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『人生ゲーム』はどうしてWiiウェアランキング1位になり続けたのか

 買ってもいないし遊んでもいないゲームを批判するのはなるべくやめようと自重していたのですが、続編の配信開始とともに現在は配信停止となったみたいなので晴れて思う存分ディスってやろうと思います。
 Wiiウェアにタカラトミーから発売されている『人生ゲーム』というゲームがありました。もちろん超有名ボードゲームを基にしたゲームです。


 これが物凄く評判の悪いゲームでして。
 「体験版以下のゲームを1000円で売っている」「ぼったくりゲーム」「もはや苦行」と散々な言われようで、2009年の「クソゲーオブザイヤー」にもノミネートされました。mk2でも100点満点中の22点でFランク。当時大きな話題を呼んだ『絶対SIMPLE主義』さんのレビューと一緒にお読み下さいな。


 こんなものを1000円で売るんじゃねぇ!「人生ゲーム」『絶対SIMPLE主義』さん)
 人生ゲーム(Wiiware版)クソゲーオブザイヤーWiki 家庭用ゲーム版
 人生ゲーム『Wii mk2』さん)



 しかし、このゲーム。こんなに悪い評判なのに売れてしまったのです。
 Wiiウェアの「人気順」ランキングでは1位常連、ライバルソフトが登場しても上位に留まり続け、今年8月に自分が統計をとったプレイ人数ランキングにもランクインしていました。

 Wiiウェアを愛好する僕達からするとこれは「悪夢」のような展開でした。
 「面白いゲームが売れない」のも辛いですが、「トンでもなく面白くないゲームが売れてしまう」ことによって、「Wiiウェアなんて碌なゲームがないんだな」と思われてしまうからです。なので、多くの人が「悪いこと言わないからWiiウェアの人生ゲームだけは買っちゃダメだ」とネット上に書き込んできたのですが、配信停止まで人生ゲームはランキング上位に留まり続けました。

 1000円でも、Wiiウェアには面白いゲームが沢山あるのに……
 どうしてこれが売れてしまうんだ………




 当然そこには理由があるワケです。
 逆に言えば、『人生ゲーム』に負けた他のゲームはそれが出来なかったワケです。

 このゲームが売れ続けた理由は「ブランド力がある」「人気順ランキング上位にいた」という2つで説明が尽きますし、それは正しいと思うのですが……じゃあ果たして「ブランド力」って何よ?

 「ブランド力」=「知名度」だったら、もっと「知名度」のあるソフトがありますよ。
 『オセロ』とか、『UNO』とか。でも、これらのソフトよりも『人生ゲーム』は遥かに売れているみたいなんです。それは何故か―――今日はそれを考えたいと思います。


人生ゲーム人生ゲーム

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ポイント1.どういう人がこのゲームを買っているのか?
 「俺は人生ゲームをコンピュータと対戦したいんだぜええ!」と仰る人もいるかも知れませんが、恐らくは家族や友達と対戦しようという人が大半だったと思います。Wiiというハードは『Wii Sports』や『NewスーパーマリオWii』などのように、“みんなで遊べるゲーム”が爆発的に売れましたからね。


 んで。
 その中でも、“小さい子どものいる家庭”――イメージするのは30歳そこそこのお父さん・お母さん&幼稚園児くらいの子ども――にとって、この『人生ゲーム』という名前は魅力的に見えるでしょう。

・複雑な操作は要らない
・駆け引きも要らない
・Wiiリモコン1つあれば交替で楽しめる
・必ず順番が回ってくるので、早々に脱落して暇になるプレイヤーがいない
・なので、子どもが大人しくゲームに集中できる

 実際に遊んだ人のレビューを読めば「あの内容じゃムリじゃね?」と思われるかも知れませんが、“名前だけで判断したら”という話です。
 同じように「4人対戦まで可能です!」というゲームはいっぱいありますが、幼稚園児くらいの子どもだと高度なゲームは遊べません。大人と子どもに実力差があって早々に決着がついてしまうと、子どもはすぐに飽きてしまいます。

