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すごいからこそ「観るのがつらい」作品

 現在放送中の深夜アニメに『Another』という作品があります(公式サイト)。
 原作は綾辻行人さんのミステリー&ホラー小説で、アニメーション制作は『花咲くいろは』のP.A.WORKS、キャラクターデザイン原案は『涼宮ハルヒ』シリーズのいとうのいぢさんが担当されています。


 『花咲くいろは』は温泉町を舞台にした美麗な背景が特徴の作品でしたが、その高度な絵作り能力をこの作品では「何だか不気味」に感じるように注ぎ込まれているため―――
 ただ学校内で喋っているだけのシーンでも、「何だか不気味」「何だか不吉」「何だか不快」に見えてしまいますし、実際に悲惨な出来事がどんどん起こっています。いとうのいぢさん原案の美少年・美少女キャラクター達がどんどん悲惨なことになっていくので、今後は更に目を背けたくなるシーンが続きそうです。

 画面の色味とか、音楽とかも、観ていて「不気味」に感じるようになっているんですよね。


 これ、作品としては「ものすごくよく出来ている」ということなんです。
 ホラーアニメなんだから視聴者が「観るのがつらい」ように目指して作られていて、実際に観ている私が「観るのがつらい」と思いながら観ているワケですから。すごい作品だし、素晴らしい出来なんだと思います。



 でも、「観るのがつらい」すぎて「脱落したい」くらいになってきました。
 「好きな作品」と「面白い作品」と「素晴らしい作品」は別という自分基準で言いますと、この作品は前述した通り「素晴らしい作品」だと思います。そして、「面白い作品」だとも思います。観ている最中は、続きが気になってどんどん引きこまれていきますし。


 でも、視聴が憂鬱なんですよ。ホラーとして「よく出来過ぎている」から。
 HDDレコーダーに保存したまま、「再生」するのを躊躇って躊躇って、「よし!今日は気分がいいから『Another』観ても大丈夫だぞ!」というくらいの日にしか視聴できないほどに。


 「『Another』アニメを誉めたいのかDisりたいのかどっちだよ?」と言われても、どっちだかよく分かりません。クオリティ高いんだよ!だからこそ視聴がつらいんだよ!でも、毎週観てるんだよ!私自身、「この作品が好きな作品なのかどうか」がまだ分かっていないんです。





 ホラーに限らず、「直視するのがつらい」ジャンルってありますよね。
 鬱アニメ全盛期の頃も同じような人は多かったんじゃないかと思います。『舞-HiME』とかだって、1クール目でキャラの人気の足場を築いて、2クール目でそのキャラ同士で殺し合ったワケですからね。当時「観るのがつらい」と脱落した人はいたでしょう。最終回についてはノーコメントだ!


 映画だったらもっとこういうジャンルは多いですよね。
 ホラーやスプラッターは言うまでもなく、「みんなが知らなかった現実の悲惨さを暴く」みたいなドキュメンタリー映画は観終わってもドーンと気分が沈んじゃったりしますもの。




 ということで、ここで以前の記事に話が繋がるのです。
 “「評論家の意見」があんまり信用されなくなった”という話に。


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 さっきも書きましたけど、私の中の「評価軸」は「好きかどうか」「面白いかどうか」「素晴らしいかどうか」の3つがあります。
 この数は人によって異なるでしょうけど、一人の人間の「評価軸」は一つではない、というのはみんなに当てはまることだと思いますし、ついつい忘れてしまいがちな事象だと思っています。誉めている人が必ずしもそれを好きなワケではないし、貶している人が必ずしもそれを嫌いなワケではないのです。


・好きな作品←→嫌いな作品
・面白い作品←→つまらない作品
・素晴らしい作品←→ダメダメな作品


 評論家の人達は「素晴らしい作品かどうか」で語ります。
 何千人・何万人もの読者がその評論を読むのだから、個人的な好みを排除して、客観的な評価を下して――― 一般化できるようにしているのです。
 友達にオススメのゲームを聞かれればソイツの嗜好も分かっているから、「んー、オマエはアクションゲームよりも作業が蓄積されてそれが残るゲームが好きだからファミリーフィッシングをオススメ!」と答えられるケースとは違うのです。大勢の人に向けて書くというのは本来そういうことなんです。



