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変わらない価値のあるもの

2019年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2019年07月

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【告知】6月16日(日曜日)20時頃~『プリンセスメーカー リファイン』の実況を始めます!

【お知らせ】6月16日(日曜日)20時頃~Mixerで、Steam版『プリンセスメーカー リファイン』の実況プレイを生配信します!


配信ページは多分こちら。

 最終日予定!
 実況始める前は「納得のいくエンディングを迎えるまで何周もやろう」と考えていたんですけど、遊んでいる間に「この子が期待通りのエンディングを迎えなかったからといってまた別の子を育てるのはどうなんだ」と愛着が湧いてしまったので、どんなエンディングを迎えたとしてもこのゲームはここで終わりにしようと思います。

 冒険者としてしっかり鍛える展開も見たかった気もするのですが、それは『2』以降でやればイイかなと。


 次に挑戦するゲームは、7月からにします。
 6月いっぱいの生配信予定は……

・6/22(土) 夏アニメの原作ゲームを遊ぶ実況
・6/24(月) 月に1回の『プチコン4』進行状況報告配信
・6/27(木) 『じんるいのみなさまへ』発売日実況
・6/28(金) 『スーパーマリオメーカー2』発売日実況
・6/29(土) 夏アニメ全作品紹介配信・前編
・6/30(日) 夏アニメ全作品紹介配信・後編

 最終週のスケジュールやばいな!


【現在、登録されている効果音コマンド】
・888888
・あはははははは!
・おおおおおお
・おめでとうございます
・お金が足りないよ
・がんばりましょう
・すごいすごい
・ひらめいた
・ファンファーレ
・ブザー
・ブブー
・ブラボー
・ホイッスル
・黄色い声
・歓声
・残念でした
・心臓
・誰か助けて
・ドッカーン
・万歳
・アウト!
・あとちょっとだったね!
・あれれ、もう終わっちゃうの
・えー…
・えーっ?
・きゃああーー!
・デデン!
・はじめまして

【Mixerの絵文字の一部を押しても効果音が鳴るようにしました】
:ゾンビ
:チキン
:ネコ
:犬
:スイッチ
レギー(←暴発しそうだったら元に戻します)


 生配信中にGoogleチャットでこれらの文字をコメントで打つと特殊効果音が鳴ります。効果音は無料効果音で遊ぼう!さんや効果音ラボさんで配布されているものを使わせてもらっています。

【生配信中で盛り上がった音声を再生できるようにしました】
・ウォーミングアップにはちょうどいいぜ(『NARUTO -ナルト- 激闘忍者大戦!』より)
・ちょっと…大きくなったね(『巨人のドシン』より)
・なかなか…大きくなったね(『巨人のドシン』より)
・10年早いんだよ(『バーチャファイター』より)



 この記事は『プリンセスメーカー リファイン版』挑戦用の記事です。
 生配信の告知や、動画のログの格納などに、使いまわしていきます。

≫ 「続きを読む」

| ゲーム実況 | 20:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『Her Story』紹介/このゲームに名探偵はいない。調べるのも考えるのもアナタ自身な、究極の一人称推理ゲーム

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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
自分の頭で考えて「検索」する、ゲームでしか味わえない調べものアドベンチャー
細切れになったインタビュー動画を、一つ一つメモして整理して真実を導き出せ!
「答え合わせ」などない、だからこそ「人と話したくなる」ストーリー


『Her Story』
・開発者:Sam Barlow氏、公式日本語化:PLAYISM
 Steam版:2015年6月24日発売(※公式日本語版は2016年11月24日より)
 PLAYISM版:2016年11月18日発売
・インタラクティブムービー+推理アドベンチャー
・セーブスロット数:1


 私がエンディングまでかかった時間は約6.5時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:○(人が死ぬのも重いけど、彼女の人生が壮絶すぎて……)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:△(女性目線で「好きな男が別の女とヤった」のって寝取られに入ります?)
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:△(これが果たして百合なのかどうかで一晩は議論できる)
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:△(セックスについて語るシーンが度々出てくる)

↓1↓

◆ 自分の頭で考えて「検索」する、ゲームでしか味わえない調べものアドベンチャー
 このゲームを日本語で遊ぶには、2019年6月現在はパソコンで遊ぶしか選択肢がありません。iOS版Android版は出ているのだけど日本語訳がなく、ゲーム機用には海外含めても移植されていないみたいです。

 それでもこのゲーム、海外では様々な賞にノミネートされ、高い評価も受けた話題作なため―――私はずっと「パソコンを新しく買い換えたら遊ぼう」と楽しみにしていました。遊んでみた結果、万人にオススメできるものではないけれど、「ゲームとは何か」「アドベンチャーゲームとは何か」を議論するのに欠かせない“ターニングポイントになる作品”だと思ったので紹介記事を残しておきます。


herstory-2.jpg
<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 これが、このゲームのメイン画面です。ウィンドウ部分だけじゃなくて、スクショ全部がゲームの画面ね。
 Windows95あたりを彷彿させる昔のパソコンのデスクトップ画面そのもので、操作も「マウスでカーソルを合わせて」「ダブルクリックでソフトを開く」とか「キーボードで文字を打ち込む」とか、パソコン操作そのものです。ゲーム機用に発売されないのは、ゲームコントローラで遊んでも没入感が味わえないからかなと思います。


 デスクトップにある「Readme.txt」にも書かれていますが、このゲームは警察のデータベースに残された「1994年に起こったとある事件についてのアーカイブ映像を調べる」ゲームです。
 古いデスクトップな理由はよく分からないんですが、「主人公がこのパソコンで調べている年」=「私がこのゲームを遊んでいる今の年」みたいなので、時代の変化に左右されないように敢えて逆に90年代相当のパソコンを再現しているのかなと思います。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 初期設定では「ブラウン管のような表示」になっているのも芸が細かい(笑)。
 私は「スクショを撮るのに向いていないな」とアンチグレアにチェックを入れて普通の画面にしちゃいましたが、各所のレビューを読むと「ブラウン管のような表示」のままにした方が活きる演出があったとか。まぁ、お好きな方で。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 ごみ箱の中には「オセロ」的なゲームまで入っています。
 P1もP2も自分でやらなきゃいけないのでこれで遊べるワケではありませんが、昔のデスクトップ画面をイジっているような雰囲気は抜群ですよね(笑)。「これがクリア条件だったりするのだろうか?」と一応最後まで自分vs.自分で遊んでみたのは私だけで良いです。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 このゲームでプレイヤーがやることは、「検索窓」に語句を入力して、出てきた「動画」を観る―――これだけです。観ているのはあくまで「過去の動画」なため、プレイヤーが質問をしたり、行動を起こしたりすることは出来ないんですね。
 「動画」は、数日に渡る同じ女性の事情聴取らしく、この警察のデータベースは彼女の一言一句が検索できるようにしてくれています。例えば、ゲームを始めた直後はプレイヤーが分かりやすいように「殺人」という言葉が予め検索窓に入っていて、そのまま検索すると「殺人」という言葉を彼女が発した動画が全て出てくるという塩梅です。イギリスの警察は有能ですね。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>


 「バラバラの日」に撮影された、「同じ人物」の発言を観ていくことで、事件の真相が徐々に浮き彫りになっていくのですが……この警察のデータベースは「時系列順に動画を観る」ことは出来ず、あくまで「検索ワードで出てきた動画を観る」ことしか出来ません。「この発言の前後の動画を観たい」と思っても、前後の動画に出てきそうなワードを予想して検索するしか手段がないのです。イギリスの警察は無能か!


