは大変です。
 1000冊以上キンドル本を買っている人はどうだか知りませんけど(笑)、100冊レベルの私にとっては「積み電子書籍」は必要な「積み」であって、“「積み電子書籍」が減ってきたからそろそろ補充しなきゃって感覚になる”くらいです。



 あとはやっぱり「セールが多い」というのもありますね。
 「電子書籍」とか「ゲームのダウンロード販売」とかを体感する前には、「夜中に急に欲しくなってもすぐに買って読める(遊べる)んだよ」というメリットが言われていましたし、そのメリットを実感することもなくもないのですが。

 それ以上に、「セール中にまとめて買う」→「端末にダウンロードしておく」→「待ち時間を潰すのに使う」ってことの方が自分は多くて。「読みたいから買う」というより、「いつか読むかもしれないから買う」のが電子書籍かなーと、自分の用途としてはそんなカンジの使い方です。

 キンドル本は特にしょっちゅうセールをやるので「まだ読む気はないけど買っておくか」とポチポチ押している間にどんどんダウンロードされていくので……私の場合、「セールやキャンペーンではない時に買った本」は1割もないと思いますし。


 「ゲームのダウンロードソフト」の場合……
 さっき「パッケージソフトの積みゲーは3本しかない」と書きましたが、ダウンロードソフトの「積みゲー」を数えてみたら……パッケージソフトのDL版が1本、ダウンロード専売ゲームが3本、バーチャルコンソールが6本。今、同時並行に5本のゲームをプレイしているのですが、その内4本ダウンロードソフトで……「現在進行中」および「積んでいる」ダウンロードソフトの計14本の内、キャンペーンでもらったり期間限定セールで購入したりしたものが11本でした。
 これらも「今はやる時間がないけど、いつかやりたいから安い内に買っちゃおう!」と思って購入して、まだ手付かずのままという。「いつかやるはず」と思って買っている『リンクの冒険』、いつやるんだろうコレ!


【支離滅裂になってきたので三行まとめ】
・「電子書籍」や「DLゲーム」はセールに惹かれて買ってしまいがち
・実際、「積み電子書籍」は待ち時間を潰すのに超役立つ
・流石に大学病院の待合スペースで百合漫画を読む勇気はなかった



 『GIRL FRIENDS』が1巻100円、2~5巻が250円でセールしてて「安っ!」と思って全巻購入して積んでいたら、翌週1巻69円、2~5巻が175円と更に重ね掛けセールになっていた時の私の心境を!

(関連記事:電子書籍の超お買い得キャンペーンに思うこと



○ 余談
 いつかどこかで書かなきゃと思っていたのだけど、なかなか機会がなくて書けず……今回イイ機会なので書いておこうと思います。
 電子書籍の話題をウチでは以前から出していますが、1年くらい前に「電子書籍にはカバー裏のオマケページも収録されているのですか?」と訊かれたことがありました。でも、私は「紙の本」と「電子書籍」で同じ本を買わないので「知らん」としか答えられなくて。その後ずーーーっと気になったり、世界の行く末を案じたりしていたワケなのですが。

 『一週間フレンズ。』の1巻(スクウェア・エニックス)のキンドル版を読んでいたら、ちゃんと「カバー裏」のイラストが収録されていました。何故“「紙の本」と「電子書籍」で同じ本を買わない”のに分かったのかというと……

coverua1.jpg

 「※ コミックス発売時の表紙用イラストを収録」と思いっきり書かれていたからです。スクエニの電子書籍がみんなそうなのかは分かりませんが、少なくとも『一週間フレンズ。』のキンドル版は「カバー用著者コメント」「カバー裏2ページ」「裏表紙」と、全て収録されていましたね。


 んで、気になったので……端末に保存されているキンドル本をチェックしてみたところ、『いなり、こんこん、恋いろは。』(角川書店)と、『ご注文はうさぎですか?』(芳文社)は「カバー裏2ページ」だと思われるものが収録されていました。以前に読んだ時は気にしていなかったけど、多分これは「カバー裏」ですよね。

coverua2.jpg

coverua3.jpg


 他は……ちょっと分からないですね。
 「紙の本」の方をチェックしていないので、「紙の本にはオマケページがあるけど電子書籍化の際にカットされた」のか「紙の本の時点でオマケページがなかった」のかが分からないのです。KDPで使える容量が増えたという話がありましたように、キンドルの容量問題が緩和されると「わざわざオマケページを削る」出版社なんていないんじゃないかと思いますけど。


 それはそうと、どうして「カバー裏」って言うんでしょうね?
 カバーの裏って白いじゃないですか。『一週間フレンズ。』の注釈に「コミックス発売時の表紙用イラスト」と書いてあったように、あそこは本来「本体の表紙」であるはずなのに……いつのまにか「カバー裏」と呼ばれるようになってて、どこにそのルーツがあるのか気にならなくもないです。

| ひび雑記 | 17:52 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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マリオのジャンプは如何にして「多機能」になっていったのか

 『クインティ』の紹介記事にもチラリと書いた話。
 『枯れた知識の水平思考』のhamatsuさんの「マリオのジャンプはなぜ優れているのか?そしてスプラトゥーンはなぜ「面白そう」なのか?」という記事で、『スーパーマリオブラザーズ』の「ジャンプ」について語られています。

<以下、引用>
 「スーパーマリオブラザーズ」における「ジャンプ」というアクションは、目の前の障害物や落とし穴を乗り越えるという機能以外に、頭上のブロックを叩く、「ジャンプ」からの落下地点にいる敵キャラクターを踏んづけるという機能を持っている。だから「ジャンプ」で障害物を乗り越えた先にいる敵を踏むという複数の行為を一つのアクションの中で行うことが出来る。
 一つのアクションに対して複数の機能(ファンクション)を持たせることで、プレイヤーの目の前に立ちふさがる複数の問題を一気に処理することが出来るのが「スーパーマリオブラザーズ」における「ジャンプ」なのである。

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています


 『クインティ』の紹介記事でこのことを中途半端に紹介してしまったために、「少ないボタン数で遊べるゲーム」と解釈をされてしまった人がいたみたいなのですが、私が言いたかったのはボタン数の話ではなく「一つのアクションに複数の機能を持たせているゲーム」という話でした。
 他のゲームで言えば、例えば『ボンバーマン』ならば「爆弾」という一つのアクションに「壁を壊して移動可能範囲を広げる」という機能と「敵をやっつける」という機能を持たせているのです。もし『ボンバーマン』が「壁を壊すのは爆弾」「敵を倒すのは銃」というゲームだったら、こんなにも愛されるゲームにはなっていなかったと思います。


ボンバーキング

 ……ん?




 さて、本題。
 インターネット上には、『ドラゴンクエスト』の話をすると『ウィザードリィ』『ウルティマ』の話をふっかけてくるbotが存在してんじゃねえのかと同様に、『スーパーマリオブラザーズ』の話をすると『パックランド』の話をふっかけてくるbotが存在してんじゃねえのかと思うことがあります。案の定、hamatsuさんのその記事にも「そんなの『パックランド』の方が先じゃん」というコメントを付けている人がいました

 『スーパーマリオブラザーズ』の発売は1985年9月、アーケード版『パックランド』の稼動開始は1984年8月―――私はリアルタイムを経験している世代ではないので、「横スクロールアクション」とか「青空をバックにしたステージ」とか「空中制御の出来るジャンプ」が『パックランド』以前に存在しなかったのかを知りませんし、『スーパーマリオブラザーズ』が『パックランド』からどれくらい直接学んだのかも分かりません(同様のゲームが他にもたくさんあったのならパクリではなく流行だと思いますしね)。

 ただ、「マリオのジャンプは『パックランド』のパクリ」という説だけはリアルタイム世代でない私でも「おかしい」ことは分かります。







 だって、マリオは『ドンキーコング』(1981年7月稼動開始)の時点でジャンプしてんじゃん。

 『スーパーマリオブラザーズ』の「ジャンプ」のルーツについて語るのなら、1984年の『パックランド』のパクリと語るよりも、1981年の『ドンキーコング』の進化だと語る方が自然だと思うんですけどね。同じ作者なワケだし。特に今回hamatsuさんが語っていた「一つのアクションに複数の機能を持たせている」という点については、1981年の『ドンキーコング』の時点で明確に「狙ってそうしている」ことが分かりますから。
 ちなみに『ドンキーコング』に出てくるハンマーは『パックマン』のパワーエサの変化形だろうと私も思いますけど(笑)。



 ということで、本日の記事はマリオのデビュー作『ドンキーコング』から『スーパーマリオブラザーズ』までの間に「マリオのジャンプ」にはどんな機能が持たされていたのかを振り返っていこうと思います。


○ 『ドンキーコング』25m (1981年7月)
WiiU_screenshot_TV_0107E.jpg
<写真はファミコン版『ドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 「回避」=転がってくるタルをジャンプして飛び越える機能
 「アイテム取得」=頭上にあるハンマーを手に入れる機能

 この時点で既に「ジャンプ」に複数の機能を持たせているのは興味深いですが、未プレイの方に説明しますと「途切れているハシゴにジャンプしてしがみつく」ことは出来ません。この時点の「マリオのジャンプ」には「ジャンプをして上の階層に上がる=移動」機能はなかったんですね。ちなみに、この時点の「マリオのジャンプ」は空中制御が出来ませんし、「マリオ」も高いところから落ちたら死んでしまいます。


 さて、満を持して「社長が訊く」です。
 Wiiの『NewスーパーマリオブラザーズWii』の発売の際に、任天堂の岩田社長が宮本さんにインタビューをしていて、「マリオ」のルーツである『ドンキーコング』がどうやって生まれたのかから話しているんですね。そこで「何故マリオはジャンプするようになったのか?」が語られているので、引用させていただきます。

<以下、引用>
岩田「つまり、もしその筐体にボタンがついていなかったら、マリオはジャンプしてなかったんですか?マリオと言えば、ジャンプがつきものだと思っていたのに(笑)。」

宮本「そうかもしれません。もともとはあみだくじのなかを抜けていくゲームでしたから、戦略的にはジャンプしてよけられたらダメなんです。でも、「前からタルが転がってきたとき、あなたならどうする?」と。」

岩田「当然、跳び越えます(笑)。」

宮本「跳びますよね(笑)。
じゃあ、ボタンを使ってジャンプさせようと。それを試しにつくってみたら、とてもよかったんです。そもそも跳べなかったら鬼のように難しいゲームになっていたと思いますし。」

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています


 元々は、マリオはジャンプする予定ではなかったという(笑)。
 ちなみに「ゲームの中に“ジャンプ”という概念を初めて取り入れたゲーム」が『ドンキーコング』なのかは調べてもよく分かりませんでした。同じ1981年稼動の『ジャンプバグ』というアーケードゲームがあるけど、どっちが先なのかは分かりませんし、お互いに影響を与えているとは言えないような別ゲーですし(笑)。



○ 『ドンキーコング』50m (1981年7月)
donkey50m.jpg
<写真はアーケード版『ドンキーコング』(3DSキャンペーンソフト)より引用>

 「回避」=流れてくる障害物(アレって何?)をジャンプして飛び越える機能
 「アイテム取得」=頭上にあるハンマーを手に入れる機能
 「移動」=左右の足場にジャンプして飛び移る機能


 ファミコン版ではカットされたステージ。3DSの画面を直撮りしたせいで、他のスクショと発色が違うのを許してくださいな。
 またしても「社長が訊く」から引用させてもらいましょう。

<以下、引用>
岩田「『ドンキーコング』が4面あるのはスクロールしたかったことの名残なんですか?」

宮本「そうなんです。
その当時の技術責任者に「あなた、何を考えてるの?ふつうはゲームは1面で十分なのに、4面つくるということは4つのゲームをつくることなんですよ」と言われたんですけど・・・。」

岩田「宮本さんとしてはどうしてもやりたかったんですよね。」

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています


 今となっては信じられない話ですが、当時は「1つのゲーム辺り1面で十分」と言われていたという(笑)。宮本さんが「どうしてもやりたかった」という4面構成は、なるほど、それぞれの面で別の遊びになっていて―――後の『スーパーマリオブラザーズ』が各ワールド4面構成になっていることと繋がっているのかもと思いますね。

 1面から2面に上がることで、「ジャンプ」の機能にも「隣の足場に飛び移る」という機能が加わります。1面で覚えた「ジャンプしてタルを飛び越えるアクション」を使うことで、2面では「敵を引きつけておいて自分は隣の足場に飛び移る」ことが出来るんです。使うアクションは同じなのに1面から2面にステージが変わることで、プレイヤーに「アレを使えばこんなことも出来るんだ」と気付かせる見事な構成。宮本さんが4面構成にこだわったのも納得です。

 ファミコン版ではカットされていますけどね!


○ 『ドンキーコング』75m (1981年7月)
WiiU_screenshot_TV_0107E_20140720195749655.jpg
<写真はファミコン版『ドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 「移動」=移動しているリフトにジャンプして飛び移る機能

 『スマブラX』にも登場したステージの元ネタ。
 『スーパーマリオブラザーズ』のステージ構成が「1-1:地上」「1-2:地下」「1-3:アスレチック」「1-4:敵の城」となっていることを考えると……なるほど、『ドンキーコング』の3面もアスレチック面だったのかということが分かります。1面で基本操作を覚えさせ、2面で応用をさせ、3面でそれらの発展系――――移動するリフトに飛び移ることと、プレイヤーによって違うルートが選べるという特徴があります。

 三度目の「社長が訊く」の引用に行きましょう。

<以下、引用>
宮本「跳びますよね(笑)。
じゃあ、ボタンを使ってジャンプさせようと。それを試しにつくってみたら、とてもよかったんです。そもそも跳べなかったら鬼のように難しいゲームになっていたと思いますし。」

岩田「転がってくるタルからひたすら逃げて、我慢に我慢を重ねてあみだくじをのぼっていくわけですからね。」

宮本「それに、スティックの上入力で跳んでいたら「ジャンプボタン」という名前も生まれなかったでしょうし。
あと、2面で垂直リフトをつくったんですけど、これにどうやって乗り移るか悩んでいたんです。でもジャンプをすれば・・・。」

岩田「カンタンに乗り移れるじゃないですか(笑)。」

宮本「これは運がいいと。そこでジャンプを使うことになったんです。」

岩田「ジャンプをさせることで、複数の問題を同時に解決することができたんですね。」

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています

 「2面」というのは宮本さんの記憶違いで、アーケード版では「3面」だと思いますが……
 「1面」のタルの「回避」方法と、「3面」のリフトへの「移動」方法を、同時に解決するのが「ジャンプ」というアクションだったという。hamatsuさんが仰った“一つのアクションに対して複数の機能(ファンクション)を持たせることで、プレイヤーの目の前に立ちふさがる複数の問題を一気に処理することが出来るのが「スーパーマリオブラザーズ」における「ジャンプ」なのである。”という説は、決してhamatsuさんの妄想でもなんでもなく、任天堂が5年前にちゃんと公式発表しているのです。

 まぁ……岩田社長が「アイディアとは複数の問題を同時に解決することだ」という話にやたら持っていこうとするところはあるので、ひょっとしたら宮本さんとしては「そこまでのことじゃないんだけどなぁ」と思っているかも知れませんけど(笑)。

 1984年の『パックランド』よりも前に、1981年の『ドンキーコング』の時点で「マリオのジャンプ」には「複数の機能」が持たされていたことが分かると思います。
 『パックランド』のことを悪く言うつもりはありませんし、『スーパーマリオブラザーズ』に何の影響も与えていないとも思いませんけど、『スーパーマリオブラザーズ』の全ての要素が『パックランド』のパクリだと言うのは『パックランド』に対しても失礼でしょうよ。


○ 『ドンキーコング』100m (1981年7月)
WiiU_screenshot_TV_0107E_20140720201414955.jpg
<写真はファミコン版『ドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 「回避」=向かってくる敵をジャンプして飛び越える機能
 「アイテム取得」=頭上にあるハンマーを手に入れる機能
 「移動」=ボルトが外れて穴が開いた左右の足場にジャンプして飛び移る機能


 『ドンキーコング』の最終面であり、自分が一番好きな面です。
 これまでの「ドンキーコングの位置まで昇ったらステージクリア」ではなく、「ステージにある8つのボルトを全て抜いたらステージクリア」で。これまでのステージで使ってきたジャンプの「回避」「アイテム取得」「移動」という3つの機能を全て活用して攻略する必要があるという……今となっちゃ大した面でもないのですが、「ジャンプするゲーム」自体を初めてプレイする人が多かったリアルタイム当時としては「1面」「2面」「3面」「4面」と徐々に「ジャンプ」の特性を習得できるようになっていたんだなぁと思います。



