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変わらない価値のあるもの

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ファミコン版『タッチ』は本当に「どうしようもないゲーム」なのか?

 レトロフリークを買いました!
 バーチャルコンソールなどに出ていない昔のゲームも遊べる環境になったため、夏の間に千葉に遠征してまでファミコンやスーファミのゲームを買いあさってきましたよ。今後はそういうゲームの話題も出せていけたらなって思います。

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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 そんな私が真っ先に買ってきたのがファミコン版『タッチ』です。
 このゲーム……インターネット上では「原作無視のクソゲー」やら「原作者をブチギレさせた(憶測)黒歴史ゲー」として有名なのですが、私はプレイしたことがありませんでした。『タッチ』の漫画を全巻読んだのももっと後なんで、ファミコン時代には手に取らなかったんですね。でも、実際に遊んだことがなくて知った顔で「クソゲーなんでしょ?」なんて言ったら、実際に遊んだことのある人に笑われるなんてケースを多々見てきたワケで……

 じゃあ、実際に買って遊んでみよう!と遊んだら、フツーに面白いゲームでやんの。インターネット上の評判なんてマジでアテにならねえな!



◇ 名作野球漫画『タッチ』のゲーム化が、野球ゲームにならなかった理由
 『タッチ』という漫画を知らない人もいらっしゃるという話は以前に書きましたんで簡単に済ませますと、1981年~1986年に少年サンデーで連載されていた名作野球漫画です。

 その『タッチ』がゲーム化されるんだから野球ゲームだと思ったら、ベルトスクロールアクションだった!原作無視のクソゲーだ!―――というのが、よくあるインターネット上での批評なんですが。ちょっと待てと私は言いたい。


 このファミコン版『タッチ』の発売は1987年3月です。
 ファミコンの野球ゲームの代表作である『ファミスタ』シリーズの1作目の発売は1986年12月です。

 もちろん『ファミスタ』以前にも任天堂の『ベースボール』のような野球ゲームはありましたが、選手一人一人に独自のパラメータが搭載された「キャラゲーとしての野球ゲーム」の市場が出来たのは『ファミスタ』以降のことで、各社それから後追いで野球ゲームを作っていったのです。

・ジャレコ『燃えろ!!プロ野球』 1987年6月発売
・コナミ『エキサイティングベースボール』 1987年12月発売
・タイトー『究極ハリキリスタジアム』 1988年6月発売
・バップ『スーパーリアルベースボール』  1988年7月発売
・バンダイ『名門第三野球部』 1989年8月発売
・ケイ・アミューズメントリース『甲子園』 1989年10月発売
・カルチャーブレーン『超人ウルトラベースボール』 1989年10月発売
・エポック社『ファミコン野球盤』 1989年12月発売
・テクモ『激闘スタジアム』 1989年12月発売
・カプコン『水島新司の大甲子園』 1990年10月発売
・サンソフト『なんたって!ベースボール』 1990年10月発売

 ジャレコの『燃えプロ』が『ファミスタ』より半年後に発売されていましたが、コナミでも1年後、それ以外の会社は1年半くらいは『ファミスタ』の後追いゲームを出せていません。ファミコンに野球ゲームがわんさか出てくるのは1988年後半~1989年あたりなんですね。

 初代『ファミスタ』から3ヶ月後に発売されている『タッチ』に「野球ゲームだと思ったら、なんと!アクションゲームなんですよ!スタッフは頭おかしいんですかねー?」みたいな言説は、当時ではありえないんです。当時のファミコンの野球ゲームは任天堂の『ベースボール』とナムコの『ファミスタ』しかありませんからね。恐らくはインターネットが普及して以降の「ファミコンのアレなゲームをクソゲー扱いして笑う」ブームで生まれた言説じゃないかと思われます。


 「じゃあ、『タッチ』のゲームはそんな時期に出さずに、2年後くらいにフツーの野球ゲームとして出せば良かったんじゃ?」と思った人もいるかも知れません。しかし、『タッチ』のゲームは1987年3月に発売しなくてはならなかったのです。何故なら1987年3月にアニメが終わるので。
 アニメ終了のタイミングまでにゲームを発売しなくてはならなかったので、その後の野球ゲームブームなどつゆしらず、この時期に開発できるゲームを全力で作ったらアクションゲームになった―――それだけの話なんです。「野球ゲームだと思ったら、なんと!アクションゲームなんですよ!スタッフは頭おかしいんですかねー?」というのは、後の歴史を知っている人が「織田信長は殺されちゃうのにどうして本能寺に行ったのかなー。バカかなー?」って言うようなもんなんですよ!