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 また、このゲームの「バランス」として非常に優秀なところなんですが……
 どんな検索ワードで出てきた動画も、再生できるのは「最初の5件」だけなんです。

 よく使われるワード……例えば「今」というワードで検索すると11件の動画が出てくるのですが、プレイヤーが再生できるのは時系列順で「最初の5件」だけです。当然ながら、後半の動画の方が「事件の真相」に近いため、プレイヤーは「前半には出てこない」「後半にだけ出てくる」ワードを推測して検索しなくてはならないのです。イギリスの警察はどうしてこんな仕様で構わないと考えたんだ……!(笑)


 ついこないだキンドル本で推理小説の短編集を発売したくらいなので、私は「推理もの」の小説も漫画も映画もゲームも大好きですが、この『Her Story』は「ゲームでしか味わえない」体験だったと思います。プレイヤーが自分で推理して、自分で考えて、自分で真相に近づいていく―――これは小説や漫画や映画には出来ない、ゲームならではの強みですよ。


↓2↓

◆ 細切れになったインタビュー動画を、一つ一つメモして整理して真実を導き出せ!
 このゲームを今から遊ぼうという人に一つアドバイスをしていくと、「メモを取りながらプレイしましょう」ということです。数日間に渡る事情聴取の動画を断片的に見るだけだと、ミスリードを誘う描写も多いし、この女の人が言っていることが二転三転するために混乱してしまうと思うんですね。

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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 例えば、↑の動画なら「1994年6月18日」の「19時25分02秒」と書かれています。
 「6月18日の発言はどうだったのか」「前後の文脈はどうなのか」といったことを整理するためにも、一つ一つの動画の「日付」と「時間」と「簡単な内容」くらいはメモを取っておいた方がイイでしょう。私はiPadのメモ帳に記録していましたが、単語帳みたいなカードタイプのものの方が順番を後から変えられるからイイかも。

 メモをとらなくてもクリアだけなら出来ないことはないというか……次の項で述べますが、このゲームは「事件の真相」がよく分かっていなくてもエンディングは迎えられるのでメモを取らない遊び方も出来なくはないのですが、しっかりと「事件の真相」に向かうためにもメモを取りながら遊ぶことを推奨します。


 フラグ管理に縛られることなく自分で考えた検索ワードから出てきたバラバラの動画を観て、事件の全体像を想像していく様は、他の作品では味わえない感覚でした。「バラバラの物語から真実を導き出す」のなら『ひぐらしのなく頃に』なんかもそれっぽいですし、「時系列がバラバラのストーリーを集めていく」のなら(このゲームより後の発売ですが)『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にも当てはまると思うのですが、そこに「自分で推理して検索ワードを考える」要素が入るため、プレイヤーの数だけ「真実への辿り着き方」がちがうのが面白いと思うんですね。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 絶対に「事件に直結するワード」だろうと推理して「死体」で検索したら、何故だかギター弾いて熱唱している動画が始まって、その歌詞に出てきただけだったというのは笑いました。

 どこまで計算しているのかは分からないのですが、「一つの単語で一気に真相が分かる」みたいなのがなくて、「徐々に、徐々に真実が浮き彫りになっていく」感覚があって……台詞の一言一句まで計算しているのかなと思いましたし、ましてや元々は英語のゲームだったのを日本語に翻訳したPLAYISMの功績スゲエって思いますよ。英語の分からない私みたいな人間でも、問題なく楽しめました。


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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 全部の動画の中で、どれを観て、どれを観ていないかが分かる「データベースチェッカー」というソフトもあります。とは言え、クリックしたらその位置の動画が観られるなんてことはなく、ただ単に「既に観たかどうか」しか分からないんですけどね。でも、本当に手探りで調べていくゲームなので、これがあるとないとでは大違い。

 ものすごく斬新なゲームかつ、インディー精神にあふれた作品なので、「ちょっと飯野賢治さんっぽいかな?」と思いながら遊んでいましたが、飯野さんだったらこんな「プレイヤーに対する気遣い」なんて絶対しない!綺麗な飯野さんだ!貴様、ニセモノだな!



↓3↓

◆ 「答え合わせ」などない、だからこそ「人と話したくなる」ストーリー
 ここから先は「クリア条件」についての話を書くので、ストーリーのネタバレはしませんが「クリア条件」なんて知りたくないという人は読まない方が身のためです。実際にこのゲームをプレイして、クリアしてからお読みください。


 さっきの項で「データベースチェッカー」なんて出したから、ひょっとしたら「なるほど、このゲームはこれを全部埋めていくゲームなんだな」と勘違いしちゃった人もいるかも知れません。確かにSteamの実績には「全部の動画を観る」というものもあるみたいですが、全部の動画は観なくてもクリアは出来ますし、私は観ていません。


 そもそもこのゲーム、プレイヤーが「事件の真相」が分かったかどうかすら重要視していないのです。
 普通この手のゲームだったら「証拠は集めた!あとは、この証拠で犯人を追い詰めるだけだ!」という展開になっていくと思うのですが、このゲームにはそういったものはありません。ある程度の動画を観たら「そろそろ終わりにするか?」と聞かれるので、「ハイ」と答えるとエンディングです。『逆転裁判』で言えば、「探偵パート」だけやって「裁判パート」がないみたいなことです。


 だから、メモを取らずにプレイするとエンディングを迎えてもなお「え?どういうことだったの?」と分からない人もいちゃうと思うんですね。普通の推理小説なら「探偵役」のキャラが事件の真相を明らかにしてくれますし、『逆転裁判』だったら裁判の果てに真相が見えてくるものですが……このゲームはあくまで「過去の事件を調べる」だけなので、真相はプレイヤー自身が考えなくちゃいけないし、真相にたどり着けなかったとしてもエンディングを迎えられちゃうのです。

 でも、現実の世界では「答え合わせ」なんかしてくれないし、「答え合わせ」をしてくれないからこそ「え?あれってどういう意味だったの?」と周りと話したくなると思うんです。「彼女の生い立ち」「事件に至るまでの道」、そして「彼女がその後どうなったのか」を誰かと話したくてウズウズしてくるのです。



 私はこれをものすごい英断だったと思います。
 それまでは「一本道」路線だったから一つでもクリア出来ないところがあると詰むしかなかった『ゼルダの伝説』シリーズが、『ブレス オブ ザ ワイルド』で「チュートリアルとラスボス以外は行っても行かなくても良い!」としたことでクリア出来ないところがあっても無視できるようになったように――――
 どうしたって「一本道」路線になりがちな推理アドベンチャーというジャンルに、「プレイヤー自身が好きなように調べれば良い」という圧倒的な自由度を取り入れたことで、「事件の真相」にすら気付かなくたってイイじゃないかとしたこの作品―――推理アドベンチャーというジャンルにおいて、一つの「ターニングポイント」になると思うんですね。


 実際、主人公は「過去に起きた事件を調べる」だけの人ですからね。この証言を元に誰かを逮捕する警察役でも、この証言を元に誰かを追い詰める検事役でもありません。ただ「調べる」だけの人だから、プレイヤーが「もうこの事件について調べるのはイイや」と思ったところでエンディングなのです。

 この没入感はすごいし、だから私「全部の動画を観よう」とか「Steamの実績をコンプしよう」なんて思わず、ある程度のところで「もういいや」とエンディングにしちゃったんですね。全部の動画を自力で観るのはものすごく大変なのだけど、だからといって攻略サイトを観ながら動画を埋めていく作業というのは、この作品の「プレイヤー=主人公」の没入度にふさわしくないと思いましたんで。