 でも、私達が重視するのって「好きな作品かどうか」ですよね。
 出来が悪くたって好きな作品はいっぱいあります。「何でか知らんけど好き」としか言えない作品がいっぱいあります。ヒロインの女のコが自分の超好みだったとか、主人公の境遇がたまたま自分に近かったとか、作品で描いているメッセージに心を打たれたとか、姉妹がイチャイチャしているから最高だとか。


 すっげえパーソナルな理由で「好きな作品」って決まるじゃないですか。

 「素晴らしい作品ではない」という意味ではないですけど、自分がアニメ版『とある科学の超電磁砲』を「生涯TOP3くらいに好きな作品」と言っているのは、当時漫画原稿を持込みしてケチョンケチョンにダメ出しされて落ち込んで帰ってきた直後にAIMバースト戦で「もう一度やり直せばいいじゃない」と言われたからって理由が大きいです。

 そんな超超超個人的な理由なんか“評論”に書いても誰の同意も得られないから書けませんけど、でも「好きになる」ってそういうことじゃないですか。たまたまそうなっちゃったんだもん、それ以上の説明が出来ないんです。




 だから、評論家の人達の能力がなくなったとか、買収されてんじゃないかとか、そんな次元の話以前に―――人は必ずしも「素晴らしい作品」を好きになるワケではないんだよ、というだけの話だと思うんです。そこを誤解していると、「この評論家が絶賛している映画は全然好きになれなかったし面白くなかった」「この評論家のことは信用できない」と間違えてしまいがちになるんです。


 インターネットのレビューサイトがどの分野でも流行ったというのは、「一握りの評論家の“素晴らしい作品かどうか”」よりも「無数の素人の“好きかどうか”」の方が参考になるという話で―――自分の好みにあっているレビュアーさんを見つけて、その人が誉めているものを追いかける方が「好きな作品」に出会えたってことだったんだと思います。

 その人を見つけるまでに莫大な時間がかかるので“自分に詳しい分野”じゃないとその手は使えないとか、だからこそステマが問題なんだって話は以前に書いたんでそちらを読んでくださいな。



 あ、そうそう。
 この手の話を書くと誤解する人が出てくるんで、予め書いておきますけど……3つの評価があるからと言って、それが重ならないワケではありませんよ。「素晴らしくて好きな作品」も「素晴らしくて面白い作品」もありますよ。
 そして、「好きになれるかどうか」に「素晴らしいかどうか」が完全に無関係とも思いません。ある程度のクオリティがなければ心を動かせる相手も限られてしまいますもの。たくさんの人に「好きになってもらう」には、それなりの「素晴らしさ」が必要。



 何だかんだ、『Another』をここで切るのは勿体ないな……と思っているのは、クオリティの高さゆえですし。最終話まで観たら「あー面白かった、観て良かった、大好き!」ってなるかも知れませんし。クオリティが低かったら「好きになるかどうか」の土俵すら立てませんからね。


 さて……『Another』どうしようかな……
 何か、ここで観るのを辞めたらすっごい後ろ髪を引かれるというか、呪われるような気がするんですよ。でも、最後まで観てもそれはそれで呪われるような気もするという(笑)。


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| アニメ雑記 | 17:50 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

気持ち良い作品が好きですね
評論家は頭が良いから練りこまれた伏線も設定もしっかり活かすような知的で技術力の高い作品が気持ち良いと感じるんじゃないかと思いますけど…あんま自信ないけど
このマンガがすごい!で紹介されるのとか

| ああああ | 2012/03/14 00:16 | URL |

>ああああさん

>練りこまれた伏線も設定もしっかり活かすような知的で技術力の高い作品が気持ち良いと感じるんじゃないかと思いますけど…

 なるほど。これは確かにありそうですね。
 「頭が良い」というよりかは、たくさんのものを見ているとそういう部分に気持ちよさを感じるようになるのかも知れませんね。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/14 21:55 | URL | ≫ EDIT















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