 「いやいや、野球ゲームが無理なら恋愛アドベンチャーゲームとして出せよ」と思った人もいるでしょう。
 「恋愛アドベンチャーゲーム」は1990年代以降のジャンルだから1980年代には存在しないんですよ……という話は置いといて、ストーリーを追うタイプのコマンド選択式のアドベンチャーゲームはこの時期にも存在しました。というか、実際にコマンド選択式のアドベンチャーゲーム『タッチ』は出ています。1987年1月にPC用ソフトとして。



 じゃあ、これをファミコンに移植すればイイんじゃ……みたいに思われるかもですが、PC用のゲームをファミコン用に移植するには年単位の時間がかかるもので。
 例えば同じようなコマンド選択式のアドベンチャーゲーム『めぞん一刻』のゲームは、1986年12月にPC版が出て、1988年7月にファミコン移植版が出ています。しかし、それが可能だったのは『めぞん一刻』のアニメが1986年~1988年に放送されてたからだと思うんですよ。アニメ放送ギリギリ(はみだしている)タイミングでファミコン版が移植できたから発売できたのであって―――

・1987年1月 PC版『タッチ』発売
・1987年3月 ファミコン版『タッチ』発売
・1987年3月 テレビアニメ版『タッチ』放送終了

 このタイミングだとPC版の移植なんか間に合わないんですね。なので、PC版とは全然ちがう形のファミコン版がアニメ放送終了直前に発売されたのでしょう。
 『タッチ』という漫画・アニメが大ヒットした時期はまだゲームのジャンルが出そろっていない黎明期だったので、、割とこういうことはよくある話だったと思います。『うる星やつら』だってキャラをすげ替えたアクションゲームが出ていますし、原作に全然関係ないジャンルになったからクソゲーだって言うのは「ゲームが作られた時代背景」を無視した言い分ですよ。




◇ じゃあ、何故ベルトスクロールアクションなのか?
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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 そうして出てきたファミコン版『タッチ』はベルトスクロールアクションゲームだったワケですが、ネット上をサラッと検索しても「当時はマリオが流行ってたから何も考えずにアクションゲームにしたんだろうな」なんてことを言っている人を結構見かけます。いやいや、待て待て。

 『スーパーマリオ』とベルトスクロールアクションを「同じジャンル」とみなす人間は、もうゲームについて語る資格ないでしょう?

 ベルトスクロールアクションゲームは、『熱血硬派くにおくん』(アーケード版は1986年5月、ファミコン版は1987年4月)から始まったと言われ。その後はテクノスジャパンのお家芸となり、『ダブルドラゴン』(アーケード版は1987年6月、ファミコン版は1988年4月)、『ダウンタウン熱血物語』(1989年4月発売)などを経て――――
 セガの『ゴールデンアックス』(アーケード版は1989年5月、メガドラ版は1989年12月)、カプコンの『ファイナルファイト』(アーケード版は1989年12月、スーファミ版は1990年12月)などで一世を風靡したジャンルです。


 さて、『タッチ』。
 先ほども散々書いたように1987年3月発売ですから――――実はファミコン版『熱血硬派くにおくん』よりも早い発売なのです。

 ということは、ファミコン初のベルトスクロールアクションゲーム……?
 なんてことはなくて、『くにおくん』とはまたちがう系譜の『がんばれゴエモン!からくり道中』(1986年7月発売)に影響を受けているのかなと思われます。広いマップを上下左右に進んで探索しながら、お金を貯めてお店で買い物するとこなんかもそのまんまですし。




