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『脳トレ』や『Wii Sports』は「画期的なゲーム」だったか?

 先月末の任天堂「決算説明会の質疑応答」にて興味深い言葉が使われていました。
 Q10(質問者)で使われているコレです。


<以下、引用>
-前略-
 DSの時もそうだが、『脳トレ』のような画期的な、意外なソフトが出て活性化したという事実があるので、3DSでもそういった今までにないような画期的なソフトも開発していると思うが、近い将来、大型のタイトルやシリーズではなくて、そういったものを期待できるか。
-後略-

</ここまで>

 『マリオ』や『マリオカート』や『どうぶつの森』のような“人気シリーズの続編”だけではなくて、DSの時の『脳トレ』やWiiの時の『Wii Sports』『Wii Fit』のようなソフトがなければ3DSは普及しないのではないか―――という物凄く真っ当な質問ですね。

 同意する人も多いでしょうし、自分も3DSのソフトラインナップを同じように批判してきました。「続編やリメイクものばっかりだと、DSで十分じゃんとしか思われないよ」と。


 ただ、ちょっと気になったのは「画期的なソフト」という部分。
 言いたいことは分からなくはないです。今までの機種、他のライバル機種にないような独自性の高いソフトがなければ新機種は苦戦するだろうって意味だと思いますし。揚げ足を取る気はさらさらないのですが……かつて自分もこういったソフト達を「画期的なゲーム」と評したことがあったので、訂正の目的もあって書いておかなければと思うのです。


 「ゲームのルール」についてあれこれ考えてきたこの数ヶ月間、
 『脳トレ』や『Wii Sports』が売れたのは「画期的なゲーム」だったからじゃないよなと今の自分は考えています。



 『脳トレ』の「計算20」の面白さは、義務教育を受けてきた人なら誰でもルールを知っている「足し算や引き算」をゲームにしているところです。
 『Wii Sports』の「テニス」の面白さは、現実のテニス以上にシンプルに「飛んできたボールを相手のコートに打ち返す」ことに特化させているところです。


 どちらも別に「目新しいこと」は何一つやっていません。
 「入力装置の変化」だったり「これとこれとこれを一つのゲームに収める革命」だったりはするんですけど、一つ一つのゲームのルールは「既に知っているもの」や「シンプルで分かりやすいもの」ばかりなんです。だからこそ、こうしたゲームは「自分でも楽しめそう!」「家族も楽しめそう!」と大ヒットしたんです。


 沢山のゲームを遊んできて、色んなゲームの情報にまみれている人からすると、「逆に新しい!」「この逆転の発想は画期的だ!」と思うかも知れませんが…………こうしたゲームが大ヒットしたのは、「画期的だったから」ではなくて「分かりやすかったから」だと自分は思うのです。




 ……という視点で、記事冒頭の質問を考えますと。
 3DSに必要なソフトって「画期的なソフト」よりも「分かりやすいソフト」じゃないかって思うのですよ。ここを勘違いすると、「どうしてこんな画期的なソフトを出したのに売れないのか!」ってなってしまうのです


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 そんなことを、3DSの内蔵ソフトを楽しんでいて考えてしまいました。



 まずは3DS内蔵ソフト『ARゲームズ』公式サイト)。
 このゲーム、「画期的」だし「新しい」とは思うんですよ。
 よく分からんけど技術的には凄そうですし。「面白い」ことも色々出来ます。

 でも、「分かりづらい」
 3DS本体を持っているのに「ARゲームって何ですか?」「そんなもん付いてきましたっけ?」と聞いちゃう人がいるのも仕方ないくらい、あまりに画期的すぎてイメージしづらいんですよ。



 「ARゲームって何ですか?」って質問されたとして、何て答えます?


