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Wiiが成し得なかった“革命”~その3.クラシックコントローラの呪縛

 本当はこっちの記事を先に考えていたのですが、いきなりこの記事を書いても「何を言ってるんだコイツは」と思われるだろうから、その前に読んで欲しい記事としてどうして任天堂は「10代後半~20代中盤の層」に弱いのか?を書きました。あの記事では触れなかった部分に今日は触れるつもりです。


 ということで、その1その2に続く第3弾ですよ。



 Wiiは任天堂史上はじめて“後方互換”を搭載した据置ゲーム機なんです。

 スーファミでファミコンのソフトは遊べませんし、64でスーファミのソフトは遊べませんし、ゲームキューブで64のソフトは遊べません。もちろん「敢えてしなかった」というよりは「出来なかった」ことも大きいのですが、では何故「出来なかった」のかと言えば、ホントは優先順位の問題で―――「過去のソフトが遊べること」よりも、「新しいゲーム機でしか出来ない遊び」を重視したんだと思います。そちらに技術を注いだのだろうと。


 任天堂は「変化」し続ける。
 前回の記事でコントローラの例を出しましたが、ソフトの面でも「変わり映えしないようなことは極力しない」という印象はありますよね。『スーパーマリオワールド』が大ヒットしたからと言って、『スーパーマリオワールド2』を出してはくれない。DSで『Newマリオ』を出すまでは「今更2Dマリオをやるのか」という空気があったそうです。

(関連記事:2D『マリオ』はもはや文化である



 だからこそ、「それまでの任天堂」が好きだった人が「なーんか俺が求めていたものと違う方向に進んでいるよなぁ」と思ってしまいがちというのが前回記事の話。

 Wiiも当然そう。
 ファミコン・スーファミ世代が64の変化に付いていけなくて脱落者を多数出したように、64・GC世代はWiiの変化に付いていけなくなったという見方も出来ます。それ以前から右肩下がり傾向ではあったんですけど、64時代はミリオンタイトルだった3D『マリオ』&3D『ゼルダ』がWiiで売上げ苦戦したのはその象徴なのかなぁと。(逆にファミコン・スーファミ世代に馴染みのある『Newマリオ』は大ヒットしている)



 しかし、そんな任天堂がWiiには“後方互換”を付けたのです。
 ゲームキューブのソフトが全部遊べますし、“互換”というのとはちょっと違いますけどファミコン・スーファミ・64などの過去のゲームをダウンロード購入して遊ぶことが出来ます。「変化し続けた」任天堂にしてみれば異例なことですよね(ファミコンミニ辺りが転機だったのかな)。
 こうした機能を付けた理由というのは一つや二つではないでしょう。発売時期を早めるためにゲームキューブの技術を流用したからとか、「新しさ」だけでは限界があると思っていたとか、ダウンロード販売によってネット接続率を上げたいとか……等等。


 結果、WiiのコントローラはWiiリモコンだけではなくなります。
 Wiiリモコンはボタン数を減らす必要があったため……ゲームキューブのソフトを遊ぶためにゲームキューブコントローラ(以下GCコン)、スーファミ等のソフトを遊ぶためにクラシックコントローラ(以下クラコン)にも対応させなきゃならなかったんですよね。んで、「Wiiリモコンでは遊びにくいソフトはこっちに対応させるのも手だよね」と。そういう“拡張できる幅”を持たせることで、様々なソフトを出せるようにしたのです。

(関連記事:そう言えば、Wiiリモコンは「コアユニット」と呼ばれていたんでしたっけ



 で、結果。
 『モンハン3』『モンハンG』『戦国無双3』『テイルズオブグレイセス』―――これらは2009年のサードメーカー発売のWii用ソフトでの売上げ上位商品なんですが(あとは『太鼓2』や『桃鉄』が入る)、こうしたソフトには本体+ソフト+クラコンPROというスペシャルパックが用意されたり、クラコンとの同梱パックが用意されたりしていて。

