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澪の書く歌詞ってフツーに良い歌詞だよね

 3行まとめから、まさかの昇格エントリ。
 あいばたんから反応もらったので(反応をもらったのは別の記事だったのだけど)、もうちょっと詳しく書いてみようかなと思いました。そもそも感想エントリを書こうと思い当たったのは、あいばたんの感想を読んだことがきっかけだったのである。



 『けいおん!』ミニアルバム『放課後ティータイム』の感想エントリです。
 歌詞の解釈なんてものは人の数だけあればイイと僕は思っています。キティちゃんの顔が泣いているように見えたり笑っているように見えたりするように、どんな曲だって聴く時の状況によって明るい歌詞に聴こえたり暗い歌詞に聴こえたり変化するのが当然だと思いますからね。

 だからこそ、今の自分がこの歌詞から思ったことを書き残しておくことに意味があるんだ―――ということを8月上旬くらいからずっと思いつつも、「でもなーんか押し付けがましい気もするなぁ」と躊躇したまま1ヶ月が経っていたという(笑)。



 なので、「こういう受け取り方もあるんだ」くらいに思ってくれたら嬉しいです。


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○ 「歌詞を書いているのは澪」という前提
 『けいおん!』の作中に出てくる歌の詞は、全て澪が書いているという設定です。

 あくまで“設定”ね。実際には『カレーのちライス』『わたしの恋はホッチキス』『ふでペン~ボールペン~』の歌詞はプロの作詞家(稲葉エミさん)が書いていて、原作には曲タイトルしか登場しません。
 『ふわふわ時間』の1番の歌詞は原作にも登場していて、2番以降はCD化の際に新たに書かれたんじゃないかと思うのですが……クレジットは「秋山澪」になっていますね。そもそも原作で澪が書いた部分だって、実際には原作者のかきふらい先生が書いているんだろって話なんですけど(笑)。


 で、これらの歌詞―――どれも凄く「澪っぽいなぁ」と感心したのです。
 澪は元々(律にムリヤリ勧誘されなければ)文芸部に入るつもりだったそうですし、成績も優秀で頭が良くて。でも恋愛にはオクテ。そんな15~16歳の高校生女子が書いたと考えて曲を聴くと、凄く「それっぽい」歌詞だなぁと思うのです。



01.カレーのちライス
 3分16秒、ずっとカレーについての熱い想いを語る曲。
 という解釈でも構わないんですが……澪の書く歌詞は基本的に「恋愛の曲」ばかりなので、この歌詞も「恋愛の曲」と思って聴いてみると面白いんじゃないかなと思います。

・カレーがないテーブルは寂しい
・アツアツでコトコトと煮込んである
・隠し味も沢山入れるよ!
・大好きだけど、「女の子は甘いのがすき」なのでいつもルーを残してしまう
・でも、甘口じゃなくて中辛の大人味に背伸びしたい
・スパイスも沢山入れるよ!
・でもやっぱりダメだ!辛すぎる!

 「カレー(ルー)とライス」や「甘口や中辛」の部分は色々なものの比喩になると思うのだけど、何を入れたとしてもこの歌詞は「背伸びをしたくなる女のコの心情」を描いていると思うのです。
 僕は最初に聴いたとき「なんてエロイ曲だ!」と思いました(笑)。でもまぁ、澪というキャラや他の歌詞(13話に出てきた歌詞とかも)を考慮すると、「勇気を出して一歩を踏み出してみよう」ということなのかなと思います。それこそアニメ1話で唯が勇気を出して階段を昇ったように。

 んで……この曲の面白いところは。
 StudioMixでは、最後に軽音部の5人で「(ライス)TAPPULi!」とシャウトするんですよ。
 「カレー」や「ルー」や「中辛」の部分が“背伸び”だとしても、最終的には結局「ライス」に戻ってくるというこの曲で。「ライス」の部分だけ軽音部の5人でシャウトするというのは、やっぱり戻ってくるのは“大切な仲間との時間”だよねということなのかなと。



02.わたしの恋はホッチキス
 個人的には一番好きな歌詞です。
 恋をしているこの想いを確かめるために便箋に書き連ねていったら、いつの間にかとても分厚くなってしまった―――という話なんですけど、「便箋」や「ホッチキス」や「ゴミ箱」などの小道具はあくまで比喩であって、それが文芸部志望だった澪らしい言葉選びだなぁと思うのです。


 恋愛には、すごく楽しい部分もヘコんじゃう部分もあるし、そういう想いは後から思い返すと恥ずかしいのだけど。それらを捨ててしまうのは切ないから、全部まとめて大切にしまっておこう―――
 アニメ版の澪はカメラをキーアイテムにしていて。
 そもそも『けいおん!』という作品には高校生の頃にしか起こりえないキラキラした時間を切り取って描くというコンセプトが確かにあって、澪が撮る写真やさわちゃんの昔のテープなんかは「切り取られた一瞬のきらめき」として残り続けるように描かれていました(さわちゃんのテープを澪が発掘するエピソードなんかはまさに)(さわちゃんとしては不本意だったようだけど)。

