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初心者の自分が「本の自炊」に挑戦してみた

 この記事で語る自炊とは「自分で料理を作って自分で食べること」のことではなくて、「自分の持っている“紙の本”をスキャンしてデジタルデータに変換して読むこと」のことです。

 あくまで「自分が持っている“紙の本”を」「自分の手でスキャンして」「自分だけが読む」用途に限って話を書きたいと思います。
 スキャンしたデータをネットにばらまくなんてのは著作権的にも許されませんし、漫画を描く立場の自分としても断固として許せませんし。“自炊の代行業者”は現在出版社と著作権料について協議中みたいな噂も聞くんで、この記事を書く段階では「よく分かんないんでノータッチで!」と知らぬ存ぜぬを貫き通そうと思います。




 まず最初に。
 節約目的で「本を自炊してみようかなー」なんて考えている人は、やめておいた方がイイですよ!

 恐らくこういう考えの人は少なくないと思うんですよ。
 「部屋がもういっぱいだからコレ以上本が買えないや。でも、電子書籍で買い直すのもお金がかかるし……そうだ!最近よく聞く“自炊”ってのをやってみよう!手間はかかってもお金を節約できるだろうし!」

 実際は「本の自炊」には「お金」も「手間」も「スペース」もかかります。
 節約どころの騒ぎではありません。



 まず、かかる「お金」の話からします。
 パソコンは持っていることが前提で……

 本を裁断する裁断機は、質にこだわるか安さを取るのかにもよりますが……Amazonで相場を見たら7千円~4万円くらいでした。当然、値段によって性能は違うと思います。
 次に、裁断した本を連続スキャン&両面読み取りしてくれるスキャナー。富士通のScanSnapが有名ですね。Amazonで相場を見たら2万2千円~4万円くらいでした。当然、値段によって性能は違うと思います(※1)

(※1:ScanSnapには書類などをスキャンするための「片面のみ読み取れる」安い機種がありますが、「本の自炊」には両面読み取りが絶対必須機能なので、購入の際には注意してください)

 スキャンしたデータはパソコンでも読めますが、やっぱり手元で読める方がイイなとタブレット端末を購入した場合―――キンドルファイアHDで1万6千円くらいですね。画面デカイやつがイイやとか、もっと性能がイイのがイイやというと、もちろんもっと値段が上がります。

 キンドルファイアHDには標準で「PDFを読む機能」が付いているのですが、「横書き基準」でページを右から左にめくらなくてはなりません。そのため、「縦書き基準」でページを左から右にめくれるPerfect Viewerというアプリが役立ちます。これが確か270円くらいだったような……と思ったのだけど、GooglePlayだと無料なのか。有料なのってAmazonアプリストアだけか、ひょっとして。



 これらが大体「初期投資にかかる費用」です。
 もちろん未来永劫これらの機器が使えるワケではありませんし、消耗品の部品は買い足さなきゃならなかったり、何年も使っていると故障することもあるでしょう。そしたらまたお金がかかります。お金の節約のために自炊を始めようと考えるなら、大人しく「電子書籍で買い直す」方が安く済む人も多いと思います。



 次に「手間」の話。
 音楽CDのようにパソコンに入れたら後は勝手にデータ化してくれるものではありません。
 「本の自炊」は人力で本を裁断して、人力でスキャンしなければなりません。
 裁断も裁断機を使う前にハードカバーを引っぺがしたり、ホッチキスを抜いたりという手間がかかりますし。スキャンも「原稿ジャム」が起こらないようにちょっとずつスキャンしなければなりません。キレイに裁断できていないと、紙がクシャクシャになる大惨事も起こります。

 また、スキャンが完了した後も、Adobe Acrobatというソフトを使って「90度ズレているページを修正」したり「スキャン時に間違えて順番がごっちゃになってしまったページを修正」したりする必要があります。

 詳しい工程は後で書きますが、私の場合は大体「1冊の本の自炊」に30分ちょっとかかります。(※2)自宅の本を全部デジタルデータに変換すれば部屋が広くなるぞー!という野望を達成するまでにどれだけの時間がかかるか、考えただけで気が遠くなります。

(※2:実際に自炊をやっている人は「なんでそんな時間がかかるの?」と思われるかも知れませんが、それも後述します)