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<画像はSteam版『Her Story』より引用>



◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はSteam版『Her Story』より引用>

 「好き嫌い」の分かれるゲームだと思うんですが、このジャンルの一つのターニングポイントとして「推理アドベンチャー」が好きな人には遊んで覚えておいてもらいたいタイトルだなと思います。定価も600円弱と安いですし、クリアまでのプレイ時間もそれほどではありませんし(私はむしろものすごくかかった方で、他所のレビューを読むと私の半分くらいの時間で終わらせている人が多かったみたい)。

 あと、「ゲームとは」という表現に興味がある人にもオススメです。
 他のゲームにはない体験をさせてくれるのに、これはゲームならではの体験と断言できるもので、「ゲームとは何か」についても語りたくなる作品ですね。


 余談ですが、今作の精神的続編と言われる『Telling Lies』も今回のE3でトレーラー映像が出てきたみたいです。
 前作のヒットのおかげで、明らかに予算が上がっている……(笑)。登場人物は4人になり、持ち主不明のノートパソコンから4人の映像を再生して真実を解明していくというものみたい。Steamのページによると、最初から日本語字幕に対応しているみたいなので楽しみに待ちます!

| ゲーム紹介 | 18:00 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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「睡眠」をどうエンターテイメントにするのか、『ポケモンSleep』を予想する

 『ポケモンGO』で「歩く」をエンターテイメントにした後は、『ポケモンSleep』で「睡眠」をエンターテイメントにするぞ!ということで、2020年開始予定のスマートデバイス向けアプリ『ポケモンSleep』が発表されました。




 「睡眠」と「ゲーム」について、私には一過言ありますよ!
 ちょうど10年前の2009年に、任天堂は『睡眠記録 めざまし時計』というDSiウェアを200円で発売しています。寝る前にゲームをセットしてスリープモードにして、目覚ましが鳴ったら(鳴る前でも)ボタンを押して「眠った時間」を記録、それをグラフ化してくれるという実用ソフトでした。

 唯なら俺の隣で寝ているよ。『睡眠記録 めざまし時計』紹介

 当時のレビューを読むと、「平沢憂が起こしに来てくれたボイスを目覚まし音に設定すれば、俺の横に平沢唯が寝ている気分になれる」というどうかしているとしか思えないことを書いているのですが……『ポケモンSleep』が発表された現在、実はあながち馬鹿にできたもんでもないと思うんですね。理由は後述します。


 ということで、今日は「睡眠」と「ゲーム」についての話をして、『ポケモンSleep』がどういうゲームになるのか、果てはその先にある「睡眠ゲーム」の未来を予想していきたいと思います。



0.任天堂のQOL事業とは別のシステム
 と、その前に……
 熱心な任天堂ファンの中には、今回の『ポケモンSleep』の発表で「生きていたのかQOL!」と思った人もいらっしゃるかも知れません。

 QOLというのは、任天堂がWii Uでズッコケた際に「ゲーム機が失敗したときのためにゲーム機以外の事業もやっておかないとヤバイで」と立ち上げを発表した健康事業で、第1弾が「睡眠センサー」だったんですね。発売されたワケではなくて発表されただけでしたが。
 枕元に置いておくだけで、マイクロ波の非接触センサーが身体の動き、呼吸、心拍などを計測し、自動計測されたデータをインターネット上のQOLクラウドサーバーに送り、そのデータから睡眠状態と疲労状態を見える化する―――という装置でした。この発表が2014年の10月です。

 睡眠と疲労を見える化する任天堂の「QOLセンサー」ねとらぼさんより)


 しかし、その後任天堂は「キャラクターIP戦略」としてスマートデバイス向けアプリを展開するようになり、QOLの続報も出てこなくなり、2018年の6月には共同開発を行っていたパナソニックが離脱したという報道が出ていました。

 任天堂、パナソニックが離脱し「QOL」事業化が遠のくt011.orgさんより)


  そして、今回出てきた『ポケモンSleep』と計測デバイス「ポケモンGO PLUS+」の説明によると、枕元に置いた装置の加速度センサーを使って睡眠時間を測定するとのことで……QOLの時に語られていた「マイクロ波の非接触センサー」とは別物なんですね。むしろ、今回任天堂が「加速度センサーで睡眠時間を測定する装置を発売する」と発表したことで、「QOLのマイクロ波の非接触センサー」の開発が断念されたことが分かってしまったというか。

 そして、「枕元に加速度センサーを置いて睡眠時間を測定する」アプリというのは、いろんなメーカーから既にスマホ用にたくさん出ています。なので、恐らく計測デバイス「ポケモンGO PLUS+」を買わなくても、スマホを枕元に置けば『ポケモンSleep』は遊べるのでしょう。




1.睡眠の「時間」と「周期」をグラフ化する?
 “「枕元に加速度センサーを置いて睡眠時間を測定する」アプリというのは、いろんなメーカーから既にスマホ用にたくさん出ている”と書きましたが、だから『ポケモンSleep』がダメだって話ではありませんからね?『ポケモンGO』だって『Ingress』という既に出ていたゲームをベースにしていましたし、既にある技術にポケモンのキャラと世界観を融合させるだけでも絶対的な魅力になると思います。

 では、既にたくさん出ているというスマホ用の睡眠測定アプリはどういうものなのか――――


 基本的には、記事冒頭で紹介したDSiウェア『睡眠記録 めざまし時計』と似たようなもので、寝る前にアプリをセットしてスリープモードにして、目覚ましが鳴ったら(鳴る前でも)タップして「眠った時間」を記録、それをグラフ化してくれるという実用アプリです。枕元に置く「加速度センサー」タイプのものと、多少離れたところにも置ける「マイク」タイプのものがありますね。

 んで、それらのセンサーによって「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の周期を判定して、眠りの浅い「レム睡眠」のときに目覚まし音を鳴らすみたいなことも出来るのです。例えば「6時30分~7時30分の間に目覚ましをかけて」とセットしておけば、その1時間の中で目覚めやすい「眠りの浅いタイミング」を狙って起こしてくれるんですね。

 これを毎日続けてグラフ化していけば、「自分が気持ちよく起きられるのは何時間睡眠だ」とか「何時に寝ると目覚めやすいか」みたいなことが分かってくるのかなと思います。



 恐らく『ポケモンSleep』も「睡眠時間のグラフ化」と「レム睡眠・ノンレム睡眠の周期の判定」「レム睡眠のタイミングでの目覚まし」は出来るだろうと思います。でなかったら、加速度センサー付きのデバイスなんてわざわざ発売しないでしょうし。

 ポイントはそのデータをどうゲームに使うのか、だと思います。
 DSiウェアでもアプリでも睡眠記録を取っていた私の意見を言わせてもらうと、ただグラフにするだけだとすぐに飽きちゃうんですね。10年前から「ただグラフに残す」だけのソフトはあるのだからなおさらです。

 そのグラフによって、ポケモンが独自の成長をしていくとか、変わったアイテムが手に入るとか、ゲームに変化が出てくることで「睡眠」はエンターテイメントになっていくと思うんですね。
 例えば、「毎日規則正しい時間に眠って起きている人」だと穏やかな性格のポケモンになるけど、「毎日寝ている時間が大きく変動する不規則な生活の人」だと激しい性格のポケモンになる―――みたいな。




2.「ゲームを遊んでいない時間」にゲームが進む放置ゲー?
 さて、「睡眠計測アプリ」は既にたくさん出ていると先ほど書きました。
 ならば、『ポケモンSleep』より以前から、「睡眠」と「ゲーム」を合わせたアプリはないのかなと思ったら……これも既にあるんですね。

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<画像はiOS版『SLEEP QUEST by ねむゲー』より引用>

 このゲームはまくら株式会社という寝具メーカーから出ているアプリで、「プレイヤー」と「勇者」の睡眠時間が連動することで「プレイヤーの睡眠時間によって勇者のHPが回復される」というゲームシステムになっています。

 iOS版はこちら。Android版はページが消えている……?

