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『スーパーマリオワールド』の失敗

 「ボタンがごっちゃになってしまう病」という記事に書くつもりだったのに、すっかり書くのを忘れていたことを今日は書きます。人間なんだから、物忘れだってするさ!『脳トレ』やんなきゃ!




 『スーパーマリオワールド』とは、1990年11月21日に新型ゲーム機スーパーファミコンと同時発売されたソフトの一つです。スーパーマリオブラザーズシリーズ4作目にあたり、日本国内の売上げは355万本だそうです。これは『スーパーマリオカート』に続くスーファミソフト第2位の記録。

 最初に言っておくと、自分は全てのマリオシリーズの中で最もこの『スーパーマリオワールド』が好きです。
 マントマリオはジャンプ時の落下スピードを遅くできるし、ヨッシーの二段ジャンプを使うとすんでのところで落下を防ぐことができるし、スピンジャンプを使えばトゲ系の敵をやりこめることができるし、クリアした面は何度でも挑戦できるし途中抜けが出来るのでアイテムだけ取ってくることができるし………


 何より、
 「情報」さえあれば、スターロードを使っていきなり序盤でクッパ城まで飛ぶことが出来ることと、上級者向けに終盤の面よりも難しいスペシャルコースという超難度コースも用意されていること。


 この作品が最初かどうかは分かりませんけど、「初心者救済」と「熟練者にはひたすらやりこみ」を両立した“先駆け”のゲームの一つだと思っています。
 今も多くのゲームのPVやTVCMで使われる言葉ですよね、「誰にでも楽しめる!」「やりこみ要素も満載!」って。その源流は1990年頃から存在しているのです。





 さて、こんな風に自分は大好きな『スーパーマリオワールド』ですが。
 自分の大好きさ加減と比べて、任天堂自身はあまり評価していないのかなーと思うことが多々あります。


 このソフト以後、しばらくの間は2Dマリオシリーズって作られなくなるんですよね。
 メインのマリオは『マリオ64』『マリオサンシャイン』といった3Dアクションに移り、2Dマリオシリーズは携帯機の移植・リメイクものしか出なくなります。
 自分は『スーパーマリオワールド』が大好きだったので、NINTENDO64時代は不思議で仕方ありませんでした。「どうして任天堂は2Dマリオの新作を出さないんだろう?FFやドラクエに逃げられたのは仕方ないとしても、2Dマリオを出せば64ごと買うって人は多いだろうに」と。

 ちなみに2Dマリオが出ていない間も任天堂は、『スーパードンキーコング』シリーズや『星のカービィ』シリーズや派生ソフトである『ヨッシー』シリーズといった2Dアクションゲームを出しています(『カービィ』と『ヨッシー』は64でも2Dアクションとして出た)。しかし、2Dマリオの新作だけは頑なに出さなかったのです。トップシェアから落っこちても。



 もちろんこの記事を書いている2011年の時点では「何を今更」な話ではあります。
 2006年に16年ぶりの2Dマリオシリーズ最新作『Newスーパーマリオブラザーズ』が、2009年には『NewスーパーマリオブラザーズWii』が大ヒットしていて、今度のWii Uでも(製品化は正式に発表されていませんが)2Dマリオの映像が流れているなど……現在の任天堂最大のキラータイトルとして大暴れしているワケですが。

 以前の「社長が訊く」で宮本さんはこう仰っていました。


<以下、引用>
岩田「2004年にファミコンミニを発売しましたよね。
あのとき『スーパーマリオブラザーズ』も再登場しましたが、宮本さんはどんな印象を持ちましたか?」

宮本「昔はゲームを遊んでいたのに遊ばなくなっている人がどんどん増えているという感があって、
それは理屈ではわかっていたつもりなんですけど実感として足りていなかったんです。
というのも、やっぱり自分もゲーマーですし、まわりにもゲームが好きな人が集まっていますから。
だからファミコンミニのときにそういう声を聞いて、「そうか・・・マリオのことは覚えていてもゲームのことを忘れている人がそんなに多いのか」 ということが、とても強く実感できました。」

岩田「だから、ファミコン20周年や、そのあとにスーパーマリオ20周年に取り組んだことは わたしたち自身にとってもすごく意味がありましたよね。」

宮本「そう思います。
ただ、ゲームからいくら遠ざかっても 『マリオ』で遊んだ思い出は忘れられてはいない・・・。
その頃『マリオ』も3Dに展開していましたから、 ゲーム機の進歩とともに発展していく『マリオ』誰でも遊べるベーシックな『マリオ』という、2つの路線があるなという話になりました。
そんなことを手塚さんと話していたら「次をつくるとしたら、横スクロールマリオかなあ」ということになりまして。」

