やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

イジワルなゲーム

 1ヵ月半格闘していたDSiウェア『ピクダン』をようやくクリアしました。
 Twitterで“ピクダン”というワードを検索すると、僕の罵詈雑言ばかりが出てきて申し訳ない気持ちに少しだけなったのですが(笑)。


 これまでに何十本とゲームを遊んできた僕ですが、このゲームほど「ゲームとは何だ?」「ゲームの面白さとは何だ?」を考えさせられたものはありませんでした。数歩ごとにエンカウントするくせに、その戦闘の待ち時間がすげー長いからね!考えることくらいしかやることないからね!
 ギリシャ時代の哲学者は奴隷に労働をさせてヒマだったから哲学していたみたいな話!ある意味で哲学的なゲーム!!



 このゲームを一言で説明すると「イジワルなゲーム」だと思います。

・鬼のようなエンカウント率。
・の割にフロアを何往復もしなければならないダンジョンのギミック。
・ゲージが溜まるのを待ったり、敵がガードしていない時を待ったり、待ち時間の長い戦闘。
・後半のザコ敵は『FF4』のカインのようなジャンプをしてくるので降りてくるのをただ待つしかない。
無限にベホマズンを使うザコ敵が3匹同時に出てきて、ずっとベホマズンをかけ合っている。
・エンカウント率が高いためにレベルが上がり過ぎて戦闘の緊張感は0。
・「複数の敵を攻撃するのに向いている武器」が手に入るフロアではザコが1~2匹ずつしか出てこない。
・終盤はギミックを解いても数マスの「すり抜けられる壁」を探さないと踏破出来ない。
・なので、1マス1マス壁に体当たりしながら進むしかない。
・そもそもギミックを解いても音とか出ないから、解けたかどうかが分からない。
・エンディングで「このダンジョンに夢を見た冒険者は欲望にまみれて狂っていった」とか言われる。
・「このゲームに夢を見たプレイヤーは欲望にまみれて狂っている」ってこと?
エンディング後は強制的に1階に戻らされてオートセーブ。



 「不満点を列挙した」ように見えるかも知れませんが、そういう意図ではありません。
 このゲームをやっていない人は「出来の悪いゲームなんだね」とか「頭の悪いゲームなんだね」だと思うかも知れませんが、そうではないと僕は思います。



 このゲーム、多分わざとやっているんですよ。
 このゲームをプレイしていると「今このタイミングでコレをやられたらブチきれるなぁ」ということを、確実にやられることに驚くんです。スタッフはプレイヤーの腹を立たせようとして、狙い通りに僕の腹は立っている。ある意味で物凄く「成功したゲーム」なんだと思うのです。


 別に「お金を払ってスタッフからのイヤガラセを受けるゲーム」と言いたいのではないです。
 恐らくスタッフは「これだけのイヤガラセを乗り越えてクリアしたら気持ちイイでしょ!」と作ったんだと思うのです。



 そう。
 実はゲームって、『ピクダン』に限らず多かれ少なかれ「イジワル」なんですよ。


 大好きなゲームだけど、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』の「影の宮殿」はブチギレながらプレイしていました。「なんてイジワルなゲームなんだ!」と。
 大好きなゲームだけど、『スーパーマリオギャラクシー』の最終面でコンティニューポイントが少なくなっていることに「今までは小まめにコンティニューポイントがあったのに!何でイジワルするんだ!」と思ったものでした。
 大好きなゲームだけど、『大乱闘スマッシュブラザーズX』の「ターゲットをこわせ」の完全クリアを目指して、“計算され尽くしたイジワル”に「このゲームを作った人は何て性格が悪いんだ!!」と地団駄を踏みました。

 2Dアクションゲームの定番、「氷面だから滑って操作しにくい」とか。
 RPGの終盤では「状態異常をかけてくる敵がワンサカ出てくる」とか。


 一人用のゲームって、「スタッフからのイジワルvsプレイヤー」という見方も出来るんですよね。特に終盤は。


 それはもちろん「スタッフの性格が悪い」からではなく、
 「それを乗り越える達成感」を提供しようとしてくれているんですよね。



・序盤はサクサク進めて「俺、このゲームに向いているかも!」と思わせて、
・中盤は上達を実感させて「俺、上手くなっているかも!」と思わせて、
・終盤はイジワルな壁として立ちはだかって「何クソ!俺だって上手くなっているから乗り越えてやるぜ!」と思わせる―――


