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キンドルで自作漫画を出版する際に注意したい「容量」と「最低価格」について

※ 5月21日追記:未確認情報ですが、容量制限の件について御指摘をもらったので記事の最後に追記しました。
※ 7月1日追記:実際にアップロードしようと試みたので記事の最後に追記しました。
※ 7月6日追記:更に記事の最後に追記しました。



 キンドルとはAmazonが提供している「電子書籍」のサービスです。
 キンドルに限った話ではないのですが、「電子書籍」のサービスには「利用者が電子書籍を読める」だけでなく「利用者が電子書籍を出版できる」というところがあります。出版社を介さずにデジタル本を発売して収入を得る―――というハードルが格段に下がったんですね。

(関連記事:キンドル(Kindle)とは



 自分も、このキンドルの「電子書籍出版」のサービス(キンドルダイレクトパブリッシング=KDPと略します)を利用して自作漫画を出版するつもりで現在は編集作業をしています。
 当初は、実際に出版してちゃんと報酬を受け取って、「KDPで自作漫画を出版するにはこうやればイイんだよ!みんなもやろうぜー!」という記事を書くつもりだったんですが。思わぬところで予定通りにいかなくて、これは「これからKDPで漫画を出版しようとしている人」に伝えなきゃいけないし、「KDPの本を読もうとしている人」にも知っておいてもらわなくちゃと思ったのです。



 予め言っておきますが、これは「Amazon批判」のつもりではないです。
 KDPにはKDPのルールがあるという当然の話です。

 しかし、自分は2009年に「アメリカでキンドルってものが流行っているらしいぞ。日本にもそろそろ来るらしいぞ」という話を聞いてから、計画を立てて実際に漫画の制作に取り掛かってしまっていたのです。つまり、スポーツのルールを知らないまま練習を開始していたんです。そりゃ、ルールを知って「思ったのと違った!」と思うところはありますよね。


 つーこって、これから「KDPで漫画を出版しようと考えている人」に知って欲しいことを書きます。

 ちなみに“KDPのルールを知らない自分が”計画していた当初の自作漫画は、というと――――本当は「無事に出版できました!中身はこれです!」とサプライズ的に告知したかったんですが、こういう記事を書くからにはどういうものを予定していてどういう理由でそれが適わなかったのを書かなきゃならないと思うので。
 私は「漫画短編集」を出すつもりだったんですよ。自分のホームページやPixivで公開している「読みきりの漫画」4本と、それらの後日譚やスピンオフ作品の書き下ろし4本を組み合わせて、計8本の読みきりが入った「漫画短編集」を出すつもりでした。約250ページで300円か400円で売れればイイかなーという考えだったんですね。



1.容量は「50MB未満」
 KDPに出版できる本の容量は50MB未満と決まっています。
 それ以上のファイルは「変換が出来ない」ので推奨されず、事前に50MB未満に容量を削ってからアップロードをしてください―――という注意書きが書かれています。


 「50MB」というのは結構な数字ですが……
 この容量を全て漫画の画像データに使えるワケではなく、既に出版をしている人達の話を読む限りは「画像データに使えるのはおおよそ半分(25MB)くらい」らしいです。
 自分もとりあえず「仮の表紙」+「仮の目次ページ」+「仮の余白ページ」+「完成済みの漫画原稿76ページ」分をMOBIファイルに変換してみたところ―――画像データだけなら15MBだったところ、MOBIファイルだと31MBとなっていました。倍以上!


 計算を分かりやすくするために、画像データに使える容量は「25MB」で「1MB=1000KB」とします(※1)。250ページの自分の漫画をこれに収めるためには、表紙画像を考えなくても、「1ページ辺り100KB」しか使えません。これは漫画としてはかなり辛いです。

(※1:実際は「1MB=1024KB」ですね)