 最後に「スペース」の問題です。
 「部屋に本がいっぱいだからもう本が買えなーい!」という理由で自炊を始めるのに、バカデカイ裁断機とかスキャナを買ってどこに置くのかという問題があります。これで「裁断機買ったけど面倒くさいから自炊を途中で投げちゃった」ら、部屋が本と裁断機とスキャナでいっぱいになってしまいます。


 また、保管場所の問題もありますよね。
 “400枚の紙が同時に切れる裁断機”を部屋に置くのは怖い、という人もいるでしょう。小さなお子さんをお持ちの人や、犬や猫を室内に飼っている人――――「万が一」という可能性もありますよね。




 ということで、「本の自炊」は大変です。
 お金も手間もスペースもかかります。なんかもう「高尚な趣味」と言ってイイんじゃないかと思うくらい、最初のハードルが高いです。「誰にでもオススメですよ!」とは正直言えません。「覚悟を持った人だけがやればイイ」と自分は思います。



 ただし、「自炊」にしか出来ない魅力があるのも確かなんです。
 先ほど私は敢えて“「電子書籍で買い直す」方が安く済む人も多いと思う”と書きました。そのことに嘘はありませんが、逆に言うと「電子書籍で買い直せない本は自炊するしかない」んですよね。

 漫画も「あの出版社はキンドル本を出してないのかよー」と不満を抱くラインナップでしたが、活字の本は更に「目当ての本が全然ない」状態でしたし……もっと言うと、みなさんの本棚や押入れには「絶対に電子書籍で再販されない本」がありますよね?

 例えば、昔の雑誌。
 例えば、同人誌。
 ゲームの説明書とか、チラシとか。
 音楽CDの歌詞カードとか。
 高校時代に使って取っておいている教科書とか。


 「自炊」ならば、こういうものもデジタルデータ化できるんです。



 また、「自炊」がゆえに「自分で好きなように編集」が可能なのも特徴です。
 漫画雑誌のこの読みきりだけ取っておきたいんだよなあ、というものを残したり。「上下巻」の本を1冊にまとめたり。ファミ通のクロスレビューのページだけを通して保存したり(※3)。広告のページはカットしたり。漫画の場合は「1巻」「2巻」という区切りじゃなくて、「○○編」「××編」というファイルに分けたり。

(※3:なんで?) 


 これを「楽しそう!」と思えるか、「面倒くさそう!」と思うかどうかで、自炊の価値は変わると思います。





 私の場合、という話をします。
 自分は実は、他の用途で既にScanSnapを持っていたんです。
 裁断機は持っていませんでしたが、漫画の原稿用紙をカットするための「10枚ずつ紙を揃えて切れる」ディスクカッターも持っていました。
 キンドルファイアHDを持っていることは言うまでもなく。
 Perfect Viewerは「キンドルファイアHDを買ったんで何かオススメのアプリを教えてください」と書いた時に教えてもらっていたんで、その頃は全く使う用途がないのに買ってしまっていて(笑)。


 「400枚同時に切れる裁断機」の代わりに「10枚ずつ切れるディスクカッター」を使えば、たまたま「本の自炊」を初期投資0円で出来る環境が整っていたんです。



 「本の自炊」は、お金がかかります。
 でも、手間とアイディアを使えば、皆さんの自宅にあるもので何とかなる部分もあるかなと思うのです。結論から言っちゃうと「ScanSnapはないとキツイ……」んですけど(笑)、裁断機はカッターと定規で何とかなる部分もあるかなと思います。ちなみに自分が使っているディスクカッターと同様のものは2000円チョイで買えるみたいです。


 裁断機がないと手間がかかるのは確かですから……数年前に漠然と考えていた、「持っている本が全部デジタルデータに変わったらなぁ」という考えは捨てることにしました。
 「週に5~6冊くらいずつ」、日曜大工感覚でちょっとずつ紙の本をデジタルデータに変換していく計画に変えました。そうすれば年に250冊くらいが片付くワケで。10年続ければ……絶対にその間にScanSnapが壊れるので考えないようにしよう(笑)。




 ということで、ここからが本文ですよ!
 実際に「本の自炊」を行った模様を写真付きでレポートします!


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 ちなみに自分が自炊をする前に読んだKDPの本がこちら(↑)。
 参考になった部分、ならなかった部分はありますが……「自炊に夢を抱いていた自分」に現実を突きつけてくれたんで、今から自炊しようって人は試しに読んでみるとイイと思いますよ。99円ですし。




1.「本の解体作業」
 さて、皆さんに私のステキな自炊用作業机をお披露目しようと思います!
 これがデジタル作業の最先端だ!



