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やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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原作未完のアニメ化は、「アニメの後」も読んで欲しいという話と、同人ゲームを作る漫画『ステラのまほう』が面白いという話

 似たような話は何度か書いていますが、改めて。

 Amazonがプライムデーに向けてキンドル本の大規模セールを行っているそうで、私もきらら系の漫画を中心にドカドカ買ってしまいました。人生で一番幸せな時間です。
 「どれから読もうかな~」なんてニヤニヤしながら考えた結果、『ステラのまほう』から読み始めることにしました!(最新7巻だけは12%オフで、1~6巻が半額セール中)




 『ステラのまほう』は、「女子高生が4~5人集まって○○をする」というきらら系の定番4コマ漫画なんですが、その○○というのが同人ゲームを作るサークルということで!ほら、『プチコン』を始めたタイミングの自分が今こそ読むべき作品だろうなと!

 この作品は2016年の秋にテレビアニメ化もされていて、私はアニメから入ってハマり、原作漫画もアニメ化された部分の2巻までは既に読んでいました。「創作する苦しみや悩み」をしっかり描いていたり、主人公のたまちゃんが「子供の頃、遊びを考えるのが好きだった」というところから同人ゲーム制作に興味を持つとこだったり、この作品の「創作観」や「ゲーム観」が私のソレとピッタリハマったのが好きな理由です。



 んで、今回のセールで買ったことですし、「アニメでは描かれなかった3巻以降」も読むことにしました。出来れば私、アニメ→原作の順で読みたかったのですが、アニメ1期が終わって3年近く経っても音沙汰がないのでアニメ2期はなさそうだしなーと。

 原作連載中の漫画だったり小説だったりがアニメ化されると、どうしても「話が途中で終わってしまう」ところがあります。もちろんアニメなりの区切りを付けようとはしますし、きらら系の漫画は「1クールのアニメにした時に区切りが良い」ように構成されているように思えるのですが……
 それでもどうしても「俺達の戦いはこれからだ!」で終わってしまうのですね。例えば、この『ステラのまほう』のアニメは、--ここからちょいネタバレあり--主人公のたまちゃんがイラスト担当として2本ノベルゲームを作ったところで、「私はゲームを作りたかったはずだ!」と思い返して、自分で企画を考えると決意したところで終わるのですね。アニメとして区切りは良いけど、「ここからが本番!」というところで終わっちゃうのです。



 でも、原作を買えばその先が読めるのですよ!


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<画像は『ステラのまほう』3巻より引用>

 そして、いきなり地雷を踏みぬくたまちゃん。
 今まで作ってきた2本はノベルゲームだったので、「ゲームらしいゲーム」を作りたいと提案―――「ゲームならではのノベルゲーム」だってたくさんあると思うけれど、「遊びを考える」延長でゲーム制作に興味を持ったたまちゃんがこう考えるのも自然ですよね。ということで、たまちゃんがゲームを企画していくというのが3巻以降の展開になります。



 また、アニメになった部分(原作の2巻相当部分)までだと、どうしても「たまちゃん」「はーちゃん」、あと「村上先輩」くらいまでしかキャラを掘り下げられていなかったのだけど、それ以外のキャラの描写も増えて「こういうキャラだったのか!」と発見するところも多いです。

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<画像は『ステラのまほう』5巻より引用>

 例えば、藤川先輩なんかはアニメだと「イケメン女子」「人たらし」「頼りになる大人っぽい先輩」「SNS部にあんまり思い入れないのかな」くらいのイメージでしたが、その後の原作では過去編があったり、彼女が何故音楽を作っているかが描かれたりで、無茶苦茶「人間くさい」キャラだなぁと好きになりました。
 というか、『ステラのまほう』の主人公はたまちゃんだけど、裏主人公は藤川先輩なんじゃないかと思うほど。