 この記事を書くために数日プレイしてみたのですが、アイディアはイイのだけどゲームとしては工夫が足りず「勿体ないなぁ」という印象です。そりゃ寝具メーカーから出ている無料アプリで、広告も課金要素もないのだから、そんなに作りこめなかったのでしょうが。

 寝る前にゲームをセットしてスリープモードにして、目覚ましが鳴ったら(鳴る前でも)ボタンを押して「眠った時間」を記録(グラフ化はしてくれませんし、レム睡眠・ノンレム睡眠の判定もなし)―――睡眠時間に応じて勇者のHPが回復して、たくさん寝ると褒められて、あんまり寝ていないと心配されるみたいですね。
 日中は勇者が冒険に出ているためまったくやることなく、夜にまた寝ようとすると勇者が帰っていて、「HPが回復したおかげでこんなに冒険が出来ました!」とレベルが上がったりアイテムを持ち帰って部屋に飾っていたりするそうです。レベルが上がってもプレイヤーに得があるのかさっぱり分からないのだけど、とりあえずアイテムコンプが目標のゲームみたいです。

 ゲームデザインとして「プレイヤーが寝る前に成果を教えてもらえる」ようになっているのだけど、個人的にはこういうゲームは「起きた時に成果が欲しい」って思います。『ポケモンSleep』のコンセプトが「朝起きることが楽しくなるゲーム」なように、「睡眠」って「寝る」よりも「起きる」方が苦痛なワケですから、「起きる」時に楽しみを与えて欲しいのですよ。

 その辺は、ゲームメーカーのアプリじゃないからなぁってところなんですが……



 それはさておき。
 『ポケモンSleep』も、『SLEEP QUEST』と同様にプレイヤーが「睡眠」している間にパラメータが増減する放置ゲーになると思われます。流石に「眠っている間に、夢の中で操作しろ!」みたいなことは言わんでしょう(笑)。

 放置ゲーは究極的に言えば「遊ばなくても良いゲーム」です。
 就寝時と起床時以外にゲームを起動する必要がないのなら、『ポケモンGO』や「ポケモン本編」を遊ぶ時間を奪わなくても済みますし、むしろ『ポケモンSleep』で育ったポケモンを「ポケモン本編」に連れていけるみたいな機能があれば「放置ゲーで育てたキャラを別のゲームで活躍させられる」という新しい可能性にもなると思うんですね。

 「睡眠計測アプリ」は既に山のように出ているレッドオーシャンですが、「睡眠」と「ゲーム」の橋渡しになるアプリというのは、既に強力なコンテンツを持っているポケモンにとってはむしろブルーオーシャンなのかなと思います。




3.「ポケモンと暮らす」コミュニケーション系ソフト?
 とは言え、『SLEEP QUEST』みたいに「昼間は何もやることがない」ゲームにはしてこないと私は思っています。

 『ポケモンGO』のヒットって、「遊んでいる人」が街中を歩いて可視化されたことによって「私もやってみたい」と思わせたのが大きいと思うんですね。それに比べると「眠っている時だけ起動する」『ポケモンSleep』では、みんなが遊んでいる姿を見ることが出来ません。「そんなアプリが出た」ことすら知られないまま消えかねません。

 なので、「人に見せびらかしたくなる要素」みたいのを入れてくると思うんです。持ち歩けるスマートフォン用のアプリですしね。そうすると、「眠る」時以外でもポケモンと遊べる―――ポケリフレ的な要素を拡充してくるんじゃないかと予想します。


 記事の冒頭で「目覚ましの音を平沢憂にすれば俺の隣に平沢唯が寝ている気分が味わえる」なんてことを書きましたが、『ポケモンSleep』が発表された際の映像では「眠っているプレイヤーの横でピカチュウが寄り添って眠り始める」というイメージ映像が流れていました。「ピカチュウなら俺の隣で寝ているよ」です。

 「ポケモンが隣に寄り添って眠るイメージ」ならば、例えば相棒に設定したポケモンが朝起こしてくれるみたいな機能は入れてくると思うんですね。小さな子供だったらポケモンのぬいぐるみと一緒に寝てたりもするでしょうから、そうしたポケモンが起こしてくれるというのはワクワクする話ですし、もっと言うと『ポケモンSleep』と連動したスピーカーや振動機能が内蔵されたぬいぐるみとかも発売されるかも知れません。


 「ポケモン本編」のように「ポケモンを鍛えて敵に勝つ」みたいなバトル路線というより、「ポケモンが生活の中に入り込む」コミュニケーション系のソフトになるんじゃないかと私は予想します。『nintendogs』みたいなカンジで。なので、「睡眠」以外にも色んなコミュニケーションが取れるんじゃないかと思うのです。



 この「お気に入りのキャラが一緒に寝てくれて、朝起こしてくれる」のって、ポケモンに限らず、美少女キャラだったりイケメンキャラだったりで絶対需要があると思うのですが……どこもまだあまり手を付けていないように思います。
 それこそ『ラブプラス』なんかは目覚まし機能があったそうなんですが、もっと生活に根付いたカンジで、「朝起こしてくれる」だけじゃなくて「一緒に夕食を食べてくれる」とか「ヒマな時に話し相手になってくれる」みたいになってくれると―――そのポジションって、Alexaなんですよね(笑)。

 Alexaのポジションにゆくゆくは美少女キャラだったりイケメンキャラだったりが入るのかも知れないのだけど……とりあえず現時点で「生活を共にしてくれる」ポジションとして、『ポケモンSleep』はその位置を狙っているのかなぁと思います。


  
 ということで、私『ポケモンSleep』以上に「ポケモンSleepの後追い作品」とか「それらの作品によって変わる世界」に興味があります。

 「キャラクターと一緒に寄り添って寝ることが出来る」から、「自分の生活をキャラクターが共に過ごしてくれる」になっていけば、それはもうAR(拡張現実)の世界だと思います。1年後、2年後にそうなるとは言いませんが、10年後、20年後には「立体映像で作られたピカチュウが自分の部屋で普通に生活している」なんてこともあると思うんですね。

 それがポケモンキャラに留まらず、美少女キャラだったりイケメンキャラだったりにも出来たのなら「○○は俺の嫁」みたいなことも夢じゃないし、「○○は俺の嫁」ってある意味ではAR(拡張現実)だったのかもと思わなくもない。



 それはそうと、こんな記事を書きながら私ポケモンに全然詳しくなくて、私がプレイしたことあるポケモンのゲームは『ポケモンスナップ』と『名探偵ピカチュウの1作目(途中で話が終わるヤツ)』だけなんですけど……添い寝にふさわしくないポケモンもたくさんいますよね?
 巨大なポケモンは体長が10m以上あるらしいですし、常に燃えているポケモンとか、毒をまき散らすポケモンとか、一緒に寝るのは無茶じゃなかろうか。いや、むしろ電気毛布とか空気清浄機とかと連動して「このポケモンと添い寝すると暑くて寝苦しい」とか「このポケモンと添い寝すると息苦しい」とかすると、AR(拡張現実)としては完璧なのか……?

| ゲーム雑記 | 17:50 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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キンドル本を「最新データに更新」するのは、やり方さえ分かれば5分もかからなかった

 キンドル本の新刊、小説短編集『待たされている間は名探偵時間』が発売中です!
 定価250円!よろしくお願いします!