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 家にあった大きめのカッター。
 小学生の頃に(兄貴が)使っていた木製の定規。
 カッターマット代わりに、新聞紙と雑誌っぽいもの。


 とてつもない「図画工作」感。




 記念すべき「自炊する本」第1号は何にするか悩んだんですけど……
 最初の頃は絶対に上手くいかないことが起こるだろうと思ったので、こちらにしました。


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 『よつばと!』1巻。



 「ヒドイ!」「失敗するかも知れないのに、よつばちゃんかわいそう!」「非実在児童への虐待は許せない!」という声もあるかも知れませんが。仕方ないのです。私の持っている本で、第1号はこれしか考えられないのです。






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 だって、2冊持っているからさ……
 「家に置く用」と「友達に貸して普及する用」に2冊持っていたのだけど、正直もう貸せる人には貸し尽くしたので……「友達に貸して普及する用」の方を記念すべき第1号にしようと決めたのです!




 さてと。始める前に「注意書き」をします。
 人によっては「バラバラになっていく本の画像」はショッキングに映るかも知れません。
 以前、自炊代行業者に異を唱える作家さん達が「一生懸命作った本が裁断された姿を見たらショックだった」と仰っていたのを読んで、何を言ってるんだこの人達は……と、その時は思ったんですよ。本なんてしょせん印刷物をまとめただけのものだろうよ!それをバラバラにするのなんて元の形に戻すだけじゃねえか!とか。


 そしたら、確かにちょっとグロイのね。
 普段「本」として見慣れているものが、解体されて「見慣れないもの」に変えられる様は……漫画や映画で登場人物の手足が切断される様を見せられるような感覚があって。裁断し終わればどうということはないのですが、中途半端に糊付けが残っている途中は確かに自分も「ショッキング」だと思いました。


 ということで、そういう覚悟を持った人だけがここから先を読んでください。
 この画像に耐性がなければ、御自身で「本の自炊」なんて出来ないでしょうしね。




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 まず、表紙カバーを外し、表紙と裏表紙の部分をカットします。
 背表紙は諦めました。

 ScanSnapならば表紙カバーをカットしなくてもスクロールして読み込んでくれるので、「表紙と裏表紙の絵が繋がっている」作品はそうしているのですが……PDFファイルが本棚に並んだ際に表示されるのは「1枚目の画像」になるので、基本的にはこの段階でカットしてしまうことにしています(※4)

(※4:表紙カバーをまるまるスキャンした場合は、画像加工ソフトなどで“表紙”にあたる部分だけをコピーして別画像に保存→Adobe Acrobatで1ページ目に挿入すれば問題はありません。一手間かかるので面倒くさいでしょうけど)




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 次に本をバラバラにしていきます。
 自分のディスクカッターは「10枚ずつ」なので、10枚セットになるようにバラバラにしていきます。最初は背表紙側からカッターで丁寧に切っていたんですが、カッターで真っ直ぐ切るのは非常に難しいので……
 結局、「腕力で引き剥がしていく」ことにしました。これが一番キレイにバラバラにできました。「これはキレイにはムリかも知れない」と思ったら、本の内側からカッターで切り込みを入れて引き剥がしやすくしていきます。



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 バラバラにした図。
 この頃はまだ「引き剥がす」ことを知らなかったので、汚いでしょ?

 ノドの部分がかなり犠牲になってしまいました。



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 ようやくディスクカッターの出番です。
 ノドの部分に合わせて切っていきます。糊付けされた部分が残らないように。

 スキャンする時に「すべてのページが揃っている」方がスムーズにスクロールしてくれるので、ディスクカッターの位置固定が役に立ちます。逆に言うと、この位置固定以外は「カッターと定規で切る」のと大して差はないんですけどね。


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 切り終わりました!パチパチパチ!
 ノドの部分でキレイに裁断されているのを確認してウットリ。

 ここで「完全には切り離せていないページ」があると、あとでスキャンする時にジャムって「ページがクシャクシャになる」大惨事を引き起こすので……この時点で丁寧に確認した方がイイかも。「これ、切り口が怪しくないか?」というページは、1枚ずつ入れるようにしましょう。