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<画像は『ステラのまほう』4巻より引用>

 この場面とかでも分かるのだけど……1コ下のたまちゃんから見ると藤川先輩は「大人っぽい人」なんだけど、同級生の関先輩から見ると「アイツほど子供っぽいのもいない」なんですよね。これが更に上の照先輩とか、もっと上のお姉ちゃんとかから見ると、また違うし――――

 この作品のいいところは、同じキャラクターであっても「たまちゃんから見た○○」「裕美音から見た○○」「関先輩から見た○○」と人によって印象は全然ちがっていて、そういうバラバラの捉え方をしている人達が集まって一つのゲームを作っているんだってところだと思うんですね。
 その辺はアニメになった部分だけでは見えてこなかったというか、アニメにもなった最初期の修羅場で音信不通になった藤川先輩を村上先輩が信用しなかった場面なんかは―――「村上先輩から見た藤川先輩」と「たまちゃんから見た藤川先輩」は別だって話だったんですね。過去編を読むと何となくそれも分かったのだけど、あの時点ではまだそれがよく分からなかったという。



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<画像は『ステラのまほう』4巻より引用>

 アニメを観た時から推しキャラだった裕美音は、アニメでは「なんでも相談できる頼れる友人」「時々変態」みたいなポジションだったけど……原作のその後で、彼女も創作に苦しむ展開になっていくのでますます好きなキャラになりました。


 主人公の「たまちゃん」が何本もゲームを作って成長していった分、他のキャラの葛藤や成長を描く余裕ができて、そうやって苦しむ他のキャラ達の力にたまちゃんがなっていくという展開は―――原作序盤から裕美音が言っていた「たまちゃんは総攻めなんです!」という発言の意味が分かるというものだし、元々この作品はこういう展開がしたくてこのキャラクター配置だったのかと思わなくもないです。

 アニメの尺だとそこに行く前に終わっちゃったので、すごい勿体ない……
 「原作がスロースタートだ」と言われればそれまでなんですが。


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<画像は『ステラのまほう』6巻より引用>

 アニメにならなかった3巻以降に登場するキャラで言えば、声優を目指している乃々ちゃんは無茶苦茶人気が出そうなキャラですよねぇ。と思ったら、『きららファンタジア』には出ているのか(笑)。配信直後数日しかやっていなかったけど、再開しようかな……

 「後輩ポジション」が加入することで、たまちゃんや裕美音やはーちゃんの「年下と接するときの側面」を描くことが出来て、新たな魅力を出せるのがイイですよね。乃々ちゃんとはーちゃんのシーンはグッと来たわ……



 この作品、「萌え4コマ」の殻を被った「激熱青春群像劇」だと思うんですよ。
 青春の楽しさだけじゃなく、キツさも苦しさも将来の不安もしっかり描いていて、でもそこに確かに光があるんだと描いている作品だと思うのです。たまちゃんのフルネーム「本田珠輝」に「輝」という字が入っているのは、照先輩の「照」と対になるものだと思いますからね。



 でも、やっぱり1クールのアニメではそこまで描けなかったなーと思うのです。
 「藤川先輩と照先輩の関係」みたいに、アニメ化される部分(原作2巻まで)では消化されない伏線は描かないようにされたという話ですし……こないだ、ゲームはクリアを目指してある程度の時間を遊ばないと「本質」が見えてこないと書きましたけど。漫画もある程度読み進めないと「本質」が見えてこないものがあって、1クールのアニメではそこまで到達できないケースが結構あるんだなぁと思いました。

 もちろんアニメが2期、3期と原作の完結まで追いかければイイのですが、ビジネスとしてそれは難しいですし(アニメがそれくらい大ヒットすると原作の方の連載も続くこともあるので)。


 「アニメ化された漫画はそこがピークになってしまって、その後あんまり話題にされなくなる」と言う人もいますが、だからこそ私は「アニメ化された漫画」の「アニメ化されなかったその後の展開」も読もうぜ!と声を大にして書きたい!



 

| アニメ雑記 | 17:55 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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