岩田「それがDS版の『Newスーパーマリオ』になったんですね。」

宮本「ええ。
でもやっぱり技術を追いかけているほうからすると「えっ、いまさら2Dで横スクロールですか?」となるんですけど、「ポリゴンや3Dを使ってもいいから、 横スクロールでゲームをつくったほうがたくさんの人にとって遊びやすいものになるのと違うのか?」と。

だから、「原点に帰った『マリオ』をつくろう」という話になったんです。
そこで名前に『New』をつけたんですね。」
</ここまで>

※ 改行、強調は引用者の手で加えました。


 どうもファミコンミニをやってみたら「昔はゲームやっていたけど今はやっていない」という人が想像以上に多いと気付き、じゃあ今更だけど2Dマリオも作ってみるか―――という流れだったみたいです。自分は何か明確なポリシーみたいなものがあって「2Dマリオだけはもう二度と作らない!」と16年間作られなかったのかなと思っていたので、正直意外でした。

 同時に、色んなことが納得できました。
 任天堂からすると『スーパーマリオワールド』以降、「2Dマリオはもう求められていないだろう」くらいの意識だったのかなと。




 それを裏付けるように……
 16年ぶりに発売されたDSの『Newマリオ』は――――自分がスーファミの『スーパーマリオワールド』に抱いていた「好きだった理由」を全てそぎ落としているのです。マントマリオもヨッシーもスピンジャンプもなければ、前のコースに戻ってアイテムドーピングすることも面倒になりました(もう一度クリアしないとアイテムが持ち越せない仕様になった)。


 『Newマリオ』の大ヒットって、『スーパーマリオワールド』の否定から始まっているのではないかとすら思うのです。


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○ 斜陽の始まりだったスーパーファミコン時代
 マントマリオやヨッシー、スピンジャンプの廃止は「初心者には複雑」と判断したゆえの削除だと思います。マントマリオは「飛べる人」「飛べない人」が分かれてしまったと言われていますし、スピンジャンプに関しては「必要なボタン数が増えた」弊害を生んでしまいました。


 マリオシリーズの原点である『ドンキーコング』や『マリオブラザーズ』は「十字キー+ジャンプボタン」のゲームでした。『スーパーマリオブラザーズ』になって「十字キー+ダッシュボタン+ジャンプボタン」のゲームになりました。
 そして、『スーパーマリオワールド』は「十字キー+ダッシュボタン+ジャンプボタン+スピンジャンプボタン」と、必要なボタンがシリーズ最多になってしまったんです。

 ちなみにDSの『Newマリオ』は「十字キー+ダッシュボタン+ジャンプボタン」に戻り、Wiiの『NewマリオWii』は「十字キー+ダッシュボタン+ジャンプボタン」に「リモコンを振ってスピン」という要素が加わりました。
 DS版は特に宣伝コピーに「十字ボタンと2つのボタンだけのマリオ」と書いてあったように、使うボタン数を最重要視したプロモーションになっていたんですよね。



 Wiiの発売前、宮本さんはゲームコントローラのボタン数に関してニンドリのインタビューにこう答えています。

<以下、引用>
宮本「ファミコンでは、A、Bボタンを組み合わせて使ったり、同時押しにしたりしていたのを、スーパーファミコンのときには、YボタンやXボタンに振り分けるとか、できるだけシンプルな操作に少しずつ変えていったわけです。
 そうすることによって、使いやすくなったと思っていたんですけど、やっぱりボタンの種類が増えていくこと自体が複雑化への道だったんです。

 Wiiではモーションセンサーだとか、左右がバラバラに動かせるとか、さまざまな要素が足されたんで、ボタンは思いっきりシンプルに割り切ろうとバッサリ削りました。まぁそれでも、複雑と思う人にはまだ複雑だと思いますけど(笑)。
</ここまで>

※ 改行、強調は引用者の手で加えました。




 スーファミのボタン数を増やしたのは「初心者救済」のためだったのに、結果的には「ついてこれない人を増やす結果」になってしまった―――これはボタン数に限らず、『スーパーマリオワールド』の各要素にも言える話だと思います。