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 漫画以外の話もしましょう。
 ハードカバーの本は、最初にカッターで「ハードカバー」と「中身」を切って分解しましょう。後は大体同じ。ハードカバーはScanSnapでスクロール出来ないので自分は諦めましたが、どうしてもハードカバーの絵も保存しておきたいという人は、普通のスキャナで画像としてスキャンして、後でAdobe Acrobatで追加してください。


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 雑誌の場合………ホッチキスで止まっているものは最初にホッチキスを外して、真ん中のページから「切るべし!切るべし!」とやると、ページの幅が合わないというトラップが(笑)。雑誌を見てもらえば分かりますが、外側の紙と内側の紙は同じサイズじゃないんですよね……

 自分はもう「ノドの部分が切れちゃっても知るかーーーー!」と開き直って、テキトーなサイズに切っています。



 もちろんページ数にも依りますが、ここまでの作業で大体「1冊15分」くらいですかね。
 裁断機を使えば、もっともっと早く済むとは思います。




2.「スキャン作業」
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 ようやくScanSnapの出番です。
 実際に自炊作業を始めるまでは、「複合機についているスキャナーでも時間をかければ自炊できるんじゃないかな」なんて思っていました……やめた方がイイです。時間が400倍くらいかかると思います。本1冊スキャンするだけで休日が一つ潰れると思います。


 ScanSnapは複数枚セットした原稿を自動でスクロールして読み取ってくれて、両面ももちろんスキャンして、PDFファイルにしてくれるという優れものです。機種にも依ると思いますが、PDFファイルを容易に編集できるAdobe Acrobatというソフトも付いてくるので、後からページの削除とかファイルの結合とかが可能です。超便利。



 スキャンする前に、まずはScanSnap Organizerを起動して「設定」を決めます。
 自分も色々試してみたんですが……今のところコレがベストだなという「設定」は、画質は「スーパーファイン」にして、カラーページと白黒ページは別ファイルに分けて、前者は「カラー」で後者は「グレー」でスキャンするというやり方です。その2つのファイルを後でAdobe Acrobatでくっ付ける。


 最初は「ファイン」の画質で試したんですが、絵も字もちょっと読みづらくて……
 カラーモードも最初は「自動判別」にしたんですが、それだと「日焼けしているページ」も全部カラーで忠実に読み取ってくれまして。「白黒」も試したんですが、こちらはスクリーントーンがよく分からんことになったのでオススメできません。



 この設定で自炊して作ったPDFファイルの容量は、漫画だと『かみちゅ!』1巻(198ページ)が102MB、活字の本だと『爆笑問題の日本原論2000』(245ページ)が33MB、雑誌だと10年前の『Number』(144ページ)が126MBでした。ちょっと容量は大きいですが、“保存する”目的なのだからこれくらいはイイかなと自分は思いまして。

 雑誌なんかは容量が大きすぎるのか、読む際に「ページ切り替えにちょっと時間がかかる」感覚はあります。パラパラとページをめくれない。あくまで保存目的で、読む目的だったら雑誌は雑誌のままがイイかなと思います。



 そうだ。肝心なことを。
 PDFで保存されたファイルは、その中から文字だけを検出して「検索可能」なファイルにすることが出来ます。漫画でも、です。『よつばと!』1巻の中に「風香」という台詞がどこに出てくるか検索することが出来ます。このファイルへの変換作業は後からでも出来て、パソコンの性能にも依りますが1ファイル15~20分くらいかかりました。

 自分は「いらん!」と思って変換していません。
 学術書とか教科書ならともかく、漫画やエッセイで文字を検索したい時なんて限られているし、必要になった時に初めて変換すればいーや、と。前に書いたキンドル本の機能と違って、基本的にはパソコンで読む場合に使える機能であって。キンドルファイアHDに搭載されている機能でPDFファイルを読む場合や、PerfectViewerで読む場合では使えません。




 ScanSnapは複数の原稿を連続スクロールしてくれる優れもの機械ですが、たくさんの原稿をセットするとジャムる原因にもなるんで……自分は大体10枚くらいずつセットして、ジャムらないように見張っています。裁断の際に紙がキレイに切れていないとジャムる可能性が高いので、そういうのは1枚ずつセットして……


 この作業は大体「1冊10分弱くらい」かな。
 ページ数の少ない同人誌とかはあっという間に終わるので、「薄い本ありがとう!」と思えます(笑)。



3.PDFファイルの編集
 ここまで来たらあとちょっとです。
 Adobe Acrobatを使ってPDFファイルを編集します。カラーページと白黒ページを分けてスキャンした人は、ここでファイルを結合します。


