やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

“悪意”が存在しないアニメを観たい時

 ふむふむ…と、考えさせられた話。

 アニメたまゆらを楽しめる人間


  半分くらい「うん、分かるよ」と思う自分と、半分くらい「それは違うよ」と思う自分がいます。自分は『たまゆら』はOVA版のネット配信から前回のテレビ放送(『hitotose』)までは全部観ていて、好きか嫌いかで言えば断然「好き!」なアニメでしたが。今回のテレビ放送(『もあぐれっしぶ』)は、第2話で脱落してしまいました。

 脱落した理由は、「放送スケジュールの関係」とか(裏の『探検バクモン』を自分は毎週録画している)、「他に気になるアニメが多くて消化しきれない」といった理由で―――決して作品自体に魅力がないワケではなかったのですが……
 でも、何となく自分の中に「今は『たまゆら』って気分じゃないんだよなぁ……」というものがあったのも確かです。本当に観たかったら、裏番組や他の作品よりもこっちを優先していたでしょうし。



<以下、引用>
 あんな純粋な善意しか存在しないようなアニメなんて。
 ナウシカの腐海みたいな感じ。
 本当に純粋なものはむしろ毒になるっていうアレだよ。

</ここまで>


 『たまゆら』には“悪意を持ったキャラ”が出てきません。
 登場人物は基本みんな“いい人”だし、「仲間同士が方向性の違いから衝突」とか「乗り越えるべき存在との対決」みたいな出来事は起こりません。主人公達は将来に悩んだり、過去を思い出したりはしますが、必要以上にシリアス展開になったりはしませんし。やろうとすることは大抵うまくいきます。女のコは可愛いけれど、エロスなサービスシーンは皆無です。



 そういうアニメがありがたい時ってあるんですよ。
 でも、そういうアニメをあまり観たくない時もあるんですよ。



 「楽しめる人間←→楽しめない人間」とか「訓練された人間←→訓練されていない人間」に分かれるってワケじゃなくて、同じ一人の人間でも「たまゆらを観たい時」と「たまゆらな気分じゃない時」があるんです。それは成長とかではなくて、“周期”というか“気分”というか。



 『たまゆら』と同じように「何も起こらないアニメ」と言われた『けいおん!』1期が放送された2009年、自分は「もうアニメ観るのもつらくなってきたな……」と思った時期でした。
 その前の季に『CLANNAD』と『ガンダムOO』が終わって、それらのアニメは楽しみましたけどあまりのシリアス展開に「正直しんどい……」と思いながら観ていました。特に『CLANNAD』。最終回のオチのネタバレを喰らってたせいでもありますけど(笑)。
 しかも、その頃ちょうど「もう漫画を描くのは辞めようか……」と悩んだ時期でもありましたし、シリアスな展開のアニメを観るのがとてもつらかったんです。

 だから、『けいおん!』の“悪意”のない世界がすごく救いになったのです。
 登場人物はみんないい人で、みんながみんなを大好きで、ギターを買うためにみんなでバイトをしたり、追試を受ける仲間のために勉強会を開いたり、そういう“理想的な青春像”が癒しになったのです。




 でも、『けいおん!』に癒されると、『けいおん!』みたいなアニメばかりでは物足りなくなってくるというのも確かで。次の季に、『けいおん!』のようには“理想的な青春”を送れない主人公を描いた『かなめも』に号泣させられたし、更に次の季では『超電磁砲』1期の佐天さんに感情移入させられました。

 そこで描かれたものを“悪意”とは言いたくないけれど、“嫉妬”とか“羨望”とか“孤独”とか、『けいおん!』では決して描かれなかった負の感情を描いたそれらの作品に私は心を揺さぶられたのです。
 もちろん、どちらの作品が優れているという話ではありません。
 ただ、「その時に自分が欲しているもの」にピタリとハマっただけという。きっとこれ、順番が逆だったら楽しめなかったと思います。『CLANNAD』の直後に『かなめも』を観ていたら心が持たなかったと思いますもの。