 ベルトスクロールアクションというジャンル名だと『くにおくん』や『ファイナルファイト』のような格闘ものを指すことが多いと思うのですが、『ゴエモン』や『タッチ』の系譜も存在していて、近年明らかになった「スーパーマリオブラザーズ3は当初俯瞰視点で作られていた」という話もこの系譜じゃないかなと思うんですね。『マリオ3』開発開始の時期と『ゴエモン』発売の時期が近いですし、アイテムを入手しながら国から国へと旅するシステムは『ゴエモン』っぽいと言えなくもないですし。


 閑話休題、『タッチ』の話に戻します。
 『タッチ』が『ゴエモン』とちがうのは、「ステージクリア型」のゲームではなく、「最初からどこにでも行けるオープンワールド型」のゲームであることです。目的はバラバラになった子犬10匹を探すことで、広大なフィールドをアイテム屋で買い物なんかしつつ探索するゲームということで―――ゲーム性としては初代の『ゼルダの伝説』(1986年2月発売)っぽいんですね。

 つまり、外側は『ゴエモン』で中身は『ゼルダの伝説』ってゲームなんです。
 これだけ聞くと、むっちゃ面白そうでしょ?
 実際、ちゃんと遊べば面白いんです。



 アクションゲームとしての出来も全然悪くないです。
 ゲームカタログを始めとして、このゲームを「クソゲーだ」と書いているサイトが判を押したように批判しているのが「ライフ=経験値=お金」システムです。

 このゲーム、スタート時には達也も和也も「ライフ」が250あって、敵と接触すれば当然それが減って、0になったらゲームオーバーなのですが……敵を倒すたびにこの数値が増えて、更に買い物時にはこの数値を消費してアイテムを入手します。

 それ故に、このゲームを「クソゲー」扱いしているサイトはどこでも「ライフが少ない状態でうっかり買い物をすると、敵に触れて即ゲームオーバーになる」のをクソゲーポイントと挙げています。コピペしたかのようにどこのサイトでも必ずと言ってイイほど書かれています。


 アホかと言いたい。
 例えば「ライフが260」の時にうっかり「価格が250するアイテム」を買っちゃうと、残り「ライフが10」になって敵にすぐやられちゃうからクソゲーだ!って言い分が成り立つんだったら。この世界のゲームは全部クソゲーになっちゃうわ。

・「うっかりマリオがクリボーに当たったらやられちゃったからクソゲー」
・「うっかり宿屋に泊まらずに冒険に出たら回復できてなくてすぐにやられたクソゲー」
・「うっかり自分の背丈以上の段差から落ちたら死んだからクソゲー」

 「ライフ=経験値=お金」ということが分かっているのに、敢えて所持金ギリギリのアイテムを買ってライフが少なくなって死んだ―――なんてクレームはこのレベルのクレームですよ。言いがかりでしかありません。
 なのに、どうしてみんなコピペしたかのようにここを批判するのか。実際に自分では遊ばずに評判だけ聞きかじったのを書いているだけなのか、それとも「みんながクソゲーと言っているからクソゲーに決まっている」とネット上のデマに踊らされているのか。



 実際に遊べばすぐに分かるのですが、「ライフ=経験値=お金」システムのおかげで、安全に敵を倒せる場所で5分稼ぎプレイをすれば「ライフ=経験値=お金」が無尽蔵に増えるので―――ほぼゲームオーバーにならない、「アクションゲームが苦手な人でも楽しめる」よく出来た仕様なんですよ。

 例えば『ドラキュラ』シリーズなんかだと「回復アイテムが出ないー」とシビアなプレイを要求されますが、『タッチ』は言ってしまえばすべての敵が回復アイテムを落とす仕様なので、恐ろしい勢いでライフが増えていきますし、敵にちょっと当たったくらいではへこたれません。“アクションゲームとしての”難易度は激低です。「簡単すぎて物足りない」と言われるならともかく、「難しすぎる鬼畜ゲー」と言っている人は本当に遊んだのかと言いたい。



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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 じゃあ、「ライフが無尽蔵にあるから緊張感のないつまらないゲーム」なのかと言うと……そこを上手く料理しているのが「浅倉南」の存在です。
 このゲームは1人プレイの場合は「達也」と「和也」をセレクトボタンで切り替えながら遊び(動かしていない方は『グラディウス』のオプションのように連動して動く)、2人プレイの場合は1Pが「達也」で2Pが「和也」と分担して遊ぶのですが……「浅倉南」は完全NPCで攻撃手段を持たず、このキャラが敵に接触すると泣きだしてしまって動きが止まります。

