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電子書籍に音声が付けられれば、読書の概念が変わる

 電子書籍話も第3弾です。
 今日の話はキンドルのウィスパーネットで出来るのかは正直分かりませんが(そもそも日本でウィスパーネットが出来るのかが分からないから日本版が始まらないという説もありますし)、将来こうなったら電子書籍は面白くなりそうだなという話です。


(関連記事:電子書籍は「試し読み」で化ける
(関連記事:漫画を1500冊持ち歩けるという革命――電子書籍への期待



 本が“紙の本”から“電子書籍”に移行したら、「音声を付けられる」というのは誰もが思うことでしょう。そして、すぐに「果たしてそれは面白いのか?」と思う人が大半だと思います。
 小説や漫画にBGMは要らない、セリフを音声でなんて読んで欲しくない、そういうのは全部こちらが想像をするから良いんだ、映画のように「時間の流れと一体化している」メディアじゃないことに本のメリットがあるんじゃないか、電車の中で本を読むのにイヤホン付けるとかもバカバカしい。


 まぁ、こういう方向を求めている人がいないとも限らないので全否定もしませんが。
 基本的には僕も「本に音声を付け加えること」には魅力を感じません。「音声」がないから本は良いんじゃないかと思います。



 しかし、「本を音声で代替する」ということには魅力を感じます。
 つまり、DVDの副音声のような形で、「本を朗読してくれる」機能が付いてくると面白くなるぞと思っています。漫画はちょっとムリでしょうけど、小説とかエッセイとかはかなり大きな機能になると思います。



 ちょっと実物を見たことがないので「インターネットで見た」くらいの知識で申し訳ないのですが、キンドルにしてもiPadにしても「自動に文章を読み上げてくれる」機能のようなものがあるそうなんですね。
 しかし、僕が興味があるのはそういった不自然な合成音声ではなく、プロのアナウンサーなり俳優さんなり声優さんなりが実際に読み上げてくれた音声データをセットにして売ってくれればイイと思うんです。

 自分の理想と一番似ているものと言えば、iPhoneアプリの『朗読少女』ですね。
 これはプロの声優さんに(著作権の切れた)文学作品を読んでもらい、それを二次元キャラクターに読んでもらっているように見せるというアプリです。ちょっと一作品ごとの価格が高い気もしますが、背景の作りこみとかをしているようなのでこの辺の価格は仕方ないのかな。



 これを新作の小説なりエッセイなりでもやればイイと思うんです。
 イメージ的には、新作の電子小説を文字だけで買うと700円、+300円で1000円出すと「朗読音声データ」も付いてきますよみたいなカンジ。んで、「ここからここまでは文字で読んだけど、こっからは音声で聴きたいなぁ」と自由なタイミングで切り替えられたら理想ですね。

 読み上げるのは有名な人じゃなくてイイですし、エッセイとか自叙伝とかなら書いた本人が読み上げても面白そうですね。




 多分、本を好きな人は「人に読んでもらうのってそんなにイイか?」「自分で読まなきゃ読書じゃないだろ」と眉をしかめるんじゃないかと思います。そういう気持ちも分からなくはないです。

 こういうサービスは「今はあまり本を読んでいない人」に向けて始めるんです。
 新しい本が出て、それに興味があっても「読む時間がないからなぁ……」と手にとらない人はいます。
 でも、「ながら」でなら。本を朗読してくれる機能があれば、車を運転しながら、家事をしながら、ジョギングをしながら、散歩をしながら、漫画を描きながら、読書(と呼んでイイのかは分からないけれど)をすることが出来ます。

 話題のあの本だったり、好きな作家の新刊だったりを、「読みたいけど時間がないから……」と諦めていた人がこういう手段もあるんだと本に触れてくれる機会になるじゃないですか。その分、ラジオとかが客を奪われることになりそうですけど(笑)。





 これまでにも「本の朗読CD」というものはありましたけど、数が売れるものではないので「通販のみ」を一部の出版社がやっているくらいだったと思います。しかも結構なお値段だったりします。本屋さんに置くスペースがないから商品化されなかった―――

 ゲームソフトの「パッケージソフト」と「ダウンロード販売ソフト」の話と通じていて。
 小売店に置けないくらいのニッチな需要も、インターネットを通して販売することでそれに応えることが出来るんです。キンドルやiPadに限った話じゃなくて、スマートフォンでも十分に出来ることでしょうしね。当然PCでだって出来ることです(読むのが面倒だけど)。



 「電子書籍」ってものすごく本を好きな人に「ほら!電子だとこんな便利だよ!」とアピールされていると思うのですが、ものすごく本を好きな人ほど“紙の本”に不満を持っていないのだから、アピールするべきは“紙の本”に不満を持っている人だと思うのです―――すなわち、今は本をあまり読まない人。