 これが理想のレベルデザインだと思いますし、「良いゲーム」と呼ばれるものの多くはこの条件に当てはまるんじゃないかと思います。だから、イジワルなゲームというのが悪いワケではないんです。それを乗り越えた時の喜びこそが達成感なんです。




 『ピクダン』は度が過ぎていたけどね。

 いや……ホント、ここは些細な差なんだと思います。
 僕が「ムキーッ!もうガマンの限界だーーー!」とブチきれるようなところでも、「そんなところでやめちゃうなんて辛抱できない人なんですね」と思う人がいるのが当然です。自分には耐えられませんけど、『ピクダン』の常時黄金の爪状態のエンカウント率も気にならない人がいるんです。

 逆に、『マリオ』や『ゼルダ』を序盤で詰んでしまう人に対して、自分は「えっ!そこを乗り越えたら面白くなるのに!」と思ってしまうんです。それが「色んな人がいる」ということ。




 要は、ゲームというものは基本的に「イジワル」だし、個々人がその「イジワル」にどれだけ耐えられるかは違っているのだから―――ある人にとっては「絶妙なイジワル」なのが、ある人にとっては「こんなの耐えられない!」となってしまうのも仕方ないのかなって思います。


大乱闘スマッシュブラザーズX大乱闘スマッシュブラザーズX

任天堂 2008-01-31
売り上げランキング : 365

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

○ そのゲームをやめる時……
 「人それぞれだから仕方ないよね!」と身も蓋もないことで締めくくるのはアレなんで、もうちょっと踏み込んだことを考えてみました。


 一人用のゲームの終盤が「イジワル」になるというのは、まぁレベルデザインから考えれば当然のことだと思います。しかし、逆に言うと……「俺、このゲームはクリア出来ねえや。やーめたっと」と投げ出すのって、大抵そういう「イジワル」な局面なんですよね。


 「このイジワルを乗り越えたら達成感を得られるよ!」は、裏を返せば「イジワルを乗り越えられないから達成感も得られないし敗北感しかないし、こんな会社のゲームはもう買いたくない」になるんじゃないかと思ったりします。


 “乗り越えられなかったら”―――

 序盤の壁を乗り越えられなかったら、中盤の壁を乗り越えられなかったら、終盤の壁を乗り越えられなかったら、クリア後のやりこみ要素を乗り越えられなかったら……ゲームって「やりこみ要素をフルコンプリート」でもしない限りは、負けて挫折して終わるんですよ。



 大多数の人は「負けて終わる」んです。
 そして、「何てイジワルなゲームなんだ!」という記憶が残るのです。




 という理屈で「クリアだけならそれなりの人数が出来る」「やりこみ要素は膨大な量が用意されている」みたいなゲームが主流になったんでしょうね。エンディングを見れたら何だか勝った気分になれますから。
 その勝利はスタッフから用意された“かりそめの勝利”でしかないんだけどなっ!

 やりこみ要素はやりこみ要素でフルコンプリートでもしない限りは、どこかで挫折するか飽きるかするワケで。「飽きて終わる」ことは次回作の売上げにもマイナスに響くんじゃないかって自分なんかは思うんですけど、自分が「ゲームの続編は買わない」のに対して、「続編モノは安心して買える」って人の方が多いみたいですから……まぁみんな「飽きて終わる」ことには抵抗がないのかもですね。


いじわるな恋いじわるな恋
rino 伊藤かな恵

ランティス 2010-09-08
売り上げランキング : 6967

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

○ 「負け」もしない、「飽き」もしないで終わるゲーム
 自分の嗜好を言うならば、「負けもしない」くらいの難易度で、「飽きもしない」くらいのボリュームで、サクッと終わってくれた方が―――そのシリーズへの好感は持てますね。無闇やたらとやりこみ要素などで水増しされても、「中古に売られたくないって気持ちは分からないでもないけどさぁ……」とゲンナリしてしまいます。


 逆に言うと、中古に売られないダウンロード販売のソフトだったら、無闇にボリューム増やす必要ないと思うんです。500円のゲームに「長さ」なんか求めていないよ、「濃さ」を求めているんだよ。
 ボリューム地獄に陥っているゲーム業界の救いになるのがダウンロード販売だと思うのだけど、ダウンロード販売のソフトに対する抵抗感はまだまだあるのがネック。オススメしたゲームが「面白そうだけどDSiウェアは(購入まで)面倒くさそうだから買っていません」って言われたことがあります。