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 サムネール表示にすると、「どういう順番でページが並んでいるのか」とか「向きが間違っているページがないか」とか一目瞭然です。ファイルを結合したい場合は「ページの挿入」でもう一つのファイルを入れます。ページの移動も直感的に可能。超便利。

 ScanSnapの設定で「向きを自動で修正してデータ化してくれる」機能を使うと、大半のページはきっちり読み取ってくれるのですが、たまに「90度間違えている」とか「180度間違っている」ページが出てくるので、その修正をしましょう。

 これらの作業が大体「5~6分」くらいです。



 つか、このソフトがあれば、みなさんのパソコンに保存されているエロ画像とか荘厳な滝の画像とかを並べて「自分だけのデジタル写真集」を作ることも可能なんですよね。
 そうした画像はインターネット上で拾ってきたものが多いだろうから、著作権的にはモニョモニョっとした話ですけどね。それを売ったり配ったりしちゃ本当にダメですよ!!!




4.PerfectViewerで読む
 多少繰り返しになりますが……
 キンドルファイアHDには標準で「PDFファイルを読む機能」が付いているので、横書きの本を読む場合はそれを使えば問題はありません(その話は以前に書いたんでどうぞ)。

 ただし、縦書きの本を読む場合はどうしても「ページのめくり」が逆向きになるのでとてつもなく違和感を覚えます。なので、「自炊した本を読むためのアプリ」を購入して読みましょう。自分の場合はPerfectViewerを使っています。


 キンドルファイアHDでPerfectViewerを使う場合の注意があります。
 有料のPerfectViewerが本体なのですが、どうもアップデートの際に「PDFファイルが読めなくなる」不具合が起こったらしく。これを解消するためにPerfectViewer PDF Pluginという無料アプリをダウンロードする必要があります。どちらもAmazonアプリストアにあります。両方ダウンロードしないとPDFファイルは認識してくれないよって話。





 PerfectViewerは細かい設定変更が出来るのが魅力らしいのですが、ゲームのキーコンフィグすら面倒くさい自分にとってはむしろ「ハードルが高い」部分ではありました。
 色々試してみたところ……画像スケールは「最適表示」、ページのレイアウトは「単ページ/見開き自動切換え」、画像平滑化方法は「平均画素法v2」、ページの原点は「ページの中心」に設定しました。これで大体「キンドル本で漫画を読む」のと同じような感覚かな。


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 こんなカンジ。
 最初の頃はカラーで読み込んでいたので、「日焼け」も再現しちゃっています(笑)。逆に言うとグレーでスキャンすれば「日焼け」を取り除いた状態でデータ化できるということで……自分としてはこれが結構嬉しいです。



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 「単ページ/見開き自動切換え」に設定しているので、端末を横向きにすると見開き表示になります。キンドル本と違って「このページは右ページ、このページは左ページ」と決まっているワケではなくて、見開き表示に切り替えた際のページが右ページになるっぽい。

 ノドの部分を犠牲にして裁断しているため、見開き表示がピッタリ合わないのはまあしゃあない。




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 「キンドルファイアHDの画面サイズじゃ、雑誌を自炊して読むのはキツイかなー」と思いながら自炊してみたんですが、意外にクッキリ文字が表示されて「余裕で読める」レベルでした。


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 もちろん部分的に拡大・縮小も出来るので、老眼の人でも安心です。
 むしろ元の雑誌より文字がデカい。



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 見開きで写真表示してもキレイに表示されますね。
 ノドの部分はしゃあない。もっと時間をかけて丁寧に作業すれば何とかなると思いますが、正直1冊1冊にそんなに労力をかける余裕はないのです。




 基本的には「キンドルで漫画を読む」のと同じ感覚で読めるのですが。
 PerfectViewerは「真ん中をタッチするとメインメニュー」、「真ん中下部をタッチするとツールバー」というのが最初はなかなか馴染まず。キンドル本と違って「目次ジャンプ」がないのは仕方ないとして、スクロールバーからジャンプした後に←一発でジャンプ前の位置に戻るということが出来ないのが辛いです。

 逆にキンドルで漫画を読む際には使えない「しおり」機能がこちらにはあって。
 1冊単位じゃなくて、「登録している全部の本」のしおりを一括管理できるみたいなので―――色んなエロ漫画のお気に入りのページを片っ端から「しおり」に入れておけば、お気に入りのページだけをハシゴ出来ますね。絶対に落とせないな、お気に入りが詰まったこの端末。



