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『脳トレ』と『鬼トレ』の大きな違い

 前の記事にも書きましたが、『鬼トレ』を友人から借りました。

 自分は初代『脳トレ』はかなりハマリましたし、『脳トレ』がゲーム業界に貢献したことはとても大きかったと思っています。しかし、だからこそDSiウェア版『ちょっと脳トレ』のグレードダウン具合にはかなりゲンナリしましたし、『脳トレ』シリーズに対するイメージはかなり悪くなっていました。


 最新作『鬼トレ』も、発表時から「今更脳トレかぁ……」とあまりテンションが上がりませんでしたし。
 体験版でプレイした「鬼計算」も自分にはピンと来ませんでした。何が面白いか分かんねーな、と。なので実際にソフトが発売されてからも「自分には関係のないソフト」という認識で、気にも留めていなかったんですが。



 友人から借りて実際に毎日起動していると、「あれ?すげー面白いじゃん」と思うようになりました。
 『脳トレ』が抱えていた構造的欠陥を見事に解決していて、『鬼トレ』こそが『脳トレ』シリーズの完成形じゃないかと思ったほどでした。

 いや、もっと言うと「ゲームと難易度」の問題についての一つの答えを出したソフトとも言えて、他のジャンルのソフトも見習えるところがあるんじゃないかとか、いやむしろ他ジャンルのソフトから上手く見習ったからこその『鬼トレ』じゃないかとか語りたくなるソフトでした。


 このゲーム、しばらく借りててイイかな?>友人への私信
 自分で買い直してもイイんだけど、セーブデータは引き継げないだろうしなぁ……




 さて、本題。

 『鬼トレ』の前に『脳トレ』の話から始めます。
 もう7年も前のソフトですから、読んでいる人の中には『脳トレ』を知らない人もいるかも知れませんしね。

 『脳トレ』とは、2005年に発売されたニンテンドーDSソフト『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』の通称で、このソフトは世界中で大ヒットして“社会現象”を引き起こしました。今までゲームを遊んでいなかったシニア層にも売れて、「ゲーム人口の拡大」の象徴になったソフトでもありますね。


 このゲームは元々、DS本体が発売した際の同時発売ソフトに「文字を書くゲーム」がないことに気付いたスタッフが、「せっかくタッチペンのゲーム機を出すんだから文字を書くゲームを作ろう」と発案したところから始まったそうです。
 収録されているゲームは、「簡単な計算式を20問連続で解く“計算20”」や「一瞬だけ表示された数字の枠を数字が少ない順にタッチする“瞬間記憶”」といったようなシンプルなミニゲームばかりなのですが。「脳を鍛えるトレーニング」という動機付けと、実在の教授が出てくることによる信憑性と、自分の記録が折れ線グラフになって残る面白さと、で、パッケージングの大成功例と言えるソフトだったと思います。

 あのゲームを超楽しんでいた自分でも、「脳を鍛える」という動機付けがなかったら、あんなにプレイしなかったと思いますもの。



 実際、「計算20」とか「名作音読」とか、小学生の頃にはウンザリしていたようなことを久々にやってみるとすごく楽しいですし、眠っていた脳が呼び起こされるようなカンジがしたんですね。毎日トレーニングを続けて成績が伸びていくと、すごく自分が成長できたようで嬉しかったです。

 だが、それは最初の1ヶ月だけでした。
 最初の頃はどのゲームも新鮮ですから、頭を使って、スコアを上げていくことに喜びを見出せたのですが。それをずっと続けていると「習慣」になってしまって、同じことの繰り返しで頭を使っている感覚がなくなって、むしろ脳が退化しているような感覚になってしまいました。

 1ヶ月も続けているとハイスコアも伸びなくなってきますしね。
 なので、いつしか起動しなくなってしまいました。





 こういう話をすると、当時『脳トレ』を批判していたような人達はこう言ってきました。
 「ほら見たことか!」「すぐに飽きてしまうような薄っぺらいゲームじゃないか!」「これだから“ゲームらしくないゲーム”はダメなんだよ!」「非ゲーマーに媚びたところで何も良いことなんてないんだよ!」 ふむ。“ゲームらしくないゲーム”って久々に見たフレーズですね(笑)。

 一つ言っておきたい。
 『脳トレ』がぶち当たった構造的欠陥って、“ゲームらしいゲーム”も同じように抱えている欠点ですよ。


 新しいゲームを始めた頃は楽しい。
 新しいことを覚え、ゲームに適応して、どんどん攻略していくのが楽しい。頭を使っているのが分かるし、自分が上手くなっていく感覚が楽しい―――しかし、1ヶ月もやっていると新鮮さは薄れ、上達もしなくなり、同じことの繰り返しになって、次第に飽きて起動しなくなってしまう。

