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俺達はあと何回世界を救えばイイんだ……あと何回ッ!

 一部の皆様に好評の「ウチの母のゲーム事情」について書きます。

 ゲームをほとんどやったことがなかった母が『脳トレ』でゲームを始めたのが2006年、『どうぶつの森』『Wii Sports』『Wii Fit』などを経て、2009年の年末に『ドラゴンクエスト9』にて初めてRPGにハマりました。それまで敵の出てくるゲームを敬遠していた母が「自分にも楽しめるこんなゲームがあるんだ!」とカルチャーショックを受けたのです。

 その後、DS版の『ドラクエ4』『5』『6』、『ポケモンダイヤ』、バーチャルコンソールで『マリオRPG』、『二ノ国』、『ルーンファクトリー3』といったRPGを次々とプレイして、2011年の秋にはWiiに移植された『ドラゴンクエスト1・2・3』も立て続けにクリアしていきました。



 そして、母は言いました。





 「飽きた」と。


 「もう当分は敵の出てくるゲームはしたくない」と、その後は『ゴーバケーション』『ファミリーフィッシング』『牧場物語』と「敵の出てこないゲーム」に戻っていきました。
 スクウェアエニックスがWiiで『ドラクエ1・2・3』を出したのは、最も本腰入れて売っていきたい『ドラゴンクエスト10』に向けて「ドラクエ新作が売れる土壌」を築きたかったんだと思うのですが。我が家の母の場合は逆効果で、「こんなにたくさんRPGやったからもうやりたくないわー」となってしまった模様です。



 この話がピンと来ない人もたくさんいると思います。
 ですが、自分は同じようなことを思っていたのですごくよく分かるのです。私は「好きだったゲームの続編は楽しめない」し、「同じようなジャンルのゲームを連続で遊びたいとは思わない」んです。RPGをプレイしたら、もう数年はRPGはプレイしたくないわーって思ってしまうんです。


 これは、「ゲームは何故面白いのか」という根源的な話に関わってくる話です。
 ゲームの面白さの一つに、「成長していく」感覚を手軽に味わえるというところがあります。

 『スーパーマリオ』で昨日クリアできなかった面を今日はクリア出来た、とか。シューティングゲームで今まで出せなかったスコアをたたき出せた―――みたいな「プレイヤーの成長」もあれば、

 『ドラゴンクエスト』のようなRPGだと、キャラクターのレベルがどんどん上がって、武器もどんどん強くなって、昨日まで苦戦していた相手にも楽に勝てるようなった、とか。『ゼルダの伝説』のように最初はアイテムが少ないので行けるエリアが狭いんだけど、ゲームを進めるとアイテムが増えることでどんどん世界が広がっていく―――みたいな「キャラクターの成長」もあります。

(関連記事:RPGにレベルアップ制度は必要ですか?


 スポーツだって絵描きだって楽器だってそう、勉強だってそうです。
 「昨日は出来なかったことが今日は出来るようになった」のはそれだけで楽しいんです。

 ゲームという娯楽はそれを見せることに特化した娯楽とも言えます。
 その意味では、『マリオ』と『脳トレ』は変わりませんし、『ドラクエ』と『どうぶつの森』も変わらないんです。




 『ドラゴンクエスト』のようなRPGは、最初はスライムに手こずるような主人公がどんどん強くなって、数十時間後には世界を救うところまでたどり着くゲームです。この「成長した」感は凄まじいですし、「達成した」感は半端ないです。自分のような人間にも世界は救えるんだ!と思わせてくれるのですから。


 このやり方が間違っているとは私は言いません。
 これはこれで極上のエンターテイメントだと言えます。



 しかし、こういうゲームを何本も何本も何本もやっていると、ふと思うことがあるんです。
 「またレベル1から始めなきゃならないのか……」と。

 『ドラゴンクエスト』ではスライムに苦戦するところから始まって、『ゼルダの伝説』では全部のアイテムを失ってハート3つのところから始まるんです。「あー、あそこの壁は爆弾で壊せるけどまだ爆弾持っていないやー」というところから始まるんです。ついこないだまでやっていたゲームでは、世界を救う戦いをしていたというのに!