○ 『マリオブラザーズ』 (1983年7月)
WiiU_screenshot_TV_0107B.jpg
<写真はファミコン版『マリオブラザーズ』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 「回避」=向かってくる敵や火の玉をジャンプして飛び越える機能
 「アイテム取得」=空中にあるコインを手に入れる機能(ボーナスステージ)
 「移動」=上部の足場にジャンプして飛び移る機能
 「攻撃」=上部の床を叩いて敵を気絶させる機能


 『ドンキーコング』から2年後、マリオが主人公の実質的な続編『マリオブラザーズ』が世に出ました。「ジャンプする」というアクションは前作と変わらないものの、マリオのジャンプ力が飛躍的に上がったことで前作では出来なかった「上の床に飛び移る」と「上の床にいる敵を攻撃する」という2つの機能を得ることが出来ました。

 四度目の引用の「社長が訊く」によると、横井軍平さんのアイディアが元になっているみたいですね。

<以下、引用>
宮本「『マリオブラザーズ』も横井さんとのコラボなんです。横井さんが「対戦タイプのゲームをつくろう」という話をして開発をはじめました。
  『ドンキーコング』ではマリオが自分の背よりも高いところから落ちると、グギッとなって、ミスになっていたんです。で、横井さんから「もっと高いところからピョンと落ちられてもいいのになあ」と言われて、「そんなことしたらゲームにならへん」と思ったんです。けれど、考えているうちに「そのくらいスーパーなことができてもいいか」と。そこでモデルをつくって、ピョンピョン走ってみたら、これがけっこう楽しかったんです。」

岩田「そこで、『ドンキーコング』よりもさらに高いところまでジャンプできるようになったんですね。」

宮本「そうです。でも、どんな遊びにするかというところで行き詰まってしまったんです。
 すると、横井さんも原理で考える人で、せっかく床があることだし、床の下から叩いて敵を床越しにやっつけられるようにしようと。でも、実際にやってみたら、すごくカンタンなんです。あっと言う間に敵がいなくなってしまって。」

岩田「自分はぜんぜんリスクを冒さずに下から叩くだけでやっつけられるわけですからね。」

宮本「ですから、すごく卑怯なゲームになってしまうんですね。そこで、下から叩いて、上にあがって、そこで決定打を与えるようにしようと。」

</ここまで>
※ 改行など引用者が一部手を加えています


 とても興味深い話。
 『マリオブラザーズ』の最初のアイディアは「(前作と違って)高いところから落ちても大丈夫にしよう!」で、そこから「だから高い足場まで上がれるジャンプ力にしよう!」となり、「せっかく足場があるんだからそこの上にいる敵を攻撃できるようにしよう!」となり、「そのままだと簡単だから、その上の足場まで上がれないとトドメを刺せないようにしよう!」となる――――

 「前作では出来なかったことをしよう」という割と普通のアイディアから、「じゃあそれで出来る楽しいことは何だろう」と逆算で考えられたゲームなことが分かります。
 『ドンキーコング』のマリオもハンマーを手に入れれば敵を攻撃できましたが、高いジャンプ力を手に入れたことで常に敵を「攻撃」できるようになりました。『ドンキーコング』では主に「回避」機能として使われた「ジャンプ」が、『マリオブラザーズ』では「攻撃」機能としても使われるようになったのです。


 そうそう。
 『パックランド』と『スーパーマリオブラザーズ』の話で、「『パックランド』で“敵の上にジャンプして乗っかる”ことができたことが、『スーパーマリオブラザーズ』の“敵の上に乗っかって倒す”ことにパクられた」という説をネット上で読んだことがあるんですが……

 『パックランド』(1984年)よりも前の『マリオブラザーズ』(1983年)の時点で、「敵の上にジャンプして乗っかる」という機能は既にあるんです。


WiiU_screenshot_TV_0107B_20140720233059069.jpg

 ルイージという、このゲーム最大の“敵”をな!


 まぁ、これが言いたかっただけなんですけど(笑)。
 踏んづけられた方は「2秒間行動不能になる」ことで「相手をやっつけるテクニックの一つ」となっていたので、割とマジで『マリオブラザーズ』の「ルイージの頭を踏んづける」ことが『スーパーマリオブラザーズ』の「敵キャラを踏んづけて倒す」ことに繋がっているのかもなぁと。


 ちなみに、この「社長が訊く」には……『マリオブラザーズ』以後のゲーム業界について宮本さんがこんなことを語る場面があります。

<以下、引用>
岩田「ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』は、最初にどんなことを考えてつくりはじめたんですか?」

宮本「『マリオブラザーズ』のあと、いろんな会社さんからジャンプするゲームがいくつか出てきたんです。で、僕はジャンプするゲームというのは自分たちのアイデアだと思っていたんですね。」

岩田「『ドンキーコング』でジャンプをし、『マリオブラザーズ』でもジャンプをしていたから我こそがジャンプゲームの元祖だと。」

宮本「ええ。ジャンプというのはユニークなもので、特許があるんだ、というくらい。
「これは、他のゲームには負けられへん」と(笑)。」

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています


 名指しはしていませんが……時系列としては『マリオブラザーズ』(1983年)があって、『パックランド』(1984年)が出て、「他のゲームには負けられへん」と1984年の年末から『スーパーマリオブラザーズ』の制作が始まるのですから。
 これを読むと『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)は『パックランド』のパクリとも無関係とも言えず、任天堂が『パックランド』から刺激を受けて「俺達こそが元祖なんだ!」という強い対抗意識を持って作ったゲームなんじゃないかと私は思うのです。

 もし「それこそがパクリじゃないか」と言われたのなら、ゲームクリエイターは絶対に他の人が作ったゲームをプレイ出来ませんね。



○ 『スーパーマリオブラザーズ』 (1985年9月)
WiiU_screenshot_TV_0106C.jpg
<写真は『スーパーマリオブラザーズ』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>

 「回避」=敵や障害物をジャンプして飛び越える機能
 「アイテム探索」=空中にあるブロックを叩いて中身を出現させる機能
 「アイテム取得」=空中にあるコイン等を手に入れる機能
 「移動」=上部や左右の足場にジャンプして飛び移る機能
 「攻撃1」=上部の床を叩いて敵を倒す機能
 「攻撃2」=敵の頭上に着地することで踏んづけて倒す機能


 さて……『マリオブラザーズ』から『スーパーマリオブラザーズ』の2年間、他の会社からだけでなく任天堂からも「ジャンプアクション」は発売されています。『アイスクライマー』(1985年1月)はそうですね、『バルーンファイト』(1985年)はどうだろう……『レッキングクルー』(1984年)はマリオとルイージなのにどうしてジャンプしないんだ。

 でもまぁ、「マリオのジャンプ」に関係のない話なのでそこは端折ります(笑)。


 私は「『スーパーマリオブラザーズ』なんて『パックランド』をパクッただけのゲームじゃん」と言うのは“創作”に対する侮辱だと思っていますが、同時に「宮本茂は天才だから『スーパーマリオブラザーズ』みたいな完成度の高いゲームを突然生み出せたんだ」と言うのも“創作”に対する侮辱だと思っています。
 この記事が書いてきたように、『ドンキーコング』で「回避」と「移動」を同時にこなすアイディアとして「ジャンプ」を思いつき、『マリオブラザーズ』でそこに「攻撃」の機能を加え、そうした積み重ねの末に『スーパーマリオブラザーズ』は生まれているのです。

 先ほどまでの「社長が訊く」は2009年の『NewスーパーマリオブラザーズWii』発売の際のインタビューでしたが、こちらは2010年の「スーパーマリオ25周年」の際の「社長が訊く」からの引用です。
 Wii版『スーパーマリオコレクション』に同封されている「スーパーマリオブラザーズの仕様書の1枚」らしいですね。1985年2月に書かれたものとか。

<以下、引用>
スーパーマリオ実験仕様

本ゲームはドンキーコング以来連作してきた“ジュニア”“マリオブラザーズ”のアスレチックの部分を利用し、大型のマリオキャラクターによって再構成するためのゲームである。

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています

 仕様書の時点で思いっきり書かれているんですね。
 『スーパーマリオブラザーズ』は、『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』『マリオブラザーズ』のアスレチック部分を集めて再構成するゲームだと―――


 ……


 ……あ


 『ドンキーコングJR.』について言及するのを忘れていました。
 『ドンキーコングJR.』とは1982年にアーケード版が稼動した『ドンキーコング』の続編で、主人公は前作のラスボス:ドンキーコングの息子です。前作のジャンプアクションに加え、ツルの上り下りという新たなアクションが特徴的ですね。
 主人公がマリオじゃないんで、「マリオのジャンプ」の考察に考えなくてイイですよね!そうです、決して忘れていたワケではなくて、「今日の記事には関係ないな」と省いていたのです。そうに決まっています!



以下、引用
宮本「はい。ただ、2倍の大きさのキャラクターを動かすことは、『デビルワールド』ですでに実現させていました。」

岩田「つまり、『エキサイトバイク』からは画面の一部だけをスクロールさせる部分スクロールの技術を、『デビルワールド』からは、2倍の大きさのキャラクターを動かす2キャラモードの技術をそれぞれ持ってきた、ということですね。」

宮本「そうなんです。それまでのいろんなソフト技術を総結集しました。」

中郷「少し細かいことになりますけど、たとえば『ドンキーコングJR.』のジャンプ台、あれをつくったSRDのメンバーが『スーパーマリオ』のプロジェクトにも参加していたので、そのまま持ってくるようなこともできたんです。」

岩田「この仕様書を見ると・・・
 「『ドンキーコング』のスロープ、リフト、ベルトコンベア、はしご、
 『ドンキーコングJR.』のロープ、丸太、ジャンプ台、
 『マリオブラザーズ』の敵の攻撃、敵の動き、氷った床、パワー床、などを中心として改良を加える」・・・と書いてありますね。」

宮本「ですから、まさに“集大成”のソフトでした。
 当時はディスクシステムが出る前年でしたし、カセットで出す最後のソフトのつもりだったんです。「さすが任天堂はカセットのことをよく知ってる」とか、「これ、どうやってるの?」と言われるようなものをできるだけいっぱい入れようと思いました。」

岩田「いまのゲーム機では、総合的な処理能力の範囲であればどんな映像表現もできるようになったので、ゲームのなかの表現で、「これ、どうやっているの?」という話は、ある意味、プロの目でしかわからない時代になりましたよね。
 でも、ファミコンソフトのあの時代は、ハードの制約がとても厳しくて、あまり多彩な映像表現はできませんでした。ハードの制約をかいくぐることで、新しい表現が実現できると、それはおそらく一般の方にとっても見たことのない表現でしたから、お客さんも、ほかのゲームでは見たことのない新しい表現は、「これ、どうやっているの?」というようにとても魅力を感じていただけたところがありましたよね。」

宮本「そうだったんですよね。そんなふうにいろんなソフトのいい部分を取り入れようとしたんですが、やっぱりおおもとになったのは『エキサイトバイク』でした。たとえばワープの発想はそこから来ています。」

岩田「それはどういうことですか?」

宮本「業務用の『エキサイトバイク』には3レベルあって、遊びはじめる場所を選ぶことができたんです。「じょうずな人は早く上級のレベルを遊べたらいいよね」ということで。
 もちろん、『スーパーマリオ』でいきなりワールド7からはじめようとすると難しすぎるんですけど、「じょうずな人はワールド1からワールド8まですいすい行けたらいいのにね」と。」

岩田「へえ~、そこからワープの発想が来てるんですか・・・。確かに当時のカセットはセーブができませんでしたからね。」

宮本「そうなんです。毎回はじめから遊ぶしかなかったんです。
 でも、最後まで遊びたい人のためにワープができるようにして、そのワープを究めるとすぐにワールド8に行けるようにしました。それは『エキサイトバイク』でどのコースからはじめるかを選ぶのに近いものなんです。」

岩田「ああ、だから本当にいろんな意味で“集大成”なんですね。」

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えています

 岩田社長が当事者だったから敢えてその話にはならなかったみたいですが、これ以前の「社長が訊く」にて『バルーンファイト』の技術も『スーパーマリオブラザーズ』の水中面に影響を与えているという話がありましたね。

 『デビルワールド』は1984年10月、ファミコン版の『エキサイトバイク』は1984年11月、ファミコン版の『バルーンファイト』は1985年1月――――『ドンキーコング』や『ドンキーコングJR.』『マリオブラザーズ』ももちろんそうですが、それらのどのゲームが欠けても『スーパーマリオブラザーズ』はあんな形にはならなかったと思います。

 『スーパーマリオブラザーズ』は1作でいきなり完成したワケではなくて、1980年代前半の任天堂の様々なソフトの要素が集まって完成したゲームなんです。



 「マリオのジャンプ」の「多機能」性について、話を戻します。
 「回避」機能は、『ドンキーコング』の頃からある機能です。
 「移動」機能は、『ドンキーコング』のリフト移動や『マリオブラザーズ』の上部の足場に飛び移る機能などを総合した機能だと言えます。
 「攻撃」機能の内、敵を下から叩くのは『マリオブラザーズ』から。
 「攻撃」機能の内、敵を踏んづけて倒すのは『マリオブラザーズ』のルイージを踏んづけられる機能から(笑)。

 ……と考えると、実は『スーパーマリオブラザーズ』の「ジャンプ」は過去作品のいいとこどりで、それこそ「ダッシュジャンプ」や「空中制御可能なジャンプ」は『パックランド』の影響なのかも知れませんし、『スーパーマリオブラザーズ』自体は何も発明していないように思えるかも知れませんが。

 「アイテム探索」=ブロックを下から叩いてアイテムを出現させる機能こそが、『スーパーマリオブラザーズ』における「マリオのジャンプ」の特徴なのですね。
 この「隠されているアイテムを探し出す」という要素は、『ゼビウス』(1983年)だったり、『ドルアーガの塔』(1984年)だったりが大人気になった要素で、当時の「流行」と言っても過言ではないと思うのですが。『スーパーマリオブラザーズ』も、それをゲーム内に上手く取り込んだということなんだと思います。

(関連記事:昔の名作ゲームを今遊んでも100%の面白さを味わえるワケがない


 んで、重要なのは「ジャンプしてブロックを下から叩いてアイテムを出現させる」という部分。
 それこそこの元の発想は『マリオブラザーズ』の「下から叩いて敵を倒す」機能や、POWブロックを叩く機能にあるのだと思うのですが……“ジャンプして床を叩いて何かを起こす”ということ自体が気持ち良いんですよね。加えて『スーパーマリオブラザーズ』では「隠されたアイテムを探す」という機能が加わりました。
 プレイヤーは、アイテムを探すために手当たり次第にブロックを叩くのですが、それ自体が気持ち良いんです。これは『ゼルダ』の「草を刈ること自体が楽しい」に通じるものがあるかも知れません。

 「マリオが1機増える1UPキノコ」「立て続けにコインが手に入る10枚コイン」「空のルートを突っ切らせてくれる豆の木」など、出現するアイテムに“出てきたら超嬉しいもの”をちゃんと用意しているところも抜かりがないです。

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 最初は「ジャンプ」する予定ではなかったマリオ。
 たまたまタルを避けるために「ジャンプ」することを与えられ、それでリフトへ移動したり、空中のアイテムを取ったり出来るようになり。「高いところから落ちても大丈夫なようにしよう」とした結果、上の足場に飛び移ったり、上の足場にいる敵を攻撃したり出来るようになり。ルイージを踏んづける機能から、クリボーを踏んづける機能になり。当時流行していた「隠しアイテム」の概念を取り込むことで、「探索」の要素もジャンプが担うことになった――――


 宮本さんは天才だと思いますけど。
 天才だって「無」からいきなり『スーパーマリオブラザーズ』を作れるワケではないんです。たくさんのゲームを作り続けたことで、1作目、2作目、3作目と様々な要素を生み出すことが出来て、他のゲームの要素を取り込んで……それで『スーパーマリオブラザーズ』が生まれたのだし。

 それこそ『パックランド』だって「無」から生まれたワケではないでしょうよ。


 『ドンキーコング』だって『マリオブラザーズ』だって今でも遊べることが出来る超有名ゲームなのに、どうしてか存在を無視されて「『スーパーマリオブラザーズ』は『パックランド』をパクッただけのゲームだ」なんて言われてしまうのが納得いかないんです。
 少なくとも「ジャンプ」の「多機能性」については、『ドンキーコング』にこそルーツがあるだろうって思うのです。


○ 余談
 つか、ここまで書いてくると『パックランド』を遊んでみたくなりますね。
 1985年11月に発売されたファミコン版は子どもの頃に遊んでいましたけど、『スーパーマリオブラザーズ』以前に作られた1984年のアーケード版はリアルタイム世代じゃないので私は触れたことがないんです。任天堂には「バーチャルコンソールアーケード」をWii Uでも始めてもらって、バンダイナムコにはアーケード版『パックランド』を配信してもらいたいです!

