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電子書籍の漫画でエロは描けるのか

 日経新聞が飛ばし記事を出した日本版キンドルはその後どうなったのでしょう……
 「4月にも日本発売」と書かれていますけど、そろそろ4月ですよ。

 何年も前から「日本でも間もなく始まる」とか言われてこの調子なので、もはや『ドラクエ』の発売予定日並みに信用できない日本版キンドルですが。今年の目標を「電子書籍を出す」ことにしている身としては、日本版キンドルが始まるのか、始まった場合は自費出版が可能なのかは無視できない話題です。


 もし始まらなかったらiPadでも買ってApp Storeで出すというのが現実的なのかなぁ。
 iPadって日本でどれくらい売れているんでしょうね……App StoreならiPhoneでも読めるだろうけど、iPhoneのサイズで漫画を読むとなるとそれ専用に作らないと厳しそうですし。うーむ、やっぱりWii U辺りが電子書籍対応してくれませんかねぇ。



 さてと、そんな話はさておき。
 “電子書籍”は今までの“紙の本”のように好きなものを描けるのか、という問題があります。

 日本の漫画は基本的に“日本国内”に特化して独自に進化をしてきた媒体です。言ってしまえばガラパゴス状態でした。(ある程度の自主規制はあるとは言え)血も暴力もセックスも全年齢対象の表現として売り出されてきたのですが、それはやっぱり特別なことですよね。

 アップルもAmazonもアメリカの会社ですから、“日本国外”の基準で判断されるワケです。
 選別された作品のみが海外で展開されていた“紙の本”だって、日本漫画における「ちょっとえっちなシーン」が海外では「児童ポルノ」と認定されることもあって。世界中どこでも買える電子書籍で、誰でも自費出版できるサービスが始まったら、真っ先に問題になるのはそういうところだと思います。

 ラジオで聴いた話なのでソースとしてはアレなんですけど、iPad用にグラビアアイドルの水着写真集を作って販売しようとしたところ、販売開始してから「児童ポルノ」認定をされて一方的に配信停止になってしまった―――みたいな話も聴いたことがあります。



 アメリカの映画やゲームは日本より過激じゃないか!と思わなくもないのですが、あちらの映画やゲームは厳密なレーティング制度があるので、「表現は自由」「観るのは年齢制限があるよ」という一応の構図にはなっているということなんでしょう。そのレーティングが妥当かどうかは置いといて。




 と、なると……もし電子書籍で漫画を自費出版する際には、「どこまでがOKか」のラインで日本の漫画家さん達は苦労しそうですよね。
 自分の作品でも、『Shine』はストーリー上仕方なく9歳の女のコの裸が出てくるので、もしこれをキンドルなりApp Storeで発売しようとしたら「児童ポルノ」認定されてしまうのかなと。
 日本人の感覚で言うとアレを読んで「うっひょー!エッロイぞー!オナニーしちゃうぞー!」と思う人はいないと思うんですけど、海外の感覚ではアレがポルノになる可能性も十分にあります。年齢制限くらいはあっても仕方ないと思いますけど、発売すら出来ないのは辛いなぁと。







 と思って、App Storeのブックの欄を見てみたら「エロ」とか「エッチ」とか「セックス」とタイトルに付いている本がいっぱいあるじゃねえか!!

 実際にどのくらいのエロさなのかは分かりませんが、年齢制限があることでむしろそういう際どい本が出ているような気も。心配は杞憂だったのか(笑)。




 でも、これは現状の状況であって今後はどうなるかは分かりません。
 表現規制・表現制限の一番のポイントは「判断する組織が一つであってはならない」ということだと自分は思っています。それがアップルだろうがAmazonだろうが、一つの巨大な企業が「これはOK!」「これはOUT!」と判断して全ての作品がそれに従わないとならないのならば、今はOKでも後にOUTになってどんどん厳しくなってしまう可能性があります。

 東京都の条例で痛感したのも、そこですよね。
 東京都の判断一つで「日本ではもうその本が出版できなくなってしまう」から問題だったんです。現に「近親相姦を肯定的に描いた作品は18歳未満は読めない」という単一の価値観で縛られることになってしまいました。

(関連記事:石原慎太郎の「エロ漫画」という言葉に僕達は騙された



 なので、「電子書籍でエロは描けるか」とか「アメリカの企業はエロに厳しいのでは」とかは表面上の話でしかなくて、本当のポイントは「判断する組織(価値基準)を複数持てるのか」ということなのかなと思っています。

 例えば日本の企業が日本向けに日本人の価値観にあった電子書籍のサービスを始めておけば、アップルやAmazonが「OUT!」宣告をした作品でもそちらに出せるという逃げ道になりますし、アップルやAmazonに対抗したい日本の企業はそういう差別化で生き残っていくべきじゃないかなと思います。「ウチはエロに寛容ですよ!」と(笑)。


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| 漫画読み雑記 | 17:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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