やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

考察:二次元と三次元の狭間で

 こないだの記事傑作選を作るために1000コ分の過去ログをザッと眺めていて、自分にとっては“根底”にある基本的な考え方なのに、まだ文章化していないものがまだまだ残っていることに気付けました。ということで、今日はその中の一つ。


 「二次元」と「三次元」の違いは何か?
 ここで言う「二次元」と「三次元」は、「二次元のキャラを好きになる」のと「三次元の人間を好きになる」違いはどこにあるのか?という意味合いです。


 この場合の違いは「平面」と「立体」という表現媒体の差ではありませんよね。
 アニメキャラのフィギュアは「立体」だけど「三次元」とは呼べないし、グラビアアイドルの写真集は「平面」だけど「二次元」とは呼べませんもの。テレビアニメとテレビドラマはどちらも「テレビを通すもの」だけど、前者は「二次元」で後者は「三次元」なのは何故か。


 対象が実在しているかどうか―――これがとりあえずの僕の回答です。
 実在というのは「生命と自我を持って自らの体でもって自分自身を保とうとしている」現象のことを言うのだ、とか話し始めると、「生物と無生物の違いとは?」みたいな議論になってしまってワケが分からないので割愛します。その辺は各自勝手に勉強して下さい。


 さてさて。
 この「対象が実在しているかどうか」で「二次元」と「三次元」を見つめなおしてみると、なかなか興味深い物事が見えてきます。ここを突き詰めていくと、極端な話、「二次元」と「三次元」には実はそんなに違いがないんじゃないか?というのが今日の結論になる予定です。


supercell feat. 初音ミク ワールドイズマイン [ブラウンフレーム]  (1/8スケールPVC塗装済み完成品)supercell feat. 初音ミク ワールドイズマイン [ブラウンフレーム] (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

グッドスマイルカンパニー 2009-09-25
売り上げランキング : 68

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

○ “実在しない”三次元
 えっちな話題が苦手な女子中学生がもしもこの記事を読んでいてくれているなら、ここからの数行は読み飛ばしてしまえばイイと思うよ!


 アダルトビデオ(エロDVD)を店頭で物色している際に、パッケージを見て「うぉー!キター!!女神が舞い降りた!」というストライクゾーンど真ん中なコに出会って、喜び勇んで購入なりレンタルなりをして、光の速さで家に帰って再生してみて、「………ん?誰?」ということは男子ならば誰でも経験していることじゃないですか。
 ひょっとしたらインターネットが普及している現代ではもはや「あるあるネタ」ではないのかも知れませんが、僕らの世代なんかでは「あるあるネタ」としてよく言われていたことじゃないですか。


 写真のマジックというか、画像加工技術の見せ場というか。
 こういう時に男子たるものは「騙された!」「チクショー!金返せ!」「だからあっちのを選んでおけば良かったんだ!」と後悔して、また一つ成長していくものなのですが―――ひねくれものな自分は、ふと思ってしまうんですよ。あの写真の女のコは、この世界のどこを探しても存在しないんだな、と。

 もちろん実際には存在しています。だから「三次元」です。
 でも、僕らが「女神が舞い降りた!」と喜び勇んだ姿ではないワケです。

 それは果たして、本 当 に “存 在 し て い る”と 言 え るのでしょうか?




 ここから先はえっちな話はないから、女子中学生のみんなも気軽に読んでね!
 別にコレはエロの分野に限った話ではないですよね。CDのジャケットでは美人だった歌手がテレビに出ているところを見ると「ん?誰?」という顔だったり、こっちの写真では超美人だった声優さんがこっちの写真では「あれ?影武者?」と言いたくなるほど別人だったり。よくあることじゃないですか。

 すっげー具体的な名前を挙げたいけれど、ここでグッと我慢するのが大人なんだ。
 みなさんも「あー、○○さんのことですか」とかコメント欄に書かないで下さいね!



 そもそもです。
 アイドルのグラビア写真とかだって、ある程度加工・修正するのがフツーですよね。それが当然のことだと僕も思います。僕らは“ありのまま”が欲しいんじゃなくて、“美しいもの”“キレイなもの”“エロイもの”が欲しいんですもの。

 アダルトビデオのソレは「じゃー本編の方も全部修正しろよ」とは思いますし、許せませんけれど。
 アイドルや歌手や声優さんが、実在する以上にキレイに見せようと頑張って写真を撮ることも、そのために少々の画像加工をすることも、僕はそんなに悪いことだとは思いません。夢を見させてナンボの世界ですからね。それは立派な努力だと思います。
 しかしだ。悪くはないけれど、ソレは果たして「三次元」なのか?という疑問はあるのです。




○ “実在している”ように見せる二次元
 一方の、二次元の話。
 アニメ『けいおん!』について、スタッフやキャストの方々が「彼女らが実際に存在していると思ってもらえるように」とコメントしているのを何度か読みました。もちろん実際に『けいおん!』のキャラが存在していることはないのですが、“そう認識してもらえるように”を目指していたのは間違いないと思います。

 喩えば……僕がミニアルバム『放課後ティータイム』を聴いていて、歌っている姿を思い浮かぶのは、実際に歌っている豊崎さんや日笠さんではなく、唯や澪なんですよ。僕は「中の人」の存在を認識しているしし、顔も声も性格や言葉遣いも存在を認知しているはずなのに、歌を聴くと「キャラの顔」が思い浮かぶんです。
 これって、不思議な話ですよね。脳が意図的に錯覚を起こしているというか。


 『けいおん!』の場合、キャスティングからこれ(=「彼女らが実際に存在していると思ってもらえるように」)を狙っていたようで。作中で高校生のキャラは、全員若手&新人で固めていますもんね。澪役の日笠さんや梓役の竹達さんなんかは「(毎週登場する)アニメのレギュラーは初めて」と仰っていましたし、和役の藤東さんに至っては「アニメのアフレコ自体が初めて」だったそうですし。
 このキャスティングには「このキャラの声は、○○という作品で××というキャラを演じていた人だな」という先入観をなくす意図があると推測出来ますし、その先に「彼女らが実際に存在していると思ってもらえるように」があると考えると非常に分かりやすいです。

 逆に、“かつて唯達と同じ立場だった”さわちゃん先生に(それなりにキャリアのある)真田アサミさんというのも狙ったキャスティングだったのでしょうね。
 アニメ開始前にキャスト表を見て「知らん名前ばっかだなー」とテンションが上がらなかったのが正直なところだったんですけど、あの時点で既に術中にハマっていたというか。

(関連記事:俺はアリンに萌えてるのか、川澄綾子に萌えてるのか


 サラッと書くつもりだったのに、『けいおん!』のことになるとついつい長文になってしまう……
 こういう「二次元だけど、“実際に存在している”ように思わせようとする」描き方は、言ってしまえば“二次元にとって究極の目標”だと思います。

 『よつばと!』で描かれる世界が質感を持っているのもこれを狙っているのでしょうし(実在に存在している世界だと思わせたい意図)。
 今まさに大ブーム中の『ラブプラス』も“記号”を排除した生々しさを描こうとしている作品ですよね。他サイトさんのレビューに「メールの返信が遅れて届く」と書かれていて、思わず「コナミはガチだな!」と叫んでしまいました。




○ 結論
 「三次元が、二次元の“完璧さ”を求めて修正される」ように、
 「二次元は、三次元の“実在性”を演出されている」とも言えて―――この二つ、スタート地点は正反対だけど目指している場所は実は一緒なのかも知れない、「二次元のキャラを好き」と「三次元の人間を好き」の間には、それほどの差はないんじゃないか、そんなことをふと考えたのです。


 「二次元と三次元は別物」だと以前に書きましたし、基本的には今も僕はそう思っています。
 でも、互いにこの“狭間”(2.5次元とでも言うべきなのか)に寄っていっている以上、そこの境界線を上手く認識出来ない人も出てきて当然ですし。自分もその曖昧さを楽しんでいるところが多分にしてあるワケで―――

 この「二次元と三次元は別物」という一文は、想像以上に難題を抱えているのかも知れなくて。
 免罪符のように乱発しすぎるのは危険なのかもと思いました。


(関連記事:当たり前だけど、二次元と三次元の好みって違うよね

TVアニメ「けいおん!」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん!」イメージソング 中野梓TVアニメ「けいおん!」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん!」イメージソング 中野梓
中野梓(竹達彩奈)

ポニーキャニオン 2009-08-26
売り上げランキング : 283

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

○ あとがきっ!
 この記事を書いていて、「どうして今までこの記事を書かなかったのか」が分かりました。この記事を書いた人は、ちょっとどうかしていると自分でも思いますもの(笑)。


 でも、「二次元」にしろ「三次元」にしろ、認識するのは自分の脳しかないワケで。
 喩えば「恋人として実在する彼女」だって、脳以外に認識してくれるものはないんですよ。肌に触れた、声を聴いた、姿を見た、というのも結局は脳が認識しているだけで。伊集院さんのラジオでよくネタにされる「ウソででっち上げた実在しない彼女」と、何が違うのか段々分からなくなってくるのです。