 その泣き方が「浅倉南」っぽくないとは私も思いますが……それ故に、「達也」と「和也」で連携して「浅倉南」を守るフォーメーションを取るというのがこのゲームの基本的な遊び方なんですね。


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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 こんなカンジに、右にいるキャラが左に撃って、左にいるキャラが右に撃つことで画面全体を攻撃できるように陣取るのが理想です。それでも敵は執拗に「浅倉南」を狙ってくるし、中でも「浅倉南」の目の前に地中からドリルで現れるゲッター2みたいな敵が凶悪なんですが……最近まで遊んでいた『零』でもそういう敵がいたから私は気になりませんでした。『零』の幽霊みたいに瞬間移動で避けたりしてこない分だけ当てやすいし。

 開発会社のコンパイルは、後に『ザナック』『アレスタ』などの良作シューティングゲームを作る会社なこともあって……ベルトスクロールアクションと書いてきましたが、『くにおくん』とも『ゴエモン』ともプレイ感覚はちがって、「任意スクロールシューティングゲーム」に近いのかもって思います。


 また、先ほども書いたように「達也」と「和也」の2人同時協力プレイが可能で……ベルトスクロールアクションで2人同時協力プレイを実現するのは、テクノスジャパンで言えば『ダウンタウン熱血物語』(1989年4月発売)が初で、ゴエモンシリーズで言えば『がんばれゴエモン2』(1989年1月発売)が初ですから、それらのシリーズより2年早く2人同時協力プレイを実現しているのも地味にすごいところです。

 当時の最先端だった『ゴエモン』の外側と『ゼルダ』の内側を融合しつつ、『ツインビー』のような2人同時協力プレイをスクロールゲーでも取り入れて―――実はムチャクチャ高い技術力で作られた最先端のゲームだったんだと思うんですよ。後の時代から振り返ると「1987年のゲームも1989年のゲームも変わんねえだろ」と思うかもしれませんが、当時のゲーム業界だと2年経てば「別の時代」です。

 「時代を2年先取りした」とまでは言いませんが。
 少なくとも「テキトーに作られた志の低いゲーム」なんかではなかったと言えます。



◇ アドベンチャーゲームとしての難易度は確かに高い、高すぎる
 とは言え、「じゃあ万人にオススメできる良作ゲームなんですか?」と訊かれると返答に困るのも確か。アクションゲームとしての難易度は激低ですが、アドベンチャーゲームとして難易度を見るとムチャクチャ高いと思います。


 まずはマップが超広大。全体マップやオートマップなんかもなし。
 インターネット上にはこのゲームを評価して、攻略サイトを作り、全体マップを公開してくれている人もいらっしゃいます。ネットも捨てたもんじゃないですね!感謝感謝!

 タッチ攻略ファミコンマックシング!!さん)

 この広大なマップの中にいる「10匹の子犬」を見つけるのが目的で、最後の2匹を除いた8匹はどういう順番で見つけても構わないみたいです。セオリーは「北から攻略した方がイイ」らしく、ゲーム内でもそういうヒントがもらえますが。

 また、アイテムを持てる数が少ない(初期で4→リュックを買うと8に増える)のに、『ゼルダの伝説』並に「この場面だとこのアイテムがないと進めない」箇所が多い上に、使用済みのアイテムも好きな時に捨てられないという仕様(※1)

(※1:民家に入るとたまに「、、、、、、」と何もヒントをくれない住人がいるのですが、ここでのみアイテムを捨てることが可能です。いらないアイテムにカーソルを合わせて住人の前でA+B同時押しでアイテムを処分できます。どういう仕様なんだこれ・笑)


 ハッキリ言って、攻略サイトなしではクリアできるゲームとは思えません。
 そこは認めます。


 しかし、「マップが広大でどこに行ってイイか分からない」というのなら『ゼルダの伝説』だってそうじゃないですか。
 「オートマッピングがない」というのなら『メトロイド』(1986年8月発売)だってそうじゃないですか。当時のゲームだと『メトロイド』だって『リンクの冒険』(1987年1月発売)だって、もっと言うと『ドラクエ1』(1986年5月発売)だって、自分でノートにマッピングして遊ばないとクリア出来ないゲームだったじゃないですか。

