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「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーションの面白さを語りたい

 今日の記事は、別にエロエロな話じゃないですよ。
 「ストーリーとはどうやって作られるのか」みたいな御堅くてマジメな話です。むしろ、記事タイトルに惹かれて「エロイ話だ!うっひょおおお!エロイ話だぞおおお!」と興奮して読みに来てくださった人にはゴメンナサイ。私はアナタのような人間が大好きです。友達になりましょう。


 流行っている界隈というのがどこなのかはよく分からなかったのですが、2016年5月にtogetterにまとめられているのでこの時期に話題になり始めたのかなと思います。

 「男女」でも「男男」でも「女女」でもイイので、2人のキャラを閉鎖空間に閉じ込めて「ここから出るためにはセックスしないといけない」と強制するというシチュエーションです。
 何と面白そうなシチュエーションでしょう!このお題だけで短編が10も20も描けそうです。むしろ、複数の作家・漫画家を集めて「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーションの話だけを描かせて集めたアンソロジー本を作ったら、それぞれの作家性が出て超面白そうですよ!どこかの出版社がやってくれませんかね!


 「エロ本かよ!」みたいに思った人もいるかも知れませんが、「セックスしないと出られない部屋」というお題でみんながみんなセックスを描くと思ったら大間違いです!


 このシチュエーションに一番近い有名作品と言えば、2004年公開の『ソウ(SAW)』という映画でしょう。13年も前の映画なので知らない人も多いと思うので簡単に説明すると、「目が覚めたら知らない部屋に男2人で監禁されていて、タイムリミットまでに相手を殺さないと両方とも殺すと(黒幕ジグソウから)指示される」という話です。

 私はリアルタイムにこの映画を観ているんですけど、流石に13年前なので細かいことは覚えていなくて「Amazonのプライムビデオにあったら観返してみようかなー」と考えたのですが。









 1作目だけプライムビデオにないでやんの!!

 なんでだよ!Amazonビデオのページはあるんですが、「現時点では、コンテンツプロバイダーとの契約により、このタイトルを購入できません。」ですって!私が観返したいのは1作目なんですよ!!

 というか、こんなに続編出てたのか!
 毎年1作ずつ新作公開って『ポケモン』の映画並みのスケジュールじゃないか!



 この『ソウ(SAW)』も、言ってしまえば「○○しないと出られない部屋」というシチュエーションです。
 タイムリミットまでに相手を殺さなければならないという緊張感、閉じ込められている2人はどういう人間なのか・何故閉じ込められているのかという謎、黒幕ジグソウの言いなりになってイイのかという葛藤、自分もこうなってしまったらと観客が感じる恐怖―――それでいて大掛かりなロケやCGなどが必要なワケではないので、当初は「低予算で作れる映画」として企画されたらしいですね。シリーズがたくさん作られているというのも納得な、「面白い話を幾つでも作れそうなシチュエーション」だと思うんです。

 私は1作目しか観ていないんで、ここまで書いておいて2作目以降が全然ちがう宇宙戦争みたいな話になっていたらどうしましょう。



 「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーションも、これに近いと思うんですね。
 相手とセックスしなければならないという緊張感、閉じ込められている2人はどういう人間なのか・何故セックスしなければならないかという謎、黒幕の言いなりになってイイのかという葛藤、自分もこうなってしまったらと観客が感じる恐怖(もしくは興奮)―――それでいて舞台は「一つの部屋」なので、背景作画が楽!登場人物が2人だけだから、人物作画も楽!


 エロエロ二次創作で「推しのカップル」をぶちこみたい作家さんは、余計な理由付けなんかを吹っ飛ばして「この二人にセックスさせられる」というためだけに使えますし。

 オリジナルのエロ漫画として描くんだったら、なるべく現実には接点のないような二人を無理矢理くっ付けるとか、現実ではセックスしてはならない関係の二人に無理矢理セックスさせるみたいなことに使えますね。現実では起こらないようなことを、作品の中でだけは自然に起こさせるための装置になります。

 映画『ソウ(SAW)』のようなシチュエーションが、「相手を殺さないと出られない部屋」だからこそ相手を殺してしまうべきかという葛藤に襲われるみたいな話で――――「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーションだからこそ、敢えてセックスさせないで「セックスしてしまうべきか」という2人の葛藤を描くのも面白そうですよね。18禁ではなくて、全年齢向けで。
 結果的に、「セックスよりも大事なものでつながった!」みたいな純愛に落とし込んでもイイし、極限状態でタガが外れていく様を描いても面白そう。