 「成長する」のは楽しいけど、「また1からやり直し」はしんどくなってしまう瞬間が来るんです。
 『Newマリオ』や『テトリスDS』のように「昔のゲームのリバイバル」が大ヒットした背景には、昔にうんと上手くなったから「最初から上手くなった状態で楽しめる」という理由で買った人もいたでしょう。

 「また1から成長するのは面倒臭いな」という人。
 アクションゲームなどの場合はプレイヤー自身に腕があれば、最初から「強くてニューゲーム」状態で始められますからね。




 あと……これは娯楽作品全般に言えることですけど。
 例えば、アニメの『ガンダム』って新作が作られるたびに戦争が始まるんですよ。

 1作目の『ガンダム』のキャラクター達は戦争に巻き込まれて、戦争を憎み、戦争を終わらせるために戦っていったというのに。『ガンダム』がヒットして続編を作らなければならなくなったら、また戦争を始めなきゃならないんです。監督の気持ちを考えると、その矛盾って大変なものがあったんだろうなと思うのです。


 ゲームもそうで。
 「自分の手で世界を救う」体験が出来るRPGを始めると、ゲームの序盤は世界が大変な目にあっているところから始まるんですよ。何度も何度も何度も世界を救う戦いをやっていると、「俺がゲームを始めなきゃ世界は最初から救われているんじゃ……」と思ってしまう瞬間が来るのです。


 壮大で勇ましい「世界を救うゲーム」ばかりを遊んでいると疲れてしまう。
 だから、『ゴーバケーション』とか『ファミリーフィッシング』とか『牧場物語』みたいに、自由気ままに遊べるゲームやゆったりと自分のやりたいことが出来るゲームを母が望んだというのはすごく分かる話だなと思うのです。




 まー、あまりにリゾートっぽいゲームを続けると、今度は「ハッ!世界を救いたくなってきた!」と再び目覚めるんだと思うのですが(笑)。
 いわゆる「ゲームらしいゲーム」という言葉に皆さんが思う印象は、多分「(プレイヤーもしくはキャラクターが)成長していくゲーム」とか「壮大なストーリーのあるゲーム」というもので。「ゲームらしくないゲーム」に思う印象は「成長しないゲーム」「ストーリーもないゲーム」というものじゃないかと思います。


 「ゲームらしいゲームが売れない」みたいな話って、
 こういうのに疲れちゃった人・忙しくて出来なくなっちゃった人が多いってことじゃないかなと思うのです。『ドラクエ』だけは相変わらず売れるってのは、むしろ数年に1本のペースがいい具合に「そろそろ世界を救いたくなってきたな」というペースに合っているからなんじゃないのかなって思います。


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| ゲーム雑記 | 17:50 | comments:14 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

PS2・GBA時代にスーパーロボット大戦シリーズを遊んでたときに感じましたね。
[またνガンダムを改造しなければ
てか前に改造したのに・・・]
そのままこのシリーズ卒業しました。

| KG | 2012/03/19 18:26 | URL |

>KGさん

>またνガンダムを改造しなければ てか前に改造したのに・・・

 これはありますね(笑)。
 連続でプレイしていると「またフォウ洗脳されてんのかよ!」みたいに、お約束がマンネリになっちゃうとか。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/19 19:32 | URL | ≫ EDIT

確かにRPGばかりを遊んでると流石に飽きますな。
大抵はRPG→アクション→シミュレーション→アクションパズル→RPGとかみたいにローテーションで遊ぶ事が多い。

| 通りすがり | 2012/03/20 02:05 | URL |

ゲームを語る人間って殆どが、この話見てピンと来ない人なんだと思います
ゲーマーとは、飽きずに何度も世界救える人間のことなんですから

そして作品のタイプその物に飽きられるから、1ジャンルにつき1,2本程度しか大きく売れるのがないんでしょうね
同じような物何度もやっても仕方ないから

| ml3 | 2012/03/20 06:18 | URL |

>通りすがりさん

>大抵はRPG→アクション→シミュレーション→アクションパズル→RPGとかみたいにローテーションで遊ぶ事が多い。

 私も基本的にはそうですね。
 ただそれは「好きなジャンル(出来るジャンル)が多い」から出来るんで、このジャンル以外に出来ませんって人は使えない手なんですよね。そしてRPGというのはアクションやシューティングが出来ない人でも楽しめることで爆発的に普及したジャンルなので……