 「アイテムがたくさんあってクリアのためには必須のものも多いのにゲーム内でヒントがない」みたいなのも、『ドルアーガの塔』(アーケード版は1984年7月、ファミコン版は1985年8月)だってそうじゃないですか。当時のゲームは「友達同士で攻略情報を共有してみんなでクリアする」のが普通だったじゃないですか。

 『タッチ』の難しさって、当時のゲームとしては割と普通のことだと思うんですよ。



 「いやいや、やまなしさん。私はリアルタイムにそれらのゲーム全部プレイしていて、『ドルアーガ』も『ゼルダ』も『ドラクエ』も『メトロイド』も『リンク』も全部自力でクリアしたよ。友達の口コミもなかったし、攻略本にも頼らずクリアしたよ。でも、『タッチ』は無理だった」と言われたら、それは申し訳ありませんとしか言いようがありませんが……

 その場合にゲームに形容される言葉は、「ムリゲー」とか「ムズゲー」とかであって、「クソゲー」じゃなくないですか?


 『ドルアーガ』や『ゼルダ』や『ドラクエ』や『メトロイド』や『リンク』が決して「クソゲー」と呼ばれず、むしろ「時代に残る名作」と言われているのに、どうして『タッチ』が「クソゲー」扱いされるのか……それは単に「周りが誰もやっていないから」に過ぎないと思います。
 「友達同士で攻略情報を共有してみんなでクリアするゲーム」なのに、友達が誰もやっていない。売れていないからゲーム雑誌なんかでも攻略記事が組まれない。そのため、自力でヒントなしで独力でクリアしなくちゃいけない、でもノーヒントでは難しすぎる、だからクソゲーだ!みたいな。


 現に、上述のサイトのように「インターネット上に攻略情報が載る」ようになってから遊んでみたら「意外に面白いゲームだった」と言っている人はチラホラいます。私もその一人です。広大なフィールドを冒険して、多彩なアイテムを駆使して、子犬を集めていくのはワクワクしました。

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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 森。

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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 砂浜。


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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 学校。
 と、様々なロケーションを冒険するのは楽しいですし……そして、何と!



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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 甲子園も出てきます!
 中には入れませんが、原作では出来なかった「和也が南を甲子園に連れていく」ことが出来るゲームなんです。

 まぁ、南ちゃんからしても「甲子園に連れていってって、そういうことじゃねえんだよ」と言いたくなるかも知れませんが(笑)。



 先ほどこのゲームはアイテムの所持数が厳しいと書きました。
 そのため、このゲームは1人用で遊んでも「達也」と「和也」を切り替えて、2人の所持アイテムと所持金を上手く管理しなくてはなりません。「達也」ばかり使っていると「達也」の方ばかり所持金が増えて、アイテムを買うのも持つのも「達也」ばかりになって、あっという間にアイテム欄が8コ埋まっちゃいますからね。

 なので、このゲーム―――
 原作では出来なかった、「達也」と「和也」を的確に切り替えながら(タッチしながら)進めることが重要になっていて……確かにストーリーは原作に全然関係ないし、サブキャラも全然出てこないゲームではあるんですが、原作では出来なかった「if」を実現しているゲームと言えなくもないのです。



◇ パスワードについて
 インターネット上でこのゲームを「クソゲーだ」と書いているサイトのほとんどが、コピペしたかのように「ライフ=経験値=お金」システムをクソ仕様扱いしていると先ほど書きました。そして、更にもう一つほとんどのサイトが書いているのが、この「卑猥なパスワードを入れると達也のみ最強状態で始まる」ということです。

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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 これにより原作者がブチギレて、以降あだち充先生の漫画はゲーム化されなくなっただの。原作ファンはこのパスワードを読むとショックを受けるので閲覧禁止だの。ネット上ではそれがさも真実かのように語られて、それを読んだ人がコピペするかのように色んな場所に書いて、どんどんどんどん拡散されているのですが……


