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「情報弱者は愚か者だ」という風潮こそがデマを蔓延させる

 3月の東日本大震災以降、それまで以上に目にも耳にもするようになった「デマ」という言葉。

 「どうして人はデマを信じてしまうのか―――?」

 これは「現代人だから」と限った話でも、「日本人だから」と限った話でもないと僕は思っています。
 NHKで放送されていた『爆笑問題のニッポンの教養』のFILE145によると、安政の大地震(1855年)時の記録にも、震災直後に同じようなデマが流れ、それを信じてはいけないという記録が残っているそうな。
 また、日本とアメリカでも同じ都市伝説が形を変えて広まっているという話もされていました(アメリカだとヒッチハイクの話だったけど、日本にはヒッチハイクが馴染まれていないのでタクシーに設定が変わって話が広まった)。





 よく「こんなデマを信じるなんて情報弱者もいいところだな!」と、デマを信じてしまった人を「情報弱者」と批判している人を見かけます。「詐欺に合うヤツが悪い」と同じような口調で「デマを信じるヤツが悪い」と言っている人――――


 でも、僕は、そういう「情報弱者は愚か者だ!」という空気こそが“デマを信じてしまう人”を生んでいると思います。

 “デマを信じてしまう人”の気持ちを考えれば分かる話です。
 彼ら(彼女ら)は別にそれを「デマだ」とは思っていませんし、自身のことを「情報弱者だ」とも思っていません。むしろ「情報弱者にはなりたくない」「みんなより早く情報を知らなくてはならないんだ」と焦っているんですよ。


 今まで知らなかった情報を見て「マジかよ!知らんかった!アブねー、情報弱者になるところだったよー」と信じ、「これを知らない人は情報弱者になっちゃうよな。可哀想だ、みんなにも教えてあげよう」と情報が拡散していく――――それが真実かどうかよりも、「情報弱者にはなりたくない」が先に来るのです(※1)。
 もちろん一部には悪意を持ってデマを広めるゲス野郎もいますけど、多くの場合は“劣等感”と“善意”がデマを広めていくんです。

※1.特に「これを知らないと損をする」とか「これを知らないと大変な目に合う」という情報(デマ含む)は、「情報弱者になりたくない」「みんなにも教えなきゃ」という感情を強く刺激します。




 頭の良い人はそうではない僕らのような人間の気持ちが分からんから「情報の真偽を見極められる力を持たなくてはならない」とか言うんですけど、江戸時代でだってアメリカでだって同じようにデマが広がっていることを考えれば、人間ってうっかり騙されちゃう生き物だと思うのですよ。

 ならば、デマに振り回されないようにするためにどうすればいいのか――――
 「情報弱者だってイイじゃない」とみんなが思えばイイと思うんす。




 あそことかあそことか、捏造垂れ流しブログってあるじゃないですか。
 ああいう人達はお仕事でやっているのだから非難されたくらいでやめはしないでしょうけど、それを真剣に信じてデマを広めてしまう読者達はどうしていなくならないのか――――と、真剣に考えてみたんですけど。

 前に読者の人が「あそこのブログを批判する人もいるみたいだけど、あそこがなくなったら不便だから困る」と言っているのを見かけて、色々と納得しました。
 「あそこを読んでいないと情報弱者になってしまう」「あそこを読んでいれば情報強者になれるんだ」と読者に思わせているから読者が集まるのであって、情報がデマかどうかは重要ではないし。むしろ公式なメディアでは扱われない際どい情報&過激な情報を扱った方が「情報弱者になりたくない!」という人を集められるので、最終的には捏造した情報にまで手を出すというのも世の常。ゴッドハンド!


 全ては「情報弱者は愚かだ」という空気が元なんです。



 これはインターネットの中だけの話ではありませんよね。

 テレビは言います。「テレビを観ないと時代遅れになっちゃうよ」と。
 新聞は書きます。「新聞を読まないと頭が悪くなっちゃうよ」と。



 結局どこもやっていることは一緒なんです。
 読者を集めるために「ウチを信じてさえいれば大丈夫」と言うんです。


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 もうそろそろ必死になって情報を追い回すのはやめませんかね?
 みんながみんなジェネラリストになる必要はないし、みんながそれぞれ「自分の知っていることを知っている」スペシャリストになればイイじゃないですか。



 必死になって情報を追いかけて得したことってどれくらいあります?
 情報を追いかけなくて損したことってどれくらいあります?


 原子炉の仕組みを知ったからと言って僕には何も出来ませんし、芸能人の恋愛が僕を幸せにすることはありませんし、「絶対に儲かる話があるんだよ」は絶対に儲かりませんし。必要のない情報にまみれて満足しているくらいなら、オナニーしている方がまだ生産性がありますよ(精子工場が稼動するという意味で)。

 情報なんて必要な時にだけ取り出せばイイのであって、
 重要なのはそれをどう使うかだろう――――って思います。


 何年もブログを続けてると……
 僕が「僕が当たり前のように知っていること」を書いただけで、それを知らない沢山の人から「驚いた!」と言われるなんてことはしょっちゅうあります。
 逆に、沢山の「驚いた!」というコメントが付いた記事には、必ずと言っていいほど「こんなこと俺は前から知っていた。今更語ることじゃないね」というコメントが付いてニヤニヤさせられます。



 「僕が知っていることを貴方は知らない」し、「貴方が知っていることを僕は知らない」んです。
 それでイイじゃないですか。「情報弱者」上等ですよ。
 それで生きづらいような社会ならば、それは社会の方に問題があるんです。






 こういう記事を書くと、ニュースサイトさん達からはすっげえ嫌われる気もしますね(笑)。
 こんな記事を紹介しちゃうニュースサイトさんは信じて大丈夫だと思いますよ!!!(最後ひよった)


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| ひび雑記 | 18:16 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

稲葉さんのツイッターなんかが的を射ていると思いました。
http://twitter.com/#!/PG_inaba/status/86602482364579841

| レト | 2011/07/02 16:49 | URL | ≫ EDIT

「やるやらで学ぶゲームの歴史」の作者が同じようなこと言ってましたね。作品中の最終話の最後に、あとがきとして書かれています。
要約すると、『「これくらい誰でも知っている」と口を閉ざさないで。あなたにとって常識でも、他の誰かにとっては未知の情報・革新的な発想かもしれないから』、『「レベルの低い話をするな」「間違ってる」といった批判だけをしないで。あなたのほうが詳しいならよりレベルの高い話をしてほしいし、間違いがあるなら正しい情報を教えてほしい』といったところでしょうか。

| もら | 2011/07/15 17:46 | URL | ≫ EDIT















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