 「どのくらい『スーパーマリオ』が『パックランド』からパクッたのかを確認したいのでバーチャルコンソールで配信してください!」なんて言ったら配信してくれなさそうですけど(笑)。


 『ドンキーコング』のアーケード版を特別なソフトとして配布したこともあるんだから、任天堂のアーケードゲームもバーチャルコンソールで配信して欲しいですよねぇ。『マリオブラザーズ』のアーケード版とかもやってみたいですよ。


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考察:「百合」か「女のコ同士の友情」か

 こういうことを書くと、生粋の百合好きな方々から「邪道だ!」と怒られそうですが……
 最近の自分は「百合=女性同士の恋愛を描いた作品」よりも、「女のコ同士がイチャイチャしているだけの作品で百合妄想をする」方が好きなのかも知れないと気付いてしまいました。“公式”に与えられた百合よりも、“妄想”による百合の方が、自分の好き勝手できるじゃないか!と。


 例えば、『ハナヤマタ』で描かれているものは「百合」というよりは「女のコ同士の友情」ですから、「なる×ヤヤ」だろうが「ハナ×なる」だろうが「ハナ×ヤヤ」だろうが好きなように妄想できますし、そういう“幅”が用意されていると思うのです。
 これは『けいおん!』の時にも言われていたし、『ごちうさ』なんかでもそうだと思います。「唯×梓よりも律×梓の方が好きだ」とか、「シャロはリゼよりも千夜との方が夫婦みたいでイイ」とか、「登場人物の数×登場人物の数」の分だけ百合妄想の組み合わせが広がって好きなように楽しめたと思うのです。

 しかし、同じ芳文社原作のアニメでも『桜Trick』だったらそうはいきません。
 あの作品で描かれているのは「友達」を超えた「特別な関係」で、「春香×優」という組み合わせが“公式”から提示されてしまっている以上、“妄想”で他の組み合わせを作るのが申し訳ない気持ちになってしまうのです。




 以前に、「“公式”で女のコ同士にくっつかれたらイヤだ」と言った新規の百合好きが、古参の百合好きから叩かれた―――ということが話題になりましたけど……今の自分はその叩かれている側の気持ちがよく分かりますし、生粋の百合好きの人達からは「オマエなんかは百合好きじゃない!百合好きを名乗るな!」と怒られるんでしょうし。
 この話は、「ハーレムアニメで好きなヒロインと主人公が結ばれたら嬉しいのか」問題にも通じる話かも知れません。“公式”から正解を提示されたいワケじゃないんだよという感覚。

(関連記事:「百合好き」と「百合キャラ好き」は似て非なる
(関連記事:「貴方の好きなヒロイン」には、主人公とくっついて欲しいですか?




 さて、実はここからが本題です。
 この“「百合」か「女のコ同士の友情」か”問題を考えていて、一つ思いだしたゲームがあったのです。2011年にニンテンドーDS用ソフトとして発売された『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』というゲームです。

 私はこのゲームは買っていなかったのですが、開発者のブログで「恋愛要素」について面白い話がされていたのです。

<以下、引用>
また、恋愛要素については問題点もあり、
・主人公キャラは女性。
 これを男プレイヤーが操り、男性キャラとくっつくというのは気持ちが悪い。

・女性プレイヤーでも、いい男が居ないと思う場合がある。

<中略>

いろいろ考えを出し合って...

・暖かい、ほのぼのした終わり方、かつ、恋愛要素の代用として△△さんと一緒に仕事をするようになるエンド
・2ショットの絵が出るエンド。

これなら、男女どっちもいけそうだ。

・男プレイヤーなら、女性キャラと仲良くなるエンディングを目指せる。
・女性でも、かっこいい女性と組むような終わり方っていいと思う。

・ああ、この2人は、この後一緒に暮らしていくんだな、ぐらいの、プレイヤーがその後を勝手に想像出来る終わり方。


ここで吉池氏が食いつく。

このアイデアはよいですね!
友情エンド、恋愛エンド、2ショットエンド、百合エンド、色んな言われ方をされると思いますが(笑)
恋愛以外の組み合わせもあるんだよ、ということで万人に受け入れられると思います。


名付けて「あの人と一緒エンド」!

</ここまで>

 私は当時このアイディアを「上手い!」と思ったんです。
 このゲームは「可愛らしい女性主人公のゲーム」ですから、「恋愛要素を入れて欲しい」という要望に応えようとすると「男性キャラとくっ付く」ことになってしまい「他の女性キャラは単なるモブ」になりかねません。
 しかし、「異性のキャラとくっつく恋愛エンド」に限定せず「同性・異性関係なくくっ付く“あの人と一緒エンド”」にすれば――――異性キャラとくっ付けば恋愛エンド、同性キャラとくっ付けば友情エンドor百合エンドと、プレイヤーによって様々な受け取り方をしてもらえるんじゃないかと。

 これって今年に入って(悪い意味で)話題になった『トモダチコレクション』の同性婚問題にも通じる話かもなーなんて今になれば思うのですが。


 しかし、このアイディア……
 誰だか忘れましたけど、Twitterで自分のタイムラインを見ていたら激昂している人がいたんです。「百合を匂わせているのが許せない」「みんなが百合を喜ぶと思うな」「買うつもりだったゲームだけどもう絶対に買わない」と。

 私はすごく驚いたんです。
 あの開発者ブログの文面からは「みんな百合大好きなんでしょー。百合エンド入れたから喜んでねー」なんて意図は全く感じませんでしたし、むしろ「百合が好きな人は百合として受け取れる」「百合が嫌いな人は友情として受け取れるし、異性ともくっ付ける」という“幅”を用意してくれたと思ったんですが。

 「百合」が嫌いな人は、「百合を匂わす」とか「百合エンドという解釈の出来るエンディングパターンがある」というだけで許せないものなのか――――と。


 これ考えると、『トモダチコレクション』で同性婚が入らなかった理由も分からなくもないですよね……仮にオンオフを出来るようにしても、「機能としてある」だけで許せない人はいるもんなんだなと。





 話を戻します。
 なので……『けいおん!』だったり、『ごちうさ』だったり、『ハナヤマタ』だったり、「女のコ達の青春日常アニメ」って“公式”からは「百合」という言葉は使わないようにしているんですよね。

 私のように「女のコが二人いればそれはもう百合です」という百合脳な人間からすれば、『けいおん!』の「梓→唯」も、『ごちうさ』の「チノ→ココア」も、『ハナヤマタ』の「ヤヤ→なる」も、全て「キマシタワー!」とガチな「恋愛」に思えるのだけど。百合が嫌いな人には、これは「恋愛」ではなくてあくまで「友情」とか「憧れ」とか「家族愛」なんですよと言い張れるギリギリの範囲内に留めてあると思うのです。


 『ゆるゆり』の茜とか、『のんのんびより』の蛍はアウト。
 アレは言い訳のしようもなく「百合」だと思います。「百合」というか何と言うか……(笑)。


 まぁ……なので、一言で「日常系アニメ」とくくっても、『ごちうさ』と『桜Trick』ではその辺のスタンスは180度真反対だと思いますし。「日常系アニメ=ゆるい百合アニメ」と表現している人もいるんですけど、「百合」と受け取るのは視聴者がそう受け取っているだけであって、“公式”からは「あくまでこれは友情です」と言い張られている作品の方が多いんじゃないかなぁと思います。

 「百合」が嫌いな人には「これは百合ではないです!」と言い張って、「百合」が好きな自分のような人間には「そこから先の妄想はご自由に!」と提示してくれているというか。

(関連記事:成長する日常系アニメが好きだ


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○ 余談
 レビュー見てたら、とても面白そうだな……『ノーラと刻の工房』……
 デジタル積みゲーがたくさんあるのに、欲しくなってきた……


 それはさておき。
 最近では、(『桜Trick』は例外として)『けいおん!』とか『ごちうさ』みたいな「女のコだらけでイチャイチャするアニメ」よりも、「男性キャラも登場してしっかり恋愛をテーマにして描こうとするアニメ」の方がガチな「同性を好きになってしまっている女性キャラ」は登場しているように思えます。『たまこまーけっと』もそうだし、『グラスリップ』もそうだし。

 「百合」も恋愛の一形態なのだから、男キャラも登場する恋愛をテーマにした作品を考えたら自然と「同性を好きになってしまっている女性キャラ」が入ったということなんですかね。なのでまぁ、同じメインスタッフでも『けいおん!』と『たまこまーけっと』では方向性が真反対だというのが面白いところ。
 自分は「女しかいないから百合」よりも「男が存在しても百合」の方が好みなんですけど。百合作品ではないと思って観始めているから、「心の準備がっ!!!」と焦ってしまいます(笑)。


 実際、百合作品以外だと、「同性を好きになってしまっている女性キャラ」って報われないキャラの方が多いので……「わーい!ガチ百合だー!」と純粋に喜べるというよりかは、「どうして幸せにしてあげないんだよ!」と切なくなる気持ちの方が強くなってしまいますからね。
 そう考えるとやっぱり「女のコだらけでイチャイチャするアニメ」って、「不幸なキャラを作らない」ためによく考えられているんだなーと。

 とりあえず今季の私はタミお姉ちゃんに期待しています。

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| ヒンヌー | 17:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

定期的に語りたくなる「昔のゲームを今遊んでも楽しめるのか」問題

 『クインティ』の紹介記事を書きながら、少し考えてみたくなったこと。
 1989年に発売されたファミコン用ソフト『クインティ』は明らかに時代に逆行したゲームだったけれど、当時に流行していた「マリオの後追いで出たゲーム」や「ドラクエの後追いで出たゲーム」よりも、20年以上経った今遊ぶのならばむしろ『クインティ』の方が斬新で新しいゲームに思える―――という話をあの記事では書きました。

 あの記事では『クインティ』を紹介することが目的でしたからそれ以上は踏み込みませんでしたが、自分の中でふと思ったことがあったのです。「というと、『マリオ』と『クインティ』はどちらが斬新だ?」「『ドラクエ』と『クインティ』では?」「『マリオ』と『ドラクエ』は?」

 今の子どもでも、『マリオ』や『ドラクエ』は新作が出続けているからそれなりに遊んでいるみたいです。そういう子どもが、初代の『スーパーマリオブラザーズ』や初代の『ドラゴンクエスト』を遊んだ時、『NewスーパーマリオブラザーズU』や『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』と比較して「なんかショボイ……」と思ったりするのだろうかと。



 いや、子どもはどうでもイイや。
 どうせこのブログを子どもは読んでくれていないだろうし。

 私のような鼻毛に白髪が混じり始めているオッサンであっても、「このゲーム、昔遊びたかったんだけど遊んでなかったんだ!バーチャルコンソールで出るなら買っちゃおう」とプレイして楽しめるゲームと楽しめないゲームはあるなぁって思うのです。 『クインティ』は「思い出補正」とかじゃなくて今初めて遊んでもガチで面白いゲームだと言えますが、そうでないゲームもたくさんあると思うのです。

 この記事を書く前に、ちょっと書こうと思って没にした記事があって―――それは「ファミコンで出た『ガンダム』のゲーム全部集めて『Jレジェンド列伝』みたいに一まとめにして出してくれないか」という内容の記事でした。バーチャルコンソールに出してくれない『ガチャポン戦士3 英雄戦記』とか『ナイトガンダム物語2 光の騎士』を遊びたい!と思ったからなんですけど……

 それらのゲームを今遊んで、ホントに楽しめるのか?と自分でも疑問に思ってしまったのです。実際にバーチャルコンソールで出た『ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』と『ガチャポン戦士2 カプセル戦記』はほとんど起動しませんでしたし!


(関連記事:美化されていないファミコン時代の思い出を語ろう!
(関連記事:昔の名作ゲームを今遊んでも100%の面白さを味わえるワケがない

 以前にこれらの記事を書いたこともありますけど、それらの記事とは違うアプローチで「昔のゲーム」を“今の自分が実際に遊ぶこと”を想定して考えていこうと思います。

 「昔のゲーム」の定義にみなさん言いたいこともあるでしょうが、この記事の中では「ファミコンのゲーム」で統一しようと思います。こないだ某所でチラッと読んで度肝抜かれたものに、「昔のゲームでも今遊んで面白いゲームはたくさんあるよ!例えば『428』とか!」ってのがあったのですが……そういう世代の人達からすると今日の記事は「それってマンモスのいた時代の話?」レベルのことなのかもなぁ。



1.「アクションゲーム」ならば、全然イケる
 グラフィックを気にしなければ。
 まぁ……「最新のグラフィックじゃないと気が済まない人」だったら、どんなジャンルだろうがもうどうしようもないですからね(笑)。

 『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)だろうが、『ダウンタウン熱血物語』(1989年)だろうが、『クインティ』(1989年)だろうが、今遊んでも見劣りせずに面白いです。
 というか……演出面やグラフィック面を除けば、2Dアクションはこの時点でそれなりの完成形に到達してしまっていて。プレステや64が出てくる90年代中盤に「3Dアクション」という新たなジャンルを生み出して、いわゆる“最新のゲーム”として進化しまくるのは「3Dアクション」なので。2Dアクションはファミコン時代からあまり変わってないんですよね。だから、ファミコンのゲームでも全然面白い。

 ファミコン以前のゲームですが、『スペースインベーダー』とか『パックマン』だって今でも面白いですもんね。


 ただ、「ボリューム」はありません。
 「『スペースインベーダー』とか『パックマン』だって今でも面白いですもんね」と書いた私ですけども、10~20分くらいなら「俺が生まれるよりも前にこんなにも面白いゲームがあったのか!」と思えますが、それらを10~20時間遊べるとは思いません。リアルタイム世代には申し訳ないですが、後の「たくさんのステージ」や「色んなモード」を備えたアクションゲームを知っている身としては長時間のプレイは少しキツイかなぁと。

 『スーパーマリオブラザーズ』の4×8=全32面(+裏面)って、当時としてはとてつもないボリュームだったんですよね。だからワープ土管が重宝されたのですし。


 後は……ファミコン時代のアクションゲームはセーブもパスワードもないものが多く、電源付けたら常に1面からというのも辛かったですが。それは「いつでも中断」「まるごとバックアップ」のあるバーチャルコンソールならばそんなに問題でもないと思います。
 「昔のアクションゲームは難しかった」という問題もありますが、今でも難しいゲームは難しいですし、それこそ「まるごとバックアップ」があるなら何とか……

(関連記事:3DSやWii U等で、「昔クリア出来なかったゲーム」へのリベンジのススメ


2.「テキストアドベンチャー」「RPG」はちょっと遊びづらい
 ファミコン後期の80年代後半に大流行したジャンル。
 それこそ『クインティ』のインタビューで、当時はストーリー重視のゲームが流行っていた(けど『クインティ』はその流れに逆行した)という話がされていましたね。

 ただ、この手のジャンルの昔のゲームは今遊ぶとちょっと厳しいです……
 「テキストアドベンチャー」は文字の表示スピードが遅かったり、UIが使いにくかったり、漢字がなかったり、選択肢を総当りさせたり……「RPG」はキャラの移動速度が遅かったり、「Aボタンでコマンドを出して“はなす”を選ぶ」などの手順が面倒だったり、キャラの成長が一軸な上に必要経験値が多くてレベル上げが大変だったり。


 当時からそうした不満がなかったワケじゃないんですけど「まぁ、そういうものだし……」と割り切っていて、たまに移動速度の速いRPGや、Aボタンだけで「はなす」も「しらべる」もやってくれる『FF』に出会えると感動したのですが。
 スーファミ以降そうした不満点を解決したゲームが主流になっていくと「便利が当たり前」になってしまい、ファミコン時代の「テキストアドベンチャー」や「RPG」には戻れなくなってしまっていたという。数年前にファミコン版の『ドラクエ1』をプレイして、「こんなにレベル上げに時間かかるゲームだったっけ……」と打ちひしがれたのを思い出しました。


 「長ったらしいパスワード」とか「よく消えるセーブデータ」なんかは、バーチャルコンソールでプレイすると無問題で助かるんですけどね。

 ファミコン時代のゲームはスーファミのゲームとしてリメイクされることがありましたけど、『ドラクエI・II』とか『ファミコン探偵倶楽部』とか「RPG」や「テキストアドベンチャー」はファミコン→スーファミに変わっただけで劇的に遊びやすくなりました。
 逆に言うと、「スーファミくらいのスペックがあれば十分じゃね?」とこの手のジャンルには思わなくもないんですけど(笑)。


3.「スポーツゲーム」はある意味面白い
 ファミコンのゲームじゃないですけど、PCエンジンの『パワーリーグ4』をWiiのバーチャルコンソールで友達と遊んだ時はムチャクチャ盛り上がりました。デストラーデ、原、オマリーなど、1991年当時の現役バリバリのプロ野球選手が偽名で登場するため、懐かしさ半端なかったです。

 バーチャルコンソールやゲームアーカイブスには、「昔のゲームを歴史資料のように保管する」側面があると思うのですが……スポーツゲームは更にそこに「当時の選手達のデータを保管する」側面が加わって、更に意義深いものになると思うのです。
 『ファミスタ』とかもバーチャルコンソールで出して欲しいし、カルチャーブレーンは『スーパーチャイニーズ』や『飛龍の拳』だけでなく『超人ウルトラベースボール』もバーチャルコンソールに出すべきだと思います。新作(なのか、アレは)も出たことですし!


