やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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ゲーマーは「独自路線」を望むのか、「今まで通り」を望むのか

 考えがまとまったので、ようやくこの話題について書きます。


 パルテナの操作性ひどすぎだろ現実ゲームさんより)

 否定派の人が立てたスレなので記事タイトルはアレですし、「1の人」の意見はそんなに面白いものでもないんですけど(※1)……コメント欄も含めて賛否両論様々な意見が飛び交っているのが非常に面白いです。確かに、自分のTwitterのTLでも「大絶賛してずっとこのゲームばかりやっていた人」と、「声には出さないけど肌に合わないので早々に辞めてしまった人」に分かれていましたもの。

(※1:2面までプレイした段階で「テキトーにやっても敵が勝手に死んでいって面白くない」って、大抵のゲームの序盤はそんなカンジだろうよ、と言いたい)


 私自身はそもそも「3Dアクションゲーム自体が大嫌い」なので『新パルテナ』は買っていませんし、プレイもしていません。『新パルテナ』の操作性の良し悪しについて語る気はありません。しかし、この話は『新パルテナ』に限った話ではなく、色んなゲームの“ジャンルとは何か”という話に繋がる話だと思うのです。




 “ゲームのジャンル”について、プレイヤーは「1本遊べば他のゲームもそこそこ遊べるようになる」という認識を持っていると思うのです。
 アクションゲームが得意な人はどのアクションゲームを遊んでも上手く遊べるし、RPGが大好きな人は大抵のRPGをサクサク遊べるし、格ゲー好きな人は大抵の格ゲーのコツをつかみやすいし、TPS好きはどのTPSにも順応できる―――みたいな認識はみなさんの中にもあると思います。


 もちろん現実には、『スーパーマリオ』と『魔界村』は全然違うゲームだし、『ドラクエ』と『FF』は全然違うゲームです。でも、同じジャンルのゲームならば“共通している要素”も多いので、他のゲームを遊んで得たプレイヤースキルがこっちのゲームでも活きるってケースがあるんです。
 イメージ的には……『スーパーマリオ』を遊びこんでプレイヤースキルレベル50まで上げたら、『魔界村』はプレイヤースキルレベル15くらいから始められる、みたいな(※2)

(※2“プレイヤースキル”と書くと「上手いかどうか」が重要だと思われちゃうかもですが、本当に重要なのは「楽しみ方を知っているかどうか」のスキルなんですけどね)



 「アクションゲームが好きな人」「RPGが好きな人」「アドベンチャーゲームが好きな人」「シミュレーションゲームが好きな人」「パズルゲームが好きな人」――――ゲームの趣味趣向を語る際には、「どのジャンルが好きか」って語られ方をしますよね。
 一つ一つのゲームは別であっても、それらのゲーム達に“共通する部分”があって、だからこそ「このジャンルが好き」という認識をされるんだと思うのです。





 しかし、世の中には「ジャンルごとに共通する“お約束”」を敢えて壊すゲームがあるのです。
 桜井政博さんのゲームはその代表格です。あまりにスタンダードになったから忘れられてしまっているものもありますけど、彼のゲームは『新パルテナ』に限らずに昔から破壊的だったと思います。

 その辺は『新パルテナ』の「社長が訊く」でも語られているので、そちらを読んでもらうと早いのですが……

<以下、引用>
岩田「わたしの“作風”というのは?」

桜井「『スマブラ』だけじゃなく、
『カービィのエアライド』や『メテオス』などもみんなそうでしたから。」

岩田「噛めば噛むほど、いろいろ出てくるみたいなことですか?」

桜井「いえ、それよりもまず、
ルールが既存のものと変わっているので、とくにゲームに詳しい人が最初に違和感を覚える場合があるようです。」

岩田「ちょっと触っただけでは、面白さがすぐに理解してもらいにくい、ということですか?」

桜井「はい。
自分ではぜんぜんそんなつもりはないんですけど、最初のハードルが1個あるみたいなんです。もちろん、人によって受け取り方とか好みはあると思うんですけど。」