 そういう人を電子書籍によって取り込めれば、“紙の本”が圧迫されることもないし、本を読む人の人口を拡大できるし、出版社にとっても新たなビジネスモデルになると思うんです。


 これは今回の記事の「電子書籍における朗読データ」に限った話ではなくて……
 既存の商品と違って形のないデジタルデータを商品として販売していくには、既存の商品にはないメリットを作り出さなくてはなりませんし、既存の商品に不満を持っている客層こそが需要を抱えていると僕は思っています。


 「安いよ!電子の方が安いよ!」ってだけじゃダメですよ。
 特に本は古本の流通が止めようもない(ブックオフだけじゃなくてネットオークションとかもある)ですし、そもそも端末を新たに買うのに万単位の投資が必要なら「ちょっとばかり安くてもなぁ……」と思われるだけです。もっと新たなメリットを提案しなければなりませんし、そのためには「今は馴染みがない」層こそが重要だと思うのです。


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| ひび雑記 | 17:51 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

十年位前ですが、作家のスティーヴン・キング氏が車の中でオーディオブックを聴いているような話を、どこかできいた事があります。
その時に考えたのは、たとえばすいている電車の中ではディスプレイで読み、混んできたら音声に切り替えて、そのまま家まで音で聞いたままで、家ではまたディスプレイで読む、などの使い方でした。
ワイヤレスヘッドフォンならお風呂に入るときにも使えますし、寝る前に電気を消した時にも使えますから、よく本を読む人にとっても便利になるんじゃないかと思いました。
まあ、別料金を払って、となると、ちょっと考えますけどね。

| 通りすがり | 2011/02/08 19:51 | URL |

 素敵なアイデアだと思います。意外と需要あるんじゃないでしょうか。
 別に読まない人ばかりでなく、本好きでも朗読を聞くのは、また違った楽しみかたができるものと。

 ただし、車を運転しながら、ジョギングしながら、散歩しながらはまずいです。
 現在でも電話や携帯音楽プレイヤーの「ながら運転」は、規制対象になってるわけで。実際確かに危険ですから、意外と。
 むしろ企画がつぶれる一因になりかねません(汗)

| kanata | 2011/02/08 21:27 | URL |

まぁ朗読となると「意識の持っていかれ方」が音楽(BGM)の比ではないと思うので、ながら聞き時の懸念はありますね。
もっとも今でもゲーム機や携帯いじりながら歩いてる人とか普通にいるので、それに比べれば取り立てて危険度が高い訳でもないとも言えます。
ラジオのトーク番組だって同じようなもんでしょうし。

小説の朗読はラジオで橋爪功さんとかの歴史物をしばしば聞いていました。
雰囲気があえば+αの魅力になりそうなので、コストと品質の兼ね合い次第では面白いのかも。

| eni | 2011/02/08 22:47 | URL |

ゲームでも、音声聞くの面倒くさくて、スキップするぐらいなので…
自分のペースで読めるテキストの方がよいとも思います

| ああああ | 2011/02/09 12:05 | URL |

せっかく色々な機能が付けれるなら・・・と発想は面白いと思いますが
小説とか主眼においてる身としてはいらん機能はいい!ラインナップの充実と
できれば紙媒体より安価になってくれれば十分ですが。

|   | 2011/02/09 13:51 | URL |

ないないwやっても大ゴケ

| ああああ | 2011/02/10 02:06 | URL |

自分内優先順位4位、5位くらいの作品にこういうのがついてたらすっごいありがたいと思うんですよね。(読む暇はないけどチェックしておきたいって言う微妙な順位)

ただそのときに実力のある声優だとうれしいとかそいう言う発想はあまりないと思うんです。
つまり、毎日30分×2回自動車通勤があるけどその時間を使って本を読みたい、とかそういうすっごい限定された感覚の話で。
そういうときには実力のあり声優さんがちゃんと声を当てたとかそういうことよりも、とりあえず自分のチェックしておきたいものがちゃんと並んでいるか、そういうことのほうが重要だったりする感じ時がします。

ま、マイナーなスタンスの人間としてはワールドカップの時はワールドカップをも見るのが日本国民の、とかそういう画一的な考え方以外の、その人それぞれの楽しみ方のスタンスが広がってくれればいいかな、と。それくらいを期待してます。

| ああああ | 2011/02/11 01:18 | URL | ≫ EDIT

見事に「普段から本を読む人」の意見しか書かれませんね。
文字を読むのに目が疲れるご老人とかには便利かな、と思った次第ですが。

| 通りすがり | 2011/02/11 12:14 | URL |

江守徹さんの朗読だったら最高ですね。
ただ、声優人気に便乗する売り込み方でないと
実現は困難な気がします。
vomicだって普及しませんでしたし。

| レト | 2011/02/12 17:35 | URL |















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