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「続きが気になる」型エンタテイメント

 現在の自分はWiiで『428』をプレイ中です。
 まだ序盤が終わった辺りだろうと思うんで、ネタバレコメントとかはしないでくださいね。


 このゲームは画面に出てくる小説を読み進めるノベルゲームなんですが、一般的なノベルゲームと違うのは「5人の主人公」の小説を5つ同時並行に読んでいくというところです。こっちの主人公の選択肢がこっちの主人公に影響を与え――――というカンジに話が「正解ルート/バッドエンド」に分岐していって。
 「11時-12時」「12時-13時」といったように1時間ごとに1ステージとなっていて、5人全員が「バッドエンド」にならずに11時から12時までを読み進められれば「次のステージ:12時-13時」が解放されるというルールになっています。


 まだ序盤ということもあるのでしょうけど……ここまでの印象は、ストーリー自体はものすごいことを描いているものでもありませんし、1つ1つはありふれた話だと思うんですが………“引き”が絶妙すぎて、「続きが気になる」んです。

 「この後どうなっちゃうんだろう…」とドキドキしているところで「KEEP OUT」や「to be continuied」になってしまって、これらが出ると他の主人公の話を読み進めなければならないので―――常に「この後どうなっちゃうんだろう」という状態でゲームが進行していくのです。



 最終的にゲームクリアまで進めば「ストーリーも凄い話だった!!」と思うかも知れないので、今の内に書いておくのですが(笑)。


・ストーリー全体の満足度と、
・「続きが気になる」ワクワク感は全く別の尺度の評価だよねって思うんです。




 ここからはゲームと関係のない話。
 漫画『ドラゴンボール』をリアルタイムに知らない世代の子が「一気に全部読んだけど最近の漫画の方が面白いと思う」と言って、リアルタイムで『ドラゴンボール』を楽しんだ人が「何だと!俺達が若い頃は悟空とべジータの戦いをいち早く読みたくてジャンプ早売りしている店に行列が出来たりしていたのに」と思い出語りをし始める―――ってのを何度も見たことがあるのですが。


 ナンセンスだって僕は思うのです。


 「完結した漫画を一気に読む」楽しさと、「リアルタイムに1週1週を待ちわびていた」楽しさは別のものなのだから―――その2つを比較するのは、「仕事と私どっちが大事なの!?」並に成り立っていない比較だと思うのです。


 これは前の記事「乗り遅れたものに、後から乗った方が楽しい場合もあるさ」に矛盾するようで補足する話題なんですけど―――
 「リアルタイムに1週1週を待ちわびていた」という楽しみは「体験」の楽しみなので、コンテンツ化して後の世代に持ち越すことは不可能なんですよね。い、いや「敢えて俺は1週間に1話ずつしか読まないぜ!」って楽しみ方をする人もいますけど(笑)。


 『ドラゴンボール』がリアルタイムに連載されていた頃の少年ジャンプは「次の号も読みたい!」と思わせる“引き”の魅力が重視されていたので、「コミックスを一気読みした際の満足感」が最近の漫画と比べて見劣りするのも仕方ないことだと思います。
 (これに関しては立ち読み可能なブックオフの台頭が「コミックス一気読み」を手軽にさせて、少年漫画の方向性も変えてしまったと思っているのですが……)

 僕自身は『ドラゴンボール』を「リアルタイムで1週1週読んでいた」世代なので、その辺をニュートラルに判断することは出来ませんし、最近の漫画と比較しても「満足感」高いよ!って思うのですけど。
 読んだ人がどういう状況で読んだのかによって楽しみ方も楽しさも変わりますし、そうした違いを全部なかったことにして「客観的な評価はうんぬん」とか言うのって無意味じゃないのかなーと自分は思うのです。


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 最近ちょっと思うこと。
 「続きが気になる」型エンタテイメントというものがあって、「次号も読みたい」「次週が楽しみ」「次の巻も買わなきゃ」と思わせることで成り立っているビジネスモデル―――例えば、最近ではまさに『まどか☆マギカ』はその典型例ですし、かなり前の例で申し訳ないのですが浦澤直樹先生の漫画『MONSTER』とか『20世紀少年』とかもそうだったと思うのですが。


 「続きが気になる」型エンタテイメントに対して、「最終回まで観たけどこのラストはねーよ。全部台無し」って批判は果たして批判になりえているのか―――と思うのです。
 だって、「続きが気になる」「続きが気になる」「続きが気になる」で引っ張ってきたのだから、制作者からするとそれで最後まで観てもらった時点で「狙い通り!」じゃないかなって思うのです。

 あ、いや……僕自身はそれらの作品のラストも好きですよ(笑)。
 ただ、ラストが気に入らなかったからってその作品の全部がダメだって論調はちょっと違うと思うんです。だって「最後どうなるんだろう?」とワクワク出来ていたその楽しさは確かにあったじゃないですか。ラストシーンたった一つでそうした楽しかった時間を全部否定しちゃうの?と、思ったら。


(関連記事:脱衣麻雀も推理小説もゲームも、脱がす(謎を解く、攻略する)過程が楽しいという話


 3年前にも全く同じことを書いていました。

 進歩しねえな、俺!!




 ……と、ここまでこの記事を書いていて。
 『428』というゲームは「1本のソフト」として発売されているから「次週も楽しみ!」みたいな楽しみ方は出来ないはずなのに、5本の小説を並行して読ませるザッピングシステムのおかげで、「続きが気になる」状態でヤキモキさせるという疑似「体験」型コンテンツと呼べるのかもなと思いました。

 すっごく今更ですけど、このシステムは物凄い発明だったと思いますし、『428』の前身の『街』というゲームもいつかどうにかしてプレイしようと思っています。
 ちなみに、『428』はWii版の他にPS3版とPSP版も出ています(細かい違いはネタバレがイヤだったので調べていません)。この記事を読んで興味出たわーって人がいらしたら、お手持ちの機種でどうぞ。3機種ともに廉価版が出ていて3000円前後で買えますんで。

(関連記事:ゲームをさせるためには“御褒美”が必要だ


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| ひび雑記 | 17:53 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

確かに浦沢直樹先生の伏線の貼り方の巧妙さは連載のスタイルにも合致していて特筆すべき才能だと思います。
ただ、「引き」だけに全力を注ぎ全体の構成を二の次にする行き当たりばったりなスタイルは(作者が開き直ってしまえばそれまでですが、)賛否が分かれて当然だと思います。
岡本倫先生やバクマンは詐欺まがいの「引き」を多用していますし(思わせぶりのカットで終わっておいて次週でそれを覆すという・・)。
これは週間連載を瞬間芸的な「ショー」とみなすか、後世まで伝える「文芸」とみなすかの違いでしょう。
仮に「ショー」としてのものさしで測るのであれば、その前提はハッキリさせる必要があると思います。
ジョジョなんかは行き当たりばったりな所はありますが、1章1章はきちんとテーマに沿った「ストーリー」になっていますし、そこが浦沢先生との違いですね。

| レト | 2011/05/23 03:27 | URL | ≫ EDIT















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