やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

『花咲くいろは』に感じる女性的リアリティ

※ この記事はアニメ版『花咲くいろは』第5話「涙の板前慕情」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。


 最新話までのネタバレを含みますんで要注意。


 ここ数年のトレンドとして、男性のアニメファンの中でも「男性の描く理想的な女性像」よりも「女性の描く生々しい女性像」の方の需要が増えているよねーというお話です。

 大ヒットアニメ『けいおん!』は監督・シリーズ構成・キャラクターデザイン&総作画監督の三役を女性が担っていましたし、『ひだまりスケッチ』を始めとして女性漫画家が描いた原作を男性スタッフがアニメ化している作品も沢山ありますよね。日常系の作品は特に女性の力が大きく関わっていることが多いです。



 もちろん女性が描いているからと言って「現実にいる」レベルになるワケではないです。
 そりゃ「理想の国の住人」レベルに美少女ばかり。

 ですけど、『けいおん!』アニメにおけるムギちゃんの太い脚だったり、私服の描き分けだったり、その私服がローテーションされているところだったりに“女性的な感性”を感じて。「これは女性スタッフならではの描写だ!」とか言っちゃったりして。


 『けいおん!』のヒットの時なんか顕著でしたけど。
 男って、「この作品を女性がどう思うのか」をすげー気にする生き物だと思いますもの。

 対照的に、女性向け作品は「この作品を男性がどう思うのか」とか「この男性の描写は男性の思考として現実的か」とかはあまり語られませんよね。男にとっては女子校に潜入したいが共通の夢ですけど、女性が男子校に潜入したいって言っているところはごく稀にしか聴きませんもの。


 それは世間体を気にしてるかどうかの違いな気もするか(笑)。




 ということで、本題。
 今季自分が注目しているアニメ『花咲くいろは』もまた、女性スタッフがキーになっている作品だと思うのです。シリーズ構成と1~4話の脚本を書いているのは岡田麿里さんという女性で、キャラクターデザイン&総作画監督の関口可奈味さんも女性、名前を見る限り1~4話の作画監督も全て女性だという。

 5話は打って変わって脚本も作画監督も男性だったので、正直なところ「別のアニメを観ているみたいだ…」という印象を受けたのですが。
 元々演出家は男性ですし、キャラクター原案の岸田メルさんも男性ですし、全てが女性スタッフというワケではもちろんないのですが。その結果として男性の感性と女性の感性がしっかり混ざっているというのが、自分がこの作品に惹かれる理由なのかなーと思うのです。


 「えー、女のコってこういう時にこういうこと言っちゃうんだ」という意外性と、
 「そうそう!男としてはこういう絵が欲しいんだよ!」という期待通りさとを兼ね備えていると言いますか。


花咲くいろは 1 [Blu-ray]花咲くいろは 1 [Blu-ray]
P.A.WORKS

ポニーキャニオン 2011-07-20
売り上げランキング : 90

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1.身長設定の異質さ
 アニメの身長設定については以前ブログに書いたことがあります。
 ほとんどの女性キャラは150cm~160cmの間に収まってしまうという。あずにゃんも風子も150cm。

(関連記事:そろそろ身長の話をしようじゃないか


 しかし、『花咲くいろは』の場合。
 各キャラの詳しいデータはまだ出ていないのですが(ブルーレイにでも収録されるのかな)、ヒロインの緒花は147cmだとWEBラジオで伊藤かな恵さんが仰っていました。ちなみに中の人の伊藤かな恵さんも147cmという豆知識。「それは豆知識やなくて豆の知識やでー」とか言っちゃダメだよ!失礼ですよ!!

 んで、設定は分かりませんけど、緒花と比べると菜子は随分と背が高いですよね。頭一つ分くらい高い。となると……165cmくらいはありそう。


 「菜子さんって背も高いし、きっとスポーツとかも得意そうな気がします!」

 これは2話で緒花が菜子との距離を縮めようとして話したセリフなんですけど、この辺の話題選びって非常に女性的だなーと思うんです。
 男同士ってバスケ部に勧誘する時でもなければ、身長のことを誉めないと思いますもの。「背が低い=カッコ悪い」という罵り方はあれど、「背が高い=カッコ良い」を誉め言葉としては使わんすよねぇ。男性が背の高い女性に向かって「カッコ良い」的に表現することはもっと少ない気がします。



 まー、ここまで書いて菜子の身長設定が160cmだったらどうしようとも思うのですが(笑)。



2.「恋愛」をする物語
 この作品についてとあるフォロワーさんとTwitterで話していたんですけど、『けいおん!』テイストの作品に慣れていると「(彼氏未満くらいとは言え)ボーイフレンドのいる主人公って違和感ありますよね」。『けいおん!』なんかは特に「男性が排除された空間」での話でしたから。


 「男女両方ともいる日常系のアニメ」もいっぱいあるのですが、でも、そういう作品って男主人公のものが多くて―――女性ヒロインが主人公でちゃんと恋愛をしている“男性向けアニメ”ってそう言えば珍しいかもなーと思ったのです。

 この辺のスタンスが「朝ドラっぽい」と言われる所以なのかなと。
 NHKの朝の連続テレビ小説は「全年齢の女性が共感できるヒロイン」を目指さなくてはならないと言われていて、仕事を頑張って自己実現をしつつ恋愛もして幸せな家庭を築いて―――むしろそんな完璧超人な人生は共感できねえよ!というツッコミはさておき(笑)。


 “共感してもらう”ためにも、登場人物達の恋愛をしっかり描かなければならないし。
 4~5話で女性キャラ同士がそれぞれの恋愛話を通して距離を縮めていくという描写なんかは、あまり男性が描きたがらない女性的な描写だなーと思いました。緒花はさくっと菜子に事情を話していて、「この人達には秘密って概念がないのか」と思ったりもします。



 自分は百合スキーなので男女の恋愛模様よりも女のコ同士のキャッキャッウフフを見せて欲しい気持ちもあるんですけど、片想いだったり遠距離恋愛だったりで、「くっつけない関係」の中で恋愛描写を見せているのは上手いなぁと思います。この辺は男性的というか、少年漫画的ですよね(少年漫画の恋愛は妨害が入ってなかなかくっつかないのです)。



3.エロは抑え目
 亀甲縛りとか亀甲縛りとか亀甲縛りとかありましたけどね!

 亀甲縛りよりも、3話で海に飛び込んだ後の菜子の張り付いたシャツの方がエロイと思いましたけどね!



 ただ、この作品の「男性に向けたサービスシーン」ってこれくらいで、後は「日常の中のフェティシズム」的なものがほとんどだと思います。浴室を掃除する際に裾をまくるとことか、菜子のおっぱいにたすき掛けされているカバンとか(いわゆるパイスラッシュ)。探す人には見つかるエロスというか。

 『けいおん!』も「脚フェチのためのアニメ」と言われたことがありますけど、こういうところは共通しているなーと思います。女性が見ても眉をしかめない程度のエロスというか。



4.呼び方の変化
 男はこういうのほとんど気にしないと思うんですけど……女性って呼び方を気にするって言いますよね。「さん付け」で呼ぶか「ちゃん付け」で呼ぶかだけでも、意図があったりなんか聞きますし。
 『花咲くいろは』の中でも4話では菜子は「緒花さん」と呼んでいるんだけど、5話では「緒花ちゃん」になっているんですよね。


 4話の回想シーンで菜子が語った「民子をあだ名で呼ぼうとするエピソード」なんかも、まぁちょっと行きすぎな描写だと思うんですけど(笑)、男からすると「女のコってこういうこと気にするのか」とほっこりしました。菜子はかわゆすのう。

 緒花のあだ名も5話でもまだ決まっていなかったり、「みんちって呼んでいいよ」がお話の締めになっていたり。あだ名でそんなにストーリーを引っ張るのか!って男としては思いました。


 そう言えば、同じ岡田さんシリーズ構成の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』もあだ名がキーになっているアニメで。物議を呼んだ「あなる」というあだ名も岡田さんが「これを変えるとストーリーが成立しない」と強く主張したらしいですね。

 今となってはもう違和感がないというか、実際呼んでいるのは茅野さんだけですからねぇ(笑)。


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

アニプレックス 2011-06-29
売り上げランキング : 13

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 『花咲くいろは』という作品が「女性スタッフが大きな役割をなしていて」「女性的なリアリティがこめられていて」「女性視聴者を意識して作られている」のは間違いないと思います。その結果として、男性視聴者の自分も楽しめているのも確かです。



 ですが、実際に女性視聴者がこの作品をどう受け止めているのかは、男の僕には分かりません(笑)。

 女性で『花咲くいろは』を観ているよって人がいらしたらその辺の意見を聞かせて欲しいところ。
 他の日常系アニメと比べてどう違うのかとか、少女漫画原作アニメともどう違うのかとか、女性の意見が気になる作品ですね。どのキャラが好きかとかも聞かせて欲しいですねー。求ム!



