やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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何のためにレビューを書くのか

 「レビュー記事」と「紹介記事」は別物だと思っていたのだけど、「そもそもレビューって何だ……?」と思って検索してみたらWikipediaの「ブックレビュー」のページには「刊行された書物を読者に“紹介する目的で”論評や感想などを記す文芸評論の一形式」と書かれているので……実はその二つは似たようなものなのかも知れませんね。


 何のためにレビューを書くのか。
 自分の場合は頑なに「紹介記事」と宣言することで、記事の目的を「この商品の良し悪しを目利きのワシが鑑定してやろう!ガハハハハ!」とするのではなく、あくまで「商品をまだ知らない人にこんなものがあるんですよと紹介する」ために書いてきました。


 でも、恐らく「レビュー」というものを書いている多くの人の目的は、自分の「紹介する」目的と大して変わらないと思うのです。「購入の参考になる指標」を読者に提供しようという意図。
 最近話題のファミ通のクロスレビューも「発売前のゲームソフトを10点満点×4人でレビュー」することで、読者にゲームソフトの購入の参考にしてもらおうというコーナーですし。Amazonの商品レビューも、商品を買うか迷っている人が参考にするために商品のページに表示されるようになっています。

 恐らく、ゲームでも漫画でも映画も音楽でも、個人ブログにて多くの人が行っているレビューもそういう意図で書かれているものが多いんじゃないかと思います。「この作品はとても素晴らしいから、一人でも多くの人に買って欲しい!」という。


 そういう意味では、「レビュー記事」も「紹介記事」も言葉が違うだけで内容も目的も大して変わらないのかもですね。





 さて、このブログでは何年にも渡って「ゲーム紹介」の記事を書いてきました。
 んで、この夏から「漫画紹介」の記事を書き始めました。本当のことを言うと、ずーーーっとずーーーーっと昔には「漫画紹介」の記事を書いていたこともあるんですけど、自分で漫画を描き始めるようになってからは「俺ごときが何偉そうに漫画紹介するとか言ってんの」と思っちゃって辞めていたんです。


 「この漫画はストーリーは文句なしだが、作画に関してはデッサンが乱れるところが多い」とか書いたら、「やまなし、テメーの漫画なんて全部デッサン狂ってんじゃねえかよ!」と思われるんじゃないかと不安で食事がのどを通りませんし。
 「この漫画は構成をこう変えたらもっと面白くなったんじゃないか」とか書いたら、「やまなし、テメーの漫画なんて構成ムチャクチャじゃねえか。偉そうなこと言ってんじゃねえよ!」と思われるんじゃないかと不安で夜も眠れません。



 だから、この夏に再開した「漫画紹介」は「大絶賛できる漫画」しか紹介するつもりはありません。
 「漫画紹介の記事、楽しみにしています!」と言われるのは嬉しいんですけど、なので第1弾第2弾第3弾に続く第4弾がいつになるのかなんて分かりません。だって、そうそう「大絶賛できる漫画」なんて出会えるものじゃありませんもの。


 紹介される立場からしても、「この漫画はここがイマイチ!」とか「この漫画は面白くないんでオススメしません!」みたいな漫画を紹介されても嬉しくないだろうし。「大絶賛できる漫画」だけ「紹介記事」を書くというのは、理に適っているかなと思うんです。



 んで、そうすると自分自身への疑問が出てくるのです。
 俺、ゲームの紹介記事には「このゲームはここがイマイチ!」とか書いていたな……と。あれは何のために書いていたんだ?と。




 まず前提として、人間の数だけ「優先するもの」は違うのだから、私がイマイチだと思うものを誰かは素晴らしいと思うことがあるんです。
 だから、何千円もするゲームソフトを買って、自分がイマイチだと思ったものも「こういうところがイマイチなんだけど気にならない人は買ってもイイと思う」と書く意味はあると思うんです。


 『Wii Sports』の続編というよりは『脳トレ』の体バージョン、『Wii Fit』紹介

 これは2007年に書いた初代『Wii Fit』の紹介記事です。
 読んでもらえば分かりますけど、読むには長いんで説明しますと、あんまり絶賛していないんですよ。むしろダメなところを列挙しているし、こういう人にはオススメ出来ないと書いているし、CMは詐欺だとも書いています。アグレッシブですね、当時の自分(笑)。

 でも、当時これを読んだ人から「ダメなところは私はあまり気にならないので買おうと思います」というメッセージを頂いて、すごく励まされたんです。あぁ、これで良かったんだ、と。



 自分も逆の立場だった思いますもの。
 買おうか悩んでいる商品のレビューを読んだら「大絶賛しかされていない」時――――逆に不安ですもの。
 「ステマじゃないか」とまでは思いませんけど、そこまで絶賛されるとこの人が狂信的にその商品を愛しているだけであって、「この人はすげー好きみたいだけど、きっと俺はこんなに好きにはならない」と思ってしまうのです。