 もちろんJPEG画像を圧縮して劣化させることで容量を削減することは出来るんですが……絵を描く人・漫画を描く人には分かってもらえると思いますが、苦労して描いた自分の作品を劣化させるのって精神的に辛いんです。
 100KBというと……正直「台詞が読みづらい」レベルなので、作者のエゴがどうのこうの以前に、読者に「読みづれーなー」という思いをさせてしまう可能性が高いです。参考までに、同じ内容のページを約100KBのバージョン約200KBのバージョンで作ってみました。表示倍率をきっちり100%に合わせると、100KBの方は台詞の辺りがぼやけているのが分かりますよね?(※2)

(※2:自分はしばらく勘違いをしていたんですが、画像に使える最大容量は“活字の本”は127KBで、漫画や絵本等用にレイアウト固定のタグを入力すると800KBまで使えるそうです。キンドルコミッククリエイターを使うとこのタグが挿入されるのかなと思ったんですが、見ても挿入されていないっぽい……手動で入れた方がいいのかな……)

※ 5月21日追記:未確認情報ですが、容量制限の件について御指摘をもらったので記事の最後に追記しました。合わせてお読み下さい。
※ 7月1日追記:実際にアップロードしようと試みたので記事の最後に追記しました。




 ということで……自分は「8本の読み切りを250ページで1冊」という当初の計画を破棄しました。
 「1ページ辺り約200KB」を使って、「4本ずつの読み切りを2冊の短編集にして出す」という計画に変えたんですね。それでも容量内に収まるかは分からないギリギリラインではありますし、本当は8本通して読んでもらいたかったけど……台詞がぼやけて読みづらいものを出すよりはイイだろうと。


 しかし、そうすると今度は新しい壁が立ちふさがるのです。




2.「容量」と「最低価格」の関係
 とりあえず「日本で売る場合」の話です。
 KDPで本を出版する場合、ロイヤリティオプションを「35%」か「70%」かで選ぶことになります。当然「70%」の方が高い収入を得られるんですが、条件が厳しいです。これは後で詳しく述べるとして、ここでは「35%のロイヤリティオプション」を選択した場合の話を書きます。


• 3MB以下の本の最低価格は「99円」
• 3MB以上10MB以下の本の最低価格は「200円」
• 10MB以上の本の最低価格は「300円」


 これは2013年5月17日現在の規約です。
 この価格は去年の12月に1回変わっているらしいんで、今後も変わる可能性もあります。あくまでこの記事を書いている時点ではそうだよって話なことは御了承お願いします。


 KDPの本を読んでいる人は「あー、なるほど」と思ったんじゃないかと思います。
 自分もKDPの本を読んでいて「幾らなんでも短すぎるだろう」とか「200円じゃなくて100円にしてくれたらみんなにオススメしやすかったのに」とか思った本が幾つかあるんですが、最低価格が設定されているため、安く売るためには短くしなきゃならないし、長くするには高くしなきゃならないんです。


 まぁ、サーバーだってタダじゃないんだから当然の話ではあるんですが。



 さて、自分の話。
 「50MBに収まるか分からない!」と言った自分の本は、当然“10MB以上の本の最低価格は「300円」”に当てはまります。もう自動的に300円以上で出版するしかないんですね。しかも、2冊。

 「8本の読みきりが入って300~400円で売れたらイイ」という計画が、
 「4本の読みきりを300円ずつで2冊売る」という計画になってしまったのです。

 およそ倍の価格。
 「みなさまに払ってもらう金額が増えて申し訳ない」という気持ちだけじゃなくて……「300円なら買ってくれる人」と「600円なら買ってくれる人」では総数が全然違ってくるワケで、売上げの面でも厳しい誤算となってしまいました。



 商品を売るときに一番重要なのは「幾らで売るか?」だと思うので、
 そこのルールが分からないまま計画を進めてしまったのは失敗したなーと。



3.「70%のロイヤリティオプション」を選ぶ条件
 さて、さっきの最低価格は「35%のロイヤリティオプションを選んだ場合」の話です。「70%のロイヤリティオプションを選んだ場合」は一律で、最低価格「250円」と決まっているみたいです。


 意外。
 100円とか99円で出版していてヒットしているKDPの本は「35%のロイヤリティオプション」を選んでいるということなのかしら。なんか、ほら……その辺の人達って「70%のロイヤリティオプション」を選んでガッポガッポ大儲けしているイメージだったので……(笑)