 「黒幕はどうしてこんなシチュエーションを作ったのか」「黒幕の真の目的は何か」という謎で引っ張って、「セックスをしないでここから脱出する方法を考えよう」という脱出ゲーム的な展開なら少年漫画ですらいけそう。その場合は「セックス」よりも他の言葉で置き換えた方がイイかもですけど。

 「黒幕の真の目的」を考えると、ぶっちゃけ一番怪しいのは一緒に閉じ込められている相手じゃない?というところから、相手に疑心暗鬼になったり、黒幕への恐怖に脅えたりするミステリーというかサスペンスにも出来そうですね。「セックスをしないでここから脱出する方法を考えよう」と言っているけど、コイツ実はセックスする気満々なんじゃないのか?みたいな不信感を描いていくという。

 一周回って「黒幕側の視点」で、「この人とこの人を拉致してきてセックスしないと出られない部屋に入れて眺めましょう」というのを1話完結で描いていくのも面白そう。
 『笑ゥせぇるすまん』みたいなブラックユーモアな方向性で、例えばひねくれていた不良がそれで更生するのだけど更生したときにはもう取り返しのつかないことになってしまったのだとか、人生に絶望した中年オヤジが「セックスしないと出られない部屋」のおかげで生きる希望を取り戻したけどまた「セックスしないと出られない部屋」に入りたくて自分が黒幕になってしまうとか――――「ビフォア」と「アフター」と「オチ」に落差を付けると良さそうですね。

 神の視点で描くことを考えるなら、それほど接点のなかったクラスメイトを「セックスしないと出られない部屋」に入れて、セックスして出てきた後の日常生活を描くのも面白そうですね!

 あとは、記事冒頭で「2人」と書きましたけど、「3人」にすれば「セックスして助けられるのは片方だけ」みたいな葛藤も描けるし、「4人」にすれば「俺がセックスをしないと心がけてももう一人の男がするかも」みたいな嫉妬と不信を描けるし、「クラス全員」とかにするとギスギスした人間関係が描けて超面白そう!

 エロ同人ゲームだったら、今まで出てきた展開を自分で選んで分岐できるようにして、「さっさとセックスしちゃう凌辱ルート」「セックスしないけど2人で生活していたら徐々に相手に惹かれていってしまう純愛ルート」「黒幕の真の狙いに気づいてそれを打破して脱出する真エンディングルート」みたいにしたら没入度が高くて良さそうですね!



 「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーション一つで、こんなに色んな話が出てくるワケですよ。
 これを最初に考えたのが誰だか分からないのですが、ものすごく優秀なシチュエーションですよね。漫画界には「どんなに斬新なアイディアを思いついても、大抵は先に手塚治虫が描いている」という言葉があるので、ひょっとしたら手塚先生も描いているかも知れませんね、「セックスしないと出られない部屋」を!


 これは、言ってしまえば「シチュエーションを限定することで逆にアイディアが生まれやすくなる」という事例だと思います。
 舞台は「一つの部屋」、登場人物は「基本的に2人」、やることは「セックス、もしくは部屋からの脱出」だけ。こういう縛りがあるとストーリーを考える枷になるんじゃ?と思われるかも知れませんが、「五七五」とか「五七五七七」といった型があった方が「自由にモノを言ってイイよ」と言われるよりも言葉を紡ぎやすくなるみたいな話で、「セックスしないと出られない部屋」という型があった方がストーリーを考えつきやすくなると思うんですね。


 例えば、スポ根ものなら「最初は夢中になれるものが何もない主人公」がいて「そんな主人公が出会う憧れの先輩」がいて「お互いに刺激し合うライバル」がいて―――みたいなテンプレがあるじゃないですか。
 日常ものなら「メインキャラは女のコ4~5人」と決まっていて、どの作品も「天然ボケ」「トラブルメーカー」「ツッコミ」「おっとり」といった役割がその4~5人に与えられる―――みたいなテンプレがあるじゃないですか。
 推理小説だったら、「外界からは隔絶された空間(クローズドサークル)」で「殺人事件が連続で起こっていって」「登場人物の中から犯人を絞り込んでいく」―――みたいなテンプレがあるじゃないですか。


 「セックスしないと出られない部屋」というシチュエーションは、こういった王道テンプレに匹敵するくらい、強いストーリーの推進力と、何でも描こうと思えば描ける応用力と、設定を細かく自由に変えられる柔軟性を持っていると思うんですね。

 今は半笑いでこの記事を読んでいるアナタ!そして半笑いで書いている私!
 10年後には、「なんか最近始まるアニメ、セックスしないと出られない部屋って作品ばっかだよねー」「しょうがないよ、セックスしないと出られない部屋じゃないと原作が読まれないんだから」みたいな時代が来ているかも知れませんよ!


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| ひび雑記 | 17:54 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

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