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胸を張って「ゲームが好きだ!」と言える人が好きだ!

 ちょっと前の記事になっちゃいましたけど、『ゲームの闇鍋』さんに興味深い記事が。


 日本のゲーム分野にはシンボルがいない


 この記事を読んで「うん、なるほど。流石ゲームの闇鍋さんだ!」と面白く思ったのですが……
 数週間後に他のブログさんがこの記事を紹介していて、その解釈が「え?そういう記事じゃなくね??」「そういう意味の記事だったら自分は全然面白くなかったんだが」と驚くようなもので。同じ記事を読んだ人間であっても、読み手によって“内容”まで違って受け止められるんだ……と思ったのです。



 だから、この記事を読んで“自分が思ったこと”を書く意味があるのかも知れんぞと思いまして。
 他人のふんどしで相撲を取るブログ!それが『やまなしなひび』だ!



 自分は、必ずしも「ゲームを作っている人を有名にするべき」だとは思わないんです。
 この手の議論の中でよく言われるのは、映画監督に比べてゲームクリエイターは知名度がない!みたいなことがあるじゃないですか。宮崎駿監督に比べて宮本茂氏は一般人に知られていない、と。別に僕はそれでイイと思うんですよ。


 実写でもアニメでもイイんですけど……
 前情報もスタッフロールもなくて、映画の中身だけを観て「この演出は○○監督だな!」とか「この脚本は○○だな!」と分かる人なんて少数だと思うんです。ごく一部の映画ファンだけじゃないですかね。僕はそれでイイと思うんです。みんながみんな評論家になる必要はないんです。


 まぁ、スピルバーグとかは別格なんですけど……
 「どの映画を観に行くのか」の判断材料を挙げていくと、多くのライトユーザーは「(実写の場合)出演者は誰だ」とか「(アニメの場合)絵柄はどんなだ」とか「話題になっているか」とか「原作は何だ」とかになると思います。ちょっと詳しい人でも、監督の名前はチェックしてもプロデューサーの名前とかは知らんでしょ?

 「マリオのゲームだから売れる」とか「ドラクエの新作だから売れる」―――ってゲーム業界と、さほど差はないと思うんです。


 宮本さんの話をすると、今の彼はディレクターはやっていないワケで。
 『Wii Sports』も『Wii Fit』も『NewスーパーマリオWii』も全部「宮本茂の作品」と言っちゃうのには抵抗があります。もちろん大きな仕事は担ったのでしょうが、宮本さん一人の力で作ったワケじゃないですし、ディレクターは個別に存在するワケで。じゃあ宮本さんが担った部分ってどこよ?って、正直僕もよく分かりませんもの。

 ゲームクリエイターの仕事ってそういうことだと思うんです。
 “個”を出す場ではなく、“全体”で商品を作っていく仕事。ディレクターが偉いとかプロデューサーが偉いとかデザイナーが偉いとかプランナーが偉いとかプログラマーが偉いとかじゃなくて、“全体”が機能しているから商品が完成する奇跡の仕事だと思うのです。



 そんなことを言っている僕は、桜井政博さんの新作に期待しているのですが(笑)。
 それは彼の「入り口は広く、しかしその先の道は果てしない」ゲームデザインの哲学に期待しているからで(もっと言うと、どんなジャンルのゲームであっても構わないと思っています)。そういう意識を持つ人は熱心な一部のファンだけでイイと思うんです。

(関連記事:桜井政博さんの新作ゲームを予想(妄想)する!


 ちょうどつい最近、宮本さんが「日本でも海外でもゲームイベント以外は普通に街を歩けますよ」と仰っていたんですが……それでイイと僕は思うんです。日本中にいるゲームクリエイターのほとんどの人は、「サイン攻めに合いたい!」というよりは「関わったゲームを面白いと言ってもらいたい!」と思って頑張っているんじゃないかと思うのです。


 もちろん優先順位の話であって、僕はそっちよりこっちを優先にしようよと言いたいだけなんですが。
 「ゲームを作っている人を有名にする」よりも、胸を張って「ゲームが好きだ!」と言える環境を作る方が重要なんじゃないかと思うのです。そのために“シンボルになってくれる人”がいると効果的だよね、と。


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○ 「ゲームが上手い人」がヒーローだった時代
 僕が『ゲームの闇鍋』さんの記事を読んで「面白い!」と思ったのはここだったんです。

 「高橋名人以降、ゲーム分野にはシンボルがいない」

 僕としては、「高橋名人以降、ゲーム分野のシンボルは“ゲームを作る人”になってしまった」と思っているんです。堀井雄二氏しかり、坂口博信氏しかり、飯野賢治氏しかり、小島秀夫氏しかり。別にソレが悪いワケじゃないんですが、“作る人”は何をしているのかが分かりにくい分、熱心なファン以外はその名前を知らなくて当然だと思うのです。

 僕だって、『スーパーマリオブラザーズ』を遊んでいた頃は“宮本茂”の名は知りませんでした。
 後に知った時に「え!?日本人が作ってたの!?しかも意外に若い!」と驚いたくらいですもの。



 高橋名人は「ゲームが上手い人」でした。
 「作る人」ではなかったんですよね。確か部署も「広報の人」だったと思います。
 スポーツ用品を作っている会社がスポーツ選手に「ウチの用品使ってくださいよ」と契約すると、「あぁ!あの選手と同じシューズなら同じように凄い選手になれるかも!」とその用品が売れるみたいな話で。高橋名人が華麗にゲームをプレイすることで、そのゲームが話題になって「俺も高橋名人みたいになりてえ!」と売れる―――ということだったのでしょう。

 みんな、高橋名人に憧れていたんです。
 「あんな風になりたい!」と思って、シュウォッチ買って「16連射を目指すぞ!」と頑張ったんです。


 あの時代はゲームが上手い人、連射が速い人がヒーローだったんですよ。
 そして、当然ながらそんな時代はじきに幕を閉じることになります。栄枯盛衰。


 『ドラゴンクエスト』の大ブームによって。
 「プレイヤーの上達」という一軸の成長要素に「キャラクターの成長」という要素が加わり、「時間さえかければ誰もがクリア出来るゲーム」としてRPGが大人気となっていきます(当然ドラクエ1本の力じゃないですよ。ドラクエに影響を与えたもの・ドラクエから影響を受けたものなど沢山あっての話です)。
 まぁ、今にして思うとファミコン時代のRPGはしんどいところがありますけど、シューティングゲームブームと比較すればという話。

 そうすると「ゲームが上手い」というステータスも以前ほど輝かなくなります。
 小学生の頃は「かけっこが速い」男のコはモテていたけど、大人になると「かけっこ」する機会なんてないからモテないよね、みたいなことです。オイラは「かけっこ」死ぬほど遅いし、大人になってもモテないのだけれど。



 なので、そこからの“ゲーム業界のシンボル”は堀井さんや坂口さんのような“ゲームを作る人”になっていったのかなぁと思うのです(格闘ゲームブームの頃にチャンピオンが話題になったりもしましたが、それも格ゲーファンの間だけだったように記憶します)(海外ではゲームが上手い人が話題になるとか言われるけど、それでも『Wii Sports』とかが売れるんだからみんながみんなそこを目指していないと思うのです)。

 しかし、「ゲームを作る人」は熱心なファン以外にとっては“シンボル”にならない、という僕の主張はこの記事の序盤に書きました。「ゲームを作る人」でもなく、「ゲームが上手い人」でもなければ、“シンボル”になる人というのはどういう人なんでしょう?




