やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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「流行っているから」ではない理由で流行っているもの

 先週の『爆問学問(爆笑問題のニッポンの教養)』(@NHK)のゲストがやなせたかし先生でした。
 言うまでもなく『アンパンマン』の作者なんですが、『アンパンマン』ヒットまでの道のり―――戦争体験だったり、手塚治虫の登場で漫画界が激変してしまったり、仕事のない時期に「手のひらを太陽に」の歌詞を書いたり、色んな話題が出てきて非常に面白い回でした。


 特に自分が考えさせられたのが、「アンパンマンが20年以上も売れ続けているのはどうしてだと思いますか?」という質問をされたやなせ先生の答えでした。


 「大体子ども向け漫画の寿命は6年と言われている。
 でも、僕の漫画は幼児向けだから……(笑)」



 不思議な話のようで、真理を突く話。
 「子ども向け漫画の寿命は6年」と言われて「え?あの漫画とかあの漫画とか……」と思うかも知れませんが、自分のことに振り返って小学1年の頃に観ていた漫画と中学1年の頃に観ていた漫画を思い出すと意味が分かると思います。子どものブームはサイクルが短いんです。

 そういや昔のジャンプの漫画ってそんなに超長期連載しなかったですもんね。
 『スラムダンク』(全31巻)でさえも6年弱の連載でした。

 大人向け漫画の方が長く愛されるし、現在の少年漫画に超長期連載が多くなったのは少子化による大人層への取り込みが重要になったとかうんぬんかんぬん。(こち亀とジョジョが超長期連載だったのは大人に支持されていたとも言えるか)




 でもそれじゃあ、幼児向け漫画(アニメ)はもっとサイクルが短いんじゃないのか?
 「小学1年の頃に観ていた漫画と中学1年の頃に観ていた漫画は違う理論」で言うと、「3歳の頃に観ていたアニメと7歳の頃に観ていたアニメは違う」んじゃないかと思うのです。じゃあなんで『アンパンマン』は売れ続けているのかというと……新しいユーザーが常に入ってきているからなんですよね。



 これは『アンパンマン』だけじゃなく、『ドラえもん』とか『トトロ』とかも。
 子どもは誰かに教えられることもなく、何となくそうしたキャラクターが好きになるんですよね。北欧からオシャレな玩具を輸入してハイソな子どもに育てようと与えても、結局はアンパンマンに夢中になってしまう……みたいなことを子持ちの親戚とか友人とかからよく聞きます。

 そこには「今これが流行っているから」とか「誰々の新作だから」とか「この出版社が今後売り出そうとしている目玉商品だから」みたいな付加情報はありません。2歳児は「最近これが売れているみたいだから一応チェックしておかないとねー」という理由で『アンパンマン』を観ているワケではありません。そりゃそうだ(笑)。


 子どもは純粋にその作品(キャラクター)が好きかをシビアに判断するんです。



 もちろんコレは「幼児向けの作品は素晴らしい!」「子ども向けの作品はダメだ!」みたいな低レベルな話ではなくて―――幼児のコミュニティと小学生のコミュニティは違っていて、それぞれにヒットする要因が違うという話です。

 小学生の教室だったら「みんながコレを観ているらしい」がヒットの要因になります。
 大人だって「Twitterで今話題のアニメはコレらしい」がヒットの要因になります。

 それらは爆発的に普及するパワーを持つのですが、逆に言うと「あっという間にブームが去ってしまう」リスクも孕んでいて。「子ども向け漫画は6年が寿命」とか、「深夜アニメは数年後には賞味期限切れ」とか言われてしまうのだろうと思うのです。



 そうした横の繋がりが必要なく、根源的な魅力を持つ『アンパンマン』とか『ドラえもん』とか『トトロ』は長く愛され続けている―――と考えると、やなせ先生の「僕の漫画は幼児向けだから(長く売れているんだよ)」という御言葉は鋭い分析だと思いました。



 もちろん、あと一つの要因として「幼児向けの作品は親の支持を得られるか」もあります。
 子どもがどんなにそれを好きだとしても親が見せなければ2歳児には自力でそれを探す能力はありませんし、子どもに与える際にはアニメそのものよりも玩具の形が多かったりするので―――幼児には幼児のコミュニティ(親と子の関係)があって、「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」というよりかは「馬を射んと欲すれば先ず将を射よ」というべきか、“親の目”は無視できないよねと。


(関連記事:「続きが気にならない」型エンタテイメント


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| 漫画読み雑記 | 10:32 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして、こんにちは。
ボクも爆問学問を見ました。
面白い考察だとは思いますが、もっと単純な話かなと僕は思います。

アンパンマンやトトロが初めて世に出てきたときの大人が「これは、おもしろい。自分の子どもにも見せてあげたい」と思い、それを見ておもしろいと感じた子が親になり、また子に見せる。というループ。
>“親の目”は無視できないよねと。
これに尽きるんじゃないですかね。

大人にも受ける幼児向け作品のパイオニアがアンパンマンでありトトロであったから、何十年も愛される作品になったんじゃないでしょうか。
見ていないので、偉そうなことを言えないのですが、「ポニョ」は悪く言えば二番煎じなんでしょうね。まぁ、大橋のぞみちゃんのこれから活躍次第で10年後も金曜ロードショーで放送されるかもしれませんが...
長文 失礼しました。


| ああああ | 2011/09/07 11:34 | URL |

幼児向け

私も二児の親として、アンパンマンもみちゃいますが、彼もかっこいいヒーローなんですよね。 とりあえず親の検閲結果は許可ということで、子供さんも喜んでみてます。

アンパンマンMADとかもいろいろ見てますが、結構丁寧なつくりのアニメなんですよね・・
プリキュアさんとかも基本的に言葉使いいいですよね、馬としてはおとされちゃいましたw
他は・・ ケロロ軍曹なども、言葉使いが大変丁寧で、安心して見れます。私はガンプラつくりますしw

逆に与えたくない漫画で検閲しちゃってるのはくれよんしんちゃんと、バラエティ番組かな。
くれしんは、子供を題材とした大人向け番組だと思ってます。

ゲームとアニメで育ったうちの子は言葉使いはとっても丁寧ですよw(親ばか)

幼児向け。
確かに毎年新規層が参入してくるってのは真実ですねぇ。

| だいず | 2011/09/07 16:43 | URL | ≫ EDIT

我が家では知らないうちに子どもがアンパンマンを好きになっていましたね。
幼稚園で他の子どもに感化されたらしいので、『流行っているから』の場合も少なくはないと思います。
勿論、幼稚園の他の子どもがアンパンマンを好きなのは、その親御さんからの影響でしょうし、流行っているから以外の原因での流行ではあると思いますが。

>くれしんは、子供を題材とした大人向け番組だと思ってます。
これは同意です。子どもが見ても面白い番組ですし、子どもの本質的なニーズを捉えているとは思いますが、番組のテンポは完全に大人向けに調整されていていますね。

| 通りすがり | 2011/09/09 15:05 | URL |















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