 自分の長いヲタ経験からすると、「女性視聴者の受けを狙った作品」よりも「男性視聴者の受けを狙った作品」の方が女性には受けるという気もするんですけどね。「朝ドラみたいなアニメ」を作ったら朝ドラ好きな人が観るかって言ったら、「じゃ、朝ドラの方を観ます」ってなりませんかね(笑)。


ハナノイロハナノイロ
nano.RIPE

ランティス 2011-04-20
売り上げランキング : 180

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| アニメ雑記 | 17:39 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

女性目線、男性目線といった本筋の話……じゃないところに参考意見をば。
キャラの身長について。

>ほとんどの女性キャラは150cm~160cmの間に収まってしまうという。あずにゃんも風子も150cm。
リアル女子高生もそんなものじゃないかな~と思って、データをあさってみました。あ、やまなしさんの説をどうこういうものではないです。以前のブログ記事も拝見しましたが、こういった検証データはコメント欄でも出てなかったようなので。

平成22年度の政府統計「学校保健統計調査」によると、全国の16歳女子高校生の身長分布は以下のとおりです。

身長      割合
   ~144 1%
145~149 5%
150~154 22%
155~159 36%
160~164 27%
165~169 9%
170~    2%
(cm)
注1:割合は小数点以下を四捨五入したため、合計しても100%にはならない。
注2:データは統計をもとに個人的に計算したもの。

結論。
リアル女子高校生の85%が150cm台か160sm台前半に集中するという結果になりました。
これに対してアニメキャラの身長データを検証に耐えうるほど集めるのは(量ももちろんですが、作品タイプの偏りが出ないようにするのも)大変なので、これ以上は調べません(ど、どなたか……っ)。

まぁ、こんな数字を並べてみましたが、フィクションが現実に即している必要はまったくないですからね。
以前のブログ記事で言及なさっているように女子高生と20代女教師の平均身長はほぼ同じです。ですから、先生が生徒と一緒にいたら、その中に埋もれてしまうのがリアル……ではあるのですが、「大人と子どもの差異」「大人という役割」「教師という役割」なんてものを表現する上では、そのリアルは邪魔にしかなりませんからね。

あ、ちっちゃい女教師は大好物です。

| koto | 2011/05/04 01:03 | URL |

今回の記事はちょっと驚きました。
なぜなら、自分は男性なんですが、常日頃から
「背の高い女性はかっこいい」
「仲良くなりたくて呼び捨てやニックネームで呼びたいけど、勇気がなくて君・さんづけで呼んじゃう」
という人間なので。
自分はものすごい男性脳だと思っていたんですが、
そうじゃない部分もあるのかと気づかされて感心してしまいました。

それはそうと、エロに関してはフェティシズム的なものをかなり意識してるっぽいですね。
亀甲縛りより張りついた服の方がエロい、は完全に同意します。
公式サイトには三人が湯船に浸かってる直球エロもありますが、
(公式サイトではなかったかも。間違ってたらごめんなさい)
視点が後ろからの、裾まくりしたふとももとお尻が完全にメインになってる絵とかありましたし。

| あき | 2011/05/06 19:05 | URL | ≫ EDIT

参考になるかどうか分かりませんが‥

自分は30代女性ですが

「花咲くいろは」は第一話で
ギブアップしてしまいました
ブログを拝見させて頂くと
四話まで踏ん張れば、楽しめたかな?とも思いますが

なんといいますか
「花咲くいろは」は、主人公の性格が全く共感できなくて‥

周囲を客観視出来ないならまだしも、自分の考えを正義だと掲げて他人に押し付けるタイプ

私はそういう主人公を好きにはなれません
一気に萎えてしまったというか
主人公がこれから成長するうんぬんのクダリにも興味が持てませんでした。

ただ
「けいおん!」もあまり好きにはなれなかったので
好みもあるのかなと思います

私にとって「けいおん」は
演出があざと過ぎてあまり楽しめない作品でした
男性陣への媚びが目に見えてる作品というか
ぶりっ子を嫌う女性がいるのをご存知かもしれませんが
その感覚によく似ています

反対に
女性陣への媚びが目立つ逆ハー物も楽しめなくて
男性が格好良すぎてどうも腑に落ちないというか
たまに見せるダメ男部分があざとすぎて、リアリティにかけるからかもしれません

リアリティって
どうしたら出せるんでしょうね
永遠の課題だと思います


個人的には
最近、面白いと思ったアニメは
「アマガミ」です
どの女性キャラクターも魅力的で、主人公もキャラが立っていましたし

変態でも度を越えたら
魅力になるんだなと思いました

よくハーレム物に多い
優男だけが取り柄で何故かモテるという方程式を覆した作品ということで、新鮮に楽しめました。

また
「まどか☆マギカ」は第一話で
オープニング詐欺と判断して
観なくなったものの
たまたま10話を観る機会がありまして
ホムラちゃんのあまりに健気な行動に思わず心打たれ
一話から一気に最終話まで観るほどハマった作品です

終わりは賛否両論ありそうですが
ホムラちゃんという健気なキャラにも出会えたので
あの終わり方で満足しています


「あの日みた花の名前を…」も
個人的には好きな作品になりそうです
誰もが経験する人間関係の変化を
よく使われる題材を使いながら
上手く出せている作品だと思います

メンマがいなくても成り立つなら、駄作になっていたかもしれませんが
メンマという存在があって初めて、ストーリーが成り立つと必要性を感じるからこそ魅力を感じます。

長々とコメント
失礼いたしました
m(__)m

| ともきち | 2011/05/07 04:05 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1237-cac8cc6b

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT