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ゲーム機にしか出来ないこととは何だ

 日本での発売も「あと40日後」となってきたWii U。
 先月から任天堂のホームページにて、開発者達に社長がインタビューをする名物企画「社長が訊く」のWii U編が始まりました。11月1日現在公開されているのは「本体篇」と「Wii Uゲームパッド篇」の2つですが、今後も随時増えていくと思われます。

 社長が訊く『Wii U』本体篇
 社長が訊く『Wii U』Wii U GamePad篇


 ゲームソフトの「社長が訊く」は「今回はここを遊びやすくしたんですよ!」とか「この部分はこういうアイディアから生まれたんですよ!」みたいな分かりやすい話が多いんですが、ゲーム機の「社長が訊く」は技術的な話すぎて何が何やら(汗)

 とにかく「すげーことやってる」のだけは分かりました!



 わざわざこんな難しい話を公開しているのって、任天堂の意地だと思うんですよね。
 必死に探しても見つからなかったのでソースのリンクを貼ることは出来ないんですが、いつかの決算説明会とか経営方針説明会の質疑応答で気になる文が載ったことがあるんですよ。

 記憶を頼りに要約しますと、「iPhoneとかiPadでゲームが遊べるようになったんだから。任天堂もゲーム機を作るのを辞めてゲームソフトだけでやっていくことは考えていないのか?」という質問に対して、岩田社長が「もしそうなるとここにいる竹田等多くの人材をクビにしなくてはなりませんね」と答えた時があって。

 竹田というのは上述の「社長が訊く」にも登場している、ハード部門の責任者の竹田玄洋さんのこと。
 もちろん文章だけだと発言のニュアンスは分かりませんし、そもそも記憶を頼りに書いているので表現が刺激的なものになっちゃっているのかも知れませんが。「任天堂のハード部門を舐めんじゃねえぞ」という声が聞こえてくるようだったんです。





 自分がファンであることを抜きにしても、任天堂は世界屈指のゲームソフトメーカーです。
 『マリオ』に『ゼルダ』に『マリオカート』は全世界で売れまくりますし、『Wii Fit』とか『トモダチコレクション』みたいな何じゃそりゃなゲームも大ヒットさせています。

 なので「ゲーム機作るの辞めてiPhoneやiPadにゲームソフトを出した方が儲かるんじゃない?」という意見は、実は自分も分からなくはないんです。かつてセガが「ゲーム機作るのを辞めたら世界最強のサードメーカーになる」と言われていたように(実際になれたかはこの際置いておく)、任天堂も世界最強のサードメーカーになるんじゃないかとも思うのです。

 ぶっちゃけた話、自分は『マリオ』が遊べるのならそれが任天堂機だろうがiPadだろうが構わないと思っていますもの。



 世界屈指のソフトメーカーであるがゆえに、ハードメーカーとしてはなかなか正当な評価を得られていない―――任天堂内にそういうジレンマがあったのかもなぁと思うのです。Wiiの時も64の時も「クセのあるハードが故に足を引っ張られているんじゃ……」という声もありましたからねぇ。

 「社長が訊く」は、そういう声に対して「ウチはハードメーカーとしても凄ぇんだぞ!」と周知させる目的もあるのかなーと思ったのです。確かにゲームパッドのレイテンシー対策の話とか、読むと「こんなことはゲーム機メーカーにしか出来ない」と思いましたもんね。






 ですが、未来永劫「ゲーム機」というビジネスが続くのかというのは自分も思います。
 先日の決算説明会での質疑応答で、こんなことが言われていました。スマートフォンやタブレットは敵か味方か、というQ7の質問に対しての岩田さんの回答を一部抜粋します。


<以下、引用>
 一方で、「スマートフォンさえあればゲーム専用機なんて買わなくてもゲームは無料または85円で山のように遊べる。だからゲーム専用機なんかいらないんだ」ということをおっしゃる方もいるわけです。
 私たちは、「無料だとか85円では味わえない、圧倒的な面白さをお客様に提供できなければ、そもそも任天堂という会社の存在価値はないし、ゲーム専用機の存在価値はなくなってしまう」と思います。

 ただ、この議論というのは以前も申し上げたことがありますが、携帯電話でiモードが出るか出ないかぐらいの頃、「携帯電話でもアプリが動くようになります。ゲームもアプリのひとつです」という話があり、そして、「携帯電話でゲームができるようになったら、みんな実用品として携帯電話を持つのだから、携帯ゲーム機なんてなくなってしまう」ということをおっしゃる方がたくさんおられました。

 私たちもその頃、そのことをたくさん聞かれましたが、「私たちは携帯電話ではできないことをします」と申し上げて、その後、ニンテンドーDSがあのように花を開くということになったわけです。

</ここまで>
※ 改行・強調は引用者が行いました


 この話は確かにその通りではあります。
 携帯電話でゲームが遊べればゲーム機なんて誰も買わなくなるんじゃないかと20世紀の頃から言われていました。しかし、当然その後にニンテンドーDSは大ヒットをします。「携帯電話に出来ないこと」を出来るかどうかが重要なんだ、と。

 しかし、自分は引っかかるところもあるんです。
 iモードが登場した頃、携帯ゲーム機はゲームボーイカラーがメイン機でしたし、据置ゲーム機ではドリームキャストが出てくる頃です。当時の携帯電話で遊べたゲームなんてドリキャスはもちろんゲームボーイカラーとも比べられるようなものではありませんでした。圧倒的な性能差がありました。

 でも、今のスマートフォンやタブレット端末で遊べるゲームは、3DSどころかPS3なんかと比べても「ま、別にこれで十分じゃないかな」と言われてしまうくらいクオリティが上がってしまったと思うのです。いや、ソフト自体にはクオリティの差があっても、ユーザーが気にするレベルではなくなってしまったというか。



 「スマートフォンやタブレット端末には出来ないことをやるんだ」という岩田社長の話は凄くよく分かりますし、実際に3DSやWii Uはそういうものになっていると思います。でも、じゃあ“次の世代機”はどうだとか、“次の次の世代機”はどうだと考えていくと――――「ゲーム機にしか出来ないこと」ってもうそんなに道は残されていないと思ってしまうのです。


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 繰り返しになりますけど、私は「そういう未来が来ても構わない」と思っています。
 面白いゲームが遊べるのなら、どの機種だって構いません。


 ただ、現状は「ゲームを遊ぶのはゲーム機に限るぜ!」と思っています。
 Wii UもキンドルファイアHDも同時期に届きますけど、ゲームを遊ぶ用途としてはWii Uの方が圧倒的に楽しみですし、未来を感じています。
 自分が何故そう思っているのかを書くことで、「ゲーム機にしか出来ない」利点が出てくると思うので今日はそれを書こうと思うのです。



1.ボタンが付いている
 シンプルだけど一番デカイのがコレ。
 3DSもWii UもPS Vitaもタッチパネル搭載のゲーム機ですけど、どの機種もボタンやスティックは削りませんでした。ゲーム機にとってボタンが大切だと分かっているからです。スマートフォンやタブレット端末にはない最大の利点だと分かっているからなんです。

 私の場合、「ボタンを押したい」がために「ゲームをやっている」ことがありますもの。
 ボタンを押す感触、スティックやパッドを傾ける感触―――あれが好きで、ゲームをついつい起動してしまうんです。特にアクションゲームは「ボタンを押す感触」と「ゲーム内のキャラクターが動く感覚」がシンクロしているのが好きなんです。

 なので、私は『夢幻の砂時計』は好きではなかった―――という話は置いといて(笑)。


 DS時代は「ゲーム機にタッチパネルが付くとこんなに面白くなるんだよ!」と言っていた任天堂は、『ゼルダ』すらタッチパネル操作オンリーにしてしまったのですが。その後にスマートフォンやタブレット端末などのタッチパネルを搭載したライバルが登場した今は、逆に「ボタン操作があるからゲームってこんな面白いんだよね!」と言わなくてはならないという。



 でも、これがいつまでも「ゲーム機にしか出来ないこと」と言えるかは微妙で。
 スマホに「ボタンをくっつける周辺機器」を出せばイイだけですし、タッチパネル上に吸盤で貼り付けてボタン代わりにしてしまう機器も出ています。

 こういう機器が普及したら、メーカーもそれを前提にゲームを作ればイイだけですし。
 これから先は「ゲーム機にしか出来ないこと」とは言えないのかも知れませんね。



2.1台買えばしばらくは買い換えなくてイイ
 ゲーム機も「新モデル」はしょっちゅう出ます。
 3DSだって1年半後には「3DSLL」が出ていますし、頻繁に新色が登場していますよね。

