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殺人の起こらないアドベンチャーゲーム『こねこのいえ 桐島家と三匹の仔猫』紹介

『こねこのいえ 桐島家と三匹の仔猫』
 ニンテンドーDSi用/ファンタジーアドベンチャー
 ワークジャム
 2010.3.3発売
 500円(DSiショップ/3DS eShop専売)
 セーブデータ数:3
 公式サイト

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 「アドベンチャーゲーム」というのはとにかく人が死ぬジャンルと言えます。
 堀井雄二氏の『ポートピア連続殺人事件』『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』などはタイトルからして人が死んでいますし、任天堂の『ファミコン探偵倶楽部』シリーズでさえも連続殺人事件を解決する話です。最近でも続いているシリーズと言えば、『神宮寺三郎』シリーズや『逆転裁判』シリーズですが、これらも殺人事件が題材になることが多いですよね。

 アドベンチャーゲームは「アクション操作を必要としない」ことから、小さい子どもでも遊べるジャンルだと思うのですが―――描かれる題材は「大人向け」が多いんです。


 殺人事件を扱わない場合は、たくさんいる美少女とイチャイチャするゲームとか、逆にたくさんいる美男子とイチャイチャするゲームとか。あとは、ホラーとか。あまり子どもには勧められない作品が多いですよね。



 かつてあったハドソンの『サラダの国のトマト姫』、任天堂の『新・鬼ヶ島』や『はじまりの森』のような「子どもにも勧められるアドベンチャーゲーム」はもう現れないのか―――
 というか、ダウンロード販売ソフトが出せる仕組みが出来た途端に任天堂がアドベンチャーゲームを出してくれなくなったのは、CiNGの倒産がつくづく惜しまれるワケで……という話は横道に逸れ過ぎですね。



 今作『こねこのいえ』は、現在『神宮寺三郎』シリーズを手がけているワークジャムが送る「殺人事件が起こらないアドベンチャーゲーム」です。
 元々は携帯アプリだったものをDSiウェアに移植したそうなのですが、可愛らしい絵柄の仔猫が主人公のアドベンチャーゲームで、ストーリーも子どもにも勧められる話となっています。

 同じ週に配信が始まった『辛口!大籠城』と『アッタコレダ』が話題になってしまったので、このソフトはネット上でも話題をほとんど見かけなかったのですが、3DSのeShopでも「女性からの評価が高いゲーム」で上位に入っていましたし、実は「ある特定の層には受けている」伏兵的なゲームだったのです。



↓ 以下、感想はクリックで。




○ 「仔猫」ゆえの大冒険
 主人公は人間の世界を知らない仔猫3匹。
 人間の姉弟にお菓子を分けてもらった恩義で、姉弟が最近引っ越してきた家に取り憑いている悪霊を退治するために家に潜入するという物語です。仔猫達には悪霊が見えるのだけど、人間達には悪霊が見えないし猫の言葉も通じません。果たして仔猫達はこの姉妹を守れるのか――――


 ゲームのシステムとしては、標準的な「コマンド選択型アドベンチャーゲーム」です。『逆転裁判』の「探索パート」のみでストーリーが進行していく、と書けば分かりやすいですかね。
 マップごとに1枚絵があって、「調べる」「(誰かがいる場合は)コミュニケーションを取る」「特殊技を使う(後述します)」「他の場所に移動する」の中から選んで行動します。「調べる」は画面のどこでも調べられるんじゃなくて、調べられるところのみにアイコンが出るのでそれを選ぶってカンジですね。




 マップ自体は「一軒の家」の中だけで進むので狭いですし、登場人物も多くありません。
 でも、仔猫にとって「人間の家」というのは大冒険の場所なんですよね。


 まず、仔猫はドアを開けられません。
 開いているところから入るか、人間を上手く誘導してドアを開けさせる必要があります。
 やっとの思いで部屋に入ったと思ったら、人間が勝手にドアを閉めて出られなくなるし(笑)。

 これが人間の成歩堂くん主人公のゲームだったら、自分でドアを開けられるし、鍵がかかっていたら「開けてください」と頼めるし、「この家には悪霊が憑いています」と人間に教えられるし、開始5分で終わってしまうでしょう(笑)。


 限られた広さのマップの中で大冒険が出来るという意味で、「仔猫の主人公のアドベンチャーゲーム」って実は物凄く理に適っているんですね。


 また、人間にとっては当たり前のものも、仔猫にとっては未知のものがたくさんあります。
 それが分かっているので、テレビのリモコンを見ると「これをコイツらに調べさせるとビックリするだろうなー(・∀・)ニヤニヤ」と思えるのです。こういうところをちゃんと作っているのもイイところ。



 また、「マップが狭いならコマンド総当りですぐに終わっちゃうんじゃ……?」と思われるかも知れませんし、確かに難易度もボリュームも抑え目なんですが。
 コマンドの一つである「特殊技」はゲージを消費しないと使えないため、コマンド総当りでは解けないようになっているんですよ。この「特殊技」は、ライは「過去に起こったことが見える」、ミイは「心の声が聴こえる」、イルは「物を飲み込んで持ち運びできる」と三者三様で、使いどころをちゃんと考えなきゃいけないんです。
 (ゲージは回復する方法もありますし、イザとなればセーブ&ロードすればイイだけなんですが)




 流石にアドベンチャーゲームを作っているメーカーだけあって、「子どもだまし」ではなく、しっかり作ってあります。ストーリーも「子ども向け」ではありますが、しっかりとした王道で自分はかなり楽しめましたし、子どもにも是非遊んでもらいたい内容となっていました。



 ………と、基本的には「絶賛」なんですけど。
 じゃあ、実際に子どもにもオススメ出来るゲームかというと………そうではないのが残念です。



○ 誰に向けたゲームなのか
 公式サイトを見てもらえば分かるように、非常に可愛らしい絵柄で、「大人をターゲットにした萌え絵」というよりかは「児童書」とか「絵本ちっく」な絵柄ですよね。ゲームに出てくる姉弟も、小学5年生と小学3年生なので、そうした世代に向けたゲームなのかと思いきや。



 ガッツリ難しい漢字を使っているんですよね。


 「大人向けの文章」と同じくらいフルに漢字を使っています。場所の表記なんて「こどもべや」みたいのでイイと思うんですけど、「桐島家 子供部屋」ときっちり漢字で書かれていますからね。「桐島家」以外出てこないのに。
 セリフの中にも難しい漢字は普通に出てきますし、「龍脈」とか「彼奴」とか言葉としても難しい言葉が普通に出てきています。

 小学5年生の「本をよく読む子」ならばなんとかなるかなーというところですが、小学3年生だったら「なんとかなる」とはとてもじゃないが思えません。読める文字の方が少ないんじゃないかってくらい漢字が多いですもん。


 「最近のゲームは難しい漢字も普通に使っているので小さい子どもは遊べない」という話を書いて、「親に読んでもらえば良いのですよ」や「辞書で調べながら読まないと漢字なんて覚えませんよ」という意見を頂いたこともあるんですけど。
 クリアまで付きっ切りで親が読み聞かせなくちゃならないレベルで漢字が多いですし、小学3年生は漢和辞典なんか持っていないと思うんですよ。

(関連記事:「漢字を読めないような子ども達」は3DS内蔵ソフトを楽しめているのだろうか



 元々が携帯アプリなので「子どもを対象にしたゲームではありません」ということなのかも知れません。
 『逆転裁判』のパロネタとか、「発情期」とかの言葉とかも出てきますし、最初から「大人に向けたゲーム」として作られたのかも知れませんが。


 じゃあ、このキャラデザインはどうなんかな?
 「絵柄」は好き嫌いだから、とやかくは言いませんよ。
 しかしキャラデザインは「万人向け」を意識したせいか、ありきたりでベタなものに収まってしまっています。キャラの性格なんかもそうですが、「どこかで見たことあるような……」と思ってしまう没個性のデザインで。「大人に向けたゲーム」としては無難なものを狙いすぎで魅力に乏しいと思います。


 「全く喋らないお父さん」だけは、何故か個性的だと思うんですが(笑)。



 それと、これは会社の事情もあるんでしょうが。
 「続き」を示唆するような終わり方なのに、発売から2年半が経った現在でも続編が出ていないというのも残念なところ。謎を残したまま終わる……というほど気になるラストではありませんでしたが、こういうところでオススメしづらいというのは非常に勿体ないです。




○ 総評
 「500円のアドベンチャーゲーム」としては、操作性・ストーリーはまずまずだと思います。
 ボリュームは若干短い気もしましたが、題材も他のアドベンチャーゲームではあまり見かけない題材で面白かったです。DSiウェアでは珍しくセーブデータを3つ作れるし、久々に起動して「何をすればいいのか忘れてしまった!」という人のためにロード画面で「○○を探せ!」みたいに書いているところも良かったです。

 それだけに漢字の多さという一点だけで「子どもには勧められない」のが残念で仕方ありません。


 続編になるのか完全新作になるのか分かりませんが、3DSダウンロードソフト辺りでもう1作この路線で出してみると化けると思うんです。基本部分は非常によく出来ているのですから!



 ……と言いたいんですけど、この会社はしばらく携帯アプリもダウンロードソフトも出していないみたいなんですよね。ソーシャルゲーム事業は売却した、とWikipediaには書いてありましたけど、全体的に事業縮小しているのかしら。

 このゲームのような路線は他に作っているメーカーが少ないですし、それなりに求めている層もあると思うんで、もし事業縮小ゆえに続編が作られていないんだとしたら残念です。


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| ゲーム紹介 | 16:46 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして。
こねこのいえ 続編 とググって、ここに辿り着いたのですが、やはり残念ながら、続編が出ていないようですね。
でも、友だちが誰も知らないからマイナーかな、と思っていたら、私以外にも「ほのぼのしてて、なかなか面白い」と言ってる人がいて、嬉しかったです^^
自分が好きなゲームは、多少人気であって欲しいですからね。
こねこのいえを遊んでる人が居ることを知れて、嬉しいです。

かなり前の記事なのに、コメントしてスミマセンでした^^;

| もえか | 2013/06/21 12:36 | URL | ≫ EDIT

 この記事を拝見し、「こねこのいえ」を遊んでみました。
 和むストーリーで、遊び終わったあとも温かい気持ちになりました。
 おかげさまで、今まで知らなかった楽しいゲームに出会えたほか、アドベンチャー自体にも興味が湧いてきました。
 ありがとうございます。
 漢字表記については、仰る通りで、子供へも薦められるゲームなのに結構難しい漢字を使っているんですよね。
 これについては、別のゲームになりますがDSの「わがままファッション ガールズモード」でも同じ感想を抱きました。
 漢字がちょっと難しかったり、仮名交じりの書き方にしたりと、少し無理にテキストを作ってあったのです。
 着せ替えゲーム自体は子供からでも楽しめるのに、漢字表記だけが唯一のネックでした。
 ゲーム機が3DSになった今では振り仮名が付けられても、DSの表示だと技術的に難しかったのかもしれませんね。

| ああああ | 2014/11/16 18:43 | URL | ≫ EDIT















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