 「スターロードによるショートカット」と「やりこみ要素のスペシャルコース」。
 Wii版は友達宅で中盤くらいまでしかプレイしていないので分からなくて申し訳ないのですが、少なくともDS版『Newマリオ』にはスターロードほどの大幅なショートカットはありませんでしたし(最終ワールドの1面に飛ばされはするけど)、超難度コースが別に用意されているワケでもありませんでした(同じコースでのスターコイン集めがやりこみ要素になっている)。


 多分、「万人向けのつもりで作ったショートカットとかスペシャルコースだけど、多分あれは万人向けじゃなかったんだよ」と考えたということなんじゃないかと思います。少なくとも、シリーズ仕切りなおしのDS版には入れなかったということは。




 スーパーファミコンという時代は、良い意味でも悪い意味でも「ついてこれるヤツだけついてこーい!」的な勢いのあったファミコンのゲーム達が、誰にでも楽しめるように行儀よく「万人向け」になっていった時代だったと思います。
 『ゼルダの伝説』にしても『ファイナルファンタジー』にしても、ファミコン時代は「子どもには難しいゲーム」だったところ、スーパーファミコン時代になって随分と「万人向け」になったと思います。『ファイナルファンタジー5』なんかはまさに「初心者には取っ付きやすく」「やりこもうとすればひたすら難しい」ゲームの代表格だと思いますし、『スーパーマリオワールド』とも通じるところがあるのですが………



 しかし、そんな『ファイナルファンタジー』シリーズも「ファミコン時代の方が良かった」という声はありまして。「難しくて良かった」という話ならただ単に難易度の問題なんですけど、「スーファミ以降は遊びにくくなった」という意見があって驚いたという話は以前にも書きました。

 「万人向け」を目指したがゆえに、そこからふるい落とされてしまった人達は確実にいるんです。スーパーファミコンの時代って実はそういう問題を内包していたのかなぁと思うのです。


(関連記事:アクティブ・タイム・バトル(ATB)は“アクション要素”なのか?



 ちなみに……
 2Dマリオシリーズは「新作が出なかった」という分かりやすい例ですけど、『ファイナルファンタジー』シリーズも「毎回システムを変えている」ことで通じる部分はあるんですよね。単に「万人向け」を目指すなら、『5』でも『6』でも『7』でも、どれかのシステムをずっと使えばイイのに――――そうではなく、毎回新しいシステムを入れることで、時にはかなりの「取っ付きにくいゲーム」にしているのです。



 『マリオ』とか『FF』とか、何百万本も売れるゲームがこうやって「万人向けって何なんだろう」と悩んでいたであろうことを考えると――――未だに「誰にでも楽しめる!」「やりこみ要素も満載!」という言葉をとりあえずPVに入れちゃうゲームって……と思わなくもないです。


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| ゲーム雑記 | 18:26 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

この間のE3で発表された「マリオ」が、かなりマリオ3っぽかったのも印象的ですねえ。
シリーズ物ってどうしても"ここまではついていけた""ここからはついていけなかった"
ってのがあるから、どこまで戻るのかは難しい話で・・・
ついていけた人にとっては、最後についていけた作品が一番面白いというのがよくある話ですし。
それでもDS、3DSとXYLRボタン搭載は続けてることを考えると、いずれ"ワールド"の境地までリバイバルor新規プレイヤーを導いてくれる作品が出ることを願います。自分もSFC大好きだったので。

| shimole | 2011/07/14 19:02 | URL |

Wii版はやりこみ要素のスペシャルコースはありましたね。ある程度やり込まないと解放されない作りで、スターロードほど極端なショートカットは無かったと思います

フルコース料理は、食べる順番などがきっちり計算され、正しく満足感へ導いてくれますが、小学生にだしても喜ばないし食べきれない。そんな感覚に似てますね。

マリオは、フルコース料理ほど仰々しくなく、ジャンクフードほど安っぽくない、「豪華なハンバーグランチ」あたりが理想なのかも。

| あわれ | 2011/07/14 19:26 | URL | ≫ EDIT

この記事をゲーム作っている人すべてに読ませたいですねえ

| ああああ | 2011/07/14 21:54 | URL |

マリオワールド、私もこれが一番好きでした。
マップシステムとか、アイテム持ち回りとか、その辺を総て継承した
マリオワールド2がやってみたいなぁ。

| ああああ | 2011/07/15 00:00 | URL |















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