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「パッケージソフト」のゲームの利点を整理してみる

 コンシューマー機のゲームソフトには大まかに分けて2種類があります。

 一つ目は、お店で買えるディスク等の形をした「パッケージソフト」。
 二つ目は、ゲーム機をインターネットに繋いでデータだけを購入する「ダウンロードソフト」。



 コンシューマー機以外のゲームも考えると……PCや携帯電話をインターネットに繋いでデータをやり取りするブラウザゲーム等も「ダウンロードソフト」と考えることも出来ますね。一時的にデータをダウンロードして遊ぶワケですから。
 要は「データが入ったディスク(等)」なのか、「データだけ」なのかという違い。



 「パッケージソフト」と「ダウンロードソフト」の今後については、自分はもう以前に結論を出しています。
 「パッケージソフト」には「パッケージソフト」にしかない良さがあって。
 「ダウンロードソフト」には「ダウンロードソフト」にしかない良さがある―――これでファイナルアンサーです。


 「そんな当たり前のこと今更言ってんじゃねえよ!」と思う人もたくさんいると思いますけど、これが意外に認知されていないものなんです。
 例えば「パッケージソフト」で大成功しているソフトを指して、「これをダウンロードソフトで発売しても成功しないだろうからダウンロードソフトはダメだ!」と言う人がいるじゃないですか。
 逆に「全てのゲームはダウンロードソフトで発売されるようになってゲーム屋は消滅されるだろう」と言う人とか、「ダウンロードソフトが普及したらパッケージソフトが廃れちゃって困る!」と言う人がいるじゃないですか。


 僕はそういう意見には「ダウンロードソフトのことを何も知らんのだなぁ……」と思います。
 僕は圧倒的にダウンロードソフトの方が好きなんですけど……パッケージソフトで出ている『ゴーバケーション』をダウンロードソフト(Wiiウェア)で発売すればイイだなんて全く思いません。『ゴーバケーション』はパッケージソフトにしか出来ない、パッケージソフトの良さを活かした、パッケージソフトならではのゲームなんです。

 逆にダウンロードソフトの傑作『ラビ×ラビ』をパッケージソフトで出して成功するとも思いません。
 あれはダウンロードソフトにしか出来ない、ダウンロードソフトの良さを活かした、ダウンロードソフトならではのゲームなんです。



 ウチのブログでは散々「ダウンロードソフト面白いよ!」「ダウンロードソフトにはこんなメリットがあるんだよ!」と書いてきたので、今回はパッケージソフトの良さを書いておこうかなと思います。裏っ返すだけなんで、今までの記事を読んできた人には「同じこと言ってるんじゃ……」と思われるかも知れませんが。

(関連記事:ダウンロード専用販売のゲームは、どうして軽視されてるん?


 そーだ。本題に入る前に。
 最近は各機種で「パッケージソフト」と「ダウンロードソフト」を同じ内容&同じ時期に発売することが増えてきましたよね。消費者の選択肢が増える、という意味ではイイ試みだと思いますし、反対する理由は何もないのですが……

 ウチのブログで語っている「パッケージソフトとダウンロードソフトそれぞれの良さ」みたいな話での「ダウンロードソフト」には含みません。あれは「パッケージソフト」として作っているものを「ダウンロード」でも出しているだけなので、「ダウンロードソフトならではの良さ」とはちょっと意味が違っちゃいますんで。


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 ここからパッケージソフトの利点を考えます。


1.ユーザーが多い
 すっげえ当たり前なことを偉そうに語りますですけど。

 例えばWiiで考えます。数字はちょっと前の区切りイイ数字で。
 Wii本体が1000万台売れました。この時ユーザーというのは“1000万世帯”になりますよね。所有者が死んじゃうとかゴミの日に出しちゃうとかのケースもありますが……押入れにしまってあったとしても「ハードを持っている」=「ソフトを買えば遊べる」ワケですから、1000万台売れたということはユーザーが1000万世帯になるというのが基本の考え方。

 んで、その内「Wiiをインターネットに繋いでいる人」は40%だとします。
 そうするとWiiウェアやバーチャルコンソールを購入できるユーザーは400万世帯ですよね。つまり、「ダウンロードソフト」を買える人は、「パッケージソフト」を遊べる人より必ず少なくなるんです。


