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この国の70年前に生きていた人達の物語。『この世界の片隅に』全3巻紹介

 もう知っている人もあまり残っていないでしょうが、私は前の前のサイトで「自分が読んだ漫画をオススメする」という日記を書いていました。
 しかし、その後に自分で漫画を描くようになって、「オススメをする」というある意味で上から目線にならなければ出来ない行為を「俺ごときが何様のつもりだ……」と思うようになってしまい。また、物理的に新しい漫画を買っても置く場所がないという状況に陥ってしまい。「自分が読んだ漫画をオススメする」ということはやらなくなってしまいました。


 でも、そこから10年近く経ちまして。電子書籍で漫画を読むようになって、「本の自炊」という手段も覚えて、“置く場所”の問題は解決しました。
 そして、インターネットの世界ではこの10年の間に「“悪口”が一番手軽にアクセス数を稼げる」場所になってしまい、上から目線がどうのとか俺ごときがどうのとか以前に、「自分が読んだ漫画をオススメする」なんて真っ直ぐなことをもうちょっと大事にしていかなければって思ったのです。



 ということで、今後このブログでは「自分が読んだ漫画をオススメする」記事を書いていこうと思います。1月に取ったアンケートでも「もっと漫画の話題を書いて欲しい」って御意見が多かったですしね。
 有名な作品も無名な作品も、昔の作品も最近の作品も、電子書籍で読んだ漫画も紙の本で読んだ漫画も、私が読みたくて読んだ漫画が面白かったらここに書き残していこうと思います。それで、誰かが興味を持ってくれたり、「俺もその漫画が好きだった!」と思ってくれたりしたら幸いです。




 ということで、今日は こうの史代先生『この世界の片隅に』です。
 キンドルで読みました。上中下巻の全3巻。
 後述しますが、紙の本だとB6サイズの上下巻も出ているみたいですね。

この世界の片隅に : 上 (アクションコミックス) この世界の片隅に : 中 (アクションコミックス) この世界の片隅に : 下 (アクションコミックス)

 私はこの作者の『夕凪の街 桜の国』という作品が大大大好きで。
 毎年この季節になると必ず読み返しているのですが、その度にラストシーンではボロボロ泣いてしまうほどに大好きなのです。もう20回くらい繰り返して読んでいるのに。

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)



 この『この世界の片隅に』も、『夕凪の街 桜の国』と同じく「戦争と広島」を題材にした漫画です。
 『夕凪の街 桜の国』は、原爆が投下されて戦争が終わった後の広島に住む一つの家族を描いた作品でしたが。
 『この世界の片隅に』は“戦時中”を舞台にした話です。物語が始まるのは昭和18年(1943年)、広島市に住む「絵を描くことが好き」な少女・浦野すずが呉市に嫁に行くところから始まります。


 戦争を描いた漫画ですが、この作品には英雄はいません。
 兵器も、ただ遠くに見る「日本の軍艦」と、突如やってくる「敵軍の爆撃機」です。

 でも、戦争中に生きていた人々の“日常”が描かれているんです。
 憲兵に怒られて、砂糖すら手に入らず、空襲に脅えながら……それでも毎日ご飯を食べて、お風呂に入って、寝て、家族を大切にしながら、家族に疑心暗鬼になりながら、絵を描いて、笑って、強く強く生きている人達を描いているんです。



 現代を生きる私達は“歴史”として、この作品の終盤に起こることを知っています。
 この後、日本はどうなるのか……
 昭和20年、広島がどんな目に合うのか……

 だから、一つ一つの“日常”が、しょーもないものに見えて如何に大切なのかが分かるのです。




 『夕凪の街 桜の国』もそうでしたが……この作者の作品は「戦争と広島」というこれ以上ないほど重い題材を描きながら、芯に描いているものは「人間の強さ」「人間の美しさ」なんだと思います。恐ろしく悲惨な世界を描きながら、「人間なんて碌なもんじゃないな」と絶望するだけでなく、そんな状況でも強く生きようとする「人間は強いんだ」を希望として描いているのだと思います。

 「やっぱり塩味はええねー」という、あのシーンが私は大好きでね。





 “未来”のことは分かりません。“考え方”は人それぞれでしょう。
 でも、“過去”にあったことは確かなのです。この漫画はフィクションですが、たった70年前に、同じようにこの国に生きていた人達がいたのは確かなのです。そこから何を思うのかは人それぞれで、私はやっぱりこの作者の作品からは「強く生きよう」という気持ちを受け取りました。


 この時期、この季節だからこそ、多くの人に読んでもらいたい傑作でした。
 あと、すずちゃんとすみちゃんの姉妹描写がとても良かったです!(台無し)





 紙の本では、日テレでドラマ化された記念で新装版「前後編」の全2巻で出ています。
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 ただし、全2巻だとサイズがちょっと小さめだそうです(18x13cmのB6版)。
 全3巻では21x14.8cmのA5版。でも、新品ではAmazonに在庫はもうないですね。

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