 3つほどツッコミたいことが私にはあります。

 この時代のファミコンのパスワードは「簡単な法則」で成り立っているので、その法則さえ解析してしまえば好きなように作文できてしまうものです。有名なのは『ドラクエ1』の復活の呪文で、例えば後に薬物で捕まった芸能人の名前を羅列すると最強状態で始まるから「ドラクエ1は未来を予知していたんだ!」なんて言う人がいますが、好きなように作文してその法則を知らない人にデマとして吹き込んでるだけの話なんですね。

 『タッチ』のパスワードが解析されているのかは分かりませんが、パスワードが通るのが開発者からのメッセージだなんて騒ぐのはどうかと思います。


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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 もう一つ、ネット上で出回っている有名なこのパスワードは実は最強状態ではありません。
 ライフこそ3000ありますが、ライフなんて15分もあれば3000くらい溜まりますし、アイテムも揃っていません。そして何よりの問題ですが、10匹集めるべき子犬が7匹しか集まっていません。


 「10匹中7匹も集まっていれば十分では?クリア直前では?」と思った人は、もうちょっと頭を使って生きてください。このゲーム、オープンワールドゲームのように「攻略順が決まっていない」んですよ。最後の2匹は恐らく順番的にみんな最後にするとは思うものの、後の8匹はどういう順番で救出するかはプレイヤー次第なんです。それが7匹しか揃っていないパスワードとはどういうことかというと……

 どの子犬を見つけていないのか、正規ルートと同じように8カ所回って調べなきゃいけないのです。1カ所目で正解を引けばクリアは近いですが、8カ所目だった場合は普通にゲーム始めるのと変わりません。実用性のないパスワードなんですよ。
 もし開発者が意図的に「卑猥なパスワードを入れたら最強状態から始まるようにしよう、ムフフッ」と企んだ場合に、こんな中途半端な嫌がらせみたいなパスワードにするでしょうか?普通だったらクリア直前&アイテムも揃った状態のパスワードにするでしょう。




 そして、最後のツッコミ。
 読んだことのない人のイメージだとそうなのかも知れませんが、そもそも原作の『タッチ』って結構エロイ漫画ですよ?

 そりゃ少年誌だから濡れ場とかはありませんが……女のコが水着とかレオタードなんかを着て、それを男のコがムフフッと眺めるみたいなお色気シーンがふんだんにある作品ですよ?私なんかは、むしろあだち充作品=あざといくらいにお色気シーンを入れてくる漫画というイメージです。

 「Hしてしまいました」なんて稚拙な一文のパスワードが通る(しかも出てくるデータは実用性皆無)だけで、「原作ファンは閲覧禁止」とか「原作者がブチギレた」みたいに騒ぐ人――――『タッチ』どころか、あだち充作品を1作品も読んだことないでしょ?


 手塚治虫先生とか『ドラゴンボール』とかが、そのパブリックイメージゆえに健全なものと思われて、「最近の漫画はエロやグロにすぐに走る!手塚作品や『ドラゴンボール』なんかを見習ってほしい」みたいに言われて。手塚作品や『ドラゴンボール』のガチファンが「オマエ、読んだことねえだろ!」と思うみたいな話ですよ。

 『タッチ』に健全なイメージしか持っていない人、「アニメ名場面集」みたいな番組で断片的な情報だけで全部観た気になってんじゃねえの?



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<画像はファミコン用ソフト『CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE』より引用>

 というワケで、レトロフリークを買って最初にクリアしたゲームはファミコン版『タッチ』でした。フツーに面白かったです。


 もちろん実際に遊んだ人が「自分には合わなかった」と言うのは仕方がありませんが、このゲームが開発&発売された時期を無視した批判とか、ゲームシステムを1ミリも理解していない批判とか、ゲームどころか原作も碌に知らないのに面白がって「クソゲークソゲー」騒いでいる人達が多いのには本当に嫌気がさしました。

 「みんながクソゲーって言ってるからサンドバッグにしてイイんだよ」って論理は、イジメの構造と何ら変わりありません。反省してください。反省した人はとりあえず原作漫画を全巻買って読んでください。さすれば神もアナタを許すでせう。


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