</ここまで>
※ 改行・強調は引用者が行いました



 「社長が訊く」では挙がっていない例を出しますと……

 例えば、『星のカービィ』って「2Dアクションゲームというジャンル」にとってはムチャクチャ“異端”ですよ。

 『スーパーマリオ』に代表される「横から見た2Dアクションゲーム」の肝は何と言っても“ジャンプ”にありました。
 進んでくる敵をジャンプで飛び越す。動いている敵にジャンプで乗っかり倒す。敵の攻撃をジャンプで避ける。ジャンプしながらショットを撃って敵に攻撃する。小さな足場を、ジャンプでピョンピョン飛び移りながらステージを進む――――
 その元祖がいつかは分かりませんけど、『ドンキーコング』も『スーパーマリオ』も『ロックマン』も『ソニック』も『ドラキュラ』も『クラッシュ・バンディクー』もそうでしょう。ゲームによって攻撃手段を持っているとかLIFE制だとかの違いはありますが、ほとんどの「横から見た2Dアクションゲーム」にはジャンプボタンがあってジャンプ操作が肝となっているんです。ジャンプを制するものが「2Dアクションゲーム」を制するという時代があったんです。



 そしたらカービィさん、空を飛びやがるの。
 ジャンプで敵の攻撃をかわすとか、ジャンプで足場をピョンピョンと飛び移るとか、そういうの全部吹っ飛ばしてプカプカ浮いて空飛びやがるの。

 もちろんそこには独特の“リスク”があって、従来の「横から見た2Dアクションゲーム」とは違うゲーム性が生まれているんですけど……それまでの「横から見た2Dアクションゲーム」が好きだった人からすると、「えっ!!!?なんで!!!?」と思える仕様でしたよ。「横から見た2Dアクションゲーム」にとって一番大切な部分を壊しちゃったよ!と。


 なので、それまでの「横から見た2Dアクションゲーム」が大好きだった自分は実は『星のカービィ』シリーズはそんなに好きではないんですが。でも、そこに需要があったというのは分かります。
 「2Dアクションゲームを遊びたいけどジャンプが難しいから上手く遊べない……」という人が、『カービィ』だけは遊べるという話を何度も目にしたことがあります。また、自分と同じようにそれまでの「横から見た2Dアクションゲーム」が大好きだった人であっても、「今までとは違う2Dアクションゲーム」として楽しんでいる声もたくさん見かけます。



 冒頭の記事を読んでも、『新パルテナ』の操作性について同じことが言われてますよね。
 「今までのTPS」で肝だった“スティックで照準を合わせる”行為を壊してしまったので、「今までのTPS」が好きだった人からは「肌に合わない」と言われる。でも、「今までのTPS」にとっつきにくさを感じてた人や、「今までとは違うTPS」を求めていた人は『新パルテナ』の操作性を絶賛している――――




 例えば、『スマッシュブラザーズ』が「格闘ゲームというジャンル」にとっては“異端”なのは誰でも分かりますよね。

 どこに焦点を当てるかで様々な記事が書けそうですけど……
 『ストリートファイターII』の頃から2D格闘ゲームの花形は“コマンド入力で出る必殺技”でした。各キャラクターに2コか3コ用意されていて、ゲーセンの説明欄やパッケージソフトの説明書には「必殺技のコマンド表」だけが載っているほどでした。

 波動拳が出せれば勝負に勝てるというワケではないのですが、波動拳が出せるだけで気持ち良かったです。仲間内で集まって対戦していると「波動拳が出せる人」「波動拳が出せない人」の間にヒエラルキーが生まれていました。


 んで、『ストII』ブームの後に2D格闘ゲームで“コマンド入力で出る必殺技”がどうなるかと言うと……1キャラ辺りの必殺技は6コや7コにも増えたり、それらを出す発動条件が細かく決まっていたり、コマンド自体もものすごく複雑になって出すのが難しくなったり、そもそもそんなに覚えられねえよ!!と、若者の2D格闘ゲーム離れが進むのでありました。



 そしたら、『スマブラ』さんは「Bボタンを押すだけで必殺技」が出るのよ。
 コマンドなんてあったもんじゃない。必殺技ゲージなんてものもない。
 全キャラクターに「スティックの方向+Bボタン」で4種類の必殺技が割り振られて、記憶力がない人でも、「波動拳が出せない人」でも、誰でも必殺技が出せるようになりました。