 僕は、「ゲームが好きだ!」と言える人が重要だと思っています。
 趣味に「ゲーム」と書ける人、お見合いの席で「ご趣味は…?」と聞かれて「ゲームです」と答えられる人、「2010年の抱負は?」と聞かれて「(翌日の仕事に響くから)徹夜でゲームはしません!」と宣言する人。


 かつての深夜ラジオで、人気パーソナリティが面白いと言った本がバカ売れしたり、紹介した音楽家に注目が集まったりするみたいな話で。「あ!このゲームはあの人が遊んでいるゲームだ」と思える人がいることが大事だと思うのです。
 まぁ、ラジオ業界はゲーム業界以上に崖っぷちなので、「ラジオが正しい!」と言いたいワケじゃないんですけど。



 喩えば、有野課長。
 やっているゲームはレトロゲームなので商業的な影響は微塵もなさそうですが(笑)、大してゲームの上手くない彼が必死になってゲームを攻略している様に共感を覚えられるワケで。「課長がやってたゲームだ、俺もやってみよう!」って思えるじゃないですか。


 喩えば、伊集院光。
 彼のトークの魅力を書き出すと行数が半端なくなるので語るのは一つだけにすると、色んなものを通して「人間」を語れるところにあると思うのです。御自身があまり得意でないアクションゲームを後輩芸人にやらせて観察したり嫌がらせをしたり、後輩芸人のセーブデータを勝手に遊んじゃったり、横で見ている奥さんが「可愛い」と言ったキャラを殺さないとならない場面が来てバレないように上手く誤魔化したりとか。

 「人間ってこんなだよね」という“人間愛”を、ゲームを通して語れる人だと思うのです。こんな表現されると本人は嫌がるでしょうけど(笑)。
 「ゲームばっかりやっていると人間は暗くなるんだ!」みたいな偏見に対して、実はそうじゃないんだよと教えてくれると思うのです。まぁでも、先ほど書いたように深夜ラジオを聴いている人自体が少数なので、この魅力をマスに伝えるのは難しいんですけど……あぁ、ホント『日曜日の秘密基地』が終わってしまったのが悔やまれる。


 喩えば、ライムスター宇多丸。
 つい数日前の『キラ☆キラ』で驚かされた話。たまたまメールで読まれたドリームキャストの話題に合わせて『シェンムー』の話をしたんですよ。もちろん相方の小島慶子アナは『シェンムー』なんてゲームは知りません。
 でも、『シェンムー』をどんな風に遊んでいたという話で、「父親の復讐のために主人公が立ち上がる」のだけど「家にいる御手伝いさんから毎日お小遣いがもらえる」から「そのお金で毎朝早くからスロット屋に並ぶ」ことを続けていたら「インターネットを通して自分が東京で(スロット順位)2位になっていることを知った」というエピソードを話したところ。

 小島さんから「お父さんの復讐はどうなったのー!(笑)」というツッコミを受けたという。
 そのゲームを全く知らない人からツッコミを受けた、これが話術ですよ。




 つまりは“人間”なんです。
 ゲームに興味がない人にゲームの話をしても興味を持たれない。
 でも、「ゲームを遊んでいる人間」は、あくまで「人間」だし。「人間ってこんな面白いよね」と思われるワケです。


 3人中2人が「ラジオ」経由というのは、自分の偏りがあるのはもちろんなんですが。
 テレビと違ってラジオは、語れる尺が長いという魅力があると思うんです。伊集院さんなんて1本のゲームの話を30分とかするワケで、それをテレビじゃ出来ませんよね。有野課長の『ゲームセンターCX』だってゴールデンの地上波じゃ出来ませんよね。

 自分の表現で伝えられるのであれば、それはどんなメディアでも構わないんです。


 だから、自分は“シンボル”というのは有名人じゃなくてイイと思うんですよ。
 ブログでもイイし、Twitterでもイイし、「ゲームが好きだ!」を自分なりの表現で語れる人が"シンボル”になるべきだと思うんです。「ゲームを作る人」や「ゲームが上手い人」である必要はないと思うんです。

 もちろんメディアを通さなくてもイイです。
 友達の間に「昨日こんなゲームをやったんだけどさ~」を語るだけでもイイと思うんです。
 「趣味:ゲーム」な人が存在することを認識しているだけで、その友達にとってその人は“ゲーム好きのシンボル"になると思うんです。「面白そうなゲームがCMでやっていたけどアイツ知っているかな」となると思うんです……多分。


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○ 「好きなゲーム」を「大好きな友達」に薦めよう
 洋ゲーとかFPSとか「ゲームらしいゲーム」の話は、大抵
 「こんなに面白いゲームがどうして日本では売れないんだ!」という結論になりがちですよね。