 『人生ゲーム』は、親が「これなら子どもとも一緒に遊べそうだ」と選ばれたケースが多いと想定されます。
 実際、普通に売っているボードゲームの人生ゲームをそのままWiiウェアに移してくれればそれで十分だったと思いますもの。普通はそうイメージしますよね。



ポイント2.どうやって遊ぶつもりで買われたのか?
 「子どもと一緒にゲームを遊びたい」という親御さんの気持ちを考えると……
 ある程度の年齢をいけばともかく、それ以前の場合は「相手を殴って場外まで吹っ飛ばすゲーム」や「亀の甲羅をぶつけたりバナナの皮でコケさせたりするゲーム」で遊ぶのには抵抗があると思います。小さな子どもを痛めつけるのは可哀想ですもの。


 ボードゲームというのはその点で言うと、平和なものが多いですが………
 ことコンシューマーゲームにおけるボードゲームは「駆け引き」などの色んな要素が増えてしまって、あまり平和なジャンルではなくなってしまいましたよね。『ドカポン』や『いたスト』(『モノポリー』)などは相手プレイヤーを蹴落としてナンボのゲームですもの。

 友達と遊ぶのならそっちの方が盛り上がるんですけど、小さい子どもと遊ぶことを考えると、そういう殺伐としたゲームより『人生ゲーム』のような平和なゲームでキャッキャッと遊びたいと思っても不思議はないです。普通はそう考えます。


 ゲーム会社が、「より複雑で」「より高度な」ゲームを作りたがるのに。
 ユーザーの方はそれを望んでいない―――
こういうケースは何百回も見てきましたよね。



ポイント3.ライバル不在
 そもそもWiiウェア&バーチャルコンソールに、すごろくタイプの「ボードゲーム」は少ないです。

『人生ゲーム』(1000円)
『あそべる絵本とびだスゴロク』(1000円)
『おきらくすごろくWii』(500円)


 『人生ゲーム』が配信されていた頃は、多分この3つだけだったと思います。
 得体が知れない上になんだか難しそうなタイトルの『とびだスゴロク』は論外として…(笑)。

 ショッピングチャンネルで表示される情報だけで『人生ゲーム』1000円と、『おきらくすごろく』500円のどちらを選ぶのか―――という世のお父さんの心理を考えてみると。「1000円の人生ゲームの方がしっかり作ってありそうだな」と、前者を選ぶ人が多いんじゃないかなと思うのです。安くて「おきらく」なものよりも、ネームバリューもあって「安心」な方を。

 たまにしかゲームを買わない人は、リスクを侵して500円よりも、安心の1000円を選ぶと思うんです。値段が高いものの方がしっかり作ってあると思うから。
 スイーツとかワインとかは安すぎるものは売れないって言うじゃないですか。それと同じような心理で「安すぎるものは信用ならない」みたいに考える人は多いんじゃないですかね。「おきらく」シリーズに罪はないんですけどね……


 実際には、値段が安くて面白いゲームは沢山あるんですけどね。
 パッケージソフトでも「面白いのに出荷し過ぎて値崩れしちゃったゲーム」が沢山ありますし、ダウンロードソフトは「開発費を抑えたアイディア勝負の面白いゲームを」というコンセプトで作られたゲームが多いので更に「安くて面白いもの」があるんですけど……実際に「安くて面白いもの」に出会わないと、それを実感出来ないのでしょうしねぇ。



4.買った人は情報不足?
 ネットでの感覚に慣れすぎてしまうと……
 「ゲームが好きな人=ゲームの情報に詳しい人=ネットでゲームの情報を集める人」みたいな刷り込みが出来てしまって、『人生ゲーム』を買った人は情報弱者で「ゲームに疎い人だ」なんて勘違いをしてしまいがちなんですが。


 例えば、音楽が好きだからって、CDを買う前に音楽関連のブログをチェックしてみて「このCDは評判が良いみたいだから買おう!」ってしている人は少数ですよね。音楽CDもゲームも“娯楽”ですから“自分が好きになるかどうか”が重要なので、世間の評判をわざわざチェックするメリットってあまりないですからね。


