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「タバコを吸うシーン」にはどんな意味があるのか

 先々週の『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(@TBSラジオ)の特集コーナー「FOOD理論」の回がすごく面白かったです。ポッドキャストで今でも聴けるんで是非。

 "なぜ、宮崎アニメの食事シーンはあんなにもグッとくるのか?"副題『FOOD理論 特別編~私の宮崎駿~』by 福田里香(前編)
 "なぜ、宮崎アニメの食事シーンはあんなにもグッとくるのか?"副題『FOOD理論 特別編~私の宮崎駿~』by 福田里香(後編)

 『エヴァンゲリオン』の旧テレビ版と新劇場版の違いを「FOOD理論」で分析しているのも面白いです。確かに『破』を観た時ビックリしましたもんね。同じキャラなのに、生活感が足されることでこんな印象が違うのか!と。




 「食べ物を食べるシーン」なんて、ストーリー上は「あってもなくても構わないシーン」と思われているかも知れませんが、わざわざそんなシーンを描いているということはそれだけで“演出の意図”があるということです。これはアニメに限った話でなく、テレビのドキュメンタリー番組でも漫画でもゲームでもそうです。
 視聴者・読者・プレイヤーはそうした演出意図を意識をして観て・読んで・遊んでいないかも知れませんが―――否、意識されていないからこそ、視聴者・読者・プレイヤーにわざとらしくなくそれを伝えることが出来るのです。


 『Shine』10ページ目

 自分も『Shine』でやってました。




 つまり、「何気ないシーン」とか「何気ない小道具」とかだって作り手の“演出意図”が込められているし、受け手がそれを意識していなくてもその“演出”が伝わっていることは多々あるということです。そういう演出こそが“優れた演出”とも言えますしね。

 ということで、今日の本題。



 「タバコを吸うシーン」には“どんな演出意図”があるのか。

 冒頭紹介したポッドキャストでもチラッと言及されていますが、「タバコ」って「食事」並に意味を込めやすい演出アイテムだと思います。
 何故なら「人間の感情は“口元”で表現されることが多い」からです。日本の絵文字なんかも、口の描写で感情を分けていますよね。

喜:(`▽´)
怒:(`△´)
哀:・゚・(ノД`;)・゚・
楽:( ̄ー ̄)


 「口を開けて食事をする」姿を視聴者や読者に見せるということは、それだけで“キャラクターの感情を視聴者や読者に見せる”ことにも繋がるし。

 「口を閉じてタバコを吸っている」姿を視聴者や読者に見せるということは、それだけで“キャラクターの感情を視聴者や読者には見せないんだよ”と伝えているということです。「見せない」ことを見せている。
 このキャラはアナタに全てを見せていませんよ、心の壁を作っていますよ、隠し事があるんですよ―――等々を伝えているんです。逆に、「ビックリしてくわえていたタバコを落っことす」シーンなんかは、隠していた感情をつい見せてしまったという演出なんですよね。


 「何かカッコイイから、このキャラクターにはタバコを吸わせよう」ってだけじゃないんですよ。
 そこには何らかの演出意図があるんですよ。
 



 「タバコを吸うシーン」なんて、ストーリー上は「あってもなくても構わないシーン」と思われているかも知れません。近年、タバコに対して厳しい目が向けられている影響で、フィクション世界での「タバコを吸うシーン」にも厳しい目が向けられています。
 アメリカでは日本以上にタバコに厳しいので、アメリカ映画でのタバコのシーンが激減しているという話もありますし、日本のアニメがアメリカに輸出される際に「タバコを吸っているキャラ」が「キャンディをなめているキャラ」に変えられたりしています。タバコの吸い方とキャンディのなめ方ってポーズが一緒だとおかしくないんですかね(笑)。



 別に私は喫煙者じゃありませんし、映画やドラマで「タバコを吸うシーン」がカッコよく描かれたことで未成年者なんかでタバコを吸い始めちゃう人が出てきちゃったのも分かります。タバコを辞められないのはともかく、この御時勢にタバコを吸い始める人がいたら「よほどのマゾなんだな」とも思います。

 でも、「タバコを吸うシーン」をフィクションで描けなくなったら、それは「演出アイテムを一つ失う」ことだとも思うんです。世の中にある作品が皆その技法を失うんです。
 表現規制というのはそういうことなんです。もしこうやって描けないものがどんどん増えたなら、作品がどんどんどんどん薄っぺらくなってしまうんじゃないかと危惧しています。





