やまなしなひび-Diary SIDE-

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「アクションゲームが苦手な人でも安心して楽しめます!」の裏表

 こないだ友人が遊びに来たので、Wiiのバーチャルコンソールで『ガチャポン戦士』を対戦しました。

 『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』VC公式サイト


 このゲームを知らない若い人も多いと思うので説明をしますと……
 1987年に発売されたファミコンのディスクシステムのソフトで―――敵・味方に分かれ、SDガンダムのユニットを将棋の駒のように動かすことによって相手の陣地を占領するという“戦術級シミュレーションゲーム”の初期のゲームです。

 将棋と違うのは―――「バトル」があることです。
 将棋は歩兵が飛車の上に乗れば歩兵が勝って飛車を奪えるというルールですが、『ガチャポン戦士』はそこでアクション形式のバトルが始まって勝った方が生き残り負けた方は破壊されるというルールになっています。
 ザックリ言ってしまうと、「頭の良い人が勝つ」将棋に、「アクションゲームが上手い人なら不利を跳ね返せる」要素を加えたゲームと言えるのです。



 ファミコンミニの商品紹介ページにもそれを匂わせる一文がありますね。
 「プレイヤーの腕次第ではモビルスーツ同士の戦闘で一発逆転も。」



 友人との対戦は、自分の巧みなユニット生産によって相手をほぼ壊滅状態に追い込んだのだけれど―――「よし、これで勝利だ!」と拠点を制圧したと思ったら、最後に武者ガンダムを倒さなければならないことをすっかり忘れていて………
 我が軍のZZガンダム、エルメス、ゲルググ3機があっさり武者ガンダムに破れて手詰まりになったのに対し、こっちの武者ガンダムは相手のゲルググ2機にあっさり撃破されて大逆転敗北という結末でした。


 友人からすれば、「戦術が拙くてもアクションが上手いから勝てた!」ということ。
 自分からすれば、「どんなに戦術を駆使してもアクションが下手だと勝てないゲーム」ということ。実はこれ、裏表だと思うんです。ゲームの紹介文には前者の利点しか書かれないけど、ユーザーからすると後者のデメリットが目立つことってあると思うのです。




 これ……当時からそうだったんですよ。
 自分はアクションゲームが嫌いなワケでも苦手なワケでもないのですが、『ガチャポン戦士』のアクションバトルはどうしても不得手でした。世間での評判は逆らしいんですけど、自分は『2』→『3』(90年)でアクションバトルからコマンドバトルに変更されて喜んだくらいですもの。



 ちょうどこの87~90年頃は過渡期だったんですよね。
 もっと以前、ゲームの主流がアクションゲームやシューティングゲームだった時代は「アクションゲームが出来る」のは普通のことでした。『ガチャポン戦士』の戦闘がアクションなのも、“その方が馴染みやすいから”という配慮だったんだと思います。

 しかし、86~88年に『ドラゴンクエスト』最初の三作が発売されたことで状況が逆になります。
 “ゲームに興味があるけどアクションゲームやシューティングゲームが不得手な人”が実はたくさんいて、そうした人達が「俺でもじっくりレベル上げすれば楽しめるぞ!」と思ったこともあって『ドラクエ』は大ヒットしました。

(関連記事:RPGにレベルアップ制度は必要ですか?



 んで、元からあったアクションゲームに「レベルアップ制度」を導入することで、「RPG要素もあるのでアクションゲームが苦手な人でも楽しめるよ!」とアピールする流れが出てきます。
 若い人にイメージしやすい喩えをするなら、DSが大ブームになったことで、『ゼルダ』とか『ドラクエ』ですらタッチペンで遊べるようになったみたいなことが20年以上前にも行われていたんです。


 自分の大好きなくにおくんシリーズとかもそうでしたね。
 『熱血物語』(89年)は敵を倒してもらえるお金を貯めてお店で買い物をすることでパワーアップしますが、『時代劇』(91年)は敵を倒すことでパワーアップするように変更されました。やってる行為は同じようなものですけど、『時代劇』の方がより「レベルアップ制度」に近くなっていたんですね。



 自分はそれがあまり好きじゃなかったんです。

 アクションゲームに「レベルアップ制度」をプラスすることで、
 メーカーからすると「アクションゲームが苦手な人でもレベル上げをすれば楽しめるよ!」という狙いなんでしょうし、それも分かるんですけど―――

 実際に遊ぶ僕が受けた印象は「アクションゲームが得意な人でもレベル上げをしないと苦しいゲームなんだな」「面倒くさいな」と。なので自分の好き度は『熱血物語』>『時代劇』ですし、「レベルアップ制度」のない『ゼルダの伝説』シリーズが好きなんです。