 この曲の歌詞って、そうした『けいおん!』という作品テーマを見事に文章化したものに思えるんです。時にはケンカもするけど、それも大切な時間だったよね、みたいな。

 んで、こうやって大切な想いを一つ一つ忘れないようにしていくと、「しらないうちに あつくなって」しまって(厚くなって/熱くなって)ホッチキスでは綴じられなくなってしまう―――だから寝よう!という、「寝るぞー!」オチ(笑)。
 でも、すごく分かります。10代の頃の感性ってそうだった気がします。「寝ればなんとかなるさ」とか、「大人になればなんとかなるさ」とかね。それこそ『ふわふわ時間』の歌詞もそんなカンジですしね。



03.ふでペン~ボールペン~
 『Gペン~丸ペン~』とか、『電話~メール~』とか、『Wiiモーションプラス~十字キー~』でも可。
 Gペン使いからすると「ボールペンは“入り”がキレイに出ないから逆に難易度高いだろ」とか思ったりするのですが、そういう面倒くさいことは置いといて……


 一般的に、「正確に文字を書く」のだったらボールペンが最も無難だし最も慣れているし最も普及しているものだと思います。
 でも、「正確な表現」では伝えられないものもあります。ふでペンはクセがあるし、手が震えちゃうし、慣れない内はキレイに書けないのだけど、でもそれらも含めて全部自分の想いだから。それらも全部伝えるためにも、敢えてふでペンを握るよ―――という歌詞。

 もちろん、この二つの「ふでペン/ボールペン」の部分は他のものに代用しても構いません。とにかく、自分の生の感情を背伸びしてでも伝えたい恋する少女の気持ちが表現されていて可愛いじゃないですか。

 んでんで、『カレーのちライス』で最終的に「ライスTAPPULi」とシャウトするように、この曲も「ごめんねボールペン、おやすみしてて」と、いつかは背伸びをやめてボールペンに戻ることを示唆しているんですよね。
 んでんでんで、この曲はアニメ本編では12話の唯モノローグの際に使われたんですけど、そこで語られた唯の言葉こそが「勇気を出して一歩を踏み出せばそこが自分の場所になる」で、見事に歌詞とシンクロしていたという。


04.ふわふわ時間
 前述した通り、この曲の1番の歌詞だけは原作に出てきます。
 作中でも、この歌詞は澪が書いた最初の歌詞(少なくとも桜高軽音部としては)なので、これが澪の歌詞の原点ということなんでしょう。悪く言えば“洗練されていない”のだけど、良く言えば“すごくストレートな歌詞”になっています。

 言ってしまえば、片想いの歌なんですけど……
 この歌詞も『カレーのちライス』や『ふでペン~ボールペン~』と同様に、「勇気を出して一歩を踏み出そう」「でもやっぱムリだー!」という背伸びをしたい少女の心情を描いた歌詞になっていますよね。歌詞の中に思いっきり「もすこし勇気ふるって」と書かれていますし(笑)。


 自分がすごく好きなフレーズが、最後のサビの「一度だけのMiracle Timeください!」という部分。
 「勇気を出して一歩を踏み出そう」「でもやっぱムリだー!」と歌ってきたこのアルバムの最後で、「その一歩さえ踏み出せれば世界が変わるはず」と締めくくっていて。そして僕らは実際に『けいおん!』のアニメでそれを観てきたワケです。

 何にもなかった唯が、勇気を出して音楽室を訪れたことで彼女の世界は変わったワケです。

 「ねえ、私。あの頃の私。心配しなくていいよ。
 すぐ見つかるから…私にもできることが、夢中になれることが。大切な、大切な、大切な場所が」


 12話の唯のモノローグ。
 『けいおん!』アニメが描いてきたこと、そしてこのアルバムが歌ってきたことはここに集約されると思いますし、最後の最後にこのフレーズで締めくくるというのが流石過ぎると思うのです。そして、それを絶妙な「澪っぽい独特のフレーズ」で誤魔化している(ミラクルタイムって!)のも凄いなぁ、と。


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 これらの歌詞を唯が歌っているのを聴くと、パッと見「何も考えてなさそうな歌詞で」唯っぽい歌だなぁと思いがちなんですけど。実際に歌詞を書いているのは澪であって、そこには色んな意味が込められていて、でも唯は何も考えずに歌っているんだろうなーと思ってちょっとしたエロスを感じたりします(笑)。


 『けいおん!』は何故ヒットしたのかとか、『けいおん!』キャラソンがランキング上位に入ってミュージシャンはどう思っているのかとか―――色々と言われますが。自分は、やっぱりポニーキャニオンの戦略勝ちだったのだと思いますよ。
 WEBラジオを聴き返してみて特に思うのは、絶え間ない話題作りと商品展開の見事さというか。ラジオ自体は2月開始でここからキャストの4人(5人)に楽器の練習をさせて7月にお披露目という流れなんですけど、当然ながらミニアルバムの発売も7月でしたし。それ以外のCD展開も、4月にOP&ED、5月に『ふわふわ時間』(澪バージョン)、6月に唯・澪のキャラソンと展開させて話題を作り、7月のミニアルバム発売まで一気に盛り上げていったワケで。

 そう考えると、(ライバルが手薄だったこともあるけど)オリコン1位獲得というのは「狙い通り」な結果だったのかもなぁと思ったりするのです。もちろん内容が良いというのは大前提なのだけど、売れるべくして売れたというかね。「CDを売るためには何が必要か」を緻密に計算してあったのだと思うのですよ。

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| アニメ雑記 | 18:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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