 ということで、タバコではないもので、「タバコを吸うシーン」と同じような演出効果のあるアイテムを考えてみようと思います。

・大人が口にくわえていてもおかしくないもの
・長時間なくならないもの
・それでいて健康被害の小さいもの


 キャンディでもまぁ悪くはないんですけど……
 「大の大人がキャンディをしゃぶっている」だと別の演出効果が生まれてしまうので、ベストアンサーではないと思うんです。おしゃぶりとかもそうですし、アイスキャンディの類は性的なメタファーが生まれてしまいます。
 タバコに込められているイメージは、もっと男くさく、もっと土くさく、もっと荒々しいものだと思うんです。



 ということで、私が提案する「タバコを吸うシーン」の代用品になるであろう演出アイテムはこちら!







 沖縄県産サトウキビ 約300g (2~4本)


 さとうきび!


 男くさくて、土くさくて、荒々しいイメージにぴったり!
 これからは「さとうきびをしゃぶっているキャラ」が流行るに違いない!

| ひび雑記 | 18:00 | comments:15 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

こちら! まで読んだところでスクロール止めて考えて
「スルメかな?」と思ったらこれは予想外w

まあスルメじゃあ土臭くないわな。

| ああああ | 2012/05/01 19:59 | URL |

 サトウキビですかw
 物自体もそうですが、キャンディを”なめる”,サトウキビを”しゃぶる”という動詞の名称が男臭さから外れている気がします。ドカベンみたいに口に挿すという表現が似合うものが男らしいのかな。

| Sono | 2012/05/01 21:00 | URL |

さとうきびっ!

さとうきびははょっと予想外でしたw

前にTSF(入れ替わりもの)で
ヤクザと女子中学生(だか高校生だか)が入れ替わると言う話で
タバコの変わりにキャンディをくわえるという話があったので
タバコの変わりにキャンディは以外と違和感がないのかもしれませんね~

| 直哉 | 2012/05/01 22:59 | URL |

時代劇みたく高楊枝なんてどうでしょ(笑)

| ああああ | 2012/05/02 01:46 | URL |

そういえば映画山本五十六では四六時中、飯を食ってました
しゃべらない役所広司の感情の表現だったのかな

| ああああ | 2012/05/02 09:02 | URL |

ジブリ映画でも食事シーンは必ずと言って良いほどありますね
そういう何気ないシーンはその世界の生活感など色々な事がわかるのでとても大事な演出ですね。

問題は食事シーンは見てる人も腹が減ってしまうという…

| ああああ | 2012/05/02 11:37 | URL |

>ああああさん

>「スルメかな?」と思ったらこれは予想外w

 実はこの記事を書き始める時はスルメにするつもりだったのですが、「スルメって描くの難しくね?(分かってもらえない)」と思って描きやすそうなヤツを選びましたw


>Sonoさん
>キャンディを”なめる”,サトウキビを”しゃぶる”という動詞の名称が男臭さから外れている気がします。

 男だってしゃぶることがあるんですよ!みたいなことは置いといて(笑)。
 “食事”と真反対の演出意図なので、やっぱり食事に近いものはダメなんですよね。いっそのこと針と糸で口を縫ってしまえばいいんじゃないでしょうか。


>直哉さん
>ヤクザと女子中学生(だか高校生だか)が入れ替わると言う話でタバコの変わりにキャンディをくわえるという話

 その作品を読んだことがないので推測ですけど、それはむしろ「タバコとキャンディは対極の位置にある」ってアイテムの使い方なのでは(笑)。


>ああああさん
>時代劇みたく高楊枝なんてどうでしょ(笑)

 あぁ!高楊枝はイイですね!
 楊枝は「食事の後」という意味も込められているので、「食事のシーンを見せていない」という演出にもなるかもです。


>ああああさん
>そういえば映画山本五十六では四六時中、飯を食ってました

 へぇ。面白い話ですね。
 「無口なキャラ」は視聴者がなかなか感情移入しにくいのですが、そこを食事シーンで埋めているのかも知れないです。勉強になるです。


>ああああさん
>ジブリ映画でも食事シーンは必ずと言って良いほどありますね

 この記事の話題の元となっているポッドキャストは、宮崎アニメの中での食事描写の話がメインなので興味があったら是非どうぞ。宮崎監督が食事を利用して様々な演出をしていることが分析されています。宮崎アニメを見返したくなりました(笑)。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/05/02 20:00 | URL | ≫ EDIT