 70%のロイヤリティオプションを選ぶとデータ転送量がロイヤリティから引かれて、1MB=1円の計算だったかな。50MBギリギリ使っても50円しか引かれないので、「35%のロイヤリティオプション」よりは得になる計算なのですが……


 重要なのは「90日間以上の本の独占販売権」という条件です。
 正確には「KDPセレクトに入れる条件が“90日間以上の本の独占販売権の許可”で、KDPセレクトに入らないと70%のロイヤリティオプションは選べない」ってことなんですが、分かりやすく噛み砕いて言うと「70%のロイヤリティオプションを選ぶためには、90日間は他の手段でデジタル本を販売・配布しちゃダメだよ」という規約があるんですね。

 ふむふむ、そんなの余裕じゃねーかよとお思いの人もいらっしゃるでしょう。
 私もそう思っていましたが………



 自分の場合“自分のホームページやPixivで公開している「読みきりの漫画」4本と、それの後日譚やスピンオフ作品の書き下ろし4本を組み合わせて、計8本の読みきりが入った「漫画短編集」を出すつもり”なので、前4つの読みきりをホームページで公開していることが「独占販売ではない」ということになってしまうそうです。

 Amazonの問い合わせは迅速かつ丁寧に返事が来るので問い合わせてみたところ、「公開済の4本に書き下ろしの4本を加えただけでは“編集”扱いになるので独占とは認められません」とのことでした。確かに……ゲームなんかの場合、Xbox360で出たゲームに新キャラとか新エピソードを加えて“完全版”としてPS3で発売しても、それを「PS3独占」とは言っちゃいけない気がしますしね。


 んで、一応聞いてみたところ……「KDPで出版をする前にホームページでの公開を終了すれば、それは“キンドル独占”になりますよ」とのことでした。




 つまり、「定価を50円下げるためにホームページに公開している漫画を取り下げる」か、「定価を50円上げてでもホームページに残し続ける」のか、って選択なワケですよ!!





 自分がどっちを選ぶのかはともかく。
 販売促進のために「第1話だけWEBで読めます」ってのも「70%のロイヤリティオプションを選ぶ」ためにはダメっぽいし……KDPで漫画を出版して高い収入を得ようと考えると、「どう宣伝してどう売っていくのか」が難しいですね。


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 繰り返しになりますが、この記事は「Amazon批判」じゃないですからね。
 KDPにはKDPのルールがあるし、そこで成功するためには「そのルール」を知って、「そのルール」に則って商品を作らなければならない―――という普通の話なんです。自分はもう今回は「完成原稿」があるのでどうしようもないですが、次回はちゃんとルールに則って漫画を用意したいと思います。


 “ダウンロード販売”という新しい形には、“容量の節約”というのが今まで以上に重要になるのかも知れませんね。
 それこそゲームのダウンロード販売でも「DSiウェアでは200円でバシバシ買えたのに、3DSDLになったら600円で気軽に買えなくなってしまった!」みたいなことがありました。自分は消費者の立場から文句ばっか言っていましたけど、あれにも容量ごとにかかる価格みたいなのがあったからなのかも。




 ということで、次回作は容量節約のために「なるべく背景は描かない」「スクリーントーンも使わない」「集中線も使わない」方向で行こうかな!手抜きじゃないですよ、容量節約のためにですよ!!





※ 5月21日追記:
 ……という記事を書いたのですが。
 実際にキンドルで漫画を出版した漫画家さんからTwitterで御指摘をもらいました。どうも「MOBIファイルが50MBを超えていてもアップロードをすると容量が半分になるので大丈夫」とのことです。50MBの容量制限の内、画像に使えるのは25MB―――と思っていたら、やっぱり50MB近く使えるんだよってことなのかも知れませんが。

 自分で確認した情報でもないので「真偽の程は定かではない」と書いておきます。
 それだと1つ1つの画像が自動で圧縮劣化されるだけなんじゃ……と思わなくもないんで。


 この辺りは実際に私が自作漫画をキンドルで出版した際に確認をして、その後にまた記事を書こうと思います。中途半端な状態で記事にしてしまい、真に申し訳ございませんでした。



※ 7月1日追記:
 詳しくはこの記事に書いたのですが、「画像を50MBに収めた、104MBのMOBIファイル」をアップロードしようとしたところ―――アップロードできませんでした。16時間ずっと「アップロード中…しばらくお待ちください」のままでした。

 やはりAmazonのヘルプに書いてある通り、50MBを超えるファイルのアップロードは推奨されておらず、「上手くいかなくても知らねーよ」ということみたいですね。



※ 7月6日追記:
 「50MBを超えているMOBIファイルもアップロードすると容量が半分になるから大丈夫ですよ」という情報は、どうやらデマっぽいです。先ほどアップロードを試みたところ、50MBを少しでもオーバーしているとアップロード自体が出来ませんでした。

 「以前は出来ていたけど現在は出来ない」のか、「テキトーな情報を教えられた」のかは分かりませんが、とりあえず現状は50MBを超えているファイルはアップロード時点で弾かれます。

| 漫画作成 | 17:56 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

売り方と内容は密接なんだなぁ

KDPそのものにはあまり興味なかったんですが、実際に出版を計画している人でないと気づかない盲点があるのだなぁと。
今回の例にかぎらず、売り方が変わると内容もそれに合わせて変えなければならないものなんですね。

| Sono | 2013/05/18 20:55 | URL |

 驚愕と同時に納得。販売の背景にも、やっぱり色々あるんですね。

 販売促進の例に関してですけど「第一話だけ本家サイトで無料配布」、「第二話からをパッケージする」というのは困難でしょうか。
 ……困難に決まってますよねえ……装丁とかが丸ごと変わってしまう……。
 それに「第一話はここから無料で落とせますよ」ってリンクを付けといても、その時点で多数の読者は面倒臭くなり回れ右してしまう恐れが出てきます。

 場所に応じて売り方そのものにも色々なルールがある、というのは盲点でした。
 これが99円の本ばかり並んでる原因でしたか。道理で「1円の本だらけ」にはならないわけです。

| kanata | 2013/05/19 00:31 | URL | ≫ EDIT

電子書籍の販売ルールか

ナルホド、私個人は確実に首を突っ込まないだろう世界のハナシでしたが、色々と興味深くも勉強になります。

文末の、背景描かない・トーンも使わないなどに関しては、場合によっては手抜きと取られそうではありますけど、そういった演出表現を削った中でも自分なりの最適な"画作り"を探っていくと考えれば特に悪いことではないかもとも思います。
ゲーム制作でもよく言いますしね、なんの縛りもない状態より制限がある中で工夫した方が面白くなる事もある、みたいな。

アレですよ、まんま見せられるよりも少し服がかかってたりするおっぱいの方がそそられる、みたいな!(←その話題は終わったし例えおかしいし)

| HILO | 2013/05/19 09:13 | URL | ≫ EDIT

「みなみけ」などは"背景描かなすぎ"とともすると揶揄されることもあったけど(私は好きですが)
電子出版に適した形態でもあったんですかねえ、意図してたかどうかは知りませんが。

キャラクターの描写にとにかく重点を置きまくって力を注いで評価される域に達してしまえば
それ以外の舞台装置はおざなりでもいい、という一点突破型のコンテンツが
活きる道が増えたという観点も成り立つんですかね、育成と戦闘に特化したパズドラが
スマホで大流行してるみたいな形で。

| shimole | 2013/05/19 22:10 | URL |

追記見ました。
なかなか上手い事いきませんね…。
まだまだ販売まで苦労しそうですが、頑張ってください。

| ああああ | 2013/05/22 12:38 | URL |

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2016/09/27 15:07 | |

>このコメントは管理人のみ閲覧できますさん

 いえいえ。
 この記事を書いた3年前とは今はもう状況が変わっています。
 詳しくは下の記事をどうぞ。

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/blog-entry-1760.html

| やまなしレイ(管理人) | 2016/09/27 23:59 | URL | ≫ EDIT















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