 もうちょっと分かりやすい例えを出すと……
 『スターウォーズ』の新作が公開されたとします。「今までスターウォーズ作品全部観てきたけど、今回のが最高傑作!すごい!これを観ていない人は人生損している!」みたいなレビューを見たとしても、それは「筋金入りのスターウォーズファンにとっては最高」であって「スターウォーズに愛着がない俺には楽しめそうにないな」と思えてしまうのです。


 だから、大絶賛されているレビューよりも、ダメなところをしっかり書いてくれているレビューの方が信頼出来るし。この「ダメなところ」を自分は気にするかどうかが、自分に合うかどうかの参考になるのです。




 自分はゲームの「紹介記事」を書く際に、そう心がけようと思い。
 以後はそういうスタンスにしているつもりです。



 しかし、そういう「基本的には良いんだけど、ちょっとだけダメなところがある」商品ならイイんですけど、中には「ダメなところしかねえ!」という商品もあって。そういう商品はどう紹介すればイイのか、悩み苦しむのです。

 悩んだ結果、最近の私は「紹介記事を書かない」という手に出ています。
 「紹介記事」じゃない記事で「何が面白いんだか分からない」という感想を書いてコメント欄が炎上したこともありますけど、「紹介記事」は基本的には「この商品をまだ知らないけど、実際に触ったら好きになる人はいるはず」という自信のあるものだけを紹介しています。

 だから、「うわっ、これは誰にもオススメ出来ねえ」という商品は「紹介記事」を書けないので、今年に入ってからなかなか「ゲーム紹介の記事」が書けていないという(笑)。今年書いたのは『MOTHER2』『トモコレ』だけですからね。


 せっかく時間とお金をかけてプレイしたのだから、「クソつまんなかった」としてもそれをブログのネタにしなければ気が済まないとも思いますしし。
 もう二度とこんな被害者が出ないように「こんなゲームはみんなは買うんじゃない!」という「ゲーム紹介の記事」も書くべきなのかも知れないのですが。それをちゃんと説得力をこめて書く自信がないんです。


 「オレにとってクソつまんねえゲームだけど、この世界の何処かにはこのゲームを面白いと思う人がいるのかも知れない」


 そう考えてしまうと、「クソつまんなかった」って「紹介記事」は書けないし。
 ゲームに限らず、漫画でも映画でもアニメでも小説でも、インターネット上では大絶賛されているものに手を出して、「ええええええ!クソつまんねえんだけどおおおおお!」ということがしょっちゅうある自分にとって。自分が面白くなかったからって、「みんなにもオススメ出来ない!」とは言えないというか。




 もちろん、「面白くない商品が如何に面白くないかを面白く紹介できる人」がいるのは分かります。ライムスター宇多丸さんの映画評論とかね。

 でも、そういう人達は「良い商品」も「悪い商品」もたくさん触ってきて、それでいて他の人の評論とかもチェックして、その商品が生まれた背景とかもしっかり調べて―――そういう幅広い“知識”と“経験値”のある人だから出来ることであって。自分には絶対に出来ないんです。





 だから、多分「何のためにレビューを書けるのか」は人によって違います。

 私は「面白くない商品が如何に面白くないか」を書く自信はありません。
 「その商品の良し悪しを判定する」ことなんか出来ません。

 自分が面白いと思ったものを、「こういう人にはオススメ!」と紹介していくことしか出来ないんです。それしか出来ないんです。だから、それを続けるしかないんです。


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| ひび雑記 | 17:54 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

自分もいちおうながらマンガやゲームのレビューがメイン記事であるブログをやっていることもあり、レビューのスタンスに関する悩み(?)だとかは分かりますねー。
ちなみに私は基本スタンスとして、他者への紹介とかワリと度外視で「コレが好き!」という感情主体でレビューを書いているフシがあります。褒めたいのだから褒める部分を中心に抜き出しているような。いちおう「ここはダメ」っていう箇所があったら、特にゲームでは指摘しておくクセもつけてますが。
一方でごくたまに「これクソつまんね~」というネガティブレビューも書くことがありますが、そのときはそのときで必ず一点「ここは良かった」という部分を探すことも心がけています。良いだけ・悪いだけの文章にならないよう気をつけてるトコはあるかもしれませんねー。

| HILO | 2013/09/13 19:55 | URL | ≫ EDIT

自分もレビューは同じスタンスですねえ
合わないと思ったらレビューをスルーしてます

基本的にクリアしたゲームしかレビューしないです
(合えば大体クリアまではプレイするので)

| genji2game | 2013/09/13 19:55 | URL | ≫ EDIT

自分は思ったままを書くように心がけています。
これはいいと思う、これは悪いと思う、とドライな主観というイメージで。
抑揚をつけたりネタ的に面白くなるような文章にはしていますが
悪い部分にもなるたけフォローを入れたり、あくまで「自分はこう思った」など一個人の意見であるのを強調したりしますね。

| ああああ | 2013/09/16 23:54 | URL |















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