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『トモダチコレクション』が売れた理由から目を背けてはならない

 大好きなブログ『枯れた知識の水平思考』さんから凄いエントリが。もう、これらの記事を読んで思ったことだけで10や20は記事が書けそうなくらいです。続きも楽しみにしております。


 JRPGが希求するもの~レベルデザインなんていらない 中編~
 00年代のゲームシーンを巡る二つの中心点



 世間で「任天堂と言えば宮本茂」と言われるのは、実績からしても若手への影響力からしても当然のことですし、宮本茂抜きでは任天堂も日本のゲームも語れないと思うんですけど―――実はその対極に「任天堂と言えば坂本賀勇」という存在があったのも大きいんじゃないかと思う最近です。

 宮本茂には出来ない(やらない)ことをやる坂本賀勇―――というか。
 コレが、現在の「情報開発本部」と「企画開発本部」の両輪に繋がっているのかなと漠然と考えました。


 『Wii Sports』『Wii Fit』『はじめてのWii』『マリオカートWii』『街へいこうよ どうぶつの森』などなど―――Wiiソフトの国内売上げ上位ソフトは任天堂の情報開発本部制作のソフトが独占しています(ミリオン突破したソフトで言えば、桜井チームの『スマブラX』とハドソンの『マリオパーティ』だけが例外)。

 しかし、一方でDSソフトで言えば『リズム天国ゴールド』『ガールズモード』『メイドイン俺』、そして『トモダチコレクション』と言ったようにここ数年でヒットした任天堂のソフトの多くが企画開発本部主動だったというのが面白いです。
 “ゲームの王道”を突き進む情報開発本部に対して、“変なことをする”集団として企画開発本部が存在する―――と。



 ちなみに、この2つの部署が協力して作ったのがMii(『似顔絵チャンネル』)。
 企画開発本部が作っていたDSソフト(『トモダチコレクション』の原型)を坂本さんが岩田社長に見せ、岩田社長が宮本さんに見せ、宮本さんが野上さんに「Wii用ソフトで使おう」と指示して、元々の企画開発本部のスタッフが情報開発本部に社内留学をして作っていたら、いつの間にかWiiの本体機能になっていたという話です。

 なんか、『わらしべ長者』みたいな話ですよね(笑)。

(参考:『社長が訊く』Wiiチャンネル編:第4回 「世界中のMiiが交流するという野望を持っています」
(参考:開発スタッフが語る『似顔絵チャンネル』の話
(参考:社長が訊く『トモダチコレクション』



 さて、そんな企画開発本部の大ヒットソフト『トモダチコレクション』から考えるのが今日の話です―――
 先日というかもう数ヶ月前なんですけど、会った友達とこんな会話をしました。参考までにソイツは『FF』『ウイイレ』辺りが好きなライトなゲーム好き。


友達「『トモダチコレクション』ってあるじゃん?」
やま「うん」
友達「アレってどんなゲーム?」
やま「Miiって分かる?『Wii Sports』で使ってた似顔絵」
友達「あー」(彼は一度ウチに遊びに来て『Wii Sports』を遊んだことがある)
やま「アレを50人くらいバーッと作って無人島で生活させて眺めるゲーム」
友達「それ……何が楽しいの?」
やま「言っちゃう、ソレ?(笑)」
友達「だってなぁ……すげー売れてるみたいじゃん」
やま「多分、『たまごっち』のすげーヤツみたいな感覚なんじゃない?」



 僕自身も体験版をプレイしたのだけど、声が思い通りに設定できなくて「こんなのは俺の嫁(平沢唯)じゃないやい!」と辞めてしまいました。そりゃそうだ。機械ごときに豊崎愛生ボイスが作れてたまるか!
 だから、正直こんなに大ヒットするとは思っていませんでした。20~30万本くらいかなぁと。それが今やミリオンを軽く越えて200万本の大台が見えてきたらしいですよ。


 ネット上での反応も「なんであんなに売れているんだ?」という声が多かったですよね。
 「任天堂のやることは全部許せない!」というアンチ任天堂的な声ではなく、『Wii Sports』や『Wii Fit』を絶賛していた人でも「どうして売れるのか分からない」と戸惑っているのをよく目にしました。



 でも、そこには凄く面白い事実が秘められていると思うのですよ。
 自分が「そんなに売れないだろう」と思っていたものが「売れる」からには「売れる」要因があって、その「売れる」要因に今まで気付いていなかっただけで、そこに気付けば今まで気付かなかったものが見えてくるんじゃないか―――と。