 さて……実はこの『待たされている間は名探偵時間』なんですが、iOS端末のキンドルアプリで読んだ場合に一部の表記がおかしくなるという報告がありまして。私の方でも確認しました。例えば、このシーン……という例を出すので、スクショには1作品目のネタバレがあるのはご容赦ください。 ↓クリックすると拡大するようにしてあります。

iOSban.jpg

 「………!?」の位置がおかしいのと、「かわいい」「ソーメン」「ジョッキ」「インテリ」の文字が何故か一文字にまとめられています。iOS端末で読んでいた人は「変わった演出だなー」と思っていたかも知れませんが、これは作者の意図しない不具合です。申し訳ありません。


Screenshot_2019-06-06-10-49-33.png
 
 キンドル系の端末……↑これはAmazonが出している「Fire」というタブレット端末ですが、こちらだと「かわいい」「ソーメン」「ジョッキ」「インテリ」がちゃんと表記されていることが分かると思います。


PCban.jpg

 PC版のアプリでもちゃんと表記されていますね。
 今のところ妙な表記が確認されたのはiOS版だけです。



 理由を調べてみたのですが、これは別にAppleが悪いワケではありませんでした。
 「!?」のように、本来は2文字である言葉を縦書きの1マスに収めることを「縦中横」というのですが、キンドル本を作成する時にはこれを「span class="tcy"」というタグで設定できるのです。

edita.jpg

 こんなカンジね。「!?」の前後に「span class="tcy"」というタグと「/span」というタグがありますね。


 iOS版の表記がおかしくなった原因は、この「/span」という閉じる側のタグの位置がズレてしまっていたからみたいです。「この文字だけ縦中横で表示してね」と設定するところ、「ここからず~~~~~~~~~っとその章の最後まで縦中横で表示してね」と設定してしまったため、「かわいい」「ソーメン」「ジョッキ」「インテリ」といった文字まで縦中横で表示されてしまったのです。


 しかし、厄介なことにこの縦中横で表示できるものがiOS版のキンドルアプリと、キンドル系端末の読書アプリと、PC版のキンドルアプリとで全部ちがっているみたいで、キンドル系端末の読書アプリやPC版のキンドルアプリでは問題なく表示されたのです。んで、発売前に「キンドル系端末の読書アプリ」で最終チェックをしていた自分は、タグの位置がズレていることに気付かずに発売してしまったという……

 申し訳ないです。今後はこのようなことがないように、ちゃんと発売前に念入りにタグをチェックしようと思います。




 さて、ここからが本題です。
 とは言え、「紙の本」とちがって「電子書籍」なら修正データを提出すれば解決するだろうと思っていました。あとから「最新データに更新」できるのが電子書籍の良さだろうと思っていました。
 急いで修正データを提出して、それがちゃんと反映されて、現在Amazonで買えるキンドル本はこの「修正版」になっているはずなのですが、私のiPadに入っているキンドル本は「修正版」になっていなかったのです。一旦端末から削除して再ダウンロードしてもダメですずっと無修正です。


 というのも、私、今までずっと勘違いしていたのですが……
 内容が抜本的に変わるみたいなことがない限り、キンドル本って「購入者が購入した時点のバージョン」で固定されて、端末から削除→再ダウンロードしても「最新のバージョン」ではなく「購入者が購入した時点のバージョン」がダウンロードされるんですって。

 ものすごく分かりやすい例えで説明すると、現在『JUDGE EYES』を新たに買おうとするとその中にピエール瀧さんはいないのですが、ピエール瀧さんがいる時期に『JUDGE EYES』ダウンロード版を買った人は、再ダウンロードしても「ピエール瀧さんがいるバージョン」がダウンロードされる―――みたいなことです。うむ、分かりやすい!


【著者&読者対象】購入済みKindle版書籍の更新方法・最新版の再ダウンロード方法

 「じゃあ、早期に購入した人はずっと「かわいい」が一文字で表示されるような珍妙なバージョンを読み続けなくちゃいけないの?」というと、面倒くさいですが解決方法はあります。↑の記事の「【著者&読者対象】購入済みのKindle書籍をAmazonにお願いして再ダウンロードする方法」という場所に書かれている通りにして、カスタマーサービスにEメールを送ると「最新バージョン」に差し替えてくれるみたいです。


 自分もやってみようとしたところ、この記事は2年前に書かれた記事だそうですから細かいところが現在は変更されていたりするみたいですね。なので、私がやった順番を改めて書きます。

 カスタマーサービスのページを開く
→ 「デジタルコンテンツとサービス」をクリック
→ お問い合わせ内容を「Kindle電子書籍」
→ 詳細内容を「Kindleコンテンツの問題」
→ さらに詳細を「Kindle本のダウンロードの問題」に設定

 時間帯とか曜日に依るのかも知れませんが、私が開いたときは「Eメール」での問い合わせはなかったので「チャット」での問い合わせにしました。普段ROM専の人は「えー、チャットー?」と思うかも知れませんが、予め文面を用意しておいてそれをコピペで送れば、あとは「お願いします」とか「ありがとうございました」とかだけで大丈夫です。

 今回の場合の文面は、先ほどのサイトを参考にこんなカンジにしました。

<文面>
以前に以下のKindle電子書籍を購入しました。
改めて最新版を再ダウンロードしたいので、ご対応をお願いいたします。

識別番号:ASIN: B07SMMTLLB
書籍名:待たされている間は名探偵時間: ーやまなしレイ小説短編集ー

再ダウンロードすると、現在のハイライト、ブックマーク、メモ、最後のページ番号等がが削除されることを十分に理解しており、それらを了解したうえで、最新版のダウンロードを申請します。

</ここまで>

 これをコピー&ペーストしてチャットを開始すると、あちらの方が迅速に手続きをしてくれるのであっという間に終わります。早期にダウンロードしてくださった人には手間をかけて申し訳ありませんが、5分もかからずに終わるので参考にしていただけたら幸いです。

iOSban2.jpg

 ハイ直った、かんぺきー!


 もちろん「別に表記がおかしくても問題ない」という人は最新版に更新しなくても読めなくはないですし、今のところiOS版以外では表示がおかしくなることは確認されていないのでiOS端末以外で読んでいるという人には関係がない話です。


 重ね重ね、みなさんにはご迷惑をおかけしました。

| 小説創作 | 17:52 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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マリオを動かしているのは誰だ?俺が、俺が……マリオなのか?

 偶然なんですけど、この記事この記事とで連続して「一人称視点」「三人称視点」の話になったので、この機会に「ゲームにおける視点」についての話を書いておこうと思います。


 ゲームにおいて「一人称視点」「三人称視点」という言葉が出てきたとき、それが意味するのは「カメラの位置」です。

 「一人称視点」は、「カメラの位置」が「主人公の目」とイコールなゲームですね。
 『DOOM』や『Halo』といったFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)が代表例ですが、古くは『ウィザードリィ』や最近では『世界樹の迷宮』などの3DダンジョンRPGも「一人称視点のゲーム」と言えますし、『ポートピア連続殺人事件』や『ファミコン探偵倶楽部』などのテキストアドベンチャーも「一人称視点」なことが多く、そこから派生している恋愛アドベンチャーゲームなんかも「一人称視点」なことが多かったです。

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<画像はセガサターン版『慟哭 そして…』より引用>

 ゲームがドット絵からポリゴンになって、シームレスに動きまくれる3Dアクションゲームが出てくるのは大体90年代の中盤ですが、それ以前から「一人称視点のゲーム」は(特に非アクションゲームならば)たくさんあったんですね。主人公の目線とプレイヤーのカメラをイコールにすることで没入度を上げる手法は、コンピューターゲームの黎明期から続く手法なんです(例えば、最古のFPSは1973年の『Maze War』というゲームらしい)




