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サイズが小さくならない漫画単行本――電子書籍の可能性

 今週の『深夜の馬鹿力』(@TBSラジオ)で伊集院光さんが、「電子書籍」についての話をされていました。伊集院ウォッチャー(リスナー?)の自分の解説込みでどういう話だったかを意訳させていただきます。


 伊集院さんの奥さんは漫画『ONE PIECE』のファンなので、しきりに伊集院さんに『ONE PIECE』を勧めてくるそうな。それでも伊集院さんは少年漫画単行本のサイズだと老眼が厳しくてなかなか読む気にならなかったのですが、iPad向けに配信されている公式の『ONE PIECE』があったのでダウンロードしてみたら意外にすんなり読めたことに驚いて。

 今まで「電子書籍なんて…」と思ってきた伊集院さんが、例えば大きなタブレット端末を買えば漫画の単行本が大きなサイズで読めるし、明度や輝度も自分の自由に調整出来る―――案外、電子書籍で漫画を読むのって悪くないんじゃと思ってきたという話でした。



 長年伊集院さんのラジオを聴いている自分からすると、なるほどと頷ける話でした。
 伊集院さんはここ数年ずっと「老眼」に苦しめられていて、老眼鏡も持っているほどです。
 しかし、それでも小さな文字が読みづらいらしく―――例えばゲームの話題でも、DSiLLが発売された時は「これを知っちゃうともう普通のDSには戻れないよ!」と絶賛した一方、それより画面が小さくなった3DSが発売された時には「この画面のサイズでは僕はもうムリなんです」と愚痴っていたほどなんです。


 もっと遡ると、『日曜日の秘密基地』に浦沢直樹先生が出演された時だから2008年頃だったと思うんですけど……
 浦沢先生の新刊『PLUTO』が「通常の単行本サイズの通常版」と「雑誌掲載時と同じサイズの豪華版」の同時発売という話を聞いて、伊集院さんは「すごくイイと思います!浦沢先生のような緻密な絵の漫画は大きなサイズで読みたいって人がたくさんいると思うんですよ!」と絶賛したことがあったんです。

 私はそれをリアルタイムに聴いてた時は、「伊集院さん、20世紀少年のラストをボロクソに批判したことで浦沢先生にビビってんのかな(笑)」と思ったんですが……それから何年もラジオを聴いていると、あれは本心だったのだなと思うようになりました。
 当時の伊集院さんは老眼が始まりかけていたけど「老眼鏡を買ったら俺はジジイということになってしまう!」と必死に抵抗していた時期ですし。





 老眼のことは置いといて……
 確かにそう。生まれた頃から「そう」だったから何の疑問も持っていませんでしたが。


 漫画って雑誌に掲載されている時はB5サイズなのに、単行本になると青年漫画でもB6サイズ、少年漫画の場合は更に小さい新書サイズに小さくされてしまうのは何故だろうか?

 「漫画はなるべく大きなサイズで読みたい!」という人にとっては致命的なマイナスポイントですよね。





 何故か?
 「サイズが大きければ紙代もインク代もかかるだろう」というのもあると思いますが、一番の理由は「サイズが大きいと保管出来る数が減る」という物理的な問題だと思います。

 アナタの部屋の本棚を見て下さい。これらの本が全部倍の大きさになったら本棚に収まりきりませんよね。それと同じことは本屋さんにも言えます。単行本が倍のサイズだったら半分しか商品を陳列出来なくなりますし、在庫を抱えることが出来なくなります。

 もちろんこれは「本屋さん」に行く前の段階にも言える話です。
 倍のスペースを使われるとトラックで輸送する際に同じ数を運べなくなってしまいます。


 同じ内容の単行本であっても、スペースが大きくなればなるほどそれだけコストがかかるようになりますし、値段も上がってしまいます。そうなると今度は消費者の財布を圧迫しますし、本棚も圧迫してしまいますから、「商品が売れなくなってしまう」可能性も出てきます。



 なので、浦沢先生の『PLUTO』のような大きなサイズの単行本は、ごくごく限られた「絶対に売れる」と確信を持たれた作品でしか発売されないのです。
 4コマ漫画とかは……そんなに売れそうにないものもサイズがデカイのもあるか(笑)。いや、うん。「絶対に売れる」ものでなくてもデカイサイズの単行本は結構あるな。でもそれらの作品って、「薄い」割に「値段が高い」ですよね?それはまぁ、こういう理由なのかなと。



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 自分は以前から「電子書籍が普及するには“紙の本”が抱えている不満点を解消しなくちゃならない」と書いてきましたし、前回の記事でこんなことを書きました。


<以下、引用>
 例えばアメリカでキンドルが普及した理由の一つとして、「アメリカには文庫本がないから」というものがあるそうです。高価で大きくて持ち運びしにくいハードカバーの本しかなかったところに、安価で持ち運びしやすい電子書籍が登場したから「これは便利だ!」と普及した。
 日本では既に「安価で持ち運びしやすい文庫本」の文化があるので、電子書籍が普及するのは難しいだろうって言われています。自分もその路線だったら「じゃあ文庫本でイイじゃん」って思われるだけだろうって思っています。

</ここまで>


 逆に言えば、です。
 新書サイズの単行本が普通の日本の漫画業界では、逆に「雑誌掲載時と同じ大きなサイズで読める」というのがプラスに働くように思えるのです。

 いや、「大きなサイズだからイイ」ということではなくて……小さな端末でも大きな端末でも同じ電子書籍が読めて、「持ち運びに便利な小さな端末がイイ人は小さな端末を選べて」「家で大画面のまま読みたい人は大きな端末を選べる」のが理想だと思いますし。読者が“自分に一番合った環境で”読めるようになるのがメリットですよね。

 サイズや明度・輝度もそうですし、「見開きかどうか」もありますね。
 WEBで漫画を発表している自分の元にも「漫画はやっぱり見開きで読みたい!」という声と、「1ページずつでイイから大きな画面で読みたい!」という声の両方が届きます。それを読者が選べるというのが理想ですし、電子書籍のメリットだと思います。




 端末の価格とか、端末の普及度とか、使いやすさとか……今の時点では「電子書籍をみんなが読んでいる」姿ってイメージ出来ないと思うのですが(一部の人だけが利用しているというイメージ)、5年後か10年後かを考えると、何かのブレークスルーで一気に普及している可能性は全然あるんじゃないかと思えてきました。


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| 漫画読み雑記 | 18:02 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

本当は「あらゆる固有名詞から辞書データベースにリンクが貼られている」とか、電子ブックならではの方法で普及を促進してほしいけど、まぁそれは金も手間もかかるでしょうし、「観易い」を売りにするのもありですね。
現状の電子ブック漫画は、連載時の巻頭カラーページすら再現できてないわけですが…。

| 児斗玉文章 | 2012/08/04 15:11 | URL |















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