 20~30万本と予想していた自分がこんなことを言うのもアレなんですけど。
 『トモダチコレクション』が売れたのは必然だと思います。売れるべくして売れたソフト。結果論ですけどね。



 多分、後々の歴史の教科書に「2009年『トモダチコレクション』が大ヒット」と記載された場合、補足情報として「TVCMと口コミで売れた」としか書かれないでしょう。実際にその通りですしね。でも、自分はそれは表面の情報でしかないと思うのです。


記者「監督、今日の試合の勝因は!?」
監督「相手より多く点を取ったことだ」
記者(その“相手より多く点を取れた”要因を訊いてんだよ!!)
みたいな。


 何故、『トモダチコレクション』は「TVCMと口コミで売れた」のか?
 その要因こそが重要なんじゃないかと思いました。


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○ “そのゲームを遊んでいる人”を想像すること
 『トモダチコレクション』はそのタイトルの通り、“友達”のMiiを作って島に住まわせるゲームです。実際には“家族”とか“同僚”とか“有名人”とかのMiiも作って住まわせることになるでしょうけど……“有名人”は別として、“友達”や“家族”のMiiを作った場合、それを本人に申告したくなるのが人間心理だと思います。


 「『トモダチコレクション』で○○ちゃんのMiiを作ったよー」と言えば、「何ソレ見せてよ」という話になりますよね。ひょっとしたらMiiを作り始めるところから始まるかも。そして、そのMiiが後々に何かをした場合、「こないだ作った○○ちゃんのMiiが××さんのことを好きになっちゃったみたい…」と話題になるという。

 前に声優の佐藤聡美さんがラジオで『トモダチコレクション』にハマっていると言っていたことを書きましたけど、もっと前にバナナマンの設楽さんもトモダチコレクション』にハマっていると言っていました。そして、そういう人達はまず間違いなく「誰と誰が仲良い」とか「誰と誰はケンカしている」みたいな報告をするのです。


 ゲームに限らず「自分の好きなものを他人に薦める」行為をしたことがある人なら分かると思うんですが……
 まだ好きになっていないものを薦められる時、人は露骨に「興味があるもの」と「興味がないもの」に分けるんですよ。
 “薦める”まで行かなくても“その話をする”でもイイか。サッカーに興味がない人にサッカー漫画の話をしても反応は悪いし、車に興味がない人に車ゲームの話をしても反応が悪いものです。相手が何に興味があるのかを見極めて話さないと反応は良くなりません。

(関連記事:漫画を人に薦める時に必要なのは、漫画ではなく人を見る目



 そして、ほとんどの人は“人間”には興味があるんですよ。
 サッカーに興味がなくても、車に興味がなくても、銃に興味がなくても、「誰が誰を好きみたいだぜ」とか「誰と誰はケンカしてるらしいよ」とかの話は盛り上がるんです。だから、『トモダチコレクション』の話は人に話したくなるのです。話した相手の反応がイイから。



 自分は実際には体験版しかやっていませんけど……
 話を聞けば聞くほど、このゲームは「遊ぶ人がどうやって遊ぶのか」をよく考えているなぁと感心します。それを考えていなければ「Mii同士は仲良くなる」けど「Mii同士はケンカしない」みたいな仕様にしがちじゃないですか。「せっかく作ったMii同士がケンカするなんて!」と思いがちじゃないですか。でも、ケンカした方が断然人に話したくなりますよね。


 「口コミ」がなければこのゲームはここまで売れなかったと思います。
 でも、重要なのはそこでなくて、「このゲームはどのように遊ばれるだろうか」を考えられていることにあると思うのです。友達のMiiを沢山作るゲームならば、それを友達に報告したくなるし、報告した時に盛り上がれるような仕込みを作っておこう(そしてそれを軸にTVCMを展開しよう)と考えているからこその仕様だったと思うのです。



 他の例―――
 『Wii Sports』もそうですよ。
 あのゲームを「一人で遊ぶと寂しくなる」と批判している人もいますけど(自分はそうは思いませんけどね)、逆に言えば「友達にやらせたくなるゲーム」なんですよ。友達4~5人で集まった時、全員が全員ゲーム好きなんてケースはそうそうないワケで、“浮く人”は必ず出てきます。

 「でも、このゲームなら誰でも出来そうだよね」と思うから、人にやらせたくなるし、人を呼びたくなるし、結果として“普及された”人が「こないだ友達の家でこんなゲームをやってさー」と更に報告したくなるという。そのために、プレイヤーキャラを手軽に変更できる仕様にしているのです(Miiを作るのが面倒くさかったらゲストでも出来る)。