 「平沢唯は俺の嫁!」を本気で信じ込めば、人生は何て楽しいのだろう。



 「いやいや、やまなし。それはちょっとおかしいぞ」と、多分この記事を読んでいる99%の人は思うことでしょう。でもさ、これと似たようなことを行っている人は沢山いると思うんですよ。

・旅行のパンフレットを見て、行った気分になれる人
・時刻表を眺めて、電車を乗り継いだ気になれる電車マニア
・スポーツニュース(スポーツ欄)の試合結果だけを見て、試合を観た気になれる人
・やったこともないゲームの攻略本を眺めて、自分で攻略しきった気になれる人(=俺)
・うめぼしを眺めて出たすっぱい唾液でゴハンを食べられる人
・居もしない女子中学生閲覧者に向かって呼びかけることで「きっと居るはず!」と思える人(=俺)


 自分は今、ダイエット中で間食禁止中なので―――
 お菓子を眺めて、「今!俺はこのお菓子を食べた!」と味やら食感やらを脳内再生して食べた気分になることにしています。どっちにしろお菓子って「一度食べたらなくなってもう食べられない」のだから、「食べたら」の部分だけ脳内再生してしまえばイイんじゃないかと思うのですよ!その結果痩せられるかどうかなんて知らねえ!!


※ 21時15分、一部表現を修正しました。

| ヒンヌー | 18:02 | comments:3 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

非常に面白く拝読いたしました。
さて、やまなしさんはご存じの上でこの記事を書かれたのかもしれませんが…
「二次元と三次元の違い」ではなく
「存在するものとは何か」という問いに対して、バークリーという哲学者は
「存在することは知覚されることである」と論じました。
つまり、私が机を見たとすれば、見られた机が存在するのです。
早い話が、平沢唯の声を聞いたとすれば声を聞かれた平沢唯が存在するのですよ。
まさに、二次元の存在か三次元の存在かはそう重要な違いではないわけです。
人生って楽しいですね。

| ああああ | 2009/09/17 18:27 | URL |

二次元と三次元がお互いの美点に向かって寄り添っていっている…
考察おもしろく読ませていただきました。
ひとつ違和感を感じたのですが、実在しているかどうかの話があくまで「脳内で存在しているかどうか」という話にすりかわっている気がするのです。
美しいものを脳で知覚し、存在を感じること自体は私もとても興味深く美しい現象だとは思うのですが、
その前に、実在するというのは「実際に会える」ということだと思うのです。
DVDのジャケットやテレビで見るだけのアイドルでしたら、おっしゃるとおり二次元とそれほど変わりはないと思うのですが、
ライブを観にいけば実際に「会える」し、握手会に行けば「触れられる」わけです。
自分の立場がファンではなく例えば同業者になれば、新たな社会的な関係性(他人から見た二人の関係)が生まれる可能性があります。
二次元はライブに行っても会えるのは中の人ですから、この差は大きいと思うのです。
意図的なのかもしれませんが、その点に触れていないことに少々違和感を感じつつも、
PCを通して画像、音声、動画多くの情報に触れられるこの時代だからこその感覚なのかもと興味深くも感じます。
面白かったのでつい長文になってしまいました…失礼しました!

| maenou | 2009/09/18 01:07 | URL |

 2次元と3次元の違いは、完全に3次元(=創作者)の支配下にあるかどうかだと思います。
 2次元では紙とペン(あるいは、これらの代用となるもの)さえあれば作れます。実在のものを参考にしたり複写したりすることはありますが、それは完成度を高めたり制作効率を上げるためでしかありません。だからまったく別の状況におかれた2人でも、発想と技術とセンスが同じであればまったく同じ作品を作ることができます。
 一方3次元は、役者や被写体として「すでに実在している」素材が必要です。指示や加工である程度は思い通りになりますが、それにも限度があります。同じ素材がなければ同じ作品は作れません。
 (ちなみに、実在しなければいけないのは「素材」だけです。たとえば、武田哲也は実在していますが、金八先生は実在しません。)
 ただ、境目はわからないですけどね。実在の人物のスケッチ画は?とか……

| もら | 2009/10/05 04:18 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1003-2e2101d7

TRACKBACK

[考察]アニメの声は、キャラの声か? 声優の声か?

概要・実在と虚構の区別 やまなしなひび-Diary SIDE- 考察:二次元と三次元の狭間で 「二次元のキャラを好き」と「三次元の人間を好き」の間には、それほどの差はないんじゃないか 上記元エントリへの疑問を書きます。実は私も似た発想を「バーチャル」論でしていますが、

| 萌え理論Blog | 2009/09/19 11:47 |

PREV | PAGE-SELECT | NEXT