 それに対する「三人称視点」は、「カメラの位置」がキャラクターとは関係のない場所にあるゲームです。
 『Splatoon』や『フォートナイト』のように「キャラクターの背後にカメラが回り込む」タイプのTPS(サードパーソン・シューティングゲーム)が分かりやすい例と言えますが、監視カメラのような位置から画面を映していた初代『バイオハザード』や、『スーパーマリオブラザーズ』のような横スクロールアクションや『ゼルダの伝説』のようなトップビューのアクションアドベンチャーも「三人称視点」と言えば「三人称視点」なんですよね。

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<画像はプレイステーション版『バイオ・ハザード ディレクターズカット』より引用>


 マリオシリーズは3Dアクションになった以降も「三人称視点」ではあるんですが、初めて3Dになった『スーパーマリオ64』のオープニングで「ジュゲムがカメラを持って飛び回る」姿を描いて、今までは固定されていたカメラが今回から動き回るんだとプレイヤーに教えて始まるという。「三人称視点」のカメラワークにちゃんと理由を付けている稀有な例だと言えるのですが、「ジュゲムって敵じゃないの?」とは当時から私納得がいっていません(笑)。

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<画像はWii Uバーチャルコンソール版『スーパーマリオ64』より引用>



 「一人称視点」か「三人称視点」かの話で語っておかなくちゃいけないのは『ドラゴンクエスト』の話です。『ドラゴンクエストソード』の記事では「ドラクエは元々一人称視点のゲームだった」と書きましたが、それは半分ウソで、『ドラゴンクエスト』は元々「戦闘は一人称視点」だけど「移動は三人称視点」のゲームなんですね。

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<画像はWii版『ドラゴンクエスト』より引用>

 これは、戦闘部分は「一人称視点」の3DダンジョンRPG『ウィザードリィ』を、移動部分は「三人称視点」のターン制RPG『ウルティマ』を参考にしているからだと言われていますが、『ウルティマ』もダンジョンは3Dらしいんですね。
 そのせいか『ドラクエ』以前の日本産RPGにも「一人称視点」と「三人称視点」を融合させたものも結構あって、光栄の『ダンジョン』とか、『夢幻の心臓』とか……流石にこれらの作品は私やったことがないんで、どういう狙いでそうしたのかは分からないんですが、この時期のスタンダードな方式だったと言うことが出来るのかなとは思います。



 「一人称視点のゲーム」と「三人称視点のゲーム」を比較すると、「三人称視点のゲーム」の方が“カメラがキャラクターに縛られない”ために自由なアクションが出来るかなぁと思います。
 もし『Splatoon』が「一人称視点のゲーム」だったなら、イカになってインクの中に潜伏した途端に何も見えなくなってしまいます(笑)。もし『マリオ』や『ゼルダ』が「一人称視点のゲーム」だったなら、スピンジャンプや回転斬りをするたびに画面が高速でグルグル回るので3D酔いが半端なかったでしょう。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>


 なので、「一人称視点のゲーム」は『マインクラフト』とか『Portal』みたいに「主人公が多彩なアクションをする」のではなく「フィールドの方に様々な働きかけが出来る」ゲームの方が向いていると言えますし、『フィンチ家』とか『Firewatch』のような最近流行のウォーキングシミュレータのようにアクション要素があまり強くないゲーム(注2)や、コマンドバトルRPGやテキストアドベンチャーなんかに向いているのかなぁと思います。

(注2:いや、『フィンチ家』はある意味では「多彩なアクションをするゲーム」か……?おかげでむっちゃ3D酔いするので自分はクリア出来なかったのだけど)




 というのが、お行儀よく「一人称視点」「三人称視点」について語った話です。
 ここからは私らしく、ぶっ飛んだ話をしていきます。

 そもそも、ゲームというのは「プレイヤーがキャラクターを操作する」以上、すべてのゲームが「一人称のゲーム」と言えるんじゃないかとも思うのです。カメラの位置に関係なく。

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<画像はNintendo Switch Online版『スーパーマリオブラザーズ2』より引用>

 例えば、『スーパーマリオ』でマリオをジャンプさせている時(この画像はルイージだけど)、私達は超能力のようなものでマリオ(ルイージだけど)をコントロールして彼の体を操っているとは思っていませんよね。私の指とマリオ(ルイージだけど)が一体になって、俺が、俺こそがマリオ(ルイージだけど)なんだ!と思ってプレイしているんじゃないでしょうか。



 これは、『スーパーマリオ』のマリオだろうが、『ゼルダの伝説』のリンクだろうが、『星のカービィ』のカービィだろうが一緒です。私が操作している以上、私は「私が操作しているキャラクター」になりきっていると思うのです。
 女の子が主人公のゲームを遊んでいる時は私は女の子になるし、『ファイナルファンタジーVI』みたいに「プレイヤーキャラが次々と切り替わるゲーム」はその度に「俺がティナだ!」「俺がロックだ!」「俺がマッシュだ!」となりきるキャラクターが切り替わります。

 野球ゲームを遊ぶときは打順によって「俺が秋山だ!」「俺が清原だ!」「俺がデストラーデだ!」となりきっているし、守備時は「俺が渡辺久信だ!」と投げた後、例えば4-6-3のダブルプレイとかだと「俺が辻だ!」と思った後「俺はボールだ!」とボールになりきって飛んでいるように思います。

 この辺りから段々「やまなしさん、何言ってんの……?」と思われてそう(笑)。



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<画像はSteam版『プリンセスメーカー リファイン』より引用>

 『プリンセスメーカー』とか、『たまごっち』とか、『nintendogs』みたいな育成シミュレーションは、「俺が娘だ!」「俺がおやじっちだ!」「俺が犬だ!」と思うのではなく、育てる側と一体になるので「俺がお父さんだ!」「俺が飼い主だ!」「俺がお父さんだ!」となりきります。

 同様に『シムシティ』とか『A列車』みたいなミニスケープ型のシミュレーションゲームも、「俺がビルだ!」とか「俺が線路だ!」なんて思わず、「俺が市長だ!」「俺が社長だ!」となりきってプレイしています。
 『信長の野望』のような歴史シミュレーションも、一人一人の武将ではなく、それを指揮する立場になりきって「俺が信長だ!」と遊びますし。『ファイアーエムブレム』のようなSRPGや、リアルタイムストラテジーやタワーディフェンスなどのゲームも、全体を指示して動かす立場になりきってプレイします。「俺がマルスだ!1人10体くらい倒せ!」

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<画像はWiiバーチャルコンソール版『デア ラングリッサー』より引用>

 これは『ドラクエ』とか、私はプレイしたことがないですけど『ポケモン』とかもそうで、『ドラクエ』や『ポケモン』のようなコマンドバトルRPGは「たくさんのキャラを操作している」のではなく「主人公が仲間に指示を出している」という形なんですよね。なので、4作目以降の『ドラクエ』は仲間が勝手に動くようになったのに、主人公だけはオート戦闘に出来ないという。



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<画像は『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』より引用>

 ソーシャルゲーム……というか、キャラをガチャで集めてチームを編成して育てていく基本無料ゲームもこの延長線上にあるので、例えば『デレステ』でリズムゲームを遊んでいても「俺が橘ありすだ!」となるのではなく、プレイヤーはあくまで彼女らのプロデューサーで彼女らに指示を出しているという形なんですよね。


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<画像は『BanG Dream!ガールズバンドパーティ!』より引用>

 これが『バンドリ』になると、プレイヤーは「ライブハウスの新人スタッフ」というポジションで、(プレイヤーがその場にいない)彼女達に起こった出来事を後日「こんなことがあったんですよ~」とノロケ話のように聞かされているという。
 百合ゲーとして捉えるなら、「私は彼女達を眺めるだけの壁になりたい」みたいな意味での「俺は壁だ!」ということなのか。