 もちろんそこには独特の“リスク”があって、『スマブラ』における必殺技というのは「特殊攻撃」くらいの役割でしかなくて、新たな“駆け引き”が生まれていたんですけど……
 「それまでの格闘ゲーム」が大好きな人達には「あんなのは格ゲーじゃねえよ」と未だに思われているんだろうなって思います。(※3)確かにそう、必殺技に限らず「それまでの2D格闘ゲーム」が守っていたものを破壊していったのが『スマブラ』ですからね。「あんなのは格闘ゲームじゃない」というのは、その視点からすれば間違ってはいません。

(※3:『ストII』ブームの頃には「1ボタンで必殺技が出るゲーム」は実は結構ありました。アニメ原作の『らんま』とか。でも、当時はやっぱり「波動拳が出せないようなライトユーザー向け」みたいに言われていましたね)




 『新パルテナ』の話は、『新パルテナ』に限った話ではないと思います。
 「既存のジャンル」があって、そこに今までとは違う「独自路線」を進もうとした新しいゲームがあって、そうすると「今まで通り」が好きだった人からは反発されて――――
 自分は『カービィ』はそんなに受け入れられなかったけど、『スマブラ』はそれまでの格ゲーより面白いと思ったので、両方の言い分が分かります。
 桜井さんの話から外れると、『パズドラ』だってそうですよね。RPGから「探索」も「ストーリー」も抜いちゃって、そこがイイという人もいれば、自分みたいに受け入れられない人もいる。

 だから、「受け入れられる人」と「受け入れられない人」のどっちが偉いとかそういうことではなくて、ただ「受け入れられる人」と「受け入れられない人」がいるというだけの話なんだと思います。

(関連記事:『パズドラ』にハマれなかった自分が思う、「探索」要素の危機





 『カービィ』や『スマブラ』が国内100万本の売上げを超える人気シリーズになって「むしろスタンダードになってしまった」のに対して、『新パルテナ』が30万本付近に留まったのは……そもそも日本ではTPSが流行ったことがない、という一点に尽きると思います。

 『スーパーマリオ』は600万本を超える大ヒットソフトでした。
 『ストリートファイターII』はスーファミ版が280万本の大ヒットソフトでした。

 もちろん『マリオ』は1本のソフトを家族全員で交代で遊んだり、友達を集めて交代で遊んだりしましたし。『ストII』はゲームセンターで遊んだという人がたくさんいたでしょうし、スーファミ以外の機種でもたくさん出ていました。“実際に遊んだことのある人”の数はもっともっと多いでしょう。

 ということは、「自分にはムリだ……」と脱落した人も多かったんです。
 だから、「マリオですらマトモに遊べない自分でもカービィは遊べる」とか「格ゲーに付いていけない自分でもスマブラは遊べる」という人だけでもかなりの市場規模になるんです。まぁ、『スマブラ』は今や「スマブラしか格ゲーを知らない人」の方が多そうではありますけど。



 大ヒットした例のある「2Dアクションゲーム」や「格闘ゲーム」と違って、「TPS」は100万本なんて夢のまた夢のジャンルです。だから、「今までのTPSに脱落した人」をターゲットにしても大した売上げになるワケがないんです。
 そんなことは恐らく任天堂だって桜井さんだって分かっているはずで、主戦場は“海外市場”のつもりだったと思うのですが……全世界累計で118万本という発表を見ると、むしろ海外市場では伸びなかったなーという印象です。アメリカ市場だとやはり携帯機がキツイということか。


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 私も他人事ではないですが、ゲーマーは気軽に「新しいゲームが遊びたい」「今までにないようなゲームが遊びたい」「シリーズものとか続編ものばかりなのはイヤだ」と言うじゃないですか。

 なのに、メーカーが「分かりました!今までにない斬新なゲームを作りました!ハイ、『キキトリック』」と言ってきても、「そういうんじゃねえんだよ」と拒否したりするじゃないですか。みんながみんなそうではないけど、そういう人も多いじゃないですか。



 ゲーマーの言う「新しいゲーム」って、「今まで通りのジャンルのゲームをちょっとアレンジしたもの」とか「今まで通りのジャンルのゲームだけど新しいキャラクターを使ったもの」とか「今まで通りのジャンルのゲームと今まで通りのジャンルのゲームを組み合わせたもの」とかでしかなくて、本当の意味での「新しいゲーム」ではないんじゃないかって思うのです。