 「ゲームである以上、ボリュームがあるに越したことがない!」という人もいるか。



 個人的には『レイトン教授』みたいな形が理想形かなとは思っています。
 救済措置が沢山あるので、クリアだけならそれなりの数の人が出来る。全てのナゾをコンプリートしようとするとそこそこの時間はかかる。ダウンロード配信で毎週新しいナゾが配信される―――

 まぁ、このシリーズも売上げは右肩下がりだって話なので最適解だと言うつもりはないんですけど、難易度とボリュームに関してはよく考えてあると思うんですよ。
 「ダウンロード配信で新しいナゾが配信される」の部分も、3DSになってニンテンド-ゾーンの数が増えたり、「いつの間に通信」が出来るようになったりすると効果は増えると思いますしね(3DS版では毎週ではなく毎日だとアナウンスされていますし)。



 話があっちこっち行ってしまったので3行でまとめます。

【本日の3行まとめ】
・一人用のゲームは基本的に「イジワル」で、それを乗り越えるのが楽しい
・でも、乗り越えられなかったら「イジワルされてやめた」記憶が残ってしまう
・だからってクリアは簡単&やりこみ要素が膨大なゲームは「飽きてやめた」記憶が残る



レイトン教授と魔神の笛(特典無し)レイトン教授と魔神の笛(特典無し)

レベルファイブ 2009-11-26
売り上げランキング : 580

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| ゲーム雑記 | 17:26 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2010/10/23 18:09 | |

私は膨大な要素を持つゲームを切り上げる時は、「飽きてやめた」というより「満足してやめた」という感覚しか持っていないですね。
まだまだ底は見えないけど、この世界は十分堪能したからそろそろ別のゲームやろうかな、という感じで。
、言い方を変えればこれも「飽き」なのかもしれませんけど、マイナスな感情での終わり方にはなっていません。

逆に、ゲームをやりつくして底が見えてしまった時の方が、「飽きてやめた」感覚が強いかもしれません。
どこまで進んでもまだまだできる事があると思っていたのに、ふと気付いたらもうする事がない。
まだまだプレイしたかったのに集めるアイテムがない、戦った事のない敵がいない、未踏破地域が一つもない、レベルを上げても数値が変わるだけで結果は変わらない。
ゲームプレイ自体が面白いアクションゲームとかだと、この手の飽きは薄いのですけど、何度やっても想定外の結果が返ってこないようなゲームだと、急速に飽きてきます。

昔のゲームの方がプレイした記憶があるのは、きっとこの手の事からだと思いますね。
以前は攻略本に全ての情報が載っていなくて、「これ以外も隠しアイテムがあるんじゃないか」と思えましたし、隠しボス、隠しステージ、隠しモード、隠し難易度の噂も沢山あって、「次のプレイでは何かあるんじゃないか」と期待感がありました。
でも今は、発売日にはフラゲした人たちが攻略wikiに情報を載せまくっていて、攻略本は全ての敵やアイテムが記述されていて、ゲーム内達成度やハード側の実績やトロフィーでコンプ状態が丸分かりで。
如何にこのゲームを長時間プレイできるか、とアピールされた結果、逆に底が見えてしまっていて、そこに到達したらやる事がないと最初から分かってしまうのですよね。
もちろん、やまなしさんも何度も語っているように、「長時間プレイして欲しい」「でも他のゲームも買って欲しい」などのジレンマもあるとは分かっていますが・・・

いずれにしても、私がJRPG自体をプレイしなくなり、開発者も想定していなかったような事が起こり続けるオブリビオンなどのタイトルを只管やりこむようになった理由は、この辺りにあると思っています。
とはいえ、この辺りの解法はDQ9や幾つかのDLCが示してくれたので、ゲームの底と攻略本事情について諦めきっているわけではありませんけどね。

| 通りすがり | 2010/10/25 10:15 | URL |

http://www.4gamer.net/games/095/G009575/20101105054/
こんなものを見つけたので貼っておきますね。
この手の事に関してプロの事が考えると、このような感じになるようです。

| ああああ | 2010/11/07 15:37 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1176-3c0646b5

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT