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変わらない価値のあるもの

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「ゲームソフトを買う」のも「ガチャを回す」のも、同じように一か八かなんだ

 ちょっと語りたくなったコメントをいただいたので、今日はコメントの引用から。

 「ゲームを遊んでいるのがバレたら恥ずかしい」からスマホのゲームは流行っている

<以下、引用>
>「ゲーム機はソフトを買わなくちゃならない!スマホのゲームは無料のゲームがたくさんある!」 と言われても、基本無料ゲーは何千円もガチャで一瞬で溶けたりして、むしろ買いきりのゲームソフトの方がリーズナブルなことも多いですし。

 これに関しては「支払いの発生するタイミング」が違うのかなと思います。
 基本的にゲーム機のゲームもスマホのゲームも「面白そう」と思ったからやる訳ですが、ゲーム機はソフトを買わないと出来ないので「実際にゲームをやる前に支払いが発生」します。 対してスマホは基本無料で、ガチャ等で適時課金することが多く「実際にゲームをやった後に支払いが発生」します。

 つまり、ゲーム機はそのゲームが面白いか判断する前にお金が必要で、もし好みに合わなかった場合に「無駄な買い物」になるリスクがあります。
 対してスマホはとりあえず試しにやってみて、好みに合わなかったらやめればいいし、好みに合うのなら後から課金することもできて「無駄な買い物」になるリスクが少ないです。
 
</ここまで>
※ 改行・強調など一部引用者が手を加えました

 紫で引用した部分が「私が記事に書いたこと」で、 赤で引用した部分が「いただいたコメント」です。 こうした意見自体は昔から言われているものですし、ひょっとしたら私も以前どこかで同じようなことを書いたことがあるかも知れませんが……文章だけだとちょっと分かりづらいんですよね。

 なので図にしてみました。

kakin1.jpg


 もちろん実際には「ゲーム機用のゲームにも基本無料のゲームはある」し、「スマホ用のゲームにも買いきりのゲームはある」のですが……2017年現在のそれぞれの市場の中心にあるものを考えて、分かりやすくするために「ゲーム機用のゲームは買いきり」「スマホ用のゲームは基本無料」と分類しています。


 図を見てもらえば分かるように、ゲーム機の場合はお金を払うタイミングが「わーい!たのしー!」の前なので、そのゲームがつまらなかった場合は「お金をムダにした…」と思ってしまうんですね。
 一方のスマホは、「わーい!たのしー!」と思った後にお金を払うかどうかを決められるので、つまらないゲームにお金を払って損した気分になることはないのです。


 なるほど、これならゲーム機が廃れてスマホが栄えるのも当然ですね。
 「面白いかどうかも分からないものに“一か八か”お金を払いたくない!」「無駄な買い物をしたくない!」って人は、事前にお金を払わなくてはならないゲーム機のゲームになんてお金を払いたくないでしょう。


 ホントに?

  この理屈……確かに一見すると「分かりやすくゲーム機が廃れてスマホが栄えている原因を説明できている」ように見えるのですが、決定的な穴があるのです。


 現在の基本無料のゲームを支えているのは(日本では)間違いなく“ガチャ”で、“ガチャ”を回すために課金する人がいるから多くのゲームは成り立っています。「無課金の人もいるのでは?」と思う人もいるかもですが、無課金の人がどんなにいてもオンラインゲームは運営できませんから、スマホのゲームは“ガチャのために課金してくれる人”をどれだけ自分のところに持ってこられるかが勝負だと言えます。

 しかし、この“課金してガチャを回す”行為こそが、究極の「欲しいものが出るかどうかも分からないものに“一か八か”お金を払う」し、「無駄な買い物になる可能性も高い」ものじゃないですか。

 ゲーム機用のゲームには「面白いかどうかも分からないものに“一か八か”お金を払いたくない!」「無駄な買い物をしたくない!」という人が、スマホの“ガチャ”には課金して「またSSRが出なかった!」「また同じキャラしか出なかった!」「○○ちゃんが出るのは期間限定なのに幾ら課金しても出ない!」と悲鳴をあげるのか?と思うんですね。


 さっきの図には続きがあるのです。

kakin2-2.jpg


 ゲーム機用のゲームを「面白いかどうか分からないけど一か八か買う」のも、スマホ用のゲームでガチャを「欲しいキャラが出るか分からないけど一か八か課金」して回すのも、一か八かなのは変わらないし、そのゲームがつまらなかったor欲しいキャラが出なかった時の「お金をムダにした……」感は一緒だと思います。

 だから私は、「お金をムダにしなくてイイからスマホのゲームは栄えている」とは思わないんですね。どっちかというと……かつてはゲーム機用のゲームを「面白いかどうか分からないけど一か八か買」っていた人達が、スマホ用のゲームでガチャを「欲しいキャラが出るか分からないけど一か八か課金する」ようになったんじゃないかと思うのです。
 つまり、その二つの層は実は同じ人達で、「ゲームにたくさんお金をかけられる人」の多くがゲーム機からスマホに移ったからスマホのゲームが栄えているんじゃないかと思います。んで、そうした重課金層がいるおかげでゲームが運営できて、無課金層もゲームを遊べるという。






 しかし、この話……「逆もまた真なり」だとも思うんですね。
 元々「ゲームソフトを買う」という行為には、ガチャを回すような“一か八か”という側面があったんだと思います。

 携帯電話用のソーシャルゲームが出てきて、それがスマホになって、そうしたゲームに“ガチャ”が付きものだったことで、ゲーム機用のゲームを好きな人達はそれらを猛烈に批判していました。「あんなのはゲームではなくてギャンブルだ」「射幸心を煽るだけの金儲け装置だ」「金をドブに捨てて生活を破たんさせる人がいるのをどう責任取るんだ」的な。