 「A+B」によって「Aが好きな人」も「Bが好きな人」も楽しめる!
 ……という狙いで作られた作品が、逆に「Aが好き」だけど「Bが苦手…」だから楽しめないやと思われてしまう――――


 足し算で作られた作品が、実はユーザーからすると「マイナス要素が足されている」くらいの認識だったりするんですよ。作っている人や、「どうしてコレが売れないの?」と思っている人は、「AもBも好き」な人が多いからそれを説明してもなかなか伝わらないんですけど。


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○ おもちゃ箱のような『ゼルダの伝説』の“弱点”
 ちょっと前にTwitterで色んな人と話したことなんですけど―――
 『ゼルダの伝説』シリーズが日本ではなかなか売れない原因って、「色んな要素が詰め込まれ過ぎている」ことにあるのかなって。シリーズファンが「大好きな理由」が、そうでない人にとっては「とっつきにくい理由」になってしまうのかなって思うのです。



 自分が『ゼルダ』を好きな理由は、『ゼルダ』を1本遊ぶだけで色んなゲームを遊んだかのような満足感を得られるというところにあります。

・広大なフィールドを冒険し、ダンジョンを探索するRPG的な側面
・多彩な武器を駆使して敵をやっつけるアクションゲームの側面
・頭を使って考えないとダンジョンのギミックを突破できないパズルゲームの側面
・周辺を観察することでヒントが隠されているアドベンチャーゲームの側面
・膨大なミニゲームと、やりこみ要素
・任天堂らしくブラックユーモアに溢れている登場人物達の言動



 しかし、これは裏表なんだと思います。
 色んな要素があるからこそ、その一つ一つが苦手な人からすると取っ付きにくさにひっくり返るのです。

・時間のない人は広大なフィールドに尻込みして
・アクションゲームが苦手な人は敵との戦闘が辛くて
・パズル嫌いな人はダンジョン内で挫折してしまって
・サクサク進みたい人は周辺を観察するのが面倒くさくて
・ミニゲームやりたいなら他のゲームやるわとか思われちゃって
・アンチだから任天堂色が強いのはイヤだとか言われちゃって



 むしろ、何にも気にせず『ゼルダ』を楽しめる人ってすごく限られているんじゃないかって思いますね。(かく言う自分もミニゲームは好きじゃないですし、やりこみ要素もガン無視して進めます。)

 『ゼルダ』が好きな人は「こんなに素晴らしいソフトがどうして売れないんだ?」と不思議で仕方がないのですけど、それは「楽しめる人」の意見であって、「楽しめない人」にとっては物凄くハードルの高いソフトなのかも知れませんね。難易度の問題ではなく、ゲームの方向性そのものが。


 『ゼルダ』は海外では超キラータイトルですし、“ハードを牽引するソフト”なので、任天堂としても路線変更する気はないでしょうしするべきではないのでしょうが……こういったブランド力のない新規ソフトが「あの要素もこの要素もたくさん入ってるよ!」と言っちゃうと、逆効果なのかも知れませんね。




 そう言えば…『レイトン教授』をプレイした際、真っ先に『ゼルダ』のことを思いました。
 『レイトン教授』には「ナゾトキ×ストーリー」というキャッチコピーの通り、「ナゾトキ」をするクイズゲームの側面と、「ストーリー」を追うアドベンチャーゲームの側面があります。しかし、この2つがなるべく殺し合わないように考えられているんですね。

 終盤はそうでもなかったり、ところどころで「○個以上ナゾを解いていないと進めない」箇所もあるんですけど―――『ゼルダ』のダンジョンが「1つ解けないと全く先に進めない」のに対して、『レイトン』は「解けない問題は後回しに出来る」んですよ。
 自分は『レイトン教授』の「ナゾトキ」も「ストーリー」も好きなんですけど、母は「ストーリー」には興味がなかったけど「ナゾトキ」が面白かったと言っていましたし、Twitterでは「ナゾトキ」嫌いだけど「ストーリー」が気になるのでプレイしているなんて意見を聞きました。

 どちらが苦手でも大丈夫なように、割り切ってデザインされているゲームなんだと思うのです。



 まぁ、だからと言って『レイトン教授』も『ゼルダ』も現在では同じくらいの売上なんですけど……色んなゲームの要素を入れるからには、『レイトン教授』くらい思い切ったゲームデザインにする必要はあるのかなと思いました。


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○ 「安心して楽しめます」の信用度
 「Wiiリモコンで簡単操作!」とか言っているゲームが、Wiiリモコンについている全てのボタンとポインターとモーションセンサーを駆使するゲームだったりして―――「簡単」という言葉が安易に使われているなぁと思う次第。

 新規のゲームが売れにくくなっているのは、この辺の「安心して楽しめますって書いてあるけどホントかな?」感がゆえなんじゃないかと自分は思っています。「安心して楽しめます」って言葉が安易に使われてることによって、全然信用されなくなっているんじゃないかと。




 自分は『ドラクエ』<『FF』派だったので、「ドラクエってなんでそんなに売れるんかいな」と思っていたのですけど―――母が『ドラクエ』にハマったのを見て、「なるほどドラクエってホントに安心して楽しめるゲームだったんだな」と分かりました。

 ウチの母は、呪文とか道具の効果を覚えられないんですよ。
 新しい呪文を覚えたー!よっしゃーどんな効果あるんかなー!とは思わず、「何が起こるか怖いから使わない」って言うんですよ。カーソルを合わせればどんな効果があるのか表示されるにも関わらず。新しく買った家電の新機能とか別に試す必要ないじゃん、ってのに近いのかも。

 そんな母でも『ドラクエ』が楽しめるのは、AIによるオート戦闘があるから。
 『ドラクエ』は4作目以降、「主人公以外」の仲間がAIで勝手に行動してくれるようになりました。自分なんかはAIよりも自分の方が頭イイと思ってますんで「めいれいさせろ」を使ってますけど(笑)、母のように呪文や道具を使いこなせない人はAIの方が賢く戦ってくれるんです。


 もちろんある程度のレベル上げは必要ですけど――
 母のような人間でも、『ドラクエ』の世界を冒険できるし、ストーリーも堪能できるし、“主人公”は自分で行動させているので戦闘の達成感もある程度得られるんです。『ドラクエ4』でAI入った時は「こんなもん要らねえよ」と思ったのですが、それから20年経ってようやくその選択が正しかったことに気付きました。



 母に『FF』はいつか試してみたいけれど、正直厳しいだろうなぁと予想しています。
 『FF』は『ドラクエ』よりも知識を駆使して戦う必要がある気がするので。

 まあ……母はDSiLLしか使う気がないので、現状はまだ『FF』を薦めませんけど。『FF5』か『FF6』辺りが3DSでリメイクされたりしたら薦めてみようかな。リメイクされるかな、されないかな。そして俺はそれをやりたいのかな。セリスの拷問シーンにムービー入ったりするのかな。

 でも、拷問ムービーを入れたりすると、足し算的な発想だと「拷問目当てで買う人が増えるんじゃね?」と思うんだけど、実際には「拷問とか苦手だし…」と敬遠する人が多いのかも知れないというのが今日の記事のまとめです。うむ、キレイにまとまった。


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| ゲーム雑記 | 18:02 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>>FF6
GBAのリメイク版においては拷問シーンはカットされてました。仕方ないね。

| ∞ddd | 2010/08/05 22:47 | URL |

「楽」なんですよねえ、AI戦闘。

主人公を馬車へ放り込みたくなってくると、もう手入力には戻れない。
昔は効率悪い、自分で操作させろと思っていたはずなのに。

| kanata | 2010/08/06 01:48 | URL |

AIは確かにアホだが、自分の手番で判断するから
ターン頭で判断するプレイヤーよりも回復のタイミングが適切で助かる。

あと、Aボタン連打で戦えたDQ3時代ならともかく、
特技が多すぎる6以降は入力の手間がかかりすぎAI必須になる。

| 太田拓也 | 2010/08/07 13:25 | URL | ≫ EDIT

>・広大なフィールドを冒険し、ダンジョンを探索するRPG的な側面
(中略)
>・任天堂らしくブラックユーモアに溢れている登場人物達の言動

単純な話、ゼルダがどうというより、ARPGというジャンル自体がRPGに比べて売れていないだけでは?
1、3~5の要素は他のRPGでもよくあるものですし。
また、他のARPGと比べてレベル上げによるごり押しというプレイスタイルが取れないのも、受けが悪い要因の1つかもしれませんね。

| asd | 2010/08/07 16:37 | URL | ≫ EDIT

DC版こみっくパーティーで同人誌作成に格ゲーみたいなコマンド入力が必要になったせいでオールキャラクリアを挫折したのを思い出した。

| ああああ | 2010/08/09 22:41 | URL | ≫ EDIT















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