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<ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online版『ドクターマリオ』より引用>

 落ちものパズルゲームはどうなのかというと、『ドクターマリオ』は分かりやすいですよね。「俺がマリオだ!」と思ってカプセルをぶん投げる。ぶん投げた後のカプセルを自由に動かせたり、ぶん投げるカプセルを選べなかったりするのはどういうことだと思わなくもないですが、落ちものパズルゲームも「全体を指揮する立場」になるゲームだと思います。

 『ぷよぷよ』も一匹一匹のぷよ(スライム)になるんじゃなくて、「ばよえーん!」とか叫んでいるアルルのポジションがプレイヤーですもんね。「俺がアルルだ!」
 『テトリス』は分からん。アレって誰がなんのためにブロックを積み上げて消しているの……?ゲームボーイ版でロケットが打ちあがるということは、「ブロックを揃えることで何かの部品が完成してやがて大きな製品が出来上がる」みたいな意味なのかな。とすると、プレイヤーはそれを維持する為政者とも考えられて「俺が共産主義だ!」ってこと????


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<画像は『どうぶつの森+』収録の『ピンボール』より引用>

 「俺は一体、誰なんだ……?」と謎なのは、「ピンボール系のゲーム」です。
 いや、ファミコンの『ピンボール』のようなゲームなら、「俺はピンボール台の前に立っているプレイヤーだ!」と思うことが出来るのですが……謎なのは、そこから派生した「アクションゲームにピンボールを足したようなゲーム」達です。

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<画像はSteam版『SEGA Mega Drive and Genesis Classics』収録の『Sonic Spinball』より引用>
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<画像はNintendo Switch版『Yoku's Island Express』より引用>

 『ソニックスピンボール』や『Yoku's Island Express』は、2Dアクションゲームのように主人公キャラを動かしつつ、フィールド中に多数存在するフリッパーもすべて私が動かします。「俺が!俺がソニックだ!」と思っていたら、「あれ?そのソニックを打ち上げるフリッパーも俺なの?」となってしまうという(笑)。




 とまぁ、一部まだ考察したりないジャンルはありますが、コンピューターゲームは基本的に「プレイヤーが特定のポジション・キャラクターになりきって操作する」ものだと思うんですね。「一人称視点」だろうが「三人称視点」だろうが、ゲームは大体「一人称」だろうと思うのです。

 しかし、そう考えると謎なのはむしろボードゲームとかカードゲームです。
 将棋やチェスは「指揮官になるゲーム」で、囲碁やオセロも「陣取り合戦の指揮官になるゲーム」だと思うんですが、麻雀はナニあれ。あれは一体何をしているの?一九字牌を全部集めたから「国士無双だ!」って、俺は一体何をしているの?

 トランプゲームはもっと謎で、ババ抜きとか大富豪(大貧民)は恐らくマスゲームの一種だと思うのですが……神経衰弱とかは俺はどの立場で何をやらされているのだろうか?ページワンから派生したUNOとかも、俺はどの立場で「手札を0にしたら勝ち」なのか。世の中に「早く失った方が嬉しいこと」なんてあるのだろうか。煩悩か?あれは煩悩を捨てているのか?


   

| ゲーム雑記 | 17:54 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

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「一人称の物語」と「三人称の物語」

 キンドルにて小説短編集が発売中です!
 定価250円!よろしくお願いします!




 この機会に書いておきたいのが、「一人称視点」と「三人称視点」の話です。

 このブログを読んでいる人にはゲーム好きの人が結構いると思うので、3Dアクションゲームや3Dアドベンチャーゲームにおける「一人称視点」と「三人称視点」のちがいは直感的に分かる人が多いかなと思います。

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<画像はWii用ソフト『ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』より引用>

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<画像はプレイステーション版『Dの食卓』より引用>

 ウチのブログで紹介したゲームで言うと、『ドラクエソード』や『Dの食卓』なんかは「一人称視点」のゲームです。有名どころで言えば『マインクラフト』は基本的には「一人称視点」ですし(「三人称視点」にも切り替えられるみたいですが)、VRのゲームなんかは「一人称視点」のものが多いですね。



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<画像はNintendo Switch用ソフト『Splatoon2』より引用>

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<画像はNintendo Switch版『フォートナイト バトルロイヤル』より引用>

 それに対して『Splatoon』や『フォートナイト』はプレイヤーキャラの後ろにカメラがあるので「三人称視点」の3Dアクションシューティング(TPS)と呼ばれています。ゲームの分類においては、「カメラ=キャラクターの目線」なものを「一人称視点」、「カメラがキャラクターも映す」ものを「三人称視点」と言っているのだと思います。

 要は、「どこにカメラがあるのか」って分類なんですね。

 それによってゲームがどう変わるのかとか、例えば『スーパーマリオブラザーズ』とか『ドラゴンクエスト』とか『逆転裁判』とかはどうなんだという話も書いてみたいのですが、今日の記事で語りたいのは「小説」の話なので、「ゲーム」の話はまたの機会にしましょう。




 さて、ここからが「小説」について。
 「小説」を読む側の人はあまり意識しないかも知れませんが、「小説」には「一人称の小説」と「三人称の小説」があります。どこがちがうのかと言うと、これも「ゲーム」の話と一緒で「どこにカメラがあるのか」がちがうだけです。ただ、小説のカメラは「画面」だけでなく「気持ち」とか「情報」も映せるというのがポイント。


 例えば、超有名な『吾輩は猫である』の冒頭部分を見てみましょう(リンク先:青空文庫)。

<以下、引用>
 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。

</ここまで>

 一行目から「主人公=猫」の視点で描かれる「一人称の小説」だと宣言するところから始まります。猫の目線から人間の生活を見ていくという作品ですが、例えば「どこで生れたかとんと見当がつかぬ。」という表現から分かるように「主人公(=猫)が知らないことは描けない」というのが「一人称の小説」なんですね。これがもし「三人称の小説」だったら「親猫はこの猫を産んだ後、うんぬんかんぬんなのじゃ」みたいな説明が入ったかも知れませんが、「一人称の小説」ではそれは出来ないんですね。

 「読者」と「主人公」の知っていることがイコールになるので、没入度も増すというのが「一人称の小説」の特徴です。





 では次、こちらも冒頭部分が超有名な『走れメロス』を見てみましょう(リンク先:青空文庫)。

<以下、引用>
 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
</ここまで>

 一行目から、主人公:メロスを客観的に見て「メロスは激怒した」と表現しているように、この作品は「三人称の小説」です。
 だから、「(メロスは)邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。」みたいなことが言えるんですね。一人称の小説でこれをやると「私は、邪悪に対しては人一倍に敏感である」と言い出すイタイ人になっちゃいますからね。まぁ、こういう人Twitterにはいっぱいいますけどね!