 でも、「どのソフトが遊べるか」は3DSも3DSLLも一緒なんです。
 DSは2004年に出た初代DSから2009年のDSiLLまで同じソフトが遊べますし(GBAカートリッジを使用するソフトやDSiウェアは除く)、世代交代するまでのスパンが長くて、その間は新機種を買わなくてイイんです。


 これは自分がiPhoneとかに興味がない理由の一つでもあるんですが。
 毎年のように新モデルが出てOSも新しくなって、このOSが快適に動くのはこの機種までですよとか、このソフトが動くのはこのOSまでですよ―――とか言われるじゃないですか。
 Siriが話題になった時に、アレだけ話題になっても「iPhone4S以降の機種じゃないと動きませんよ」と、たった1年ちょっと前に発売された機種であっても「もうその機種は古いですよ」と言われているみたいで「ゲーム機の文化とは全然違うんだなー」と思ったのです。

 これはパソコンでもそうですよね。
 「昔のパソコンにWindows8を入れてもタッチパネルにはなるわけねえだろ!」みたいなネタもありましたけど、個々のパソコンの性能によって遊べるゲーム・遊べないゲームが分かれてしまったりします。恐らく半年前に買った自分の安いパソコンでは最新のFPSとかは遊べないんでしょう。


 「ゲーム機」はそういう意味では安心です。
 3DSを買った直後に3DSLLが出て悔しい思いをした人もいるでしょうが、「3DS」という大きなくくりの中で動くソフトは共通なのです。2011年に3DSを買った自分は5~6年後までコイツで遊べるという安心があるのです。任天堂がゲーム機事業から撤退しない限りは(笑)。



3.ゲーム屋さんでゲームソフトが売っている
 自分はDSiウェアのようなダウンロード販売ゲームを応援してきましたし、ゲーム業界も「パッケージソフトをそのままダウンロード購入できる」ように移行しつつあるんですが。だからこそ分かるのは、リアル店舗のゲーム屋さんやゲームコーナーの影響力って大きいんですよ。


 例えば、2011年8月に発売されたWiiの『ファミリーフィッシング』というソフト。
 発売週の売り上げは6~7万本の売り上げだったそうですし、その後もランキングに入るような爆発的な売れ方はしなかったのですが、水面下でジワジワと売れていて1年後には20万本の生産発注数に到達したそうです。

 もちろんソフトの評判は素晴らしく高かったので口コミの効果も大きかったと思うんですが……
 ゲーム屋さんの棚に並び続けたというのが一番の要因だと自分は思うのです。だって、Wiiのソフトって禄に発売しないし……(笑)。任天堂のソフトは発売されるし売れるし「Wiiの棚」自体は撤去できないから、ついでにコレも置いとくかーと『ファミリーフィッシング』や『ゴーバケーション』も置かれてジワジワと売れ続けたんだと思います。

 どっちもオススメのゲームですよ!
 『ファミリーフィッシング』は「とにかく完成度の高いゲーム」で、『ゴーバケーション』は「荒削りだけど面白いもの全部詰め込みたいというスタッフの熱がとてつもないゲーム」でした。

(関連記事:最上級の一人用ゲーム『ファミリーフィッシング』紹介
(関連記事:Wii5年間の集大成!『GO VACATION(ゴーバケーション)』紹介



 キンドルファイアHDが届いたらAndroid向けのゲームもチェックしてみるつもりですが、どのゲームが面白いのかとかどのゲームが話題になっているかとかがどのくらい分かるのかが気になります。自分がDSiウェアを応援していた頃にぶつかった1番のカベはここでしたもの。

 「ゲーム屋さんの棚」が如何に販売促進になっていたか―――と考えさせられるんですもの。



4.ゲーム機でしか遊べないゲームが遊べる
 この記事は「大抵のゲームはiPhoneやiPadなら動かせる性能がある」という前提で、じゃあゲーム機にしか出来ないこととは何だと考えているのですが――――「性能」としては動かせても、「実際に遊べるか」はまた別の話で。


 現状、iPhoneやiPadでは『マリオ』も『ゼルダ』も遊べないワケですよ。
 任天堂がソフトを出していませんから。
 サードメーカーの有名タイトルにはiPhoneやiPadでも展開しているソフトもありますし、マイクロソフトは『Halo』のパソコン版とかも出していたと思うんですけど(3Dアクション苦手なのであまり詳しくない)。任天堂のゲームは任天堂のゲーム機でしか遊べないようにしているんです。

 まー、だから「それじゃ勿体ない!iPhoneやiPadでも出せばバカ売れするだろうに!」という意見が出てくるんでしょうが、それだとわざわざ3DSやWii Uを買う人が減るだろうし、普及しないゲーム機にはサードメーカーもソフトを出さないし、それだとますます3DSやWii Uを買う人がいないだろうし。


 要は「独占タイトル」をどれだけ保有できるか―――という話なんですよね。
 プレステ・サターン・64の頃の話とあまり変わっていないというか。


 「それじゃ勿体ない!iPhoneやiPadでも出せばバカ売れするだろうに!」というのは、『マリオ64』や『時のオカリナ』を「プレステでも出せばもっと売れたのに!」と言うようなものというか。


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 まだまだありそうですが、とりあえずこんなもので。
 今の時点ではまだ全容を見せてもらえていませんが、Wii Uなんかは「同じゲームソフトでもWii Uで遊ぶとこんな付加価値がありますよ!」という方向を目指していると思いますね。これはどちらかというとPS3やXbox360とのマルチソフトの対策なんでしょうが。

 「MiiVerse」とか「Miiわらわら」みたいに、OSからして「ゲームを遊ぶ」ことに付加価値を付けることを目指しているように思えます。



 それが受け入れられるかは正直分かりません。
 3DSは少なくとも日本国内では「大丈夫」な市場になりましたが、Wii Uもそうなるかはまだ未知数ですし。
 任天堂よりも心配なのはPS Vitaで……この年末商戦で(特に海外で)盛り返さないと、「ソニーがゲーム機事業から撤退」というのもネタじゃなくなってしまうんじゃと思っています。Vitaがドリキャスにならなければイイんですけど……ドリキャスは名機なんで、Wii Uのバーチャルコンソールに出てくれるとイイんですけど(関係ない話)。



 しかし、GoogleがAndroidを作ってAndroid端末でゲームが遊べるようになってゲーム機と競合していくのだとしたら、『安藤ケンサク2』を期待するのは望み薄なんですかね……そもそも未だに新品900円で売っているゲームの続編を出してくれるのか、って話ではあるのですが。


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| ゲーム雑記 | 18:32 | comments:5 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

CSの一番の利点はソフトの質がある程度保証されてることだと思います

プレイしたゲームがことごとくク○ゲーだとやる気なくしますからね

| 現実ゲーム | 2012/11/04 17:36 | URL | ≫ EDIT

>ゲーム機にしか出来ないこととは何だ
一番の利点は安定したゲーム環境ですよ?
作る方もプレイする方も
ネットゲーをプレイするにしても

| ああああ | 2012/11/05 11:58 | URL |

コントローラーのボタン操作に慣れ親しんできた身としては
タッチパッドって操作している感覚があまりないんですよね。
ただ、その辺も慣れてくれば気にならなくなるとは思いますが。

| リンデ | 2012/11/06 11:14 | URL |

画面上のキャラクターをインタラクティブに動かせることが楽しい、というのには同意しますが
ボタンがついているコントローラーだから楽しい、というのには「?」と感じます。
自分の分身をエミュレートし、自分の身体感覚を拡張するのは、伝統的にボタンが付いたコントローラーが「慣れ親しんでいる」だけの話であって、
マススやガンコンやタッチパッドではダメ!という納得できる理由が今のところ見当たりません。
任天堂のゲーム機ではあリませんが「身体まるごとコントローラー」だって、実際に遊んでみると、けっこう楽しいですしね。
ですから「リッチなインタラクティブ入出力体験ができるのは、専用の機材の方が優っている」くらいのニュアンスが、自分としてはしっくりきます。

|   | 2012/11/06 19:52 | URL |

タッチパネルは触覚にフィードバックがないという点で大きくボタンに劣る気がするんですよねぇ。
ソフト各々に適したボタン配置にできるという点では優れてるかもしれませんが……

| ああああ | 2012/12/01 00:23 | URL |















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やまなしレイ先生の「ゲーム機にしか出来ないこととは何だ」を読んだ。 以下、一人のビデオゲーム好きとして書き記しておく。 1.ボタンが付いている シンプルだけど一番デカイのがコ...

| 不倒城 | 2012/11/02 21:01 |

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