 野球ゲームと比較するとサッカーゲームはファミコン時代よりもスーファミ時代が盛んだったので、ファミコンのソフトよりもスーファミの『スーパーフォーメーションサッカー‘94』とかバーチャルコンソールで出て欲しいんですけどね。Jリーグ初期の『エキサイトステージ』とかも面白そうだけど、実名のゲームは厳しそう。いずれにせよ、今日の記事の主旨からズレているのでこの辺で。


 「リアルを追求する」という点で言えば、野球ゲームもサッカーゲームも最近のゲームに比べてものすごくショボショボだとは思うのですが……「野球の面白さ」「サッカーの面白さ」を凝縮して当時のスペックで伝えようとしたゲームもあるので、意外に侮れないんじゃないかと思います。

 けど、これも「ボリューム」に難はありますね(笑)。
 チーム数が少ない、モード数が少ない、インターネット対戦なんてもちろん出来ない―――友達が遊びに来た時に30分遊ぶくらいなら超盛り上がるけど、一人で何十時間と遊ぶには流石に今は厳しいですかね。というか、スポーツゲームは『パワプロ』のサクセスにしても、『ウイイレ』のマスターリーグにしても、「一人で長時間遊べるモード」を開発して商品寿命を延ばしていったんだなぁと今更ながらに思いました。



4.「シミュレーションゲーム」は若干厳しい
 シミュレーションゲームはハードのスペックに相当依存するジャンルで、ファミコン時代も今も「パソコンで遊ぶもの」が主流で「家庭用で遊ぶもの」はそのお下がり傾向が強くて……だから、ファミコンみたいな昔のスペックのゲームを今遊ぶのは厳しい―――という話をしたいワケではありません。

 私は「それはそれで」だと思うんですね。
 例えば『ファイアーエムブレム』シリーズはゲームとしての面白さはファミコン時代も3DSになった今も変わらない面白さだと思いますし、ファミコン時代に出ていたシミュレーションゲームは「シミュレーションゲームの面白さの根源」をしっかり持っていたと思います。


 ただ、画面が見づらい。

 『ガチャポン戦士1』のWiiのバーチャルコンソール公式サイトのページとか見てもらうと分かりやすいですけど、数字とアルファベットだらけで情報がごちゃごちゃ。
 『ファミコンウォーズ』のファミコン版DS版を見比べると、今では漢字で説明されているパラメータが当時は小さなイラストで説明されていて。これは解像度の問題なのか「漢字を読めない小さな子でも楽しめるように」という配慮なのか分かりませんが、正直どの数字がなんのパラメータなのかよく分かりません。


 これは別に「今の自分が昔のゲーム画面を見て思うこと」というだけでなく、子どもだった当時から「だからシミュレーションゲームってとっつきにくいんだよなぁ」と思っていました。光栄の歴史シミュレーションゲームも、ファミコン時代は手を出さず、スーファミになってから手を出したのですが……それはスーファミになって画面が見やすくなったからかなと。



5.「パズルゲーム」こそが古典
 『テトリス』の大ヒットで、いわゆる“落ちモノパズル”が大流行して「くにおくん」までもがおでんでパズルゲームになってしまったほどなのは1990年代。その『テトリス』のヒットもファミコン版よりもゲームボーイ版が大ヒットしたため、「ファミコンの落ちモノパズルゲームって何があったっけ……」と思ってしまうところではあるんですが。『Dr.マリオ』や『ヨッシーのたまご』など侮れない作品も結構あります。

 しかし、ファミコンのパズルゲームと言えば、『テトリス』以前のアクションパズルが全盛期―――『ロードランナー』『ナッツ&ミルク』『ソロモンの鍵』『バベルの塔』。言ってしまえば『ゼルダの伝説』だってこの系譜か?
 この手のジャンルは「クリアしてしまえば終わり」なところがあって、「とにかくステージ数を増やす」とか「自分でステージを作れる」などの策でどの作品も商品寿命を延ばそうとしていましたが。『テトリス』の大ヒットで全てが一新され、パズルゲームという言葉からは“落ちモノパズル”だけが想像されるようになってしまいました。

 この辺の話は、『不倒城』さんのこの記事が私の人生観を変えたほどの見事な考察なので一読あれ。

 レトロゲーム万里を往く その47 テトリス


 「クリアしたら終わり」のアクションパズルゲームは、現在ダウンロードソフトなんかで実は人気のジャンルで『ラビ×ラビ』みたいのもあるワケですが。現在の最新技術を投入してどうのこうのというジャンルではありませんから、ファミコンのアクションパズルを今遊んでも全然楽しめるんじゃないかなぁと思うのです。

 逆に、ファミコンの「落ちモノパズル」を今遊ぶと……もちろんインターネット対戦なんか出来ないし、一人で長く遊べる「なぞぷよ」みたいなモードもないし、ちょっと物足りないところはあるかも。


○ 結論
 流石にファミコンのゲームは今遊ぶとキツイかも。

 もちろん例外もあるんですけど……「アクションゲーム」はステージ数の少なさ、「テキストアドベンチャー」「RPG」「シミュレーション」はスーファミ以後の遊びやすさに比べて遊びづらく、「スポーツゲーム」や「パズルゲーム」は一人でずっと遊べるモードがない、ってカンジですかね。

 スーファミ→64の変化は「ゲームが別の物になった」変化だったので特に比較もしませんでしたけど、ファミコン→スーファミの変化は「どのジャンルも正統進化した」ためについついスーファミと比較してしまうのかも知れません。
 今でも全く問題なく遊べるファミコンのゲームというのは、逆に言うと「その後あまり進化していないジャンル」なので、それはそれで寂しい話なのかもって思います。『クインティ』なんかはまさにそうだし、「くにおくん」シリーズなんかも一時期そうだったと思うんですけど、似たようなゲームがその後出なかったワケですしね。


 とすると……「シミュレーション」や「RPG」が多かったファミコンのガンダムゲームを一まとめに集めても、今遊ぶと結構微妙かも知れませんねぇ。どちらもその後の進化が凄かったジャンルですし、「思い出補正」抜きでは厳しいかも。
 よし、じゃあ次は「スーファミで出た『ガンダム』のゲーム全部集めて一まとめにして出してくれないか」という記事を書きますか!(永遠に終わらん)

| ゲーム雑記 | 18:03 | comments:6 | trackbacks:1 | TOP↑

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「視聴者だけが全てを知っている」というシチュエーションに私は弱い

※ この記事はアニメ『アルドノア・ゼロ』第2話「地球の一番長い日 —Beyond the Horizon—」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。


 いやー、ビックリするくらい面白かったです。『アルドノア・ゼロ』第2話。
 第1話を観た時は「まだまだよく分からんなー」くらいの手応えだったのですが、第2話で早速フルスロットルで面白くなりました。「ストーリー原案って言ってもどうせ名前貸しているくらいなんだろうな」と思ったら、虚淵さんガッツリ脚本書くのね。やっぱり「うわっ、何だコレ!早く続きを見せてくれよ!!」と思わせる達人だと思いますわ。

 輸送車で必死に逃げまくるとこのハラハラ感とか、“FOOD理論”的に言えば伊奈帆くんがお姉ちゃんのために作っていたのがスクランブルエッグじゃなくてだし巻き卵だったのがグッと来すぎるとか、見所はたくさんありまくるのですが……個人的に「あ、これ。俺の大好きなヤツだ!」と思ったところの話を今日は書きます。


 それは「視聴者だけが全てを知っている」というシチュエーション。
 火星からやってきたアセイラム姫はテロの被害に合って死んでしまった―――
 と思われているのですが、「実際には体調を崩したアセイラム姫の身代わりにパレードに出ていた女性が殺されたのであってアセイラム姫は健在。」という説を唱えている女性こそがアセイラム姫だということを、「エデルリッゾがアセイラム姫に仕えている」ということを知っている視聴者だけは分かっているのですが、地球の人々は知りません(伊奈帆くんは気付いているのかも知れませんが)。

 んで、このアセイラム姫を殺すテロを起こしたのは、地球人ではなく実は火星人―――ということを知っている当事者のテロリストは全員トリルランに殺されたのだけど、唯一その一人の娘ライエだけは生き残り。アセイラム姫ともども、伊奈帆達に助けられ。

 圧倒的戦力差にも関わらず、伊奈帆は火星人達と戦うことを決意するのだけど―――実は一緒に逃げている集団の中に「火星のお姫様」と「そのお姫様を暗殺して戦争を引き起こした首謀者の娘」を知らずに抱えていて。単に逃げ遅れた学生と民間人の集まりが、(本人達も知らない内に)地球の命運を握る一団になっているという。


 これは燃えるしかない展開じゃないか!というのもさることながら、

 伊奈帆達は、アセイラム姫の正体もライエの正体も知らず。
 アセイラム姫は、ライエの正体を知らず。
 ライエは、アセイラム姫の生存を知らず。
 火星サイドのお偉いさん方も、アセイラム姫の生存を知らず。

 でも、我々視聴者だけは「全ての真実」を知っているという。
 アセイラム姫の正体がバレないかというハラハラと、ライエの正体に早くみんな気づけよというもどかしさを同時に味わわせる見事なキャラ配置ですし。このキャラ配置だとエデルリッゾ辺りが「うわー!余計なことすんなー!」ということをしでかしそうだし、火星軍が地球を混乱に陥れるために最初に通信網を破壊したことでアセイラム姫が連絡を取れなくなっているし、視聴者だけがやきもきさせられているのが凄いです。


 同じ虚淵さん脚本のアニメでも『魔法少女まどか☆マギカ』は、「視聴者も何が起こっているか分からない」「全てを知っているのはほむらちゃんだけ」という設定でグイグイ話を引っ張っていくアニメでしたが。
 『アルドノア・ゼロ』は、「登場人物全員が何が起こっているか分からない」「全てを知っているのは視聴者だけ」という設定でグイグイ話を引っ張っていくというのがすごく興味深いです。



 もちろん、私が好きなこうした「視聴者だけが全てを知っている」作品は『アルドノア・ゼロ』だけではないです。
 ラブコメ作品の中の「片想いをしているキャラ」が好きなのは、相手には伝わっていないその想いを「自分は知っている」ことでハラハラ&やきもきさせられるからだし。アンジャッシュのすれちがいコントが好きなのは、「自分は知っている」ちょっとのズレがトンでもないことを引き起こしていることに当人達が気付いていないことにゲラゲラ笑えるからだし。私が最初の『ガンダム』を別格で好きなのは、ジオン軍のエリートが必死こいて追いかけているホワイトベースの乗組員がたまたま居合わせた少年少女達なことを「自分は知っている」からだし。

 『刑事コロンボ』に代表される倒叙式のミステリー作品も、「視聴者だけは犯人を知っている」状態から「どうやって探偵が犯人に気付いて追い詰めていくのか」を楽しむものなので、「視聴者だけが全てを知っている」に該当するかも知れませんね。



 そう言えば、ブログには多分書いていなかったんですが『ジョジョ』3部のアニメ、観てます。「好きな原作のアニメは観ない」私なのですが、『ジョジョ』3部を最後に読んだのは15年くらい前なので「こんな能力の敵いたなぁ!」「で、どうやって倒すんだっけ……」と微妙に記憶が残っていないので普通に楽しめています(笑)。

 んで、子どもの頃は気付いていなかったんですけど、『ジョジョ』3部ってただ単に「敵のスタンド使いが出てきたので倒す」ってパターンを繰り返すんじゃなくて……
 最初は正々堂々と主人公達の前に現れて1vs1の勝負→ 今度の敵は「どいつがスタンド使いか」分からないままスタンドだけが襲ってくる→ 今度の敵は「どれがスタンドか」分からないままなんか攻撃されている→ 今度の敵はチームで襲ってくる→ 等々、といったカンジに「どう戦うのか」のパターンを毎回変えていて飽きさせないようにしていたんですね。

 どの敵とはネタバレになるから書きませんけど、その敵の中に「視聴者はコイツが敵のスタンド使いだと知っている」けど「主人公達はそれを知らない」敵が出ていて――――うわああああ!ポルナレフ、さっさと敵の正体に気づけよ、この馬鹿あああああ!と、やきもきさせるようになっていたのです。ご丁寧に「コロンボ」ってワードも出てきますし(笑)。

 というか、ひょっとしたら私のこの「視聴者だけが全てを知っている」シチュエーションが好きだというルーツは、この『ジョジョ』3部かも知れないなぁって思うのです。『コロンボ』とか『古畑』とかを知るよりももっと前に、『ジョジョ』3部の方を読んでいましたから私。
 子どもの頃から大好きな漫画でしたけど、今観ると「ホントよく考えられているなぁ……」と改めて感心してしまいます。




 閑話休題。
 ということで、今季のアニメは大豊作だと思います。
 ほぼ毎日楽しみなアニメが放送されて幸せな日々。

 そう言えば、虚淵さんが黒田洋介さんからアニメ脚本の手法として教わったもので―――

<以下、引用の引用>
 1話でインパクトを与えて途方に暮れさせ、2話では(作品の)世界観とストーリーの方向性を説明する。そして3話では、それまでに説明したこと以外のことも起こり得るというサプライズを起こす
</ここまで>

 というものがありましたね
 『まどか☆マギカ』は1~2話で「ふむ……オーソドックスな魔法少女ものか」と思わせて3話で「全然違ったあああああああ!」と度肝を抜いたのだけど。
 『アルドノア・ゼロ』は1話で「火星との戦争が始まり」、2話で「絶望的な戦力差で地球が好き勝手蹂躙されていく中、主人公が戦う決意をする」という展開だったので。3話で「サプライズ」を起こすのなら、主人公達からの逆転の一手が見せられるのか―――超楽しみにしております。

| アニメ雑記 | 17:55 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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流行に逆行した姿勢が、色褪せない傑作を生む!『クインティ』紹介

【三つのオススメポイント】
・ゲーム好きが集まって作ったインディーズ制作のファミコンソフト
・「めくる」「歩く」という二つの操作だけで遊べるのに、ちっとも“単純なゲーム”ではない
・“9種類の敵”と“5×7マスのパネル”でこんなにも多彩なステージが作れるのか!


『クインティ』
 ファミリーコンピュータ用/アクション
 ナムコ/開発:ゲームフリーク
 1989.6.27発売

 Wii Uバーチャルコンソール用
 バンダイナムコゲームス
 2014.7.2配信開始/476円+消費税
 公式サイト

クインティクインティ

ナムコ 1989-06-27
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※ この紹介記事はWii Uバーチャルコンソールにてダウンロード販売されたものをプレイして書いているので、オリジナルのファミコン版とは内容が異なっている可能性があります。

○ ゲーム好きが集まって作ったインディーズ制作のファミコンソフト
 このゲームを制作したのは、後に『ポケットモンスター』シリーズを開発して世界規模の大ヒットを成し遂げるゲームフリークです。
 当時のゲームフリークはまだ法人化する前―――同人誌として「ゲーム攻略誌」などを作成していた“ゲームが大好きな集団”でしかなかったのですが、ファミコンの開発機材から自作して、完成したロムカセットを「好きなメーカーだったから」という理由でナムコに持ち込み、製品化。そうして発売された『クインティ』の印税を資本金に株式会社ゲームフリークを設立、そこから『ポケットモンスター』の開発が始まるという。

 この辺の経緯は今回のバーチャルコンソール化に合わせたGAME Watchさんのインタビューでも語られているので、興味のある方は是非どうぞ。

 ついにファミコンの名作、あの「クインティ」が帰ってきた!