 でも、それって「ゲーム機用のゲームを買う」ことにも言えることじゃないですか。
 実際に遊んでみるまで面白いかどうか分からないものに、携帯ゲーム機用のソフトなら4000~5000円くらい、据置ゲーム機用のソフトなら6000~8000円くらいを事前に払わされるのなんてギャンブル以外の何でもないでしょう。私はいつもゲームを買うとき「面白いゲームであってくれ……!」と神に祈りながら買っていますよ。
 それで全然面白くないゲームだったとしても、それを中古に売ろうとしたら「中古ゲーム反対派」の人達から「オマエのようなヤツがいるからゲーム会社の経営が苦しくなっているのに、一ゲームファンみたいな顔してブログなんかやってやがって!ゲーム業界が衰退したのはオマエのせいだ!」とか言われるし。何千円もドブに捨てたまま面白くないゲームを抱えて泣き寝入りするしかありません。

 そのくせ、ゲーム会社の方は「発売日に買ってくれないと次につながりません」「出来ればゲーム屋さんで予約してください」「数量限定で特典をたくさん付けた豪華版を出すのでそっちを買ってください」「もう予約を取り消せないタイミングなので情報解禁しますが、有料DLCもたくさんあるのでそっちも買ってください」「シリーズ存続のためにお願いします」とか煽ってくるし!
 それで全然面白くないゲームだったときの「お金をドブに捨てた」感!これも「射幸心を煽るだけの金儲け装置」じゃないんですか!?

 「発売日に買うのをやめて、評判を聞いてから買えばクソゲーをつかまされることもないでしょ?」と思う人もいるかもですが、ゲームに限らず娯楽作品なんて「どんなに世間で絶賛されていても自分には合わないもの」がありますし、ゲームは更に「プレイヤーの力量」とか「そのジャンルの経験値」とかによって楽しめるかどうかが変わるものです。
 「評判聞いてから買えばクソゲーつかまされることもない」というのは、「競馬新聞を読んでいれば必ず儲かる」みたいな絵に描いた餅だと思います。

(関連記事:好きなゲームを「好き」と紹介することに意味があるのか





 人間は歴史を「分かりやすく解釈しようとする」ため、「スマホが普及したからゲーム機用のゲームが廃れた」みたいな分かりやすい物語にしてしまいがちなんですが、実際には「ゲーム機用のゲームが廃れたタイミング」と「スマホが普及したタイミング」はちがっていて、スマホが生まれるよりももっともっと前からゲーム機用のゲームは売れなくなっていたと思うんですね。

 PS2の時代には「シリーズものしか売れない」みたいな風潮がありましたし、DSやWiiの時代には「任天堂のソフトしか売れない」みたいな批判がありました。「こんなに面白いゲームがどうして売れないんだ!これだからライトゲーマーは!」と何故だか“買わない人”を悪者呼ばわりする人もネット上にはたくさんいましたしね。

 でも、「面白いかどうか分からないものに“一か八か”お金を払いたくない」「“一か八か”お金を払ったら全然面白くなくてお金をドブに捨てた気分になった」という人は、なるべく「面白い確率の高いもの」を選ぶようになっていくのが当然の話で。その結果、「前に遊んで面白かったシリーズの最新作」とか「前に遊んで面白かった会社の最新作」とかを選ぶようになっていくだけの話だと思うんです。
 “ガチャ”で言えば「10連ガチャなら、最低でもSRが一人出ます」というのなら10連を回そうとするし、「期間限定で○○ちゃんの出現率アップです」と言われたらその期間に課金しようとしますし。

 “一か八か”になると、人はシビアに「確率の高いもの」を選ぶんですよ。


 現在のスマホゲームが「重課金者が無課金勢を支えている」のと同様に、かつてはゲーム機用のゲームにも「面白いかどうか分からなくても“一か八か”買う人」がたくさんいて、そういう層が市場全体を支えていたから多種多様なゲームが出ていたのかも知れませんが……
 今にして思えば、中古ゲームを“悪”とせず「面白くなかったゲームは中古に売ればイイ」みたいにしていった方が、「面白いかどうか分からなくても“一か八か”買う人」を残せたんじゃないかと思いますが……もう遅い話ですね。



 ただ、ここで価値観が逆転するようなことを書きますと……
 実を言うと、“一か八か”って楽しいんですよ。

 例えば、ゲームソフトが詰め合わされた福袋を開封するようすを生配信するのって、観る方も楽しいですが、実際にお金を払って買って開封する方も楽しいんですよ。目当てのものが入っているか、それともクソゲーばっかりか、究極の“一か八か”はすごく興奮するし病みつきになってしまうのです。
 面白いかどうか分からない新作ゲームを“一か八か”買ってみるのも、欲しいキャラが出るか分からないガチャに“一か八か”課金するのも、それ自体が楽しいのです。ギャンブルみたいなものだし、射幸心を煽られているし、あまりに度が過ぎると生活が破綻しかねませんが、その危うさにこそ興奮するのです。


 ただ、福袋も1500円の福袋なら気軽に買えるけど5000円の福袋は“一か八か”でも買いづらいみたいな話で、“一か八か”に賭けられる金額もシビアに判断されるのかなぁと思います。
 自分は新作ゲームを買うにしても、6000~8000円もするパッケージソフトではもう“一か八か”を冒険する気が起きなくて、安いのは数百円~高くでも2000円前後くらいのダウンロードソフトの方で“一か八か”の冒険をするようになりましたし。“ガチャ”も『デレステ』の「1日1回だけ120円でガチャが回せる」みたいな少額課金のシステムがありますし。

 今後は少額の“一か八か”が人気になっていくんじゃないかと予想しています。


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| ゲーム雑記 | 17:56 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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