 そうそう。以前に「活字の本」をキンドルで読むと、紙の本にはないこんな機能があるんだよーみたいな記事を書きましたが。紙の本な「活字の本」を自炊しても、“画像扱い”になるだけなので――――当然ああいう機能は使えません。




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 あと、大きいのは「フォルダ分け」が出来ること。
 「漫画」「活字」「雑誌」「エロ」みたいなフォルダを作って、そこに分類していくことが出来る―――当然あるべき機能なんですけど、キンドルファイアHDでキンドル本を読む際にはこの機能がないのでマジメな本の横にエロ漫画が並んでいるみたいな不満点があったんですよ。



 もちろんPDFファイルの形で残せるのでパソコンにバックアップが取っておけるし、万が一Amazonにアカウント凍結されてしまったら再DLが出来なくなるキンドル本と違って、自分の意思でコントロール出来るというのが魅力ですね。
 ただ、裏を返せば自宅が燃えちゃって、パソコンもタブレット端末もバックアップHDDも全部燃えちゃったらもうどうしようもないんですけどね。




 雑誌はともかく単行本の形のエロ漫画の場合、“紙の本”のままならば勝手に本が閉じようとしてしまうためにお目当てのページを固定するのが難しいので実用的ではないけれど――――自炊して“電子書籍”にしてしまえばずっとお目当てのページの表示にすることが出来るから実用的!

 という電波を、明け方4時半頃に西の空を眺めていたら受信したのでここに記しておきます。私はエロとか一切興味がないので、その意見が本当なのかはよく分からないんですけどね。




 自炊3点セットとも言える「裁断機」「スキャナー」「タブレット端末」の中から、比較的安価なものをチョイスしてリンクを貼っておきます。
 記事にも書きましたが、「家にあるもので代替できる」ものもあるでしょうし、安価なものじゃなくてちゃんとした性能なものを買った方がイイものもあるでしょうし、その辺は皆さんそれぞれ考えてください。道具を揃えるところから趣味が始まっている―――と言えなくもないですし。



 自分はこの記事を書くために、1週間で漫画7冊、ハードカバーの活字の本2冊、文庫の活字の本1冊、雑誌2冊、同人誌3冊を自炊しました。計15冊を自炊してみて、率直な感想は……




 すげえ「楽しい」です。

 若い人には伝わらない例えかも知れませんが……
 昔はカセットテープとかMDとかがあって、自分のお気に入りの曲だけを集めたテープやMDを自分でダビングして作って自分だけで聴いて楽しむ―――という文化があったんですよ。1曲1曲CDをセットして、ダビングボタンを押して、苦労して作ったテープやMDが宝物だったんですよ。

 自炊作業はそれに近い魅力があると思います。
 苦労して作るのが楽しい。

 自分の蔵書がデジタルデータにキレイに変換されて、持ち歩けるタブレット端末に収まっていく―――「次は何を自炊しようかな!」とワクワク出来る。置く場所ないから買わなかった本を注文して、これを早速自炊しようみたいなことまで始めてしまいました。

 世界観が変わるくらい楽しいです。
 “本”というものの見方が変わりましたもの。
 “本=場所を取る”という認識がなくなりましたからね。




 しかし、逆に言うと「楽しい」ものは「人を選ぶ」んですよね。
 「便利」ならば万人が食いつきます。
 音楽CDをパソコンに入れたら自動的にデータに変えてくれて、何千枚というCDを小さな端末に記録して持ち歩ける―――グウの音も出ないほど便利だから、みんなが食いついたし、色んな人にもオススメ出来ます。


 「本の自炊」は便利ではないです。
 機器を用意するのに結構なお金がかかるし、それらを置く場所も必要だし、作業をする時間もかかります。だからこそ楽しいんですけど、食いつける人は限られているでしょうし、オススメ出来る人も限られてしまうのです。




 とりあえず「私はハマリました」。
 ブログに書くためとは言え、「週に5~6冊ずつ」の予定が今週だけで15冊自炊してしまい、その分の時間が吹き飛び、しかも自炊した本を読み始めちゃって「15年ぶりに日本原論読んだらおもしれーな!」みたいなこと言い出して。とてつもない時間泥棒の趣味ですよ、これ。