 「拡張現実」 0点。それじゃ何の説明にもなっていないです。
 「“現実”にはないものが画面に映る」 5点。大抵のゲームは現実にないものが映りますよね。
 「俺達のいる現実世界と、ゲームが交わるようなカンジ」 まぁ、こんなところですか。




 放課後ミィータイム

 ねんどろいど平沢唯(現実)と、他メンバーのMii(ゲーム)の共演とか。


 唯なら俺の横で寝てるよ

 俺のベッド(現実)に、平沢唯のMii(ゲーム)が寝ている!!とか。



 こんなカンジで「“現実”と“ゲーム”を融合させる」のがARゲームです。
 「使い方次第で凄く面白くなる」可能性を秘めているのが「AR」だと思うんですが……面白さが分かりづらいので「んで?何が面白いの?」と思っちゃう人も沢山いると思います。
 自分も「Mii撮影」や「お絵描き」は可能性を感じましたけど、「マトあて」とか「釣り」とかは、「現実と融合させる意味があるの?」と思っちゃいましたもの。




 もういっちょ。3DS内蔵ソフト『顔シューティング』公式サイト)。
 このゲームは「自分や友達・家族なんかの顔写真を撮るとそれが敵キャラクターとして登場する」シューティングゲームです。友達や家族の写真を使うのもイイんですが、ぶっちゃけ「何を写真として使うか」で面白さが変わってしまうソフトなのです。




 虎

 例えば、ぬいぐるみ。
 ぬいぐるみはぬいぐるみなので、ずっとこのままのはずなのですが。



 虎2

 『顔シューティング』で写真を撮ると、笑ったり怒ったりするんです!
 「コイツ、こんな顔で笑うんだ……」と知ることが出来るのです。


 ぬいぐるみや人形に限らず、雑誌やインターネット上の写真でも使えます。
 好きなアイドル・好きなスポーツ選手・好きなAV女優・好きな漫画キャラ・好きなアニメキャラクター・好きなフィギュアやガンプラ・好きな絵画のモデルなどなど……正面の顔写真(口を閉じていると理想的)があれば、誰でも『顔シューティング』のキャラに出来るのです!

 定番ですけど、『モナ・リザ』を笑ったり怒らせたりとかね。


 『フォトファイターX』のシューティング版みたいなカンジで。
 『フォトファイターX』はポーズ画像を大量に必要とするのでハードルがすごく高かったのですが、こちらは顔写真1枚。誰でも超お手軽にキャラメイクが出来るようになりました。
 3DSカメラ画像からも拾ってきてくれますから、「3DS買ったからみんなで立体写真撮ろうぜー」とクラスメイトの写真を撮って、好きな女のコの顔だけ「顔コレクション」に保存してハァハァするとかね!青春羨ましい!




 ほら、こんな風に熱く語れば語るほど……
 一部の人は「何それ!面白そう!」と思ってくれると思うんですけど、「え……何が楽しいのそれ」って思ってしまう人もそれ以上の数がいると思うんです。『フォトファイターX』の紹介記事を書いた時もそうでしたし(笑)。




○ そろそろ結論
 『ARゲームズ』と『顔シューティング』は、Wiiにおける『はじめてのWii』のような立ち位置を目指して作られたゲームだそうで。「本体だけで3DSはこんなに遊べるんですよ!」という自信があったんだと思います。そして確かに、自分なんかはコレだけでしばらく遊べてしまっています。



 しかし、この2本のソフトは「第2の脳トレ」にも「第2のWii Sports」にも「第2のはじめてのWii」にもなれませんでした。「第2のはじめてのWii」ははじめてなんだか2回目なんだかどっちなんだ、というのは置いておきまして。
 この2本のソフトは「画期的」だと思うんですけど、「画期的」なだけでは『脳トレ』や『Wii Sports』にはなれないという証明になってしまったとも思うのです。消費者が求めているものは何だったのか。


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| ゲーム雑記 | 05:32 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