 「好き」かどうかと、「ネットで情報を集める」かどうかはイコールではないんです。


 だから、何の予備知識もなく『人生ゲーム』を買って「なんじゃこりゃ!」と怒る人を責められません。
 ゲーム業界はそういう人を相手に商売をしているんですもの。「ネットで情報を集めないヤツが悪い」なんて言っていたら、そんな業界は終わりですよ。


 逆に、「情報強者」にマトを絞って成功したWiiウェアソフトもありましたよね。
 『珍ポ』『王だぁ』『ディシプリン』などはブログで話題を振りまくことによって注目を集め、ランキング上位に進出しました。『王だぁ』を発売したポイソフトなんかは規模の小さい会社でしょうから、そういう会社が大手の会社と肩を並べる様は「Wiiウェアってすげー!」と思わされました。

 でも、こういうソフトの人気は長続きしないんですよね……
 現在のWiiウェアランキングでは、同じポイソフトの『ボクせか』が孤軍奮闘していますが。その他はみんな有名シリーズのソフトです。『人生ゲーム(の続編)』『ボンバーマン』『ポケモン』『ソニック』『FF』『SIMPLE』『メイドイン』『テトリス』『ロックマン』。


 結局は「名前」で選ばれたソフトが長く居続ける………
 Wiiウェアに夢を見た未来は、こんなのではなかったんだけどなぁ。


(関連記事:Wiiが成し得なかった“革命”~その1.アイディア勝負のWiiウェア


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 3DSが実現したみたいに、Wiiでも「ショッピングチャンネル」と「ニンテンドーチャンネル」を融合させて、「ボードゲーム」で検索したら集計されたオススメランキング順に表示されてそのまま購入できる―――みたいな仕様ならば、こういう問題は減るような気もしますが。
 それでも「みんなはこっちをオススメしているけど人生ゲームの方が安心だな」と選ばれちゃうんですかね。そんなに高かったブランド力をこうまで一気に叩き落として何が得たいのタカラトミー。



 しかし、『人生ゲーム』がこれだけ上位にいても競合作品は出てこないんですよね。
 Wiiウェアの市場自体にもう興味がないのか分かりませんけど、タカラトミー以外の会社は「一人で」「ストイックに遊ぶ」「ゲーム好きのための」ゲームを投入して。んで結局、『人生ゲーム』がランキング1位というのは……

 タカラトミーのことをそんなに批判できないんじゃないかと思ったりもします。
 だって、タカラトミーはちゃんと「需要のあるソフト」を投入しているワケじゃないか、中身がどんなにカスであっても「あ、欲しいな」と思わせるものを売っているワケです。みんながみんなそっちの方向を目指す必要はないと思いますけど、みんながみんな逆方向に進まんでもって思うのです。

 タカラトミーと、「おきらく」シリーズのアークシステムワークスくらいじゃないですか。
 “家族向けゲーム”をWiiウェアに投入していたのは。

 そりゃタカラトミーが独占するのもおかしくないし、他社がそこに文句を言っちゃいけませんよね。
 じゃあオマエらは何を出したんだよ、と。




 ということで……結論としては、

・タカラトミー ←「酷いゲームを作りやがって!」
・タカラトミー以外の会社← 「そんなゲームに負けやがって!」
・任天堂 ←「そもそもショッピングチャンネルが使いづらいのが悪いんだ」



と、全方位的にケンカを売って締めくくるのでした。



【3行まとめ】
・『人生ゲーム』は、「これなら子どもと一緒に遊べそうだ」と思われて売れた。
・他の会社はそういうソフトを出さなかったので、『人生ゲーム』に需要が集中した。
・需要のあるソフトを売ったタカラトミーだけを責めてイイのか。


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| ゲーム雑記 | 18:21 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

友人に購入者がいますが、その者いわく、最悪なゲームで有名だから、
どれだけ酷いが実際にやってみようと、言いうわけで、購入したのである。
寧ろあまりに酷いと、それを体験したくて、購入する人間が存在する。

| ああああ | 2012/09/10 17:03 | URL |















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