 なんというシンデレラストーリーだとか、アメリカンドリームだとか、何十年後かにハリウッドで映画化されそうだとか、そういう話もすごく面白いのですが……今日の記事は『ポケットモンスター』の紹介ではなく、『クインティ』の紹介なので、今の話の中で重要なところは“後の大成功”ではありません。


 このゲームは“ゲームが大好きな集団”が作ったインディーズ制作のゲームだったというところです。
 最近ではダウンロード専売ソフトだったりスマホ用のアプリだったりで、パッケージソフトで発売するような規模のソフトではないゲームでも“アイディア勝負”のゲームを発売する道はありますよね。言ってしまえば、『クインティ』はそんな道がなかった時代にそこを先駆けたようなゲームで、ゲーム会社が商業作品として開発するゲームでは出来ないようなことをやっていたのです。

 先ほどのインタビューで、こんなことが語られています。

<以下、引用>
編集部「流行に逆行したゲームとは?」

杉森氏「当時はやはり、「スーパーマリオブラザーズ」がヒットしたので、横スクロールのアクションゲームとか多かったですね。あるいは、ロムカセットが大容量化しているような時期で、テキストがいっぱい表示されて会話をするとか、ストーリーが語られるとか最後に巨大なボスキャラクターが出てくる派手な演出とか、そういったゲームの表現が盛んになっていた時期だったんです。
 (ほかのゲーム制作者が)みんなそっちに行ってたので、僕らはなんか逆にみんながしないことをやろうって。「昔のゲームセンターのゲームはそうじゃなかったよね」っていうことで、流行ってるゲームがあるんだったら、絶対にそれはやらないようにしようと話していました。ちょっと反骨魂みたいな感じだったんですよね。
 「クインティ」にはでかいボスキャラは出てこないし、画面は1画面固定ですから、そのせいでナムコさんに持って行ったときに「古臭い」とか言われたらしいんですけど。確かにメジャー感はないので、今考えるとまあ随分な作りだなとは思いますね。
 でも、その反骨魂みたいなものがあるところがゲームフリークの基礎になっていると思うんです。人と同じことやってもしょうがない。あるいは、みんな右にならえと同じことやるけど、そこは「なぜ?」っていうことに疑問を持ったり。

</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えました


 確かに……思い出してみると……
 私はこのゲームを発売後すぐにプレイしたワケではなくて、数年経ってから友達の家に転がっていたのをプレイしたのですが。当時の自分は「ファミコン初期のゲームなのかな」と思っていました。画面の華やかさや後に知るゲームの奥深さからするとありえないのですが、固定画面の2人同時プレイということで『マリオブラザーズ』(1983年)くらいの時期のゲームなのかなと子どもの頃は思っていました。

 実際にこのゲームが発売されたのは1989年。
 前年の1988年に『ドラクエ3』『スーパーマリオ3』『FF2』『ロックマン2』などが発売されていることを考えると、子どもの頃の私がそう信じられなかったのも仕方がないことが分かると思います。「色んな世界を大冒険」「重厚なストーリー」「自由なパワーアップ」などが流行している時代に、『クインティ』を見せられたら「古臭い」と思ってしまうかもしれません。


 しかし、ですよ。
 今、2014年に“1989年に発売されたゲーム”を遊ぼうとしたら―――『スーパーマリオ』の後追いで出された横スクロールアクションを遊ぶ気になりますか。いっぱいのテキストでストーリーが語られるゲームを遊ぶ気になりますか。巨大なボスキャラクターなどの派手な演出をするゲームを遊ぶ気になりますか。

 私は結構遊んでいるような気もしますが……(笑)。


 そうした“当時の最先端の流行”を追いかけたゲームって、今遊ぶと「昔のゲームだなぁ」って強く思ってしまうじゃないですか。
 最近のゲームを遊べば、もっと多彩なステージの横スクロールアクションゲームがありますし、もっとたくさんのテキストとユーザーが使いやすいUIのアドベンチャーゲームがありますし、もっとド派手でカッチョイイ演出のゲームがありますもの。そうしたものと比べてしまえば、1989年のゲームは古臭く思えてしまいます。


 しかし、『クインティ』はそうではありません。
 1989年時点で「古臭い」と思われたゲームですが、その後に似たようなゲームが出ていないことで、2014年に遊んでも全く色褪せない「斬新なゲーム」と思えて遊べるのです。


 ゲーム会社だってビジネスやっているワケですから、「他所が作っているから」や「これが今の売れ線だから」といったゲームを作るのも当然のことだと思います。
 しかし、当時のゲームフリークは「売れること」なんて一切考えてなくて、「面白いもの作ろうぜ」と純粋に面白いゲームを作ろうとした。その結果、流行に捉われない“普遍的な面白さのゲーム”を作ることが出来た―――というのは、後の『ポケモン』大ヒットに比べれば地味ですけど、これはこれで感動的なストーリーじゃありませんか。


○ 「めくる」「歩く」という二つの操作だけで遊べるのに、ちっとも“単純なゲーム”ではない
 『枯れた知識の水平思考』のhamatsuさんの記事で、『スーパーマリオブラザーズ』というゲームは「ジャンプ」という一つのアクションでたくさんのことが出来るゲームだという記事があります。なるほど、確かに『スーパーマリオブラザーズ』は「ジャンプ」の操作を覚えるだけで色んなことが出来るようになっていますね。

・敵を飛び越えて「回避」する機能
・敵を踏んづけて「攻撃」する機能
・頭上のブロックを叩いてアイテムを出現させる「探索」機能
・上の足場などに飛び移る「移動」機能


 これは『スーパーマリオブラザーズ』という1本のゲームで全て生まれたワケではなくて、『ドンキーコング』の4つのステージと、『マリオブラザーズ』を経て、『スーパーマリオブラザーズ』でようやく到達した境地なのですが……この話は、需要があればいつか他の記事で書きたいと思います。


 この考え方で『クインティ』を見てみると、このゲームは「めくる」という操作に色んな機能を持たせているゲームだと分析できます。

WiiU_screenshot_TV_01715_2014071120173210c.jpg

 このゲームの面は、全ての面が「7×5」マスのパネルで構成されています。
 プレイヤーがパネルを「めくる」と、その上にいた敵はふっとばされ、壁に激突させると敵が消滅します―――「めくる」には“攻撃”の機能があることが一つ。
 そして、このパネルは複数枚で重なっていて、パネルを「めくる」と下のパネルが現れるようになっています。こうしてめくったパネルには特殊な効果を持つ“アイテムパネル”があるので、「めくる」には敵を攻撃する機能だけでなく、隠されているアイテムを“探索”する機能があるのです。


 アイテムパネルには「100枚集めると1機アップ&スピードアップ」してくれるスターパネル、「制限時間を延長してくれる」タイムパネル、「画面上の全てのパネルをめくってくれる」サンパネルなどがあって―――是非とも入手したいパネルなのだけど、例えばそれらのパネルの上を敵が移動している場合、そのパネルをめくるとアイテムパネルは一番下に隠れてしまうというジレンマもあります。

 序盤の面は、先ほどのスクリーンショットのように「何もないパネル」が大半で敵を攻撃し放題なのですが……


WiiU_screenshot_TV_01715_20140711203244013.jpg

 逆に、こんな風にアイテムパネルだらけの面だと「敵を攻撃した分だけスターパネルが隠れてしまう」という葛藤を生むのです。


 このゲーム……こういう「プレイヤーを葛藤させる」要素が絶妙で。
 例えば、先ほどアイテムパネルの一つとして紹介した「スターパネル」。100枚集めるとプレイヤーキャラの移動速度を上げてくれる重要アイテムなのですが、このゲームは「コンティニューしても上昇した移動速度は変わらない」という仕様なので、序盤でとにかくスターパネルを収集して移動速度を上げる必要があるのです。

 この要素を、「ゲームとして」更に面白くしてくれるところが……面の全てのスタ-パネルを獲得すると「最後の1枚は光るスターパネル」で10枚分の効果があるというところ。
 「1つの面ごとに全てのスターパネルを集めてね」という仕様なので、なるべくスターパネルを集めてから面をクリアしたいのだけど……各面には制限時間が設定されていて、この制限時間はプレイヤーには見えないのだけど制限時間を越えると敵キャラクターが凶悪化してプレイヤーを殺しにかかるという。

 なので……「後々のためにスターパネルを集める」べきか、「さっさと敵を倒して先の面に進む」べきかでプレイヤーを悩ませてくれるという。ホント、操作は「十字キーで歩く」「Aボタンでめくる」の2つしかないのに、よく考えられたゲームだと思いますよ。


○ “9種類の敵”と“5×7マスのパネル”でこんなにも多彩なステージが作れるのか!
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 このゲームは、攻略するステージを自分で選べる『ロックマン』タイプのゲームですね。
 『ロックマン』のようにプレイヤーキャラの装備が増えるワケではありませんが、前述したように序盤はとにかくスターパネルを集めてプレイヤーキャラの移動速度を上げる必要があるので、得意な順でプレイするのがイイと思います。

 最初に選べるのは8ステージ。これらを全てクリアすると中央の城に挑めます。
 各ステージにはボス戦を含めて10面用意されているので、全部で90面以上という大ボリュームのゲームになっています。しかし、単にステージ数を水増ししているワケではなくて、1面1面よく考えられているなぁって思います。

 それぞれのステージは、それぞれ違う特色を持った敵キャラが出ます。
 「レストランステージ」は、ただ歩くだけの「ウォークマン」。
 「コテージステージ」は、吹き飛ばされると四股を踏んでパネルをめくってくる「プランプ」。
 「シアターステージ」は、回転しながらどんどんスピードを上げてくる「バレリーナ」。

 どのキャラも個性的なだけでなく、面が進むと強化型とも言える「色違い」が出てきますし。何より面によってパネル配置が違うので、「最初は四方を壁に囲まれている面」とか「攻撃すればするほどエネミーパネルで敵が補充される面」とか、バラエティ豊かな面がどんどん出てくるので飽きさせられません。


 欲を言うと……ラスボス以外のボスキャラは、ちょっとあまり面白みがなかったかなぁというところはあるんですが。それでも通常ステージのバリエーションは凄まじく、特殊コマンドを使うと稼ぎプレイが難しくなった「裏面」が遊べますし、書くのをすっかり忘れていましたがこのゲームは「二人同時プレイ」が遊べるので協力し合ってもイイし脚引っ張り合ってもイイし。
 子どもの頃に友達の家で遊んだ時は「ファミコン初期のゲームなのかなぁ」なんて侮っていましたが、色んな遊びが詰め込まれたファミコン後期の傑作だと今なら言えます!



○ 総評
 ということで、「このゲームにしかない魅力」を持ちながら「大ボリューム&二人同時プレイ可能」などで幅広い遊びが出来る見事なゲームでした。このゲームを作った人達が後に『ポケットモンスター』を超特大ヒットさせると聞いても、何も不思議はないくらいです。

 難点を挙げるなら……これだけの大ボリュームのゲームながら、「パスワード」も「セーブ」もないため最初から最後まで一気にプレイしなければならないこと。
 私はコンティニューをしまくってプレイしたため、通常クリアまで4時間くらいかかりました。「上手くなれば1時間もかからずにクリアできますよ」というコメントも頂いたんですが、時間を縮めるには隠されたパネルの配置を覚えたりする必要がありますし、そもそも1時間セーブなしでも長い(笑)。

 まぁ、バーチャルコンソールならば「いつでも中断」「まるごとバックアップ」があるんで何も問題はないですけどね!
 決して簡単なゲームではないので「何度もコンティニューして突破していく」のが苦手な人にはオススメしませんが、今のゲームと比較しても見劣りしない「このゲームにしかない面白さ」がちゃんと詰まったゲームになっていると思います。アクションゲーム好きならば是非オススメ!

| ゲーム紹介 | 18:03 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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『けいおん!』の更に向こうへ。『ハナヤマタ』第1話が素晴らしかった!

※ この記事はアニメ版『ハナヤマタ』第1話「シャル・ウィ・ダンス?」のネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
※ このブログの管理人は原作未読ですし、原作の展開を知りたくない人は他にもいらっしゃるでしょうから、コメント欄やリプライで原作のネタバレを教えてくれるのはやめてくださいね。



 アニメは第1話で残り全部の話数の面白さが保証されるワケではないので、第1話時点で「このアニメは面白い!みんなにもオススメ!」みたいなことはあまり書かないようにしてきたのですが……『ハナヤマタ』の第1話に関しては、もうこれは記事を書く義務が自分にはあるだろうレベルだったので書かせていただきます。

 テレビ東京とテレビ大阪の第1話放送はもう終わってしまいましたが、テレビ愛知、AT-Xでの放送はこれからで。7月11日からニコニコ動画で「最新話1週間無料」配信、7月14日からバンダイチャンネルで「最新話1週間無料&月額会員は見放題サービス」配信、同じく7月14日からdアニメストアでも「月額会員は見放題サービス」が配信されるそうです。

 今日の記事は第1話のネタバレ全開で書くつもりなので、気になってくださった方はこの記事を読むのを後回しにして第1話を観てから読むことをオススメします! 




 さて、どうして私がここまでこの作品に入れ込むのか―――
 私はアニメが終わるまで原作は読まない主義なので、原作漫画はまだ読んでいません。第1話を観終わったタイミングで、キンドルで全巻セールをやっていたのでキンドルで出ている分は既に全巻買っているんですけど(キンドルではまだ4巻が出ていないんですねぇ。こういうところがキンドルはネックだ)、読むのはアニメが終わってからにするつもりなのです。
ハナヤマタ 1巻 (まんがタイムKRコミックス) ハナヤマタ 2巻 (まんがタイムKRコミックス) ハナヤマタ 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

 なので、これが「同じ芳文社の漫画」として原作からそうなのか。
 もしくは、「同じシリーズ構成の吉田玲子さん」がアニメから意識してそうしたのかは分かりませんが……



 思いっきり、『けいおん!』の第1話を意識した第1話になっていたのです。
 「いや、それは流石に考えすぎだろう」とか「ヲタクはすぐに過去作品との比較であーだこーだ言うからウザイんだ」と思う人もいらっしゃるかも知れません。『けいおん!』の1期はもう5年前なので、最近アニメを観始めたから『けいおん!』は知らないという人もいらっしゃるでしょうしね。でも、考えすぎではないと思います。




hanayamata1.jpg
<『ハナヤマタ』第1話より引用>


keion1.jpg
<『けいおん!』第1話より引用>


 だって、全く同じシーンがあるんですもの。


 『けいおん!』の主人公:平沢唯も、『ハナヤマタ』の主人公:関谷なるも、「特に得意なことも目指していることもなく淡々と日常を生きていて、いつか変わりたいと漠然と思っていた」という点ではほぼ一緒の境遇の主人公なんです。『けいおん!』という物語はそんな境遇の主人公でも、「すぐ見つかるから……私にも出来ることが、夢中になれることが、大切な……大切な……大切な場所が!」という物語でした。

 しかし、関谷なるは“平沢唯”にはなれないのです。
 『けいおん!』の第1話は高校1年生、まだメンバーが揃っていない軽音楽部が主人公:平沢唯を“4人目のメンバー”として引き込み、実際あの時点でのバンドは「あんまり上手くないですね!」「さっきの演奏聴いてたら私にも出来るかもって思えてきた!」と言われるような始末でした。あのバンドはそこから始まるストーリーだったのです。

 『ハナヤマタ』の第1話は中学2年生、ヤヤのバンドは既に完成されていて「オーディションを受けようかって」という話も出ているほど。なるも「すっごくキラキラしてた!」と言うほどの上手さで、当然なるが入り込むような隙はありません。このバンドのストーリーはもう既に始まっちゃっているんです。なるとは関係のないところで。


 関谷なるは、入学当初「文芸部の部室に向かった」けど新しい扉を開けられずに帰ってきてしまった……というエピソードも語られていました。
 平沢唯は「私にも夢中になれることが見つかるから……!」と言ったけれど、関谷なるには見つからなかったのです。一人で、子どもの頃と同じような本を読むことくらいしかしたいことがないのです。ずっと変わらない日常。


 “平沢唯”にはなれなかった主人公が始める物語―――それが『ハナヤマタ』なのです。


 『けいおん!』は、平沢唯が軽音部を訪れた時点で、部室はあって、ムギちゃんのティーセットがあって、自分が入ればメンバーが揃う“一人足りないバンド”が既にあって、主人公:平沢唯は「何となく受動的に」バンドを始めていきました。その緩さが『けいおん!』の魅力だったし、そうして「何となく」始めたものでも夢中になれればイイじゃないかというのが『けいおん!』でしたが。

 そんな風に“整った環境”で、“恵まれた学生生活”を誰もが送れるワケではありません。


 『ハナヤマタ』の「よさこい部」は、部室もまだなく、屋上で一人ハナが練習しているだけで、勧誘してもみんなに無視されている状況です。「あんなのには関わらない方がイイ」とまで言われているくらいです。だから、ちゃんと主人公が「自分の意思で能動的に」始めなくちゃならないのです。


hanayamata2.jpg
<『ハナヤマタ』第1話より引用>

 だから、ちゃんと走って追いかける。




 なるが抱えていた「待ち続けても何の意味もない」「自分には夢中になれるものはないし、輝けるような存在ではない」「子どもの頃から抱えていた想いはさっさと捨てて大人にならなければならない」といったネガティブな葛藤を、ハナが片っ端からポジティブなものに裏っ返していくのも心地よい。


 私は『けいおん!』が大好きでしたから、『けいおん!』以後のアニメを「平沢唯になれなかった者の物語」として語ったことは何度かあります。特に『かなめも』の中町かなは「平沢唯になれなかった主人公」だったという話は、自分にとって「アニメについての話をブログに書く」ことの意味を教えてくれた話でした。

(関連記事:『けいおん!』は“仲間”を描き、『かなめも』は“孤独”を描いた

 『かなめも』は、『けいおん!』のようにキラキラした青春の時間が訪れなくてもイイじゃないか―――というアニメでした。その結末はとても優しかったし、『かなめも』も大好きなアニメでした。



 『ハナヤマタ』はそこから更に一歩進めます。
 文芸部に入ることも出来ず、親友はバンド活動で輝き、何もない自分は子どもの頃と同じような本ばかり読んでいる―――「キラキラした青春の時間が訪れない」主人公:関谷なるに、ハナは言うのです。


 「なんだかよく分からないですけど……!
 人は、誰でも頑張れば輝けると思うので……!だから、待っててください!絶対に!迎えに行きますから!」


 物語はここから始まります。
 “平沢唯”になれなかった関谷なるが、主人公として輝くための物語が。


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○ 余談
 『けいおん!』との比較ばかり語っちゃいましたけど、花火だったり夕日だったり「光」と「それが生む影」の映像の美しさも良かったですし。江ノ島を舞台にした漫画・アニメはたくさんありますけど、「住宅地の路地裏を通っていく江ノ電」を演出として使っているのは“FUMIKIRI理論”提唱者としては気になりますし。やたらと手でスカートをガードする仕草にフェチ心をくすぐられますし。

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<『ハナヤマタ』第1話より引用>

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<『ハナヤマタ』第1話より引用>


 ちなみに“FUMIKIRI理論”についてもちょっと触れておくと……
 『けいおん!』の第1話でも踏切のシーンが1回あるのですが(12話と対になっている)、『ハナヤマタ』の第1話では踏切が3回も出てきます(+オープニングにも出ている)。

 そして、その3回ともちゃんと演出意図を込めて描かれていて―――1度目は、なるはヤヤちゃんに連れられて「あちら側」に渡り。2度目は、なるは「あちら側」にいるハナを見つけて一人で渡り。3度目は、「あちら側」にいるヤヤちゃんにハナが衝突した後、ハナは踏切を無視して「こちら側」に飛んでいく。
 「こちら側」が、なるのように“輝けない”側の人間のいる場所で。「あちら側」が、ヤヤちゃんやハナのように“輝いている”側の人間のいる場所として描かれていて。それを飛び越す力とは……というところに物語の推進力を持っていきているという。



 隅から隅まで見所満載の第1話でした。
 主人公:なるの葛藤をここまでしっかり描いてくれたのなら、ハナやヤヤちゃんの話だって一筋縄ではいかないのだろうし、なるが「タミお姉ちゃん」と呼ぶ女のコとの擬似姉妹っぷりにも期待しています!
 『けいおん!』のムギちゃん家の豪邸は最後まで描かれなかったけど、こちらのタミお姉ちゃん家の豪邸は最初に描かれているというのも興味深いところ。ありゃ別世界のお姫様だし、なるが憧れるワケだ。

 2週目以降がどうなるのかは責任取れませんけど、とにかくまぁ第1話はホント良かったです!ネットの無料配信も始まるので、第1話だけでも観てください!

| アニメ雑記 | 17:54 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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逆に考えるんだ。「コンティニューしまくってクリアすればいいさ」と。

 現在の私はWii Uのバーチャルコンソールで『クインティ』をプレイしつつ、3DSで一旦挫折した『新パルテナ』を再開してプレイしています。

 30分くらいの時間がガッツリ取れる時は『新パルテナ』をプレイして、10分くらいしか時間がない時は『クインティ』をプレイする―――という棲み分けを行っているのですが、同時並行に進められるのは2つのゲームが限界だと思い、セールで購入した『カグラBurst』は凍結しています。


 さて、『クインティ』と『新パルテナ』―――“たまたま私が現在プレイしているゲーム”というくらいしか共通点のない2つのゲームですが。これがなかなか興味深くて、ある点において両極端な思想のゲームになっているのです。

 それは、「コンティニュー」についての考え方です。


 『クインティ』とは1989年にナムコから発売されたファミコン用ゲームです。
 後に『ポケットモンスター』を超ヒットさせるゲームフリークがインディーズ環境で制作し、ナムコに持ち込んで商品化、『クインティ』のヒットで得た印税を資本金に株式会社ゲームフリークを設立、そこから『ポケットモンスター』の制作が始まる……という、何ともまぁ映画よりも映画みたいなお話ですね。

 子どもの頃、友達の家でチラッと遊んで面白かった記憶だけがあったのですが……可愛らしい見た目の割に、結構ガッツリ難易度が高くて、中盤以降は「こちらより移動速度が速い敵キャラ6人がこちらを殺すつもりで全力で追いかけてくる上に、エネミーパネルでどんどん敵が補充される」とかどうすりゃイイんだこりゃ状態。
 なので、このゲーム……序盤からしっかりと主人公をパワーアップさせないと後半ジリ貧になっちゃうんですね。「スターパネル」を100枚そろえると、1機UPな上に、主人公の移動スピードが上がります。んで、ここが重要なのですが、ゲームオーバーになってもコンティニューすれば「クリアした面」と「主人公の移動スピード」は引き継がれるのです。

 序盤はゲームオーバー連発になってでも、コンティニューを繰り返してスターパネルを100枚ずつ集めて「主人公をパワーアップ」させ、後半の難易度に備える必要がある―――そうして主人公をパワーアップさせても後半は難易度が恐ろしく高いので、私は1面辺り20回くらいコンティニューしていますけどね(笑)。


 つまりは「コンティニュー推奨のゲーム」なんです。
 コンティニューをした際のペナルティがそれほどない。「100枚に達していないスターパネルがムダになる」くらいですかね。



 続いて『新・光神話 パルテナの鏡』
 このゲームは2012年に任天堂から発売されたニンテンドー3DS用ソフトで、『スマッシュブラザーズ』シリーズで有名な桜井政博さんが制作した3Dアクションシューティングゲームです。敷居の高くなっていた同ジャンルのゲームへの回答として、操作体系の簡便化やコミカルな世界観、独特の難易度調整システムが採用されています。

 今日の記事で語りたいのは「独特の難易度調整システム」について。
 桜井さんの前作『大乱闘スマッシュブラザーズX』の「亜空の使者」というモードにも、そのプロトタイプのようなシステムがあって。5段階で選べる難易度は、難しくすればするほど「ごほうび」が強化されます。が、ゲームオーバーになるとコンティニューしてクリアしても取得したシール(ごほうび)を半分くらい落としてしまうのです。

 『新パルテナ』はこのシステムを一歩進めた「悪魔の釜」というシステムがあって。
 ステージを始める前に難易度を細かく選べて、難しくすればするほど「ごほうび」が強化されます。ここまでは『スマブラX』とほぼ一緒。『新パルテナ』の場合は更に進んでいて、ゲームオーバーになってコンティニューすると“強制的に難易度が下げられて”ステージが再開されるのです。その分、手に入れた「ごほうび」の価値も下がってしまいますし、「難易度が幾つ以上ではないと入れない部屋」等には入れなくなってしまいます。

 私はこのシステムを最初に聞いた時は「ゲームが下手な人でも先の面に進めるようにしたんだな」と思いました。実際、この手のジャンルがあまり好きではない私であっても、1つの面を2~3回コンティニューすることで難易度がガンガン下がるのでポンポン進められています。
 しかしね……コンティニューしてクリアしても全然嬉しくないんですよ。『クインティ』のように、1つの面を何十回とコンティニューしてようやくクリアした時は、さっきまでクリア出来なかった面を何とかクリアしてやったぞ!という達成感を味わえるのですが。『新パルテナ』の場合、コンティニューしてクリアした面は、さっき自分がゲームオーバーになった面よりも難易度が下げられた面なんです。だから楽にクリアできるのは当たり前だし、達成感よりも敗北感の方が強くなってしまう。

 このゲームは「コンティニュー非推奨のゲーム」なんです。
 敗北感うんぬんの話をTwitterで話していて、フォロワーさんから言われて「なるほど」と思ったのですが。『新パルテナ』は「コンティニューにペナルティを載せている」ゲームなんです。「コンティニューに」というか「ゲームオーバーに」か。

 もちろん「難易度なんかどうでもイイから先に進めればイイやー」という人にとっては、「コンティニューすると難易度が強制的に下がる」ことはペナルティではないと思います。「ゲームが下手な人でも先の面に進めるようにしたんだな」という初心者救済のシステムとも言えます。
 しかし、ステージ開始前に難易度を選ばせて「この難易度じゃクリア出来ませんでしたねー。じゃあ強制的に難易度を下げますね!」とされたら、多くのゲーマーはきっと「なにくそ!!」って思うでしょうし、何とかコンティニューしないでクリアしてやる!!って思うことでしょう。そういう意味ではゲーマーの自尊心をくすぐるシステムとも言えるのです。


 2年前のゲームなので、「何を今更……」って話なんですが(笑)。
 桜井さんの作るゲームは「既存のジャンルが抱えている問題点に注目して“誰にでも楽しめるゲーム”へと間口を広げる」ものが多くて、『カービィ』も『スマブラ』も『エアライド』も『メテオス』もそうだったので、『新パルテナ』に関しても操作体系にばかり目がいってしまっていたのですが。

 初心者にはありがたく、ゲーマーには悔しい、この「コンティニューすると強制的に難易度を下げられるシステム」こそが桜井さんのやりたかったことなのかなーと……『クインティ』でコンティニューしまくっている最中に、ようやく気付けたのです。

 実際、3DS版の『スマブラfor』にも「悪魔の釜」と同じようなシステムが採用されているみたいですしね(映像の3分28秒あたりで見られます)




 しかしまぁ……『新パルテナ』は、もう少し1ステージを短くしてくれれば良かったのになーと思います。「コンティニューしてクリアしたのが悔しいからもう1回プレイしよう!」と思うにしては、1ステージが長くて……
 『クインティ』をファミコン実機でプレイしたら、100面ずっとセーブもパスワードもないんで、それはそれでトンデモねえ話だと思いますが(笑)。


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| ゲーム雑記 | 17:52 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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これをどうして本編でやらんのか!『境界の彼方』ブルーレイ7巻紹介

 なるべくネタバレしないように書きます。

 昨年の10~12月に放送され、ウチのブログで猛プッシュして、最終回に「………何が起こった?」と唖然とした『境界の彼方』のブルーレイ&DVDの最終巻が発売されました。
 公式サイトを見る限り、ブルーレイもDVDも画質以外の収録内容は一緒みたいですね。価格はDVDの方がちょっと安いですが、私はブルーレイの方を買いました。ちなみに1~6巻は買っていません。最終巻に収録されている0話を観たくて、最終巻だけ買ったのです。



 放送当時に書いた考察記事は以下の通りです。

生きるためには食べなくてはならない!『境界の彼方』の食事シーンを読み解く
初見では絶対にワケが分からないであろう『境界の彼方』の伏線をまとめました
『境界の彼方』アニメでキャラを好きになった人達へ、原作小説その他のススメ
栗山未来は「何」になったのか――アニメ『境界の彼方』ラストシーン考察

 テレビ版の最終回が終わった直後の記事で、私は「敢えて謎を残して、来年7月に発売されるブルーレイ7巻(新作未放送エピソード1話収録)で明らかになるあのね商法かよ花田先生、もしくは劇場版とか2期ありきの構成だったのかよ京アニ―――と、最終話を観た直後は正直思いました。」と書きました。
 その後に原作を読んだり、他サイトさんの考察を読んだりして、明らかになった謎もありましたが―――作中でかなり細かく描写されている「名瀬美月が何をしていたのか」の回答は最後までなく、半年間ずっとモヤモヤしました。


 だから、ブルーレイ最終巻の紹介記事を書こうと思います。
 自分も含めて『境界の彼方』が大好きだった人達にとって、このブルーレイ最終巻がどういう位置付けの商品になるのかを書いておこうと思います。


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 開封の儀!


☆ 初回特典「スペシャル三方背ケース/デジパック仕様」
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 紙のケースに、デジパック仕様のケースが入っています。
 描かれている絵は「表紙」「背表紙」「裏表紙」の三方でつながっているアイドル裁判の4人の絵(非SDバージョン)ですね。

 細かい話ですが……『未確認で進行形』の時「デジパック仕様は出すのがちょっと面倒くさい」と書きましたが、『未確認で進行形』の紙ケースは上下が開いていたのに対して、『境界の彼方』の紙ケースは横が開いているので出すのは面倒くさくないです。


☆ 初回特典「メガネストのための特大ポストカード(名瀬 泉)」
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 私はメガネストではないのでノーコメントで!!


☆ 初回特典「16Pオールカラーブックレット「芝姫」特別号其の漆」
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 「漆」と書いて「7」と読むのか!マジか!
 言ってしまえば単なるブックレットですが16ページもあって、結構凝っています。

>鳥居なごむ氏書きおろし「芝姫」連載小説『眼鏡売りの少女とツンデレラ』最終回
 原作者によるオリジナル小説。
 最終回だけ読んでもよく分かりませんでしたが、あー原作ってこんなカンジだったなぁと思わせる小説でした。

>キャラクター紹介【名瀬 泉/二ノ宮 雫/新堂彩華/藤真弥勒】
 これは公式ガイドブックなんかにも載っているような情報なので、目当てにするようなものでもないですね。

>0話紹介(#0 東雲)
>きょうかいのかなた アイドル裁判!~迷いながらも君を裁く民

 収録されている話の解説です。とてつもなくネタバレなので本編を視聴してから読んだ方がイイと思います!

>「#0東雲」「きょうかいのかなた アイドル裁判!」設定紹介
 0話に登場する中学生時代の博臣・美月・秋人と登場する妖夢の設定画、アイドル裁判のSDキャラの設定画です。細かい指定なんかも書き込まれていて見ごたえ十分ですが、文字が小さくて解読できないものもあるのが残念。設定画は眺めているだけで楽しいのでもっと見せて欲しいです!

>キャラクターデザイン・門脇未来のラフ画
 キャラクターデザイン&総作画監督&京アニの天使こと門脇未来さんのラフ絵です。「本当にラフ絵だ!」と驚きました(笑)。絵は超上手いんだけど、どうしてこんな絵を描いたのだろうか、疲れているのだろうかと心配になる絵でした。
 やきいもが髪の毛喰っている絵がお気に入りです。

>石立太一監督メッセージ
 石立監督の描く秋人と栗山さんの絵と、直筆メッセージです。
 あぁ……終わってしまったんだなぁ……と、寂しくなってしまったのが正直な気持ちです。




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 ん?




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 さぁ!ここからが本編だ!!


☆ 本編「#0 東雲」
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 こちらがメニュー画面。カッチョイイ!!

 「Play Movie」は「0話」→「アイドル裁判」の順に再生。
 「Chapter List」は、それらの好きなところから選んで再生。
 「Special Features」は「映像特典」。「ミニ劇場#7 ~母からの手紙~」と「アイドル裁判!ノンクレジットED」の二つが収録されています。
 「Audio&Subtitles」は、音声をコメンタリに切り替えたり、日本語字幕を付けたりできます。



 さて……そろそろ第0話の紹介を書きますか。
 これはもう「ネタバレかどうか」ではなくて、事前に書かないといけないと思うので書きます。テレビ版の全12話では明らかにならなかった謎が、今回の第0話で明らかになる―――みたいなことはありません。泉の過去についてはちょっと匂わす描写がありましたが、謎解明を目当てに買って満足できるようなものではありません。

 お話は、テレビ版から3年前の話。
 中学生の頃の博臣と美月が、中学生の頃の秋人と出会う話です(秋人は中学には通えていなかったみたいですが)。

 いわゆる典型的な“エピソード0”もので。
 テレビ版の全12話の中でも何回か話に出てきた「秋人と博臣が戦った話」を、しっかり描いてくれたということですね。

 私が“エピソード0”もので重視しているのは二つ、「本編で語られた“過去に起こったこと”と矛盾せずに辻褄を合わせた話になっているか」「本編では語られなかった“新たな情報”が提示されることで本編の解釈を一歩前進させてくれるか」です。

 前者については、ある一点を除けば満足です。
 特に自分が気にしていたテレビ版9話の「だったら(栗山さんじゃなくて)兄貴が殺せばイイじゃない」という美月の台詞は、この第0話を観て納得が出来ました。こういう過去があったのなら、あの台詞が出てきて当然です。

 しかし、後者については正直物足りなかったです。
 尺の問題もあるのでしょうが、テレビ版の全12話で描かれたものを捕捉するに留まっていて……「秋人は何者なのか」「美月は何をしていたのか」「最終回の栗山さんは何だったのか」といった謎を解決させてはくれませんでした。よくまとまっているけど、驚きはなかったなーというか。


 というかですね……この第0話で、初めて描かれた「基本的な設定」とかも多いんですよ。
 “人間に害をなす妖夢”とか、“結界(檻)を使えば姿を消すことが出来る”とか、“博臣が泉に対して劣等感を抱いている”とか、この辺の設定は本編でもちゃんと説明しなきゃダメだろ!って思いましたし……
 何より、「秋人が死にたがっている」という設定。原作小説版では重要な描写なのに、テレビ版の全12話ではきっちり描いてはくれなかったので「アニメ版ではなくなった設定だったのかなー」と思っていたら、第0話ではしっかり描かれてやんの!この秋人の設定を見せてこそ、栗山さんの「死ななくて良かった」というメールが何十倍にも意味を強めてくれるというのに!

 この第0話……テレビ版の5話目か6話目辺りにやっておけば良かったのにと、つくづく思いました。そうすれば終盤の展開の意味を強めてくれただろうし、設定が分かりやすくなることで中盤で脱落した人も減らせたろうに!


 映像のクオリティに関しては「流石」の一言。
 FOOD理論的には台所の描写が見事でしたし、中学二年の美月がひたすら可愛かったです。スタッフコメンタリの門脇さんによると、本編の美月とは表情設定が違うそうです。「謎解明」のようなものを期待しなければ、安定の京アニクオリティなので『境界の彼方』ファンなら満足できると思います。

 以前の記事で「テレビ版のラストは“栗山さんルート”だったんだ」と書きましたが、こちらは“博臣ルート”だと言えます。博臣のルーツと、秋人との関係とを描き、本編の行動に繋げる―――この第0話を観た後にテレビ版の最終話を観ると、あの台詞の重みが増すと思います。


 ということで……基本的には満足なんですが。なんですが。
 ごめんなさい、言わせてください。

 あのキャラに関しては、本編と矛盾しちゃってないですか?
 ネタバレなしでは説明できないので、文字色を反転させてください。

<以下、第0話ネタバレ>
 ニノさんの年齢は、3年前ということは20歳のはずなのだがとてもじゃないが見えない

 私が気になるのは、弥勒が泉と以前から知り合いで秋人のことも以前から追いかけていたという話です。
 本編では初対面っぽかったのに……というのは、スタッフコメンタリで監督も仰っていましたが「次に会う時はお互いに知らないフリをしましょう」みたいなニュアンスの台詞で納得できます。泉にとっても「弥勒と知り合いなこと」は名瀬家の連中にも隠したい過去なのでしょうし。
 しかし、第3話で泉が弥勒の能力を聞いていたり、第4話で弥勒が秋人の能力に驚いていたりというシーンは……他に聞いている人が誰もいないシーンです。嘘をつく必然性がどこにあるのか。

 正直、弥勒ではない他の新キャラを出すだけで良かったのに……って思ってしまいます。何でもかんでも弥勒のせいにしすぎて、事件がこじんまりしちゃっているところもありますしねぇ。

</ここまで>


 というワケで……面白いし、カッチョイイし、『境界の彼方』ファンならば観て損はないのですが。「かゆいところに手が届いていない」感も正直あって、またしても「来年の劇場版までお預け」が続くのかというところ。



☆ 本編「きょうかいのかなた アイドル裁判!~迷いながらも君を裁く民~」
 WEBで公開されたショートコメディの1~3話と、未公開の4~5話です。
 私は正直WEBで公開された時からあまり好きではなくて、未公開のも含めてそんなに楽しめなかったのですが……スタッフコメンタリを聴いて「この世界観はどこから生まれているのか」を考えて最初から観てみると、なるほど世界はこう見えているのかと興味深いものはありました。

 そう考えると……一番の被害者は愛ちゃんな気がする(笑)。


 脚本は全話を花田先生が担当し、
 コンテは1話を石立監督が、2~5話は『Free!』監督の内海紘子さんが描いたそうです。

 なので、花田先生の女性観と、内海さんの男性観が混じった内容になっているとか。
 そうか……3話の博臣は『Free!』の監督が作ったのか。


☆ 音声特典「キャストコメンタリー」「スタッフコメンタリー」
 さて、オーディオコメンタリーです。
 以前にも書きましたが私はオーディオコメンタリーがあまり好きじゃなくて、これまで買ってきたブルーレイやDVDもほとんど再生してきませんでした。しかし、あんな記事を書いたくらいですし、紹介記事を書く際にはちゃんと確認しなきゃなと再生しました。

 キャストコメンタリーは、種田梨沙さん(栗山さん役)、山岡ゆりさん(愛ちゃん役)、豊田萌絵さん(桜役)の3人で―――どうしてこの3人なのかというと、「第0話に出ていない3人」と「アイドル裁判に出ている3人」という選出らしいです。後者はともかく前者はダメだろ!「収録はどんなだったんだろうねー」とか言っているし(笑)。


 スタッフコメンタリーは、監督の石立太一さん、キャラクターデザインの門脇未来さん、文芸の西岡麻衣子さんの3人で―――前2人は説明するまでもありませんが、「西岡さん……?」「文芸……?」って人もいらっしゃるでしょうし、ちょっと解説しますと。
 西岡さんは『日常』や『氷菓』などの京アニ作品で脚本を書いている脚本家で、この『境界の彼方』では文芸という仕事をしています。文芸は作品によって仕事が違うらしいのですが、基本的には「脚本家のサポート」をするらしいです。『境界の彼方』のアニメの脚本は全ての回を花田先生が書いていますが、ドラマCDなどの番外編を西岡さんは書いていたそうです。


 えっとまぁ……特に「アイドル裁判」のスタッフコメンタリーは裏話も多くて、そこそこ面白かったんですが。石立監督が「そう言えば、この作品って食べるシーンが多いですね」と仰っていて、こんな記事まで書いた自分としては「あー、俺なんて最初から存在しなければイイんだ。そうすればこんな生き恥をさらすこともなかったのに」と生まれてきたことを後悔するしかなかったので、今後もオーディオコメンタリーは再生しない方向になりそうです。



☆ 映像特典「ミニ劇場#7 ~母からの手紙~」「アイドル裁判!ノンクレジットED」
 「アイドル裁判!ノンクレジットED」は特に書くことがないので省くとして……

 「ミニ劇場#7 ~母からの手紙~」について。
 自分は1~6巻は買っていないので「なるほど」と思ったのですが、ミニ劇場はアニメじゃないんですね。「ピクチャードラマ」と呼ばれるもので、静止画に音声を充てた「紙芝居のようなもの」でした。まぁ、労力を考えれば仕方がないことだとは思います。

 さて……この内容、正直驚きました。
 この「ミニ劇場#7」、最終回のラストシーンの後の話なんですよ。

 ラストバトルの後、平穏な日常に戻ったその更に後、あの衝撃のラストシーンの後―――普通に彼らが生活している様が描かれているんです。
 あのラストシーンを観た時、私は「これはもうこの後の話なんて描けないんだろうなー」と思っていました。例えば『けいおん!』のアニメは2期最終回より後の話というのは存在しません。その後の番外編や劇場版は“最終回よりも前の話”として描かれているのです。頑なに「最終回より後の話は描かない」と守っているのです。

 でも、『境界の彼方』はしれっと最終回より後の話を描いていたという。
 しかも!禄に告知もしないで、再生してみて初めて「あれ?これってラストシーンよりも後の話じゃないか!」と気付くレベルで!なんかしれっと2期とかやりそうですね、これじゃ!!


 話自体は相変わらず「『境界の彼方』のギャグパート」で……まぁ、正直「いつものカンジだな」ってところなんですが。ラストシーンよりも後の時間軸で、彼らが相変わらずのノリで賑やかに生活していることが感慨深くて。あのラストバトルも、その後のラストシーンも、この「いつものカンジ」を取り戻すための苦労だったことを思うと、ようやく報われたんだと目頭が熱くなりました。

 桜が出ていなかったことは不満ですが!


 ということで……第0話で感じた消化不良も、この「ミニ劇場#7」で少しだけ癒されました。
 『境界の彼方』に不満を抱いていた人が観て「好きになった!」と思えるものではないと思いますが、ブルーレイ最終巻は『境界の彼方』を好きだった人はちゃんと報われる内容になっていると思います。

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○ 余談:劇場版始動について
 公式でももう発表されているからイイですよね。
 『境界の彼方』劇場版が来年の春に公開されるそうです。

 『たまこラブストーリー』と同じようにゴールデンウィークですかねぇ。
 内容は今のところ全く発表されていませんが……正直ここまで来たらコレしかないだろうと思いますし、劇場版ですらコレをやらなかったらオマエラ本当いい加減にしろよと言いたくなります。


 名瀬美月の視点で描き直す『境界の彼方』―――

 私はそう予想します。
 『中二病でも恋がしたい!』の劇場版も「六花の視点で構成し直した総集編」+「新作映像」でしたし、『境界の彼方』の劇場版も「美月の視点で構成し直した総集編」+「新作映像」になるんじゃないかと思います。そうでなければ、どうしてテレビ版であんなにも「匂わせるシーン」を描いていたのだ!!と。


 というか……尺的にも、劇場版(90~120分くらい)が丁度良い長さだと思うんですね。
 第0話のように25分弱だと流石に全12話+αを追うことは出来ませんし、2期でこれをやると「え?1期と同じ内容をもう1回やるの?」って思われるでしょうし。テレビ版を観ていた人はテレビ版の謎が解けて、テレビ版を観ていなかった人はテレビ版のダイジェストが楽しめる――――そして、その劇場版から「2期決定!」「2期はこの後の話だよ!!」と繋がるとイイんですけどね。


 来年の春になった時、自分がどういう環境になっているのかは分かりませんが……その頃にはまた細かい伏線とか全部忘れているでしょうから、またまた1話から全部観直さないとならないんでしょうね。どうしてこんなに小出しにされるのか!ちくしょう!!

| アニメ雑記 | 17:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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任天堂のフィギュア“amiibo”でゲームは面白くなるか

 今年のE3の任天堂プラットフォームでの話題と言えば『Splatoon(スプラトゥーン)』が独占してしまった感はあるのですが……「Wii UのNFC機能を活用した戦略」であり「任天堂のキャラクターIPの活用の第1弾」としてプッシュされている(※1)「amiibo」が、E3でお披露目されていました。

 Nintendo News | 『amiibo(アミーボ)』っていうゲームとつながるフィギュアです!!



(※1:株主総会の質疑応答A14参照)


 任天堂のゲームキャラクターのフィギュアですが、単に「飾って眺める」だけでなくて、Wii UのNFC機能を使って「ゲームパッドにフィギュアを載せるとゲーム内にフィギュアのキャラが登場する」等の特別な効果が起こります。また、3DSにも別途周辺機器が必要ですが来年以降に対応タイトルが出てくるとのことです。
 どういう使い方をするのかはソフト次第で、現時点で遊び方が発表されているのは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』での「フィギュアのキャラを育成することが出来る」遊び方だけです。



 「効果」だけを考えるなら、フィギュアである必然性はありません。
 いや、むしろ「フィギュアである」ことのデメリットは大きいです。
 まず「高価になってしまう」こと。現在噂されているamiiboの価格は1000~1500円くらいで、1つだけ買うならともかく新作ゲームの発売ごとに買っていたら馬鹿にならない出費になってしまいます。もしこれが「キャラクターの絵が描かれているカード」だったら200~300円に抑えられていたろうに。

 また、フィギュアであるがゆえに「保管スペースを取り、持ち運びしづらい」ということもあります。
 カービィやむらびとのフィギュアならともかく、リンクやマルスのフィギュアは細い剣を持っていますし、ゼルダやWii Fitトレーナーのフィギュアは長くて細い手足が伸びています。友達の家に持っていこうとしたら、途中でへし折れてしまわないか心配です。もしこれが「キャラクターの絵が描かれているカード」だったら、カードケースに入れて何枚でも持ち運び出来たろうに。


 しかし、私はこの「無駄」とも言える「フィギュアであること」が面白いなと思うのです。
 「音楽CD」よりも「音楽データ」で購入する人が増え、ゲームも「パッケージソフト」以上に「現物のないスマホのゲーム」を遊ぶ人が普通になり、「本」ですら「電子書籍」で読むことに抵抗がなくなった人も多くなってきました。“現物を所有する”ことの意味は、10年前と現在では随分と変わったと思います。

 そんな中で、敢えてフィギュアですよ。
 とてつもなく「非効率」だけれど、考えればゲームなんて「非効率」の塊です。
 「効率」だけを考えるなら「電源を入れた時点でエンディング画面」が一番イイと思うのですが、操作方法を覚えて、難解なコースを攻略して、何度もゲームオーバーになって、上達の先にクリアしてエンディング画面に到達するのが面白いというのがゲームなんですもの。


 amiiboは効率の悪いフィギュアだからこそ、愛着が湧いて面白くなる―――という狙いがあるんじゃないかと思いますし、その狙いから考えて「amiiboでどうゲームが面白くなる可能性があるのか」を考えていこうかなと思います。



1.“手元のフィギュアを成長させる”育成ゲーム
 これは、実際に『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』で発表されている使い道です。
 amiiboを持っているキャラクターをゲーム内で成長させて、自分と戦ったり、チームを組んで友達と戦ったり出来るという機能です。
 これは桜井さんのアイディアなのか、任天堂側から提案したアイディアなのかは分かりませんが……これは「amiiboという新商品を分かりやすく説明する見事な使い方」だと思いますし、「『スマブラ』というゲームにも非常に合った使い方」だと思います。「フィギュア」と「育成ゲーム」と『スマブラ』の組み合わせはとても相性の良い組み合わせだろうと。


 まずは「フィギュア」と「育成ゲーム」の相性から。
 マリオのフィギュアを持っていればマリオを育成できて、ピカチュウのフィギュアを持っていればピカチュウを育成できる―――とてつもなく分かりやすいですし、「マリオのカードを持っていればマリオを育成できる」以上に「マリオのフィギュアを持っていればマリオを育成できる」は直感的な分かりやすさがあると思います。

 このブログを読んでいるオッサン共には「マリオなんて育てて楽しいのはガキだけだろうが!」と言う人もいらっしゃると思いますが、『スマブラ』ではない他の「育成ゲーム」で考えればその魅力が伝わるかも知れません。

・小早川凛子のフィギュアをかざせば、自分が育てた自分だけの小早川凛子がゲーム内に登場する
・『nintendogs』には犬のフィギュアが付いてきて、そのフィギュアに自分だけのデータを記録していく
・『ファイアーエムブレム』の歴代女性キャラのフィギュアを買うと、新作『ファイアーエムブレム』で仲間になって育てられるぞ!