 友達に薦めてみたら?と、シンプルに思います。
 友達じゃなくても家族でも良いし、1人に薦めているなら2人に、2人に薦めているなら3人に……と、徐々に増やしていけばイイと思うんです。プレゼントするのでも、貸してあげるのでも、家に呼んでやらせてみるのでも、色んな手段があるのだからそれをするのも手だと思うのですよ。

 気に入ってくれたなら、そりゃもちろん嬉しいことですし。
 気に入られないのなら、その理由が分かるワケで―――


 10人に薦めて2人にしか気に入られなかったとしても、また同じようなゲームが出た時に「誰に薦めるべきか」が分かるじゃないですか。自分の好きなものを友達に薦めるのってすげー楽しい行為だと思うんですけどね。批判とか煽りとかじゃなくて、純粋に「こうすると楽しいよ?」と提案したいのです。

(関連記事:漫画を人に薦める時に必要なのは、漫画ではなく人を見る目
(関連記事:一般人にもオススメできる深夜アニメとは?



 「そんなことやってもイミねえよ」と思います?
 「10人に薦めたって、売上げが1万本伸びるワケじゃない」って思います?

 でも、『トモダチコレクション』はそうやって売れたんですよ。
 『Wii Sports』はそうやって売れたんですよ。


 それが常に正しい手段だとは思いませんけど……
 出来る手段をしないで「どうして売れないんだ!」と嘆くのは勿体ないと思うんです。本当に「面白い作品」があって、それに手を出していない人が沢山いる現状ならば、せめて自分の周囲の人だけにも薦めてみようぜ、って思うのです。


 ゲームの“シンボル”って、そういうことでイイんじゃないかなぁ。
 何千万人の人に崇めたてられるような人を作り出すよりも、まず目の前の数人に「ゲームって面白いんだ」「ゲーム好きって別に暗いワケでもないんだ」と思われることの方が大事じゃないですかね。


 ゲームを薦める友達がいない?
 じゃあ、ゲームの話題をきっかけに話しかけようぜ!


(関連記事:『トモダチコレクション』が売れた理由から目を背けてはならない


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| ゲーム雑記 | 18:49 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

受動的な態度

ゲームに限らずとも「~が好きだ!」と胸を張って言える人って、人生を楽しもうという意気込みが伝わってくる感じがしていいですね。
そういうのって、流行っている無難なものを選び、なんとなくそれを消費していくような人達には到底できないでしょう。これは同時に今までなんとなく生きてきた自分への痛烈な批判にもなりますがw

受動的ダメゼッタイ、YES能動的!
そんなことを改めて思いました。パワフルに生きていきたいですね

| ふぉっちー | 2010/02/19 02:13 | URL | ≫ EDIT

>>「こんなに面白いゲームがどうして日本では売れないんだ!」
やまなしさんが執筆されたゲーム関連記事でこのフレーズを良く見るんですが、
実際にそういう論調でゲーム業界の今後を憂いている人を僕は見たことがありません。
日本で洋ゲーやFPSを楽しんでいる人は粛々とやっている場合がほとんどで、
「日本でウケないのはおかしい!」などと自分の価値観を周りに押し付けるような人は
極少数だと思いたいのですが、どうでしょうか。

| ∞ddd | 2010/02/19 04:46 | URL | ≫ EDIT

>>∞ddd #SXlq22JY
サイト主じゃないけど、そうでもないと思うよ。
ゲーム業界の人とかゲーム好きな人とか、やっぱり憂いてるし、嘆いてる。
もうちょっといろんなサイトを見るといいんじゃないの?
あと洋ゲーやFPSをプッシュしてくるアグレッシブな人もいるよ。

僕はあまりそういうアグレッシブな人が好きじゃないのだけれど、
やっぱり、そこから広がっていくものがあるというのも紛れもない事実だし、
ゲームが好き!っていう人がゲームの為にできることって、
正当な対価が製作者に入るようにすることと、良い物には良い!って声をあげることだと思うね。


| ああああ | 2010/02/20 17:05 | URL |















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