 期間に差はあれども、ゲームというのは基本的にはそういうものです。
 そこに「ストーリー」を付け加えたり、「やりこみ要素」を加えたりして、小まめに達成感を得られることで飽きが来る期間を引き延ばそうとしたりはしますが。根本的には、『脳トレ』も“ゲームらしいゲーム”も、最初は新鮮だけど、徐々に惰性になって、最後は飽きて辞めてしまうのは一緒なんです。

(関連記事:楽しめたもの勝ち


 さて、『鬼トレ』。
 自分が『鬼トレ』の何に驚いたかというと、『鬼トレ』って「ずっと遊べる脳トレ」なんですよ。
 トレーニングの厳しさとか、ワーキングメモリーを鍛えると日々の生活がどう変わるかとかがプロモーションでは語られていましたけど。ゲームデザインとしては「ずっと遊べるようになった」という大きな進化をしているんです。むしろ自分はこれが大きいと思うのです。


東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング

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○ 「永遠に上がり続ける難易度」と「自分に合った難易度」
 『鬼トレ』というソフトには、メニューとして「鬼トレ」「鬼トレ補助」「脳トレ」「リラックス」が入っています。

 「鬼トレ」は8種類。これがメインメニューで、あまりに厳しいので1種目1日1回ずつしかプレイできません。

 「鬼トレ補助」は『脳トレ』シリーズ前3作の中から選ばれた9種類。前作プレイ済の人からすると「脳トレと言えばあんなゲーム」と思い出せるものはココに入っています。「計算20」とか「漢字破壊」とか。

 「脳トレ」はミニゲームっぽいもの。ソリティア的なもののように頭を使うミニゲームが多いみたいですね。「陣取対局」面白いんで、これだけ有料DLCで追加ステージとか売ってくれませんかね?

 「リラックス」は「細菌撲滅」とかそういうの。「鬼トレ」「鬼トレ補助」「脳トレ」のどれかをプレイしないと選べないようになっているみたいです。


 今日語るのは『鬼トレ』の中の「鬼トレ」の話です。
 あまりに厳しいので自分は1日1「鬼トレ」と決めていますし、今「1週間ずっと鬼計算をやる」期間にしているので(そうすると表彰状がもらえる)「鬼計算」を例に出します。これがCMや体験版でも有名なトレーニングだと思いますしね。公式サイトに動画があるんで、観たい人はどうぞ(音声が出ます)。

 「鬼計算」は、表示されている計算式より前の答えを覚えておいて書くというのもの。
 1バックだったら1つ前の答えを、2バックだったら2つ前の答えを、3バックだったら3つ前の答えを……ってなカンジに。当然覚えておかなきゃいけない数が増えれば増えるほどごっちゃになるので凄く難しくなります。


 「鬼トレ」は“レベル”というか“面のようなもの”があります。
 「鬼計算」の場合「1バック」→「速い1バック」→「2バック」→「速い2バック」→「3バック」といったカンジで構成されていて。正答率が85%以上だと上の面に上がれて、84~66%だと同じ面をもう一度、65%以下だと下の面に下がるというカンジですね。
 スタッフによると、「99バック」まではプログラムされているそうです。

 「ずっと遊べる脳トレ」と自分が表現したのはまさにこれが理由で。
 難易度はほぼ永遠に上がるんですよ。
 前作『脳トレ』はせいぜい「普通」と「難しい」の2つが用意されているトレーニングがあるという程度でしたが、今回の『鬼トレ』の「鬼計算」は難易度が198つも用意されているということになります。
 しかも、作るのに大して手間がかかっていなさそうだという(笑)。「こんな一工夫で難易度を上げられるのか!」って思いますよね。


 んで、ここからが重要なんですけど。
 『鬼トレ』は前作『脳トレ』と同じように自分の成績を折れ線グラフで記録してくれるため、前回プレイした時の難易度から始めてくれるんです。「2バックが限界な人」はいきなり2バックから、「4バックが限界な人」はいきなり4バックから始めてくれるんです。

 常に自分にとってギリギリの難易度の面を与えてくれる―――『鬼トレ』の凄いところはここなんだと思います。体験版では分からなかった部分ですね。
 ほぼ無限に用意されている難易度(面)と、常に自分にとってギリギリの難易度(面)でプレイ出来ること。「ゲームと難易度」について、どういう形がベストなのかをずっと考えてきた自分からすると「これは一つの答えが出ちゃったぞ」と思ったほどです。