(関連記事:『けいおん!』は“仲間”を描き、『かなめも』は“孤独”を描いた




 アニメを楽しめるかどうかは、私達次第だと思うんです。
 それは「訓練」とか「ひねくれ」とかじゃなくて、「自分がそれを欲しているか」という話。お腹が空いている時に食べるカツカレーは美味しいけれど、炎天下を10kmの走り込みをした後にカツカレーは食べられない、みたいな。

 『たまゆら』の前回のテレビ放送(『hitotose』)は2011年10月からの放送でした。
 震災から半年、まだまだ心が不安定な時期でした。だから、楓ちゃんが過去と向き合って一歩を踏み出すあの第1話にはとてつもなくグッと来ました。あの“理想的な世界”がすごく心の癒しになってくれました。間違いなく、あの時、あの瞬間、私は『たまゆら』のような「“悪意”が存在しないアニメ」を求めていたんです。


 2013年の今の自分は、あまりそれを求めていません。
 それはきっと『たまこまーけっと』に癒されちゃったからなんだろうけど、今はもっとシビアで、心を揺さぶってくる、味付けの分かりやすいファーストフードのようアニメを欲しているんです。今季のイチ推しが『プリズマ☆イリヤ』なことから、ものすごく今の私の気分が分かります(笑)。



 でも、きっと。
 またいつか『たまゆら』のような「“悪意”が存在しないアニメ」を欲する時が来るんです。
 味付けの濃いものばかり食べ過ぎると家庭料理とかスローフードを求めるように、その時には『たまゆら』を観ればイイんです。


(関連記事:世界一美味しい飲み物は、ノドが乾いた時の水である


たまゆら(OVA) 全巻セット(第1巻、第2巻) [Blu-ray]たまゆら(OVA) 全巻セット(第1巻、第2巻) [Blu-ray]

松竹 2013-07-19
売り上げランキング : 6294

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
たまゆら~hitotose~ 全巻セット(第1巻~第7巻) [Blu-ray]たまゆら~hitotose~ 全巻セット(第1巻~第7巻) [Blu-ray]

松竹 2013-07-19
売り上げランキング : 12413

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| アニメ雑記 | 17:55 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

明るい・暗い路線の流行なんて個人はどっちも持っていてループするようなものだけども、
暗くて鬱やシリアスこそが"中身"で修羅場なんかもあるとより上等で偉いみたいな風潮に陥りやすいのがオタクにありがちの悪い癖ですね。
評論家的に濃く深くを重んじてしまう傾向から言うと仕方ない傾向かもしれないけれど…

|   | 2013/08/04 20:42 | URL | ≫ EDIT

詳細

私はSEED・ハガレン・ギアス世代だった者だ。
今はもうすでにヲタのシリアス離れが起き始めている。
ラブライブ一期終盤やデレマス、艦これ、
天メソでシリアス展開があると批判され、
「のんのんびより」の様な非シリアス最右翼系のタイトルの放送局がテレ東東名阪になると
「何でBS11でやらないんだよ!!」と言われる。
シリアス路線のタイトルはビデオグラムの売り上げでSAOや進撃、Fateクラスの記録を出せなきゃ、いいや5000未満だったら激しいバッシングに逢う一方で
ほのぼの路線の場合は売り上げがどんなのでも大目に見てもらえる。
ヴァルヴレイヴ21話と最終回のニコ生での評価点数の件。
M3の受注不振でのビデオグラム単品からBOXへの変更等。

私はSEEDやハガレン、ギアスで狂喜乱舞していた一方でギャラクシーエンジェルやらきすた、あずまんがを浄化役としていた五分五分の者だった。
しかしハガレン二期の2クール目から無自覚で日常系に偏り始め、
東日本大震災のショックで「シリアス路線よりも清涼剤路線こそBS無料でやれ」という考えに変わり、
一昨年の秋に「反シリアス感情」を他のブログで看破されたのだ。

| アルテマウェポンII | 2015/05/03 03:32 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1611-ba9532e7

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT