やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

2017年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年09月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

「クリアにかかる時間=ゲームのボリューム」ではないと思うんですよ!

 クリア後のやりこみ要素なんかは無視しても、クリアまでに60時間近くかかってしまいました。

DHkl3AbUAAEOwwe.jpg

 『不思議の国の冒険酒場』とは、元々は携帯電話のアプリから始まり、それがPSPやスマホアプリに移植され、更に3DSにはキャラクターの立ち絵などを一新して移植されたダウンロード専用ソフトです。自分がプレイしたのは3DS版
 初期『アトリエ』シリーズに関わっていた人が関わっているため、『アトリエ』シリーズに近いゲーム性で――――仲間を連れてダンジョンに向かってモンスターを狩ったり採集をしたりして材料を集め、お店に帰って料理を作る、それをお店に出せば売上になるし自分達で食べればレベルが上がる、といったコマンドRPGになっております。

 私はこの手の「素材を集めて」「組み合わせて加工して」「売ってお金を稼ぐ」みたいなゲームが大好きなので、最初の10時間くらいまでは「今まで遊んだ3DSダウンロードソフトの中で一番」くらいに楽しんだのですが……中盤からはなかなかお店のランクが上がらず、お店のランクが上がらないと新しいイベントも起こらず、そうするとずっと同じダンジョンで同じ雑魚モンスターを延々と狩って同じような料理を出していくしかなくなって……後半はすっかり飽きてしまって「クリアのために仕方なく続けている」という惰性のプレイになってしまいました。
 「お店のランク」が上がるシステムが、ゲーム内の日数を経過させなきゃ上がらない仕様なんですけど、何もせずに日数を進めるのはもったいないと貧乏性が発動して毎日荷物が限界になるまでダンジョンに潜っていたのが時間がかかった原因―――と考えると、自分にも問題があるのかもですが。

 でも、クリア後に色んな人のレビューを読み漁ってみたら、高評価を付けている人も「中盤のテンポが悪い」と書いていたので、このゲームのあるあるじゃないかなとは思います。もっとガンガンお店のランクが上がるようにしてくれるか、終盤の展開をお店のランクが上がりきる前から始まるようにしてくれたら傑作になったのに!



 しかし、「ゲームのボリューム」って何なんですかね。
 このゲームに対して「(数百円のダウンロードソフトなのに)フルプライスのゲーム並のボリューム」と評している記事もあったんですけど、町の数・ダンジョンの数、敵の種類、攻撃のバリエーション、町の人々との会話の量、イベントの数などはフルプライスのコマンドRPGと比較すれば正直そこままででもないと思いますし。

 匹敵するのは「クリアまでに必要な時間」くらいだと思うのですが、それが多いからって「ボリュームたっぷりだった」と表現することには私は断固反対です。
 だって、私の60時間の内のほとんどはずーーーーーーーーーーっとひたすら同じ雑魚モンスターを殺して材料を集めていただけですもの。そうしなければクリア出来ないから仕方なくそうしていただけで、それって「ここのレストランは、お水のおかわりが自由で満腹になるまで飲めるからボリュームたっぷりだ」みたいなことじゃないですか。味を、味のあるものを求めて私はゲームを遊んでいるんですよ!!

 そもそもパッケージソフトのコマンドRPGが「クリアまでにかかる時間」を引き延ばしているのは中古に売られないための対策なんだから、ダウンロードソフトでそれを真似するんじゃないよ!と思ってしまいます。

(関連記事:DL専売ゲームでさえボリューム病に蝕まれるのか




 これとは逆の話で……
 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の発売直後、「95分でクリア出来た」という話題が出てきていて(それ自体はデマでしたが、後に40分ちょっとでクリアするという猛者が現れました「すぐにクリアできてしまう中身スカスカなゲーム」とか「ボリュームなさすぎ」みたいに煽る人が出てきました。

 40分ちょっとでクリアした人も、何も初見でそのタイムを達成できたワケではなくて、ゲームのすべてを知り尽くした上で何度も何度も挑戦してようやく達成した1回の神プレイだと思うので……『ブレス オブ ザ ワイルド』を「40分で終わるゲーム」と評するのは、レースゲームを「このコースは2分がベストタイム、このコースは1分半がベストタイム……全コースのベストタイムを合計しても1時間半だから、1時間半ですべて走り終えてしまうボリュームしかない」と言うようなものだと思うんですけど。

 そもそも『ゼルダ』シリーズは、『トワイライトプリンセス』も『スカイウォードソード』もクリアまでにかかる時間が50時間とか70時間とか膨大になったことで気軽に手に取ってもらえなくなっていて。
 それを打破するために『ブレス オブ ザ ワイルド』は「チュートリアルが終わればすぐにラスボスのところに行ける(その状態で倒すのは超大変だけど)」「広い世界には色んな遊びが詰め込まれているけど、それらは全部やってもイイしやらなくてもイイ」としたのに、やらなければならない必須イベントが少ないからボリュームが少ないと叩かれるということは―――ゲームの中身なんて一切見てもらえず、「ゲームのボリューム」=「クリアまでの最短時間」としか考えられていないということで。



 そりゃ、クリアまでの時間を無駄に引き延ばして、やりたくもない作業を延々と繰り返させるゲームばっかになるわけだよ!!

 ひたすら同じダンジョンで、同じ雑魚モンスターを延々と何百匹と狩って、何百皿と同じような料理を出していく―――20時間でクリア出来ちゃったら「ボリュームが少ない」と叩かれるから、60時間かけないとクリア出来ないゲームにするしかなくなっちゃうワケですよ!

(関連記事:『ブレス オブ ザ ワイルド』は、どの「ゼルダのアタリマエ」を見直したのか



 「ゲームのボリューム」=「クリアまでの最短時間」だというのならば、延々と雑魚戦を繰り返すコマンドRPGなんかは簡単にボリュームを増やせますよね。エンカウント率を上げるとか、雑魚モンスターのHPを高くするとか、大量の雑魚敵が時間のかかる魔法攻撃を連発してくるとかすればボリュームが増やせますよね!
 いや、もっと言えば「読み込み時間を長くする」とか「キャラクターの移動速度を遅くする」とかだけでも、塵も積もれば山となる方式でプレイ時間は引き延ばせるから、簡単にボリュームが増えますよ!魔法のテクニック!!いぇーーーーーい!!


 まぁ、マジメに作ってる場合でもコマンドRPGは比較的プレイ時間が長くなるもので(その大半が雑魚モンスターとの戦闘ですけど)、それと比較してアクションゲームはクリアまでにかかる時間が短いからボリュームが少ないみたいなことを言う人は昔も今もいました。
 プレステの『メタルギアソリッド』にそう言っている人がいたし、PS2の『鬼武者』にもそう言っている人がいたし、最近ではWii Uの『ピクミン3』にもそう言っている人がいたし―――でも、アクションゲームってそういうものじゃないの?1周あたりはそんなに時間がかからないけど、遊びの密度が濃ければ何周も遊びたくなって、その結果トータルのプレイ時間が長くなっていくもので。


 でも、そこで「ゲームのボリューム」=「クリアまでの最短時間」なんて考えてしまうような人達がアクションゲームを作ると、「ボリュームが少ないと思われたらイヤだから短い時間ではクリア出来ないようにしよう」と恐ろしい凶悪難易度のゲームとか、運が絡まないとクリア出来ないような理不尽ゲームが生まれてしまうんじゃないんですかね?





 戦後間もない食糧が少なかった時代をひもじく生きてきたおばあちゃんが、孫にはそんな思いをさせたくないと大量のふかし芋を食卓に並べてくることに――――ばあちゃん!もう戦後は終わったんだよ!この飽食の時代に「味のしない大量のふかし芋」でお腹をいっぱいにする必要なんてないんだよ!!と言いたくなるみたいな話で。

 娯楽が大量にあふれているこんな時代に、「ボリュームが少ないと思われたらイヤだから短い時間ではクリア出来ないようにしよう」と延々とプレイ時間を引き延ばされるゲームに出会うと、まだ戦後だと思ってんのかよ!!と言いたくなります。
 子どもだってYoutubeの動画を「長い動画は最初から再生しない」「開始10秒でつまらなさそうと判断したら観るのをやめる」時代ですよ!味のしない大量のふかし芋でプレイ時間を引き延ばされて喜ぶ人がどこにいるんですか!



戦後の終わり戦後の終わり
金子 勝

筑摩書房 2006-08
売り上げランキング : 1509916

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 えーっと……
 一応、「ふかし芋」業界の人に謝っておきます。ゴメンナサイ。
 別に「ふかし芋」自体をディスりたかったワケでなくて、味のしない大量の料理の例えが欲しかっただけなのです。美味しいふかし芋なら歓迎ですよ!というか、「ふかし芋」って大抵は美味しいですよね!!

 あと、『不思議の国の冒険酒場』も別にダメなゲームではないので、ディスったみたいになってメーカーやファンの方々にはゴメンナサイ。「無駄にプレイ時間を引き延ばそうとしなければ傑作になったのに……」と惜しい気持ちが強かったので、敢えて強い言葉で書きました。

 戦後間もない食糧が少なかった時代をひもじく生きてきたおばあちゃんにも謝りましょう。ゴメンナサイ。良かれと思って大量のふかし芋を用意してくれたんですよね。生きてきた時代がちがえば価値観も変わるというだけの話です。でも、「味のあるものが食べたい」という孫の気持ちも分かって欲しいのです。あと、このエピソードは全部架空なんで、こんなおばあちゃんは実在しません。非実在おばあちゃんです。実在すると思ってしまった人、ゴメンナサイ。


田舎のおばあちゃんの生活事典―自然にやさしい手づくりの知恵田舎のおばあちゃんの生活事典―自然にやさしい手づくりの知恵

日東書院本社 1993-09
売り上げランキング : 287558

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| ゲーム雑記 | 17:57 | comments:13 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |