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放送前のアニメの「期待値」はどこで決まるのか?

 自分がここ数ヶ月、日参して読んでいるブログに、元バンダイナムコで『もじぴったん』シリーズのプロデューサーを務めていた中村さんのブログがあります。どの記事も興味深く、「これはゲーム以外にも言えることだよなぁ」と非常にタメになるブログです。

 ちょっと前の記事ですが、今日はその中村さんの記事からの話。


 クリエイターブランドは通用するか

 ゲームというのは「遊んでみて面白かったから買われる」のではなく「買われてから遊ばれる」ので、まず手にとってもらうために“ブランド力”が重要で、ゲームにおけるブランド力とは何か?というお話。



 この話も考えていくのが面白そうなのですが、ちょっとウチでは毛色を変えまして……


 アニメにおけるブランド力とは何か?を考えてみようかなと思います。

 この1月からも多数の深夜アニメが始まっていまして、アニメ好きの人達は「どれを観るか」に悩み、「どれを残すか」に苦慮した半月だったんじゃないかと思います。大体現在が3週目辺りで、視聴ラインナップが固まってくる頃じゃないでしょうか。


 どんなにアニメが好きな人でも、始まるアニメ全部をチェックできるワケじゃないですよね。
 今季の自分の場合、まず「第1話だけでもチェックしよう」という作品を4つにしぼり、その中から「最終話までは追いかけよう」とする作品を2~3つ選ぶことにしました。
 こうやって厳密に「幾つ!」と決めない人でも、多くのアニメ好きの人達は多かれ少なかれ取捨選択をしているんじゃないかと思います。


 では?どうやって「第1話だけでもチェックしよう」という作品をしぼるのか?
 第1話が始まる前から「コレは期待できるな!」と思える作品を、どうやって選んでいるのか?



 アニメをあまり観ない人はその辺が疑問でしょうし、
 「アニメをあまり観ない人」にアニメを観てもらうためには、そうしたことを考えていく必要があるんだと思います。




1.原作の知名度
 一番分かりやすいのがコレかな。
 元々人気があってファンがついている漫画・小説などをアニメ化することで、待望のアニメ化!と話題になるケースです。原作のファンはもちろん、原作のファンではない人も「名前は聞いたことあるな」と入り口になることが多いですし。
 作り手サイドからしても「ある程度の集客力」を最初から期待出来ますよね。


 ただ、個人的なことを言いますと……自分は「原作を知っていると原作との違いが気になって楽しめない」人なので、原作ファンのアニメ作品はほとんど観ません。また、ここ数年のアニメ業界は原作モノが多くなって、「オリジナルの企画」が通りにくくなっているという逆説的に深刻な状況が指摘されていたりしますよね。


 それと、ちょっと面白い現象というか……2009年の『けいおん!』にしても、2010年の『イカ娘』にしても、(失礼な表現かも知れませんが)アニメ化の前はそれほど知名度があったワケじゃない原作が、アニメ化によって大注目→大ヒットするケースも最近は多いですよね。

 そういう意味では、アニメ好きにとって原作の知名度はさほど重要じゃないのかもとも思うのです―――



2.続編もの・シリーズもの
 ゲームでも「マリオの新作」「ドラクエの新作」「ポケモンの新作」というだけで大注目されるように、続編やシリーズものは“前作のファン”をそのまま引き継げるという大きなキラーコンテンツになります。アニメ業界でも然り。

 ユーザーは「あの作品の続編!」と期待するし、作り手サイドも計算がしやすい。


 ということで、「○○の2期」という作品は多いですよね。
 自分も昨年『けいおん』2期をプッシュしていましたし。


 しかし、「○○の2期」という作品は「前作ファンのための作品」が多くなってしまうので、先細っていくケースも多いです。理由はこれだけじゃないんですけど、「○○の2期」という作品は石を投げれば当たるくらいに多いのに、「○○の3期」という作品は極少数です。


 アニメ業界は「1本ヒットさせた」からと言って、それをずっと続けていけない業界なんですよね。
 (『ガンダム』や『プリキュア』のような例外もあるっちゃありますけど)



3.スタッフの名前(アニメーション制作、監督、シリーズ構成、キャラクターデザイン等々…)
 アニメ好きの人達は、この辺をチェックすることが多いですね。
 「アニメーション制作」は、ゲーム業界で言えば「デベロッパー」のような感覚で捉えればイイかな。

 自分も『けいおん!』1期の時は「京都アニメーションの新作だから第1話だけでもチェックしようかなー」という動機付けでした。“京都アニメーション”という会社名にそれだけのブランド力があるんですよね。それは、過去に作ってきた作品の実績ゆえに。


 その他にも、スタッフの個人名―――「監督」「シリーズ構成」「キャラクターデザイン」辺りの名前が見られることが多いです。分かりやすく言っちゃうと「演出家のトップ」「脚本家のトップ」「作画のトップ」というところ(例外はあります)。

 これらも最初から名前が知られているワケじゃなくて、「あの作品の監督をしていた人」とか「あの作品の脚本を書いていた人」のように記載されることも多いですね。キャラクターデザインはともかく、演出家は脚本家は作品を実際に観ないと仕事が分からないものですし。



 先ほど、「アニメ業界は原作なしのオリジナル作品の企画が通りにくくなっている」と書きましたが―――今季始まったアニメで話題になっているオリジナル作品があって。
 『魔法少女まどか☆マギカ』と『フラクタル』、前者は『ひだまりスケッチ』『化物語』の新房監督、後者は『涼宮ハルヒ』『かんなぎ』の山本監督の作品ということで、実績のある監督によるオリジナル作品ということで注目を集めていました。新房監督は「久々のオリジナル作品」、山本監督は「初のオリジナルアニメ作品」だったはず。


 しかし、コレって「コアなファンにしかアピールできない」アピールポイントだとも思うんですよね。
 ゲームに詳しくない人に「『スマッシュブラザーズ』という作品を作った桜井さんの新作『新・パルテナの鏡』だよ!楽しみだよね!」と言うとか、サッカー詳しくない人に「ボルシア・ドルトムントで大活躍した香川選手がアジアカップに出るんだよ!楽しみだよね!」と言っても、「出てきた名前3つとも分かんねえ!」と言われるような話。



4.キャストの名前
 声優さんが好きで詳しい人は、結構ここを重視すると思います。
 「アニメ好きと声優好きは別物」だというのが僕の持論なんですが、重なっている人も多いからあまり賛同はされないんだろうなとも思います(笑)。


 声優さんがキャラクターに命を吹き込むので当然この役割も重要なんですが……
 キャラクターソングを歌ったり、オーディオコメンタリーをしたり、ネットラジオで宣伝したり、イベントをしたり。声優さんが最前線に立って“商品の広告塔”になることが最近は多いです。こういう言い方はアレなんですけど、一番お金出してくれる消費者はこういう層なんですよね。

 自分も声優さんのラジオが大好きなんで、それを否定する気はもちろんないんですけど……
 こっちの方向にばかり進むと、「声優好きの人しか残らなくなる」怖さはあります。



5.“放送枠”が持つブランド力
 実は結構重要じゃないかと自分が思っているのがコレ。
 テレビドラマにおける“月9”のように、作品自体には一貫性がなくても“その放送枠”自体にブランド力を持たせる―――


 フジのノイタミナ枠なんかは顕著ですよね。関東だと木曜深夜放送。
 かつてフジの深夜アニメは「平気で途中打ち切りする」とアニメ好きには評判が悪かったのですが、“あまりアニメを観ない層に向けた作品”のためのこの枠を作ったことにより、逆にアニメ好きの人からの支持も回復したという。

 『海月姫』の主演を務めていた花澤香菜さんが、「海月姫はやたら友達から「観ているよ!」と言われる。ノイタミナってすごいんだね」と以前ラジオで話されていました。
 ノイタミナ枠立ち上げの際の「連ドラのような」路線の作品ばかりではなくなっていますが、それでも比較的「アニメをあまり観ない人に向けた作品」が多いようにも思いますし、他の枠よりも注目されているように思います。



 ここまで分かりやすい成功例ではなくとも、「この曜日のこの時間帯」ということで前の番組の視聴者層をそのまま引き継げたりしますよね。
 自分も『けいおん!』は『CLANNAD』の後番組だったので「あ、来週からはけいおんなんだ」と観ていましたし。『とある魔術の禁書目録』→『とある科学の超電磁砲』→『とある魔術の禁書目録II』は各放送局が「なるべく同じ曜日」に放送が続くようにしてあります(流石に全部の局ではムリだったっぽいですが)。

 アニメの最新情報をチェックしていない人も、「何気なく」決まった時間帯にテレビを付けて習慣化していることがあって、それがアニメだからそのまま観るかーってケースもありますしね。深夜は他に観るものないからとかで。


 それこそ日曜朝の枠とかも、「安心の時間帯」として継続されているワケで。
 同じテイストの作品を続けて放送することで“枠”のブランド力を育てていくというのも手かなぁと思います。いや、こういうのは色んな会社の色んな思惑がぶつかり合っているもので、言うほど簡単じゃないんでしょうけど。


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 ふむ……ということで、というか「当然の結論」になるんですけど。
 「期待値」というのは「過去の実績」で決まるんですよね。

 それは「前作が面白かったから」「この監督の作品は面白かったから」「前にやっていた番組が面白かったから」と、注目している部分は様々だけれども―――根っこにある部分は一緒なんです。
 沢山観ている人の方がそういう判断材料が多くて、逆にあまり観ない人にはなかなか判断できないんだろうって思います。



 これは他の娯楽作品にも言える話。
 「最初の1本」を如何にして生むのか―――

| アニメ雑記 | 17:22 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

一つ一つの展開は面白かったですけど、あまりにあたりまえすぎな結論ではw

私がアニメを見始めるときは、「女版ジョジョだって→舞-HiME」、「高校生の軽音部だって→けいおん!」みたいに、友人が私の気に入りそうなポイントで勧めてくれる場合がほとんどですね。
やまなしさんがあげた理由は、「シリーズもの」を除けばどれも当てはまりませんでした。

プリキュアは戦隊ものなどの特撮と同じような事情があるでしょうね。
(ぱっと見では)同じような事を毎年続けていても、視聴する層がやはり毎年入れ替わるので、結果的に番組を維持できる、という感じで。
そこには「枠」の考え方も当てはまっているでしょうけど。

ものづくりに携わるものとして、「最初の一本」は無視できない問題ですよね。

| 通りすがり | 2011/01/22 22:41 | URL |

 いつも楽しませていただいております。
 特に、おっぱいネタは何度読み返しても笑えます。

 私はここ10年くらい、新しいアニメを見てないのでコメントし辛いのですが。

> ここ数年のアニメ業界は原作モノが多くなって、「オリジナルの企画」が通りにくくなっている

 この話、私の知る範囲では、すでに25年の昔(1985年)から語られております。
 最近になって始まったことではありません。

 実績の無い人が、実績の無いネタを売り込むのは大変だという、ある意味、当たり前のことかも知れませんね。

| とら | 2011/01/23 10:26 | URL | ≫ EDIT















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