 冒頭の記事でスレ立てした人が、「『ガンダムvs』シリーズみたいな操作性のゲームだと思って買ったのに、『新パルテナ』は全然違っていてガッカリだ」と書いているのを見てハッとしたんです。
 それは私自身にもある話で。新しいゲームを遊ぶのに、「○○みたいなゲーム」を期待してプレイし始めることってあるよな……と。そして「○○と違う!」と不満を抱くことがないとは言えない……と。



 もう一つ、あるわーと思ったのが「独自操作のゲームは一生懸命習得しても他のゲームに活かせられない」というコメントでした。
 『新パルテナ』の続編が構想されたとしても、恐らく桜井さん以外の人が作ることはないと思います。そして、その桜井さんは現在『スマブラ』製作中で他のソフトを作っている余裕はありません。売上げ面から考えても、『新パルテナ』の後追いのゲームが他の会社から出るとも思えません。

 『新パルテナ』が上手くなっても、そこで得たプレイヤースキルはこの一作でしか使いようがないんです。


 もちろん「ゲームなんて上手くなったところでしょうもないものだろ」って話なんですが、『マリオ』シリーズみたいにシリーズが存続することが確定しているものとか、今まで通りのFPSとかTPSみたいにたくさんのソフトが投入されているジャンルとかは、今上手くなっておけば次にも役に立つみたいな発想になれると思うんです。だからみんな、安定の「シリーズもの」を買うし、「シリーズもの」が優先して作られていくのでしょう。




 なんかね……考えさせられちゃいますね。
 自分も含めて、ですよ。

 「最近のゲーム会社は保守的でシリーズものとか似たようなゲームばかり出すからダメなんだよ!」と文句を言いつつ、自分で買うゲームは「シリーズもの」とか「似たようなゲーム」ばかりだったりしないか……と自問自答してしまいました。

(関連記事:ゲームが上手くなった日のことを覚えていますか。

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| ゲーム雑記 | 17:56 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

桜井さんの名前間違えてます
「政博」です

| ああああ | 2013/05/24 23:07 | URL |

>ああああさん

本当にすみません。
修正しました。

| やまなしレイ(管理人) | 2013/05/24 23:41 | URL | ≫ EDIT

当初から負けハード路線の上に低性能だったwiiに
サードはブランドモノを投入する気はさらっさらなくて
結局糞みたいな予算の外伝か新規ipばっかりだったわけだが
ゲーマー(爆笑)どもはそいつらを全部爆死させておいて新規ip新規ip騒いでも説得力ねぇ
日本のゲーマー(爆笑)は相変わらずffバイオ無双龍が如くしか買ってねぇからな

| ああああ | 2013/05/25 03:28 | URL |

「いつまでたってもデュアルショックで無双」

これは煽り言葉ですが、人によってはこれこそが大切なものだったりするのでしょうか
正直なところ理解しかねます

| ああああ | 2013/05/25 08:37 | URL |

古くて新しい話ですね。
思い出すのは、ファイアーエムブレムと違うからという理由で批判されたラングリッサー。
その違うところが面白いんじゃねぇか!と当時、憤慨したものです。

| 児斗玉文章 | 2013/05/25 19:04 | URL |

揚げ足取りみたいで申し訳ないんですが、
本文中に「そもそも日本ではTPSが流行ったことがない、という一点に尽きる」って言及されてますが、バイオハザードの4以降はTPSに分類されると思いますし、バイオハザードシリーズは国内でも大人気なので、「日本ではTPSが流行ったことがない」というのは少し違うかと思います。
まぁ確かに、アクションゲームと比べてTPSをやったことがある人は断然少ないと思うので、あまり結論には関係ないかもしれませんが。

| あ | 2013/05/26 02:55 | URL | ≫ EDIT

ゲーマーが求めてるのは「全くの新ジャンル」ではなく
「新感覚の親しみあるゲーム」ってことなんですかね。
新しいものにチャレンジするのは
今のある程度の年齢をいったゲーマーには少々辛いのかもしれません。
個人的には安いDLゲームには、その敷居を下げてくれる役割があると思っているのですが。

| ああああ | 2013/05/27 00:26 | URL |















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