俺「力量に差がある限り誰もが「ギリギリの難易度」で遊べるゲームなど存在しない。」
俺「ならば、「イージーモード」「ノーマルモード」「ハードモード」と分けていくべきか?」
俺「そうすると「せっかくクリアしたけどイージーモードか…」と達成感を阻害してしまうかも知れない。」
俺「ならば、みんな同じ難易度だけど、無敵アイテムのような救済措置を用意するか?」
俺「それって「難易度を分けている」のと変わらなくないか?」


 『Newマリオ2』で何回もやられると無敵の白しっぽマリオになれるアイテムが出たり。
 『ファイアーエムブレム』や『世界樹の迷宮』にも「イージーモード」的なものが入ったり。
 簡単すぎるゲームは縛りプレイをすればイイという意見が出たり、それじゃ楽しめないという意見が出たり。TARI TARI

 みんなが楽しめる難易度のゲームとは何か、どのゲームも四苦八苦していると思います。



 難易度を198つも用意して、誰もが「ギリギリクリア出来そうで出来ない難易度」で遊べるようにする――――これは一つの答えだと思いますし、別に『鬼トレ』が初めて発明したワケじゃなくて、実はこういうゲームってあるんですよね。


 自分はあまりそういうゲームをプレイしたことがないんですけど、3Dアクションゲームとかにはプレイヤーの操作から判断して自動で難易度調整されるゲームもあるらしいですし。そもそも『スーパーマリオブラザーズ』とかだって本来はそうでしたよね。

 1-1クリアー!1-2クリアー!1-3クリアー!1-4クリアー!2-1何とかクリアー!2-2クリア出来なかったー!ちくしょう、明日こそは2-2をクリアしてやんぞ!と、全32面+裏面を通してちょっとずつ上達していくゲームだったんです。
 あの頃のゲームは「クリアする」ことが目的じゃなくて、「上達する」ことが目的だったはずで。『鬼トレ』はそこに戻っただけと言えるのかも知れませんね。



 『鬼トレ』と『マリオ』の違いは、と言うと―――
・『マリオ』には一応の目安となる「クリア」があるけど、『鬼トレ』にはない(99バックは人類には到達不能だろうし)。
・そのため『鬼トレ』は自分なりの目標を立てなくてはならないが、裏を返せば永遠に上達を目指せるゲームだと言える。
・『マリオ』は「体育会系のゲーム」って言われるけど『鬼トレ』はもっと「体育会系のゲーム」だよね。





【『脳トレ』と『鬼トレ』の大きな違い・3行まとめ】
・『脳トレ』は他の“ゲームらしいゲーム”同様に、「ずっと続けていると飽きる」という欠点があった
・『鬼トレ』は「たくさんの難易度」をプレイヤーに合わせることで、ずっと遊べるようになった
・それって「クリアが目的じゃなかった頃のゲーム」に似ているのかも知れない




 というか、「ゲームはクリアしなきゃダメだ」という固定概念を消すことが出来れば、「誰もが楽しめる難易度」ってそんな大変なことじゃないのかもなぁと『鬼トレ』をプレイすると思えてきます。



 自分は今「5バック」と「速い4バック」を行ったり来たりしているんですが、「5バック」は43%とかでケチョンケチョンなんです。「あー俺もうダメだ。俺には何の才能もないんだ死のう」と思ってしまうんですけど、下に落とされると「速い4バック」は90%くらいで出来て「俺って天才だ!これなら5バックだってその内クリア出来るぜ!」と錯覚できるという(笑)。

 これは『スーパーマリオブラザーズ』が何故「やられるとステージの最初に戻される」仕様なのかって話に近いのかもって思うのです。
 宮本さんの仰っていた「クリアできないところばかりやらされるとプレイヤーはイヤになってしまう。ステージの最初まで戻して、クリアできるところもプレイさせることでプレイヤーは継続して遊んでくれるんだ」に似ていると思いますし。



 やっぱり『鬼トレ』って、『脳トレ』以上に任天堂イズムを感じるんですよ。
 あの変な寸劇のことじゃなくてね(笑)。難易度の調整が、すごく“ゲームらしい”なぁって思うのです。


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| ゲーム雑記 | 17:57 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

パルテナはどうですかね
無段階の難易度をプレイヤーに合わせて用意してくれるのに加え、
それはあくまでオススメなので、体調や自信に合わせて上下させることができるというものです

| ああああ | 2012/08/29 19:24 | URL |

発想を逆転してみる

 買い直しても構わないのなら、その新しいソフトの方をご友人に返却すれば、問題は消えてなくなるように思われます。
 特に大事なデータは入っていない(そもそも起動すらしてない?)ソフトでしたよね、たしか。
 それだけ楽しめたのでしたら、楽しんだ分を売り上げにも貢献しなくては♪

 ……と言うか、これ、地味に難儀な課題ですね。「データがもったいなくて最初からやり直す気にはなれない」。

| kanata | 2012/08/30 00:42 | URL |















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