画期的とわかりやすさ

「必要なのは魅力がわかりやすいソフト」というのは、そのとおりですね。

といいますか、大ヒットする作品は、たいてい魅力がわかりやすいです。「やってみたら超おもしろい」という作品ももちろん必要ですが、大ヒット作だとかジャンル・業界・機種を牽引する作品にはなりづらいですもの。まぁ、『新世紀エヴァンゲリオン』なんて、よくわからなさが魅力の一つになっている作品が社会現象になることもありますが……(美少女や巨大ロボなら他の作品にも出てきます)。


で、「画期的なソフト」について。
その業界にそれまでなかった(あるいは目立たなかった)ものは、画期的といってもいいでしょう。岩田さんも返答の中で「お客様にとって今までのシリーズのビデオゲームの枠でははまらない新しい提案」と定義してらっしゃいます。
この考えはゲームだけではありません。
例えば……
・アニメ『らきすた』で町おこしする旧「鷲宮町」
  →ドラマの舞台なら従来から行われてきた普通の提案。アニメなのが新しい。
・女児向けアニメなのに大迫力の肉弾戦を繰り広げる『ふたりはプリキュア』
  →少年向けなら肉弾戦は普通。女児向けに取り入れたのが新しい。
・電話とメールしかできない携帯電話「らくらくホン」
  →従来の普通の電話=先祖がえりに近い。多機能化の進む携帯でやったのが新しい。
・バッグなど付録付きで部数を大幅に伸ばした「宝島社の女性ファッション誌」
  →少女漫画誌なら豪華付録は当たり前。大人の女性誌に実用品をつけたのが新しい。
といった具合に。
どれも他業界では普通のことを自分のところに持ってきているわけです。その結果、業界としては画期的なものに。
だから
・脳を鍛える知育脳トレ
  →子ども向け知育玩具やパズル雑誌などでは普通。ゲームにしたのが新しい。
という意味では、画期的といってもさしつかえないかと。

ううむ、すみません、これこそ揚げ足取りみたいになっちゃいました。
でも業界にそれまでなかったということは、導入すれば新しい顧客を取りこめる可能性があるということですから、画期的なソフトが必要という意見は的外れとまでは言い切れないでしょう。
ただ、画期的だからヒットするわけではないのは、そのとおりですね。魅力がわからなければ人は買いません。画期的なソフトが、やまなしさんがおっしゃるように「わかりやすい魅力」をアピールできるのであれば、他機種にはない要素としてその機種の起爆剤となれるかもしれません。
ただ、画期的であればあるほど既存イメージから外れるわけですから、うまく魅力を伝えないと誰もついて行けなくなってしまいます。ですから、そこが設計のしどころ、パッケージングのしどころ、広報のしどころなのだと思います。
……結論がずいぶん薄味になっちゃいました。

| koto | 2011/08/16 10:41 | URL |

どストレートに揚げ足取りですよね
別に、画期的なだけで良い、なんて一言も書いてないわけですから

面白さが伝わりやすいというのは大事な要素ですね
売れてるゲームは何らかのタイトルの続編が多いというのは、安心して買えるからですし
新しい事をしつつ、きちんと面白さが伝わるように丁寧な作り……そんな都合の良いものがぽんぽん出るわけはないw
それが理想なんだけど……

あと、ハッキリ言って、消費者は自分の欲しいものなんて知らないですよ
消費者の言うとおり作っても良いゲームなんて出来るとは思えないでしょ?

| ああああ | 2011/08/16 17:22 | URL |

>>「『脳トレ』のような画期的な、意外なソフトが出て活性化したという事実があるので、」
これは明らかに意外性が大きな強みであると思っている発言ですよね

じゃあ独創的なサザエさんならもっと多くの人に楽しんでもらえるのか、独創的なカレーなら?独創的なももたろうなら?トヨタ車が独創的だったならもっと売れた?テトリスをもっと独創的に?

多くの人に楽しんで貰いたいと考えた結果新しいものが出来たに過ぎないのではないかと思いますね

| へへへ | 2011/09/11 17:31 | URL |















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