 ドカベンの岩鬼というキャラクターは、確か葉っぱを加えていましたね。あれにも煙草に準ずる演出意図があったのでしょうか。
 学生なので、喫煙させたら大問題ですし(学生だからというより、高校球児だからというべきか……)

| kanata | 2012/05/03 02:29 | URL |

>kanataさん

>ドカベンの岩鬼というキャラクターは、確か葉っぱを加えていましたね。あれにも煙草に準ずる演出意図があったのでしょうか。

 ドカベンは最初の頃を読んだことがないのですけど、とりあえず自分が知っている時期以降の岩鬼は表情が豊かで感情をすぐに表に出していて、タバコキャラとは正反対の印象です(笑)。あれはどっちかというと風来坊っぽい演出ですかね。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/05/03 19:56 | URL | ≫ EDIT

日本とアメリカだったかな。顔文字表記が違うらしいですね。
日本は(^O^)
アメリカは(:□)
みたいな感じで、横向きだとか聞いたんです。
表情も、日本は目を、外国は口を重視って聞きましたが、聞き間違えかもしれません。

そうでなくても、目は口ほどに…って言いません?

| ありん | 2012/05/03 23:56 | URL |

>ありんさん

>表情も、日本は目を、外国は口を重視って聞きましたが、聞き間違えかもしれません。

 あ……自分は逆に記憶していたので顔文字の例を出しましたが、そちらが正しいっぽいです。
 漫画の場合、表情の描き分けの基本は「眉毛」と「口」ですね。「どっちも大事」だけど、それだけでは演出として飽きが来るので、タバコのような小道具が大事になってくるんです。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/05/04 19:39 | URL | ≫ EDIT

さとうきびは予想外でした(笑)

でも昔からタバコのシーンって漫画でよくみかけますよね(特に昔の漫画)
口にくわえてるタバコが上向きだったり下向きだったり、手に持ってたり
色々あって印象深かったりします。

ゆっくり廃れていくのかな・・・

| コロイネ | 2012/05/05 15:10 | URL |

>コロイネさん

>でも昔からタバコのシーンって漫画でよくみかけますよね(特に昔の漫画)

 この記事を書いた直後に見たアニメ『峰不二子という女』では、次元がタバコを吸ったり落としたりをずっと繰り返していて「何てタイミングだ!」と思いました(笑)。次元は特に目を見せないキャラなのでタバコによる演出は大事なんですよね。


 今回の話とはちょっと違う論点ですけど、「未成年者による喫煙・飲酒シーン」は漫画・アニメで激減しましたよね。90年代は結構フツーに描かれていたのに。自分はその自主規制には賛成なんですけど、世論に合わせて作品内の表現が変わるのは避けられないんだと思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/05/05 20:03 | URL | ≫ EDIT

はじめまして。いつも記事を楽しみにさせてもらってます。

>「見せない」ことを見せている。
ネウロの笹塚さんがそんな感じのキャラですね。
タバコを吸うキャラの中にはカッコよさではなく生き様を表現するために吸っているキャラもありますね。いつ死ぬかも分らない生き方をしているから、身体に悪かろうとお構いなしにタバコを吸って太く短く生きる。
タバコを吸うシーンの効果としては時間の経過を表現するのに使われたりとか。

あとサトウキビは流行らないw

| taida | 2012/05/11 17:13 | URL |

>taidaさん

>はじめまして。いつも記事を楽しみにさせてもらってます。

 ありがとうございます!今後もよろしくお願いします。

>タバコを吸うシーンの効果としては時間の経過を表現するのに使われたりとか。

 これも面白い話ですね。
 親なんかがタバコを吸っていて身近にあるものだと「タバコが短くなる」ことが時間経過の演出になるのですけど、喫煙率が下がっていくとタバコを知らない子ども達がそういう演出を分からなくなったりするのかなーと思いました。

| やまなしレイ(管理人) | 2012/05/11 19:47 | URL | ≫ EDIT















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