>ml3さん
>ゲーマーとは、飽きずに何度も世界救える人間のことなんですから

 より正確に言うと「まだ飽きていない人」ってとこですかね。
 ウチの母がそうだったように、途端にポンとスイッチが切れちゃうことがありますからねぇ。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/20 19:12 | URL | ≫ EDIT

バットマンの話みたいですね
バットマンが颯爽と格好良く敵をぶちのめすから、より目立ってやろうと過激な犯罪者が増えるという

| ああああ | 2012/03/21 17:44 | URL |

>ああああさん

>バットマンが颯爽と格好良く敵をぶちのめすから、より目立ってやろうと過激な犯罪者が増えるという

 カタルシスを大きくするために、如何に「悪い敵」を考えるか―――と考えている作者が一番悪いヤツなんじゃないのか、とか漫画を読んでいても思うことはありますね(笑)

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/21 20:14 | URL | ≫ EDIT

>作者が一番悪いヤツなんじゃないのか
正にアメコミの世界にはそういうことを言っちゃうキャラクターが結構いるんです
コマをぶち破って「ヘイ! そこのお前! 俺達が困ってるとこを観るのがそんなに楽しいかい!? とんだサディストだぜ! HAHAHA! ……作者はもっとサディストだけどな」なんてメタギャグをかまして来たりしてw

| ああああ | 2012/03/22 19:59 | URL |

コメントの
>より正確にいうと「まだ飽きていない人」
に少し違和感があります。
同じものを繰り返し体験することで飽きるというのはわかるのですが
何と何を同じものと感じるかは人によって違うと思うのです。
飽きずに世界を救える人は「世界を救うゲーム」という括りで見ていないのではないでしょうか。

| ヤマネ | 2012/03/27 03:50 | URL | ≫ EDIT

>ヤマネさん

>飽きずに世界を救える人は「世界を救うゲーム」という括りで見ていないのではないでしょうか。

 「世界を救うゲーム」というのは文脈の流れの中の喩えです。
 「1から100まで進めるのに飽きてしまう」みたいなイメージですかね。

 当然「死ぬまで飽きない」人もいるでしょうが、現時点では飽きていない人もポンと飽きてしまうことがありますよって話です。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/27 19:33 | URL | ≫ EDIT

単純に同じジャンルのゲームを立て続けにプレイしていたから飽きたのではないかと僕は思います。
僕はRPGが大好きで1からやる苦痛は感じませんが、さすがに9作プレイしたら一旦飽きます。他の景色が見たくなって、他の景色に満足したらまた元に戻って・・・を繰り返すと思います。
逆にお母様がこれからほのぼの系のゲームを9作プレイしたら、ほのぼの系には飽きるのではないでしょうか。

| 樺 | 2012/03/27 20:55 | URL |

>樺さん

>逆にお母様がこれからほのぼの系のゲームを9作プレイしたら、ほのぼの系には飽きるのではないでしょうか。

 ですね。私もそう思いますし、この記事はそういう主旨の記事です。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/28 19:50 | URL | ≫ EDIT

え、それはほのぼのゲームを9作やって飽きた時も同様に飽きた原因が何かを考察でき、今回の記事では特にRPGについて飽きる理由を考察した、という意図で言っていますか?それならば意図が違いますが

| 樺 | 2012/03/29 02:47 | URL |

>樺さん

>それならば意図が違いますが

 そうですか。すみません。私はそういうことを仰っているのだと誤解していました。
 この記事で言っていることは仰る通りです。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/03/29 19:26 | URL | ≫ EDIT















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