 もちろんこれはWiiに限った話ではありません。
 ゲーム機のインターネット接続率が100%を超えることはありえないんです。PS Vitaが3G搭載になりましたけど、3Gを搭載しないバージョンとの併売ですし、「100%ネットに繋がるゲーム機」というのは存在しません。携帯電話を除けば―――ということでソーシャルゲームとかの話になりそうですが、今日の話には関係ないのでスルーします。


 加えて、「ゲーム機をインターネットに繋いでいる」けど、ダウンロードソフトは買わないって人も沢山いますしね。ダウンロードソフトへの偏見とか、データだけのソフトにデータのお金をやり取りすることへの抵抗とかもありますし。現状はもっともっと「ダウンロードソフトを購入するユーザーの割合」は少ないんじゃないかと思います。



2.たくさん売れる(可能性がある)から、たくさんお金をかけられる
 ダウンロードソフトは開発規模が小さいアイディア勝負のソフトが活きる市場だ、みたいなことをウチのブログでは書いてきましたけど。それを裏っ返すと、「開発規模の大きなソフトはパッケージソフトでこそ活きる」とも言えるんですよね。

 それは、1番で述べた「ユーザーの数」ゆえに。
 「1000万人の市場」と「400万人の市場」を比べると、そりゃ「1000万人の市場」の方がたくさん商品が売れるだろうって思いますし。『ドラゴンクエスト』とか『ファイナルファンタジー』のように、とにかく「たくさん売りたい!」ってソフトはパッケージソフトを選びますよ。既に知名度のあるソフトにはダウンロード専売にするメリットなんてありませんから。


 んで、「たくさん売れる」という見込みがあればあるほど、予算もたくさんかけられますから、「豪華で」「ボリュームも大きくて」「盛り沢山」なゲームを作ることが可能になります。
 『ゴーバケーション』はパッケージソフトでなければならない、みたいなことを記事の冒頭に書きましたけど、それがこの理由です。ダウンロードソフトだったらあんな「何でもかんでも詰め込みました」みたいな予算はかけられないですよ(Wiiの場合はソフトの容量という問題もありますけど)。



 「ダウンロードソフトには碌なゲームがないじゃないか!」という意見を僕なんかはしょっちゅう頂くんですけど、それは確かにそう思う人もいて当然で。ゲームに「豪華さ」とか「盛り沢山さ」を求める人にとっては、(パッケージソフトに比べて)ダウンロードソフトは味気ないだろうって思います。要は何をゲームに求めるのか、という話。

 なので、「豪華さ」とか「盛り沢山さ」を活かしたジャンルのゲームはパッケージソフトの方が強いですし、そういうジャンルのゲームが人気な限りパッケージソフトの市場は消えませんし。
 逆に言うと……企画段階で「たくさん売れそう!」なゲームはダウンロードソフトではなくパッケージソフトで発売されるのですから、ダウンロードソフトの市場がパッケージソフトの市場を追い越すという未来は、普通に考えて確率は相当低いんじゃないかなと思いますよ。




3.コレクターアイテムとしての価値がある
 僕からすると「データだけ買う」のも「データが入っているディスクを買う」のも大した差はないと思うんですけど(笑)、「やっぱりディスクという形のあるものがないと不安なんだ!」という理由でパッケージソフトのみを買う人はたくさんいますよね。

 それと。パッケージソフトというのは別にディスクだけで構成されているのではなく。
 ケースだったり、取り扱い説明書だったり、それらのデザインなんかも重要なんですよね。
 棚にゲームソフトのケースを並べていくワクワク感って、子どもの頃には間違いなくありましたもんね。これが無数の積みゲーになっていくと「置き場所がない!」ってなるんですけど(笑)。


 マリオ


 写真は3DS『スーパーマリオ3Dランド』のケースの中。
 ケースに穴を開けて中の絵が見れるとか、こんな風にケースに遊び心をしかけて「持っていたい」と思わせる仕掛けが用意されている―――とか。


 もっとシンプルな話で、ゲームソフトに特典物として「本」とか「CD」とか「フィギュア」とかを付けるケースもありますよね。
 「コレクターアイテム」としての意味合いを強めようとパッケージソフトにしか出来ないことをやろうとしている。僕自身としては「置き場所がない!」理由から、あんまり好きな方法ではないですけど。




4.ゲーム屋さんに置いてもらえることが宣伝になる
 これに関してはダウンロードソフトの方も改善されつつあるので、正直「パッケージソフトだけの利点」と言えなくなっていくとは思うんですけど……ゲーム屋さんの店頭に置いてもらえるとか、そのゲーム屋さんが広告を出してくれるとか、ゲーム屋さんが商品を売るために必死になって宣伝してくれるというのはあると思います。


 僕が子どもの頃はもっとゲーム専門店がありましたし、景気も良かったですから、そうしたお店のチラシなんかも新聞に折り込まれていて、それを眺めて「こんなソフトがあるのか!」と存在を知ったソフトもたくさんありました。『ファイナルファンタジー』シリーズを最初に知ったのはチラシでした、確か。




5.笑う人がいれば悲しむ人もいるという話
 メーカー視点で考えると、「小売に売っちゃったらどんなに評判が悪くても返品はされないもんね」的な“売り逃げ”が出来るのはパッケージソフトならではでありますよね。「こっちのソフトをこれだけ入荷したかったら、こっちのソフトも入荷してね」みたいなことを言われる……みたいな噂もしょっちゅう聞きます。

 メーカーからすると「小売を介するパッケージソフト」のメリットがあって、小売の権力が強いアメリカと違って日本ではダウンロードソフトが盛り上がらない理由としてよく聞きます。メーカーが笑って小売が泣く話。



 その結果として、売れなかったソフトが値崩れして売られることがパッケージソフトではしょっちゅうあります。小売にとっては悲しい事態ですが、ユーザーからすると「思わぬ掘り出し物」に出会うこともあったりします。僕も『安藤ケンサク』をこれで買いましたしね。ユーザーが笑って小売が泣く話。



 じゃあゲーム屋さんはどうやって生き延びればイイんだよ!ってところで。
 パッケージソフトを語る上では欠かせない「中古市場」の存在が出てきます。中古売買で得られる利益はメーカーに1円もいかないので、小売が笑ってメーカーが泣く話。



 どの視点でモノを考えるかによるんですけど、僕自身は現在のパッケージソフトのビジネスは「三者三様」にそれぞれ得と損をし合っているバランスだと考えています。例えばメーカーの不利な「中古市場」の部分だけを取り上げて「パッケージソフトはダメだ!」と非難するのは、メーカーにとって有利な部分から目をそらした偏った意見だろうと思うのです。


 まぁ……ユーザーだけは「損」をしていない気もしますけど(笑)。


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 ということで……
 ざっくり言ってしまえば、「たくさんお金をかけた豪華なゲーム」はパッケージソフトの方が向いているということですね。1行で済んでしまったわ。何が“豪華”かはそれぞれのソフトで違っていて、内容を豪華にするとか、グラフィックを豪華にするとか、フィギュアなどの特典物を豪華にするとか、様々ですけど……


 たくさんお金をかけて作られた「ビッグバジェット」な商品はパッケージソフト向きで、
 「低予算」なので豪華さはない商品はダウンロードソフト向き。




 この話はゲームに限った話ではないと思っています。
 ゲームほど巨大なお金がかかっているワケじゃないですが、出版業界の「紙の本」と「電子書籍」の関係もそうだと思います。従来の「紙の本」が全て「電子書籍」に切り替わるなんて話はちゃんちゃらおかしいと思いますし、「紙の本」で成功していたものを「電子書籍」に移行させても成功するとは思いません。

 「ダウンロードソフト」や「電子書籍」は、従来のビジネスモデルでは出来なかったものにこそ向いているので、従来のビジネスモデルの成功例で考えられても「頭が固いなぁ……」と思うだけです。


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 蛇足。
 全く話が変わりますけど……「ダウンロードソフト」という言葉には「違法ダウンロード」みたいないかがわしいイメージを持っちゃっている人もいると思うんで、何か別の言葉に言い換えられないかなぁと思案中。僕が思案したところでオフィシャルが変わらなきゃアレなんですけど(笑)、言葉のイメージがあまり良くないなぁと。

| ゲーム雑記 | 17:55 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

アーケードにはアーケードの良さがありましたが、コンシューマーに駆逐されてしまいましたよ
中身の良し悪しにかかわらず、商売の都合で切り捨てられてしまうのでは…。

| ああああ | 2011/11/23 10:54 | URL |

>3.コレクターアイテムとしての価値がある
昔、TAKERUっていうのがあって、DLしたソフトに、
あとから箱と説明書を郵送してくれたりしたなぁ。
焼いたフロッピーが、一気にオシャレな製品版にはや代わり。

今のDLゲームにも、そういう、物理的な物欲も満たしてくれるサービスがあればいいのに。

|   | 2011/11/24 22:56 | URL |

>ああああさん

 煽る目的ではなくて、純粋に「自分とは違う意見」を質問したいんですけど。

 「アーケードゲームの良さ」って何でしょう?
 僕自身はアーケードゲームに全くハマれなかったんですけど、それは「ちょっと待てば家庭用ゲーム機で移植版が出るじゃん」と思っていたからです。僕には「アーケードゲームにしかない良さ」は何も感じられなかったんです。

 んで、まぁ……なので、別々のものが作られている「パッケージソフト」と「ダウンロードソフト」の話に対して例として出すのは、(アーケードゲームにしかない良さが分からない自分にとっては)ちょっと別の話じゃないかなーと思うのです。

| やまなしレイ(管理人) | 2011/11/26 18:28 | URL | ≫ EDIT

500万近く売上げた初期マリオもテトリスも少しの容量ですむだろうし
山内前社長も「軽薄短小でも楽しいアイデアは楽しい」と言ってるし
モバゲも大人気だし
あんな気軽なアングリーバードが世界中で一億ダウンロードなんだし
サザエさんやちびまる子だって軽薄短小だけど、気軽にテレビで見られることによって国民的コンテンツになりえたわけだし

まあつまりインフラ整備如何によってはわざわざ店頭へ行かずとも手に入れられる気軽なダウンロードシステムこそが
国民的人気を得る可能性もあるんじゃないかなあと。


ダウンロードシステムってテレビに似てますよ
テレビのようにどれだけ一般人に対して敷居を低く出来るか
口をあけるだけで食べさせてもらえる老人にも優しいシステムに出来るかが勝負

| イケメン動物を育てよう♪~擬人化カレシ~無料 | 2011/11/26 20:11 | URL |

アーケードゲームの良さと言われて思いつくのは

家庭用にはない最新ハードでゲームができる
(これはプレステ、サターンの頃にほぼ消滅した利点)

特殊な筐体、コントローラーでプレイできる

1回いくらというプレイ環境で家庭用とは違う気持ちで楽しめる
(映画を家で見るときは早送りとかしてしまうが、映画館で見ると、ただ見てるだけしかできないので感覚が異なるみたいな感じ
昔、とある監督の作品を映画館で見なければまったく面白くないとのエッセイがあったが、理由が早送りの有無だった
ただ、これは人にアピールしにくい利点)

ぐらいかなあ

後、この話にアーケードゲーム持ち出すのは別に的外れじゃないと思います
アーケードは、専用筐体を置いてプレイ権を1回いくらで売るゲームの販売形態という見方もできますので
現在の初期無料で後から金を足していく課金ゲームに通じる部分がある形態とも言える。
コンシューマーと比較すると、課金ゲームは内容のバラ売りで、アーケードはプレイ権のバラ売りと言えます。
(一緒にするなとすごく怒られそうな考えだ・・)
この販売形態はハードもってない人にもゲームをさせることができるという点が一番特殊ですね

それに物自体も専用筐体や特殊システム使った代物と単一企画で提供される家庭用とは別物でしょう
(確かに今じゃほぼ差はなくなってしまいましたが)
ダウンロード販売からパッケージへの移籍というのもあるから移植の有無で違いがないというのはおかしな話ですし

| ml3 | 2011/12/04 02:56 | URL |















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