 今となってはどうしようもないですけど……
 小中高生の頃に読んでいた本とか、とっておけば良かったなーと思います。二束三文でブックオフに売り飛ばして「これで部屋が片付いたぞ!」とか言っていたのが勿体ないです。歴代のお気に入りのエロ本とかも取っておけば、「あー、これはあの時期にお世話になったページだなぁ」みたいな郷愁に浸れたんじゃないかという謎の電波を西の空から受信しましたがうんたらかんたら。

| 漫画読み雑記 | 19:28 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして。自炊について書かれる記事、楽しみにしていました!
なかなか周りの人に自炊までやってる人間がいない上、
体験談を書かれる方も少ないので嬉しいです。
私もPerfectViewerを使用していますが
グレーで取り込めば日焼けなく・・・と書かれていますが
PerfectViewerのメニューの「エフェクト」内の
「グレースケール」をタッチすると、
グレスケ効果を与えられますので、色が消えます。
私は普段触らない真ん中のタッチパネルに割り当てて、切り替えています。
便利ですので一度使ってみてください。

| ああああ | 2013/06/01 23:46 | URL |

自炊っていうんですか、知らなかったです。
自分も読み切りマンガが捨てられなくて…。
でも環境が整うのは、いつになることやら。

| ああああ | 2013/06/02 01:10 | URL |

私はレンタル裁断スペースを利用しています。
初期投資や場所が必要なくハイグレードな裁断機やスキャナーが利用できますし、メンテナンスも不要なので。
私が利用してるところは裁断は百科事典でもセットできそうな巨大なやつで店員さんがやってくれて、スキャンは自分でやるという形式ですが、20冊で1時間強程度、1冊100円くらいのコストで電子化できますね。

| くらげ | 2013/06/02 14:21 | URL |

本格的に自炊を始めると、データのバックアップも気になるね。
苦労して自炊したデータが一瞬で全滅することもあるわけで。

| 斎太郎 | 2013/06/02 22:14 | URL |

「自炊」も自分を写す鏡

こんにちは。


自炊代行はまだちょっと雲行き怪しいので、僕もちまちま自炊しています。裁断機を置く場所がないので、オルファのロータリーカッターを使って解体作業……もするのですが、これはもう1日10~20冊もやるとヘトヘトになるので、もっぱら裁断業者に送って、カットしてもらって返ってきたものを(エアダスターで紙くずを払ってから)取り込むのが、お金は多少かかるものの、楽で、時間の節約にはいいかなーと思います(困ったことに減った本の代わりに別の本が増殖するので、スペースの節約になる、というのは都市伝説であると知りました)。

そもそも「捨てなければどうしようもない」という決断を迫られて、それを回避しようと自炊の道を選んだはずなのですが、このようにどうしても時間またはお金を消費しなければならない状況にあっては、結局ここでも決断することが必要になるのだなあ、ということを考えています。つまり「あえて自炊しない(で捨てる)本」というものを選ばなければならない。実際、自炊するようになってから、一生死蔵するかに思われた本のなかから選んで処分することも多くなってきました。

すでに電子書籍化している(電子化にかかる権利処理が実際に済んでいる)ものは、あとになっても容易に入手できるはず、と除外対象にしたり(将来複数の権利者が揉めて読めなくなったりする可能性もゼロではありませんが)、ベストセラーやヒット作もまあ、いいや、とか。

一方で、ある種の愛着があるものを再発見したり、これはやはり捨てられない、と思いを強くしたり(それこそ、記事中にあった教科書や、雑誌の気に入った部分とか)、「解体するより手元に残したい本」というのが見えてくる(そしてときに2冊めを買ってしまう)。蔵書は人を写す鏡と言いますが、自炊に臨むことで、そのときどきの価値観や、今までの人生を見つめなおすことにもなるようで(「断捨離」というのは個人的にはどうも引っかかる言葉ですが、そうした考え方にある面で通じるのかも)、ただ単に「本を買って積むだけ」の生活に比べれば、読書生活の見直し、ひいては自分の購買行動の見直しにもつながっているように思います。自炊という行動そのものが、人の生き方のひとつの側面であると。


しかしまあ一番いいのは、自炊代行業者と業界が手打ちして、何も考えずに読んだ本、とりあえず買った本をばんばん頼めるようになることであることは間違いないのですが(台無し)。

| islecape | 2013/06/02 22:32 | URL | ≫ EDIT















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