 「三人称の小説」の特徴は、「主人公が本来知らないことも描くことが出来る」ことにあります。例えば『走れメロス』にはこういう描写も出てきます。

<以下、引用>
 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
</ここまで>

 これはメロスが王に「セリヌンティウスを置いていくから3日間待っててね」と言った際の描写です。主人公:メロスには分かるはずがない「王の思惑」が描写され、このおかげでラストシーンのカタルシスが増すのです。このため『走れメロス』は「メロスの物語」なだけでなく、「王の物語」とも言えるのです。

 “神の視点”で、主人公以外のキャラクターの「思惑」や「状況」も描けるので、読者が「全体」を把握できるのが「三人称の小説」の特徴でしょう。





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<画像は『その日 世界は…』1巻2話「ずいぶんと遠くにいっちゃったなぁ…」より引用>

 んで、基本的にマンガって「三人称視点」なんですよ。
 もちろん「カメラがずっと主人公を追いかける」タイプの漫画もあるし、「主人公以外の心情描写をしない」タイプの漫画もあって、それらは「一人称の小説っぽいマンガ」だと思うのですが……マンガである以上、カメラが三人称視点の位置にあるので、完全な形の「一人称視点」にはなりづらいのです。

 短編とかなら、「カメラ=主人公の目線」の実験的マンガというのもなくはないですが……一発ネタであって、それを長期的に描くのは難しいかなと思います。
 「主人公=作者」のドキュメンタリー漫画とかエッセイ漫画でも、作者をキャラクター化して「三人称視点」で描きますからね(映画なら、ドキュメンタリー映画だと監督の顔が映らないものも結構あるし、フィクションでも一人称視点のものがチラホラ出てきてるらしい)

 恐らくですけど、マンガって「表情でキャラクターの気持ちを描写する」文化なため、完全な「一人称視点のマンガ」だと主人公の気持ちが読み取れなくて怖くなってくると思うんですね。「一人称の小説」とは逆に「読者」が「主人公」に感情移入できなくなるので、むしろそれを利用して「主人公が読者の理解できない行動をとる」サイコホラーっぽい作品なら「一人称視点のマンガ」も面白く出来そうかな。ストーカー視点のマンガとか。



 こんなカンジに、私は長年マンガを描きながらこの「視点の限界」についてずっと考えてきました。例えば『朝が来る』なんかは、「主人公以外の心情描写をしない」ことで「一人称の小説っぽいマンガ」にしようとしましたし。例えば『たのしみのない家族』は、「カメラが追いかける主人公を次々と切り替える」ことで「心情描写を敢えてしないキャラの心理を推測させようとした」のだし。

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<画像は『春夏秋冬オクテット(冬)』「たのしみのない家族」より引用>



 「ライトノベルを書いてみたらどうでしょう?」とコメント欄で言われたとき、最初はピンと来なかったんですけど、マンガでは出来ない「完全な一人称視点」が小説なら出来るじゃないかと思ったのです。

 マンガより小説の方が優れた表現媒体だとか、マンガを描くのにもう疲れたから小説に逃げるとかじゃなくて、自分の思いついた作品で「マンガという表現媒体に向いているものはマンガで描いて」、「小説という表現媒体に向いているものは小説で書けば」イイじゃないか―――その選択肢が増えるのはイイことだと思って、今回初めて小説を書くことにしたのです。

 なので、もし「ゲームという表現媒体に向いている」という作品を思いついた場合は、BASICで作るのでしょう(笑)。



 というワケで、今回の小説短編集に収録している5本の作品は、「一人称の小説」であることを活かして出来ることを考えて生まれた作品です。キャラクターから作るとか、ストーリーから作るとかじゃなくて、まず構造から作っているんですね。んで、それを活かせるシチュエーションは何かと考えていっている……

 ネタバレにならない範囲で説明しますと、5作品目『待つことしか俺には出来ないのか』は「視点となる主人公キャラを切り替える」ことで全体像が見えてくることを狙った作品です。短編集のラストということで最も高度なことを読者にさせようという試みで、『たのしみのない家族』とかなり似た構造の作品になっています。

 「構造」から入っているため、最後までどっちを書くか悩んでたもう一つの候補は「ケンカしている女子中学生グループの一人一人に話を聞いてケンカが起こった本当の原因に迫る」というキャラクターもストーリーもシチュエーションもテイストもまったくちがう作品でした。ただ、「構造」だけは一緒なんです。
 ちょっとお話し的に地味だったのと、2本連続学園モノは飽きられそうだったのと、中学生ヒロインは亜希ちゃん一人でイイやと思ったのとで、連続殺人事件の方を5作品目に選んだのでした。「そんな理由で殺されたのか!」と被害者の人達から顰蹙を買いそう(笑)。


 ちなみに投稿サイトの段階でボツになった「幻の4作品目」は、お笑い芸人が主人公で「ドッキリを仕掛けられている」と思いこんだ人の「一人称視点」で「読者の全員が気付いていることに主人公だけが気付いていない」コメディでした。
 しかし、この「主人公が気付いていないことに読者全員が気付く」というのが、マンガだったら簡単に描けそうなのに、「一人称の小説」で書いたらすごく難しくて……んで、元々5作品目として考えていた(短編集では4作品目)『待ってるこっちの身にもなってくれ』が似たような構造で、こっちの方が分かりやすいじゃないかと思ったので「幻の4作品目」は幻に消えていったのでした。




 そんなカンジに「一人称の小説」を書くのは、「三人称視点のマンガ」を描くのとは別の楽しさがあって、機会があればまた書きたいなとネタもたくさんあるのですが……唯一「一人称の小説」を書くにあたって難しいなと思ったのが、「自分と語彙がかけ離れた主人公には出来ない」ということでした。

 自分より語彙が豊富な主人公にしようとしても、自分の知らない言葉はなかなか出てこないし。
 逆に、自分より語彙がない(例えば小さな子供とか)主人公にしようとしても、ついつい自分の知っている言葉を使ってしまいがちだし。

 「すごい天才」も、「すげー馬鹿」も、なかなか主人公にしづらいんですよね。
 だから、あの、『その日 世界は…』の夏央みたいな主人公は「一人称の小説」だと書くの難しいと思うんですよ。あのコ、語彙が10個くらいしかないので(笑)。マンガで描いてて良かった!

  

| 小説創作 | 17:51 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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小説短編集『待たされている間は名探偵時間』がキンドルにて発売されました!

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 短編の推理小説を5つ収録したキンドル本を発売しました!
 定価は250円で、キンドルオーナーライブラリーKindle Unlimitedで読むことも可能です。キンドル本は「キンドル」という名前の付いた端末を持っていなくても、iOSAndroidOSのスマホやタブレット端末、パソコンでも無料アプリを入れることによって読むことが出来ます。



 収録しているのは以下の作品です。

<過去に投稿サイトで公開した(現在は公開終了しています)
・『待つことには慣れている』
・『待つのももう限界だ』
・『待っている間にしなければならないことがある』
・『待ってるこっちの身にもなってくれ』

<このキンドル本のために書き下ろした新作>
・『待つことしか俺には出来ないのか』


 どの作品も、主人公が「待たされている」間にアレやコレやと考えを巡らせる「一人称視点」の「安楽椅子」タイプの推理小説です。基本的には「日常の謎」路線ですが、例えば5作品目の『待つことしか俺には出来ないのか』なんかは以前に「やまなしさんが書いた本格ミステリーを読んでみたいです」と言われたのを受けて考えた作品だったりするので、作品によってはヘビーな展開もあります。

 Amazonの商品ページには、「紙の本だったら517ページです」と書かれてますね……
 特に『待つことしか俺には出来ないのか』は短編の予定ではなかったのですが、短編集に入れる予定の作品を1つボツにしてしまったため、その1枠を埋めるために短編集にねじ込んだため。ボリューム的には『待つことしか俺には出来ないのか』は全然短編じゃないんですよね……


 また、「推理小説にはビジュアルのイメージがあった方が考えやすいだろう」という構想があったため、イラストをふんだんに入れてあります。ザっと数えたらおよそ80枚前後だったと思います。もう、イラストだけで漫画を描くのと変わらない労力では!?

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 キンドルで本を読んだことがない―という初心者のために、超分かりやすい画像を用意しました。よろしくお願いします!

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| 小説創作 | 20:13 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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