 最後のはちょっと勘弁してください(笑)。

 愛着の湧きやすい“現物”だからこその魅力を考えると、amiiboを「育成ゲーム」に活用するというのはとても合理的な使い方だなぁと思うのです。


 次に「フィギュア」と『スマブラ』の相性
 『スマッシュブラザーズ』というゲームは、言うまでもなく色んなゲームの色んなキャラクターが登場するゲームです。ソニックやロックマンやパックマンなどのサードメーカーのキャラクターのamiiboが登場するかは微妙ですし、Miiファイターはその特性上amiiboを用意できないと思うので、全キャラクターのamiiboが発売するワケではないと思いますが。

 「たくさんのキャラのフィギュアを出すから、好きなの選んで買ってね」というラインナップとしては、『スマブラ』以上のラインナップはないと思います。「amiibo対応タイトル第1弾は『ピクミン』です!」って言われたら、ピクミンのキャラのフィギュアしか発売されませんからね(笑)。

 また、1000~1500円くらいの価格になるとの噂で「高価」と先ほどは書きましたが、全種類コンプリートさせるのではなく「大切な1コを選ばせて買わせる」のには良い値段だとも思います。
 『nintendogs』のパッケージを3種類用意したのには「ペットショップでどの子を選ぶか悩むようにゲームを買う前に悩んで欲しい」と言う理由があったように、amiiboもどれを買うか悩ませるに丁度イイ価格と相応しいラインナップになると思われます。


 最後に『スマブラ』と「育成ゲーム」の相性
 桜井さんは以前から「シリーズものは4作目が転換点になる」と仰っていて、今回はシリーズで初めてキャラクターのカスタマイズが可能になるとのことです(※2)
 色んなモードを遊んでいると様々な装備が手に入るので、キャラクターの性能を自分の自由に変えられるようになる―――と。

(※2:一応書いておきますけど、オンライン対戦のランダムマッチでは使えないそうです)

 しかし、これ……『スマブラ』みたいなゲームにはあまり意味がないんじゃないかなと私は思っていました。『スマブラ』はもう15年の歴史があるシリーズですから、上手い人は既に超上手いんです。「自分を育成する」要素では、むしろ上手い人と下手な人の差が広がっていくだけだと思うのです。
 だから、「フィギュアを育てる」。戦えば戦うほど強くなり、育て方によって別の成長をして、実際に戦ってくれるのはフィギュア。いわっちはレジーに勝てなかったけど、いわっちが育てたマリオのフィギュアがレジーを倒したことが象徴するように――――上手くない人でも楽しめる「新たな育成モード」を、amiiboによって『スマブラ』は得ることが出来たという。


2.ゲームの外の“トレーディング要素”をゲーム内に持ち込む
 これらのフィギュアは『スマブラ』専用のフィギュアというワケではなく、『スマブラ』のために買ったフィギュアを他のゲームで使うことも出来ます。Nintendo Newsにはこう書かれていますね。

<以下、引用>
たとえば「マリオ」の『amiibo』を使うと、プレイヤーとして登場するソフトもあれば、ちがうソフトでは「マリオの帽子」などのアイテムをもらえるものも!
</ここまで>

 今の時点ではもちろん決まっているワケではないでしょうが、Wii Uの『どうぶつの森』にマリオのフィギュアをかざすと「マリオの帽子」が手に入り、Wii Fitトレーナーのフィギュアをかざすと「バランスWiiボード」が手に入るみたいな要素はありそうですね。
 その場合、任天堂一社で権利を抱えているワケではないキャラはどうなるのか気になるところです。カービィとかポケモンとかファイアーエムブレムとかはデベロッパーにも権利があるので、『どうぶつの森』のアイテムとしては登場してきませんでしたが……果たして。


 さて、こうなると恐らくこういう疑問が出てくると思います。
 「え?アイテムをコンプリートするためには、結局amiibo全種類買わなきゃいけないってこと?」と。しかし、一人では全種類持っていないからこそ「友達同士での交換」などが盛り上がるのだし、『どうぶつの森』はそういうことを促すゲームだったと言えます。

 もちろんフィギュアそのものを交換させるワケではなくて、フィギュアを持っているプレイヤーと通信をするとアイテムを渡せるとか、持ってきたamiiboをかざすと友達にもアイテムを渡せるとか―――その辺は分かりませんけど、
 クラスにマリオののamiiboを持っている人は多いので「マリオの帽子」は供給過多なのだけど、キャプテンファルコンのamiiboを持っているのは一人しかいないから「ブルーファルコン」はソイツに頼まないともらえないとか、なかなか面白いことになりそう!キャプテンファルコンが『スマブラfor』に出るかは知りませんけどね!


 他のゲームの場合は『モンハン』に「ゼルダ装備」が登場したように、コラボレーション企画に使ったりはありそうですね。マリオのamiiboを持っていると、『Splatoon』の着せ替えでマリオの服が出るとか。

 しかし、その場合はそれこそ「全種類買わなくちゃいけないのか」問題が発生しますし。
 マリオやリンクはしょっちゅう他作品とコラボしていますけど、ポケモンなんかは権利の問題でコラボのハードルが高そうですし……「みんなが持っていないから俺はキャプテンファルコンのamiiboを買うぜ!」とした結果、どこともコラボしないとかもありそうですし(笑)。


 キャプテンファルコンのamiiboを持って『マリオカート8』を遊ぶとブルーファルコンが使えるようになる……みたいのは分かりやすいし面白いと思うんですけどね。
 リンクのamiiboを使うとエポナで走れて、ネスサンのamiiboを使うと自転車で走れる―――ヤバイ、夢が広がる!(ムチャ言うな)


3.「常に売れ続ける商品」になれるかどうか
 この話は直接「“amiibo”でゲームは面白くなるか」とはちょっと関係ないかも知れませんが……ゲーム会社ってホント大変な商売だと思うんですね。現代のゲームは1本のゲームを作るのに何年もかかるのが当然、そのソフトを発売しなければ収入にならないのに毎年「決算」の時期はやってくるし、発売までに何年もかけたソフトが売れるのは発売後数週間だけ―――

 なので、ゲーム会社は「安定して売れるシリーズ作品を毎年出して“マンネリ”と叩かれる」とか、ゲーム以外の柱となる事業を確保するとか、常に収入を得られるオンラインゲームに力を入れるとか……様々な道を歩んできました。
 ここ数年「決算」としては苦しい数字を出している任天堂は、「シリーズ作品」は既にやっていて、ゲーム以外の事業は「QOL」として新しく始めると宣言していて、オンラインゲームの「月額課金」や「アイテム課金」には消極的―――こんなところです。


 amiiboの「フィギュアを一つ買えば色んなゲームで使えるよ!」という構想は、買い手としても出費を抑えられるメリットがありますが、販売する任天堂にとっても「一つのフィギュアを売り続けられる」というメリットがあると思うのです。
 例えば『スマブラ』のために作ったヨッシーのフィギュアが、来年発売の『毛糸のヨッシー』に「ヨッシーのamiiboを持っていると追加のステージが遊べるよ!」という使い方をすれば、またそこでヨッシーのフィギュアが売れる機会が生まれるかも知れません。

 月額課金やアイテム課金は実体のないデータにお金を払うことに抵抗のある人もいるでしょうし、例えば孫へのプレゼントに不向きだとか言われますが、「フィギュアを買えば追加のコンテンツも付いてくる」だったら抵抗が薄くなるでしょう。
 アコギな商売に思われないバランス取りは難しいでしょうが、「基本無料だけどガチャで集金するスマホのゲームを出す」よりかは「フィギュアを買うとゲームがもっと楽しめるよ!」は任天堂らしいかなと思います。


 んで、こうやって「一定の収益を得る」活用方法として考えられているのなら……やっぱりamiiboは最初は「1つ買えば十分」なのだけど、次第に「たくさん集めたくなる」仕掛けをしてくるんじゃないかって思えてきますね。

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【三行まとめ】
・フィギュアであることで「育成」に愛着が湧くようになる
・全種類を集められないからこそ「交換」が重要になる
・たくさんの種類を買いたくなる「収集」要素も出てくるか?


 「育成」「交換」「収集」……
 そうです。我々はこのゲームを既に知っているはずです。amiiboと、とても相性の良いゲームが既にあるのです。



昆虫モンスター スーパー・バトル

 あっ、間違えた!




ポケットモンスター X ポケットモンスター Y

 次の『ポケモン』本編がamiibo対応になるかとか、amiiboに特化した『ポケモン』スピンオフ作品が出るかとか……そこまでは私は言い切りませんけど(なにせポケモンって数が多すぎるし……)、かつて『ポケモン』が世に出てきて大ヒットした時のような「面白さの原液」をamiiboも持っているんじゃないかと思うのです。


 だから、なるべく多くのソフトがamiibo対応になって欲しいですし、多くのキャラクターのamiiboが出て欲しいです。『Devil’s Third』とか、『零』のamiiboも出して欲しいですね!Wii Uの『零』はゲームは置いといても、フィギュアだけでも欲しいです!

( ゚∀゚)o彡゜

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成長する日常系アニメが好きだ

※ この記事はアニメ版『ご注文はうさぎですか?』第12話「君のためなら寝坊する」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 7月になりました。
 4月から始まった春アニメも一区切りが付き、7月から夏アニメが始まります。夏アニメが始まる前に、春アニメを通して自分が思ったことを書いておこうと思います。


 『ご注文はうさぎですか?』、面白かったです。

 4話まで観た時点での記事では、とても失礼な表現ですが「面白い作品ではないけどそれが癒される」と書いていました。しかし、6~7話辺りからストーリー構成の誠実さと、キャラの動かし方の巧みさに唸らされて、純粋に毎週毎週「今週はどんなことをしてくれるんだろう」とワクワクしながら放送を楽しみにしていました。

 4話の段階では分かっていませんでしたが、『ご注文はうさぎですか?』のアニメは「主人公の成長」と「キャラ同士の関係性の変化」をきっちり描く作品だったんです。
 一応言っておきますと、「主人公」というのはチノのことです。番組ラジオでも「オープニングの映像だとココアよりチノの方が映っている時間が長い!」ことがネタになっていましたが、アレが象徴するようにアニメは「チノの成長物語」としてまとめてあったのです。

 んで、たくさんいる女のコキャラがただ単に華やかさのためにそこにいるワケではなくて、「ココアとチノ」の関係と対比させるために「千夜とシャロ」の関係を使ったり、「チノの成長」を見せるために「おじいちゃん」や「青ブルマさん」を使ったり―――と、単にチノ一人にスポットライトを浴びせているワケでないのに、他のキャラを通してチノというキャラの変化を見せていく手法が見事でした。

 6話で嫉妬させて、7話でケンカさせて仲直りさせて、9話で自分が変われたことを祖父に打ち明けさせて、10話でココアから引き離されても大丈夫な姿を見せて、12話でココアのために奔走するチノを描く―――丁寧すぎる見事な構成に、「4話の時点であんな記事を書いててごめんなさい」「侮っていました」と正直思っとったです。終わってしまうのが寂しかったです。



 さて……
 しかし、この手の「日常系アニメ」は毎季のように作品が現れるもので、1年前の春アニメは『ゆゆ式』、夏アニメは『きんいろモザイク』、秋アニメは『のんのんびより』、冬アニメは『桜Trick』……そして今回の春アニメは『ごちうさ』と、「オマエら毎回終わるのが寂しい寂しいと言いつつ、次の季になったらあっさり次の作品に乗り換えてんじゃねえかよ!!」というツッコミを多数Twitterでも見かけました。

 確かにまぁ、説得力のあるツッコミではあるんですが……
 「日常系アニメ」って一括りにされてるけど、それぞれ方向性がちがくね?

 なので……「ファン層」も微妙に違うと思うんですよ。
 私は『ゆゆ式』は1話で切ってしまって、『きんモザ』はノーチェックで、『のんのんびより』は原作全巻買うくらい好きで、『桜Trick』は序盤と終盤を観たけどそんなに好きじゃなくて、『ごちうさ』は大好きでした。『桜Trick』はやっぱりこの中に入れるのは違うと思うんですけどねぇ。

 私が好きだった『のんのんびより』と『ごちうさ』でも、全然違う方向性でした。
 『のんのんびより』は「成長を描くストーリー」ではなかったし、『ごちうさ』は先ほど書いた通り「成長を描くストーリー」でした。


 もっと分かりやすい例を出しますと……
 2009年~2010年、日常系アニメの代表のように扱われた『けいおん!』も「成長を描くストーリー」でしたし、もっと言うと「終わり(卒業)のあるストーリー」だったんですよ。
 和以外のキャラクターはみんな成長が描かれましたし、1期の序盤から「この物語は高校3年間という限定した時間の中のストーリー」だと描かれていました(先輩達のカセットテープや花火などで)(※1)

 “日常系アニメ”という言葉の響きから連想される「永遠に続く日常を描くアニメ」という定義には『けいおん!』は当てはまらないんですよね。
 2期が終わったばかりの頃、「『けいおん!』はこのままサザエさん時空に突入して、延々と高校3年生をやり直せばイイんじゃないか」と言っていた人がいたんですけど(笑)。その話って「作り手が描きたかったもの」と「ファンが欲していたもの」のズレを象徴する話だったって今なら思います。

(※1:それらのシーンはアニメオリジナルの描写なので、頑なに卒業後を描かないのはアニメだけで、原作漫画では卒業後を描いた外伝が存在するという)

(関連記事:『けいおん!』アニメで描かれた“時間の残酷さ”について
(関連記事:『けいおん!』&『けいおん!!』アニメで真鍋和に与えられていた役割を考える


 恐らく『のんのんびより』なんかは、最初からサザエさん時空の物語ですよね。
 1季アニメの中ではちょうど1年間の季節が流れましたけど、彼女らは恐らく進級も卒業もしないんじゃないかと思われます。2期になったからと言って、お兄ちゃんが卒業しててどこにもいなかったり、こまちゃんの卒業が描かれて蛍がヤンデレ化したりはしないと思います。

 あの村にやってきた蛍に1年通して心境の変化がなかったとは言いませんけど、「成長」や「キャラ同士の関係性の変化」がメインとして描かれたワケではありません。2期が始まっても1期と同じような“日常”が描かれることと思われます。
 そういう意味では“日常系アニメ”という言葉の響きから連想されるアニメとしては、『のんのんびより』は最もイメージに近い作品だったのかも知れませんね。


 他の作品で言うと……『桜Trick』は上級生達の「卒業」が描かれていたし(「成長」があったかは自分は全話観ていないので分かりませんが)、『ゆるゆり』は多分「卒業」は描かれていなかったはず。この二作品でも全然違うんですよね。



 さて、『ごちうさ』は……と言うと。
 前述したように『ごちうさ』のアニメは「チノの成長」を12話を通して描くことをメインにしていましたし、第7話「Call Me Sister.」のラストシーン(5羽のうさぎが揃ったパズル)が象徴するように「5人が仲間になっていく過程」も描いていた作品だと思われます。

 4話には、千夜のこんな台詞もありました。

千夜「シャロちゃんだって……本当は分かってるんでしょ?
 学校以外だってこうして会えるんだもの。私達、大人になってもずっと一緒」


 『ごちうさ』のキャラクター達は「大人になること」を知っているのです。
 成長して、大人になって、そうしたらきっと別々の道を進むことになる―――このアニメは少女達が大人になっていく過程のほんの一瞬を切り取ったアニメだと言えて、自分はこの作品のそういうところが好きだったんだなぁと思うのです。



【せっかくなので三行まとめ】
・「日常系アニメ」と言っても、色んな方向性があるしファン層も多分違う
・それらの作品を「成長の有無」と「終わり(卒業)の有無」で分析すると面白そう
・『ごちうさ』は「チノの成長」を描く作品だったから、自分は大好きだったのだと思う


 ……と、ここまでずっと「『ごちうさ』は成長を描くアニメだったから好きでした」と書いてきたワケですが、「じゃあ『ごちうさ』と『のんのんびより』のどちらがオススメ?」と訊かれたら「オススメなのは『のんのんびより』の方」と答えると思います私(笑)。
 「日常系アニメでも「成長」を描いている方が好きだ」ってのはあくまで私の好みの話であって、みんながみんなそうだとは思っていないので……他人にオススメする方を考えると、“分かりやすい独自性”を持っている『のんのんびより』の方を選ぶという。難しい話。

(関連記事:「好きな作品」と「面白い作品」と「素晴らしい作品」は別


○ 余談
 しかしまぁ、こう考えると……「日常系アニメ」の定義ってよく分かりませんよね。
 『けいおん!』は日常系アニメと言われるけど、同じポニーキャニオン製作の『TARI TARI』や『たまこまーけっと』は日常系アニメとあまり言われないように思えます。男キャラが出てくると、恋愛の要素が絡むので「日常系アニメ」ではなくなるということですかね……

 『ラブライブ!』は日常系アニメ?
 「女のコだらけの青春部活アニメ」という切り口で考えるなら『けいおん!』と同じジャンルに当てはまりそうなのですが、『ラブライブ!』ってあまり日常系って言われているのを見ないような……大きな目標があるかとか、『けいおん!』は紅茶ばっか飲んでて『ラブライブ!』はしっかり練習しているという差ですかね。


 普通の作品は、物語の推進力としての「目標」を設定するものです。
 「ジオンが攻めてきたから戦わなければならない」とか「ドラゴンボールを7つ集めなくてはならない」とか「全国制覇をしなくてはならない」とか「魔法少女になって魔女と戦わなくてはならない」とか「憧れの丹波橋くんと付き合いたい」とか……

 「日常系アニメ」の定義を考えると、こうした「分かりやすい目標」を視聴者に提示しないことが一つの条件なのかなと思います。『ごちうさ』のストーリーの中でチノは成長したけれど、それはストーリーの「目標」ではなく、たまたま物語の中でそうなっていたというだけで。
 それに加えて、「(父親以外の)男キャラが登場しない」とか「出てくる女のコはみんな可愛い(ことを目指して描かれている)」とか「過度な悩みや苦労は存在しない緩い世界観」とか―――まぁ、そういうところか。


 さて、夏アニメの話。
 夏アニメ紹介の記事で自分が日常系アニメとして注目していると書いたのが『ハナヤマタ』でした。恐らく第1話のネタバレ満載ですけど、PV貼り付けておきます。



 すんげえ面白そおおおおおおだし、私の大好きな「主人公の成長」を軸に描いていく作品みたいでムチャクチャ楽しみなのですが……これは「日常系アニメ」ってカテゴリーで良いのか?と思わなくもないです(笑)。PVの時点で、主人公がムチャクチャ悩んでいるじゃないですか!

 『ヤマノススメ』も2期ではガッツリ登山をしていくみたいだし……「可愛い女のコが数人並んでいる」だけで日常系アニメにカテゴライズしていくのは、なんか違うんじゃないかと思い始めてきました。

| アニメ雑記 | 17:50 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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