 PSPの『モンハン』とか、DSの『どうぶつの森』もそうですよね。
 もっと言うとゲームボーイの『ポケモン』もそうか。何故『赤』と『緑』に分かれていたのかって話ですよ。



 「どうやって遊ばれるのか」を考えてあるゲーム(+それが細部にまで浸透しているゲーム)はやっぱり強いですよ。

 「そんなの当然のことじゃん」とか「結局任天堂誉めているだけかよ」とか思うかも知れませんが。
 『Wii Music』とか『街へいこうよ どうぶつの森』みたいな例もあるワケですよ。「このゲーム、遊ぶ人の気持ちを考えているのかなぁ」ってゲームは沢山あるじゃないですか。『トモダチコレクション』の大ヒットから、そんなことを思ったのです。


 ちょっと前に「口コミで売れるのはラッキーパンチのようなもの」みたいなことを言われまして、確かにそれはあると思いますし、「口コミで売れるゲームを目指せ」と言いたいワケでは決してないんですよ。
 でも、バットを振らなきゃヒットは出ないし、打率を上げるために出来る努力はあると思うのですよ。『トモダチコレクション』や『Wii Sports』はまず間違いなく「それを目指した」ソフトだったと思います。


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○ 「一人で黙々と遊ぶゲーム」を否定したいワケじゃないですよ
 繰り返しになりますけど、「口コミで売れるゲームが正しい」なんて言いたいワケじゃないですよ。
 それは確かにここ数年にヒットしたソフトのトレンドではありますけど、それは“今世代”のトレンドでしかなくて。10年後・20年後にも同じ手が使えるかは分かりません。もっと言うと“DSの次”や“PSPの次”ですら使えるか分かりません。

 本体価格・普及台数・ユーザー層……色んな要因がありますからね。
 DSで通用した手法がXbox360で通用するかって言ったら、それは全然違うことですからね。



 要は、「このゲームはどう遊ばれるのか」を考えることによって「売り方」も変わってくるんじゃないかという話。
 「一人で黙々と遊ぶゲーム」は(尚且つ非シリーズソフトは)、「口コミでどんどん広がっていくゲーム」とは違う売り方をしなくてはならないと思うんですけど―――同じような売り方をして、売れなくて、「ウチは任天堂と違って資金がないからTVCMを大量投入できない!」とか言っちゃうワケじゃないですか。


 そう言えば……よく「ゲーマーはゲームに強い興味があるからゲーム雑誌等で積極的に情報収集をする」とか言っている人を見かけるんですけど。ファミ通の発行部数って50万部くらいですよね?自称だから実際にはもっと少ないだとか、立ち読みの人もいるだろうから読んでいる人の数はもっと多いだとかの声もありますけど。

 現在、「据置ゲーム機」で「一人用のゲーム」のヒット上限が50~60万本というデータに思いっきり重なってしまって。しかも人気シリーズでこのラインですから……“ゲーマー”というよく分からない言葉に過度な期待をしているんじゃないかと思ったりするのです。

(関連記事:据置ゲーム機のメリットって何なんだろう?


 任天堂ですら「一人用」の「Wiiのゲーム」はどうやって売れば良いのか分からない状況で。
 宮本さんの悲願だったこともあるんでしょうけど、2D『マリオ』を4人同時プレイ対応で出すというのが凄く象徴的というかね。「一人で黙々と遊ぶゲーム」のパイがどんどん縮小している気がしてならないです。


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| ゲーム雑記 | 18:43 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

このソフトが売れたのと昨今のtwitterの流行ってなんか似てますよね
私自身このソフトは買ってはいないので印象でしかありませんが

| kamome | 2009/12/05 20:10 | URL |

元々ゲームって自分がファミコンで遊んでいた頃を思い出すと、
一人でやってても楽しかったですが、やっぱり皆で遊んでるほうが楽しかったです。
だから原点に戻ってきてる感じがしますね。

トモコレはドラクエ9までの繋ぎで当時買いましたが、
なかなかどうして面白くてはまったのを覚えています。
このゲームは一切ペナルティがないのもいい部分だと思います。

| naru | 2009/12/07 13:17 | URL | ≫ EDIT

コンテンツはコミュニケーションに勝てない、というやつでしょうかね
人と一緒になって遊ぶのは、やはり楽しいものですしね。

| ああああ | 2009/12/07 22:45 | URL |

"Little computer people"への言及はないのですか?
史学的にも避けずにはいられないと思いますが。

| ああああ | 2009/12/08 00:04 | URL |

キモッ

| ああああ | 2012/10/30 11:44 | URL |















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