 言ってしまえば“クラコン推奨”のソフトです。

 「従来型ゲーム」「シリーズソフト」などは、Wii以前からそうしたソフトを応援している人に支持されているワケで。そうした人達には「(変わらない)クラコンで遊びたい」「GCコンで遊びたい」という意見も多いので当然と言えば当然なんですけど……
 任天堂が『Wii Sports』で開拓したような「予備知識がなくても楽しめるゲーム」を支持するような人達には、「あー自分にはムリなゲームだな」と思われてしまうという。




 ユーザーの二極化。


 もちろん大雑把な話なんですけど……
 「Wiiリモコンしか使えない人達」は、クラコン推奨ソフトには「自分にはムリ」と見向きもせず。
 「クラコンしか使いたくない人達」は、Wiiリモコン専用ソフトには「リモコン振るのとか恥ずかしいし…」と見向きもしない。そのミゾの深さがWiiソフトの市場を苦しめているように僕は思うのです。


 ちょっと話変わるんですけどさ。
 「部屋で一人Wiiリモコン振るのとか恥ずかしくて死にたくなる」って意見をアンチWiiの人達からよく聞くんですけど、そういう人達ってオナニーとかどうしてんですかね?オナニーは言い過ぎでも、鼻毛抜いたりとか、紐ボクシングとか、部屋の中ですることって「コレは他人には見せられない姿だなぁ」ってことばかりだと思うんですけど。




 閑話休題。
 記事タイトルで「呪縛」という言葉を使ったので、自分は従来型コントローラ(クラコンやGCコン)を否定しているように思えるかも知れませんが。そうではないです。僕は触ったことのあるコントローラの中でGCコンが一番好きですし、バーチャルコンソールやりたくてWiiを買ったのでクラコン3つ持っています。

 問題だと思うのは……一方に「Wiiリモコンしか使えない人達」がいて、その対極に「クラコンしか使いたくない人達」がいるとイメージして、その橋渡しをする存在が機能していないということです。両方の端っこが居心地良すぎて歩み寄っていない。
 任天堂の岩田社長は何度か「橋渡しをするソフトが大切だ」と語っていて、喩えばDSの『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』などを具体例に出していたのですが……Wiiの場合はどうだろう、という話。




 結論を言います。

 本来「橋渡し」の役目を担うはずだった“ヌンチャクスタイル”推奨のゲームが日本では売上げ苦戦している(=定着していない)ことが、Wiiが抱えている一番大きな不安要素だと思うのです。


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○ 「ヌンチャクである」必然性とは
 『ウイイレプレーメーカー』『王様物語』『罪と罰』なんかは分かりやすい例だし、「目標には恐らく達していない」ということなら『マリオギャラクシー』や『トワイライトプリンセス』も売上げ苦戦と言えてしまうでしょう。
 コレらのソフトは“ヌンチャクスタイル”専用もしくは推奨のソフトで、購入した人の評判は非常にイイのにも関わらず売上げが伸び悩み、「こんなに良いゲームが売れないなんてWiiユーザーはどうかしている」とまで言われている商品です。



 でも、「ユーザーの二極化」という視点で考えれば分かりやすいですよね。
 「Wiiリモコンしか使えない人達」にヌンチャクを渡しても「アナログスティックなんて使えないよ!」という反応をします。
 「クラコンしか使いたくない人達」にWiiリモコン+ヌンチャクを渡しても「リモコン振るのとかイヤだし…」という反応をします。



 本来、その「橋渡し」をするはずの“ヌンチャクスタイル”のゲームが両側のユーザーのどちらからも敬遠され、「どんなコントローラでも構わないっすよー」というユーザーにしか買われていないのが現状だと思うのです。
 “ヌンチャクスタイル”は「Wiiリモコンしか使えない人達」には「アナログスティックも難しくないんだね!」と思ってもらって、「クラコンしか使いたくない人達」に「Wiiリモコンも悪くないね」と思ってもらうために用意されたものだと推測されるのですが―――ここが全く機能していないんじゃないかと。



 推測する根拠はあります。
 『NewマリオWii』『マリオカートWii』『スマッシュブラザーズX』『街へいこうよ どうぶつの森』―――任天堂が出しているWiiソフトの中で“複数コントローラに対応しているゲーム”なんですが、全て“ヌンチャクスタイル”に対応しているんです。もちろん『マリオギャラクシー』や『トワイライトプリンセス』はヌンチャク専用ですし、任天堂は“ヌンチャクスタイル”に一番力を入れているとすら思えるんです(『暁の女神』や『フォーエバーブルー』は例外。アレはWii初期のソフトだからなのかな)。


 『NewマリオWii』が“ヌンチャクスタイル”対応で、クラコンに非対応というのが象徴的ですよね。
 それを「理解できない」と仰る人もいるんですけど、『スーパーマリオギャラクシー』とほぼ同じ操作で楽しめると考えると分かりやすいと思います(スティックで移動、Aボタンでジャンプ、リモコン振ってスピンは一緒。Bボタンでダッシュだけが違う)。


 任天堂は“ヌンチャクスタイル”を楽しめるユーザーを増やしたいんだと思います。
 「橋渡し」の役目を担わせることで、「Wiiリモコンしか」とか「クラコンしか」といったユーザーを誘導したいんだと思います。そう考えると任天堂のコントローラの戦略は合点がいくんです。ただ成功していないだけで(笑)。




 しかし、“ヌンチャクスタイル”を定着したいってのは任天堂のエゴというか、ユーザーはあまり望んでいないとも思っています。『街森』は例外として―――『NewマリオWii』『マリカWii』『スマブラX』を“ヌンチャクスタイル”で遊んでいる人ってどのくらいいますかね?正直、一番不人気なコントローラくらいの扱いだと思うのですよ。

 『トワイライトプリンセス』は元々GC用に作られたソフトなので当然ですけど、『マリオギャラクシー』ですら「コレGCコンでも遊べるんじゃねえの?」という意見はよく見かけました。“ヌンチャクスタイル”の恩恵を最も受けたと言われている3Dシューティングゲーム…『バイオ4』や『メトロイドプライム3』『罪と罰』なども、元を辿ればGCや64のソフトですから「GCコンでも遊べるんじゃねえの?」と思っている人もいるんじゃないでしょうか。



 『Wii Sports』は“Wiiリモコン”でしかありえないゲームだと思います。
 アレをクラコンで遊びたいと言う人はなかなかの偏屈者だと思います。


 では、“ヌンチャクスタイル”は?
 “ヌンチャクスタイル”でしかありえないゲームって……?

 自分は“ヌンチャクスタイル”は“ヌンチャクスタイル”で好きです。『マリオギャラクシー』も『トワイライトプリンセス』も物凄く楽しみましたし、別のコントローラだったらなんて思いもしませんでした。『Wii Sports』の「ボクシング」や『Wii Fit Plus』の「足踏みパレード」のように、両手を振るゲームも好きです。


 でも、今現在“ヌンチャクスタイル”を敬遠している人に「騙されたと思ってヌンチャクやってみろって!」と言えるほど万人受けするかというと……そんな自信はありません。Aボタン連打すると中指痛くなっちゃうし。
 そもそもアナログスティックを使えない&アナログスティックの意味が分かっていない人が、Wiiユーザーには多いと思うのだけれど。誰もその問題を解決しようとしていないワケで。


(関連記事:アナログスティックに触れてこなかった世代をどう取り込むか


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○ これから
 「Wiiリモコンしか使えない」「クラコンしか使いたくない」ユーザーの二極化。
 その橋渡しになるはずの“ヌンチャクスタイル”が、最もマニアックなコントローラになってしまって。


 さて、2010年。
 『斬撃のレギンレイヴ』は「ヌンチャクスタイル」「ヌンチャクスタイル+モーションプラス」「クラコン」の三種コントローラに対応だそうです。この手のゲームを出すからには、このコントローラは悪くないと思います。「Wiiリモコンのみ」だと違うゲームになっちゃいますからね。

 でも、「Wiiリモコンしか使えない人達」にはどう足掻いても売れない。
 だからまたきっと「こんなゲームが売れないなんてWiiユーザーはどうかしている」って言われるんでしょうね。




 そもそも。今回の記事を書く際に思ったことは、公式HPを見てもどのコントローラに対応しているのかすら書いていないソフトが沢山あるってことですよ。「みんなのおすすめセレクション」に選ばれた7作品でも、公式HPで探せたのは『朧村正』『アークライズ』『ファミリースキー』の3つだけで、しかもこの3つも探すのが大変。

 仕方ないので任天堂のHPから1コ1コ探して、『ワンピース』と『テイルズ(ラタトスク)』が“ヌンチャクスタイル”のみだということが分かりました。『ファミリースキー』は“ヌンチャク”か“バランスWiiボード”で、あとの4つはクラコン対応かな(『428』のみGCコンには対応せず)。



 うん………
 『428』はちょっと例外ですけどさ、アクションゲームで使えるコントローラが分からないってそんなゲーム買いませんよね。パケ裏見ろよってことだとしても「ちょっと公式HPで調べてみようかな」って人はここで脱落しますよ。
 「みんなのおすすめセレクション」は宣伝から任天堂が力入れるという話なので、その辺は抜かりなくやって欲しいんですけど―――そもそもこんなにコントローラが沢山状態になったのは任天堂に責任がありますからねぇ。


 任天堂自身も、今年のキラータイトルは『マリオギャラクシー2』に3D『ゼルダ』と前作が“ヌンチャクスタイル”で売上げ苦戦した作品なワケで。今年が正念場になるんじゃないかと思っています。逆に言うと、突破口を開くためには今年が勝負の年になるだろうと。


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| ゲーム雑記 | 18:42 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ヌンチャクすごく好きなんで、逆にこの発想は無かったなぁ・・・「アナログスティックがダメな人がいる」はとても納得できたから、片方は理解出来るのだけど。
でも確かに現状そうですよね、"リモコン=棒振り"って固定観念持ってるクラコン好きは多いかも。
ヌンチャクスタイルの最大の利点は振動検知でもポインタでもなく、両手をリラックスしたポジションに置けることなので、そこが分かるともう離れられないのですが。
従来コントローラーなんて両手を体の正面に固定されて、何の罰ゲームですかって感覚にすらなります。
MH3も一応クラコン同梱版買ったのに結局ヌンチャクで通しました。そしたらオンで大分驚かれましたが。

DSが"タッチパネルをうまく使わねば"という一時の強迫観念から解き放たれたように、Wiiも"振らねば"と考えないソフトがもっと増えてくればいいのですが。
でもリモコン側のボタン数と配置が悪いんだよなぁ・・・

| shimo | 2010/01/30 15:57 | URL |

>shimoさん

同意です。
自分は「一番好きなコントローラはGCコン」と書きましたけど、ヌンチャクの方が向いているゲームもいっぱいあると思いますし、「両手をリラックスしたポジションに置ける」メリットを考えたソフトが増えて欲しいなぁと思っています。

この辺り、「ヌンチャクスタイルの魅力」みたいに別の記事にして書いてみようかな。
偏見を持っている人が多いのなら、「ここがイイんだよ!」とオススメしていくのが一番真っ当なやり方だと思いますし。

自分の唯一の不満点は「ヌンチャク側に振動がない」こと。
ボタン数は自分としては「アナログスティック+ABZボタン」くらいまでしか使いこなせないので不満じゃないです(笑)。特にアクションゲームで咄嗟にというのはパニックですよ。『スマブラX』もGCコンでやっているけど、「アナログスティック+ABLXボタン」くらいが限界。おかげで「掴む」が使えません。

でも、メーカーからは「ボタン数が足りない!こんなんじゃゲームらしいゲームが作れない!」って言われるんですよね。どんだけゲーム上手い人が作ってんだと。

| やまなし(管理人) | 2010/01/30 23:12 | URL | ≫ EDIT

ヌンチャク必須で一番売れたゲームはマリオギャラクシーだと思いますが、
そうするとヌンチャクでの操作を受け入れているWii所持者は
マリオギャラクシーの売上本数+α程度しかいないのかもしれませんね。
だいたいXbox360本体の販売数(100万台前半)と同じくらいだと考えると、
ソフトの売上的にも似た傾向が見られるような気がします。

| undo | 2010/03/04 12:33 | URL | ≫ EDIT















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